人の目は部屋の照明の色温度が異なっても、色の変化をあまり感じないようになっており、一般的にこの特性は色順応と呼ばれている。例えば、青っぽい(色温度が高い)蛍光灯照明の部屋から、黄色っぽい(色温度が低い)白熱灯照明の部屋に入ると、部屋の白い壁が最初は黄色っぽく見える。しかし、しばらく経つと黄色っぽく見えていた壁が白く見えるようになる。また、逆に黄色っぽい白熱灯照明の部屋から、青っぽい蛍光灯照明の部屋に入った場合、白い壁が青っぽく見える。しかし、しばらくすると青っぽい壁が、白く見えてくる。
このように人間の視覚に色順応という特性があるために、部屋の照明の色が異なると、テレビの画像の色が同じでも、その画像は異なった色に見えることになる。よって、画像の色味を一定に見えるようにするためには、部屋の照明の色温度により、画像の色味を変化させる必要がある。近年、液晶テレビの高画質化に伴い、部屋の照明の種類によって画像の色味を変えることにより、部屋の照明の色温度が変化しても、自然な画像に見えるようにする機能に対する要望が高まってきている。部屋の色温度を検出して、目の色順応に対応するように画像の色味をコントロールすることができれば、照明光の色が変化しても、映像が自然に見えるようにすることができる。
一般的な液晶テレビでは、マニュアル操作により照明の種類を初期設定で入力し、その照明下で画像が最適な色味になるようにコントロールするように構成されている。大型液晶テレビのように、白熱灯や蛍光灯を照明とする部屋に固定設置して使用される液晶テレビでは、部屋の照明の色温度の変化が少ないため、前記のように、液晶テレビの設置時に一度だけ手動で照明の種類を設定すればよい。しかしながら、携帯電話やモバイルPC等のように持ち運びが可能な機器に搭載される液晶画面の場合、周囲の照明が視聴場所によって刻々と変化する。また、近年のLED照明のように照明の色温度を自由に変更できるような照明の部屋に設置されている液晶テレビについても、同様に照明の色温度が大幅に変化する。そのため、照明の種類をマニュアルで設定する従来の方法では、照明の色温度の変更のたびに照明の種類を再設定する必要があり、煩雑である。
さらに、近年、携帯電話や液晶テレビなどのバックライトの明るさを周囲の明るさに応じて自動的に調光することにより、携帯電話のバッテリー消耗や液晶テレビの消費電力を抑える要望が高まっている。また、液晶画像の視認性を向上させるために、人の視感度特性に近い照度センサの需要が急増してきている。
また、モバイルPC用途においても、光センサを含めた多くのセンサを使用して、使用環境に適合した画像が表示できるようになってきている。電子Bookなどにおいても、環境に適した最適な画像表示を行い、ディプレイの視認性を高める要望が、ますます高まると予想される。さらに、液晶バックライト自動調光用およびディスプレイの色味調整用のカラーセンサでは、デジタル化による高機能化や高精度化だけでなく、より使いやすく、低コストであるとともに、小型化の要望も強くなっている。
携帯電話やデジタルカメラ等の携帯端末において、以上のように周囲の色温度を検知するカラーセンサや、周囲の明るさを検知する照度センサを搭載する他に、近接物体(例えば顔)があるか否かを検知する近接センサを搭載する場合がある。例えば、携帯電話において、近接センサによって顔が近づいているか否かを検知し、顔が近づいている場合(通話時)に、バックライトをOFFし、顔が近づいていない場合(操作時)には、バックライトをONすることにより、消費電力を抑えることができる。また、携帯電話の表示装置がタッチパネルを備えている場合、通話時にタッチパネルの駆動をOFFすることにより、顔が近付いたことによる誤動作を防止することが可能になる。
以下、図17、図18に基づいて、近接センサについて説明する。
図17は、一般的な近接センサ300の構成を示す模式図である。近接センサ300は、発光ダイオード(LED)310、フォトダイオード(PD)320、および制御回路330を備えている。制御回路330は、発光ダイオード310にパルス電流を供給して、発光ダイオード310を駆動させる。これにより、発光ダイオードは特定の光を照射する。近接センサ300の近傍に近接物体340が存在する場合、発光ダイオード310からのパルス光は、実線矢印のように、近接物体340によって反射され、フォトダイオード320によって受光される。一方、近接物体340が存在しない場合、発光ダイオード310からのパルス光は、破線矢印のように、近接物体340によって反射されないので、フォトダイオード320には、発光ダイオード310からのパルス光はほとんど到達しない。
フォトダイオード320は、受光した光を電流に変換して、制御回路330に出力する。制御回路330は、フォトダイオード320からの電流の大きさに基づいて、近接センサ300の近傍に近接物体340が存在するか否かを判定する。
図18は、近接センサ300により近接物体340の近接/非近接を検知した場合を示す波形図であり、(a)は、近接物体340の近接を検知した場合を示し、(b)は、近接物体340の非近接を検知した場合を示す。発光ダイオード310を駆動している期間のデジタル信号DOUTをData1として、発光ダイオード310を駆動していない期間のデジタル信号DOUTをData2とすると、それらのデータの差分(Data1−Data2)が近接データとなる。
図18の(a)に示すように、近接物体340があるときに発光ダイオード310が駆動されると、近接物体340からの反射光が強いため、フォトダイオード320に流れる電流は大きくなる。これにより、近接データ(Data1−Data2)は制御回路330の閾値Data_thを越えるため、近接と判断される。
一方、図18の(b)に示すように、近接物体340がない場合、発光ダイオード310が駆動されていても、フォトダイオード320への入射光が弱いため、フォトダイオード320に流れる電流は小さい。そのため、近接データ(Data1−Data2)は制御回路330の閾値Data_thを越えないので、非近接と判断される。
さらに、近接センサ300は、より正確に近接物体の有無を検知するために、蛍光灯の光や、屋外での薄暗い環境光下の光にはほとんど含まれていない赤外領域の光を発光ダイオード310から照射させるように構成されている。発光ダイオード310から赤外光を照射可能であることにより、近接センサ300は、近接物体までの距離が測定可能な測距センサとして使用することもできる。
図19は、近接センサ300により近接物体340の遠近を検知した場合を示す波形図であり、(a)は、近接物体340が近距離にある場合を示し、(b)は、近接物体340が遠距離にある場合を示す。発光ダイオード310が駆動されている期間のデータData1と、発光ダイオード310が駆動されていない期間のデータData2との差分である近接データ(Data1−Data2)は、検知距離の2乗に反比例する。この近接データ(Data1−Data2)に基づいて、近接センサ300と近接物体340との距離を算出することが可能である。
なお、可視光を用いることにより近接物体までの距離を測定可能であるが、正確な距離を検知するために、一般には、測距センサでは赤外光が用いられる。
しかしながら、フォトダイオードにおける可視光を検出するための領域(色検出領域)からの出力信号には、可視光領域の成分だけでなく、赤外波長域の成分(赤外成分)も含まれている。そのため、カラーセンサとして用いる場合に、正確な色情報を得るためには、色検出領域からの出力信号の赤外成分をカットする必要がある。これに対し、赤外カットフィルタを色検出領域のさらに上部に設けることで、赤外成分をカットすることができる。しかしながら、赤外カットフィルタは高価であるため、製造コストの増加を招くこととなる。
そこで、下記の特許文献1および2では、安価なカラーセンサを実現するため、赤外カットフィルタを用いることなく、正確な色情報を検出可能とする技術が提案されている。
図20は、特許文献1および2において提案されているカラーセンサ400の要部構成を示す回路図である。カラーセンサ400は、フォトダイオード上に、可視光を検出するための色検出領域D(C)と、赤外光を検出するための赤外検出領域D(IR)とを備えている。色検出領域D(C)は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)をそれぞれ検出するための、赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)および青色検出領域D(B)から構成されている。さらにカラーセンサ400は、マルチプレクサMUXと減算回路SUBとを備えている。
