JP2012195477A - 面発光半導体レーザ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程を簡素化し、製造時間の短縮を行うことができる面発光半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】基板1上に、p型多層膜反射層2、i型多層膜反射層3、n型多層膜反射層4、n型クラッド層5、活性層6、p型クラッド層7、p型スペーサ層8、p型電流ブロック層9、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11が積層されている。面発光レーザ部は、活性層6を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。上部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層10で、下部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層2とi型多層膜反射層3とn型多層膜反射層4で構成されている。光学的には、共振器の下部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部が形成された構造となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】基板1上に、p型多層膜反射層2、i型多層膜反射層3、n型多層膜反射層4、n型クラッド層5、活性層6、p型クラッド層7、p型スペーサ層8、p型電流ブロック層9、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11が積層されている。面発光レーザ部は、活性層6を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。上部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層10で、下部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層2とi型多層膜反射層3とn型多層膜反射層4で構成されている。光学的には、共振器の下部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部が形成された構造となっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、レーザ光の出力を検出することができる面発光半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
半導体基板面に対して垂直方向に光が出る面発光半導体レーザは、垂直共振器型(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)と呼ばれ、例えば、GaAs、InGaAs、AlGaAs等の半導体薄膜を縦方向に積層してpn接合を設け、上下に反射ミラーを形成して共振器とし、共振器で光を上下に多重反射させて位相の合った光を発生させるものである。
この面発光半導体レーザ(VCSEL)の光出力モニター方法については、従来、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1に示すように、光検出器を備えた面発光半導体レーザが提案されている。特許文献1の面発光半導体レーザは、p型AlGaAsブラッグ反射層とAlGaAsスペーサ層との間に、n型GaAsの光吸収層を受光部として挿入し、光吸収層内に発生した電子を取り出すための電極を光吸収層上に設けた構造となっている。
一方、特許文献2には、p型AlGaAsブラッグ反射層上に、i型GaAs半導体層とn型AlGaAs半導体層とを別途形成し、p型ブラッグ反射層の最上層とi型GaAs型半導体層とn型半導体層とでフォトダイオードを、別途形成した面発光半導体レーザが提案されている。
しかし、上記従来の技術では、フォトダイオードのための半導体層を作製するための結晶成長工程が別途必要となるので、エピタキシャル成長の工程で時間がかかり、複雑化する。また、特許文献1では、レーザ光を通す経路を形成するために、光吸収層の中央部をエッチングして開口部を設けているために、余分なエッチング工程が必要になる。
また、特許文献2の構造において、電流狭窄のための酸化層を作製する場合には、酸化層を露出させるメサエッチングを行わなければならないため、i型GaAs半導体層とn型AlGaAs半導体層の形状を形成するためのエッチングと合せて、少なくとも2回のエッチングが必要となり、製造工程が煩雑化する。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、製造工程を簡素化し、製造時間の短縮を行うことができる面発光半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の面発光半導体レーザ装置は、活性層を挟んで配置された第1半導体反射ミラー及び第2半導体反射ミラーと、前記第1半導体反射ミラーと第2半導体反射ミラーとの間で構成される共振器とを備えた面発光レーザ部を有し、前記第1半導体反射ミラー内又は第2半導体反射ミラー内に、p型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部が形成されていることを主要な特徴とする。
また、本発明の面発光半導体レーザ装置の製造方法は、活性層を下部半導体反射ミラー及び上部半導体反射ミラーで挟んだ共振器を有する面発光半導体レーザ装置の製造方法であって、基板上に、反射p型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部で構成された下部半導体反射ミラー、活性層、活性層の下側又は上側に配置される電流ブロック層、上部半導体反射ミラーを少なくとも形成する第1工程と、前記第1工程の後、前記上部半導体反射ミラーから前記電流ブロック層までを少なくともメサエッチングする第2工程と、前記メサエッチングの後、前記電流ブロック層の周辺から中心部に向かって酸化させる第3工程とを備えたことを主要な特徴とする。
