JP2012179843A - インクジェットヘッドの吐出制御方法及びインクジェットヘッド装置 - Google Patents

インクジェットヘッドの吐出制御方法及びインクジェットヘッド装置 Download PDF

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晋 尾塩
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Abstract

【課題】圧電素子の電界による変形を利用したインクジェットヘッドにおいて、ノズルごとのインク吐出量のばらつきを簡単かつ安価に調整する。
【解決手段】インクジェットヘッド装置1は、圧電素子に形成された複数のインク室13の内面に設けた電極14に通電し、圧電素子を電界で変位させてインクを加圧し、ノズルから吐出させる。各インク室の圧電素子11,12 の壁を駆動回路3により同一条件でそれぞれ駆動し、各壁ごとに時定数を測定する。最長の時定数に揃えるように、それより短い時定数であった壁に接続されている抵抗6をトリミングし、抵抗値を高くする。圧電素子の各壁の時定数が一定になり、各ノズルのインク吐出条件が均一になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子に電場を加えて変位を生じさせることにより、圧電素子に作り込まれたインク室内のインクに圧力を与えてノズルから吐出させるタイプのインクジェットヘッドに係り、特に圧電素子からなるインク室の静電容量のばらつきによりインクの吐出条件がノズルごとに異なる不都合、つまりインク吐出量のばらつきを解消する吐出制御方法及びインクジェットヘッド装置に関するものである。
電界が加えられた圧電素子が変形する現象を利用し、圧電素子に作り込まれたインク室内のインクに圧力を加えてノズルからインクを吐出するタイプのインクジェットヘッドが知られている。下記特許文献1に開示されている発明はその一例であり、シェアモードタイプと呼ばれるインクジェットヘッドに関するものである。すなわち、板厚方向について互いに対向方向に分極した2枚の圧電素子を接着剤で貼り合わせ、2層構造の板部材を作る。この板部材の一方の板面から多数の溝を一定間隔で切削加工し、これらの溝が、当該圧電素子の接着面を通過するとともに、各溝の先端部が板材の前端で開口するようなくし歯状の構造を作る。そして、これら溝が開口した圧電素子の一方の面を別の板材で塞ぐ。各溝の後端部は共通インク室に連通させ、先端部の開口には各溝の位置にノズルを有するオリフィスプレートを設ける。インク室に連通しインクが充満する前記溝の内面には、駆動用の電極を設ける。
上記構成において、前記電極に圧電素子に対して分極方向と垂直方向の電場を加えれば、圧電部材にはシェアモードの変位が生じ、この変位により当該溝内のインクが加圧され、当該溝に連通するノズルからインク滴が吐出される。
このようなインクジェットヘッドでは、一列に並んだ複数のノズルの各電極はそれぞれ別系統で駆動回路に接続されており、複数のノズルは各々独立して駆動できるようになっている。ここで、各ノズルに対応する各インク室は誘電率が高い圧電素子でできているため、静電容量も大きく、従ってインク室の容積のばらつきは駆動負荷の静電容量のばらつきとして表れる。このため、駆動時に各ノズルの各電極に駆動回路が同一の駆動電圧を与えると、静電容量のばらつきに応じて各ノズルの変形の度合いが同一にならず、各ノズルから吐出されるインク量にもばらつきが生じてしまう。
そこで、従来は、実際に各ノズルを駆動してインクを吐出させた場合のばらつきをノズルごとに計測し、これに応じてばらつきを補正するための補正値をノズルごとに算出し、この補正値を、ノズルごとにインクの吐出量を独立制御する制御データとして駆動回路のメモリに格納していた。印字作動時には、メモリにあるこの補正値を使用して各ノズルをそれぞれ独立駆動すれば、各ノズルで均一な吐出を行なうことができる。
そして、上記構成のインクジェットヘッドを用いた画像形成装置においては、一般にインクジェットヘッドを、複数のノズルが用紙の搬送方向と直交する方向に並ぶように所定位置に固定して設け、これに対して搬送機構で用紙を搬送し、用紙の搬送に同期して適当なタイミングでインクジェットヘッドを駆動することにより、吐出されたインク滴を用紙に付着させて所望の画像を形成している。
特開2000−135787号公報
