JP2012182410A - 有機光電変換素子、有機光電変換素子の製造方法及び太陽電池 - Google Patents

有機光電変換素子、有機光電変換素子の製造方法及び太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い変換効率を達成でき、耐久性に優れ、安価な製造を可能とする塗布プロセスに対応可能な有機光電変換素子と有機光電変換素子の製造方法及びそれを用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子において、該光電変換層がバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とを含有することを特徴とする有機光電変換素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換効率及び耐久性に優れた有機光電変換素子とその製造方法及びそれを用いた太陽電池に関するものである。
近年、石油等の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスの珪素を用いた太陽電池、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料)などの化合物系の太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが、提案あるいは実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池で発電する方式のコストは、未だ化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、経済性の観点で普及の妨げとなっている。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要となり、これも発電コストが高くなる一つの要因となっている。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低コストの発電コストを達成しうる太陽電池として、透明電極と対極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合されたバルクヘテロジャンクション層を狭持したバルクヘテロジャンクション型光電変換素子が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
このバルクヘテロジャンクション型太陽電池においては、透明電極及び対極以外は、塗布プロセスにより形成されているため、高速かつ安価な製造が可能であると期待され、前述の発電コストの課題を解決できる可能性を有している。更に、上記の方法は、前記Si系太陽電池、化合物半導体系太陽電池、色素増感太陽電池などと異なり、160℃より高温のプロセスがないため、安価かつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
なお、発電コストには、初期の製造コスト以外にも発電効率及び素子の耐久性も含めて算出されなければならないが、前記非特許文献1に記載の方法は、太陽光スペクトルを効率よく吸収するために、長波長まで吸収可能な有機高分子を用いることによって、5%を超える変換効率を達成している。しかし、これらの素子は400〜900nmといった幅広い波長の光を吸収することで高効率の変換効率を達成しているものの、IPCEスペクトル(作用スペクトル、分光感度スペクトル)から読み取れる内部量子効率は、未だ50〜60%程度であり、太陽光を十分に高い効率で利用しているとは言い難く、実用化するに十分な光電変換効率を達成することができていないのが現状である。
一方、内部量子効率を向上させる手段として、フラーレン誘導体の構造により、p型材料との相溶性を変化させてバルクヘテロジャンクションの形状等を制御する方法が提案されている(例えば、非特許文献2、特許文献1参照)。また、酸化チタン、カーボンブラック等の粒子にフラーレン等を担持して光電変換効率を向上させる手段等も提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。しかしながら、上記提案されている方法では、絶縁または異種の粒子における励起子の寿命が短く、期待される高い光電変換効率を得ることができない。更に、有機太陽電池においては、得られる性能はバルクヘテロジャンクションの相分離構造に依存しているため、熱や光等で相分離構造が変化すると効率等が劣化するという、耐久性に関しても問題を抱えていた。
特開2010−135665号公報 特表2001−526466号公報 特開2008−288477号公報
A.Heeger:Nature Mat.;vol.6(2007),p497 Fukuoka:Technical Digest of the International PVSEC−17,2007予稿集、p287
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高い変換効率が達成でき、耐久性に優れ、安価な製造を可能とする塗布プロセスに対応可能な有機光電変換素子と有機光電変換素子の製造方法及びそれを用いた太陽電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子において、該光電変換層がバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とを含有することを特徴とする有機光電変換素子。
2.前記粒子状n型半導体材料が、フラーレン誘導体であることを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子。
3.前記バルク状n型半導体材料が、前記粒子状n型半導体材料に隣接して配置していることを特徴とする前記1または2に記載の有機光電変換素子。
4.前記光電変換層における前記バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料との含有質量比(バルク状n型半導体材料/粒子状n型半導体材料)が、1/10〜8/2であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
5.前記粒子状n型半導体材料の各粒径範囲における含有質量比(平均粒径100nm未満/平均粒径100nm以上)が、5/5〜10/1であることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
6.前記p型半導体材料が、ポリチオフェン誘導体であることを特徴とする前記1から5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
7.電子輸送層が、前記光電変換層とは異なる半導体材料で形成されていることを特徴とする前記1から6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
8.プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子の製造方法において、n型半導体材料はバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とで構成され、第1の工程で該バルク状n型半導体材料と該p型半導体材料を加熱溶解して第1の塗布液を調製し、第2の工程で、該第1の塗布液に粒子状n型半導体材料を添加して第2の塗布液を調製し、該第2の塗布液を塗布、乾燥して該光電変換層を形成することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