ここで、赤外検出領域D(IR)から出力される赤外成分の信号情報をS(IR)とする。また、赤色検出領域D(R)において検出される真に赤色のみの信号情報をS(R)とし、赤色検出領域D(R)で検出される赤外成分の信号情報をS(IRr)とする。同様に、緑色検出領域D(G)において検出される真に緑色のみの信号情報をS(G)とし、緑色検出領域D(G)で検出される赤外成分の信号情報をS(IRg)とする。同様に、青色検出領域D(B)において検出される真に青色のみの信号情報をS(B)とし、青色検出領域D(B)で検出される赤外成分の信号情報をS(IRb)とする。
これにより、赤色検出領域D(R)から出力される信号は、S(R)+S(IRr)となる。以下同様に、緑色検出領域D(G)から出力される信号は、S(G)+S(IRg)となり、青色検出領域D(B)から出力される信号は、S(B)+S(IRb)となる。各色の検出領域からの出力信号は、マルチプレクサMUXに入力され、いずれか1つの信号が選択されて減算回路SUBに入力される。
減算回路SUBは、マルチプレクサMUXの出力信号から赤外検出領域D(IR)からの信号S(IR)を減算する。これにより、減算回路SUBからの出力信号を、赤外成分を含まない真の、赤色S(R)、緑色S(G)、青色S(B)の色情報とみなすことができるとしている。
しかしながら、図21に示すように、一般的なカラーフィルタでは、赤色フィルタと緑色フィルタと青色フィルタとの間で、赤外成分に対する分光感度特性が互いに異なっている。すなわち、図20に示すカラーセンサ400において、S(IRr)、S(IRg)およびS(IRb)の各信号は、互いに異なっている。カラーセンサ400では、減算回路SUBにおける減算量が一定であるので、各色情報の検出精度にばらつきが生じてしまう。
これに対し、特許文献2では、検出領域のサイズを色ごとに異ならせることが記載されている。この構成では、S(IRr)、S(IRg)およびS(IRb)の各信号を、赤外検出領域D(IR)からの信号S(IR)と等しくすることで、減算回路SUBにおける減算量が一定であっても、検出精度の低下を回避することができる。
しかしながら、S(IRr)、S(IRg)およびS(IRb)の各信号を信号S(IR)と等しくすることは、赤外成分に対する分光感度特性が最も低い検出領域からの赤外成分の信号を、信号S(IR)に揃えることを意味する。そのため、各色の検出領域が互いに等しい場合に比べ、色検出領域D(C)のサイズが増加する。
また、各色の検出領域の面積を増加させた場合、フォトダイオードの暗電流の影響も増大するため、各色の検出領域におけるフォトダイオードのS/N比が変化してしまうおそれがある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、簡単な構成で光の色成分を正確に検出可能なセンサを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るセンサは、受光した光の大きさに応じた信号を出力する受光部と、上記受光部の出力信号を演算処理する演算回路とを備えるセンサであって、上記受光部は、可視光のうち特定色の光に感度を有する特定色検出領域と、赤外光に感度を有する赤外検出領域とを備え、上記演算回路は、上記特定色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に上記特定色に対応する所定の係数を乗じた信号を減算することを特徴としている。
上記の構成によれば、受光部は、特定色の光に感度を有する特定色検出領域と、赤外光に感度を有する赤外検出領域とを備え、特定色検出領域から特定色の光に応じた信号が出力され、赤外検出領域から赤外光に応じた信号が出力される。ここで、特定色検出領域の出力信号には、特定色の成分だけでなく赤外成分も含まれている。これに対し、演算回路は、特定色検出領域の出力信号から、赤外検出領域の出力信号に特定色に対応する所定の係数を乗じた信号を減算する。よって、特定色検出領域の出力信号に含まれる赤外成分を、赤外検出領域の出力信号によって除した値を、上記所定の係数とすることにより、赤外成分を含まない真の特定色の色情報を得ることができる。また、特定色検出領域が複数設けられている場合でも、従来構成のように、各領域の面積を変更する必要がない。そのため、特定色検出領域の面積を増加させる必要がない。したがって、簡単な構成で光の色成分を正確に検出可能なセンサを提供することができる。
本発明に係るセンサでは、上記演算回路は、上記赤外検出領域の出力信号に上記所定の係数を乗じる乗算回路と、上記特定色検出領域の出力信号から上記乗算回路の出力信号を減算する減算回路とを備えていてもよい。
上記の構成によれば、赤外成分を含まない真の特定色の色情報が減算回路から出力される。
本発明に係るセンサでは、上記受光部の出力信号は電流信号であり、上記演算回路は、上記赤外検出領域の出力電流信号をアナログ‐デジタル変換する第1のアナログ‐デジタル変換回路と、上記赤外検出領域の出力電流信号に上記所定の係数を乗じた電流信号を出力する電流出力回路と、上記特定色検出領域の出力電流信号から、上記電流出力回路の出力電流信号を減算した電流をアナログ‐デジタル変換する第2のアナログ‐デジタル変換回路とを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、乗算回路および減算回路を必要としないため、回路規模をさらに小さくすることが可能になる。
本発明に係るセンサでは、上記特定色検出領域は、赤色光に感度を有する赤色検出領域と、緑色光に感度を有する緑色検出領域と、青色光に感度を有する青色検出領域と、を含み、上記演算回路は、上記赤色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に第1の係数を乗じた信号を減算し、上記緑色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に第2の係数を乗じた信号を減算し、上記青色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に第3の係数を乗じた信号を減算することが好ましい。
上記の構成によれば、赤色、緑色および青色に対応する上記所定の係数として、第1〜第3の係数がそれぞれ用いられる。赤色検出領域、緑色検出領域および青色検出領域の各出力信号に含まれる赤外成分を、赤外検出領域の出力信号によって除した値を、それぞれ第1〜第3の係数とすることにより、赤外成分を含まない真の赤色、緑色および青色の色情報を得ることができる。これにより、受光部が受光した光の色温度を正確に検知することができる。
本発明に係るセンサでは、上記演算回路は、上記赤外検出領域の出力信号に第1の係数を乗じる第1の乗算回路と、上記赤外検出領域の出力信号に第2の係数を乗じる第2の乗算回路と、上記赤外検出領域の出力信号に第3の係数を乗じる第3の乗算回路と、上記赤色検出領域、上記緑色検出領域および上記青色検出領域の各出力信号のいずれかの信号を選択して出力する第1の選択回路と、第1〜第3の乗算回路の各出力信号のいずれかの信号を選択して出力する第2の選択回路と、第1の選択回路の出力信号から上記第2の選択回路の出力信号を減算する減算回路と、を備え、第2の選択回路が第1の乗算回路を選択している場合に、第1の選択回路は上記赤色検出領域の出力信号を選択し、第2の選択回路が第2の乗算回路を選択している場合に、第1の選択回路は上記緑色検出領域の出力信号を選択し、第2の選択回路が第3の乗算回路を選択している場合に、第1の選択回路は上記青色検出領域の出力信号を選択することが好ましい。
上記の構成によれば、第2の選択回路が第1の乗算回路を選択し、第1の選択回路が赤色検出領域の出力信号を選択しているときに、減算回路から赤外成分を含まない真の赤色の色情報が出力される。また、第2の選択回路が第2の乗算回路を選択し、第1の選択回路が緑色検出領域の出力信号を選択しているときに、減算回路から赤外成分を含まない真の緑色の色情報が出力される。さらに、第2の選択回路が第3の乗算回路を選択し、第1の選択回路が青色検出領域の出力信号を選択しているときに、減算回路から赤外成分を含まない真の青色の色情報が出力される。
本発明に係るセンサでは、上記演算回路は、上記赤外検出領域の出力信号に第1の係数を乗じる第1の乗算回路と、上記赤外検出領域の出力信号に第2の係数を乗じる第2の乗算回路と、上記赤外検出領域の出力信号に第3の係数を乗じる第3の乗算回路と、上記赤色検出領域の出力信号から第1の乗算回路の出力信号を減算する第1の減算回路と、上記緑色検出領域の出力信号から第2の乗算回路の出力信号を減算する第2の減算回路と、上記青色検出領域の出力信号から第3の乗算回路の出力信号を減算する第3の減算回路と、を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、赤外成分を含まない真の赤色、緑色および青色の各色情報が第1〜第3の減算回路からそれぞれ出力される。