従来の圧電素子を利用したインクジェットヘッドでは、各ノズルのインク吐出量のばらつきを補正するデータを得るため、実際に各ノズルを駆動してインクを吐出させ、ノズルごとのばらつきを計測し、さらにこのインク吐出結果に基づいて補正値を算出するという煩雑な作業が必要であった。さらに、この補正値を格納しておくメモリを用意する必要があるため、駆動回路の回路構成が複雑で高価になるとともに、後に調整が必要になった場合にも対応が容易ではなく、簡便性に欠ける構成と言わざるを得ないものであった。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、前記シェアモードタイプのような圧電素子の電界による変形を利用したインクジェットヘッドにおいて、ノズルごとのインク吐出量のばらつきを従来よりも簡単かつ安価に調整できるようにすることを目的としている。
請求項1に記載されたインクジェットヘッドの吐出制御方法は、
圧電素子から構成された複数のインク室にそれぞれ設けられた電極に通電し、前記インク室を電界で変位させて前記インク室内のインクを加圧することにより、前記インク室に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドの吐出制御方法において、
前記各インク室の前記電極を駆動回路によって同一の条件で駆動した際に得られる駆動負荷の時定数を測定し、
前記各インク室ごとの時定数が一定となるように、前記インク室の前記電極に直列に接続された抵抗の抵抗値を調整することを特徴としている。
請求項2に記載されたインクジェットヘッドの吐出制御方法は、請求項1に記載されたインクジェットヘッドの吐出制御方法において、
得られた前記各インク室ごとの時定数の中で最長の時定数と、その他の時定数とが同一となるように、時定数が最長である前記インク室以外の前記インク室と前記駆動回路との間に設けられた抵抗の抵抗値を調整することを特徴としている。
請求項3に記載されたインクジェットヘッド装置は、
圧電素子から構成された複数のインク室にそれぞれ設けられた電極に通電し、前記インク室を電界で変位させて前記インク室内のインクを加圧することにより、前記インク室に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、
前記各インク室の各電極に駆動電圧を加える駆動回路と、
前記各電極と前記駆動回路をそれぞれ接続する複数本の配線と、前記各配線にそれぞれ設けられた抵抗値が調整可能な複数の抵抗と、
を有しており、
前記各インク室の前記電極を前記駆動回路によって同一の条件でそれぞれ駆動した際に前記各インク室ごとに表れる駆動負荷の時定数が測定されており、前記各インク室ごとの時定数が一定となるように、前記インク室の前記電極に接続された前記抵抗の抵抗値が調整されていることを特徴としている。
本発明に係るインクジェットヘッドの吐出制御方法又はインクジェットヘッド装置によれば、圧電素子で構成された各インク室の各電極に駆動回路から同一の駆動電圧を与えて駆動し、各インク室ごとに駆動負荷の時定数を測定し、すべての時定数が一定になるように各抵抗の抵抗値を調整することで、バラツキによる不良品が減るために製造上の歩留まりの改善を図ることができ、これによってヘッド毎のインク吐出の均一化が図れる。
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの概要を説明するために、その等価回路図と駆動回路を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置の構成外観図である。 分図(a)は本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの駆動電圧波形及びこれに対応したインクジェットヘッドの1インク室における変位形態を表し、分図(b)は同インクジェットヘッドと駆動回路の接続状態の概要を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置における時定数の測定結果の一例と、その調整手法を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置において抵抗値の調整方法を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの等価回路図と、その駆動回路の一具体例を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドと、その駆動回路の一具体例との実際の接続状態及び各抵抗の抵抗値の決定手法を示す図である。