本発明によれば、第1半導体反射ミラー内又は第2半導体反射ミラー内のいずれかに、p型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部が設けられているので、面発光半導体レーザ装置を構成する半導体層を形成する工程の途中で、受光部を作製する場合、別の原材料を用いる必要がなく、ドーパントの種類やドーピング濃度を変えるだけで良い。したがって、受光部で構成された半導体反射ミラーを一連の工程で連続して結晶成長させることができ、製造工程を簡素化し、製造時間の短縮を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。構造に関する図面は模式的なものであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
図1(a)は、本発明の面発光半導体レーザ装置の一実施例の断面構造を示す。電気的には中央付近に配置する共通端子の上下に、レーザ発光素子と受光素子が形成された形を取るが、光学的には、面発光レーザ部の共振器を構成している半導体反射ミラー内に受光部を形成していることが特徴である。
基板1上に、p型多層膜反射層2、i型多層膜反射層3、n型多層膜反射層4、n型クラッド層5、活性層6、p型クラッド層7、p型スペーサ層8、p型電流ブロック層9、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11が積層されている。また、n型多層膜反射層4の一部から、n型クラッド層5、活性層6、p型クラッド層7、p型スペーサ層8、p型電流ブロック層9、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11までは、円筒状にメサエッチングされたメサ領域を形成している。
メサエッチングされて露出したn型多層反射膜4の上に環状の共通電極13が形成される。また、円筒状のメサ領域の最上部に形成されたp型コンタクト層11上には、中央部に開口部を有する環状のp電極14が形成されている。また、基板1の裏面には、裏面電極12が形成されている。p型電流ブロック層9は、酸化された環状の高抵抗領域9aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域9bとで構成される。なお、レーザ光の出射方向は、図1(a)の矢印に示されるように、上側である。
図1(a)の構成を上方向から撮影した画像データが図8に示されているが、円環状に形成されたp電極14と共通電極13がわかる。また、円筒状のメサ領域は、p型電流ブロック層9の高抵抗領域9aを作製するための酸化工程を行なう過程で形成される。
ところで、p型多層膜反射層2の最下層からp型多層膜反射層10の最上層までの間で共振器を構成しているが、この中で、n型多層膜反射層4は、例えば、n型AlGaAs混晶よりなる多層構造を有するDBRミラー(ブラッグ反射鏡)で、p型多層膜反射層10も、p型AlGaAs混晶よりなる多層構造を有するDBRミラーで形成されている。
p型多層膜反射層2とi型多層膜反射層3も、上記同様、AlGaAs混晶よりなる多層構造を有するDBRミラー(ブラッグ反射鏡)で構成される。ただし、p型多層膜反射層2を構成する半導体層には、p型不純物がドープされているが、i型多層膜反射層3はアンドープの半導体層で構成される。
DBRミラーは、特定の波長に対しある入射角においてブラッグ反射の条件を満足するように反射面を一定間隔で蓄積し、反射光の干渉を利用して反射光強度を強め、高反射率の実現を目指したものである。
ここで、光学的には、図のRで示される範囲が面発光レーザ部であり、活性層6を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。上部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層10で、下部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層2とi型多層膜反射層3とn型多層膜反射層4で構成されている。すなわち、従来では、下部半導体反射ミラーはn型多層膜反射層だけで構成されていたが、本実施例では、多層膜反射層の構造をPIN接合に形成している。
i型多層膜反射層3は、光吸収層に相当するもので、光電変換作用により光を電流に変換する。光学的には、共振器の下部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部(フォトダイオード)が形成された構造となっている。
一方、電気回路的には、n型多層膜反射層4〜p型コンタクト層11までで、レーザ素子(VCSEL)を構成している。一方、n型多層膜反射層4〜p型多層膜反射層2までで、受光素子(PD)を構成している。受光素子は、p型多層膜反射層2、i型多層膜反射層3、n型多層膜反射層4が順に積層されたPIN型フォトダイオードにより構成され、i型多層膜反射層3が光吸収層に相当する。
また、図1(a)のi型多層膜反射層3を取り除いて、p型多層膜反射層2上にn型多層膜反射層4が積層されたPN接合型のフォトダイオードとしても良い。この場合は、p型多層膜反射層2とn型多層膜反射層4のPN接合領域に空乏層が発生し、この空乏層により光を検出することができる。
以上のように、図1(a)では、面発光レーザ部の共振器を構成する下部半導体反射ミラー内に、p型多層膜反射層、i型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたpPIN接合型のフォトダイオード、又は、p型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたPN接合型のフォトダイオードを構成している。