本発明に係るセンサでは、上記受光部の出力信号は電流信号であり、上記演算回路は、上記赤外検出領域の出力電流信号をアナログ‐デジタル変換する第1のアナログ‐デジタル変換回路と、上記赤色検出領域、上記緑色検出領域および上記青色検出領域の各出力電流信号のいずれかの信号を選択して出力する選択回路と、上記赤外検出領域の出力電流信号に上記所定の係数を乗じた電流信号を出力する電流出力回路と、上記特定色検出領域の出力電流信号から、上記電流出力回路の出力電流信号を減算した電流をアナログ‐デジタル変換する第2のアナログ‐デジタル変換回路とを備え、上記選択回路が上記赤色検出領域の出力電流信号を選択している場合に、上記電流出力回路は、上記赤外検出領域の出力電流信号に第1の係数を乗じた電流信号を出力し、上記選択回路が上記緑色検出領域の出力信号を選択している場合に、上記電流出力回路は、上記赤外検出領域の出力電流信号に第2の係数を乗じた電流信号を出力し、上記選択回路が上記青色検出領域の出力電流信号を選択している場合に、上記電流出力回路は、上記赤外検出領域の出力信号に第3の係数を乗じた電流信号を出力することが好ましい。
上記の構成によれば、選択回路が赤色検出領域の出力電流信号を選択し、電流出力回路が、赤外検出領域の出力電流信号に第1の係数を乗じた電流信号を出力しているときに、第2のアナログ‐デジタル変換回路から赤外成分を含まない真の赤色の色情報が出力される。また、選択回路が緑色検出領域の出力電流信号を選択し、電流出力回路が、赤外検出領域の出力電流信号に第2の係数を乗じた電流信号を出力しているときに、第2のアナログ‐デジタル変換回路から赤外成分を含まない真の緑色の色情報が出力される。さらに、選択回路が青色検出領域の出力電流信号を選択し、電流出力回路が、赤外検出領域の出力電流信号に第3の係数を乗じた電流信号を出力しているときに、第2のアナログ‐デジタル変換回路から赤外成分を含まない真の青色の色情報が出力される。
本発明に係るセンサでは、上記選択回路の選択動作は、時系列で切り替えられることが好ましい。
上記の構成によれば、乗算回路および減算回路、またはアナログ‐デジタル変換回路の数を増やすことなく、小規模なカラーセンサを提供できる。
本発明に係るセンサでは、上記赤色検出領域、緑色検出領域、青色検出領域および赤外検出領域の各領域は、互いに面積が等しく、
第1の係数は1.0〜3.0であり、第2の係数は1.0〜3.0であり、第3の係数は1.0〜3.0であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1〜第3の係数は、一般的なフォトダイオードの分光感度特性と一般的なカラーフィルタの分光感度特性とを考慮した値であるので、正確な色情報を得ることができる。
本発明に係るセンサでは、第1の係数は2.2であり、第2の係数は2.0であり、第3の係数は2.0であることが好ましい。
上記の構成によれば、最も正確な色情報を出力できる。
本発明に係るセンサでは、上記緑色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に第2の係数を乗じた信号を減算した信号を、照度情報として出力することが好ましい。
上記の構成によれば、緑色検出領域の分光感度特性は赤外成分が含まれないため、視感度特性(550nm)に近似した分光特性を有している。そのため、センサの分光感度特性を視感度に高精度に近づけることで、視認性を向上させることが可能になる。
本発明に係るセンサでは、第1のアナログ‐デジタル変換回路は、上記赤外検出領域の出力電流信号に応じた電荷を蓄える積分コンデンサを備え、当該積分コンデンサが蓄える電荷量に対応する電圧を出力する積分回路と、上記積分回路の出力電圧と基準電圧との互いの高低を比較して、その比較結果を2値のパルス信号として出力する比較回路と、上記パルス信号をクロック信号に同期して取り込んでビットストリーム信号を出力するフリップフロップ、および、当該ビットストリーム信号のアクティブパルスを計数するカウンタを備え、当該カウンタによる計数結果を第1のアナログ‐デジタル変換回路の出力値として出力する出力回路と、上記ビットストリーム信号のアクティブパルス期間に電流を出力して上記積分コンデンサを放電させる放電回路とを備える積分型アナログ‐デジタル変換回路であり、上記電流出力回路は、上記ビットストリーム信号のアクティブパルス期間に電流信号を出力することが好ましい。
上記の構成によれば、アクティブパルス期間の合計した長さが、赤外検出領域の出力電流信号の大きさに応じたものとなる。出力回路の出力パルス電流が積分回路で積分される(すなわち平均化される)ことで、赤外検出領域の出力電流信号を所定係数倍した電流を得ることができる。第2のアナログ‐デジタルは、特定色検出領域の出力電流信号から上記の所定係数倍した電流を減算した電流に対し、アナログ‐デジタル変換することにより、正確な色情報を出力できる。
本発明に係るセンサでは、第2のアナログ‐デジタル変換回路のアナログ‐デジタル変換期間における上記電流出力回路の出力電流の平均値は、上記赤外検出領域の出力電流の上記係数倍であり、上記係数は変更可能であることが好ましい。
上記の構成によれば、係数を調整して色情報の出力精度を向上することが可能になる。
本発明に係るセンサでは、第2アナログ‐デジタル変換回路は、第1アナログ‐デジタル変換回路と同じ回路構成を有することが好ましい。
上記の構成によれば、第2アナログ‐デジタル変換回路も、簡単な構成で高精度な分解能を実現することが可能になる。
本発明に係るセンサでは、上記特定色検出領域は、可視光領域に感度のピークを有する第1の受光素子と、第1の受光素子の上部に設けられる上記特定色のカラーフィルタとを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、特定色の光に感度を有する検出領域が形成される。
本発明に係るセンサでは、上記特定色検出領域は、可視光領域に感度のピークを有する第1の受光素子と、赤外光領域に感度のピークを有する第2の受光素子と、第1および第2の受光素子の上部に設けられる上記特定色のカラーフィルタとを備え、第1の受光素子のカソードと第2の受光素子のカソードとが接続されていてもよい。
上記の構成によれば、第1の受光素子の受光電流と第2の受光素子の受光電流とを合算した電流が特定色検出領域から出力される。
本発明に係るセンサでは、上記赤外検出領域は、赤外光領域に感度のピークを有する第2の受光素子を備えていてもよい。
本発明に係るセンサでは、上記赤外検出領域は、可視光領域に感度のピークを有する第1の受光素子と、赤外光領域に感度のピークを有する第2の受光素子とを備え、第1の受光素子は、アノードとカソードとが短絡されていてもよい。
上記の構成によれば、第2の受光素子の受光電流のみが赤外検出領域から出力される。
本発明に係るセンサでは、上記赤外検出領域は、上記受光素子の上部に、赤色光から赤外光に感度を有するカラーフィルタを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、赤外検出領域での赤外検出成分をより赤外波長側に移行することになり、特に赤色の分光特性を向上することができる。また、特に緑色のピーク感度を向上させることができるので、さらに精度の高い色情報を得ることができる。
本発明に係るセンサでは、上記受光素子には、バイアス電圧が印加されないことが好ましい。
上記の構成によれば、第1または第2の受光素子の暗電流を抑制することが可能になり、正確に低感度の測定を行なうことができる。
本発明に係る表示装置は、画面を表示する表示パネルと、上記表示パネルを照射するバックライトと、上記バックライトを制御するバックライト制御部と、上記いずれかのセンサとを備え、上記バックライト制御部は、上記演算回路の出力信号に基づいて、上記バックライトの色彩を制御することを特徴としている。
上記の構成によれば、表示装置は、周囲光の色成分を正確に検出できるセンサを備えているので、目の色順応に対応するように表示パネルの画面の色味を正確に制御することができる。
本発明に係る表示装置では、緑色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に第2の係数を乗じた信号を減算した信号を、照度情報として出力するセンサを備え、上記バックライト制御部は、上記照度情報に基づいて上記バックライトの輝度を制御することが好ましい。
上記の構成によれば、緑色検出領域D(G)の分光感度特性は赤外成分が含まれないため、視感度特性(550nm)に近似した分光特性を有しているため、センサは、緑色成分の色情報に基づいて、正確な照度情報を検知することができる。表示装置は、当該センサを備えているので、周囲光の照度に応じて、画面の明るさを正確に制御することができる。
本発明に係る表示装置では、上記センサは、光を照射可能な発光体をさらに備え、上記バックライト制御部は、上記演算回路の出力信号に基づいて、上記バックライトのON/OFFを制御することが好ましい。
上記の構成によれば、センサは、光を照射可能な発光体をさらに備えることにより、近接センサとして機能する。近接物体(顔など)の有無に基づいて、バックライト制御部がバックライトをON/OFF制御することにより、バックライトの消費電力を抑えることができる。