1.実施形態の概要
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置1の概要について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態のインクジェットヘッド装置1は、圧電素子に電場を加えて変位を生じさせることにより、インクをノズルから吐出させるシェアモードタイプのインクジェットヘッドに係り、特に圧電素子から構成された各インク室毎の静電容量のばらつきにより、インクの吐出状態がノズルごとに異なる場合の不都合を解消するため、各圧電素子の電極と駆動回路との間にそれぞれ直列に設けられた抵抗の抵抗値を必要に応じて調整する点に特徴を有するものである
図1はインクジェットヘッド装置1の回路構成の概要を示す等価回路図であり、このインクジェットヘッド装置1は、圧電素子からなるシェアモードタイプのインクジェットヘッド2(ノズル1個分を示す)と、インクジェットヘッド2を駆動する駆動回路3と、両者を接続するフレキシブル基板4を備えている。
図1に示すように、シェアモードタイプのインクジェットヘッド2を構成する圧電素子は、直列に接続された抵抗R、コイルL、キャパシタCと、他のキャパシタCとが並列に接続された等価回路で表される。また、駆動回路3は、3つのスイッチング素子S1,S2,S3(例えばトランジスタTr)の一つをONとした場合に、その他の2つのスイッチング素子がOFFとなるように作動する回路構成となっている。また、フレキシブル基板4は、インクジェットヘッド2の圧電素子と駆動回路3を接続する配線5と、この配線に接続された抵抗6を有する回路構成となっている。
図2は、インクジェットヘッド装置1の外観図であり、このインクジェットヘッド装置1の各ノズルの電極が、それぞれ抵抗6が接続された複数本の配線5を有するフレキシブル基板4によって、それぞれ駆動回路3と接続された状態が示されている。
図3(a)は、駆動回路3がインクジェットヘッド2に与える駆動電圧波形と、その駆動電圧波形に対応したインクジェットヘッド2の1ノズルにおける変形状態を示し、同図(b)はインクジェットヘッド2の各ノズルと駆動回路3の接続状態の概要を示している。
図3(a)及び(b)に示すように、インクジェットヘッド2は、図示上下方向について互いに対向方向に分極した2枚の圧電素子11,12を上下に接着剤で貼り合わせた2層構造の板部材からなる。この圧電素子11,12の板部材を板厚方向に加工し、当該圧電素子の接着面を多数の溝が通過するように一定間隔で切削加工することにより、多数のインク室13が隣接して形成されている。そして、これらインク室13が開口した後端部は図示しない共通のインク供給源に連通され、先端部の開口には図示しないノズルが設けられている。そして、インク室13の内面には、駆動用の電極14が設けられている。
図3(b)に示すように、インクジェットヘッド2は、このように圧電素子11,12の壁で区切られてなるインク室13及びこれに連通するノズルが左右方向に並設された構造を有している。そして、あるインク室13の容積を変化させて対応するノズルからインクの吐出を行なうには、当該インク室13の両側にある圧電素子11,12の各壁を変位させる必要があり、そのためには両側の圧電素子11,12の各壁について、その両面にある電極14,14にそれぞれ通電する必要がある。このため、駆動回路3は、図中駆動回路3からの配線に示した丸印で示すように、圧電素子11,12の壁によって区画された各インク室13内の電極14に対し、隣接する電極14には異なる極性の駆動電圧を与えることができるようになっている。これによって、インク室13は1個置きに順次駆動され、選択されたインク室13に対応するノズルから必要に応じてインクの吐出を行なうことができる。
