JP2012182265A - グレーディングされた高温超電導コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】 コイル内側の層の配置を工夫することにより、コイル全体での通電電流を増加させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができる、グレーディングされた高温超電導コイルを提供する。
【解決手段】 グレーディングされた高温超電導コイルにおいて、高温超電導コイル1の内側では各層ごとの超電導線材2,4の本数を多くし、高温超電導コイル1の外側に向かうほど各層ごとの超電導線材6の本数を少なくするようにして、高温超電導コイル1全体での通電電流を向上させ、超電導線材2,4,6の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】 グレーディングされた高温超電導コイルにおいて、高温超電導コイル1の内側では各層ごとの超電導線材2,4の本数を多くし、高温超電導コイル1の外側に向かうほど各層ごとの超電導線材6の本数を少なくするようにして、高温超電導コイル1全体での通電電流を向上させ、超電導線材2,4,6の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、グレーディング(grading)された高温超電導コイルに関するものである。
従来、近年高温超電導磁石(高温超電導コイル)の開発が進んでいる(下記非特許文献1参照)ものの、高温超電導線材が高価なことが問題である。超電導状態を維持できるか否かは、温度、通電電流、経験磁場の3条件で決まるため、超電導線材の性能に合わせて超電導コイルを設計する必要がある。
竹松 卓也他,「エポキシ含浸によるYBCOダブルパンケーキコイルの特性劣化」,第83回 2010年度秋季低温工学・超電導学会講演概要集,pp.246
高温超電導コイルの経験する磁場はコイルの内側に近付くほど強くなる。経験磁場が大きいほど磁界電流値は小さくなるため、コイル内側の線材性能によってコイル全体の臨界電流が決まってしまう。ところが、従来の高温超電導コイル101は、図4に示すように、絶縁層103と交互に積層される各層ごとの超電導線材102の本数が一定である。超電導線材をコイルにした場合、コイルの中心付近で高い磁場が発生するため、常電導状態に転移するのはコイル内側の超電導線材である。例えば、図5に示されるように、高温超電導コイル101が中心磁場が5T級のものであるとすると、コイル面から高さ1cmの表面では内側の磁場分布は3.3T、中程では2.3T、外側では1.0Tとなり、経験磁場が小さいコイル外側の超電導線材はその通電電流に余裕があり、性能を十分に活かしきれないといった問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、コイル内側の層の配置を工夫することにより、コイル全体での通電電流を増加させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができる、グレーディングされた高温超電導コイルを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕グレーディングされた高温超電導コイルにおいて、高温超電導コイルの内側では各層ごとの超電導線材の本数を多くし、高温超電導コイルの外側に向かうほど各層ごとの超電導線材の本数を少なくするようにして、高温超電導コイル全体での通電電流を向上させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成したことを特徴とする。
〔1〕グレーディングされた高温超電導コイルにおいて、高温超電導コイルの内側では各層ごとの超電導線材の本数を多くし、高温超電導コイルの外側に向かうほど各層ごとの超電導線材の本数を少なくするようにして、高温超電導コイル全体での通電電流を向上させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成したことを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のグレーディングされた高温超電導コイルにおいて、前記高温超電導コイルの全体の層数が100層の場合、前記高温超電導コイルの内側の20層を二重巻となし、残りの80層を一重巻としたことを特徴とする。
本発明によれば、コイル内側の層の配置を工夫することにより、コイル全体での通電電流を向上させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができる。
また、高温超電導線材の使用量を減らすことができるので、超電導磁石の製作コストを低減できる。
また、高温超電導線材の使用量を減らすことができるので、超電導磁石の製作コストを低減できる。
本発明のグレーディングされた高温超電導コイルは、高温超電導コイルの内側では各層ごとの超電導線材の本数を多くし、高温超電導コイルの外側に向かうほど各層ごとの超電導線材の本数を少なくなるようにして、高温超電導コイル全体での通電電流を向上させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成した。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すグレーディングされた高温超電導コイルの断面図である。
この図において、2はこのグレーディングされた高温超電導コイル1の内側に配置される、貼り合わされた複数層からなる超電導線材、3はその外周に配置される絶縁層、4はその絶縁層3の外周に配置される、貼り合わされた複数層からなる超電導線材であり、それよりも外周側には従来のように絶縁層5と単層からなる超電導線材6とが順次積層されて表面に至る。なお、絶縁層5は厚さ0.025〜0.05mm、幅4mm、単層からなる超電導線材6は例えば、厚さ0.1m、幅4mmである。
図1は本発明の実施例を示すグレーディングされた高温超電導コイルの断面図である。
この図において、2はこのグレーディングされた高温超電導コイル1の内側に配置される、貼り合わされた複数層からなる超電導線材、3はその外周に配置される絶縁層、4はその絶縁層3の外周に配置される、貼り合わされた複数層からなる超電導線材であり、それよりも外周側には従来のように絶縁層5と単層からなる超電導線材6とが順次積層されて表面に至る。なお、絶縁層5は厚さ0.025〜0.05mm、幅4mm、単層からなる超電導線材6は例えば、厚さ0.1m、幅4mmである。