本発明に係る表示装置では、上記発光体が照射可能な光は赤外光であり、上記バックライト制御部は、上記赤外検出領域の出力信号に基づいて、上記バックライトのON/OFFを制御することが好ましい。
上記の構成によれば、赤外検出領域の出力信号から近接物体の有無や近接物体までの距離がより正確に検知できるので、バックライト制御部は、バックライトをON/OFF制御をより適切に行うことができる。
以上のように、本発明に係るセンサは、受光した光の大きさに応じた信号を出力する受光部と、上記受光部の出力信号を演算処理する演算回路とを備えるセンサであって、上記受光部は、可視光のうち特定色の光に感度を有する特定色検出領域と、赤外光に感度を有する赤外検出領域とを備え、上記演算回路は、上記特定色検出領域の出力信号から、上記赤外検出領域の出力信号に上記特定色に対応する所定の係数を乗じた信号を減算する構成である。したがって、簡単な構成で光の色成分を正確に検出可能なセンサを提供できるという効果を奏する。
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について、図1〜図8に基づいて詳細に説明すると以下の通りである。
(カラーセンサ1の構成)
図1は、本実施形態に係るカラーセンサ1の構成を示す模式図である。カラーセンサ1は、フォトダイオード(PD)2および制御回路3を備えている。フォトダイオード2は、特許請求の範囲に記載の受光部に相当し、受光した光を電流に変換して当該光の大きさに応じた信号を制御回路3に出力する。制御回路3は、フォトダイオード2からの電流の大きさに基づいて、カラーセンサ1の周囲光の色情報(色温度)を検知する。
図2は、図1に示すカラーセンサ1の要部構成を示す回路図である。カラーセンサ1のフォトダイオード2は、可視光を検出するための色検出領域D(C)と、赤外光を検出するための赤外検出領域D(IR)とを備えている。色検出領域D(C)は、赤色(R)を検出するための赤色検出領域D(R)、緑色(G)を検出するための緑色検出領域D(G)および青色(B)を検出するための青色検出領域D(B)から構成されている。
赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)および青色検出領域D(B)の各領域は、特許請求の範囲に記載の特定色検出領域に対応する。また、赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)、青色検出領域D(B)および赤外検出領域D(IR)の各領域は、面積が互いに等しく、例えば矩形領域に田の字に配置されている。
カラーセンサ1の制御回路3は、演算回路3aを含んでいる。演算回路3aは、2つのマルチプレクサ(選択回路)MUX1・MUX2と、減算回路SUBと、3つの乗算回路MUL1〜MUL3とを備えている。
赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)および青色検出領域D(B)は、マルチプレクサMUX1の3つの入力端子にそれぞれ接続されている。マルチプレクサMUX1の出力端子は、減算回路SUBの正入力端子に接続されている。
また、赤外検出領域D(IR)は、3つの乗算回路MUL1〜MUL3の各入力端子に接続されており、3つの乗算回路MUL1〜MUL3の各出力端子は、マルチプレクサMUX2の3つの入力端子にそれぞれ接続されている。マルチプレクサMUX2の出力端子は、減算回路SUBの負入力端子に接続されている。
本実施形態に係るカラーセンサ1と、図20に示す従来のカラーセンサ400とを比較すると、カラーセンサ1の色検出領域D(C)、赤外検出領域D(IR)、マルチプレクサMUX1および減算回路SUBの各構成は、カラーセンサ400の色検出領域D(C)、赤外検出領域D(IR)、マルチプレクサMUXおよび減算回路SUBの各構成とそれぞれ同一である。すなわち、カラーセンサ1は、従来のカラーセンサ400において、マルチプレクサMUX2と、3つの乗算回路MUL1〜MUL3とをさらに備えた構成である。
(信号の演算処理)
前述のように、3つの色検出領域からの出力信号には、可視光領域の成分だけでなく、赤外成分も含まれており、さらに、赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)および青色検出領域D(B)でそれぞれ検出される赤外成分の信号S(IRr)、S(IRg)およびS(IRb)は互いに異なっている。そこで、各信号S(IRr)、S(IRg)およびS(IRb)の大きさを、
S(IRr)=α×S(IR)
S(IRg)=β×S(IR)
S(IRb)=γ×S(IR)
とする。なお、S(IR)は、赤外検出領域D(IR)から出力される赤外成分の信号である。
これにより、赤色検出領域D(R)から出力される信号は、S(R)+S(IRr)=S(R)+α×S(IR)となる。同様に、緑色検出領域D(G)から出力される信号は、S(G)+S(IRg)=S(G)+β×S(IR)となり、青色検出領域D(B)から出力される信号は、S(B)+S(IRb)=S(B)+γ×S(IR)となる。なお、S(R)は赤色検出領域D(R)において検出される真に赤色のみの信号であり、S(G)は緑色検出領域D(G)において検出される真に緑色のみの信号であり、S(B)は青色検出領域D(B)において検出される真に青色のみの信号である。
それぞれの色検出領域からの出力信号はマルチプレクサMUX1に入力され、いずれか1つの信号が選択されて減算回路SUBの正入力端子に入力される。
乗算回路MUL1、MUL2およびMUL3はそれぞれ、係数がα倍、β倍およびγ倍にあらかじめ設定されている。これにより、乗算回路MUL1からα×S(IR)の信号が出力され、乗算回路MUL2からβ×S(IR)の信号が出力され、乗算回路MUL3からγ×S(IR)の信号が出力される。これらの出力信号は、マルチプレクサMUX2に入力され、いずれか1つの信号が選択されて減算回路SUBの負入力端子に入力される。なお、α、βおよびγはそれぞれ、特許請求の範囲に記載の第1の係数、第2の係数および第3の係数に相当する。
2つのマルチプレクサMUX1、MUX2には、図示しないセレクト信号が入力され、マルチプレクサMUX1、MUX2による信号選択は、時系列で切り替えられる。具体的には、マルチプレクサMUX1が赤色検出領域D(R)からの出力信号を選択しているときには、マルチプレクサMUX2は、乗算回路MUL1からの出力信号を選択し、マルチプレクサMUX1が赤色検出領域D(G)からの出力信号を選択しているときには、マルチプレクサMUX2は、乗算回路MUL2からの出力信号を選択し、マルチプレクサMUX1が赤色検出領域D(B)からの出力信号を選択しているときには、マルチプレクサMUX2は、乗算回路MUL3からの出力信号を選択する。
減算回路SUBは、マルチプレクサMUX1の出力信号からマルチプレクサMUX2の出力信号を減算するように動作する。これにより、減算回路SUBから、赤外成分を含まない真の、赤色、緑色、青色の色情報を示す信号S(R)、S(G)、S(B)がそれぞれ出力される。
このように、本実施形態に係るカラーセンサ1では、赤色検出領域D(R)、緑色検出領域D(G)、青色検出領域D(B)および赤外検出領域D(IR)の各領域の面積を、従来のカラーセンサ400から変更することなく、正確な色情報を得ることができる。そのため、色検出領域D(R)の面積を増加させる必要がなく、カラーセンサの大型化およびコスト増加を回避することができる。
なお、赤外検出領域D(IR)からの出力信号S(IR)をそのまま赤外光の強度検出に用いることもできる。
また、各色の検出領域を増加させた場合、フォトダイオードの暗電流の影響も増大するため、各色の検出領域におけるフォトダイオードのSNが変化してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、各色の検出領域におけるフォトダイオードの特性を互いに等しくすることができる。そのため、色情報の検出精度を向上させることができる。よって、カラーセンサ1は、安価で小規模な構成で、周囲光の色温度を正確に検出することができる。
なお、マルチプレクサMUX1、MUX2を制御するセレクト信号は、カラーセンサ1の外部の制御回路から入力してもよいし、あるいは、カラーセンサ1内部で生成してもよい。また、マルチプレクサMUX1、MUX2による信号選択の切り替え順序や、切り替えの同期/非同期などについては、特に限定されない。
(カラーセンサ1の変形例)
なお、減算回路を3つ設けることにより、マルチプレクサMUX1・MUX2を省略することが可能である。その具体例を図3に示す。