図3(a)を参照して、一つのノズルについて駆動回路3による駆動の概要を説明する。駆動回路3は、インクの吐出に必要な所定の駆動電圧をスイッチング素子S1,S2,S3を介して、上述したような態様でインクジェットヘッド2のインク室13の電極14に、正(例えば+20V)、グラウンド(0V)、負(−20V)の各電位を選択的に付与し、これによってインク室13ごと(すなわちノズルごと)の駆動が制御される。例えば、駆動電圧波形図の下方に示したように、インク室13ごとに見ると、グラウンド(0V)の駆動電圧が与えられた場合には変位せず、負(−20V)の駆動電圧があたえられた場合には容積が増加する方向に変位し、正(+20V)の駆動電圧があたえられた場合には容積が減少する方向に変位するので、各インク室13乃至ノズルごとに電極14に与える駆動電圧を選択することにより、インク室13内にインクを吸引し、またインク室13内のインクに圧力を与えてノズルから吐出させることができる。
以上説明したようなインクジェットヘッド2では、各インク室13が圧電素子でできており、機械的に加工したインク室13の圧電素子11,12の壁に寸法構造上のばらつきが生じると、それは図1で示した等価回路において、インクジェットヘッド2における静電容量のばらつきとして表れる。このインク室13を区画する圧電素子11,12の壁ごとの静電容量のばらつきは、駆動回路3によって駆動した場合には、駆動電圧波形の変動として表れる。図3(a)の駆動電圧波形に示すように、駆動回路3の駆動電圧が図示のような矩形波であっても、これをインクジェットヘッド2に与えた場合には、各インク室13を構成する圧電素子11,12の壁が固有のばらつきを含んだ静電容量を有しているため、異なる時定数となって駆動波形に差異が表れる。図3(a)中には、時定数が最短の場合と、最長の場合とが示してある。時定数は駆動回路3の応答性を示す指標であり、インク室13を区画する圧電素子11,12によって時定数が異なるような状態では、駆動回路3が各インク室13の各電極14に同一の駆動電圧を与えても、時定数のばらつきに応じて圧電素子11,12の壁の変位の程度が異なるため、各ノズルから吐出されるインク量にもばらつきが生じてしまう。
そこで、本実施形態では、インク室13を区画する圧電素子11,12の静電容量のばらつきによってインクの吐出状態がノズルごとに異なる不都合を解消するため、各インク室13の電極14ごとに設けられた抵抗6の抵抗値を必要に応じて調整するものとした。以下、抵抗値の調整手法の概要について説明する。
まず、各インク室13の各電極14を駆動回路3によって同一の条件でそれぞれ駆動し、その際に各圧電素子11,12ごとに表れる駆動負荷の時定数を測定する。図4は、インクジェットヘッド2において主走査方向に並んだ複数のインク室を区画する圧電素子11,12の壁ごとに測定した時定数の測定結果の一例である。一般に、時定数は最長レベルの値と最短レベルの値の間の調整範囲でばらついている。なお、この測定の際にはインクを吐出する必要がない。このため、例えばインクジェットヘッド2を製造し、画像形成装置に組み込んでインクを供給する以前の時点で測定を行なうができる。従って、実際にインクを吐出させて状況を観察することによりノズルごとのばらつきを見る必要がある従来の手法と比べ、作業は非常に簡単である。
次に、圧電素子11,12からなる各インク室13ごとの時定数の中で最長の時定数と、その他の時定数とが同一となるように、時定数が最長であるインク室13に対応する電極14以外の電極14と、駆動回路3との間にそれぞれ設けられた抵抗6の抵抗値を調整する。すなわち、あるインク室13を構成する圧電素子11,12の壁の静電容量がCであり、このインク室13を構成する圧電素子11,12の電極14に接続されたフレキシブル基板4の抵抗6の抵抗値がRであるとすると、そのインク室13の圧電素子11,12の壁の時定数τはR×Cであり、ここで静電容量Cは前述したようにばらつきを含んだ固有値であるため、このばらつきを吸収するため、抵抗値Rを変化させて時定数を長い方に揃えるように調整する。
具体的には、時定数τが最長であるインク室13の電極14、つまり時定数τが最長値よりも短いインク室13の壁の電極14に接続された抵抗6を、図5に示すようにレーザー装置15等によって部分的にトリミングして適当量だけ蒸発させ、抵抗値を必要な分だけ大きくして時定数τを必要なだけ長く調整する。時定数τが最長値よりも短いすべてのインク室13の圧電素子11,12の壁について、それぞれに対応する抵抗6の抵抗値を時定数τが最長値に揃うように調整する。その結果、すべてのインク室13の圧電素子11,12の壁について駆動回路3で駆動した場合の時定数τが一定となり、すべてのインク室13乃至ノズルにおいてヘッドの電気特性が均一になる。従って、このようなインクジェットヘッド2を用いた画像形成装置においてはインクの吐出条件を均一化することで印字品位の向上が図れる。