9.前記1から7のいずれか1項に記載の有機光電変換素子から構成されていることを特徴とする太陽電池。
本発明により、高い変換効率を達成でき、耐久性に優れ、安価な製造を可能とする塗布プロセスに対応可能な有機光電変換素子と有機光電変換素子の製造方法及びそれを用いた太陽電池を提供することができた。
本発明に係る多孔質的な擬似バルクヘテロジャンクションの構造を有する光電変換層を含む有機光電変換素子の一例を示す模式図である。 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる別の太陽電池を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子において、該光電変換層がバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とを含有することを特徴とする有機光電変換素子により、高い変換効率を達成でき、耐久性に優れ、安価な製造を可能とする塗布プロセスに対応可能な有機光電変換素子を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った次第である。
詳しく解説すると、本発明に係る光電変換層は、p型半導体材料と、バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料を含有する塗布液を塗布することで、通常のp型半導体材料とn型半導体材料で形成されるバルクヘテロジャンクション構造よりも、粒子状n型半導体材料を添加することにより、図1に模式図として示すような、より多孔質的な擬似バルクヘテロジャンクションの構造を形成していると推定される。
図1は、本発明に係る多孔質的な疑似バルクヘテロジャンクションの構造を有する光電変換層を含む有機光電変換素子の一例を示す模式図である。
本発明の有機光電変換素子10の構成は、図1のa)にその一例を示すように、プラスチック基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、光電変換層4、電子輸送層8及び対極9が積層された構成を採ることができる。
本発明の有機光電変換素子10において、光電変換層4は、図1のa)に示すように、p型半導体材料7とn型半導体材料から構成され、n型半導体材料が、バルク状n型半導体材料5、5′と、粒子状n型半導体材料6A、6Bであることを特徴とする。
更には、図1のa)に示すように、バルク状n型半導体材料5′が、粒子状n型半導体材料6A、6Bの表面に配置した構成であることが好ましい。
また、光電変換層4におけるバルク状n型半導体材料5、5′と、粒子状n型半導体材料6A、6Bとの含有質量比(バルク状n型半導体材料/粒子状n型半導体材料)は、多孔質表面により効率的に配置する観点から、1/10〜8/2であることが好ましく、更に好ましくは2/8〜8/2である。
また、光電変換層4における粒子状n型半導体材料としては、多孔質構造をより多孔質化し、かつ安定化する観点から、凝集力の強い比較的小さい粒子状n型半導体材料6Aと、凝集力は小さいが構造形成しやすい比較的大きい粒子状n型半導体材料6Bを併用して構成することが好ましい。本発明においては、粒子状n型半導体材料における(平均粒径100nm未満/平均粒径100nm以上の粒子)の含有質量比が、5/5〜10/1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、6/4〜9/1である。
図1のb)は、上記説明した図1のa)により構成されるバルクヘテロジャンクション構造5Bを示してある。
図1に示したような多孔質的な構造は、バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料で構成させることにより、粒子状n型半導体材料の表面にバルク状n型半導体材料が配置し、さらにp型半導体材料とバルク状n型半導体材料の相分離により、より微細なミクロ構造を形成され、p型半導体材料とn型半導体材料の界面の表面積が大きくなり、より高い光電変換効率が可能になったと推定される。また、粒子状n型半導体材料から構成される光電変換層は、粒子の多孔質的な構造が建物の土台的な役割を担うことから、光、熱等の外乱に対しても安定で、高耐久性も両立できていると推定される。
図1に示すような本発明に係る多孔質的な構造からなる光電変換層の具体的な形成方法としては、第1の工程でバルク状n型半導体材料とp型半導体材料とを、両者に対し溶性を備えた溶媒を用いて、所定の温度、例えば、100℃以上の温度で加熱・溶解して第1の塗布液を調製する。次いで、バルク状n型半導体材料とp型半導体材料を溶解した第1の塗布液を、例えば、室温(25℃程度)に冷却して、使用した溶媒に対するn型半導体材料の溶解度を大きく低下させた後、第2の工程で粒子状n型半導体材料、あるいは粒子径の異なる2種以上の粒子状n型半導体材料を添加して第2の塗布液を調製し、この第2の塗布液を、プラスチック基板上に塗布、乾燥することにより、バルク状n型半導体材料とp型半導体材料は相分離を生じて、図1に示すようなバルク状n型半導体材料5、5′とp型半導体材料7とが形成され、粒子状n型半導体材料6A、6Bは、粒子状態で二次粒子を形成し、粒子による多孔質的な構造が形成される。
なお、本発明に係る図1で示したような光電変換層の構成は、作製した有機光電変換素子の断面部を、電子顕微鏡で拡大撮影して確認することができる。
以下、本発明の有機光電変換素子を更に詳しく説明する。
〔有機光電変換素子および太陽電池の構成〕
はじめに、有機光電変換素子および太陽電池の基本的な構成を、図を交えて説明する。
図2は、有機光電変換素子から構成される太陽電池の一例を示す断面図である。
図2において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、プラスチック基板11の一方の面上に、透明電極12、正孔輸送層17、図1で説明したような構成からなるバルクヘテロジャンクション構造の光電変換層14、電子輸送層18及び対極13が順次積層されている。
プラスチック基板11は、順次積層された透明電極12、光電変換層14及び対極13を保持する部材である。本実施形態では、プラスチック基板11側から光電変換される光が入射するので、プラスチック基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して高い透過性を有する透明な部材である。通常の基板は、ガラス基板や樹脂基板等が用いられるが、本発明の有機光電変換素子においては、プラスチック基板を用いる。このプラスチック基板11は、例えば、光電変換部14の両面に透明電極12及び対極13を形成することでバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
