JP2012182295A - Iii族窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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宣弘 嵯峨
Yusuke Yoshizumi
祐介 善積
Kazuhide Sumiyoshi
和英 住吉
Masahiro Adachi
真寛 足立
Shinji Tokuyama
慎司 徳山
Shinpei Takagi
慎平 高木
Koji Katayama
浩二 片山
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Abstract

【課題】しきい値電流の大きさのばらつきを低減する。
【解決手段】半導体レーザ素子11は、六方晶系III族窒化物半導体からなり半極性主面17aを有する支持基板17と、半極性主面17a上に設けられた、窒化ガリウム系半導体からなる活性層25を含むレーザ構造体13とを備える。半極性主面17aは、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面であるか、若しくは六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.2度以上0.2度以下の範囲内で傾斜している。レーザ構造体13は、レーザ共振器の共振端面を構成する一対の割断面27,29を有する。一対の割断面27,29は、六方晶系III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面17aの法線軸とによって規定される面とそれぞれ交差する。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体レーザ素子に関するものである。
非特許文献1には、c面サファイア基板上に作製された半導体レーザが記載されている。この半導体レーザのレーザ共振器のミラー面は、ドライエッチングにより形成されている。この文献には、レーザ共振器のミラー面の顕微鏡写真が掲載され、その端面の粗さが約50nmであることが記載されている。
また、非特許文献2には、(11−22)面を主面とするGaN基板上に作製された半導体レーザが記載されている。この半導体レーザのレーザ共振器のミラー面もまた、ドライエッチングにより形成されている。
また、非特許文献3には、窒化ガリウム系半導体レーザが記載されている。この文献では、へき開面(cleaved facets)としてm面をレーザ共振器に利用するために、基板のc軸のオフ方向に偏光したレーザ光を生成することを提案している。この文献には、具体的には、無極性面では井戸幅を拡げること、半極性面では井戸幅を狭めることが記載されている。
Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 35, (1996) L74-L76 Appl. Phys. Express 1 (2008) 091102 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 46, (2007) L789
窒化ガリウム系半導体のバンド構造によれば、レーザ発振可能ないくつかの遷移が存在する。発明者の知見によれば、III族窒化物半導体レーザ素子の支持基板の主面が半極性面であり、その半極性面が、III族窒化物半導体のc軸に対してm軸の方向に傾斜している場合、c軸及びm軸によって規定される面に沿ってレーザ導波路を延在させると、しきい値電流を下げることができると考えている。すなわち、このようにレーザ導波路の延在方向を設定すると、III族窒化物半導体の遷移エネルギ(伝導帯エネルギと価電子帯エネルギとの差)の最も小さいモードがレーザ発振可能となり、しきい値電流を下げることができる。
しかしながら、レーザ導波路の延在方向をこのように設定すると、c面、a面又はm面といったへき開面をレーザ共振器の共振端面として利用できない。故に、従来の半導体レーザ素子では、反応性イオンエッチング(RIE)によって共振端面を形成している。しかし、RIEによって形成された共振端面は、レーザ導波路に対する垂直性、平坦性、イオンダメージ等の点において、改善が望まれる。また、現在の技術レベルにおける良好なドライエッチング面を得るためのプロセス条件の導出が大きな負担となる。