このため、面発光半導体レーザ装置を構成する半導体層を形成する工程の途中で、受光部を作製する場合、別の原材料を用いる必要がなく、ドーパントの種類やドーピング濃度を変えるだけで良い。しかも、受光部を作製することにより、下部半導体反射ミラーを形成することができる。したがって、一連の工程で連続して結晶成長させることができ、製造工程を簡素化し、製造時間の短縮を行うことができる。
図1(b)は、共通電極13が接地されたとした場合における図1(a)の面発光半導体レーザ装置の電気回路構成を示す。レーザ光の出射側に形成されたレーザ素子(VCSEL)と基板側に形成された受光素子(PD)は直列に接続され、接地された共通電極13に、VCSELのカソード及びPDのカソードが接続された回路となる。p電極14から共通電極13の方向にレーザ駆動電流が流されると、面発光レーザ部の共振器内でレーザ光が発振し、レーザ光が出力される。また、共振器内のレーザ光の一部をi型多層膜反射層3で吸収することにより検出し、裏面電極12から検出電流として取り出される。
次に、各層の構成例を示す。まず、基板1として、例えばp型GaAs基板(導電性基板)が用いられる。p型GaAs基板は、一例として、厚さ1000Å、C(炭素)ドープのキャリア濃度1×1018〜3×1019cm−3に形成される。
p型多層膜反射層2は、p型DBR層(p型ブラッグ反射層)で構成されており、例えば、厚さ600ÅのAl0.16Ga0.84As層(低Al組成層)と厚さ700ÅのAl0.92Ga0.16As層(高Al組成層)で構成される。また、基板1に接する側から、Al0.16Ga0.84As層とAl0.92Ga0.16As層を交互に5周期積層されている。このときの、p型不純物としては、C(炭素)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1018〜3×1019cm−3に形成される。
i型多層膜反射層3は、アンドープDBR層(高抵抗ブラッグ反射層)とし、例えば、厚さ600ÅのGaAs層と厚さ700ÅのAl0.92Ga0.16As層を交互に20周期積層されている。
n型多層膜反射層4は、n型DBR層(n型ブラッグ反射層)で構成されており、例えば、厚さ600ÅのAl0.16Ga0.84As層(低Al組成層)と厚さ700ÅのAl0.92Ga0.16As層(高Al組成層)で構成される。また、i型多層膜反射層3に接する側から、Al0.16Ga0.84As層とAl0.92Ga0.16As層を交互に20周期積層されている。このときの、n型不純物としてはSi(ケイ素)が用いられ、Siドープのキャリア濃度は、2×1017〜5×1018cm−3に形成される。
n型クラッド層5は、厚さ900Å〜1500ÅのAl0.6Ga0.4As層で構成されており、n型不純物としてはSi(ケイ素)が用いられ、Siドープのキャリア濃度は、2×1016〜5×1018cm−3に形成される。
活性層6は、量子井戸構造(Quantum Well)を有する活性層であり、井戸層(ウェル層)を、井戸層よりもバンドギャップの大きな障壁層(バリア層)でサンドイッチ状に挟んだ構造となっている。この量子井戸構造は、1つではなく、多重化しても良く、この場合は、MQW(Multi Quantum Well)、すなわち多重量子井戸構造となる。
活性層6は、例えば、アンドープのGaAs井戸層とアンドープのAlGaAs障壁層(バリア層)を交互に積層した多重量子井戸構造により構成されている。最初に、厚さ150ÅのアンドープAl0.35Ga0.65As障壁層を形成する。次に、この障壁層上に、厚さ80ÅのアンドープGaAs井戸層と厚さ100ÅのアンドープAl0.35Ga0.65As障壁層を交互に繰り返し2〜6周期形成する。この上に、厚さ80ÅのアンドープGaAs井戸層を積層し、さらに、この井戸層上に厚さ150ÅのアンドープAl0.35Ga0.65As障壁層を積層する。すなわち、多重量子井戸構造の両側は、中間の障壁層と厚さが異なるアンドープAl0.35Ga0.65As層による障壁層で形成される。
p型クラッド層7は、例えば、厚さ900Å〜1500ÅのAl0.6Ga0.4As層で構成される。また、p型ドーパントとして炭素(C)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1018〜3×1019cm−3に形成される。
p型スペーサ層8は、例えば、厚さ700ÅのAl0.92Ga0.16As層で構成される。また、p型ドーパントとして炭素(C)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1018〜3×1019cm−3に形成される。
p型電流ブロック層9は、例えば、厚さ200〜500ÅのAl0.98Ga0.02As層で構成される。また、p型ドーパントとして炭素(C)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1018〜3×1019cm−3に形成される。また、酸化工程により、p型電流ブロック層9は、酸化工程により酸化された高抵抗領域9aと、酸化されない低抵抗領域9bとで構成される。面発光半導体レーザ装置を流れる電流は、低抵抗領域9bのみに狭窄されるようになっている。低抵抗領域9bに対応する活性層6の領域が発光領域となる。
p型多層膜反射層10は、例えば、p型DBR層(p型ブラッグ反射層)で構成される。具体的には、例えば、厚さ600ÅのAl0.16Ga0.84As層(低Al組成層)と厚さ700ÅのAl0.92Ga0.16As層(高Al組成層)で構成される。また、電流ブロック層9に接する側から、Al0.16Ga0.84As層とAl0.92Ga0.16As層が交互に19周期積層されている。このときの、p型不純物としては、C(炭素)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1018〜3×1019cm−3に形成される。
