JP2012192444A - 歯車の製造方法および歯車の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に製造することができる歯車の製造方法および歯車の製造装置を提供すること。
【解決手段】ダイス13内に形成される第1成形空間A1内で第1加工歯車W1が鍛造成形され、次いで、第1加工歯車W1がダイス13内に形成される第2成形空間に移送される。その後、第2成形空間内で第2加工歯車が鍛造成形され、次いで、第2成形空間内で第2加工歯車の中央部分が打ち抜かれる。このように、同一の金型内で、第1加工歯車W1の鍛造、第2加工歯車の鍛造、および、第2加工歯車の打ち抜きが行われるので、必要な型数を減少させることができ、型費を低減することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、歯車の製造方法および歯車の製造装置に関する。
従来から鍛造により歯車を製造する方法が知られている。特許文献1は、冷間鍛造により中実材から歯車を成形する工法を開示する。特許文献1によれば、四工程を経て歯車が製造される。図11は、この製造方法を上記四工程に分けて示した図である。
まず、第1工程では、図11(a)に示すように、第1ダイス210のキャビティ211内に歯車素材Wが投入され、投入された歯車素材Wがパンチ213により加圧される。ここで、第1ダイス210のキャビティ211の側周壁には、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭を有する外歯を成形し得るような内歯212が形成されている。したがって、このキャビティ211内で歯車素材Wがパンチ213に加圧されることによって、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭の外歯を有する第1加工歯車W1が鍛造成形される。また、この第1工程において、パンチ213の加圧によっては第1加工歯車W1の歯部に十分に材料が流動しない。したがって、第1加工歯車W1の歯部の図示上下端部(歯幅端部)に欠肉Sが生じる。
第2工程では、図11(b)に示すように、第2ダイス220のキャビティ221内に第1加工歯車W1が投入され、投入された第1加工歯車W1がパンチ223により加圧される。ここで、第2ダイス220のキャビティ221の側周壁には、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭を有する外歯を成形し得るような内歯222が形成されている。したがって、このキャビティ221内で第1加工歯車W1がパンチ223に加圧されることによって、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい外歯を有する第2加工歯車W2が鍛造成形される。また、第2ダイス220のキャビティ221下方に円柱状の空隙Cが設けられている。この空隙Cにより材料逃げの空間が形成される。よって、キャビティ221内でパンチ223により第1加工歯車W1が加圧されたときに材料流動によりこの空隙C内に材料が流動して突起部Tが形成される。また、このようにして材料流動が促される結果、第1加工歯車W1にて生じていた歯部の欠肉部分に材料が回り込む。これにより、第2加工歯車W2の歯部の欠肉が防止される。
第3工程では、図11(c)に示すように、底面中央に透孔232が連通したキャビティ231を有する第3ダイス230の前記キャビティ231に第2加工歯車W2が載置される。そして、載置された第2加工歯車W2の略中央部分がその一端面から他端面にかけてパンチ233で打ち抜かれる。これにより、第2工程で形成された突起部Tが取り除かれるととも中央部分に貫通孔Hが形成された第2加工歯車W2’が成形される。
第4工程では、図11(d)に示すように、第4ダイス240のキャビティ241上に第3工程を経た第2加工歯車W2’が載置される。また、キャビティ241の下部には、第2加工歯車W2’の外歯の歯形輪郭が目的とする歯形輪郭となるように歯形部分をしごくためののしごき部244が形成されている。また、載置された第2加工歯車W2’の中央に形成された貫通孔Hにマンドレル245が挿入されることにより、第2加工歯車W2’がキャビティ241にて位置決めされる。そして、位置決めされた第2加工歯車W2’がパンチ243で押圧される。この押圧力により第2加工歯車W2’がしごき部244を通過することで、第2加工歯車W2’の歯部がしごかれる。その結果、目的とする歯形輪郭を有する外歯が形成された最終歯車W3が成形される。
特許第2913522号
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の方法によれば、最終歯車W3を得るまでに第1工程〜第4工程までを要し、且つ、それぞれの工程に専用のダイスが用いられる。このため最低でも4個の型が必要である。よって、型費が増大する。また、各工程が別々の型を用いて行われるために、各工程間でのワークの搬送を要する。このため生産時間に搬送時間を考慮しなければならないので、生産性が悪化する。さらに、搬送するための作業者が必要であり、製造コストが増大する。また、第3工程にて第2加工歯車W2に形成された貫通孔Hの内壁には、打ち抜きによって破断面が形成されている可能性が高い。破断面が形成された場合、次の第4工程でマンドレルを挿入して第2加工歯車W2’を位置決めする際における位置決め精度が悪化する。さらに、第4工程で第2加工歯車W2’にマンドレルを挿入した際に、マンドレルと第2加工歯車W2’との間に隙間が形成されるので、第2加工歯車W2’をしごく際にこの隙間に材料が流れる。このため欠肉を生じる可能性が高い。このように、従来において、鍛造により歯車を製造する場合には、種々の問題が発生していた。
