JP2012183736A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 特に浅絞りから中絞り用に使用される成形用ポリエステルフィルムとして、湿熱環境下においても接着性に優れ、ハードコートや金属蒸着やインクとの接着性に優れる、加飾性に適した積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面にオキサゾリン系化合物およびエポキシ系化合物を含有する塗布層を有するポリエステルフィルムであり、25℃での100%伸び応力が縦横両方向に90〜190MPaの範囲であることを特徴とする成形用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハードコート接着性、干渉性、透明性、耐擦り傷性、作業性、耐印刷性、光沢性、成形性などに優れ、インモールド貼合成形用として好適な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
印刷および成形加工して用いる転写箔の基材フィルムには、従来、ポリエステル二軸延伸フィルムが用いられているが(例えば、特許文献1参照)、成形性は改善されているものの、成形性に関する市場の高度な要求に十分に答えられるレベルには達していない。成形、加工時に応力が高く、さらに応力を低下させるために高温で成形すると、軟化によるフィルムのしわや結晶化による白化や厚みの不均一性が生じるという問題がある。成形温度の低温化に適合できる成形性や得られた成形品の仕上がり性に課題が残されている。
そのため、深絞り成形用フィルムとしては、成形応力が特定範囲内のポリエステルフィルムを用いること、すなわち、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートに比べて成形応力の低い共重合ポリエステルのフィルムを用いることが提案されている(特許文献2参照)。また、特定した組成の共重合ポリエステル樹脂を原料とし、かつフィルムの100%伸張時応力を特定化することにより課題を改善する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、成形等の工程用フィルムとして、ブタンジオール等から選択される2種以上のグリコール成分を含有するモノマー組成から重合されたポリエステルのフィルムを用いることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
一方、成形用途においては、携帯電話や電気製品など、成形時の絞りが浅いものから自動車用など成形時の絞りが深いものまで各種用途により成形加工での絞りが大きく異なる。この成形加工における絞りを分類すると、浅絞り、中絞り、深絞りに大別され、目的の用途に応じて好適な基材フィルムを選び用いられている。
図柄印刷および塗布層など、コート加工や印刷加工で乾燥温度と張力の影響を受けて基材フィルムに伸び変形や幅収縮による熱寸法変化が生じて印刷ズレや有害な平面性悪化が発生する問題があるため、基材フィルムの特性は、ある一定の熱寸法安定性と塑性変形に対する追随性とハードコートや金属蒸着やインクとの接着性が求められる。しかしながら、この基材フィルムを用いて積層加工された成形品は機械的強度も保持されているため成形時においては変形応力も高く、金型との追随性が悪く、印刷の鮮明さに欠ける現象や成形破れが発生しやすい問題がある。
浅絞りから中絞りの多くの用途においては、絵付けする図柄が3色〜7色など、多色印刷される場合が多く、かかる高温による乾燥温度と加工張力の影響を受けて伸び変形や幅縮みが生じて印刷ズレや平面性(片タルミなど)悪化が発生し、転写箔の品質上、致命的欠陥となる。
このため、浅絞りから中絞り用の基材フィルムは、コート加工や印刷加工において縦方向に伸び変形を抑えるよう機械的強度が与えられている。しかしながら、このような基材フィルムを用いて得られた成形品は機械的強度も保持されているため成形時においては変形応力も高く、金型との追随性が悪く、印刷の鮮明さに欠ける現象や成形破れが発生しやすい問題がある。
特開平7−237283号公報 特開2004−9596号公報 特開2001−347565号公報 特開2002−97261号公報 特開2009−203399号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、異物が少なく目視時の高いクリア感、高輝度性、厚みムラや結晶化による白化が生じないことと、積層加工領域における変形応力が機械強度を保持し、低温での成形時の変形領域では低応力で変形し、かつ高伸度を有する基材フィルムであることという、相矛盾する機械的強度の両特性を満たし、加熱や変形加工による軟化シワが発生せず、ハードコート、金属蒸着、インク等の各種表面機能層を積層した加工時の接着及び耐湿熱下での接着性に優れ、外光反射による干渉ムラが軽減され、表面の全体にわたって均一で斑のないプライマー層を有すベースフィルムに提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にオキサゾリン系化合物およびエポキシ系化合物を含有する塗布層を有するポリエステルフィルムであり、25℃での100%伸び応力が縦横両方向に90〜190MPaの範囲であることを特徴とする成形用積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、インモールド成形性が良く、成形後の見栄えが良いフィルムを簡便かつ廉価に得られ、成形フィルムとしてクリア感が高く、高輝度、干渉ムラが少なく、端部の接着不良を少なくすることができ、その結果、工業生産速度の向上を計ることができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルとは、1種あるいは複数のジカルボン酸と1種あるいは複数のジオールとを重縮合して得られるポリマーをいう。ジカルボン酸の例として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等のなどの芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマ−酸、マレイン酸、フマル酸等のなどの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。耐熱性、成形性、加工性、印刷性の点でテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などが好適に使用することができる。
