以下に、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。整合性を図るため、各図面における類似の要素には同様の参照符号が付加される。
以下の本発明の実施形態の詳細な説明において、本発明のより深い理解を提供するためにいくつかの具体的詳細について説明がされる。ただし、これらの具体的詳細によらなくても本発明を実施しうることは、当業者にとっては明らかであろう。その他の場面においては、不必要に複雑な説明を回避するため、周知の要素については詳細な説明を省略する。
概括すると、本発明の実施形態によれば、テキストストリームに使用する指定フォントであってPRDが対応していないフォントを指定するEDを、PRDを用いてレンダリングするシステム及び方法が提供される。具体的には、指定フォントの代替フォントとして常駐フォントを選択する。指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付ける水平スケーリング率(HS)と垂直スケーリング率(VS)とが、テキストストリーム中の常駐フォントの文字を、指定フォントにより一層適合するようにスケーリングするために読み出される。あるいは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付ける各種スケーリングマトリックスが、テキストストリーム中の常駐フォントの文字を指定フォントにより一層適合するようにスケーリングするために読み出される。大文字及び小文字に対して別々のマトリックスが使用されうる。更に、上述の各種マトリックスは、常駐フォントの文字における水平方向及び垂直方向両方のスケーリングに用いられる比率が含まれうる。当該比率は、常駐フォント及び指定フォント両方から選択される一以上の参照文字の設計寸法を用いて最初に構築されうる。
図1は本発明の一以上の実施形態におけるシステム(100)を示す。図1に示すように、システム(100)はページレンダリング装置(PRD)(112)及びコンピュータデバイス(102)を含む複数の構成要素を有する。PRD(112)として、例えば、プリンタ、電子リーダー等を用いうる。コンピュータデバイス(102)として、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、メインフレーム、サーバー、電話器、キオスク、ケーブルボックス、携帯情報端末(PDA)、電子リーダー、携帯電話、スマートフォン等を用いうる。コンピュータデバイス(102)とPRD(112)との間は直接接続しうる(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続)。あるいは、コンピュータデバイス(102)とPRD(125)とは、有線及び/又は無線セグメントを含むネットワーク(120)を用いて接続しうる。
本発明の一以上の実施形態において、PRD(112)はコンピュータデバイス(102)上に配置される。このような実施形態において、PRD(112)は、EDをレンダリングするコンピュータデバイス(102)上におけるハードウェアとソフトウェアとのあらゆる組み合わせに対応しうる。
本発明の一以上の実施形態において、コンピュータデバイス(102)はユーザーアプリケーション(104)を実行する。ユーザーアプリケーション(104)は、ユーザーによって操作されるソフトウェアアプリケーションであり、任意のページ数を有するED(電子文書(106))の取得、入力、生成、表示及び/又は印刷を実行するよう構成される。よって、ユーザーアプリケーション(104)は、ワードプロセッサーアプリケーション、スプレッドシートアプリケーション、デスクトップパブリッシングアプリケーション、グラフィックスアプリケーション、写真印刷アプリケーション、インターネットブラウザ、等でありうる。該ユーザーアプリケーション(104)は、新たなEDを生成し及び/又は予め保存されたEDを取得しうる。
本発明の一以上の実施形態において、ED(106)は一以上のテキストストリームを含む。テキストストリームは、題名、副題、文、段落、EDの全セクション等に対応する。従って、テキストストリームは、任意の数の大文字及び小文字を含みうる。更に、ED(106)は、各テキストストリームの指定フォント及びフォントサイズをも含みうる。言い換えれば、ED(106)は、表示又は印刷にあたってテキストストリームの文字に用いられるべき指定フォント及びフォントサイズを指定する。