光電変換層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、前記図1で説明したように、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図2において、プラスチック基板11を介して透明電極12から入射された光は、光電変換部14のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、透明電極12と対極13の仕事関数が異なる場合では透明電極12と対極13との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は、電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、透明電極12の仕事関数が対極13の仕事関数よりも大きい場合では、電子は、透明電極12へ、正孔は、対極13へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、透明電極12と対極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
なお、図2には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
更に好ましい構成としては、図3に示すような前記光電変換層14が、いわゆるp−i−nの三層構成14p、14i、14nとなっている構成を挙げることができる。通常のバルクヘテロジャンクション層は、p型半導体材料とn型半導体層が混合した、i層単体であるが、p型半導体材料単体からなるp層、およびn型半導体材料単体からなるn層で挟むことにより、正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
さらに、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。
図4は、タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。
タンデム型構成の場合、プラスチック基板11上に、順次、透明電極12、第1の光電変換層14′を積層した後、電荷再結合層15を積層した後、第2の光電変換層16、次いで対極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第2の光電変換部16は、第1の光電変換層14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。また、第1の光電変換層14′、第2の光電変換層16が、ともに前述のp−i−nの三層構成であってもよい。
以下に、これらの各層を構成する材料について述べる。
〔n型半導体材料〕
本発明の有機光電変換素子では、n型半導体材料及びp型半導体材料で構成されるバルクヘテロジャンクション層が、バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料を含有する構成であることを特徴とする。
一般に、p型、n型とは、半導体材料で電気伝導に寄与するのが、正孔であるか、電子であるかを示している。
バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料の母核の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物が挙げられる。上記の中で、n型有機半導体母核としては、フラーレンが好ましい。
これは、p型有機半導体材料との電荷分離が50fsと非常に速い時間で電荷分離を起こせるためであり、その結果、分離された電荷の再結合などが起こりにくく、高い光電変換効率を得ることができる。
なお、バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料として好適に用いられるフラーレン母核としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、等が挙げられるが、フラーレンC60およびC70が好ましく、中でもフラーレンC60が好ましい。上記フラーレン含有材料としては、上記母核を有する高分子化合物(誘導体)が好ましく、特に[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称:PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(略称:PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(略称:PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(略称:PCBH)が好ましい。
本発明に係るバルク状n型半導体材料は、p型半導体材料と溶媒と共に加熱溶解した後、塗布、乾燥させ、両者を相分離させることにより形成することができる。加熱温度としては、バルク状n型半導体材料は、p型半導体材料の種類や溶媒の種類により適宜設定されるが、概ね80℃以上であることが好ましく、より好ましく100℃以上、200℃以下である。
本発明おいては、光電変換層にバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料を含有することを特徴とする。本発明に係る光電変換層の形成方法としては、上記方法でバルク状n型半導体材料とp型半導体材料を溶解した第1の塗布液に粒子状n型半導体材料を添加して第2の塗布液とし、この第2の塗布液をプラスチック基板上に塗布して形成される。
前述のとおり、このような粒子は、p/nの2層の単純なバルクヘテロジャンクション層ではなく、粒子による多孔質的で構造を形成するため、粒子表面でより小さく、より多くの相分離構造(p型/n型有機半導体層の界面面積)を得ることができる。また、粒子状n型半導体材料からなる光電変換層は、粒子の多孔質的な構造が建物の土台的な役割を担うことから、光、熱等の外乱にも安定で、高耐久性も両立できる。
本発明において、粒子状n型半導体は、バルク状n型半導体材料と同一部分構造を有するものが好ましく、バルク状n型半導体同様、フラーレン構造を有するものであることが好ましい。特に、両者が同じ単一の組成であることが好ましい。バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料を併用することで、粒子表面に分子が吸着等によって配置しやすくなるので好ましい。また、粒子によって形成された多孔質表面に分子が存在するので、粒子がない場合よりも少ない量のバルク状半導体材料で、より小さく、より多くの相分離構造を形成することができると思われる。
粒子状n型半導体材料の形状としては、種々の形状のものを適応可能である。例えば、球状、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状など種々の形状を例示することができる。多孔質の構造を形成する点から有利なのは、球状または不定形が好ましい。
平均粒径としては、10〜5000nmが好ましく、特に10〜2000nmが好ましく、更に好ましくは10〜1000nmである。10nm未満であると粒子の凝集力が強くなり、多孔質構造を形成できない。一方、5000nmより大きいと、粒子の凝集力が弱く、圧力、熱、光等の外乱に対して多孔質構造を維持しにくく、耐久性が劣化するので好ましくない。