図3は、本実施形態の変形例に係るカラーセンサ1’の要部構成を示す回路図である。カラーセンサ1’は、図2に示すカラーセンサ1において、演算回路3aを演算回路3a’に置き換えた構成である。演算回路3a’は、演算回路3aにおいて、マルチプレクサMUX1・MUX2を省略し、減算回路SUBの代わりに、3つの減算回路SUB1〜SUB3を備えた構成である。
減算回路SUB1は、正入力端子が赤色検出領域D(R)の出力部に接続され、負入力端子が乗算回路MUL1の出力端子に接続されている。減算回路SUB2は、正入力端子が緑色検出領域D(G)の出力部に接続され、負入力端子が乗算回路MUL2の出力端子に接続されている。減算回路SUB3は、正入力端子が青色検出領域D(B)の出力部に接続され、負入力端子が乗算回路MUL3の出力端子に接続されている。
これにより、減算回路SUB1〜SUB3のそれぞれから、赤外成分を含まない真の、赤色、緑色、青色の色情報を示す信号S(R)、S(G)、S(B)が出力される。このような構成も、本発明に含まれる。
(色検出領域および赤外検出領域の構造)
続いて、図2および図4に示す色検出領域D(C)および赤外検出領域D(IR)の構造の一例を、図4〜図6を参照して説明する。以下では、一般的なP基板の半導体基板上に、色検出領域D(C)または赤外検出領域D(IR)を形成する例について説明する。
図4は、色検出領域D(C)の一例を示す縦構造図である。図4に示すように、P基板(Psub)には、Nウェル(Nwell)と、Nウェルの中に形成されるP拡散層(Pdif)とが形成されている。P基板と、Nウェルとの接合領域において、深い接合のフォトダイオードPDirが形成されている。また、Nウェルと、P拡散層との接合領域において、浅い接合のフォトダイオードPDvisが形成されている。また、P基板面には、赤色、緑色または青色のカラーフィルタCFが塗布されている。なお、P基板面とカラーフィルタCFとの間には、図示しない層間膜などが設けられる。
フォトダイオードPDirのアノードとフォトダイオードPDvisのアノードとはGNDに接続されている。また、フォトダイオードPDirのカソードとフォトダイオードPDvisのカソードとは、互いに接続されている。これにより、フォトダイオードPDirのカソードとフォトダイオードPDvisのカソードとの接続点では、フォトダイオードPDirでの受光電流IirとフォトダイオードPDvisでの受光電流Ivisとを合わせた電流Iallが流れる。すなわち、色検出領域D(C)からは、接合が異なる2つのフォトダイオードPDvis、PDirの各受光電流が合算されて出力される。
一方、図5は、赤外検出領域D(IR)の一例を示す縦構造図である。赤外検出領域D(IR)は、図4に示す色検出領域D(C)において、フォトダイオードPDvisのアノードを接地する代わりに、フォトダイオードPDirのカソードに接続し、カラーフィルタCFを省略した構造である。このように、フォトダイオードPDvisのアノードとカソードとを短絡することにより、赤外検出領域D(IR)からは、フォトダイオードPDirでの受光電流Iirのみが出力される。
ここで、P基板の上部からのみ光が入射するものとすると、接合が浅い部分に形成されるフォトダイオードPDvisと、接合が深い部分に形成されるフォトダイオードPDirとでは、一般的にその分光感度特性が異なる。
その具体例を図6に示す。実線はフォトダイオードPDvisの分光感度特性を示し、点線はフォトダイオードPDirの分光感度特性を示している。また、破線は、それらの分光感度特性の合計を示している。このように、浅い接合のフォトダイオードPDvisは可視光領域をピークに赤外成分まで感度を持ち、深い接合のフォトダイオードPDirは赤外光領域にピーク感度を持つ。
したがって、図4に示す色検出領域D(C)は、赤色、緑色または青色のカラーフィルタCFを塗布することにより、赤色、緑色または青色の各成分にピーク感度を持つとともに、赤外成分に対してもカラーフィルタCFの種類ごとに異なる感度を持つ。
また、図5に示す赤外検出領域Dは、図6の破線に示すように、赤外成分にピーク感度を持つ。
なお、赤外検出領域Dに赤色光から赤外光に感度を有するカラーフィルタを塗布してもよい。これにより、赤外検出領域D(IR)での分光感度特性を、より赤外波長側に移行させることができ、特に赤色検出領域D(R)の分光特性を向上することができる。また、特に緑色検出領域D(G)のピーク感度を向上させることができるので、さらに精度の高い色情報を得ることができる。また緑色成分の感度の増加分、緑色検出領域D(G)の面積を縮小することも可能となるので、カラーセンサ1をさらに小型化できる。
(演算回路における演算例)
図2に示すカラーセンサ1では、乗算回路MUL1〜MUL3において、赤外検出領域D(IR)の出力信号S(IR)に所定の係数を乗じ、それらの乗算結果を、減算回路SUBにおいて、各色の検出領域D(R)、D(G)、D(B)の出力信号から減算している。これにより、各色の検出領域D(R)、D(G)、D(B)の出力信号から赤外成分を取り除いた信号S(R)、S(G)、S(B)が出力される。一例では、信号S(R)を出力するための係数αを2.0とし、信号S(G)およびS(B)を出力するための係数β、γをともに1.8としている。その結果を図7に示す。
図7は、上記のように各色の検出領域の出力信号から赤外成分を取り除いた場合のカラーセンサ1の各色ごとの分光特性を示すグラフである。カラーセンサ1によって、赤色、緑色および青色の各色にピーク感度を有する色検出情報が容易に検出できることがわかる。
なお、上記の係数α、βおよびγの値は、一例であり、係数α、βおよびγは、1.0〜3.0の範囲で適宜設定することにより、正確な色情報を得ることができる。
また、他の一例では、カラーセンサ1において、赤外検出領域D(IR)に赤色のカラーフィルタを塗布し、信号S(R)を出力するための係数αを2.2とし、信号S(G)およびS(B)を出力するための係数β、γをともに2.0としている。その結果を図8に示す。
図8に示す分光特性では、図7に示す分光特性に比べて、特に緑色のピーク感度が50%以上増加している。図5のグラフにおいて、赤外成分にピーク感度を持つフォトダイオードPDirは、500nm〜600nmの波長に対する感度を若干有している。そのため、緑色検出領域D(G)の出力信号からβ×S(IR)を減算して赤外成分を除去すると、S(IR)の緑色成分も減算していることとなる。一方、図21に示すように、赤色フィルタは、500nm〜550nmの波長の光をほとんど透過しない。そのため、赤外検出領域D(IR)に赤色のカラーフィルタを塗布することにより、可視光の検出特性への影響を抑え、赤外成分を効率的に減算することが可能となる。
緑色成分の検出結果は、後述するように照度情報として好適である。また緑色成分の感度の増加分、緑色検出領域D(G)の面積を縮小することも可能となる。
さらに、図8における赤色分光特性を、図7における赤色分光特性と比べてみると、図7における赤色分光特性は、赤外領域に感度の山を有していたが、図8における赤色分光特性は、赤外領域における感度の山を有していない。そのため、赤色の検出精度が向上できたことがわかる。
なお、図2に示すカラーセンサ1では、マルチプレクサMUX1、MUX2、乗算回路MUL1〜MUL3および減算回路SUBの各回路に入出力される信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。例えば、色検出領域D(C)とマルチプレクサMUX1との間、および赤外検出領域D(IR)と乗算回路MUL1〜MUL3との間にアナログ−デジタル変換回路を設けてもよいし、減算回路SUBの後段にアナログ−デジタル変換回路を設けてもよい。また、乗算回路MUL1〜MUL3および減算回路SUBは、一般的なデジタル回路であってもよいし、カレントミラーを用いたアナログ回路であってもよい。
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、図9〜図13に基づいて詳細に説明すると以下の通りである。本実施形態では、前記実施形態1に比べ、演算回路の規模をさらに削減した構成について説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態1において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(カラーセンサ11の構成)
以下、図9に基づいて、本実施形態におけるカラーセンサの構成について説明する。
図9は、本実施形態に係るカラーセンサ11の要部構成を示す回路図である。カラーセンサ11は、フォトダイオード2および演算回路13aを備えている。フォトダイオード2の色検出領域D(C)および赤外検出領域D(IR)は、図2に示すカラーセンサ1におけるものと同一である。すなわち、本実施形態に係るカラーセンサ11は、カラーセンサ1において、演算回路3aを演算回路13aに置き換えた構成である。