本発明の一以上の実施形態において、ED(106)は文書マークアップ言語(例えばODFやOOXML等)として表される及び/又は定義される。従って、ED中の一又は複数のテキストストリームのプロパティ(例えば文字、指定フォント、フォントサイズ等)は、文書マークアップ言語のタグに含まれる属性として記録される。更に、これらプロパティ及び/又は属性は、表示又は印刷するED(106)を正確にレンダリングするために必要である。
本発明の一以上の実施形態において、PRD(112)は代替フォント選択手段(116)を含む。この代替フォント選択手段(116)は、ED(106)における指定フォントがPRD(112)に対応していないことを判定し、指定フォント(PRD(112)が対応していないフォント)の代替となりうる常駐フォント(すなわち、PRD(112)が対応しているフォント)を識別するように構成される。本詳細な説明の恩恵に浴する当業者であれば、指定フォントによく似た常駐フォント(すなわち、指定フォントと常駐フォントの見た目が似ている)が指定フォントの代替フォントになりうると理解するであろう。
本発明の一以上の実施形態において、代替フォント選択手段(116)は常駐フォントのリストを保持する。このような実施形態において、該リストに含まれないフォントは、PRD(112)が対応していない。本願の一以上の実施形態において、代替フォント選択手段(116)は、指定フォントを検索条件として検索されうるファイル及び/又はルックアップテーブルを含む。ファイル及び/又はルックアップテーブルにおける各エントリは、指定フォントに対応する。更に、各エントリは、指定フォントの代替フォントとして常駐フォントを指定(すなわち対応付け)しうる。本願の一以上の実施形態において、一のエントリは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付ける一以上のスケーリングマトリックスを指定する。本願の一以上の実施形態において、一のエントリは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付けるHS率とVS率とを指定する。ファイル及び/又はルックアップテーブルのアップデートは、PRD(112)に関するウェブサイト(すなわち、PRD(112)の製造者又は第三者のウェブサイト)からダウンロードしうる。又は、アップデートはPRD(112)のユーザーによって手動で入力及び/又は設定されうる。
本発明の一以上の実施形態によれば、ファイル又はルックアップテーブルは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付けるHS率及びVS率を含む。HS率は、指定フォントにおける参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)を、常駐フォントにおける参照文字の対応する水平方向の寸法と関連付ける。VS率は、指定フォントにおける参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)を、常駐フォントにおける参照文字の対応する垂直方向の寸法と関連付ける。
本発明の一以上の実施形態において、ファイル又はルックアップテーブルは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付ける各種スケーリングマトリックス(例えば、大文字スケーリングマトリックスや小文字スケーリングマトリックス等)を含む。大文字スケーリングマトリックスは、大文字水平スケーリング(UHS)率及び大文字垂直スケーリング(UVS)率を含む。UHS率は、指定フォントにおける大文字参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)を、常駐フォントにおける大文字参照文字の対応する水平方向の寸法に関連付ける。UVS率は、指定フォントにおける大文字参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)を、常駐フォントにおける大文字参照文字の対応する垂直方向の寸法に関連付ける。同様に、小文字スケーリングマトリックスは、小文字水平スケーリング率(LHS)及び小文字垂直スケーリング率(LVS)を含む。LHS率は、指定フォントにおける小文字参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)を、常駐フォントにおける小文字参照文字の対応する水平方向の寸法に関連付ける。LVS率は、指定フォントにおける小文字参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)を、常駐フォントにおける小文字参照文字の対応する垂直方向の寸法に関連付ける。