ジオールの例として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。重合時にこれらのグリコールを添加して共重合ポリエステルを得る手法、押出機に複数のポリエステルをブレンドして得る方法が挙げられる。このとき、共重合ポリエステルを用いたフィルムでは耐溶剤性、印刷性、耐熱性などの点が悪化するので、複数のポリエステルのブレンドによるフィルムが好ましく、さらに、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)から選ばれる2種類以上の樹脂のブレンドによるものが好ましい。
本発明では、特に強度および透明性に優れ、かつ比較的廉価で各種用途で幅広く使用
されるポリエチレンテレフタレートが推奨される。理想的にはブレンドが推奨されるが本発明においては延伸条件の変更で強度を調整し、特定の塗布層を設けることにより成形性が向上するため、ポリエチレンフタレート1種類の使用でもよい。
ポリエステルを製造する際には、従来用いられている反応触媒、着色防止剤を使用することができ、反応触媒としては、例えばアルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物等を用いることができ、着色防止剤としては、例えばリン化合物等を用いることができる。好ましくは、通常、ポリエステルの製造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物またはゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。アンチモン化合物としては、特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモンなどのアンチモン酸化物、酢酸アンチモンなどを用いることができる。
また、ポリエステル系フィルムは無機粒子、有機塩粒子や架橋高分子粒子を添加することができる。無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム等が挙げられる。
有機塩粒子としては、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられる。
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いてもよい。
ポリエステルフィルム中の成分の分析は、例えば、有機成分ならば、TOF−SIMS、FT−IR、質量分析、熱分析などの複合分析によって同定を行うことができる。無機成分ならば、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸工程中、またはその後のフィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離型性等の機能を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成する方法やコロナ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、表面のオリゴマーを抑止する方法として、オリゴマー含有量の少ないポリエステル原料を用いることができる。このような原料は、通常の溶融重縮合反応で得たポリエステルのチップを減圧下あるいは不活性ガスの流通下で180〜240℃にて1時間から20時間程度保つという固相重合によって得ることができる。この原料のみ、またはこの原料と通常の原料を混合して単層のポリエステルフィルムを製膜してもよく、また2層以上の多層構成とし、インクや蒸着が施される成形層と反対側の表面層にのみこの原料を用いてもよい。多層構成の場合、内層には通常のポリエチレンテレフタレートを用いてもよく、また成形では、成形性を向上する目的で、イソフタル酸、テレフタル酸を共重合成分とした共重合ポリエステルやポリブチレンテレフタレートを用いてもよい。
本発明の基材として用いられるポリエステルフィルムは、単層または多層構成のいずれでもよいが、多層構成とすれば、内層と外層で異なる設計が可能となり、例えば、フィルム表層にのみ粒子を含有することで製造コストの削減が図れる。
本発明の多層フィルムの両表層が含有する粒子の1次粒径は、通常0.005〜5.0μmの範囲、好ましくは0.01〜3.0μmの範囲である。ここでいう1次粒径とは、非凝集性粒子においては、いわゆる平均粒径を指し、凝集性粒子においては、凝集塊を構成する微小粒子の平均粒径を指す。表層中の粒子の1次粒径が5.0μmを超えると、粒子表面の凹凸のサイズが顕著になるため、粒子とポリエステルとの間に空隙ができる割合が増大し、比較的ポリエステルと近似した屈折率の粒子種をもってしても、当該空隙による入射光の散乱を低減することができず、フィルムが不透明となることがある。また、1次粒径が0.005μm以下であると凝集性が著しくなり、高剪断の2軸押出機による溶融押出でも微分散せずに、凝集塊が多数生成してしまう可能性がある。
本発明の多層フィルムの両表層が含有する粒子の濃度は通常0.01重量%以上であり、上限は通常5重量%である。一般的に無機粒子はポリエステル樹脂よりも高価であるため、フィルムのコストを抑える上で少量添加が望ましい。しかし、耐擦傷効果を得るためには最低0.01重量%必要である。また、耐擦傷性を得るためには多量に粒子を添加したほうが良いが、5重量%を超えて添加するとポリエステル樹脂中への分散不良が起こり、凝集塊が多数発生し、透明性を低下させることがある。
本発明のフィルムの少なくとも片面には、オリゴマー含有量の少ないポリエステル原料を用いることが好ましく、その厚みは通常1.5μm以上であり、上限は通常10μm以下である。両表層の厚みが1.5μm未満であると、当該層のコシが小さくなり、縦延伸工程における傷入り緩和効果と滑り性が減じてしまうことと、オリゴマー抑止機能が働かないことがある。なお、前述のとおり、粒子は些少とはいえ透明性を減じる可能性があるため、可能な限り中間層の厚み比率を増し、表層は縦延伸工程における傷入り緩和に十分な機能を発揮する限り薄ければ薄いほどよいが、工業的生産では精度良く製造することのできる厚みの下限が実質的に存在するため、工業生産を想定する上では2〜8μm程度の表層厚みが好適である。