演算回路13aは、マルチプレクサMUX1および2つのアナログ−デジタル変換回路ADC1・ADC2および電流出力回路COを備えている。赤外検出領域D(IR)の出力部は、アナログ−デジタル変換回路ADC1(第1のアナログ‐デジタル変換回路)の入力端子に接続されている。また、マルチプレクサMUX1の出力端子は、アナログ‐デジタル変換回路ADC2(第2のアナログ‐デジタル変換回路)の入力端子と電流出力回路COとの接続点に接続されている。
色検出領域D(C)と赤外検出領域D(IR)とは、光の波長に対する分光感度特性が異なり、赤外検出領域D(IR)には、赤外領域の光の受光量に応じた電流Iin1が流れ、色検出領域(C)には、可視波長域〜赤外波長域の光の受光量に応じた電流Iin2が流れるものとする。また以下の説明では、マルチプレクサMUX1では、アナログ信号が入出力され、マルチプレクサMUX1は、赤色検出領域D(R)の出力信号を選択しているものとする。すなわち、Iin2=S(R)+α×S(IR)であり、Iin1=S(IR)である。
アナログ‐デジタル変換回路ADC1は、赤外検出領域D(IR)に流れる電流Iin1をアナログ‐デジタル変換して、結果としてデジタル値ADCOUT1を出力する。また、アナログ‐デジタル変換回路ADC1は、ビットストリーム信号chargelを電流出力回路COに出力する。
電流出力回路COは、ビットストリーム信号chargelに基づいて、赤外検出領域D(IR)に流れる電流Iin1に応じた電流Iin1×αを出力する。なお、αは、所定の係数であり、αを調整することにより、赤外成分が含まれない、各色の真の色情報をアナログ‐デジタル変換回路ADC2から出力することができる。
アナログ‐デジタル変換回路ADC2は、電流Iin2から、電流出力回路COから出力される電流Iin1×αを減算した電流(Iin2−Iin1×α)をアナログ‐デジタル変換して、結果としてデジタル値ADCOUT2を出力する。Iin1×α=α×S(IR)であるため、ADCOUT2=S(R)となる。そのため、赤外成分が含まれず正確な赤色成分の情報を出力することができる。
上記構成によれば、アナログ‐デジタル変換回路ADC2において、電流(Iin2−Iin1×α)に対しアナログ‐デジタル変換し、変換結果としてデジタル値ADCOUT2を出力する。そのため、赤外成分が含まれない各色の正確な色温度を検知することができる。また、アナログ‐デジタル変換回路ADC2の後段の演算処理手段は、CPUやMPUの制御により、デジタル値ADCOUT2に対しソフトウェアで容易に処理することができる。
(アナログ‐デジタル変換回路の構成)
以下、図10および図11に基づいて、本実施形態におけるアナログ‐デジタル変換回路ADC1・ADC2について説明する。本実施形態において、アナログ‐デジタル変換回路ADC1とアナログ‐デジタル変換回路ADC2とは、同じ構成を有するため、区別しない場合にはアナログ‐デジタル変換回路ADCと総称して説明する。また、アナログ‐デジタル変換回路ADC1・ADC2にそれぞれ入力される電流Iin1・Iin2をIinと総称する。
図10は、本実施形態におけるアナログ‐デジタル変換回路ADCの構成を示す回路図であり、図11は、本実施形態におけるアナログ‐デジタル変換回路ADCの動作を示す波形図である。
図10に示すように、アナログ‐デジタル変換回路ADCは、電荷を蓄える充電回路(積分回路)14と、電荷を放電する放電回路15と、充電回路14の出力電圧Vsigと基準電圧Vrefとの互いの高低を比較する比較回路16と、比較回路16による比較結果である出力信号compに基づいてデジタル値ADCOUTを出力する制御回路(出力回路)17とを含んで構成されている。
充電回路14には、積分器を構成するアンプAMP1およびコンデンサ(積分コンデンサ)C1とが設けられており、コンデンサC1に入力電流Iinに応じた電荷が蓄えられる。
放電回路15には、コンデンサC1に蓄えられた電荷を放電するための基準電流IREFを発生する基準電流源Irefと、放電のON/OFFを切り替えるためのスイッチSW2とが設けられている。
比較回路16には、比較器CMP1と、スイッチSW1とが設けられている。比較器CMP1は、充電回路14の出力電圧Vsigと基準電圧源V1が発生する基準電圧Vrefとを比較して信号compを出力する。スイッチSW1のON/OFFにより、入力される電流Iinがデジタル値ADCOUTに変換されるデータ変換期間が決定される。スイッチSW1がONされると、基準電圧源V1が発生する基準電圧Vrefは充電回路14に接続され、コンデンサC1が充電される。スイッチSW1がOFFされると、充電回路14の出力電圧Vsigと基準電圧Vrefとが比較器CMP1により比較され、その比較結果としての出力信号compは「Hihg」と「Low」との2値のパルス信号として制御回路17に入力される。スイッチSW1がOFFされている期間に、入力される電流Iinがデジタル値ADCOUTに変換される。
制御回路17には、フリップフロップFFと、カウンタCOUNTとが設けられている。フリップフロップFFにより、比較回路16の出力信号compがラッチされ、その結果としてのビットストリーム信号chargeは、放電回路15とカウンタCOUNTとにそれぞれ入力される。ここで、カウンタCOUNTは、ビットストリーム信号chargeのLOWレベル回数(放電回数)を計数する。すなわち、カウンタCOUNTは、アクティブパルスを計数することで、その計数結果を、入力された電流Iinに応じたアナログ‐デジタル変換値であるデジタル値ADCOUTとして出力する。
放電回路15のスイッチSW2は、ビットストリーム信号chargeに基づいてON/OFFされる。放電回路15のスイッチSW2がONされると、放電回路15により、充電回路14のコンデンサC1に電荷が蓄えられる。スイッチSW2がOFFされると、入力される電流Iinに応じて充電回路14のコンデンサC1の電荷が放電される。
以下、図11に基づいて、アナログ‐デジタル変換回路ADCの動作について具体的に説明する。
スイッチSW1にHighレベルの信号が入力されると、該スイッチSW1はOFFされ、入力される電流Iinのデジタル値ADCOUTへの変換が開始される。
また、スイッチSW2にHighレベルの信号が入力されると、該スイッチSW2はOFFされ、電流Iinに応じて充電回路のコンデンサC1に蓄えられた電荷が放電される(プリチャージ動作)。これにより、充電回路14の出力電圧Vsigは低下していく。最初に充電回路の出力電圧Vsigと基準電圧Vrefとが同じように設定されているため、この期間において、充電回路14の出力電圧Vsigは基準電圧Vrefを下回る。
その後、スイッチSW2にLowレベルの信号が入力されると、該スイッチSW2はONされ、放電回路15により充電回路14のコンデンサC1に電荷が充電される。これにより、充電回路14の出力電圧Vsigは増加していく。ある時点で、充電回路14の出力電圧Vsigは基準電圧Vrefを上回る。充電回路14の出力電圧Vsigと基準電圧Vrefとは、比較器CMP1によって比較され、充電回路14の出力電圧Vsigが基準電圧Vrefを上回ると、Highレベルの出力信号compが比較器CMP1から出力される。
制御回路17のフリップフロップFFにHighレベルの出力信号compが入力されると、該フリップフロップFFは出力信号compをラッチし、次のクロック信号clkの立ち上がりで、Highレベルのビットストリーム信号chargeを出力する。
スイッチSW2にHighレベルのビットストリーム信号chargeが入力されると、該スイッチSW2はOFFされ、充電回路14のコンデンサC1に蓄えられた電荷が放電される。これにより、充電回路14の出力電圧Vsigは低下していく。ある時点で、充電回路14の出力電圧Vsigは基準電圧Vrefを下回る。充電回路14の出力電圧Vsigが基準電圧Vrefを下回ると、比較器CMP1の出力がアクティブレベルにあることを示すアクティブパルスとしてのLowレベルの出力信号compが出力される。なお、当該アクティブパルスをLowレベルとHighレベルとのいずれに設定してもよく、回路の動作論理によって適宜選択可能である。
制御回路17のフリップフロップFFにLowレベルの出力信号compが入力されると、該フリップフロップFFが出力信号compをラッチすることで制御回路17は出力信号compを取り込み、フリップフロップFFは次のクロック信号clkの立ち上がりで、Lowレベルのビットストリーム信号chargeを出力する。
スイッチSW2にLowレベルのビットストリーム信号chargeが入力されると、該スイッチSW2はONされる。ここで、ビットストリーム信号chargeは、Lowレベル信号(アクティブパルス)の時系列的並びであり、Lowレベル期間(アクティブパルス期間)にスイッチSW2がONされる。