多孔質構造をより多孔質化し、かつ安定化するには、前記図1にて説明したように、凝集力の強い比較的小さい粒子と、凝集力は小さいが構造形成しやすい比較的大きい粒子を混合するのが好ましく、その混合比、含有質量比(平均粒径100nm未満/平均粒径100nm以上)として、5/5〜10/1の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、6/4〜9/1である。また、多孔質表面により効率的に配置するためには、バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料との含有質量比(バルク状n型半導体材料/粒子状n型半導体材料)が、1/10〜8/2であることが好ましく、更に好ましくは2/8〜8/2である。
本発明に係る粒子状n型半導体材料は、種々の方法で調製することができる。例えば、フラーレン誘導体であれば、溶剤中で分散して調製する方法、直接または溶剤中で超音波、摩擦、レーザー等で粉砕して調製する方法、フラーレンを化学修飾する方法、分散剤等を添加して溶剤に分散する方法、高温で溶剤に溶解した後に溶剤を除去して調製する方法、高温で溶剤に溶解した後に貧溶媒に滴下して調製する方法等が挙げられる。この中でも、半導体としての性能を劣化させない点で、溶剤中で分散して調製する方法、直接または溶剤中で超音波、摩擦、レーザー等で粉砕して調製する方法、高温で溶剤に溶解した後に貧溶媒に滴下して調製する方法が好ましい。特に、ナノレベルの粒子状n型半導体材料を安定して調製できる観点から、溶剤中で超音波、摩擦、レーザー等で粉砕して調製する方法が好ましい。
〔p型半導体材料〕
本発明に係るバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマー・オリゴマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(略称:TTF)−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(略称:BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また、上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号明細書、国際公開第03/28125号明細書、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基を持ったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(略称:P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のポリ(シクロペンタジチオフェン−ベンゾチアジアゾール)共重合体(略称:PCPDTBT)等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
上記の中でも、本発明においては、フラーレン誘導体との相性が良好なチオフェン系のオリゴマー、ポリマーを選択することが好ましい。特に、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(略称:P3HT)等のポリマーを使用することが好ましい。
〔正孔輸送層・電子ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子においては、バルクヘテロジャンクション層と透明電極(陽極)との中間に正孔輸送層を設けることが、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため好ましい。
正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006019270号明細書等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を透明電極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、光電変換層で使用したn型/p型半導体の少なくとも一つを混合して使用することも可能であるが、本発明ではより変換効率を向上させるために、光電変換層とは異なる半導体材料を使用することが好ましい。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法(湿式塗布法)である。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、下層部に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
〔電子輸送層・正孔ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子では、バルクヘテロジャンクション層と対極(陰極)との中間に電子輸送層を形成することが、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため好ましい。
電子輸送層の構成材料としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を挙げることができるが、同様に、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を対極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。本発明においては、電子輸送層が、本発明に係る光電変換層とは異なる半導体材料で形成されていることが好ましい。
電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を挙げることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体から構成される層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
〔その他の構成層〕
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を有機光電変換素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
〔透明電極(陽極)〕
本発明に係る透明電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、陽極として用いることが一般的である。なお、本発明における陽極とは、正孔を取り出す電極のことを意味する。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。透明電極の構成材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子化合物等も用いることができる。また、これらの導電性高分子化合物を複数種組み合わせて透明電極とすることもできる。
〔対極(陰極)〕
本発明に係る対極では、陰極、陽極には限定せず、有機光電変換素子の構成により選択することができるが、陰極として用いることが一般的である。なお、本発明における陰極とは、電子を取り出す電極のことを意味する。例えば、陰極として用いる場合、対極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。対極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