このような問題点に対し、発明者は、III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面の法線軸とによって規定される面に対して交差する割断面を形成し、この割断面を共振端面とすることによって、好適なレーザ発振が得られることを見出した。これにより、半導体レーザ素子のしきい値電流を下げることができる。しかしながら、このような共振端面を備える半導体レーザ素子を製造する際、製造ロット毎にしきい値電流の大きさがばらついてしまうと、上記効果を十分に享受することができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、III族窒化物半導体基板のm軸の方向に傾斜した半極性面上に形成されたIII族窒化物半導体レーザ素子であって、III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面の法線軸とによって規定される面に対して交差する割断面を共振端面とするものについて、しきい値電流の大きさのばらつきを低減することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明によるIII族窒化物半導体レーザ素子は、六方晶系III族窒化物半導体からなり半極性主面を有する支持基板と、支持基板の半極性主面上に設けられた、窒化ガリウム系半導体からなる第1及び第2のクラッド層、並びに第1のクラッド層と第2のクラッド層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体からなる活性層を含むレーザ構造体とを備え、支持基板の半極性主面が、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面であるか、若しくは六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.2度以上0.2度以下の範囲内で傾斜しており、レーザ構造体が、レーザ共振器の共振端面を構成する一対の割断面を有し、一対の割断面が、六方晶系III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面の法線軸とによって規定される面とそれぞれ交差することを特徴とする。
発明者の実験によれば、支持基板の半極性主面と、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面との成す角度が上記範囲内である場合に、しきい値電流の大きさのばらつきを低減することができる。
また、III族窒化物半導体レーザ素子は、支持基板の半極性主面が、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.1度以上0.1度以下の範囲内で傾斜していることを特徴としてもよい。支持基板の半極性主面と、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面との成す角度がこの範囲内である場合に、しきい値電流の大きさのばらつきをより効果的に低減することができる。
また、III族窒化物半導体レーザ素子は、支持基板が、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNのいずれかからなることを特徴としてもよい。
また、III族窒化物半導体レーザ素子は、活性層が、430nm以上600nm以下のフォトルミネッセンス波長を有するように設けられた量子井戸構造を含むことを特徴としてもよい。このIII族窒化物半導体レーザ素子は、半極性面の利用により、ピエゾ電界の低減と発光層領域の結晶品質向上によって量子効率を向上させることが可能となり、波長430nm以上600nm以下の光の発生に好適である。
本発明によれば、III族窒化物半導体基板のm軸の方向に傾斜した半極性面上に形成されたIII族窒化物半導体レーザ素子であって、III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面の法線軸とによって規定される面に対して交差する割断面を共振端面とするものについて、しきい値電流の大きさのばらつきを低減することができる。
