JP2012193277A - 変性共役ジエン系ゴムの製造方法、変性共役ジエン系ゴム、及びゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)共役ジエン系化合物、又は共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属活性末端を有する共役ジエン系重合体と、下記一般式(1)で表される構造を有するポリシロキサン基及びオニウムになり得る基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させて、変性共役ジエン系重合体を得る工程、を含む変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
(上記一般式(1)中、R1、R2はそれぞれ独立に一価の炭素数1〜30の炭化水素基である。nは2〜1000の整数である。)
【選択図】なし
Description
一例として、(1)共役ジオレフィンあるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の(共)重合ゴムであって、(2)(共)重合体鎖に結合した第1級アミノ基とアルコキシシリル基とを有し、かつ(3)(共)重合体鎖中に2官能性以上のモノマーが共重合されているか、および/または、2官能性以上のカップリング剤で(共)重合体鎖の少なくとも一部がカップリングされている、ことを特徴とする共役ジオレフィン(共)重合ゴムが提案されている(特許文献1)。
他の例として、アルカリ金属触媒の存在下、炭化水素溶媒中で、共役ジエンモノマー、又は、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させ、アルカリ金属末端を有する活性重合体を得る工程1と、該活性重合体と、特定の式で表される化合物とを反応させて、変性重合体ゴムを得る工程2から得られる、変性ジエン系重合体ゴムが提案されている(特許文献2)。
また、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用を高め、破壊特性、耐摩耗性、低発熱性を向上させることができる変性重合体を製造する方法として、有機金属の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位にヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第一次変性反応を行い、その後さらにヒドロカルビルオキシシリル基同士の縮合反応を経由して、ヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させる第二次変性反応を行う方法が提案されている(特許文献3)。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[11]を提供するものである。
[1] (a)共役ジエン系化合物、又は共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属活性末端を有する共役ジエン系重合体と、下記一般式(1)で表される構造を有するポリシロキサン基及びオニウムになり得る基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させて、変性共役ジエン系重合体を得る工程、を含む変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[2] 上記一般式(1)中のR1及びR2が炭素数1〜30のアルキル基である前記[1]に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[3] 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物のオニウムになり得る基が、1級アミンの2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、2級アミンの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、3級アミノ基、イミノ基、ピリジル基、1級ホスフィンの2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなるリン含有基、2級ホスフィンの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなるリン含有基、3級ホスフィノ基、及び、チオールの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる硫黄含有基、からなる群より選ばれる1種以上である前記[1]または[2]に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[4] 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(2)で表されるシラン化合物である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[5] (b)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体と、オニウム生成剤を混合する工程、を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[6] 前記オニウム生成剤が、ハロゲン化ケイ素化合物、ハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化アルミニウム化合物、ハロゲン化チタン化合物、ハロゲン化ジルコニウム化合物、ハロゲン化ゲルマニウム化合物、ハロゲン化ガリウム化合物、ハロゲン化亜鉛化合物、硫酸エステル、リン酸エステル、カルボン酸、及び、スルホン酸からなる群より選ばれる1種以上である前記[5]に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[7] (c)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体と水を接触させる工程、
を含む前記[1]〜[6]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法によって得られた変性共役ジエン系ゴム。
[9] 前記[8]に記載の変性共役ジエン系ゴムと、シリカ及び/又はカーボンブラックと、架橋剤を含む、ゴム組成物。
[10] 前記[9]に記載のゴム組成物を架橋させてなる架橋ゴム組成物。
[11] 前記[10]に記載の架橋ゴム組成物からなるタイヤ。
該変性共役ジエン系ゴムを用いて製造される架橋ゴム組成物は、自動車タイヤ等の用途に用いることができ、自動車等の低燃費性能を高めることができる。
本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法は、(a)共役ジエン系化合物、又は共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属活性末端を有する共役ジエン系重合体と、後述するポリシロキサン基及びオニウムになり得る基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を反応させて、変性共役ジエン系重合体を得る工程を含むものである。
更には、官能基含有モノマーを混在させ、ポリマー中の官能基をアルカリ金属系開始剤によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラハロゲン化メチルスチレン単位を含む共重合体の官能基部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
−シクロペンチルリチウム、1,2−ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等を挙げることができる。これらの中で、n−ブチルリチウム及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
本発明に用いられるヒドロカルビルオキシシラン化合物のヒドロカルビルオキシシリル基が有するヒドロカルビルオキシ基の数は、1つ以上であり、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属活性末端を有する共役ジエン系重合体との反応性の観点から、好ましくは2つ以上である。好適なヒドロカルビルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコキシ基、炭素数1〜20のアリール基を有するアリールオキシ基、炭素数1〜20のアリル基を有するアリルオキシ基、または炭素数1〜20のアラルキル基を有するアラルキルオキシ基等を挙げることができる。なお、ヒドロカルビルオキシ基が2つ以上存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ここで、R1およびR2の一価の炭素数1〜30の炭化水素基とは、一価の炭素数1〜30のアルキル基、アリル基、アリール基、又はアラルキル基であり、好ましくはアルキル基である。nは、好ましくは5〜100、より好ましくは10〜60、特に好ましくは10〜30である。
ポリシロキサン基を導入することで、シリカとの相互作用が高まり、得られる架橋ゴム組成物の耐摩耗性が向上し、低ヒステリシスロス特性とウェットスキッド抵抗性のバランスも向上させることができる。
ここで、R7の一価の炭素数1〜30の炭化水素基とは、例えばメチル基、エチル基、炭素数3〜30の分枝鎖又は非分枝鎖の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリル基である。R10の一価の炭素数1〜30の炭化水素基とは、例えばメチル基、エチル基、炭素数3〜30の分枝鎖又は非分枝鎖の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基である。R9の二価の炭素数1〜30の炭化水素基とは分枝鎖又は非分枝鎖の飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族又は脂肪族と芳香族が混合された二価の炭素数1〜30の炭化水素基である。
ここで、R3、R4、R5の一価の炭素数1〜30の炭化水素基とは、例えば非置換か又は置換された炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の分枝鎖又は非分枝鎖の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基である。
また、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属からなる金属活性末端を有する共役ジエン系重合体と反応可能であると共に、ゴム組成物とした際にいずれも補強剤となるカーボンブラック及び/又はシリカと反応又は相互作用し、架橋ゴム組成物とした際に優れた低ヒステリシスロス特性を与える。この観点から、前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、後述の実施例に記載されていないものであっても、本発明において使用することが可能である。
なお、変性剤であるヒドロカルビルオキシシラン化合物の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法などが挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。また、ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、本明細書の段落0010に例示した共役ジエン系モノマー、段落0011に例示した芳香族ビニル化合物、段落0018に例示した炭化水素溶媒、段落0019に例示したランダマイザー等を溶媒とする溶液で添加しても良い。
変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には0〜120℃が好ましい範囲として挙げられる。更に好ましくは、20〜100℃である。温度が低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、温度が高くなると重合活性末端が失活し易くなるので、上記数値範囲内の温度が好ましい。また、変性反応における反応時間は、好ましくは1分〜5時間、更に好ましくは2分〜1時間である。
すなわち、ヒドロカルビルオキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるカップリング剤としては、(a)イソシアナート化合物及び/又はイソチオシアナート化合物、(b)アミド化合物及び/又はイミド化合物、(c)ピリジル置換ケトン化合物及び/又はピリジル置換ビニル化合物、(d)ケイ素化合物、(e)エステル化合物、(f)ケトン化合物並びに(g)スズ化合物、(h)エポキシ化合物、(i)リン酸エステル化合物、(j)酸無水物基含有化合物、(k)アリールビニル基含有化合物、並びに(l)ハロゲン化炭素基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
(b)成分であるアミド化合物又はイミド化合物としては、コハク酸アミド、フタル酸アミド、N,N,N’,N’−テトラメチルフタル酸アミド、オキサミド、N,N,N’,N’−テトラメチルオキサミド、アジピン酸ビスジメチルアミド、ポリメタクリル酸ジメチルアミドなどのアミド化合物、コハク酸イミド、N−メチルコハクイミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミドなどのイミド化合物等を好適例として挙げることができる。
(c)成分であるピリジル置換ケトン化合物又はピリジル置換ビニル化合物としては、ジベンゾイルピリジン、ジアセチルピリジン、ジビニルピリジン等を好適例として挙げることができる。
(f)成分であるケトン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラエチル(4,4’−ジアミノ)−ベンゾフェノン、N,N−ジメチル−1−アミノベンゾキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノベンゾキノン、N,N−ジメチル−1−アミノアントラキノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノアントラキノン、4,4’−ジアセチルベンゾフェノン等を好適例として挙げることができる。
(h)成分であるエポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ジグリシジル化ビスフェノールAなどの2個以上のフェニル基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル、1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエンなどのポリエポキシ化合物、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミンなどのエポキシ基含有3級アミン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミノ化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、エポキシ変性シリコーン、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油などのエポキシ基と他の官能基を有する化合物等を好適例として挙げることができる。