本発明に係る対極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の薄膜形成方法により形成することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
対極の導電材として金属材料を用いれば、対極側に到達した光は反射されて第1電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上する観点から好ましい。
また、本発明に係る対極の構成材料としては、金属(例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い対極を、湿式塗布法により形成することができる観点から好ましい。
また、対極側を光透過性とする場合には、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の対極に適した導電性材料を、1〜20nm程度の薄膜で形成した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性を備えた対極とすることができる。
〔中間電極〕
また、図4に示したようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いて形成した層であることが好ましく、前記透明電極で用いたような材料(例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお、前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
〔光学機能層〕
本発明の有機光電変換素子には、太陽光をより効率的に受光することを目的として、各種の光学機能層を設けても良い。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、対極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、プラスチック基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができる観点からより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化チタン、酸化亜鉛粒子とバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。
集光層としては、例えば、プラスチック基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
〔プラスチック基板〕
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。本発明においては、基板は、軽量性と柔軟性の観点からプラスチック透明樹脂フィルムから構成されるプラスチック基板を用いることが特徴である。
本発明に係るプラスチック基板としては、特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係るプラスチック基板に好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の支持体を製造することができる。また、未延伸の支持体を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、支持体の流れ(縦軸)方向、又は支持体の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸支持体を製造することができる。この場合の延伸倍率は、支持体の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に用いられるプラスチック基板は、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記ポリエステルフィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われるのが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、より好ましくは処理温度が100〜180℃である。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好ましく、より好ましくは弛緩率が2〜6%で処理されることである。弛緩処理された支持体は、下記のオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、更に寸法安定性が良好になる。オフライン熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、複数のロール群によるロール搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などにより搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、フィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を挙げることが出来る。熱処理の搬送張力は、出来るだけ低くして熱収縮を促進することで、良好な寸法安定性の支持体となる。処理温度としてはTg+50〜Tg+150℃の温度範囲が好ましい。
本発明に係るプラスチック基板には、製膜過程で片面または両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明において、製膜工程中での下引塗布を、インライン下引と称す。
本発明に有用な下引層の形成に用いる下引層塗布液において、使用する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等を挙げることができ、いずれも好ましく用いることができる。
これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。上記下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることで形成することができる。上記下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、本発明に係るプラスチック基板は、太陽電池として屋外で使用することから、耐加水分解性を有するフィルムを使用することが好ましい。例えば、特開2007−70430号公報に記載されたフィルムの固有粘度を上げる技術や、特開2007−204538号公報に記載されたフィルム中のポリエステルの末端カルボン酸を抑える技術等を適用して、耐加水分解性を付与させることが好ましい。
〔光電変換層の形成方法〕
本発明に係る光電変換層の形成方法としては、前述のように、第1の工程でバルク状n型半導体材料とp型半導体材料とを、両者に対し溶性を備えた溶媒を用いて加熱・溶解して第1の塗布液を調製する。次いで、第2の工程として、上記調製した第1の塗布液に、粒子状n型半導体材料を添加して第2の塗布液を調製し、この第2の塗布液を、プラスチック基板上に塗布、乾燥することにより、バルク状n型半導体材料とp型半導体材料は相分離を生じて、バルク状n型半導体材料とp型半導体材料とが形成され、粒子状n型半導体材料は、粒子状態で二次粒子を形成し、粒子による多孔質的な構造が形成される。