このように、本発明のグレーディングされた高温超電導コイルは、高温超電導コイルの内側では各層ごとの超電導線材の本数を多くし、高温超電導コイルの外側に向かうほど各層ごとの超電導線材の本数を少なくするようにし、高温超電導コイル全体の臨界電流を高めるようにしている。
図2は本発明のグレーディングされた高温超電導コイルの数値解析モデルを示す図であり、図3はその解析結果を示す図である。
図2は本発明のグレーディングされた高温超電導コイルの数値解析モデルを示す図であり、図3はその解析結果を示す図である。
図2において、11は高温超電導コイル、11Aはそのコイルの内周部、12は磁場評価面である。
図2に示すように、磁場評価面12をコイルの半径方向の面に設置し、解析では、図3(a)に示すような一般的な一重巻コイル(比較例)と、図3(b)に示すような内側20層のみを二重にしてグレーディングされた高温超電導コイルを対象とした。なお、両者の外形寸法は、内径50mm、外径104mm、厚さ4.2mmの同じ寸法とし、一重巻コイル(比較例)の巻数は200とした。
図2に示すように、磁場評価面12をコイルの半径方向の面に設置し、解析では、図3(a)に示すような一般的な一重巻コイル(比較例)と、図3(b)に示すような内側20層のみを二重にしてグレーディングされた高温超電導コイルを対象とした。なお、両者の外形寸法は、内径50mm、外径104mm、厚さ4.2mmの同じ寸法とし、一重巻コイル(比較例)の巻数は200とした。
図3(a)では、一般的な一重巻コイルにおける100A通電時の磁場分布を示しており、コイル内側の面21で最大磁場が0.7Tとなり、コイル表面22ではこれよりもだいぶ小さな磁場となっていることが分かる。
図3(b)では、本発明に係るグレーディングされた高温超電導コイルにおける磁場分布を示している。
図3(b)では、本発明に係るグレーディングされた高温超電導コイルにおける磁場分布を示している。
コイル内側の面31での最大磁場が、図3(a)で得られた0.7Tと同様になるよう設定したところ、通電電流は128Aとなった。コイル内側の面31に近い二重巻コイル部分33からコイル表面32に向かって広い範囲で、最大磁場0.7Tに近い磁場分布が得られている。
また、両者の通電電流×ターン数(アンペアターン)を求めると以下のようになる。
また、両者の通電電流×ターン数(アンペアターン)を求めると以下のようになる。
図3(a)の場合は、100〔A〕×200=20000〔AT〕であるのに対して、図3(b)の場合は、128〔A〕×(160+20)=23040〔AT〕であり、図3(a)に比べて図3(b)の場合の方が、15%ほどアンペアターンが増加しており、このことからも、本発明のグレーディングされた高温超電導コイルでは広い範囲で高い磁場が得られることがわかる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明のグレーディングされた高温超電導コイルは、コイル内側の層の配置を工夫することにより、コイル全体での通電電流を増加させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができる、グレーディングされた高温超電導コイルとして利用可能である。
1 グレーディングされた高温超電導コイル
2,4 複数層からなる超電導線材
3,5 絶縁層
6 単層からなる超電導線材
11 高温超電導コイル
11A コイルの内周部
12 磁場評価面
31 コイル内側の面
32 コイル表面
33 二重巻コイル部分
2,4 複数層からなる超電導線材
3,5 絶縁層
6 単層からなる超電導線材
11 高温超電導コイル
11A コイルの内周部
12 磁場評価面
31 コイル内側の面
32 コイル表面
33 二重巻コイル部分
Claims (2)
- 高温超電導コイルの内側では各層ごとの超電導線材の本数を多くし、高温超電導コイルの外側に向かうほど各層ごとの超電導線材の本数を少なくするようにして、高温超電導コイル全体での通電電流を向上させ、超電導線材の使用量を抑えつつも高い磁場を生成することができるように構成したことを特徴とするグレーディングされた高温超電導コイル。
- 請求項1記載のグレーディングされた高温超電導コイルにおいて、前記高温超電導コイルの全体の層数が100層の場合、前記高温超電導コイルの内側の20層を二重巻となし、残りの80層を一重巻としたことを特徴とするグレーディングされた高温超電導コイル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011043457A JP2012182265A (ja) | 2011-03-01 | 2011-03-01 | グレーディングされた高温超電導コイル |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011043457A JP2012182265A (ja) | 2011-03-01 | 2011-03-01 | グレーディングされた高温超電導コイル |
Publications (1)
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Family
ID=47013226
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JP2011043457A Withdrawn JP2012182265A (ja) | 2011-03-01 | 2011-03-01 | グレーディングされた高温超電導コイル |
Country Status (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101759269B1 (ko) * | 2015-11-30 | 2017-07-19 | 한국기초과학지원연구원 | 고온초전도마그넷을 위한 지역절연권선 및 그 제조방법 |
JP2020198373A (ja) * | 2019-06-03 | 2020-12-10 | 株式会社日立製作所 | 超電導マグネット |
JP7571332B1 (ja) | 2023-08-09 | 2024-10-22 | 中国科学院合肥物質科学研究院 | 核融合炉超伝導磁石システム |
-
2011
- 2011-03-01 JP JP2011043457A patent/JP2012182265A/ja not_active Withdrawn
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