図2Aは、本発明の一以上の実施形態における、指定フォント及び常駐フォント両方の参照大文字及び参照小文字を示す。図2Aに示すように、大文字参照文字を「A」とし、小文字参照文字を「a」とする。更に、指定フォント及び常駐フォント両方の大文字参照文字と小文字参照文字は、同一のサイズ(すなわち、200ポイント)で表示される。本詳細な説明の恩恵に浴する当業者であれば、任意の大文字が大文字参照文字として、また任意の小文字が小文字参照文字として選択されうることを理解するであろう。
図2Aに示すように、指定フォントにおける大文字参照文字(202)は、高さ7.9ユニット、幅7.5ユニットである。それに対し、常駐フォントにおける大文字参照文字(204)は、高さ7.9ユニット、幅8.7ユニットである。従って、UHS率は、UHS率=7.5/8.7=0.86と算出されうる。言い換えれば、指定フォントにおける大文字参照文字の設計寸法の幅は、常駐フォントにおける大文字参照文字の設計寸法の幅のおよそ86%である。UVS率は、UVS率=7.9/7.9=1.00と算出されうる。言い換えれば、指定フォントにおける大文字参照文字の設計寸法の高さは、常駐フォントにおける大文字参照文字の設計寸法の高さの100%(すなわち、同一)である。
図2Aに示すように、指定フォントにおける小文字参照文字(206)は、高さ6.0ユニット、幅5.5ユニットである。それに対し、常駐フォントにおける小文字参照文字(208)は、高さ6.0ユニット、幅6.7ユニットである。従って、LHS率は、LHS率=5.5/6.7=0.82と算出されうる。言い換えれば、指定フォントにおける小文字参照文字の設計寸法の幅は、常駐フォントにおける小文字参照文字の設計寸法の幅のおよそ82%である。LVS率は、LVS率=6.0/6.0=1.00と算出されうる。言い換えれば、指定フォントにおける小文字参照文字の設計寸法の高さは、常駐フォントにおける小文字参照文字の設計寸法の高さの100%(すなわち、同一)である。
図2Bは、本発明の一以上の実施形態における、指定フォント及び常駐フォント両方の参照文字を示す。図2Bに示すように、参照文字を「K」とする。更に、指定フォント及び常駐フォントの参照文字は、同一の大きさ(すなわち、200ポイント)で表示される。本詳細な説明の恩恵に浴する当業者であれば、任意の文字が参照文字として選択されうることを理解するであろう。
図2Bに示すように、指定フォントにおける参照フォント(299)は、高さ7.9ユニット、幅7.4ユニットである。それに対し、常駐フォントにおける参照フォント(298)は、高さ7.9ユニット、幅9.1ユニットである。従って、HS率は、HS率=7.4/9.1=0.81と算出しうる。言い換えれば、指定フォントにおける参照文字の設計寸法の幅は、常駐フォントにおける参照文字の設計寸法の幅のおよそ81%である。VS率は、VS率=7.9/7.9=1.0と算出しうる。言い換えれば、指定フォントにおける参照文字の設計寸法の高さは、常駐フォントにおける参照文字の設計寸法の高さの100%(すなわち、同一)である。
図2A及びBにおいて、HS率、UHS率、LHS率、VS率、LVS率及びUVS率の決定につき、具体例として、一つのアルファベット文字を用いて示した。しかし、上述の率は別の方法でも算出しうることを注記しておく。例えば、UHS率は、指定フォントでタイプされた文字列又は文節の幅の全長を、常駐フォントでタイプされた同様の文字列又は文節の幅の全長で除算して求めてもよい。この別法の具体例として、例えばアルファベット26文字全て(すなわちAからZまで)を用いてタイプされた文字列を用いて算出する。この別法は、フォントの各文字の幅が固定されていないようなフォントに利用されうる。