本発明は、従来よりも安価に製造することができる歯車の製造方法および歯車の製造装置を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、目的とする歯形輪郭(K3)よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭である第1歯形輪郭(K1)を有する第1外歯(L1)を成形するための第1内歯(131)が側周壁に形成されている第1凹部(13a)と、前記第1歯形輪(K1)郭よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭である第2歯形輪郭(K2)を有する第2外歯(L2)を成形するための第2内歯(132)が側周壁に形成され、前記第1凹部(13a)に同軸的に連通して設けられた第2凹部(13b)とが形成されているダイス(13)と、前記第1内歯(131)に噛合可能な外歯(161)が側周に形成され、その先端面(16a)が前記第2凹部(13b)側に向いた状態で前記第1凹部(13a)内をその軸方向に移動し得るように配設された第1パンチ(16)と、前記第2内歯(132)に噛合可能な外歯(141)が側周に形成され、その先端面(14a)が前記第1凹部(13a)に向いた状態で前記第2凹部(13b)内をその軸方向に移動し得るように、前記第1パンチ(16)と対向して配設された第2パンチ(14)と、前記第2パンチ(14)の先端面(14a)から突出可能に配設されたピン部材(15)と、を備える金型(10)の前記第1凹部(13a)内の所定の位置で前記第1パンチ(16)が固定された状態で、前記第1パンチ(16)の先端面(16a)と前記第1凹部(13a)を形成する側周壁とに囲まれる第1成形空間(A1)に歯車素材(W)を投入する投入工程と、前記第2パンチ(14)の先端面(14a)を前記第2凹部(13b)の前記第1凹部(13a)に連通している側の端面まで移動させた後に、前記第2パンチ(14)および前記ダイス(13)を前記第1パンチ(16)に対して、あるいは、前記第1パンチ(16)を前記第2パンチ(14)および前記ダイス(13)に対して、前記第1成形空間(A1)の軸方向長さが短くなる方向に相対移動させて前記第1成形空間(A1)内の歯車素材(W)を加圧することにより、前記第1外歯(L1)が形成された第1加工歯車(W1)を鍛造成形する第1加工工程と、前記第1パンチ(16)の先端面(16a)および前記第2パンチ(14)の先端面(14a)で前記第1加工歯車(W1)を挟んだ状態のまま、前記第1パンチ(16)および前記第2パンチ(14)を前記第2凹部(13b)側に軸方向移動することにより、前記第1加工歯車(W1)を前記第1パンチ(16)の先端面(16a)と前記第2パンチ(14)の先端面(14a)と前記第2凹部(13b)を形成する側周壁とに囲まれる第2成形空間(A2)に移送する移送工程と、前記第2パンチ(14)を前記第2成形空間(A2)の軸方向長さが短くなる方向に移動させて前記第2成形空間(A2)内の前記第1加工歯車(W1)を加圧することにより、前記第2外歯(L2)が形成された第2加工歯車(W2)を鍛造成形する第2加工工程と、前記ピン部材(15)を前記第2パンチ(14)から突出させて前記第2加工歯車(W2)の一方の端面から他方の端面にかけて前記第2加工歯車(W2)を打ち抜くことにより前記第2加工歯車(W2)に貫通孔(R1)を形成する打ち抜き工程と、を含む、歯車の製造方法を提供する。この場合、前記第2歯形輪郭(K2)は、目的とする歯形輪郭(K3)よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭であるのがよい。
また、本発明は、目的とする歯形輪郭(K3)よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭である第1歯形輪郭(K1)を有する第1外歯(L1)を成形するための第1内歯(131)が側周壁に形成されている第1凹部(13a)と、前記第1歯形輪郭(K1)よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭である第2歯形輪郭(K2)を有する第2外歯(L2)を成形するための第2内歯(132)が側周壁に形成され、前記第1凹部(13a)に同軸的に連通して設けられた第2凹部(13b)とが形成され、前記第1凹部(13a)および前記第2凹部(13b)の軸方向に移動可能に構成されたダイス(13)と、前記第1内歯(131)に噛合可能な外歯(161)が側周に形成され、その先端面(16a)が前記第2凹部(13b)に向いた状態で前記第1凹部(13a)内をその軸方向に移動し得るように配設された第1パンチ(16)と、前記第2内歯(132)に噛合可能な外歯(141)が側周に形成され、その先端面(14a)が前記第1凹部(13a)に向いた状態で前記第2凹部(13b)内をその軸方向に移動し得るように、前記第1パンチ(16)と対向して配設された第2パンチ(14)と、前記第2パンチ(14)の先端面(14a)から突出可能に配設されたピン部材(15)と、を備える金型(10)と、前記ダイス(13)を駆動させるための駆動力を発生するダイス用アクチュエータ(23)と、前記第1パンチ(16)を駆動させるための駆動力を発生する第1パンチ用アクチュエータ(26)と、前記第2パンチ(14)を駆動させるための駆動力を発生する第2パンチ用アクチュエータ(24)と、前記ピン部材(15)を駆動させるための駆動力を発生するピン部材用アクチュエータ(25)と、前記ダイス用アクチュエータ(23)、前記第1パンチ用アクチュエータ(26)、前記第2パンチ用アクチュエータ(24)、前記ピン部材用アクチュエータ(25)の駆動を制御する動作制御装置(20)と、を備える歯車の製造装置(1)であって、前記動作制御装置(20)は、前記第1凹部(13a)内の所定の位置で前記第1パンチ(16)が固定された状態で、前記第1パンチ(16)の先端面(16a)と前記第1凹部(13a)を形成する側周壁とに囲まれる第1成形空間(A1)に歯車素材(W)が投入された後に、前記第2パンチ(14)を前記第2凹部(13b)の前記第1凹部(13a)に連通している側の端面まで移動させ、その後、前記第2パンチ(14)および前記ダイス(13)を前記第1パンチ(16)に対して、あるいは、前記第1パンチ(16)を前記第2パンチ(14)および前記ダイス(13)に対して、前記第1成形空間(A1)の軸方向長さが短くなる方向に相対移動させて前記第1成形空間(A1)内の歯車素材(W)を加圧することにより、前記第1外歯(L1)が形成された第1加工歯車(W1)を鍛造成形し、次いで、前記第1パンチ(16)の先端面(16a)および前記第2パンチ(14)の先端面(14a)で前記第1加工歯車(W1)を挟んだ状態のまま、前記第1パンチ(16)および前記第2パンチ(14)を前記第2凹部(13b)側に軸方向移動することにより、前記第1加工歯車(W1)を前記第1パンチ(16)の先端面(16a)と前記第2パンチ(14)の先端面(14a)と前記第2凹部(13b)を形成する側周壁とに囲まれる第2成形空間(A2)に移送し、次いで、前記第2パンチ(14)を前記第2成形空間(A2)の軸方向長さが短くなる方向に移動させて前記第2成形空間(A2)内の前記第1加工歯車(W1)を加圧することにより、前記第2外歯(L2)が形成された第2加工歯車(W2)を鍛造成形し、次いで、前記ピン部材(15)を前記第2パンチ(14)の先端面(14a)から突出させて前記第2加工歯車(W2)の一方の端面から他方の端面にかけて前記第2加工歯車(W2)を打ち抜くことにより前記第2加工歯車(W2)に貫通孔(R1)を形成するように、各アクチュエータの動作を制御する、歯車の製造装置を提供する。
本発明によれば、第1内歯が形成された第1凹部の側周壁と第1凹部内を移動可能に配設された第1パンチの先端面とに囲まれたダイスの第1成形空間内に歯車素材が投入される。その後、この第1成形空間の軸方向長さが短くなるように第2パンチおよびダイスが第1パンチに対し、あるいは第1パンチが第2パンチおよびダイスに対し、相対的に軸方向移動する。これにより第1成形空間内の歯車素材が加圧されて、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭(第1歯形輪郭)を有する第1外歯が形成された第1加工歯車が鍛造成形される。
その後、第1パンチおよび第2パンチが第2凹部側へ軸方向移動することにより、第1パンチの先端面および第2パンチの先端面で挟まれた第1加工歯車が、第1パンチの先端面と第2パンチの先端面と第2凹部を形成する側周壁とに囲まれる第2成形空間に移送される。
第2成形空間に移送された第1加工歯車は、第2パンチが第2成形空間の軸方向長さが短くなる方向に移動されることにより加圧される。これにより、第1歯型輪郭よりも径方向および周方向に大きい第2歯形輪郭を有する第2外歯が形成された第2加工歯車が鍛造成形される。なお、第2歯形輪郭は、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭であるのがよい。
その後、ピン部材が第2パンチの先端面から突出されることにより第2加工歯車の一方の端面から他方の端面にかけて第2加工歯車が打ち抜かれる。これにより第2加工歯車に貫通孔が形成される。
このように、本発明によれば、一つの金型内で、第1加工歯車の鍛造(従来技術に示した第1工程)、第2加工歯車の鍛造(従来技術に示した第2工程)、および、第2加工歯車の打ち抜き(従来技術に示した第3工程)が行われる。従来ではこれらの工程はそれぞれ別々の型を用いて行われていた。したがって、本発明の歯車の製造方法および歯車の製造装置を用いることにより、必要な型数を減少させることができて、型費を低減することができる。さらに、打ち抜き工程までの工程が同一の型を用いて行われるために、工程間でのワークの搬送時間を低減できる。このため生産性が向上する。また、搬送するための人員を低減することができ、製造コストの増大を抑えることができる。
また、前記第1加工工程中に、前記ピン部材(15)を前記第2パンチ(14)の先端面(14a)から突出させることにより、前記第1加工歯車(W1)の一方の端面に凹部(P1)を形成するのがよい。つまり、前記第1加工工程は、第2パンチ(14)およびダイス(13)を第1パンチ(16)に対して、あるいは、第1パンチ(16)を第2パンチ(14)およびダイス(13)に対して、第1成形空間(A1)の軸方向長さが短くなる方向に相対移動させて第1成形空間(A1)内の歯車素材(W)を加圧するとともに、ピン部材(15)を第2パンチ(14)の先端面(14a)から突出させることにより、第1歯形輪郭(K1)を有する外歯(L1)が形成され且つ一方の端面に凹部(P1)が形成された第1加工歯車(W1)を鍛造成形する工程であるのがよい。これによれば、第1加工工程中に第2パンチの先端面からピン部材が突出して第1加工歯車の一方の端面に凹部が形成されることにより、この凹部を中心として径外方への材料流動が生じる。この材料流動によって、第1加工歯車の外歯部分における欠肉が減少される。
この場合、前記金型(10)は、前記第1パンチ(16)の先端面(16a)から突出可能に配設された第2のピン部材(17)をさらに備えるのがよい。そして、前記第1加工工程中に、前記第2のピン部材(17)を前記第1パンチ(16)の先端面(16a)から突出させることにより、前記第1加工歯車(W1)の他方の端面に凹部(P2)を形成するのがよい。これによれば、第1加工工程中に第2パンチの先端面からピン部材が突出して第1加工歯車の一方の端面に凹部が形成されるとともに、第1パンチの先端面からも第2のピン部材が突出して第1加工歯車の他方の端面にも凹部が形成される。したがって、第1加工工程中に、第1加工歯車の両端面に形成される凹部を中心とした径外方への材料流動が生じる。この材料流動によって、第1加工歯車の外歯部分の両端(歯幅端)部分における欠肉が減少される。