図1は、本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子の一実施形態として、半導体レーザ素子の構造を概略的に示す図面である。 図2(a)は、半導体レーザ素子における活性層におけるバンド構造を示す図面である。図2(b)は、半導体レーザ素子におけるLEDモードの発光スペクトルを示す図である。 図3は、半導体レーザ素子の活性層における発光の偏光を示す図面である。 図4は、半導体レーザ素子を模式的に示す斜視図である。 図5は、c軸及びm軸によって規定される断面を模式的に示す図面である。 図6は、本実施形態に係る半導体レーザ素子を作製する方法の主要な工程を示すフローチャートである。 図7(a)ないし図7(c)は、半導体レーザ素子を作製する方法の主要な工程を示す図である。 図8は、六方晶III族窒化物半導体の{20−21}面に対するc軸方向への半極性主面の傾斜角、リッジ構造の高さ、リッジ構造の幅、評価数、レーザ発振が確認された素子の数、しきい値電流の平均値、しきい値電流の最大値、しきい値電流の最小値、及び歩留まりの各数値を示す図表である。 図9は、縦軸をしきい値電流の最小値とし、横軸を{20−21}面に対するc軸方向への半極性主面の傾斜角として、図8の数値をプロットしたグラフを示している。
以下、添付図面を参照しながら本発明によるIII族窒化物半導体レーザ素子の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子の一実施形態として、半導体レーザ素子11の構造を概略的に示す図面である。本実施形態の半導体レーザ素子11は、リッジガイド型の構造を有する。図1に示されるように、半導体レーザ素子11は、レーザ構造体13、電極15及び41、並びに支持基板17を備える。支持基板17は、六方晶系III族窒化物半導体からなり、半極性主面17a及び裏面17bを有する。
レーザ構造体13は、支持基板17の半極性主面17a上に設けられている。レーザ構造体13は、第1の半導体領域21と、第2の半導体領域23と、活性層25とを含む。第1の半導体領域21は、第1導電型の窒化ガリウム系半導体からなり、一例としては、n型GaNからなるバッファ層21a、n型InAlGaNからなる下部クラッド層(第1のクラッド層)21b、及びn型InGaN等からなる光ガイド層21cを含む。第2の半導体領域23は、第2導電型の窒化ガリウム系半導体からなり、例えばp型AlGaNからなる電子ブロック層23a、p型InGaNからなる光ガイド層23b、p型InAlGaNからなる上部クラッド層(第2のクラッド層)23c、及びp型GaNからなるコンタクト層23dを含む。
また、レーザ構造体13は、光導波方向に延びるリッジ部26を有する。リッジ部26は、一対の側面26a,26bを有しており、側面26aと側面26bとの間隔(すなわちリッジ部26の横幅)は、例えば2μmである。リッジ部26は、レーザ構造体13を構成する各半導体層のうち、光ガイド層23bの一部、上部クラッド層23c、及びコンタクト層23dを含む。このリッジ部26により、活性層25付近において幅方向の屈折率差が生じ、レーザ発振のための光導波路が形成される。
活性層25は、第1の半導体領域21と第2の半導体領域23との間に設けられる。活性層25は窒化ガリウム系半導体層を含み、この窒化ガリウム系半導体層は例えば井戸層25aである。活性層25は窒化ガリウム系半導体からなる障壁層25bを更に含んでおり、井戸層25a及び障壁層25bは交互に配列されている。井戸層25aは、例えばInGaN等からなり、障壁層25bは例えばGaNまたはInGaN等からなる。活性層25は、波長360nm以上600nm以下の光を発生するように設けられた量子井戸構造を含むことができる。半極性面の利用により、波長430nm以上600nm以下の光の発生に好適である。
図1には、直交座標系S及び結晶座標系CRが描かれている。半極性主面17aの法線軸NXは、直交座標系SのZ軸に平行である。換言すれば、半極性主面17aは、直交座標系SのX軸及びY軸により規定される所定の平面に対して平行に延在する。また、図1には、支持基板17を構成する六方晶系III族窒化物半導体のc面Scが示されている。支持基板17の六方晶系III族窒化物半導体のc軸は、該半導体のm軸の方向に、法線軸NXに対して有限な角度αだけ傾斜している。
半導体レーザ素子11は、絶縁膜31を更に備える。絶縁膜31はレーザ構造体13の表面を覆っている。絶縁膜31のうちリッジ部26の頂部を覆う部分には、開口31aが形成されている。電極15は、開口31aを介してレーザ構造体13の表面(例えばコンタクト層23d)に対しオーミック接触を成している。支持基板17の裏面17bには、別の電極41が裏面17bを覆うように設けられ、電極41は、支持基板17に対しオーミック接触を成している。
また、レーザ構造体13は、光導波方向と交差する一対の割断面27(第1の割断面)及び29(第2の割断面)を有する。割断面27及び29は、支持基板17を構成する六方晶系III族窒化物半導体のc軸と、半極性主面17aの法線軸NVとを含む所定平面Svに対して交差するように(好ましくは、略直交するように)形成されている。割断面27及び29は、リッジ部26によって形成される光導波路の両端に位置し、レーザ共振器の一方および他方の共振端面をそれぞれ構成する。なお、割断面27及び29は、c面、m面又はa面といった従来のへき開面ではない。