図3は、本発明の一以上の実施形態におけるファイル(305)を示す。ファイル(305)は、図1を参照して上述したように、指定フォントを検索条件として用いて、代替フォント選択手段(116)により検索されうる。図3に示すように、ファイル(305)は複数のエントリ(例えば、エントリ1(307)、エントリ2(309))を含む。各エントリは指定フォント(例えば指定フォントA、指定フォントX)を識別し、その指定フォントの代替フォントとなる常駐フォント(例えば常駐フォントB、常駐フォントY)を識別する。更にエントリは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法とを関連付けるHS率とVS率とを指定しうる。例えば、エントリ1(307)は、指定フォントAの寸法と常駐フォントBの寸法とを関連付けるHS率AB及びVS率ABを指定する。又は、エントリは、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法との関係を示す任意のスケーリングマトリックスを指定しうる。例えば、エントリ2(309)は、指定フォントXの寸法と常駐フォントYの寸法との関係を示す大文字のスケーリングマトリックスXYと小文字のスケーリングマトリックスXYを指定しうる。図3に示すように、大文字スケーリングマトリックスXY(311)は、指定フォントXの寸法と常駐フォントYの寸法との関係を示すUHS率とUVS率を含む。一方、小文字スケーリングマトリックス(313)は、指定フォントXの寸法と常駐フォントYの寸法との関係を示すLHS率とLVS率を含む。
図1に戻り、本発明の一以上の実施形態において、PRD(112)は常駐フォントレポジトリ(114)を含む。常駐フォントレポジトリ(114)は、全ての常駐フォント(すなわちPRDが対応するフォント)に含まれる全ての文字のデザインと寸法とを記憶している。言い換えれば、常駐フォントレポジトリ(114)は、常駐フォントのあらゆる文字のレンダリング(例えば表示や印刷)に必要な情報の全てを記憶している。
本発明の一以上の実施形態において、PRD(112)はレイアウトエンジン(118)を含む。レイアウトエンジン(118)は、ED(106)のテキストストリーム中の小文字と大文字とを識別し、識別した小文字と大文字を、取得したスケーリングマトリックス(すなわち、小文字スケーリングマトリックスや大文字スケーリングマトリックス)に基づいてスケーリングし、そしてスケーリングした文字のページ上(例えば、紙、スライドフィルム、マイクロフィルム、ページ画像を表示するコンピュータモニタの領域、電子書籍リーダー等)のどこに位置/配置するかを算出するよう構成される。又は、レイアウトエンジン(118)は、読み出したHS率及びVS率に基づいて、テキストストリームの小文字及び大文字をスケーリングし、スケーリングした文字をページ上のどこに位置/配置するかを算出するよう構成される。従って、レイアウトエンジン(118)は、ED(106)を閲覧及び/又は印刷するためのレンダリングを実行するよう構成される。更に、レイアウトエンジン(118)は、上記機能の一以上の機能の実行にあたり、常駐フォントレポジトリ(114)及び/又は代替フォント選択手段(116)にアクセスしうる。
図4Aは本発明の一以上の実施形態におけるフローチャートを示す。図4で示す処理は、図1を参照して上述したシステム(100)によって実行されうる。図4Aに示す一以上の工程は、本発明の別の実施形態においては省略され、繰返され、及び/又は異なる順番で実行されうる。従って、本発明の複数の実施形態は、図4Aに具体的に示される番号や配置に限定されるものではない。
はじめに、EDが取得され、当該ED中においてテキストストリーム及び該テキストストリームに使用する指定フォントが識別される(ステップ402)。上述のとおり、テキストストリームは任意の数の大文字と小文字とを含みうる。本発明の一以上の実施形態において、EDは文書マークアップ言語(例えば、ODFやOOXML等)によって表される、及び/又は定義される。従って、ED中のテキストストリームのプロパティ(すなわち、文字、指定フォント、フォントサイズ等)は、文書マークアップ言語のタグに含まれる属性として記録されうる。EDは、当該EDのレンダリング要求に伴いページレンダリング装置によって取得されうる。
ステップ404で、指定フォントにページレンダリング装置が対応していないと判定され、該指定フォントの代替フォントとして常駐フォントが識別される。本発明の一以上の実施形態において、指定フォントは、ページレンダリング装置が対応するフォントのリストと比較されうる。該リストに指定フォントが含まれない場合、ページレンダリング装置は該指定フォントに対応していない。本発明の一以上の実施形態において、指定フォントは、常駐フォントを該指定フォントの代替フォントとして指定するファイルやルックアップテーブルを検索するための検索条件として用いられうる。