(j)成分である酸無水物基含有化合物としては、無水ピロメリット酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を好適例として挙げることができる。
(k)成分であるアリールビニル基含有化合物としては、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼンオリゴマー等を好適例として挙げることができる。
(l)成分であるハロゲン化炭素基含有化合物としては、トリクロロプロパン、トリブロモプロパン、テトラクロロブタン等を好適例として挙げることができる。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物と併用して、重合活性末端に反応させるこれらの化合物は、一種単独で使用することも、あるいは二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の製造方法はさらに、(b)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体と、オニウム生成剤を混合する工程を含むことができる。
工程(b)で用いられるオニウム生成剤としては、ハロゲン化ケイ素化合物、ハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化アルミニウム化合物、ハロゲン化チタン化合物、ハロゲン化ジルコニウム化合物、ハロゲン化ゲルマニウム化合物、ハロゲン化ガリウム化合物、ハロゲン化亜鉛化合物等のハロゲン化金属、硫酸エステル、リン酸エステル、炭酸エステル、硝酸エステル、弗酸、塩酸、臭酸、沃酸、硫酸、硝酸、炭酸、燐酸等の無機酸、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等の無機酸塩、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸等が挙げられる。これらは、一種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
オニウム生成剤の化合物の例としては、四塩化ケイ素、四塩化スズ、トリメチルシリルクロライド、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、四塩化チタン、チタノセンジクロライド、四塩化ジルコニウム、ジルコノセンジクロライド、四塩化ゲルマニウム、三塩化ガリウム、塩化亜鉛、硫酸ジエチル、硫酸ジメチル、ラウレス硫酸マグネシウム、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログリコール、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、マロン酸、アクリル酸、クロトン酸、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、酒石酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、β−メルカプトプロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、弗酸、塩酸、臭酸、沃酸、硫酸、硝酸、炭酸、燐酸、フッ化カリウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム等が挙げられる。
オニウム生成剤の使用量は、アニオン重合により得られた共役ジエン系重合体の活性部位に対し、1.0モル当量以上であることが好ましく、更に好ましくは、1.5モル当量以上である。1.0モル当量未満では、オニウム化が十分に進行せず、ゴムの形状保持性に劣ることがある。
オニウム生成剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法などが挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。また、オニウム生成剤は、明細書の段落0018に例示した炭化水素溶媒、明細書の段落0019に例示したランダマイザー等を溶媒とする溶液で添加しても良い。
なお、本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法においては、オニウム生成剤を加えた後、共役ジエン系重合体の製造における公知の脱溶媒(例えば、スチームストリッピング等)及び乾燥の操作により、変性共役ジエン系重合体を回収することができる。
また、本発明の製造方法は、(c)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体に水を接触させる工程をさらに含むことができる。オニウム生成剤と水を接触させることで、オニウム構造を形成し、オニウム構造を有する変性共役ジエン系ゴムを得ることができる。
オニウム生成剤と水を接触させ、オニウム構造を形成させる方法としては、特に制限はなく、例えば、(i)工程(b)の後に重合体溶液中に水を直接添加して混合する方法、(ii)工程(b)の後に、アルコール等の水及び有機溶剤の両方に溶解可能な有機溶剤に水を溶解させてなるものを重合体溶液中に添加して混合する方法、(iii)工程(b)の後のスチームストリッピングの工程で脱溶媒と同時に、重合体溶液及び/又は重合体と、水を混合する方法、が好ましく、中でも、(iii)工程(b)の後のスチームストリッピングの工程で脱溶媒と同時に、重合体溶液及び/又は重合体と、水を混合する方法が、効率的なオニウム構造形成の観点から特に好ましい。
この工程で使用される変性共役ジエン系重合体は、変性共役ジエン系重合体を調製する際に得られた重合体溶液を、脱溶媒しないまま、重合体溶液の状態で用いてもよいし、上記重合体溶液を、スチームストリッピング等により脱溶媒を行い、更に乾燥して得られた共役ジエン系重合体を、シクロヘキサン等の溶媒に再度溶解させて用いてもよい。
本発明の変性共役ジエン系ゴムは、これまでに説明した本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法によって得られた変性共役ジエン系ゴムである。このような変性共役ジエン系ゴムは、ムーニー粘度が高く、形状安定性に優れ、加工性が良好なものである。本発明の変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、30〜150であることが好ましく、40〜120であることが更に好ましい。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が30未満であると、形状安定性が低下する傾向にある。一方、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が150を超えるものであると、作業性が悪くなり、配合剤とともに混練りすることが困難になることがある。なお、ムーニー粘度が高過ぎる場合は、通常、伸展油で油展して、この範囲内とする。伸展油としては、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、さらに、IP346の方法によるPCA3質量%以下のアロマ代替油が好ましく用いられる。伸展油の使用量は任意であるが、通常は、変性共役ジエン系ゴム100質量部に対し、10〜50質量部である。使用する場合、一般的には20〜37.5質量部の配合量で用いられることが多い。また、オイルの製造工程による分類においては、T−DAE(Treated Distillate Aromatic Extract)油、T−RAE(Treated Residual Aromati Extract)油、MES(Mild Extract Solvate)油、RAE(Residual Aromatic Extract)油などが好適に使用できる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として前述の変性共役ジエン系ゴムを含むものである。以下、その詳細について説明する。