この半導体レーザ素子11では、レーザ共振器を構成する割断面27及び29が所定平面Svと交差しているので、この所定平面Svと半極性主面17aとの交差線の方向に延在するレーザ導波路を設けることができる。すなわち、c軸及びm軸によって規定される面に沿ってレーザ導波路を延在させることができるので、半導体レーザ素子11のしきい値電流を下げることができる。
図2(a)は、半導体レーザ素子11における活性層におけるバンド構造を示す図面である。図2(b)は、半導体レーザ素子11におけるLEDモードの発光スペクトルを示す図である。図3は、半導体レーザ素子11の活性層25における発光の偏光を示す図面である。図4は、半導体レーザ素子11を模式的に示す斜視図である。図5は、c軸及びm軸によって規定される断面を模式的に示す図面である。
図2(a)に示されるように、バンド構造BaのΓ点近傍では、伝導帯と価電子帯との間の可能な遷移は3つ存在する。また、AバンドとBバンドとのエネルギ差は比較的小さい。そして、伝導帯とAバンドとの遷移Eaによる発光はa軸方向に偏光し、伝導帯とBバンドとの遷移Ebによる発光はc軸を主面に投影した方向に偏光する。なお、レーザ発振に関して、遷移Eaのしきい値は遷移Ebのしきい値よりも小さい。
また、図2(b)に示されるように、LEDモードの光は、六方晶系III族窒化物半導体のa軸方向の偏光成分I1と、六方晶系III族窒化物半導体のc軸を主面に投影した方向の偏光成分I2とを含む。偏光成分I1の光強度は、偏光成分I2の光強度より大きい。なお、偏光度ρは、(I1−I2)/(I1+I2)によって定義される。
また、半導体レーザ素子11では、六方晶系III族窒化物半導体のc軸及びm軸によって規定される面に沿ってレーザ導波路が延在しているので、図3に示されるように、このレーザ導波路内において共振するレーザ光は、六方晶系III族窒化物半導体のa軸の方向に偏光する。また、レーザ共振器のための割断面27及び29は、前述したようにc面、m面又はa面といった従来のへき開面とは異なるが、レーザ共振器のためのミラーとしての平坦性、垂直性を有する。したがって、割断面27及び29と、これらの間に延在するレーザ導波路とによって、図3に示されるように、c軸を主面に投影した方向に偏光する遷移Ebの発光よりも強い遷移Eaの発光を利用して、低しきい値のレーザ発振が可能になる。
ここで、図4に示されるように、割断面27及び29の各々には、支持基板17の端面17c及びレーザ構造体13の端面13cが現れている。支持基板17の端面17c及び活性層25の端面25cのそれぞれにおける法線ベクトルNAと、活性層25のm軸ベクトルMAとの成す角度βは、III族窒化物半導体のc軸及びm軸によって規定される第1平面S1の面内に規定される図示しない成分βと、第1平面S1及び法線軸NXのそれぞれと直交する第2平面S2の面内に規定される図示しない成分βとに分解される。成分βは、上述した角度αに対して±0.2度の範囲内に含まれることが好ましい。なお、この成分βは、図5において、代表的なm面Smと、活性層25の端面25cに沿って延在する参照面Fとの成す角度として示されている。また、成分βは、±5度の範囲内に含まれることが好ましい。このとき、半導体レーザ素子11の割断面27及び29は、半極性面17aの法線軸NXに垂直な面において規定される角度に関して上記の垂直性を満たす。
なお、図4に示されるように、半導体レーザ素子11は、割断面27及び29の少なくとも一方、又はそれぞれに設けられた誘電体多層膜43a及び43bを更に備えることができる。これらの誘電体多層膜43a及び43bによって、反射率を好適に調整できる。
再び図1を参照する。支持基板17の厚さDSUBは、400μm以下であることが好ましく、50μm以上100μm以下であることが更に好ましい。このような厚さは、レーザ共振器のための良質な割断面27及び29を得るために好適である。また、ハンドリングが容易になり、生産歩留まりを向上させることができる。
法線軸NXと六方晶系III族窒化物半導体のc軸との成す角度αは、75度±0.2度の範囲内に含まれる。換言すれば、半極性主面17aは、{20−21}面であるか、或いは、{20−21}面に対してc軸の方向に−0.2度以上0.2度以下の範囲内で傾斜している。この典型的な半極性面17aにおいて、当該半導体レーザ素子11のレーザ共振器を構成できる程度の十分な平坦性及び垂直性の割断面27及び29を提供できる。