本発明のフィルムの表層以外の層、すなわち中間層は実質的に粒子を含有しないことが好ましい。ここで言う実質的に含有しないとは、具体的には、粒子の含有量が100ppm以下のことを指す。しかし、ヘーズへの寄与がほとんどない場合には、特に粒子含有量の制限はない。これは粒子添加の目的がロール延伸機による縦延伸工程における傷入り緩和であるため、中間層に粒子を含有させる意義がないからである。粒子の使用は些少ではあるがコストアップの要因となり、また延伸の条件によっては粒子周囲にボイドが形成され透明性を減じる可能性がある。
本発明の成形用ポリエステルフィルムの総厚みは、本発明のインモールド成形貼合用ポリエステルフィルムが使用される用途に応じ適宜選択されるため特に限定されないが、機械的強度、ハンドリング性および生産性などの点から、好ましくは12〜188μmである。
本発明のフィルムは、成形の観点から、25℃での縦横方向の引張試験において100%伸び応力が90〜190MPaの範囲である必要があり、好ましくは110〜170MPaの範囲である。縦横方向の引張試験で100%伸び応力が90MPaより低いと、印刷時等の加工工程でフィルム伸びが生じて長手方向に印刷ズレ等の問題が発生する。一方、縦横方向に100%伸び応力が190MPaを越えると、成形品に仕上がった基材フィルムの機械的強度も保持されているためインモールド成形時の変形応力も高くなり、成形時の金型との追随性が悪くなって加飾印刷面の鮮明さに欠ける現象や成形破れが発生しやすくなるため好ましくない。
本発明においては、縦方向延伸時の倍率、横方向延伸時の倍率、横方向延伸後のヒートセッターにおける熱固定温度を適宜調整することにより、目標の引張強度を得ることができる。
本発明のフィルムの製造において、多層構造とする手段は限定されないが、透明性を減じない観点から、積層界面で界面剥離が生じる可能性の絶無である共押出法が推奨される。以下、本発明の透明多層フィルムの製造方法の1例を示すが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
まず、粒子を実質的に含有しないポリエステルと、粒子を含有するポリエステルとをそれぞれ別々の押出機にて溶融し、共押出ダイスで合流させ、Tダイより溶融押し出し、キャストドラム上にてガラス転移温度未満にまで急冷し、非晶質シートを得る。非晶質シートをロール延伸機を用いてガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃程度の温度で縦方向に3〜4倍延伸する。引き続き易滑粒子を配合した水系塗布液を塗布し、テンター延伸機に導き、塗布液を乾燥させながら横方向に3〜5倍延伸する。なお、この時の延伸温度は縦延伸温度と同程度から40℃程度高い温度までの範囲であり、適宜選択する。さらに、ヒートセッターにて熱固定を行い、結晶化させたものを巻芯に巻きつけてロールとして巻き取った。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に、延伸後のポリエステルフィルムの熱処理工程で、塗布層を高温で処理することができるため、塗布層上に形成され得る各種の表面機能層との接着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。また、延伸前にコーティングを行う場合は、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜で均一な塗工を行うことができる。すなわち、インラインコーティング、特に延伸前のコーティングにより、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
本発明においては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、オキサゾリン系化合物およびエポキシ系化合物を含有する塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明におけるオキサゾリン系化合物およびエポキシ化合物とは、成形において、ハードコート・金属・金属酸化物・インクとの初期接着および耐湿熱接着を改善させるために必要な化合物である。オキサゾリン系化合物、またはエポキシ系化合物単独でも各種基材との接着性を向上させることが出来ることを見出したが、これら2種類の化合物を併用することにより、さらに各種基材の接着性向上と耐湿熱接着向上させることができることを見出した。また、全体の配合において少量添加でよいため、干渉ムラ低減を狙った屈折率制御や接着性能などさらなる機能性を持たせる上で配合の多種性を生むことができる。
本発明におけるオキサゾリン系化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物およびオキサゾリン基が反応した結果得られる化合物のことである。分子内にオキサゾリン基を有する化合物としては、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明におけるエポキシ系化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物、およびエポキシ基が反応した結果得られる化合物のことである。分子内にエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
本発明における積層ポリエステルフィルムにおいて、塗布層の外観の向上、塗布層上にハードコート層等の種々の表面機能層が積層されたときの干渉ムラの低減、透明性や接着性の向上等のために各種のポリマーを併用することが好ましい。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でもハードコート層等の各種の表面機能層との接着性向上の観点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましく、特にポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
また、塗布層の上にハードコート層を設ける場合は、外光反射による干渉ムラを軽減するために、塗布層の屈折率を上げることが好ましい。例えば、塗布層に、ベンゼン環、ナフタレン環、ビスフェノールA構造等の芳香族化合物を含有する化合物、金属酸化物、金属キレート化合物、硫黄・ハロゲン元素を含有する化合物等を含有させる方法が挙げられる。