[ゴム成分]
本発明のゴム組成物中のゴム成分は、前述の変性共役ジエン系ゴムを含むものである。ゴム成分中の変性共役ジエン系ゴムの含有割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。該含有割合を20質量%以上とすれば、架橋ゴム組成物の引張強さ、引張伸び等の機械的特性、耐亀裂成長性、及び耐摩耗性をより良好なものとすることができる。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを更に含有するものであることが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF−LSに代表されるファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト、さらに、グラファイト繊維、フラーレン等を挙げることができる。また、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上であり、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、架橋ゴム組成物のグリップ性能、及び耐破壊特性の改良効果は大きくなる。なお、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。カーボンブラックは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
相溶化剤としての有機化合物の例として、エポキシ基含有化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、アルデヒド化合物、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物などが挙げられる。
これら各種の有機化合物の例としては、下記の化合物が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、酸化プロピレン、ネオペンチルグリコールシグリシジルエーテル、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸エステルなどが挙げられる。
カルボン酸化合物としては、アジピン酸、オクチル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
カルボン酸エステル化合物としては、アクリル酸エステル、アクリル酸ジエチレン、メタクリル酸エチル、オルト酢酸エステル、アセト酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、ジメチルカーボネート、p−ヒドロキシフェニル酢酸、ポリエステル系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤などが挙げられる。
ケトン化合物としては、メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトンなどが挙げられる。
エーテル化合物としては、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、ウンデシレンアルデヒド、デシルアルデヒド、バニリン、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、クミンアルデヒドなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソプロパノールアミン、N−エチルエチレンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、アミノフェノール、アニリン、3−イソプロポキシアニリン、フェニレンジアミン、アミノピリジン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、塩酸エチルアミン、塩酸−n−ブチルアミンなどが挙げられる。
水酸基含有化合物としては、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、オクタンジオール、エチレングリコール、メチルシクロヘキサノール、2−メルカプトエタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1−オクタデカノール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
なかでも、エポキシ基含有化合物、アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物が好ましい。
相溶化剤としてのシリコーン化合物の例として、ヒドロカルビルオキシシラン化合物、シロキサン化合物、アミノシラン化合物などが挙げられる。
これら各種のシリコーン化合物の例としては、下記の化合物が挙げられる。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
シロキサン化合物としては、ジメチルシロキサンオリゴマー、シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイルなどが挙げられる。
アミノシラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、アニリトリメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、トリエチルアミノシランなどが挙げられる。
なかでも、シラザン化合物、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシランが好ましい。
加硫助剤及び加工助剤としては、一般的にステアリン酸が用いられる。加硫助剤及び加工助剤の使用量は、変性共役ジエン系ゴム100質量部に対して、通常、0.5〜5質量部である。
加硫促進剤は、特に限定されないが、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、チオウレア系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸系、キサントゲン酸系の化合物が挙げられ、好ましくは2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどを挙げることができる。加硫促進剤の使用量は、変性共役ジエン系ゴム100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部であり、0.4〜4質量部であることが好ましい。
変性前の共役ジエン系重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は、変性共役ジエン系ゴムの形状安定性とゴム組成物を製造する際の作業性のバランスを維持する観点から、好ましくは1〜150万、より好ましくは5万〜100万、特に好ましくは10万〜80万である。
変性共役ジエン系ゴムのガラス転移温度は、得られる架橋ゴム組成物の低ヒステリシスロス特性とウェットスキッド抵抗性のバランスを維持する観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは−5℃以下、特に好ましくは−10℃以下である。