支持基板17の積層欠陥密度は、1×10cm−1以下であることが好ましい。これにより、偶発的な事情によって割断面27及び29の平坦性及び/又は垂直性が乱れる可能性を低減できる。また、支持基板17は、GaN、AlN、AlGaN、InGaN及びInAlGaNのいずれかからなることができる。これらの窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いるとき、共振端面として利用可能な割断面27及び29を得ることができる。AlN又はAlGaN基板を用いるとき、偏光度を大きくでき、また低屈折率により光閉じ込めを強化できる。InGaN基板を用いるとき、基板と発光層との格子不整合率を小さくでき、結晶品質を向上できる。
図6は、本実施形態に係る半導体レーザ素子11を作製する方法の主要な工程を示すフローチャートである。また、図7(a)ないし図7(c)は、半導体レーザ素子11を作製する方法の主要な工程を示す図である。図7(a)を参照すると、六方晶系III族窒化物半導体からなる基板51が示されている。工程S11では、基板51を準備する。基板51の六方晶系III族窒化物半導体のc軸(ベクトルVC)は、六方晶系III族窒化物半導体のm軸方向(ベクトルVM)に法線軸NXに対して有限な角度αだけ傾斜している。これ故に、基板51は、六方晶系III族窒化物半導体からなる半極性主面51aを有する。
工程S12では、基板生産物SPを形成する。図7(a)では、基板生産物SPはほぼ円板形の部材として描かれているけれども、基板生産物SPの形状はこれに限定されるものではない。基板生産物SPを得るために、まず、工程S13では、レーザ構造体55を基板51の半極性主面51a上に形成する。すなわち、半導体領域57と、活性層59と、半導体領域61とを半極性主面51a上に順に成長させる。半導体領域57は、例えばn型GaNからなるバッファ層、n型InAlGaNからなる下部クラッド層(第1のクラッド層)、及びn型InGaN等からなる光ガイド層を含む。また、半導体領域61は、例えばp型AlGaNからなる電子ブロック層、p型InGaNからなる光ガイド層、p型InAlGaNからなる上部クラッド層(第2のクラッド層)、及びp型GaNからなるコンタクト層を含む。そして、半導体領域61をエッチングすることにより、リッジ構造53を形成する。その後、レーザ構造体55の表面を、絶縁膜54によって覆う。絶縁膜54は例えばシリコン酸化物からなる。そして、絶縁膜54に開口54aを形成する。
工程S14では、レーザ構造体55のリッジ構造53上にアノード電極58aを形成し、基板51の裏面51b上にカソード電極58bを形成する。なお、カソード電極58bを形成する前に、基板51の裏面51bを研磨して、基板51の厚さを所望の厚さDSUBとするとよい。アノード電極58aは所定方向(光導波方向)に延在し、カソード電極58bは裏面51bの全面を覆っている。これらの工程により、基板生産物SPが形成される。
工程S15では、図7(b)に示されるように、基板生産物SPの第1の面63aをスクライブする。このスクライブは、レーザスクライバ10aを用いて行われる。スクライブによりスクライブ溝65aが形成される。図7(b)では、5つのスクライブ溝65aが既に形成されており、レーザビームLBを用いてスクライブ溝65bの形成が進められている。スクライブ溝65aの長さは、六方晶系III族窒化物半導体のa軸及び法線軸NXによって規定されるa−n面と第1の面63aとの交差線AISの長さよりも短く、交差線AISの一部分にレーザビームLBの照射が行われる。レーザビームLBの照射により、特定の方向に延在しレーザ構造体55に到達する溝が第1の面63aに形成される。スクライブ溝65aは例えば基板生産物SPの一つのエッジに形成されることができる。
工程S16では、図7(c)に示されるように、基板生産物SPの第2の面63bへの押圧により基板生産物SPの分離を行って、基板生産物SP1及びレーザバーLB1を形成する。押圧は、例えばブレード69といったブレイキング装置を用いて行われる。ブレード69は、一方向に延在するエッジ69aと、エッジ69aを規定する少なくとも2つのブレード面69b、69cとを含む。また、基板生産物SP1の押圧は支持装置71上において行われる。支持装置71は、支持面71aと凹部71bとを含み、凹部71bは一方向に延在する。凹部71bは、支持面71aに形成されている。基板生産物SP1のスクライブ溝65aの向き及び位置を支持装置71の凹部71bの延在方向に合わせて、基板生産物SP1を支持装置71上において凹部71bに位置決めする。