なお、以上の説明では、抵抗6をレーザーでトリミングして一部を蒸発させ、抵抗を大きくする方向で調整したが、一般的には抵抗値をこのように大きくする調整の方が容易である。なお、その場合のトリミングの手段、方法は問わない。しかしながら、逆に時定数τを最短値に揃えるために、最短値以外の壁の電極14に接続された抵抗6の抵抗値を小さくすることとしてもよく、その場合にも調整の手段、方法は問わない。さらに、時定数τを、図4に示した各測定値の調整範囲内の任意の値に決め、この値に揃えるために、当該値以外の壁の電極14に接続された抵抗6の抵抗値を必要に応じて大きくし、又は小さくすることとしてもよく、その場合にも調整の手段、方法は問わない。
2.駆動回路の具体例及び各抵抗の抵抗値の決定手法について
次に、以上概要を説明した本実施形態に係るインクジェットヘッドの基本構造を前提としつつ、本実施形態における駆動回路をさらに具体化した一構造例と、この駆動回路とインクジェットヘッドの具体的な接続状態及び各抵抗の抵抗値のさらなる具体的決定手法を、図6及び図7を参照して説明する。
図6に示すように、駆動回路3は、図1で説明したような3つのスイッチング素子S1,S2,S3を実際には2組備えており、各組で対応する+側のスイッチング素子S1,S1と、−側のスイッチング素子S2,S2とが、互いに連動して操作されるように構成されている。そして、インクジェットヘッド2の圧電素子11,12の壁の両面に設けられた一対の電極14,14と各組のスイッチング素子が、フレキシブル基板4において隣接している2つの抵抗6,6を介してそれぞれ接続されている。図6中に示すように、駆動回路3とインクジェットヘッド2を接続する回路の中途には、駆動電圧波形を表示して時定数を測定できるような時定数測定手段20が設けられるようになっており、後述する駆動回路とインクジェットヘッドで構成される測定回路における時定数の測定と、その調整作業に利用することができる。時定数測定手段20としては、例えばオシロスコープを採用することができる。
図7に示すように、このインクジェットヘッド2では、圧電素子11, 12の壁で区画された複数のインク室13が主走査方向に列設されており、これら各インク室13に対応して前記駆動回路3も複数個が配置されており、各駆動回路3はそれぞれ前述したように抵抗6(図7中にはR1〜R6を示す)を介して各インク室13の内面の電極14に接続されている。
図7を参照して各抵抗の抵抗値の具体的決定手法を説明する。基本的には、駆動回路3と、圧電素子11,12の壁の両面に形成された一対の電極14,14とで構成される測定回路において、当該駆動回路3を順次個々に駆動し、測定回路で得られた駆動電圧波形の時定数を時定数測定手段20で測定する作業を行なう。この測定回路を、図7中に便宜上符号(1)〜(6)で示し、一般的には(n)と称するものとする。
最初に、各測定回路(1)〜(n)ごとに、対応する駆動回路3を駆動し、各測定回路の時定数τを時定数測定手段20で測定する。そして、このようにして得られた複数の時定数の中で、最も長いものを目標値として設定する。
次に、時定数が目標値に達していない測定回路について順次測定及び調整作業を行なう。ここでは、測定回路(1)から測定・調整を行なうものとする。ここで測定回路(1)の時定数は、抵抗6(R1)と抵抗6(R2)の2つの抵抗に関係しているが、便宜的に抵抗6(R2)の抵抗値を調整しない固定値とみなし、抵抗6(R1)をレーザー装置15により少しずつトリミングしながら抵抗値を調整する。調整する都度、測定回路(1)の時定数を時定数測定手段20で測定し、その時定数が目標値に達するまでトリミング作業を繰返し行なう。
次に、測定回路(2)について測定・調整を行なう。測定回路(2)の時定数は、抵抗6(R2)と抵抗6(R3)の2つの抵抗に関係しているが、抵抗6(R2)の抵抗値を調整しない固定値として、抵抗6(R3)をレーザー装置15により少しずつトリミングしながら抵抗値を調整する。調整する都度、測定回路(2)の時定数を時定数測定手段20で測定し、その時定数が目標値に達するまでトリミング作業を繰返し行なう。