p型コンタクト層11は、例えば、厚さ500ÅのGaAs層で構成される。また、p型ドーパントとして炭素(C)が用いられ、炭素ドープのキャリア濃度は、1×1019〜7×1019cm−3に形成される。p型コンタクト層11をアルミニウムを含まないp型GaAsにより構成することにより、p電極14のコンタクト抵抗を下げることができる。
なお、一例として、メサ領域のメサ径は約30μmに、p型電流ブロック層9の低抵抗領域9bの径は約10μmに作製することができる。
上記DBR層について、説明しておく。n側多層膜反射層4を例にとると、第1反射膜(本実施例では低Al組成膜)と第2反射膜(本実施例では高Al組成膜)とで構成される複数の界面からの反射光同士の干渉現象を利用するもので、異なる界面から反射されてくる光の位相を360度ずらせるようにして、互いに強め合うようにし、反射光の強度をきわめて高くするものである。このように動作させるためには、第1反射膜の屈折率をn1、第2反射膜の屈折率をn2とし、レーザ共振器内の発振させたいレーザ光の波長をλとすると、第1反射膜の膜厚は、λ/n1で決定され、第2反射膜の膜厚は、λ/n2で決定される。p型多層膜反射層2、p型多層膜反射層10、i型多層膜反射層3における第1反射膜と第2反射膜についても上記と同様のことが言える。
図2(a)は、図1(a)と同様、p型基板を用いているが、受光部となるフォトダイオードを、共振器の上部半導体反射ミラー内、すなわちレーザ光の出射側の半導体反射ミラー内に作製した構造となっている。図1(a)と同じ符号を付した層は、図1(a)と同じものを示すので、具体的な説明は省略する。
基板1上に、p型多層膜反射層2、p型電流ブロック層9、p型スペーサ層8、p型クラッド層7、活性層6、n型クラッド層5、n型多層膜反射層4、i型多層膜反射層3、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11が積層されている。また、n型多層膜反射層4の一部から、i型多層膜反射層3、p型多層膜反射層10、p型コンタクト層11までは、円筒状にメサエッチングされたメサ領域を形成している。
メサエッチングされて露出したn型多層反射膜4の上に環状の共通電極13が形成される。また、円筒状のメサ領域の最上部に形成されたp型コンタクト層11上には、中央部に開口部を有する環状のp電極14が形成されている。また、基板1の裏面には、裏面電極12が形成されている。p型電流ブロック層9は、酸化された環状の高抵抗領域9aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域9bとで構成される。なお、レーザ光の出射方向は、図2(a)の矢印に示されるように、上側である。
レーザ素子に流れる電流は、p型多層膜反射層2からn型多層膜反射層4に向かって流れるため、活性層6の下側にp型電流ブロック層9を設けている。
ここで、光学的には、図のRで示される範囲が面発光レーザ部であり、活性層6を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。下部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層2で、上部半導体反射ミラーはn型多層膜反射層4とi型多層膜反射層3とp型多層膜反射層10で構成されている。すなわち、従来では、上部部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層だけで構成されていたが、本実施例では、多層膜反射層の構造をPIN接合に形成している。
i型多層膜反射層3は、光吸収層に相当するもので、光電変換作用により光を電流に変換する。光学的には、共振器の上部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部(フォトダイオード)が形成された構造となっている。
一方、電気回路的には、n型多層膜反射層4、i型多層膜反射層3、p型多層膜反射層10で、受光素子(PD)を構成している。一方、n型多層膜反射層4〜p型電流ブロック層9、及びp型多層膜反射層2までで、レーザ素子(VCSEL)を構成している。受光素子は、n型多層膜反射層4、i型多層膜反射層3、p型多層膜反射層10が順に積層されたPIN型フォトダイオードにより構成され、i型多層膜反射層3が光吸収層に相当する。
また、図2(a)のi型多層膜反射層3を取り除いて、n型多層膜反射層4上にp型多層膜反射層10が積層されたPN接合型のフォトダイオードとしても良い。この場合は、p型多層膜反射層10とn型多層膜反射層4のPN接合領域に空乏層が発生し、この空乏層により光を検出することができる。
以上のように、図2(a)では、面発光レーザ部の共振器を構成する上部半導体反射ミラー内に、p型多層膜反射層、i型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたpPIN接合型のフォトダイオード、又は、p型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたPN接合型のフォトダイオードを構成している。
図2(b)は、共通電極13が接地されたとした場合における図2(a)の面発光半導体レーザ装置の電気回路構成を示す。レーザ光の出射側に形成された受光素子(PD)と基板側に形成されたレーザ素子(VCSEL)とは直列に接続され、接地された共通電極13に、VCSELのカソード及びPDのカソードが接続された回路となる。裏面電極12から共通電極13の方向にレーザ駆動電流が流されると、面発光レーザ部の共振器内でレーザ光が発振し、レーザ光が出力される。また、共振器内のレーザ光の一部をi型多層膜反射層3で吸収することにより検出し、p電極14から検出電流として取り出される。