接着性を損なわないために、上記の芳香族化合物は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等に代表されるポリマーに組み込むことが好ましく、特に効率よく組み込むことが可能なポリエステル樹脂が好ましい。
さらに塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物以外の架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、種々公知の樹脂が使用できるが、例えば、メラミン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
また、本発明は、塗布層中に、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として粒子を含有してもよい。その平均粒径はフィルムの透明性の観点から好ましくは1.0μm未満の範囲であり、さらに好ましくは0.5μm未満、特に好ましくは0.2μm未満の範囲である。粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、有機粒子等が挙げられる。また、塗布層の上のハードコート層を設ける場合は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の金属酸化物を使用すると屈折率を高く設計できるため、干渉ムラを軽減することも可能となる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、塗布層には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等が含有されてもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層に用いられるオキサゾリン系化合物の割合は、通常1〜50重量%の範囲、より好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲である。1重量%未満の場合、各種の表面機能層との初期接着性および耐湿熱接着性が低下する可能性が懸念され、50重量%を超える場合、塗布層の外観が悪化する場合があり、干渉ムラ低減を狙った屈折率制御や接着性能などさらなる機能性を持たせる上で配合の多種性が失われるので好ましくない。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層に用いられるエポキシ系化合物の割合は、通常1〜50重量%の範囲、より好ましくは3〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲である。1重量%未満の場合、各種の表面機能層との初期接着性および耐湿熱接着性が低下する可能性が懸念され、50重量%を超える場合、塗布層の外観が悪化する場合があり、干渉ムラ低減を狙った屈折率制御や接着性能などさらなる機能性を持たせる上で配合の多種性が失われるので好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、上述した塗布層を設けた面と反対側の面にも各種の層との接着性を向上させるために塗布層を設けることも可能である。反対側の面に形成する塗布層の成分としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のポリマー、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、イソシアネート系化合物等の架橋剤等が挙げられ、これらの材料を単独で用いてもよいし、複数種を併用して用いてもよい。また、上述してきたようなオキサゾリン系化合物およびエポキシ系化合物を含有する塗布層(ポリエステルフィルムに両面同一の塗布層)であってもよい。
塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
インラインコーティングによって塗布層を設ける場合は、上述の一連の化合物を水溶液または水分散体として、固形分濃度が0.1〜50重量%程度を目安に調整した塗布液をポリエステルフィルム上に塗布する要領にて積層ポリエステルフィルムを製造するのが好ましい。また、本発明の主旨を損なわない範囲において、水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムに関して、ポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の膜厚は、通常0.002〜1.0μm、好ましくは0.02〜0.2μm、より好ましくは0.05〜0.15μmの範囲である。膜厚が0.002μm未満の場合は十分な接着性が得られない可能性があり、1.0μmを超える場合は、外観や透明性、フィルムのブロッキング性が悪化する可能性がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、80〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
一方、インラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜280℃で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのが良い。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明のポリエステルフィルムが使用される用途としては、成形性、加工性、印刷性に優れることから、単体、非金属あるいは金属素材との積層構成で成形、加工される用途に用いられるものであり、使用目的は特に限定されないが、積層して使用される場合、非金属素材が紙、不織布、ガラス、ポリマー素材であると最終製品を軽量化する点で好ましい。一方、材料の強度の点が要求される用途では、金属あるいはガラス強化ポリマーと本フィルムを積層する構成で使用することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、熱により一部を融解させて、他の素材と接着させてもよいし、あらかじめ本発明のフィルムまたは他の素材に塗布層を設けてもよい。さらに積層構成において他素材との間に塗布層、印刷層などが形成されていてもよい。