ステップ406において、指定フォントにおける寸法と常駐フォントにおける寸法とを関連付ける小文字スケーリングマトリックスと大文字スケーリングマトリックスとが読み出される(例えば、ファイルやルックアップテーブルから読み出される)。上述のとおり、大文字スケーリングマトリックスはUHS率とUVS率を含む。UHS率は、指定フォントにおける大文字参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)と、常駐フォントにおける大文字参照文字の対応する水平方向の寸法とを関連付ける。UVS率は、指定フォントにおける大文字参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)と、常駐フォントにおける大文字参照文字の対応する垂直方向の寸法とを関連付ける。上述のとおり、小文字スケーリングマトリックスはLHS率とLVS率とを含む。LHS率は、常駐フォントにおける小文字参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)と、指定フォントにおける大文字参照文字の対応する水平方向の寸法とを関連付ける。LVS率は、常駐フォントにおける小文字参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)と、指定フォントにおける大文字参照文字の対応する垂直方向の寸法とを関連付ける。
ステップ408で、テキストストリーム中の一文字が選択される。ステップ410で、選択された一文字が大文字かが判定される。大文字と判定された場合、処理がステップ412に進む。そうでない場合、小文字と判定された場合には、処理がステップ414に進む。
ステップ412で、スケーリングされた大文字が生成される。具体的には、ED中で識別されたフォントと同一サイズの常駐フォントの大文字が、大文字スケーリングマトリックスに基づいてスケーリングされる。言い換えれば、該大文字は、水平方向にUHS率でスケーリング(すなわちUHS率を掛算)され、垂直方向にUVS率でスケーリング(すなわちUVS率を掛算)される。
ステップ414で、スケーリングされた小文字が生成される。具体的には、ED中で識別されたフォントと同一サイズの常駐フォントの小文字が、小文字スケーリングマトリックスに基づいてスケーリングされる。言い換えれば、該小文字は、水平方向にLHS率でスケーリング(すなわちLHS率を掛算)され、垂直方向にLVS率でスケーリング(すなわちLVS率を掛算)される。
ステップ416で、スケーリングが必要な文字が更にテキストストリーム中に存在しているかが判定される。存在していると判定された場合、処理がステップ408に戻る。そうでない場合、処理がステップ418に進む。
ステップ418で、スケーリングされた文字をページ上に配置してEDをレンダリングする。具体的には、EDのレンダリングは、ページ上(例えば、紙、スライドフィルム、マイクロフィルム、ページ画像を表示するコンピュータモニタの領域、電子書籍リーダー等)におけるスケーリングされた文字の位置/配置を算出し、該ページを印刷及び/又は表示することを含む。
図4Aに示す工程においては、テキストストリームが一つ存在する場合についてのみ言及しているが、EDは任意の数のページに含まれる任意の数のテキストストリームを含みうる。従って、図4Aに示す一以上の工程は、複数のテキストストリームに対する処理のため繰り返されうる。
図4Bは本発明の一以上の実施形態のフローチャートを示す。図4Bで示される処理は、図1を参照して上述したシステム(100)によって実行されうる。図4Bで示される工程は、本発明の別の実施形態においては省略され、繰返され、及び/又は異なる順番で実行されうる。従って、本発明の複数の実施形態は、図4Bに具体的に示される番号や配置に限定されるものではない。
はじめに、EDが取得され、当該ED中においてテキストストリーム及び該テキストストリームに使用する指定フォントが識別される(ステップ498)。ステップ496で、ページレンダリング装置が指定フォントに対応していないと判定され、該指定フォントの代替フォントとして常駐フォントが識別される。ステップ498及びステップ496はそれぞれ、図4Aを参照しすでに説明されたステップ402及びステップ404と本質的に同一である。