図1(a)の構造と図2(a)の構造を比較した場合、図2(a)のように、レーザ光の出射側の半導体反射ミラー内にレーザ光を検出するフォトダイオードを作製すると、出射光の一部が検出用のフォトダイオードに吸収されてしまう割合が大きくなるため、レーザ光出力を高く維持したい場合は、図1(a)の構造の方が望ましい。
図3(a)では、n型GaAs基板等のn型の基板21(導電性基板)を用いた場合の面発光半導体レーザ装置の構成を示す。n型の基板21上に、n型多層膜反射層22、i型多層膜反射層23、p型多層膜反射層24、p型電流ブロック層25、活性層26、n型多層膜反射層27が積層されている。また、p型多層膜反射層24の一部から、p型電流ブロック層25、活性層26、n型多層膜反射層27までは、円筒状にメサエッチングされたメサ領域を形成している。
メサエッチングされて露出したp型多層反射膜24の上に環状の共通電極29が形成される。また、円筒状のメサ領域の最上部に形成されたn型多層膜反射層27上には、中央部に開口部を有する環状のn電極30が形成されている。また、基板21の裏面には、裏面電極28が形成されている。p型電流ブロック層25は、酸化された環状の高抵抗領域25aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域25bとで構成される。なお、レーザ光の出射方向は、図3(a)の矢印に示されるように、上側である。
また、必要最小限の構成のみを例示しているため、p型スペーサ層、p型クラッド層、n型クラッド層等は、省略して記載している。また、n型層とはオーミックコンタクトを取りやすいために、電極30とn型多層膜反射層27との間には、特にコンタクト層は設けられていない。図示はしていないが、共通電極29のコンタクト抵抗を低減するために、p型多層膜反射層24と共通電極29との間にコンタクト層を設けるようにしても良い。
ここで、n型多層膜反射層27の最上層からn型多層膜反射層22の最下層までの間で、面発光レーザ部の共振器を構成している。レーザ素子に流れる電流は、p型多層膜反射層24からn型多層膜反射層27に向かって流れるため、活性層26の下側にp型電流ブロック層25を設けている。
また、n型多層膜反射層22、i型多層膜反射層23、p型多層膜反射層24、n型多層膜反射層27は、いずれも、AlGaAs混晶よりなる多層構造を有するDBR層(ブラッグ反射層)で構成される。n型多層膜反射層22及びn型多層膜反射層27は図1(a)のn型多層膜反射層4と、i型多層膜反射層23は図1(a)のi型多層膜反射層3と、p型多層膜反射層24は図1(a)のp型多層膜反射層10等と同様な成分、キャリア濃度により構成することができる。また、活性層26、p型電流ブロック層25についても、活性層6及びp型電流ブロック層9と同様に構成することができる。
ここで、光学的には、図のRで示される範囲が面発光レーザ部であり、活性層26を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。上部半導体反射ミラーはn型多層膜反射層27で、下部半導体反射ミラーはn型多層膜反射層22とi型多層膜反射層23とp型多層膜反射層24で構成されている。すなわち、下部半導体反射ミラーにおける多層膜反射層の構造をPIN接合に形成している。
i型多層膜反射層23は、光吸収層に相当するもので、光電変換作用により光を電流に変換する。光学的には、共振器の下部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部(フォトダイオード)が形成された構造となっている
一方、電気回路的には、p型多層膜反射層24〜n型多層膜反射層27までで、レーザ素子(VCSEL)を構成している。一方、p型多層膜反射層24〜n型多層膜反射層22までで、受光素子(PD)を構成している。受光素子は、n型多層膜反射層22、i型多層膜反射層23、p型多層膜反射層24が順に積層されたPIN型フォトダイオードにより構成され、i型多層膜反射層23が光吸収層に相当する。
また、図3(a)のi型多層膜反射層23を取り除いて、n型多層膜反射層22上にp型多層膜反射層24が積層されたPN接合型のフォトダイオードとしても良い。この場合は、p型多層膜反射層24とn型多層膜反射層22のPN接合領域に空乏層が発生し、この空乏層により光を検出することができる。
以上のように、図3(a)では、面発光レーザ部の共振器を構成する下部半導体反射ミラー内に、p型多層膜反射層、i型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたpPIN接合型のフォトダイオード、又は、p型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたPN接合型のフォトダイオードを構成している。
図3(b)は、共通電極29が接地されたとした場合における図3(a)の面発光半導体レーザ装置の電気回路構成を示す。レーザ光の出射側に形成されたレーザ素子(VCSEL)と基板側に形成された受光素子(PD)は直列に接続され、接地された共通電極29に、VCSELのアノード及びPDのアノードが接続された回路となる。共通電極29からn電極30の方向にレーザ駆動電流が流されると、面発光レーザ部の共振器内でレーザ光が発振し、レーザ光が出力される。また、共振器内のレーザ光の一部をi型多層膜反射層23で吸収することにより検出し、裏面電極28から検出電流として取り出される。
図4(a)は、図3(a)と同様、n型基板を用いているが、受光部となるフォトダイオードを、共振器の上部半導体反射ミラー内、すなわちレーザ光の出射側の半導体反射ミラー内に作製した構造となっている。図3(a)と同じ符号を付した層は、図3(a)と同じものを示すので、具体的な説明は省略する。