成形、加工方法としては、ラミネート成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、絞り成形、折り曲げ成形、あるいはこれらの成形や他の加工方法を組み合わせた成形、加工を単独または複数施されてもよく、成形、加工方法としては特に限定されない。
単体で使用される場合は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、絞り成形、折り曲げ成形、張り出し成形などの成形加工を一回または複数回施されてもよく、成形加工方法としては特に限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明における各種の物性および特性の測定方法、定義は下記のとおりである。また、実施例および比較例中、「部」とあるのは、特に断らない限り「重量部」を意味する。
(1)平均粒径の測定方法
TEM(Hitachi製 H−7650、加速電圧100V)を使用して塗布層を観察し、粒子10個の粒径の平均値を平均粒径とした。
(2)塗布層の膜厚測定方法
塗布層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、塗布層断面をTEM(Hitachi製 H−7650、加速電圧100V)を用いて測定した。
(3)100%伸び応力
(株)インテスコ製引張試験機インテスコモデル2001型を用いて、温度25℃において長さ50mm,幅15mmの試料フィルムを、200mm/分の速度で引張試験を行い、を縦方向および横方向に引張り、フィルム製膜時のマスターロール巾から均一に5分割したときの各位置5点測定した平均の100%伸び時の応力を求めた。
(4)ハードコートとの接着性
ポリエステルフィルム(塗布層を積層した場合は塗布層側)に、TOYO INK製LIODURASシリーズ TYMシリーズ(屈折率1.53)を主成分とし、トルエンで30重量%に希釈・溶解してハードコート混合塗液剤を調整。光学膜厚が3〜5μmになるように塗布し、100℃―2分間乾燥後、窒素雰囲気下で120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し、照射距離100mmにて400mJ/cm2の紫外線により硬化した。上記のフィルムを沸騰水に2時間浸漬し十分に乾燥させた後、ハードコート混合塗液剤塗布後のポリエステルフィルム表面を1mm間隔10本のクロスカットを入れ、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後の剥離面を観察し、評価した。
◎:剥離面積が3%未満
○:剥離面積が3%以上10%未満
△:剥離面積が10%以上50%未満
×:剥離面積が50%以上
(5)インクとの接着性
藍色のセロカラー用印刷インキ(東洋インキ製造社製「CCST39」)を使用し、印刷後の塗布厚さが1.5μmとなるようにポリエステルフィルム表面に塗布し、80℃で1分間熱風乾燥後、インキ塗布後のポリエステルフィルム表面を1mm間隔10本のクロスカットを入れ、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察し、評価した。
◎:剥離面積が3%未満
○:剥離面積が3%以上10%未満
△:剥離面積が10%以上50%未満
×:剥離面積が50%以上
(6)金属蒸着との接着性評価
フィルムの片面に、抵抗加熱型金属蒸着装置を用い、真空室の圧力を10−4Torr以下としてアルミニウムを450Åの厚みに蒸着した。金属蒸着フィルムの蒸着薄膜層表面に基材ポリエステルフィルムと同一厚さ程度の粘着剤(東洋モートン製 AD502:14重量部、東洋モートン製 CAT−10:1重量部、酢酸エチル:85重量部)を乾燥時2.25μm程度付与したポリエステルフィルムを通常のドライミネート法により積層した後、60℃×90%RHの条件で3時間のエージング処理を行った。上記エージング処理で得られた積層体を幅25mmの短冊状とし一部剥離し、剥離試験機により100mm/分の速度でT型剥離を行った。接着性:g/25mm巾として。
10g/25mm〜:◎ 接着性問題なし
5g/25mm〜10g/25mm:○ 接着性良好
2g/25mm〜5g/25mm:△ 接着性不足
0〜2g/25mm:× 接着性なし
(7)成形性
温度を80〜120℃まで変更し、射出成形金型を用いた真空成形でノートパソコン筐体金型を用いて成形性を判断した。低温で差異が発揮される条件で成形した際の状態を下記のように判定した。
◎:コーナーもシャープに成形され、ハードコートや基材のはがれなし。成形後の厚みも均一であった
○:コーナーにやや丸みがあるが、ハードコートや基材のはがれなし。成形後の厚みは均一であった
△:コーナーにやや丸みがあり、一部ハードコートや基材のはがれがあった。成形後の厚みがやや不均一であった
×:成形後の厚みが不均一であり、ハードコートや基材のはがれがあった。また。しわが入ったり、白化した
(ポリエステルの製造)
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とジエチレングリコール2重量部とを出発原料とし、触媒として三酸化アンチモンを反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた後、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造において、重合触媒として三酸化アンチモンを使用し、ポリエステルAをあらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.78、エステル単位の99%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸を重合した単位であった。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.2μmのシリカ粒子0.3部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は、極限粘度0.65であった。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・オキサゾリン化合物:(I)
オキサゾリン基がアクリル系樹脂にブランチされたポリマー(日本触媒製 エポクロスWS−500)
・エポキシ化合物:(II)ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製 デナコールEX−521)