また、本発明の歯車の製造方法は、前記第2加工工程の前に行われる工程であり、前記第1加工歯車(W1)の一方の端面に形成された前記凹部(P1)の底面から前記ピン部材(15)が離間するように前記ピン部材(15)を移動させるとともに、前記第1加工歯車の他方の端面に形成された前記凹部(P2)の底面から前記第2のピン部材(17)が離間するように前記第2のピン部材(17)を移動させることにより、前記ピン部材(15)の先端部と前記第1加工歯車の一方の端面に形成された前記凹部(P1)の底面との間、および、前記第2のピン部材(17)の先端部と前記第1加工歯車(W1)の他方の端面に形成された前記凹部(P2)の底面との間に、それぞれ空隙(Q1,Q2)を形成する空隙形成工程と、をさらに含むのがよい。これによれば、ピン部材の先端部と第1加工歯車の一方の端面に形成された凹部の底面との間の空隙、および、第2のピン部材の先端部と第1加工歯車の他方の端面に形成された凹部の底面との間の空隙が、第2加工工程にて第1加工歯車が加圧されるときに材料が逃げる空間を構成する。このため第2加工工程時にこの空隙に材料が流動することにより、材料流動が促進される。材料流動が促進される結果、第2加工歯車の外歯部分にも十分に材料が回り込み、第2加工歯車の歯部の欠肉が解消される。
前記打ち抜き工程は、前記第1パンチ(16)および前記第2パンチ(14)により前記第2加工歯車(W2)を前記第2成形空間(A2)内で加圧した状態で、前記第2加工歯車(W2)を前記ピン部材(15)により打ち抜くことにより、前記第2加工歯車(W2)に貫通孔(R1)を形成するファインブランキング工程であるのがよい。これによれば、第2加工歯車の両端面を第1パンチおよび第2パンチで加圧した状態で貫通孔を打ち抜き形成するので、貫通孔の壁面に破断が生じる可能性が低い。このため、第2加工歯車の成形精度が向上する。
本発明の実施形態に係る歯車の製造装置の全体概略図である。 金型のキャビティ付近の詳細を示す断面概略図である。 投入工程を示す図である。 第1加工工程を示す図である。 移送工程を示す図である。 空隙形成工程を示す図である。 第2加工工程を示す図である。 ファインブランキング工程を示す図である。 仕上げ工程を示す図である。 歯形輪郭を示す図である。 従来の歯車の製造方法を4工程に分けて示した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る歯車の製造装置の全体概略図である。図1に示すように、この製造装置1は、金型10と、動作制御装置20とを備える。金型10は、下型ダイプレート11と、上型ダイプレート12と、ダイス13と、上パンチ(本発明の第2パンチに相当)14と、上ピン(本発明のピン部材に相当)15と、下パンチ16(本発明の第1パンチに相当)と、下ピン17(本発明の第2のピン部材に相当)とを備える。
下型ダイプレート11はダイス13を保持するプレートであり、この下型ダイプレート11の上面にダイス13が固定される。ダイス13の略中央にキャビティ13Aが形成される。上型ダイプレート12は上パンチを保持するプレートであり、この上型ダイプレート12の下面に上パンチ14が固定される。
図2は、金型10のキャビティ13A付近の詳細を示す断面概略図である。図2に示すように、ダイス13のキャビティ13Aは、第1凹部13aと第2凹部13bとを備えて構成される。第1凹部13aは略円柱形状をなし、その側周壁に第1内歯131が形成されている。第1内歯131の歯形輪郭は、本実施形態において製造すべき歯車(最終歯車W3)の外歯の歯形輪郭、すなわち目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい第1歯形輪郭を有する第1外歯を成形し得るような形状に構成されている。また、第2凹部13bも略円柱形状をなしている。第2凹部13bの側周壁に第2内歯132が形成されている。第2内歯132の歯形輪郭は、第1内歯131の歯形輪郭および、目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい第2歯形輪郭を有する第2外歯を成形し得るような形状に構成されている。
図10は、目的とする歯形輪郭K3を有する外歯L3と、第1歯形輪郭K1を有する第1外歯L1と、第2歯形輪郭K2を有する第2外歯L2とを比較して示した図である。図において実線で表わされた歯形輪郭が目的とする歯形輪郭K3、破線で表わされた歯形輪郭が第1歯形輪郭K1、一点鎖線で表わされた歯形輪郭が第2歯形輪郭K2である。また、目的とする歯形輪郭K3で囲まれた部分により目的とする外歯L3が表わされ、第1歯形輪郭K1で囲まれた部分により第1外歯L1が表わされ、第2歯形輪郭K2で囲まれた部分により第2外歯L2が表わされる。この図からわかるように、第1歯形輪郭K1は目的とする歯形輪郭K3よりも径方向および周方向に小さく、第2歯形輪郭K2は目的とする歯形輪郭K3および第1歯形輪郭K1よりも径方向および周方向に大きい。
また、図2からわかるように、第1凹部13aと第2凹部13bは、それぞれの軸方向に沿って同軸的に設けられている。また、第1凹部13aの上端と第2凹部13bの下端とは連通している。
下パンチ16は、側周面に外歯161が形成された円柱状の部材である。外歯161は第1凹部13aの側周壁に形成されている第1内歯131に噛合可能であり、且つ噛合しつつ下パンチ16が軸方向移動可能となるような歯形輪郭を有する。また、下パンチ16をその軸直角平面で切断した断面の外形形状は、第1凹部13aの断面形状にほぼ等しい。この下パンチ16がダイス13の下方から第1凹部13a内に挿入されている。下パンチ16は、その外歯161が第1凹部13aの内歯131に噛合し、且つその先端面16aが第2凹部13b側に向いた状態(図においては上方を向いた状態)で、第1凹部13a内をその軸方向に移動し得るように配設されている。
上パンチ14は、側周面に外歯141が形成された円柱状の部材である。外歯141は第2凹部13bの側周壁に形成されている第2内歯132に噛合可能であり、且つ噛合しつつ上パンチ14が軸方向移動可能となるような歯形輪郭を有する。また、上パンチ14をその軸直角平面で切断した断面の外形形状は、第2凹部13bの断面形状にほぼ等しい。上パンチ14は、その外歯141が第2凹部13bの内歯132に噛合し、且つその先端面14aが第1凹部13a側に向いた状態(図においては下方を向いた状態)で、第2凹部13b内をその軸方向に移動可能であり、且つ第2凹部13bから退出可能であるように、下パンチ16と対向して配設されている。