ステップ494で、指定フォントの寸法と常駐フォントの寸法との関係を示すHS率とVS率とが読み出される(例えば、ファイルやルックアップテーブルから読み出される)。HS率は、指定フォントにおける参照文字の水平方向の寸法(すなわち、幅)と、常駐フォントにおける参照文字の対応する水平方向の寸法とを関連付ける。VS率は、指定フォントにおける参照文字の垂直方向の寸法(すなわち、高さ)と、常駐フォントにおける参照文字の対応する垂直方向の寸法とを関連付ける。
ステップ492で、テキストストリーム中の一文字が選択される。ステップ490で、スケーリングされた一文字(大文字又は小文字)が生成される。具体的には、ED中で識別されたフォントと同一のフォントサイズを持つ常駐フォントが、HS率及びVS率に基づいてスケーリングされる。言い換えれば、該文字は、水平方向にHS率でスケーリング(すなわちHS率を掛算)され、垂直方向にVS率でスケーリング(すなわちVS率を掛算)される。
ステップ488で、スケーリングが必要な文字が更にテキストストリーム中に存在しているかが判定される。存在していると判定された場合、処理がステップ492に戻る。そうでない場合、処理がステップ486に進む。
ステップ486で、スケーリングされた文字をページ上に配置してEDをレンダリングする。具体的には、EDのレンダリングは、ページ上(例えば、紙、スライドフィルム、マイクロフィルム、ページ画像を表示するコンピュータモニタの領域、電子書籍リーダー等)におけるスケーリングされた文字の位置/配置を算出し、該ページを印刷及び/又は表示することを含む。
図4Bに示す工程では、テキストストリームが一つ存在する場合についてのみ言及しているが、EDは任意の数のページに含まれる任意の数のテキストストリームを含みうる。従って、図4Bに示す一以上の工程は、複数のテキストストリームに対する処理のため繰り返されうる。
図5は本発明の一以上の実施形態に係る例を示す。図5に示す実施例は、図4Aで示された処理に関連する。この実施例においては、ユーザーは「Now is the time for all good」とのテキストストリームを有するED(500)を作成した。ユーザーはテキストストリームに使用するフォントをフォントOに設定した。それに応じ、ED(500)は「フォントO」をテキストストリームに使用する指定フォントとして記録した。更に、図5に示すように、テキストストリームがフォントO(すなわち指定フォント)で表示される際、テキストストリーム全体は一列に納まる。
ここで、ユーザーがED(500)を印刷するためプリンタに送信するとする。しかし、プリンタはフォントOに対応していない。その代わり、プリンタはフォントS(すなわち常駐フォント)をフォントOの代替フォントとして使用する。仮にフォントSにスケーリングが施されない場合、プリンタによりプリントアウト1(505)が生成される。図5に示すように、プリントアウト1(505)はフォントS(すなわち常駐フォント)のテキストストリームを有する。しかし、図5にまた示されるように、プリントアウト1(505)のテキストストリームは、一列ではなく二列に分断されている。該テキストストリームの最後の単語(すなわち「good」)が列の最後に来るはずであるが、下の列に誤って配置されている。これが、フォントSをフォントOの代替フォントとして使用したことによるレイアウトの不具合である。具体的には、これが、フォントSを、いかなるスケーリングも施さずにフォントOの代替フォントとして使用したことによって引き起こされる、レイアウトの不具合である。
ここで、プリンタが一以上のスケーリングマトリックスをフォントSの文字に適用するとする。言い換えれば、プリンタが、フォントOとフォントSの寸法との関係を示す大文字スケーリングマトリックスと小文字スケーリングマトリックスとを読み出すとする。具体的には、大文字スケーリングマトリックスはUHS率及びUVS率を含み、小文字スケーリングマトリックスはLHS率及びLVS率と、を含む。プリンタはUHS率とUVS率とを、テキストストリームの常駐フォント(すなわちフォントS)の文字「N」に適用しうる。同様に、プリンタはテキストストリームの常駐フォント(すなわちフォントS)のその他の小文字に、LHS率及びLVS率を適用しうる。このスケーリング後、紙上にスケーリングされた文字が位置/配置されてプリントアウト2(510)が生成される。図5に示すように、プリントアウト2(510)は常駐フォントのテキストストリームを有する。しかしプリントアウト1(500)とは異なり、プリントアウト2(510)のテキストストリームの列は一列であり、よってプリントアウト1(500)のようなレイアウトの不具合に悩まされることがない。従って、プリントアウト2(510)のほうが、プリントアウト1(500)よりもED(500)に適合している。