なお、第2の工程で、第1の塗布液に粒子状n型半導体材料を添加する際には、粒子状n型半導体材料の溶解を防止する観点からは、第1の塗布液の温度を、室温近傍の比較的低温度に維持することが好ましい。
p型半導体材料とn型半導体材料、及びに同種のn型半導体材料からなる粒子とが混合された光電変換層の形成方法としては、蒸着法、湿式塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができるが、粒子による多孔質構造の形成、p型半導体材料とn型半導体材料による相分離を形成する方法としては、湿式塗布法が好ましい。また、湿式塗布法は、製造速度に優れている点でも好ましい。
本発明に適用可能な湿式塗布法としては、特に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。更には、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は、残留溶媒、水分、ガス等の除去、半導体材料の相分離構造の形成及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすため、加熱処理、乾燥処理を施すことが好ましい。また、製造工程中において所定の温度でアニール処理が施されると、微視的に一部の相分離が促進したり、粒子の凝集または結晶化が安定化したり促進されたりして、耐久性、効率変換の向上の点で好ましい。
本発明に係る光電発電層は、単一層で構成しても、p型半導体材料とn型半導体材料との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に、不溶化できるような材料、溶剤を用いることで形成することが可能となる。
光電発電層形成用の塗布液に使用する溶媒としては、p型半導体材料とn型半導体材料が溶解できるものであれば、特に制限されるところではないが、塗布液中に経時で同種のn型半導体材料からなる粒子が溶解して粒径が変化してしまう点から、n型半導体材料に対して溶解性が低い溶剤を選択することが好ましい。
〔パターニング〕
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには、特に制限はなく、公知の形成方法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等により全面に塗布した後、不要部だけ拭き取っても良いし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接必要なパターニングをしても良い。
電極材料などの不溶性材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行う方法や、エッチング又はリフトオフ等の公知の方法によってパターニングする方法を適用することができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
〔封止〕
作製した有機光電変換素子の環境中における酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子に対し、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造等で適用されている公知の封止手段を施すことが好ましい。
例えば、アルミニウムまたはガラスから構成されるキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子とを接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《フラーレン粒子の調製》
〔フラーレン粒子Aの調製〕
PCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)の飽和トルエン溶液を調製した後、これを撹拌中のイソプロピルアルコール中に、平均粒径が50nmになる条件で液滴として滴下し、10分後に静置して、フラーレン粒子Aの沈殿物を得た。SEMでフラーレン粒子Aの粒子状態を観察したところ、粒子形状は球状で、平均粒径は54nmであった。
〔フラーレン粒子Bの調製〕
上記フラーレン粒子Aの調製において、平均粒径が200nmとなる様に滴下条件を変更した以外は同様にして、フラーレン粒子Bの沈殿物を得た。SEMでフラーレン粒子Bの粒子状態を観察したところ、粒子形状は球状で、平均粒径は215nmであった。
〔フラーレン粒子Cの調製〕
PCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を、メノウ乳鉢を用いて5分間の粉砕処理を行い、微粉化したフラーレン微粉末を調製した。この際、乳棒にかかる力が約500kPa〜5000kPaとなるように制御して粉砕を行った。粉砕後のフラーレン微粉末の51.3mgとイソプロピルアルコールの50mlとを試料瓶中で混合して密栓した後、5時間かけて超音波処理を行い、孔径5μmのフィルタで濾過して、フラーレン粒子Cのイソプロピルアルコール分散液を得た。次いで、イソプロピルアルコールを蒸発させ、SEMでフラーレン粒子Cの粒子状態を観察したところ、粒子形状は不定形で、平均粒径は287nmであった。
〔フラーレン粒子Dの調製〕
上記フラーレン粒子Cの調製において、フラーレン微粉末とイソプロピルアルコールの混合液への超音波処理時間を30分に変更した以外は同様にして、フラーレン粒子Dのイソプロピルアルコール分散液を得た。次いで、イソプロピルアルコールを蒸発させ、SEMでフラーレン粒子Dの粒子状態を観察したところ、粒子形状は不定形で、平均粒径は767nmであった。
〔フラーレン粒子Eの調製〕
PCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を用いて、これをメノウ乳鉢で5分間粉砕処理を行い、微粉化したフラーレン微粉末を調製した。この際、乳棒にかかる力が約500kPa〜5000kPaになるように制御して粉砕を行った。粉砕後のフラーレン微粉末の51.3mgとイソプロピルアルコール50mlを試料瓶中で混合し、密栓した後、溶液を確認しながら、Nd3+YAGレーザーの第二高調波(波長532nm、パルス半値幅7ns、繰り返し周波数10Hz)を励起光強度50mJ/cmで照射したところ、アブレーションが誘起されてフラーレン微粒末が粉砕されることにより、フラーレン粒子Eのイソプロピルアルコール分散液を得た。イソプロピルアルコールを蒸発させ、SEMでフラーレン粒子Eの粒子状態を観察したところ、粒子形状は不定形で、平均粒径は36nmであった。
《有機光電変換素子の作製》
〔有機光電変換素子1の作製〕
(平滑層付きのプラスチック基材の作製)
両面に易接着加工が施され、オフラインアニール処理された厚さ125μmのポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製、KDLA86W−125μm)の片面に、JSR社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート剤OPSTAR Z7535を、乾燥後の(平均)膜厚が4μmとなる条件でワイヤーバーを用いて塗布した後、80℃で3分間の乾燥を行った後、空気雰囲気下で、高圧水銀ランプを使用して、500mJ/cmの硬化条件で硬化処理を行い、平滑層付きのプラスチック基材を作製した。