基板21には、n型GaAs基板等のn型基板が用いられる。基板21上に、n型多層膜反射層22、活性層26、p型電流ブロック層25、p型多層膜反射層24、i型多層膜反射層23、n型多層膜反射層27が積層されている。また、p型多層膜反射層24の一部から、i型多層膜反射層23、n型多層膜反射層27までは、円筒状にメサエッチングされたメサ領域を形成している。メサエッチングされて露出したp型多層反射膜24上に環状の共通電極29が形成される。また、円筒状のメサ領域の最上部に形成されたn型多層膜反射層27上には、中央部に開口部を有する環状のn電極30が形成されている。また、基板21の裏面には、裏面電極28が形成されている。p型電流ブロック層25は、酸化された環状の高抵抗領域25aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域25bとで構成される。なお、レーザ光の出射方向は、図4(a)の矢印に示されるように、上側である。
n型多層膜反射層22の最下層からn型多層膜反射層27の最上層までの間で、面発光レーザ部の共振器を構成している。レーザ素子に流れる電流は、p型多層膜反射層24からn型多層膜反射層22に向かって流れるため、活性層26の上側にp型電流ブロック層25を設けている。
ここで、光学的には、図のRで示される範囲が面発光レーザ部であり、活性層26を半導体反射ミラーで挟んだ共振器により構成される。下部半導体反射ミラーはn型多層膜反射層22で、上部半導体反射ミラーはp型多層膜反射層24とi型多層膜反射層23とn型多層膜反射層27で構成されている。すなわち、上部半導体反射ミラーにおける多層膜反射層の構造をPIN接合に形成している。
i型多層膜反射層23は、光吸収層に相当する。光学的には、共振器の上部半導体反射ミラー内にPIN接合構造を有する受光部(フォトダイオード)が形成された構造となっている。
一方、電気回路的には、p型多層膜反射層24、i型多層膜反射層23、n型多層膜反射層27までで、受光素子(PD)を構成している。また、n型多層膜反射層22、活性層26、p型電流ブロック層25、p型多層膜反射層24までで、レーザ素子(VCSEL)を構成している。受光素子は、p型多層膜反射層24、i型多層膜反射層23、n型多層膜反射層27が順に積層されたPIN型フォトダイオードにより構成され、i型多層膜反射層23が光吸収層に相当する。
また、図4(a)のi型多層膜反射層23を取り除いて、p型多層膜反射層24上にn型多層膜反射層27が積層されたPN接合型のフォトダイオードとしても良い。この場合は、p型多層膜反射層24とn型多層膜反射層27のPN接合領域に空乏層が発生し、この空乏層により光を検出することができる。
以上のように、図4(a)では、面発光レーザ部の共振器を構成する上部半導体反射ミラー内に、p型多層膜反射層、i型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたpPIN接合型のフォトダイオード、又は、p型多層膜反射層、n型多層膜反射層が順に積層されたPN接合型のフォトダイオードを構成している。
図4(b)は、共通電極29が接地されたとした場合における図4(a)の面発光半導体レーザ装置の電気回路構成を示す。レーザ光の出射側に形成された受光素子(PD)と基板側に形成されたレーザ素子(VCSEL)は直列に接続され、接地された共通電極29に、VCSELのアノード及びPDのアノードが接続された回路となる。共通電極29から裏面電極28の方向にレーザ駆動電流が流されると、面発光レーザ部の共振器内でレーザ光が発振し、レーザ光が出力される。また、共振器内のレーザ光の一部をi型多層膜反射層23で吸収することにより検出し、n電極30から検出電流として取り出される。
図5は、図1(a)の構成とほぼ同じであるが、p型コンタクト層11の形成位置とp電極14の形成位置が図1(a)とは異なる。図5では、p型多層膜反射層10の形成の途中で、p型コンタクト層11を周辺部分に環状に形成し、中央部分のp型多層膜反射層の形成を再び継続させるものとなっている。p型多層膜反射層10の途中までは、MOCVD法で形成し、残りのp型多層膜反射層をMBE法等の他のエピタキシャル成長法により作製する場合の構造として考えられる。また、環状に形成されたp型コンタクト層11上に、環状のp電極14が形成される。
図6は、図2(a)の構成とほぼ同じであるが、p型多層膜反射層2上にp型コンタクト層16を環状に設け、p型コンタクト層16上に電流取り出し電極15を環状に形成し、基板1の裏面に電流取り出し電極15が形成されていない点が図2(a)とは異なる。図6では、基板1が絶縁基板の場合の構造例を示しており、絶縁基板の裏面からはレーザ光の検出電流を取り出すことができないので、p型多層膜反射層2上に環状のp型コンタクト層16を設け、p型コンタクト層16上に環状の電流取り出し電極15を設けたものである。
図7は、図6の構成とほぼ同じであるが、p型コンタクト層11の形成位置とp電極14の形成位置が図6とは異なる。図7では、p型多層膜反射層10の形成の途中で、p型コンタクト層11を周辺部分に環状に形成し、中央部分のp型多層膜反射層の形成を再び継続させるものとなっている。これは、図5と同様、p型多層膜反射層10の途中までは、MOCVD法で形成し、残りのp型多層膜反射層をMBE法等の他のエピタキシャル成長法により作製する場合の構造として考えられる。また、環状に形成されたp型コンタクト層11上に、環状のp電極14が形成される。
次に、例えば、基板1にp型GaAs基板を用いた図1(a)の構造の面発光半導体レーザ装置を用い、レーザ駆動電流の値を変化させて出力されたレーザ光の測定を行うとともに、面発光半導体レーザ装置内に形成された受光部(フォトダイオード)によりレーザ光を検出したときの検出電流を測定した。これらのデータは、一体型という表示で示されている。