凹部71bの延在方向にブレイキング装置のエッジの向きを合わせて、第2の面63bに交差する方向からブレイキング装置のエッジを基板生産物SP1に押し当てる。交差方向は好ましくは第2の面63bにほぼ垂直方向である。これによって、基板生産物SP1の分離を行って、新たな基板生産物SP1及びレーザバーLB1を形成する。押し当てにより、一対の割断面67a及び67bを有するレーザバーLB1が形成され、これらの割断面67a及び67bは、少なくとも半導体レーザの共振ミラーに適用可能な程度の垂直性及び平坦性を有する。また、割断面67a及び67bの各々は、レーザバーLB1の第1の面63aから第2の面63bにまで延在する。これ故に、割断面67a及び67bは、当該III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振端面を構成し、XZ面と交差する。なお、このXZ面は、六方晶系III族窒化物半導体のm軸及び法線軸NXによって規定される所定平面Svに対応する。
この方法によれば、六方晶系III族窒化物半導体のa軸の方向に基板生産物SPの第1の面63aをスクライブした後に、基板生産物SP1の第2の面63bへの押圧により基板生産物SP1の分離を行って、新たな基板生産物SP1及びレーザバーLB1を形成する。これ故に、所定平面Svに交差するように、レーザバーLB1に割断面67a、67bが形成される。この端面形成によれば、第1及び第2の端面67a、67bに当該III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成できる程度の十分な平坦性及び垂直性が提供される。
また、この方法では、形成されたレーザ導波路は、六方晶系III族窒化物のc軸の傾斜の方向に延在している。ドライエッチング面を用いずに、このレーザ導波路を提供できる共振器ミラー端面を形成している。
この方法によれば、基板生産物SP1の割断により、新たな基板生産物SP1及びレーザバーLB1が形成される。工程S17では、押圧による分離を繰り返して、多数のレーザバーLB1を作製する。この割断は、レーザバーLB1の割断線Lbに比べて短いスクライブ溝65aを用いて引き起こされる。
工程S18では、レーザバーLB1の端面(割断面)67a及び67bに誘電体多層膜を形成して、レーザバー生産物を形成する。工程S19では、このレーザバー生産物を個々の半導体レーザのチップに分離する。
本実施の形態に係る製造方法では、角度αは、75±0.2度の範囲内に含まれることが好ましい。このような範囲の角度αによって、所望の平坦性及び垂直性が好適に得られる。そして、半極性主面51aは、{20−21}面であることができる。更に、これらの面から−0.2度以上+0.2度以下の範囲で微傾斜した面も半極性主面51aとして好適である。この典型的な半極性面によって、当該III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成できる程度の十分な平坦性及び垂直性を有する、レーザ共振器のための共振端面を提供できる。
また、基板生産物SPを形成する工程S14において、結晶成長に使用された半導体基板は、基板厚が400μm以下になるようにスライス又は研削といった加工が施され、第2の面63bが研磨により形成された加工面であることができる。この基板厚では、当該III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成できる程度の十分な平坦性、垂直性又はイオンダメージの無い割断面67a、67bを歩留まりよく形成できる。第2の面63bが研磨により形成された研磨面であり、研磨されて基板厚が100μm以下であれば更に好ましい。また、基板生産物SPを比較的容易に取り扱うためには、基板厚が50μm以上であることが好ましい。
なお、割断面67a及び67bは、半極性面51a上にエピタキシャルに成長された複数の窒化ガリウム系半導体層への押圧によるブレイクによって形成される。半極性主面51a上へのエピタキシャル膜であるが故に、割断面67a及び67bは、これまで共振器ミラーとして用いられてきたc面、m面、又はa面といった低面指数のへき開面ではない。しかしながら、半極性主面51a上に成長したエピタキシャル膜からなる積層構造のブレイクによって形成される割断面67a及び67bは、共振器ミラーとして適用可能な平坦性及び垂直性を有する。