上パンチ14の軸方向に沿って孔142が形成されている。この孔142は上パンチ14の先端面14aの中央部に開口する。孔142内に上ピン15が挿入される。上ピン15は円柱状に形成されており、その径は孔142の径とほぼ等しい。上ピン15は孔142内で軸方向に移動し、上パンチ14の先端面14aから突出し得るように配設されている。
下パンチ16の軸方向に沿って孔162が形成されている。この孔162は下パンチ16の先端面16aの中央部に開口する。孔162内に下ピン17が挿入される。下ピン17は円柱状に形成されており、その径は孔162の径とほぼ等しい。下ピン17は孔162内で軸方向に移動し、下パンチ16の先端面16aから突出し得るように配設されている。
また、図1に示すように、製造装置1は、ダイス用アクチュエータ23と、上パンチ用アクチュエータ24と、上ピン用アクチュエータ25と、下パンチ用アクチュエータ26と、下ピン用アクチュエータ27を備える。ダイス用アクチュエータ23は、下型ダイプレート11を図の上下方向に移動させるための駆動力を発生する。なお、下型ダイプレート11が図示上下方向に移動した場合、この下型ダイプレート11の上部に固定されたダイス13がキャビティ13Aの軸方向(図示上下方向)に移動する。上パンチ用アクチュエータ24は上型ダイプレート12を上下方向に移動させるための駆動力を発生する。なお、上型ダイプレート12が図示上下方向に移動した場合、この上型ダイプレート12の下部に固定された上パンチ14がその軸方向に沿って移動する。上ピン用アクチュエータ25は上ピン15をその軸方向に沿って移動させるための駆動力を発生する。下パンチ用アクチュエータ26は下パンチ16をその軸方向に沿って移動させるための駆動力を発生する。下ピン用アクチュエータ27は下ピン17をその軸方向に沿って移動させるための駆動力を発生する。これらの各アクチュエータの駆動は動作制御装置20により制御される。なお、各アクチュエータによって移動させられる各部の移動方向は、全て同じ方向である。すなわち、上記各部は、第1凹部13aおよび第2凹部13bの軸方向に移動可能に構成される。
次に、上記構成の製造装置1を用いた歯車の製造方法について説明する。図3〜図8は、キャビティ13A付近の詳細を、製造装置1を用いた歯車の製造工程ごとに示す概略断面図である。また、図4〜図8において左半面はその工程の前の状態を表し、右半面はその工程の後の状態を表す。
(a)投入工程
まず、図3に示すように、下パンチ16の先端面16aおよび下ピン17の先端面17aの高さ位置(軸方向位置)を第1凹部13a内の所定の位置(図3のC位置)に合わせ、その位置で下パンチ16および下ピン17が固定されるように、下パンチ用アクチュエータ26および下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。これにより、下パンチ16の先端面16a、下ピン17の先端面17a、第1凹部13aの側周壁とに囲まれた円柱状の第1成形空間A1が区画形成される。なお、第1成形空間A1の図示上端は第2凹部13b内の空間に連通している。この第1成形空間A1内に円柱状の歯車素材Wが投入される。投入された歯車素材Wは下パンチ16および下ピン17の先端面上に載置される。
(b)第1加工工程
次いで、図4の左半面に示すように、上パンチ14および上ピン15をダイス13の上面側から第2凹部13b内に挿入する。そして、上パンチ14の先端面14aおよび上ピン15の先端面15aの高さ位置が第1成形空間A1の上端面位置、つまり、第2凹部13bの第1凹部13aに連通している側の端面位置に一致するまで上パンチ14および上ピン15が下降するように、上パンチ用アクチュエータ24および上ピン用アクチュエータ25が動作制御装置20により駆動制御される。その後、図4の右半面に示すように、下パンチ16を固定した状態で、上パンチ14およびダイス13が等速度で下降するように、上パンチ用アクチュエータ24およびダイス用アクチュエータ23が動作制御装置20により駆動制御される。上パンチ14およびダイス13が下パンチ16に対して相対的に移動(下降)することにより、第1成形空間A1の軸方向長さ(図示上下方向長さ)が短くなる。
第1成形空間A1の軸方向長さの減少により、第1成形空間A1内に投入されている歯車素材Wが上パンチ14により加圧される。この加圧により歯車素材Wが変形する。ここで、第1成形空間A1の側周壁には、第1歯形輪郭K1を有する第1外歯L1を成形し得るような第1内歯131が形成されているので、加圧された歯車素材Wにこの第1内歯131の形状が転写されることによって、第1歯形輪郭K1を有する第1外歯L1が形成された第1加工歯車W1が鍛造成形される。なお、上述したように、第1歯形輪郭K1は、目的とする歯形輪郭K3よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭である。
また、この第1加工工程では、上ピン15が上パンチ14よりも速い速度で下降するように、上ピン用アクチュエータ25が動作制御装置20により駆動制御される。このため上ピン15が上パンチ14の先端面14aから突出する。上ピン15の突出によって、第1加工歯車W1の一方の端面に凹部P1が形成される。
さらに、この第1加工工程では、下ピン17が下パンチ16に対して上昇するように、下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。このため下ピン17が下パンチ16の先端面16aから突出する。下ピン17の突出によって、第1加工歯車W1の他方の端面に凹部P2が形成される。