一方、従来の面発光半導体レーザ装置、すなわち、内部にレーザ光検出用の受光部を持たないタイプの面発光半導体レーザ装置についても、同様にレーザ装置内部に流す電流の値を変化させたときのレーザ光出力を測定した。これを通常型という表示で示している。通常型の面発光半導体レーザ装置は、n型GaAs基板上に、各層をAlGaAs系の半導体で形成した積層構造を用いた。
図9に測定結果を示す。横軸は面発光半導体レーザ装置のレーザ駆動電流を、左側の縦軸はレーザ光出力のパワー(mW)を、右側の縦軸はフォトダイオードの検出電流(μA)を示す。通常型に比べて、一体型の方が、若干、光出力が低下していることがわかる。これは、面発光半導体レーザ装置の共振器を構成する半導体反射ミラー内にフォトダイオードを形成して、レーザ光の一部を吸収して検出しているためである。駆動電流が増加すると、光出力も増大するため、検出電流は、光出力に対応して増加している。
図10は、レーザの電圧−電流特性を示す。通常型も一体型も電圧変動は発生していないことがわかる。
次に、図1(a)の構造において、光吸収層の厚みは同じで、活性層から光吸収層までの距離が異なる面発光半導体レーザ装置を比較した。すなわち、図1(a)の活性層6と光吸収層に相当するi型多層膜反射層3までの距離を変更した。具体的には、構造Aとして、図1(a)において、n型多層膜反射層4は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に10周期積層し、i型多層膜反射層3は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に20周期積層し、p型多層膜反射層2は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に10周期積層した構造体とした。また、構造Bとして、図1(a)において、n型多層膜反射層4は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に15周期積層し、i型多層膜反射層3は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に20周期積層し、p型多層膜反射層2は低Al組成膜と高Al組成膜とを交互に5周期積層した構造体とした。
このように、n型多層膜反射層4とi型多層膜反射層3とp型多層膜反射層2を合計した積層周期は、構造A及び構造Bともに40周期とし、全体の長さは同じに構成し、n型多層膜反射層4の膜厚を変えることにより、活性層から光吸収層までの距離が異なるようにした。また、上記以外の各層の膜厚は、構造Aと構造Bとで同じに作製した。
構造Aと構造Bのレーザ駆動電流とレーザ光出力の関係、及びレーザ駆動電流とレーザ光検出電流の関係を図11に示す。活性層から光吸収層までの距離は、構造Aの方が構造Bよりも近い。このため、レーザ発振前の自然放出光の吸収が構造Aの方がより大きくなり、レーザ光が出力されるまでに要する電流が大きくなるので、構造Aについて、しきい電流の増加が見られる。
図12は、構造Aと構造Bについて、電圧−電流特性を示す。電圧−電流特性は、構造Aと構造Bとでほとんど相違はない。
次に、本発明の面発光半導体レーザ装置の製造方法を説明する。まず、各化合物半導体層のエピタキシャル成長は、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)で行われる。エピタキシャル条件は、例えば、圧力30〜80torr、温度520〜700℃である。また、AlGaAs系の化合物半導体を作製するには、材料として、AlGaAsのAs成分を構成するためのガスとしてAsH3(アルシン)を、Ga成分を構成するためのガスとしてTMG(トリメチルガリウム:Ga(CH3)3)又はTEG(トリエチルガリウム:Ga(C2H5)3)を、Al成分を構成するためのガスとしてTMA(トリメチルアルミニウム:Al(CH3)3)を用いる。
また、n型又はp型の半導体を作製するために、n型のドーパントとしてSiH4(シラン)ガスを、p型ドーパントとしてCBr4(四ブロム化炭素)ガスを用いる。なお、キャリアガスは水素を用いる。
例えば、SiドープのAlGaAs層のエピタキシャル成長を例示する。まず、基板を680℃に加熱する。圧力を35torrにし、TMGまたはTEG、TMA、AsH3、SiH4を水素雰囲気で流す。このとき、TMAとTMGの比率でAl組成を制御し、SiH4の量でドーピング濃度を制御することができる。
このように、材料の元となるガスの流量比率、p型不純物又はn型不純物の元となるガスの流量等を変えることで、組成比率やドーピング濃度が異なる化合物半導体層を作製することができる。
図13は、p型基板上に各化合物半導体層を形成して、例えば、図1(a)の面発光半導体レーザ装置を作製する方法を示す。上記のように、MOCVD法により、図1(a)の構造のp型の基板1上にp型多層膜反射層2〜p型コンタクト層11までを積層する(図13(a))。なお、図13では、すべての半導体層を記載するのではなく、主要な半導体層部分のみ例示している。活性層6が上部半導体反射ミラー50と下部半導体反射ミラーとで挟まれており、上部半導体反射ミラー50と下部半導体反射ミラーとの間で共振器を構成している。上部半導体反射ミラー50上にはp型コンタクト層11が形成される。
図13(b)のように、メサエッチングによりメサ領域を形成する。次に、図13(c)のように、水蒸気をメサ領域の周辺に導入し、p型電流ブロック層9の周辺部を酸化し、酸化された環状の高抵抗領域9aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域9bを形成する。図13(d)では、保護膜をメサ領域の上面及び側面、下部半導体反射ミラー51の表面に形成する。図13(e)で、電極を形成するための接触領域を確保するために、保護膜をエッチングする。