(実施例1)上述した実施形態の方法によって複数の半導体レーザ素子を作製し、各素子を評価した結果について説明する。図8は、本実施例における、六方晶III族窒化物半導体の{20−21}面に対するc軸方向への半極性主面の傾き角度(度)、発振波長(nm)、しきい値電流(mA)、及び発振歩留まり(%)の各数値を示す図表である。また、図9は、縦軸をしきい値電流(mA)とし、横軸を{20−21}面に対するc軸方向への半極性主面の傾き角度(度)として、図8の数値をプロットしたグラフを示している。
図8及び図9に示されるように、支持基板の半極性主面と、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面との成す角度が−0.2度以上0.2度以下の範囲内である場合に、しきい値電流の大きさが120mA以下となり顕著に低くなっている。また、支持基板の半極性主面と、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面との成す角度が−0.1度以上0.1度以下の範囲内である場合に、しきい値電流の大きさが80mA以下となり更に低くなっている。
この結果から、支持基板の半極性主面が、六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面であるか、若しくは六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.2度以上0.2度以下の範囲内で傾斜している場合に、しきい値電流の大きさを顕著に低減できることがわかる。なお、このような結果は、次の作用によるものと考えられる。すなわち、一対の割断面においてレーザ共振端面として働く{−1017}面は、{20−21}面に対して90.101度の角度を成す。半極性主面が{20−21}面に対して大きく傾くと、この{−1017}面が割断面内に出現しにくくなり、割断面の平滑性が損なわれてしまう。その結果、しきい値電流値が増大してしまう。これに対し、半極性主面が{20−21}面に対して−0.2度以上0.2度以下の範囲内にあれば、{−1017}面が割断面内に好適に出現し、平滑なレーザ共振端面を得ることができ、しきい値電流を効果的に下げることができる。
10a…レーザスクライバ、11…半導体レーザ素子、13…レーザ構造体、15…電極、17…支持基板、17a…半極性主面、17b…裏面、21…第1の半導体領域、23…第2の半導体領域、25…活性層、26…リッジ部、27,29…割断面、31…絶縁膜、41…電極、Ea…遷移、Eb…遷移、F…参照面、LB…レーザビーム、Lb…割断線、Sc…c面、Sm…m面。

Claims (4)

  1. 六方晶系III族窒化物半導体からなり半極性主面を有する支持基板と、
    前記支持基板の前記半極性主面上に設けられた、窒化ガリウム系半導体からなる第1及び第2のクラッド層、並びに前記第1のクラッド層と前記第2のクラッド層との間に設けられた窒化ガリウム系半導体からなる活性層を含むレーザ構造体と
    を備え、
    前記支持基板の前記半極性主面が、前記六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面であるか、若しくは前記六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.2度以上0.2度以下の範囲内で傾斜しており、
    前記レーザ構造体が、レーザ共振器の共振端面を構成する一対の割断面を有し、
    前記一対の割断面が、前記六方晶系III族窒化物半導体のc軸と、前記半極性主面の法線軸とによって規定される面とそれぞれ交差する、
    ことを特徴とするIII族窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記支持基板の前記半極性主面が、前記六方晶系III族窒化物半導体の{20−21}面に対してc軸の方向に−0.1度以上0.1度以下の範囲内で傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記支持基板が、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNのいずれかからなる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記活性層が、430nm以上600nm以下のフォトルミネッセンス波長を有するように設けられた量子井戸構造を含む、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体レーザ素子。
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