・ポリエステル樹脂:(IIIA)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(モル%)
・ポリエステル樹脂:(IIIB)
下記組成で共重合したポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)2,6−ナフタレンジカルボン酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=92/8//80/20(モル%)
・粒子:(VIA) 平均粒径0.07μmのシリカ粒子
・粒子:(VIB) 平均粒径0.14μmのシリカ粒子
・粒子:(VIC) 平均粒径15nmの酸化ジルコニウム粒子
実施例1〜9:
ポリエステルAおよび、ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:92:4の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、実質的に非晶質のフィルムを得た。引き続きロール延伸機にて80℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、上記塗布剤をコートし、テンター延伸機にて100℃で横方向に4倍延伸を施し、さらに220℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、全厚み100μmのフィルムを得た。なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
実施例10:
ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を3:44:3の割合でTダイより共押出した。ほかは実施例1と同様にして、厚み50μmのフィルムを得た。得なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
実施例11:
ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:117:4の割合でTダイより共押出した。ほかは実施例1と同様にして、厚み125μmのフィルムを得た。得なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
実施例12:
ポリエステルAおよび、ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:92:4の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、実質的に非晶質のフィルムを得た。引き続きロール延伸機にて80℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、上記塗布剤をコートし、テンター延伸機にて100℃で横方向に3.8倍延伸を施し、さらに230℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、全厚み100μmのフィルムを得た。なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
比較例1〜3:
ポリエステルAおよび、ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:92:4の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、実質的に非晶質のフィルムを得た。引き続きロール延伸機にて80℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、上記塗布剤をコートし、テンター延伸機にて100℃で横方向に4倍延伸を施し、さらに220℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、全厚み100μmのフィルムを得た。なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
比較例4:
ポリエステルAおよび、ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:92:4の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、実質的に非晶質のフィルムを得た。引き続きロール延伸機にて80℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、上記塗布剤をコートし、テンター延伸機にて100℃で横方向に4.5倍延伸を施し、さらに215℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、全厚み100μmのフィルムを得た。なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
比較例5:
ポリエステルAおよび、ポリエステルBとポリエステルCの重量比を88:12の割合でブレンドし、それぞれ別の2軸押出機にて溶融し、ポリエステルBとポリエステルCのブレンドを表層・ポリエステルAを中間層とした時の吐出量比を4:92:4の割合でTダイより共押出した。溶融シートはキャストドラム上でガラス転移温度未満にまで急冷し、実質的に非晶質のフィルムを得た。引き続きロール延伸機にて80℃で縦方向に3倍延伸を施した。その後、上記塗布剤をコートし、テンター延伸機にて100℃で横方向に3.5倍延伸を施し、さらに240℃で熱固定を行った後、ガラス転移温度未満にまで急冷し、全厚み100μmのフィルムを得た。なお、塗布層は乾燥時の厚みが0.09μmとなるようにした。塗布層の配合については下記表1に示す。得られたフィルムの諸物性を測定し、その結果を下記表2に示す。
Figure 2012183736
Figure 2012183736
本発明のフィルムは、例えば、インモールド貼合成形用として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面にオキサゾリン系化合物およびエポキシ系化合物を含有する塗布層を有するポリエステルフィルムであり、25℃での100%伸び応力が縦横両方向に90〜190MPaの範囲であることを特徴とする成形用積層ポリエステルフィルム。
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