変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、変性共役ジエン系ゴムの形状安定性とゴム組成物を製造する際の作業性のバランスを維持する観点から、好ましくは30〜150、より好ましくは40〜120である。
変性共役ジエン系ゴムのコールドフロー値(mg/分)は、変性共役ジエン系ゴムの形状安定性の観点から、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.5以下である。
ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、タイヤを作成する際の作業性の観点から、好ましくは20〜150、より好ましくは30〜130、特に好ましくは40〜110である。
架橋ゴム組成物の引張強度(JIS K 6301、300%モジュラス)の指数は、好ましくは100以上、より好ましくは103以上である。
架橋ゴム組成物の0℃でのtanδの指数は、好ましくは125以上、より好ましくは130以上である。なお、この指数は、数値が大きいほどウェットスキッド抵抗性が大きく良好であることを示す。
架橋ゴム組成物の70℃でのtanδの指数は、好ましくは130以上、より好ましくは135以上である。なお、この指数は、数値が大きいほどヒステリシスロスが小さく、低ヒステリシスロス特性が良好であることを示す。
架橋ゴム組成物の耐摩耗性の指数(JIS K 6264、荷重10N、25℃)は、好ましくは105以上、より好ましくは107以上、特に好ましくは109以上である。
[結合スチレン含量(%)]:500MHzの1H−NMRによって求めた。
[ビニル含量(%)]:500MHzの1H−NMRによって求めた。
[ガラス転移温度(℃)]:ASTM D3418に準拠して測定した。
[変性前の重合平均分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC−8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間から、ポリスチレン換算で求めた。
(GPCの条件)
カラム;商品名「GMHHXL」(東ソー社製)2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/分
サンプル濃度;10mg/20ml
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]:JIS K6300に準拠し、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で求めた。
[コールドフロー値]:共重合体を温度50℃に保持し、圧力24.1kPaの条件で、6.35mmのオリフィスから押し出した。押し出された時点から10分後(押し出し速度が一定になった後)に、90分間、共重合体の30分毎の押し出し量(mg)を測定し、その平均値をコールドフロー値(mg/分)とした。数値が大きいほど、ゴムの形状安定性が悪く、取扱いが困難となる。
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン50.0g、スチレン125g、1,3−ブタジエン365gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(5.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
変性共役ジエン系ゴムAの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムAの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムAを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエトキシシランを用い、かつ、四塩化ケイ素の添加量を2.69mmolから3.93mmolに変更した以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムBを得た。
変性共役ジエン系ゴムBの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムBの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムBを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン10.3g、スチレン50g、1,3−ブタジエン440gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(5.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は90℃に達した。
変性共役ジエン系ゴムCの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムCの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムCを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有N−〔3−(ジメトキシシリル)−プロピル〕−N,N’−ジエチル−N’−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミンを用いた以外は実施例2と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムDを得た。
変性共役ジエン系ゴムDの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムDの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムDを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N’,N’−トリス(トリメチルシリル)−N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルジエトキシシランを用いた以外は実施例2と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムEを得た。
変性共役ジエン系ゴムEの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムEの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムEを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン(4.96mmol)の代わりにポリジメチルシロキサン含有ビス[3−(ジエトキシシリル)プロピル]トリメチルシリルアミン(2.48mmol)を用い、かつ、四塩化ケイ素の添加量を2.69mmolから2.07mmolに変更した以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムFを得た。
変性共役ジエン系ゴムFの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムFの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムFを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有3−ジエチルアミノプロピルジエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムGを得た。