(透明導電膜の形成)
上記平滑層付きのプラスチック基材を真空槽内に装着し、該真空槽を1×10−4Pa以下まで減圧した。次いで、スパッタリングターゲットとして質量比が酸化インジウム:酸化錫=95:5の組成のものを用いて、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス(体積比でAr:O=1000:3)を1×10−3Paとなるまで導入し、スパッタ出力100W、基板温度100℃にてDCマグネトロンスパッタリング法で製膜を行うことにより、厚さ150nmのITO透明導電膜(シート抵抗10Ω/□)を形成し、透明導電性基材を得た。製膜速度は0.3nm/minであった。
上記透明導電性基材に、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて、ITO透明導電膜を2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
(正孔輸送層の形成)
この透明導電性基材上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を乾燥後の膜厚が40nmとなるようにスピンコートした後、大気圧下で、140℃で10分間の加熱乾燥処理を行い、正孔輸送層を製膜した。
(光電変換層1の形成)
ついで、透明導電性基板を窒素チャンバー中に移動し、窒素雰囲気下で下記の方法に従って光電変換層1の形成を行った。
はじめに、窒素雰囲気下で、上記透明導電性基板を150℃で10分間加熱処理した。次いで、クロロベンゼンに、p型半導体材料としてP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラー ポリ−3−ヘキシルチオフェン)と、バルク状n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)とを、総量が3.0質量%で、かつP3HT:PCBMの混合比が1.0:0.8となる条件で添加した後、100℃で、1時間加熱溶解して、光電変換層塗布液1を調製した。この光電変換層塗布液1をフィルタでろ過しながら、乾燥後の(平均)膜厚が100nmになる条件で塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。続けて、150℃で15分間加熱処理を行い、p型半導体材料とバルク状n型半導体材料とが相分離して形成された光電変換層1を製膜した。
(電子輸送層の形成)
次いで、上記方法で光電変換層1を製膜した透明導電性基板を、真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下まで真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.01nm/秒でフッ化リチウムを厚さ0.6nmで積層して、電子輸送層を形成した。
(第2の電極の形成)
次いで、2mm幅のシャドウマスクを通して(受光部が2×2mmに成るように直行させて蒸着)、蒸着速度0.2nm/秒でアルミニウムメタルを厚さ100nmで積層して、第2の電極を形成して、有機光電変換素子1を作製した。
(有機光電変換素子の封止)
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、下記の方法に従って作製したガスバリア性フィルムの二枚を用い、ガスバリア層を設けた面に、シール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を塗布し、上記作製した有機光電変換素子の両面を、上記接着剤を塗布した二枚のガスバリア性フィルムの接着剤塗布面の間に挟み込んで密着させた後、片側の基板側からUV光を照射して硬化させ、封止構造を有する有機光電変換素子1を作製した。
[ガスバリア性フィルムの作製]
予め、露点温度−65度、不活性ガス雰囲気下、圧力80Paで保管し、脱水処理・脱酸素処理を施した厚さ50μmの帝人デュポンフィルム製ポリエステルフィルムKDL86Wの片面に、特開2007−83644号公報の実施例に記載の方法に準じて、ガスバリア層を形成した。具体的には、特開2007−83644号公報に記載の図4に示すロール電極型の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、上記ポリエステルフィルム上に、密着層/セラミック層/保護層の順に、以下に示す形成条件で製膜し、片面にガスバリア膜ユニット(密着層/セラミック層/保護層)を有するガスバリア性フィルムを作製した。なお、各層の膜厚は、密着層が50nm、セラミック層が30nm、保護層が400nmである。また、製膜時のポリエステルフィルムの保持温度は、120℃とした。
〈密着層の製膜条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1.0体積%
反応ガス2:テトラエトキシシランを全ガスに対し0.5体積%
低周波側電源電力:電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
高周波側電源電力:電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm
〈セラミック層の製膜条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5.0体積%
反応ガス2:テトラエトキシシランを全ガスに対し0.1体積%
低周波側電源電力:電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
高周波側電源電力:電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm
〈保護層の製膜条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:水素ガスを全ガスに対し1.0体積%
反応ガス2:テトラエトキシシランを全ガスに対し0.5体積%
低周波側電源電力:電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
高周波側電源電力:電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm
〔有機光電変換素子2の作製〕
上記有機光電変換素子1の作製において、光電変換層の形成方法として、光電変換層1の形成に代えて、下記光電変換層2の形成を用いた以外は同様にして、有機光電変換素子2を作製した。
(光電変換層2の形成)
透明導電性基板を窒素チャンバー中に移動し、窒素雰囲気下で下記の方法に従って光電変換層2の形成を行った。