アナログ‐デジタル変換回路ADCは、上記のような動作を繰り返し、スイッチSW1がOFFされている期間、すなわちデータ変換期間t_convに、カウンタCOUNTが、放電回路15の放電回数countをカウントすることで、入力された電流Iinに応じたデジタル値ADCOUTを出力することが可能になる。
ここで、データ変換期間t_convに入力電流Iinにより充電される電荷量は、クロック信号clkの周期をt_clkとすると、
Iin×t_conv
となり、放電回路15に流れる基準電流IREFにより一度に放電される電荷量は、
IREF×t_clk
となる。充電電荷量Iin×t_convと、データ変換期間t_convに放電される電荷量の合計とが等しくなるので、
Iin×t_conv=IREF×t_clk×count …(1)
となる。上式(1)により、
count=(Iin×t_conv)/(IREF×t_clk) …(2)
が導かれる。
アナログ‐デジタル変換回路ADCの最小分解能は、(IREF×tclk)で決定されることになる。ここで、最小分解能をnとすると、充電期間t_convは、
t_conv=t_clk×2n …(3)
に設定されるので、
count=(Iin/IREF)×2n …(4)
が導かれる。
例えば、分解能n=16ビッドの場合、カウンタCOUNTは、入力電流Iinに応じた値を、0〜65535の範囲で出力することになる。これにより、積分型アナログ‐デジタル変換回路ADCは、広いダイナミックレンジと高い分解能のアナログ‐デジタル変換が可能である。
以下、上記のような構成を有するアナログ‐デジタル変換回路ADCをアナログ‐デジタル変換回路ADC1に適用した場合を説明する。
アナログ‐デジタル変換回路ADC1において、赤外検出領域D(IR)に流れる電流Iin1を放電回路15の基準電流IREFでアナログ‐デジタル変換すると、放電回路15の放電回数count1は、
count1=Iin1/IREF×2n …(5)
で示される。
この時、アナログ‐デジタル変換回路ADC1における制御回路17のフリップフロップFFは、count1の回数分、正確にHighレベルとなるビットストリーム信号chargelを出力する。なお、図9に示すように、当該ビットストリーム信号chargelは、電流出力回路COにも出力される。
(電流出力回路の構成)
続いて、図12および図13に基づいて、本実施形態における電流出力回路COの構成および動作について説明する。図12は、本実施形態における電流出力回路COの構成を示す回路図であり、図13は、電流出力回路COに入力されるビットストリーム信号chargelと出力電流I0との関係を示す波形図である。
図12に示すように、電流出力回路COは、3つの電流源CSR・CSG・CSBおよび4つのスイッチSWR・SWG・SWB・SW3を備えている。電流源CSRは、I1×αを出力する電流源であり、電流源CSGは、I1×βを出力する電流源であり、電流源CSBは、I1×γを出力する電流源である。電流源CSRとスイッチSWRとの直列回路、電流源CSGとスイッチSWGとの直列回路、および、電流源CSBとスイッチSWBとの直列回路は、電源VddとスイッチSW3の一端との間で、互いに並列に接続されている。スイッチSW3の他端は、図9に示すマルチプレクサMUX1の出力端子とアナログ‐デジタル変換回路ADC2の入力端子との間の接続点に接続されている。
図12において、最低2ビットの制御信号controlによって、3つのスイッチSWR・SWG・SWBのいずれかがONするように制御される。具体的には、図9に示すマルチプレクサMUX1が、赤色検出領域D(R)の出力信号を選択している場合、スイッチSWRがONとなり、緑色検出領域D(G)の出力信号を選択している場合、スイッチSWGがONとなり、青色検出領域D(B)の出力信号を選択している場合、スイッチSWBがONとなる。
また、スイッチSW3は、図9に示すアナログ‐デジタル変換回路ADC1から出力されるビットストリーム信号chargelによってON/OFF制御される。具体的には、ビットストリーム信号chargelのLow期間(アクティブパルス期間)に、電流出力回路COのスイッチSW3がONされる。図12に示すように、スイッチSWRがONの状態では、電流源CSRが発生するI1×αの電流が電流出力回路COから出力される。一方、ビットストリーム信号chargelのHigh期間では、電流出力回路COのスイッチSW3がOFFされる。これにより、電流出力回路COの出力電流I0は、パルス状の電流となる。
電流出力回路COの出力電流I0は、アナログ‐デジタル変換回路ADC2の充電回路14で、アナログ‐デジタル変換回路ADC2のアナログ‐デジタル変換期間において積分される(すなわち平均化される)。これにより、赤外検出領域D(IR)の出力電流Iin1の所定係数倍を得ることができる。当該アナログ‐デジタル変換期間は、充電期間t_convに等しい。
電流出力回路COの出力電流I0の平均値は、
I0=I1×α×(count1/2n) …(6)
=I1×α×(Iin1/I1)
=Iin1×α
で示される。ここで、αは、任意の係数(α>1)である。
アナログ‐デジタル変換回路ADC2の放電回路15の電流源が発生する基準電流をIREF2とする。アナログ‐デジタル変換回路ADC2において、赤色検出領域D(R)に流れる電流Iin2から電流出力回路COの出力電流I0を減算した電流(Iin2−Iin1×α)を基準電流IREF2でアナログ‐デジタル変換すると、アナログ‐デジタル変換回路ADC1の放電回路15の放電回数count2は、
count2=(Iin2−Iin1×α)/I2×2n …(7)
で示される。
(まとめ)
上記のように、カラーセンサ11では、電流(Iin2-Iin1×α)をアナログ‐デジタル変換回路ADC2で直接アナログ‐デジタル変換することができる。また、赤色、緑色、青色の各色の検出領域の出力信号に含まれる赤外成分の量が異なっていても、それぞれの赤外成分のみを減算し、安価な構成で精度の高い色情報を出力することができる。
また、図10に示すアナログ‐デジタル変換回路ADCでは、アンプAMP1の入力電圧を0Vに設定することができるため、フォトダイオードの両端電圧を0Vとすることが可能である。よって、フォトダイオードの暗電流を低減することが可能であり、低い光量まで正確に測定することが可能である。
ここで、フォトダイオードの両端電圧を0Vに設定した場合、すなわちフォトダイオードにバイアス電圧が印加されない場合は、逆バイアス電圧を印加した場合に比べ、出力する光電流は減少する。これに対し、アナログ−デジタル変換回路ADCの基準電流IREFを調整することで、高照度の測定も同様に行なうことが可能である。例えば、アナログ−デジタル変換回路ADC1の場合、上記の式(5)を参照すると、赤外検出領域D(IR)のフォトダイオードの両端電圧を0Vに設定したことで、電流Iin1が20%程度感度が低下したとしても、基準電流IREFを−20%に調整すればよい。
また、実施形態1に係るカラーセンサ1と比較して、カラーセンサ11は、別途に乗算回路および減算回路を設ける必要がないため、回路規模が小さくなる。
また、図9に示すカラーセンサ11において、色情報出力を時系列で制御し出力するようにすることは、回路規模の削減につながり、有益である。例えば、最初の100msecでマルチプレクサMUX1が赤色検出領域D(R)の出力電流を選択し、電流出力回路COの出力電流I0も赤色検出領域D(R)の出力電流に含まれる赤外成分と等しくなるように調整する。そして、真の赤色成分S(R)のみをデジタル値ADCOUT2として出力し、その情報を内部レジスタまたは外部レジスタに記録する。次に、マルチプレクサMUX1が緑色検出領域D(G)の出力電流および青色検出領域D(B)の出力電流を順次選択し、同様に真の緑色成分S(G)および真の青色成分S(B)のみをデジタル値ADCOUT2として順次出力し、その情報を内部レジスタまたは外部レジスタに記録する。これにより、カラーセンサ11は、すべての正確な色情報を得ることができる。
また、緑色検出領域D(G)の分光感度特性は赤外成分が含まれないため、視感度特性(550nm)に近似した分光特性を有している。そのため、カラーセンサ11は、特に、緑色成分の色情報に基づいて、正確な照度情報を検知することができる。
なお、さらに視感度特性に合致した照度情報を得るために、照度情報を出力するための他の特定色検出領域を設け、特定色検出領域の出力信号から、赤外検出領域D(IR)の出力信号に独立した係数を乗じた信号を減算することも可能である。ただその場合、カラーセンサ11は、色情報を得るための動作とは別に、照度情報を得るための動作を時系列で実施する必要がある。
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、図14に基づいて詳細に説明すると以下の通りである。本実施形態では、本発明に係るカラーセンサを表示装置に適用した例について説明する。
(表示装置20の構成)