上ピン15が上パンチ14の先端面14aから突出して凹部P1を形成することによって、凹部P1を中心とした第1加工歯車W1の径外方への材料流動が生じる。この材料流動が第1加工歯車W1の外歯部分の図示上端部周辺までの材料の回り込みを促す。また、下ピン17が下パンチ16の先端面16aから突出して凹部P2を形成することによって、凹部P2を中心とした第1加工歯車W1の径外方への材料流動が生じる。この材料流動が第1加工歯車W1の外歯部分の図示下端部周辺までの材料の回り込みを促す。このような材料流動の発生により第1加工歯車W1の外歯部分の両端付近(歯幅端部付近)での欠肉の発生が軽減される。
(c)移送工程
次いで、図5の右半面に示すように、上パンチ14、上ピン15、下パンチ16、下ピン17で第1加工歯車W1を挟み込んだ状態で、これらが等速度で軸方向に沿って上昇するように、上パンチ用アクチュエータ24、上ピン用アクチュエータ25、下パンチ用アクチュエータ26、下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。そして、下パンチ16の先端面16aの高さ位置が第1凹部13aの上端位置、すなわち第2凹部13bに連通している側の端面位置に一致したときに上パンチ14、上ピン15、下パンチ16、下ピン17の上昇動作が停止するように、上パンチ用アクチュエータ24、上ピン用アクチュエータ25、下パンチ用アクチュエータ26、下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。
このような各パンチおよび各ピンの上昇によって、これらに挟まれた第1加工歯車W1も上昇する。この上昇により第1加工歯車W1は、上パンチ14の先端面14aと、下パンチ16の先端面16aと、第2凹部13bの側周壁とに囲まれる円柱状の第2成形空間A2に移送される。第2成形空間A2の側周壁には第2内歯132が形成されている。
(d)空隙形成工程
次いで、図6の右半面に示すように、上ピン15が所定の高さ位置まで上昇し、且つ下ピン17が所定の高さ位置まで下降するように、上ピン用アクチュエータ25および下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。
上ピン15の上昇によって、上ピン15の先端面15aが第1加工歯車W1の一方の端面に形成されている凹部P1の底面から離間する。これにより上ピン15の先端面15aと凹部P1の底面との間に空隙Q1が形成される。下ピン17の下降によって、下ピン17の先端面17aが第1加工歯車W1の他方の端面に形成されている凹部P2の底面から離間する。これにより下ピン17の先端面17aと凹部P2の底面との間に空隙Q2が形成される。
(e)第2加工工程
次いで、図7の右半面に示すように、下パンチ16および下ピン17を固定した状態で、上パンチ14および上ピン15が等速度で下降するように、上パンチ用アクチュエータ24および上ピン用アクチュエータ25が動作制御装置20により駆動制御される。上パンチ14および上ピン15が下パンチ16に対して相対的に移動(下降)することにより、第2成形空間A2の軸方向長さが短くなる。
第2成形空間A2の軸方向長さの減少により、第2成形空間A2内の第1加工歯車W1が上パンチ14により加圧される。この加圧により第1加工歯車W1が変形する。ここで、第2成形空間A2の側周壁には、第2歯形輪郭K2を有する第2外歯L2を成形し得るような第2内歯132が形成されているので、加圧された第1加工歯車W1にこの第2内歯132が転写されることによって、第2歯形輪郭K2を有する第2外歯L2が形成された第2加工歯車W2が鍛造成形される。なお、上述したように、第2歯形輪郭K2は、第1歯形輪郭K1および目的とする歯形輪郭K3よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭である。
また、第1加工歯車W1の一方の端面に形成されている凹部P1の底面と上ピン15の先端面15aとの間の空隙Q1および、第1加工歯車W1の他方の端面に形成されている凹部P2と下ピン17の先端面17aとの間の空隙Q2が、第2加工工程での加圧時に材料の逃げ空間を形成する。このため、この空間を埋めるように材料が第1加工歯車W1の径内方に流動する。このようにして材料の分流を促すことで、第1加工歯車W1の径外方にも材料が流動する。径外方への材料流動により、第2加工歯車W2の歯部の欠肉が防止される。
(f)ファインブランキング工程
次いで、図8の右半面に示すように、上パンチ14および下パンチ16で第2加工歯車W2を上下から加圧した状態で、上ピン15および下ピン17が等速度で下降するように、上パンチ用アクチュエータ24、下パンチ用アクチュエータ26、上ピン用アクチュエータ25、下ピン用アクチュエータ27が動作制御装置20により駆動制御される。上ピン15と下ピン17が等速度で下降することにより、これらのピン間に挟まれている第2加工歯車W2の中央部分Dが打ち抜かれる。これにより中央部分に貫通孔R1が形成された第2加工歯車W2’が成形される。また、中央部分Dが打ち抜かれるときに、上パンチ14と下パンチ16で第2加工歯車W2が抑えつけられている(加圧されている)ので、第2加工歯車W2’の貫通孔R1の側壁が破断する可能性が低い。
(g)仕上げ工程
次いで、第2加工歯車W2’をダイス13から取り出し、図9に示す仕上げダイス30に第2加工歯車W2’を投入する。仕上げダイス30にはしごき部31が形成されている。第2加工歯車W2’はしごき部31の上部に載置される。載置された第2加工歯車W2’は、その貫通孔R1にマンドレル32が挿入されることにより位置決めされる。そして、上パンチ33により第2加工歯車W2’が上方から加圧される。この加圧によって第2加工歯車W2’がしごき部31を通過する。第2加工歯車W2’をしごき部31に通過させることにより、第2加工歯車W2’に形成された外歯部分がしごかれる。これにより目的とする歯形輪郭K3を有する外歯L3が形成された最終歯車W3が成形される。なお、この仕上げ工程は、従来の仕上げ工程と同一の工程である。