次に、測定回路(3)について測定・調整を行なう。測定回路(3)の時定数は、抵抗6(R3)と抵抗6(R4)の2つの抵抗に関係しているが、抵抗6(R3)の抵抗値を調整しない固定値として、抵抗6(R4)をレーザー装置15により少しずつトリミングしながら抵抗値を調整する。調整する都度、測定回路(3)の時定数を時定数測定手段20で測定し、その時定数が目標値に達するまでトリミング作業を繰返し行なう。
以下、同様に測定及び調整を繰返し、抵抗6に必要なトリミングを施し、すべての測定回路の時定数を、目標値とした前記最大の時定数に揃える。その結果、各インク室13を構成する圧電素子11,12の壁について駆動回路3で駆動した場合の時定数τが一定となってヘッドの電気特性が均一になり、すべてのインク室13乃至ノズルにおいてインクの吐出条件が均一になる。従って、このようなインクジェットヘッド2を用いた画像形成装置においては印字品位が向上する。
なお、以上説明した各抵抗の具体的決定手法においては、時定数を最長のものに揃えるために、調整が必要な抵抗6の抵抗値を大きくする方向で調整した。しかしながら、前述したように時定数を最短値に揃えるために、調整が必要な抵抗6の抵抗値を小さくする方向で調整することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態のインクジェットヘッド2の吐出制御方法又はインクジェットヘッド装置1によれば、吐出条件の調整時に実際にインクを用紙等に吐出させて形成したサンプルを見たり、サンプルから吐出状況を測定する必要が無い為、高価な画像検出器が不要になる。また、サンプルを見て補正作業を行なうのではないため、補正作業がサンプルにおけるインクの滲みや用紙による影響を受けにくい。また、検査の間違いが起こりにくい。また、実際に印刷せず、印刷されたサンプルが不要な為、画像形成装置等に組み込む前にインクジェットヘッド単体で検査可能であり、検査経費、時間が低減できる。
1…インクジェットヘッド装置
2…インクジェットヘッド
3…駆動回路
4…フレキシブル基板
6…抵抗
11,12…圧電素子
13…インク室
14…電極
20…時定数測定手段

Claims (3)

  1. 圧電素子から構成された複数のインク室にそれぞれ設けられた電極に通電し、前記インク室を電界で変位させて前記インク室内のインクを加圧することにより、前記インク室に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドの吐出制御方法において、
    前記各インク室の前記電極を駆動回路によって同一の条件で駆動した際に得られる駆動負荷の時定数を測定し、
    前記各インク室ごとの時定数が一定となるように、前記インク室の前記電極に直列に接続された抵抗の抵抗値を調整することを特徴とするインクジェットヘッドの吐出制御方法。
  2. 得られた前記各インク室ごとの時定数の中で最長の時定数と、その他の時定数とが同一となるように、時定数が最長である前記インク室以外の前記インク室と前記駆動回路との間に設けられた抵抗の抵抗値を調整することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの吐出制御方法。
  3. 圧電素子から構成された複数のインク室にそれぞれ設けられた電極に通電し、前記インク室を電界で変位させて前記インク室内のインクを加圧することにより、前記インク室に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドと、
    前記各インク室の各電極に駆動電圧を加える駆動回路と、
    前記各電極と前記駆動回路をそれぞれ接続する複数本の配線と、前記各配線にそれぞれ設けられた抵抗値が調整可能な複数の抵抗と、
    を有しており、
    前記各インク室の前記電極を前記駆動回路によって同一の条件でそれぞれ駆動した際に前記各インク室ごとに表れる駆動負荷の時定数が測定されており、前記各インク室ごとの時定数が一定となるように、前記インク室の前記電極に接続された前記抵抗の抵抗値が調整されていることを特徴とするインクジェットヘッド装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016055513A (ja) * 2014-09-09 2016-04-21 株式会社東芝 補正量決定方法、インクジェットヘッドおよびプリント装置

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