次に、エッチングされた領域に、共通電極13を蒸着し(図13(f))、この蒸着された共通電極13をシンター(熱処理)する(図13(g))。その後、p電極14を蒸着により形成し、共通電極13上にパッド電極18を形成する(図13(h))。次に、p型の基板1の裏面をラッピングにより研磨し、p型の基板1の裏面に電流取り出し電極12を蒸着により形成する(図13(i))。
次に、図14は、n型基板上に各化合物半導体層を形成して、例えば、図3(a)の面発光半導体レーザ装置を作製する方法を示す。上記のように、MOCVD法により、図3(a)の構造のn型基板21上にn型多層膜反射層22〜n型多層膜反射層27までを積層する(図14(a))。なお、図14でも、すべての半導体層を記載するのではなく、主要な半導体層部分のみ例示している。活性層26が上部半導体反射ミラー50と下部半導体反射ミラー51とで挟まれており、上部半導体反射ミラー50と下部半導体反射ミラー51との間で共振器を構成している。
図14(b)のように、メサエッチングによりメサ領域を形成する。次に、図14(c)のように、水蒸気をメサ領域の周辺に導入し、p型電流ブロック層25の周辺部を酸化し、酸化された環状の高抵抗領域25aと、酸化されていない中央部の低抵抗領域25bを形成する。図14(d)では、保護膜をメサ領域の上面及び側面、下部半導体反射ミラー51の表面に形成する。図14(e)で、電極を形成するための接触領域を確保するために、保護膜をエッチングする。
次に、エッチングされた領域に、n電極30を蒸着により形成する(図14(f))。図14(g)では、n型基板1の裏面をラッピングにより研磨し、n型基板21の裏面に裏面電極28を蒸着により形成する。次に、この蒸着されたn電極30及び裏面電極28をシンター(熱処理)する(図14(h))。その後、p型の共通電極29を蒸着により形成し、n電極30上にパッド電極32を蒸着する(図14(i))。
図13、14のように、導電性基板を用い、下部半導体反射ミラーにp型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部を形成した場合は、電流ブロック層を酸化するためのメサエッチングを1回行うだけで、共通電極等の電極も形成することができ、面発光半導体レーザ装置の作製が簡単になる。
本発明の面発光半導体レーザ装置は、光ディスクやレーザプリンタ、レーザディスプレイ等の光源に用いることができる。
1 基板
2 p型多層膜反射層
3 i型多層膜反射層
4 n型多層膜反射層
5 n型クラッド層
6 活性層
7 p型クラッド層
8 p型スペーサ層
9 p型電流ブロック層
9a 高抵抗領域
9b 低抵抗領域
10 p型多層膜反射層
11 p型コンタクト層
12 裏面電極
13 共通電極
14 p電極
2 p型多層膜反射層
3 i型多層膜反射層
4 n型多層膜反射層
5 n型クラッド層
6 活性層
7 p型クラッド層
8 p型スペーサ層
9 p型電流ブロック層
9a 高抵抗領域
9b 低抵抗領域
10 p型多層膜反射層
11 p型コンタクト層
12 裏面電極
13 共通電極
14 p電極
Claims (7)
- 活性層を挟んで配置された第1半導体反射ミラー及び第2半導体反射ミラーと、
前記第1半導体反射ミラーと第2半導体反射ミラーとの間で構成される共振器とを備えた面発光レーザ部を有し、
前記第1半導体反射ミラー内又は第2半導体反射ミラー内に、p型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部が形成されていることを特徴とする面発光半導体レーザ装置。 - 前記第1半導体反射ミラー、第2半導体反射ミラー、p型半導体反射層、i型半導体反射層、n型半導体反射層は、いずれもブラッグ反射層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光半導体レーザ装置。
- 前記活性層に注入する電流を狭窄するための電流ブロック層が前記共振器内に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の面発光半導体レーザ装置。
- 前記共振器は基板上に形成されており、前記基板とは反対側に位置する第1半導体反射ミラー又は第2半導体反射ミラーからレーザ光が出射されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の面発光半導体レーザ装置。
- 前記受光部は、前記活性層よりも前記基板側に設けられた第1半導体反射ミラー又は第2半導体反射ミラー内に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の面発光半導体レーザ装置。
- 前記発光部における活性層に電流を流すため、及び前記受光部で検出した電流を取り出すために使用される共通電極が、前記受光部が形成されている第1半導体反射ミラー又は第2半導体反射ミラー上に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の面発光半導体レーザ装置。
- 活性層を下部半導体反射ミラー及び上部半導体反射ミラーで挟んだ共振器を有する面発光半導体レーザ装置の製造方法であって、
基板上に、反射p型半導体反射層とn型半導体反射層との接合体又はp型半導体反射層とi型半導体反射層とn型半導体反射層の接合体による受光部で構成された下部半導体反射ミラー、活性層、活性層の下側又は上側に配置される電流ブロック層、上部半導体反射ミラーを少なくとも形成する第1工程と、
前記第1工程の後、前記上部半導体反射ミラーから前記電流ブロック層までを少なくともメサエッチングする第2工程と、
前記メサエッチングの後、前記電流ブロック層の周辺から中心部に向かって酸化させる第3工程とを備えたことを特徴とする面発光半導体レーザ装置の製造方法。
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