はじめに、窒素雰囲気下で、上記透明導電性基板を150℃で10分間加熱処理した。次いで、クロロベンゼンに、p型半導体材料としてP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラー ポリ−3−ヘキシルチオフェン)と、バルク状n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)とを、総量が3.0質量%で、かつP3HT:PCBMの混合比が1.0:0.8となる条件で添加した後、100℃で、1時間加熱溶解して、光電変換層塗布液2Aを調製した。次いで、光電変換層塗布液2Aを25℃まで冷却した後、日揮触媒化成製のアナターゼ型酸化チタン粒子HPW−18NR(平均粒径18nm)を、バルク状n型半導体材料であるPCBMに対し、質量比で10質量%となる量を添加して光電変換層塗布液2Bを調製し、フィルタでろ過しながら、乾燥後の(平均)膜厚が100nmになる条件で塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。続けて、150℃で15分間加熱処理を行って、光電変換層2を製膜した。
〔有機光電変換素子3〜17の作製〕
上記有機光電変換素子2の作製において、光電変換層のp型半導体材料の種類、バルク状n型半導体材料の種類、粒子状n型半導体材料の種類、バルク状n型半導体材料/粒子状n型半導体材料の比率(表1には、分子/粒子と記載)、粒子状n型半導体材料の含有質量比(平均粒径100nm未満/平均粒径100nm)と、正孔輸送層の構成材料種を、表1に記載したように変更した以外は同様にして、有機光電変換素子3〜17を作製した。
なお、表1に略称で記載した各添加剤の詳細は、以下の通りである。
〈p型半導体材料〉
P3HT:レジオレギュラー ポリ−3−ヘキシルチオフェン、プレクトロニクス社製
TPPF:テトラフェニルポルフィリン、東京化成社製 A5012
〈バルク状n型半導体材料〉
PCBM:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル、フロンティアカーボン社製
TPPF:テトラフェニルポルフィリン、東京化成社製 A5012
〈粒子状n型半導体材料〉
チタニア:日揮触媒化成製アナターゼ型酸化チタン粒子HPW−18NR (平均粒径18nm)
カーボンブラック:ライオン製ケッチェンブラックEC300J(平均粒径40nm)
《有機光電変換素子の評価》
上記作製した有機光電変換素子1〜17について、下記の各評価を行った。
〔エネルギー変換効率の評価:PCE(%)の測定〕
上記作製した各有機光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)で強度100mW/cmの光を照射し、受光部に合わせて有効面積を4.0mmとしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及びフィルファクターFF(%)を、各有機光電変換素子上に形成した4箇所の受光部でそれぞれ測定し、下記式(1)に従ってエネルギー変換効率PCE(%)の4点における平均値を求め、これをエネルギー変換効率の尺度とした。
式(1)
PCE(%)=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)〕/100mW/cm
〔耐候性の評価〕
初期電池特性としての変換効率を測定し、性能の経時的低下の度合いを、メタルハライドランプ方式の耐候性試験機(ダイプラ・ウィンテス社製)を使用し、試料面放射強度:2.16MJ/m以下、ブラックパネル温度63℃、相対湿度:50%、照射時間500時間の条件で耐候性試験を行い、その後、温度85℃、湿度85%RH環境で3000時間保存した加速試験後の変換効率残存率(加速試験後の変換効率/初期変換効率×100(%))を求め、下記の基準に従って光、熱、湿度に対する耐候性を評価した。
5:加速試験後の変換効率残存率が、90%以上である
4:加速試験後の変換効率残存率が、70%以上、90%未満である
3:加速試験後の変換効率残存率が、40%以上、70%未満である
2:加速試験後の変換効率残存率が、20%以上、40%未満である
1:加速試験後の変換効率残存率が、20%未満である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2012182410
表1に記載の結果より明らかなように、本発明の有機光電変換素子は、比較例に対し、高いエネルギー変換効率を有し、耐候性に優れており、高品位の太陽電池を提供できることが分かる。
1、11 プラスチック基板
2、12 透明電極
3、17 正孔輸送層
4、14 光電変換層(バルクヘテロジャンクション層)
5、5′、5B バルク状n型半導体材料
6A、6B 粒子状n型半導体材料
7 p型半導体材料
8、18 電子輸送層
9、13 対極
10 有機光電変換素子(バルクヘテロジャンクション型)
14p p層
14i i層
14n n層
14′ 第1の光電変換層
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換層

Claims (9)

  1. プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子において、該光電変換層がバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とを含有することを特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記粒子状n型半導体材料が、フラーレン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記バルク状n型半導体材料が、前記粒子状n型半導体材料に隣接して配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
  4. 前記光電変換層における前記バルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料との含有質量比(バルク状n型半導体材料/粒子状n型半導体材料)が、1/10〜8/2であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  5. 前記粒子状n型半導体材料の各粒径範囲における含有質量比(平均粒径100nm未満/平均粒径100nm以上)が、5/5〜10/1であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  6. 前記p型半導体材料が、ポリチオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  7. 電子輸送層が、前記光電変換層とは異なる半導体材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  8. プラスチック基板上に透明電極及び対極を有し、該透明電極と対極との間に、n型半導体材料とp型半導体材料で構成される光電変換層を有する有機光電変換素子の製造方法において、n型半導体材料はバルク状n型半導体材料と粒子状n型半導体材料とで構成され、第1の工程で該バルク状n型半導体材料と該p型半導体材料を加熱溶解して第1の塗布液を調製し、第2の工程で、該第1の塗布液に粒子状n型半導体材料を添加して第2の塗布液を調製し、該第2の塗布液を塗布、乾燥して該光電変換層を形成することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載の有機光電変換素子から構成されていることを特徴とする太陽電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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