変性共役ジエン系ゴムGの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムGの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムGを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有S−トリメチルシリルメルカプトプロピルジエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムHを得た。
変性共役ジエン系ゴムHの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムHの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムHを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの代わりにポリジメチルシロキサン含有3−ジフェニルフォスフィノプロピルジメトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムIを得た。
変性共役ジエン系ゴムIの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムIの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムIを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
ポリジメチルシロキサン含有N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの代わりにN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様の方法で、変性共役ジエン系ゴムSを得た。
変性共役ジエン系ゴムSの重合処方を表1に、得られた変性共役ジエン系ゴムSの性質を表2に示す。また、変性共役ジエン系ゴムSを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン50.0g、スチレン125g、1,3−ブタジエン365gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム(5.80mmol)を含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
共役ジエン系ゴムYの重合処方を表1に、得られた共役ジエン系ゴムYの性質を表2に示す。また、共役ジエン系ゴムYを用いて、表3に示す配合処方により調製したゴム組成物を加硫して、物性評価を行った。その結果を表4に示す。
温度制御装置を付属したプラストミル(内容量250cc)を使用し、一段目の混練として、充填率72%、回転数60rpmの条件で、表3に示す配合処方に従って、各実施例及び比較例で得られた変性共役ジエン系ゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、伸展油、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華を混練した。次いで、二段目の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、この配合物に硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、得られた加硫ゴム組成物について、以下のタイヤ性能を表す特性評価を実施した。
(ii)引張強度:JISK6301に従って300%モジュラスを測定した。比較例2を100とした指数で表示し、数値が大きいほど、引張強度が大きく、良好である。
(iii)0℃tanδ:加硫ゴムを測定用試料とし、動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪0.14%、角速度100ラジアン毎秒、0℃の条件で測定した。比較例2を100とした指数で表示し、数値が大きいほどウェットスキッド抵抗性が大きく良好である。
(v)耐摩耗性:加硫ゴムを測定用試料とし、DIN摩耗試験機(東洋精機社製)を使用し、JIS K 6264に準拠し、荷重10Nで25℃にて測定した。比較例2を100とした指数で表示し、数値が大きいほど耐摩耗性が良好である。
比較例1、2の変性共役ジエン系ゴムS、Yの物性評価結果から、本発明の工程(a)がウェットスキッド抵抗性と低ヒステリシスロス特性のバランス改良に重要であることが確認できる。
Claims (11)
- 上記一般式(1)中のR1及びR2が炭素数1〜30のアルキル基である請求項1に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
- 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物のオニウムになり得る基が、1級アミンの2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、2級アミンの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる窒素含有基、3級アミノ基、イミノ基、ピリジル基、1級ホスフィンの2つの水素原子が2つの保護基によって置換されてなるリン含有基、2級ホスフィンの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなるリン含有基、3級ホスフィノ基、及び、チオールの1つの水素原子が1つの保護基によって置換されてなる硫黄含有基、からなる群より選ばれる1種以上である請求項1または2に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
- 前記ヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(2)で表されるシラン化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
- (b)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体と、オニウム生成剤を混合する工程、を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
- 前記オニウム生成剤が、ハロゲン化ケイ素化合物、ハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化アルミニウム化合物、ハロゲン化チタン化合物、ハロゲン化ジルコニウム化合物、ハロゲン化ゲルマニウム化合物、ハロゲン化ガリウム化合物、ハロゲン化亜鉛化合物、硫酸エステル、リン酸エステル、カルボン酸、及び、スルホン酸からなる群より選ばれる1種以上である請求項5に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
- (c)工程(a)で得られた変性共役ジエン系重合体と水を接触させる工程、
を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の変性共役ジエン系ゴムの製造方法によって得られた変性共役ジエン系ゴム。
- 請求項8に記載の変性共役ジエン系ゴムと、シリカ及び/又はカーボンブラックと、架橋剤を含む、ゴム組成物。
- 請求項9に記載のゴム組成物を架橋させてなる架橋ゴム組成物。
- 請求項10に記載の架橋ゴム組成物からなるタイヤ。
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