本発明の複数の実施形態は下記に示す利点の一つ以上を有する。すなわち、フォントの代替によるレイアウトの不具合を低減及び/又は最小化できること、大文字スケーリングマトリックス及び小文字スケーリングマトリックスを指定して代替フォントをスケーリングできること、大文字及び小文字に対し異なるスケーリングマトリックスを用いて代替フォントをスケーリングできること、ページレンダリング装置(例えばプリンタ)が対応していないフォント(すなわち指定フォント)を指定するEDを生成できること、対応していない指定フォントについて該指定フォントと常駐フォントとの組み合わせを作成できること、常駐フォントの文字を指定フォントにより適合するように縦方向及び横方向を異なる数値でスケーリングできること、指定フォントを購入することなく指定フォントによく一致させることができること、などである。
本発明の複数の実施形態は、用いられるプラットフォームを問わず、事実上あらゆる種類のコンピュータにおいて実現することができる。例えば、図6に示すように、コンピュータシステム(600)には、一以上のハードウェアプロセッサー(602)(例えば、中央演算処理装置(CPU)など)、関連するメモリー(604)(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリなど)、記憶装置(606)(例えば、ハードディスク、コンパクトディスクドライブやデジタルビデオディスク(DVD)ドライブ等の光学ドライブ、フラッシュメモリースティックなど)及び現在のコンピュータ(図示せず)において一般的な多くのその他要素及び機能が含まれる。コンピュータシステム(600)は、キーボード(608)、マウス(610)、又はマイクロフォン(図示せず)等の入力手段を有しうる。また、コンピュータシステム(600)は、モニター(612)(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、ブラウン管(CRT)モニター)等の出力手段を有しうる。コンピュータシステム(600)は、ネットワークインターフェース接続(図示せず)を介してネットワーク(614)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN)、又はその他の種類のネットワーク)に接続されうる。当業者は、本発明の一以上の実施形態においては、様々な種類のコンピュータシステムが存在し、上述の入力及び出力手段はその他の形式を取りうることを理解するだろう。一般に、コンピュータシステム(600)は、少なくとも本発明の実施形態を実施するのに必要な最低限の処理、入力及び/又は出力手段を有する。
さらに、本発明の一以上の実施形態においては、上述のコンピュータシステム(600)の一以上の要素は遠隔地に位置し、ネットワーク上で他の要素と接続しうる。また、本発明の実施形態は複数のノードを有する分散システムにおいて実現することができ、本発明の各部分は分散システムにおける異なるノードに配置されうる。本発明のある実施形態においては、ノードはコンピュータシステムと対応する。または、ノードは関連する物理メモリーを有するプロセッサーと対応しうる。また、ノードは共有メモリー及び/又は資源を有するプロセッサー又はプロセッサーのマイクロコアに対応しうる。さらに、本発明の実施形態を実行するためのコンピュータ可読プログラムコードの形式であるソフトウェア指示を、コンパクトディスク(CD)、ディスケット、テープ、パンチカード、メモリー、又はその他の有形コンピュータ可読記憶装置等の、有形コンピュータ可読記憶媒体に一時的に又は永久に保存することができる。
本発明は限られた数の実施形態により説明されたが、当業者は本明細書を利用することによって、本明細書において開示される本発明の範囲を逸脱することなく、その他の実施形態を考案することが可能であることを理解するであろう。よって、本発明の範囲は添付されたクレームのみによって限定される。