図14は、本実施形態に係る表示装置20の概略構成を示すブロック図である。表示装置20は、カラーセンサ21、バックライト制御部22、バックライト23および表示パネル24を含んで構成されている。
バックライト23は、画面を表示する表示パネル24を背面から照射するための光源であり、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有している。カラーセンサ21は、表示装置20の周囲光を受光して周囲光の色成分を測定し、測定結果としてデジタル信号DOUTをバックライト制御部22に出力する。バックライト制御部22は、デジタル信号DOUTに基づいて、バックライト23の赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの各輝度を制御することにより、上記周囲光の色成分に応じてバックライト23の色彩を制御する。
ここで、表示装置20は、カラーセンサ21として、上述の実施形態1に係るカラーセンサ1または実施形態2に係るカラーセンサ11を備えている。よって、表示装置20は、蛍光灯、太陽光または白熱灯のように異なった周囲光の下でも、目の色順応に対応するように表示パネル24の色味を正確に制御することができる。
〔実施形態4〕
本発明の第4の実施形態について、図15および図16に基づいて詳細に説明すると以下の通りである。本実施形態では、本発明に係るカラーセンサを、近接センサ、照度センサまたは測距センサとしても機能させる例について説明する。
(カラーセンサ31の構成)
図15は、本実施形態に係るカラーセンサ31の構成を示す模式図である。カラーセンサ31は、フォトダイオード32、制御回路33および発光ダイオード34を備えている。フォトダイオード32の構成は、図1に示すカラーセンサ1のフォトダイオード2と同一である。また、制御回路33は、図2に示す演算回路3aまたは図9に示す演算回路13aを含んでいる。すなわち、カラーセンサ31は、図2または図9に示す回路構成を備えている。
発光ダイオード34は、パルス電流が供給されることにより、赤外光を照射する光源である。カラーセンサ31は、図17に示す近接センサ300と同様に、近接物体の有無を検知することができる。すなわち、カラーセンサ31の近傍に近接物体が存在する場合、発光ダイオード34からのパルス光は近接物体によって反射され、フォトダイオード32によって受光される。一方、近接物体が存在しない場合、発光ダイオード34からのパルス光は近接物体によって反射されないので、フォトダイオード32には、発光ダイオード34からのパルス光はほとんど到達しない。
例えば、制御回路33が図9に示す演算回路13aを含んでいる場合について説明する。赤外検出領域D(IR)から出力される電流Iin1は、主に発光ダイオード34から照射される赤外光と太陽光や蛍光灯などの周囲光に含まれる赤外成分の光量に応じて変化する。発光ダイオード34から赤外光を照射する期間に電流Iin1は、アナログ‐デジタル変換回路ADC1でアナログ‐デジタル変換され、デジタル値ADCOUT1として出力されるデータData1と、同様に発光ダイオード34から赤外光を照射しない期間(周囲光のみ検出期間)に出力されるデータData2を内部または外部レジスタに蓄え、Data1−Data2を演算した結果に基づいて、近接物体の有無を判断する。また、図10のカウンタCOUNTを発光ダイオード34がONしている期間アップカウントし、発光ダイオードがOFFしている期間ダウンカウントするように修正すれば、直接Data1−Data2を演算した結果をADCOUT1として出力することができる。
また、カラーセンサ31は、周囲光の色情報を検知するカラーセンサとして機能する。フォトダイオード32が周囲光を受光しているとき、色検出領域D(C)からは、各色に応じた光電流がマルチプレクサMUX1に入力され、マルチプレクサMUX1から電流Iin2が出力される。
また、赤外検出領域D(IR)から、周囲光に含まれる赤外成分に応じた電流Iin1が出力される。電流出力回路COは電流Iin1×αを出力し、アナログ‐デジタル変換回路ADC2は、電流(Iin2-Iin1×α)をアナログ‐デジタル変換して、デジタル値ADCOUT2を出力する。赤色、緑色および青色の各色に対応するデジタル値ADCOUT2に基づいて、制御回路33は、周囲光の色温度を検知する。また、緑色検出領域D(G)の出力信号が選択されているときのデジタル値ADCOUT2の大きさに基づいて、制御回路33は、周囲光の照度を高精度に検知することができる。
なお、発光ダイオード34は、可視光を照射する光源であってもよい。当該構成であっても、近接物体有無の検知は可能である。
(携帯電話30の構成)
続いて、本実施形態に係るカラーセンサ31を備えた携帯電話について説明する。
図16は、本実施形態に係る携帯電話30の概略構成を示すブロック図である。携帯電話30は、カラーセンサ31、バックライト制御部35、バックライト36および表示パネル37を備えている。表示パネル37は、携帯電話30を操作するための画面を表示する。バックライト36は、表示パネル37を背面から照射するための光源であり、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有している。バックライト制御部35は、バックライト36の赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの各輝度を制御する。
携帯電話30のユーザが通話していない通常の状態においては、カラーセンサ31は、周囲光の色温度を示すデジタル信号DOUT1および周囲光の照度を示すデジタル信号DOUT2を出力する。バックライト制御部35は、デジタル信号DOUT1に基づいて、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDの各輝度の比率を制御するとともに、デジタル信号DOUT2に基づいて、バックライト36の全体の輝度を制御する。例えば、周囲光の照度が大きい場合、バックライト制御部35はバックライト36の輝度を上げるように制御し、周囲光の照度が小さい場合、バックライト制御部35はバックライト36の輝度を下げるように制御する。これにより、バックライト36の消費電力を抑えることができることができるとともに、目の色順応に対応するように表示パネル37の色味を正確に制御することができる。
また、携帯電話30に着信があり、ユーザが通話開始のボタンを押下すると、カラーセンサ31は、近接センサとして機能する。これによりカラーセンサ31は、近接物体の有無を示すデジタル信号DOUT3を出力する。デジタル信号DOUT3は、赤外検出領域D(IR)の出力信号をアナログ‐デジタル変換した信号であり、デジタル信号DOUT3の値は、ユーザの顔が表示パネル37に近づくにつれて大きくなる。デジタル信号DOUT3の値が所定値を超えると、バックライト制御部35は、バックライト36を消灯させる。このように、通話時は、バックライト制御部35が、デジタル信号DOUT3に基づいてバックライト36のON/OFFを制御することにより、バックライト36の消費電力を抑えることができる。
このように、近接センサおよび照度センサとしての機能を有するカラーセンサ31は、携帯電話の他に、例えば、デジタルカメラにも好適である。
(測距センサとしての適用例)
なお、図15に示すカラーセンサ31では、発光ダイオード34が駆動されている期間におけるフォトダイオード32が発生する電流と、発光ダイオード34が駆動されていない期間におけるフォトダイオード32が発生する電流との差分が、カラーセンサ31と検知物体との距離の2乗に反比例する。このため、上記差分から検知物体との距離を算出することで、カラーセンサ31を測距センサとして適用することも可能である。
これにより、カラーセンサ31を人感センサの代用とすることができる。例えば、カラーセンサをテレビやパソコンのモニターに取り付けることで、モニターから一定の距離以内に人などの検知物体が存在しない場合に、モニター表示をOFFすることで、消費電力の削減が可能である。
〔実施形態の総括〕
上記の各実施形態では、周囲光の色温度を検知するため、カラーセンサは、可視光のうち特定色の光に感度を有する特定色検出領域として、赤色、緑色および青色の各検出領域を備えていたが、本発明はこれに限定されない。赤色、緑色および青色の各検出領域の代わりに、例えば、シアン、マゼンダおよびイエローの各色を検出する領域を設けてもよい。
また、特定色検出領域の数は、特に限定されない。例えば、特定色検出領域を1つだけ設け、特定色検出領域の出力信号から、赤外検出領域の出力信号に当該特定色に対応する所定の係数を乗じた信号を減算することにより、当該特定色の真の色情報を示す信号を得ることができる。これにより、周囲光の特定の色成分を正確に検出可能であるとともに、安価で小型のカラーセンサを提供できる。
本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。