以上のように、本実施形態によれば、ダイス13内に形成される第1成形空間A1内で第1加工歯車W1が鍛造成形され、次いで、第1加工歯車W1がダイス13内に形成される第2成形空間A2に移送される。その後、第2成形空間A2内で第2加工歯車W2が鍛造成形され、次いで、第2成形空間A2内で第2加工歯車W2の中央部分が打ち抜かれる。このように、同一の金型内で、第1加工歯車W1の鍛造、第2加工歯車W2の鍛造、および、第2加工歯車W2の打ち抜き(ファインブランキング)が行われるので、必要な型数を減少させることができ、型費を低減することができる。さらに、打ち抜き工程までの工程が同一の金型を用いて行われるため、工程間でのワークの搬送時間を低減できる。このため生産性が向上する。また、搬送するための人員を低減することができ、製造コストの増大を抑えることができる。
また、第1加工工程中に、上ピン15を上パンチ14の先端面14aから突出させるとともに、下ピン17を下パンチ16の先端面16aから突出させることにより、第1加工歯車W1の両端面に凹部P1,P2が形成される。この凹部形成時に生じる径外方への材料流動によって第1加工歯車W1の外歯部分の欠肉が軽減される。
また、第2加工工程の前に、第1加工歯車W1の一方の端面に形成された凹部P1の底面から上ピン15を離間させるとともに、第1加工歯車W1の他方の端面に形成された凹部P2の底面から下ピン17を離間させることにより、上ピン15の先端部と第1加工歯車W1の一方の端面に形成された凹部P1の底面との間、および、下ピン17の先端部と第1加工歯車W1の他方の端面に形成された凹部P2の底面との間に、それぞれ空隙Q1,Q2が形成される。このため第2加工工程にて第1加工歯車W1が加圧されるときに材料が空隙Q1,Q2に流れる。これによって材料流動が促され、その結果、第2加工歯車の外歯部分における欠肉の発生が防止される。
また、打ち抜き工程では、上パンチ14および下パンチ16で第2加工歯車W2を加圧しながら上ピン15で貫通孔を打ち抜き形成するので、貫通孔R1の壁面に破断が生じる可能性が低い。このため、第2加工歯車W2の成形精度、特に貫通孔R1の成形精度が向上する。よって、その後の仕上げ工程にてマンドレル32を貫通孔R1に挿入して位置決めする場合における位置決め精度が向上する。また、貫通孔R1の壁面に破断が生じている可能性が低いので、第2加工歯車W2をしごく際に材料が破断面に逃げることもない。よって、精度の良好な最終歯車W3を製造することができる。また、従来では、図11(c)に示すように、成形品の軸方向長さよりも長い中央部分を打ち抜いていたが、本実施形態では、図8に示すように、成形品(第2加工歯車W2)の軸方向長さよりも短い中央部分を打ち抜いている。つまり、本実施形態では、最終的に打ち抜かれる中央部分を事前に潰すことにより材料流動を促し、その後に上ピン15で中央部分を打ち抜くようにしたので、材料流動により加工歯車の欠肉が防止されることに加え、打ち抜かれる部分の体積を従来と比較して小さくすることができる。このため材料歩留まりが向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定して解釈されるべきものではない。例えば、上記実施形態に示した第1加工工程では、下パンチ16を固定した状態で、上パンチ14およびダイス13を下パンチ16に対して相対的に下降させることにより第1成形空間A1の軸方向長さを短くして第1成形空間A1内の歯車素材Wを加圧している。しかし、上パンチ14およびダイス13を固定し、下パンチ16を上パンチ14およびダイス13に対して相対的に上昇させることにより、第1成形空間A1の軸方向長さを短くして第1成形空間A1内の歯車素材Wを加圧してもよい。また、上記実施形態では、上下に駆動するダイスおよびパンチを備える歯車の製造装置を示したが、ダイスやパンチは左右に駆動してもよい。また、上記実施形態では、第1凹部13aの上部に第2凹部13bが形成されているが、これらの凹部の上下関係は逆でもよい。この場合、第2加工歯車W2はダイス13の下方から取り出せばよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて変形可能である。
1…製造装置、10…金型、13…ダイス、13a…第1凹部、13b…第2凹部、131…第1内歯、132…第2内歯、14…上パンチ(第2パンチ)、14a…先端面、141…第2外歯、15…上ピン(ピン部材)、15a…先端面、16…下パンチ(第1パンチ)、16a…先端面、161…第1外歯、17…下ピン(第2のピン部材)、17a…先端面、20…動作制御装置、23…ダイス用アクチュエータ、24…上パンチ用アクチュエータ、25…上ピン用アクチュエータ、26…下パンチ用アクチュエータ、27…下ピン用アクチュエータ、A1…第1成形空間、A2…第2成形空間、P1,P2…凹部、Q1,Q2…空隙、R1…貫通孔、W…歯車素材、W1…加工歯車、W2…加工歯車、W3…最終歯車

Claims (6)

  1. 目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭である第1歯形輪郭を有する第1外歯を成形するための第1内歯が側周壁に形成されている第1凹部と、前記第1歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭である第2歯形輪郭を有する第2外歯を成形するための第2内歯が側周壁に形成され、前記第1凹部に同軸的に連通して設けられた第2凹部とが形成されているダイスと、前記第1内歯に噛合可能な外歯が側周に形成され、その先端面が前記第2凹部側に向いた状態で前記第1凹部内を軸方向に移動し得るように配設された第1パンチと、前記第2内歯に噛合可能な外歯が側周に形成され、その先端面が前記第1凹部側に向いた状態で前記第2凹部内をその軸方向に移動し得るように、前記第1パンチと対向して配設された第2パンチと、前記第2パンチの先端面から突出可能に配設されたピン部材と、を備える金型の前記第1凹部内の所定の位置で前記第1パンチが固定された状態で、前記第1パンチの先端面と前記第1凹部を形成する側周壁とに囲まれる第1成形空間に歯車素材を投入する投入工程と、
    前記第2パンチの先端面を前記第2凹部の前記第1凹部に連通している側の端面まで移動させた後に、前記第2パンチおよび前記ダイスを前記第1パンチに対して、あるいは、前記第1パンチを前記第2パンチおよび前記ダイスに対して、前記第1成形空間の軸方向長さが短くなる方向に相対移動させて前記第1成形空間内の歯車素材を加圧することにより、前記第1外歯が形成された第1加工歯車を鍛造成形する第1加工工程と、
    前記第1パンチの先端面および前記第2パンチの先端面で前記第1加工歯車を挟んだ状態のまま、前記第1パンチおよび前記第2パンチを前記第2凹部側に軸方向移動することにより、前記第1加工歯車を前記第1パンチの先端面と前記第2パンチの先端面と前記第2凹部を形成する側周壁とに囲まれる第2成形空間に移送する移送工程と、
    前記第2パンチを前記第2成形空間の軸方向長さが短くなる方向に移動させて前記第2成形空間内の前記第1加工歯車を加圧することにより、前記第2外歯が形成された第2加工歯車を鍛造成形する第2加工工程と、
    前記第ピン部材を前記第2パンチから突出させて前記第2加工歯車の一方の端面から他方の端面にかけて前記第2加工歯車を打ち抜くことにより前記第2加工歯車に貫通孔を形成する打ち抜き工程と、
    を含む、歯車の製造方法。
  2. 請求項1に記載の歯車の製造方法において、
    前記第1加工工程中に、前記ピン部材を前記第2パンチの先端面から突出させることにより、前記第1加工歯車の一方の端面に凹部を形成する、歯車の製造方法。
  3. 請求項2に記載の歯車の製造方法において、
    前記金型は、前記第1パンチの先端面から突出可能に配設された第2のピン部材をさらに備え、
    前記第1加工工程中に、前記第2のピン部材を前記第1パンチの先端面から突出させることにより、前記第1加工歯車の他方の端面に凹部を形成する、歯車の製造方法。
  4. 請求項3に記載の歯車の製造方法において、
    前記第2加工工程の前に行われる工程であり、前記第1加工歯車の一方の端面に形成された前記凹部の底面から前記ピン部材が離間するように前記ピン部材を移動させるとともに、前記第1加工歯車の他方の端面に形成された前記凹部の底面から前記第2のピン部材が離間するように前記第2のピン部材を移動させることにより、前記ピン部材の先端部と前記第1加工歯車の一方の端面に形成された前記凹部の底面との間、および、前記第2のピン部材の先端部と前記第1加工歯車の他方の端面に形成された前記凹部の底面との間に、それぞれ空隙を形成する空隙形成工程と、をさらに含む、歯車の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯車の製造方法において、
    前記打ち抜き工程は、前記第1パンチおよび前記第2パンチにより前記第2加工歯車を前記第2成形空間内で加圧した状態で、前記第2加工歯車を前記ピン部材で打ち抜くことにより、前記第2加工歯車に貫通孔を形成するファインブランキング工程である、歯車の製造方法。
  6. 目的とする歯形輪郭よりも径方向および周方向に小さい歯形輪郭である第1歯形輪郭を有する第1外歯を成形するための第1内歯が側周壁に形成されている第1凹部と、前記第1歯形輪郭よりも径方向および周方向に大きい歯形輪郭である第2歯形輪郭を有する第2外歯を成形するための第2内歯が側周壁に形成され、前記第1凹部に同軸的に連通して設けられた第2凹部とが形成され、前記第1凹部および前記第2凹部の軸方向に移動可能に構成されたダイスと、前記第1内歯に噛合可能な外歯が側周に形成され、その先端面が前記第2凹部側に向いた状態で前記第1凹部内をその軸方向に移動し得るように配設された第1パンチと、前記第2内歯に噛合可能な外歯が側周に形成され、その先端面が前記第1凹部側に向いた状態で前記第2凹部内をその軸方向に移動し得るように、前記第1パンチと対向して配設された第2パンチと、前記第2パンチの先端面から突出可能に配設されたピン部材と、を備える金型と、
    前記ダイスを駆動させるための駆動力を発生するダイス用アクチュエータと、前記第1パンチを駆動させるための駆動力を発生する第1パンチ用アクチュエータと、前記第2パンチを駆動させるための駆動力を発生する第2パンチ用アクチュエータと、前記ピン部材を駆動させるための駆動力を発生するピン部材用アクチュエータと、
    前記ダイス用アクチュエータ、前記第1パンチ用アクチュエータ、前記第2パンチ用アクチュエータ、前記ピン部材用アクチュエータの駆動を制御する動作制御装置と、
    を備える歯車の製造装置であって、
    前記動作制御装置は、前記第1凹部内の所定の位置で前記第1パンチが固定された状態で、前記第1パンチの先端面と前記第1凹部を形成する側周壁とに囲まれる第1成形空間に歯車素材が投入された後に、前記第2パンチを前記第2凹部の前記第1凹部に連通している側の端面まで移動させ、その後、前記第2パンチおよび前記ダイスを前記第1パンチに対して、あるいは、前記第1パンチを前記第2パンチおよび前記ダイスに対して、前記第1成形空間の軸方向長さが短くなる方向に相対移動させて前記第1成形空間内の歯車素材を加圧することにより、前記第1外歯が形成された第1加工歯車を鍛造成形し、次いで、前記第1パンチの先端面および前記第2パンチの先端面で前記第1加工歯車を挟んだ状態のまま、前記第1パンチおよび前記第2パンチを前記第2凹部側に軸方向移動することにより、前記第1加工歯車を前記第1パンチの先端面と前記第2パンチの先端面と前記第2凹部を形成する側周壁とに囲まれる第2成形空間に移送し、次いで、前記第2パンチを前記第2成形空間の軸方向長さが短くなる方向に移動させて前記第2成形空間内の前記第1加工歯車を加圧することにより、前記第2外歯が形成された第2加工歯車を鍛造成形し、次いで、前記ピン部材を前記第2パンチの先端面から突出させて前記第2加工歯車の一方の端面から他方の端面にかけて前記第2加工歯車を打ち抜くことにより前記第2加工歯車に貫通孔を形成するように、各アクチュエータの動作を制御する、歯車の製造装置。
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