JP2012179733A - シート成形装置およびシート成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラリーから泡を除去し、均一なシートを成形できるシート成形装置およびシート成形方法を提供する。
【解決手段】ドクターブレード法を用いたシート成形装置10であって、セラミックスのスラリー9を溜めるスラリーダム2と、スラリーダム2内で、スラリー9の流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーン7を固定するスクリーン固定部3と、メッシュスクリーン7を透過したスラリーを、キャリアフィルム5上に塗布しグリーンシート6を形成するドクターブレード4と、を備える。これにより、スラリー9の泡がメッシュスクリーン7の表面を上り、スラリー9の表面で破泡する。その結果、スラリー9から泡を除去し、均一なグリーンシート6を成形できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドクターブレード法を用いたシート成形装置およびシート成形方法に関する。
電子部品業界では、セラミックス層を積層した積層セラミックスの電子部品が広く用いられている。このような積層セラミックスは、セラミックス粉末と成形助剤等の樹脂系組成物を混ぜたスラリーを用いてグリーンシートを作製し、グリーンシートの積層体を焼成することで得られている。また、グリーンシートは、一般的にドクターブレード法で作製される。
グリーンシートの作製に用いるスラリーには、溶媒として有機溶剤や水を用いることがあるが、スラリー混合等の工程で多くの泡を噛み、グリーンシートの作製時まで破泡されずにそのまま残留することがある。このような気泡を含んだスラリーをシート化した場合、ピンホール等の不良が多発する。シート化工程の前にはスラリー中の気泡を除去する脱泡工程を通すが、スラリー中の細かい泡を完全に除去できず、グリーンシートの薄膜化を図ると、グリーンシートにピンホールによる不良が発生して歩留まりが低下する。
これに対し、ドクターブレード法によるグリーンシートの成形方法において、シート成形装置のスラリーダムのスラリー溜め部に上端部がスラリー溜め部より突出した邪魔板を設置して、スラリー中の泡を除去する方策が提案されている(たとえば特許文献1参照)。図2は、従来のシート成形装置の模式横断面図である。従来のシート成形装置20では、スラリー溜め部27に、上端がスラリー液面より突出した邪魔板28を設置し、スラリー中の細かい泡を、邪魔板上方に浮きあがらせて除去する。
特開2003−112309号公報
しかし、上記の特許文献1記載の方法では板でスラリーの流れを遮るため、溜め部にスラリーの滞留部分が生じ、邪魔板でトラップした泡の破泡が進まずスラリー溜め部上面に泡が溜まる。このように泡の溜まったスラリーでは、スラリー成分の固形化が発生し、生じた固形物は沈殿してしまう。また、沈殿しなかった固形物がドクターブレード部位まで運ばれて、ブレードに引っかかりグリーンシートの厚みムラを形成したり、更にはブレードを通り抜けグリーンシートの突起物になったりすることで、新たな不良を発生させてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スラリーから泡を除去し、均一なグリーンシートを成形できるシート成形装置およびシート成形方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のシート成形装置は、ドクターブレード法を用いたシート成形装置であって、セラミックスのスラリーを溜めるスラリーダムと、前記スラリーダム内で、スラリーの流動方向に対して上り傾斜で前記メッシュスクリーンを固定するスクリーン固定部と、前記メッシュスクリーンを透過したスラリーを、キャリアフィルム上に塗布しグリーンシートを形成するドクターブレードと、を備えることを特徴としている。
このように、本発明のシート成形装置は、スラリーダム内に傾斜させたメッシュスクリーンを形成して、メッシュスクリーンを透過したスラリーでグリーンシートを成形する。これにより、泡がスクリーンの表面を上り、スラリー表面で破泡する。その結果、スラリーから泡を除去し、均一なグリーンシートを成形できる。
(2)また、本発明のシート成形装置は、前記スクリーン固定部が、メッシュスクリーンを45°以下の上り傾斜で固定することを特徴としている。このように、緩やかな傾斜のメッシュスクリーンを設置することで、泡がスクリーンの表面を上り、スラリー表面で破泡しやすくなる。
(3)また、本発明のシート成形方法は、ドクターブレード法を用いたシート成形方法であって、スラリーダム内に、スラリーの流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーンを固定する工程と、セラミックスのスラリーを導入し、前記メッシュスクリーンを透過させる工程と、前記メッシュスクリーンを透過したスラリーを、キャリアフィルム上に塗布しグリーンシートを形成する工程と、を行うことを特徴としている。これにより、スラリーから泡を除去し、均一なグリーンシートを成形できる。
(4)また、本発明のシート成形方法は、前記固定されるメッシュスクリーンが、目開き150μm以下であることを特徴としている。これにより、スラリーを滞留させることなく、泡を除去することができる。
(5)また、本発明のシート成形方法は、前記導入されるスラリー中のセラミックス粒子径が、1μm以下であり、前記導入されるスラリーの粘度は、1000mPa/s以上6000mPa/s以下であることを特徴としている。このようなグリーンシートの不均一を招きやすいスラリーに対しても、泡を除去し、均一なグリーンシートを成形することができる。
本発明によれば、スラリーから泡を除去し、均一なグリーンシートを成形できる。
本発明のシート成形装置の模式横断面図である。 従来のシート成形装置の模式横断面図である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(シート成形装置の構成)
図1は、シート成形装置10の模式横断面図である。図1に示すように、シート成形装置10は、ドクターブレード法を用いた装置であり、スラリー導入部1、スラリーダム2、スクリーン固定部3、ドクターブレード4を備えている。スラリー導入部1は、セラミックスのスラリー9を導入する。導入されるスラリー9はセラミックス粉末に、溶媒、バインダー分散剤、消泡剤等の成形助剤を加えて混合後に真空脱泡することで作製される。
導入されるスラリー中のセラミックス粒子径は、1μm以下であり、導入されるスラリー9の粘度は、1000mPa/s以上6000mPa/s以下であれば効果的である。このようなグリーンシート6の不均一を招きやすいスラリー9に対しても、泡を除去し、均一なグリーンシート6を成形することができる。
なお、溶媒としては、有機溶媒を用いても水を用いてもよい。たとえば、アルコール等のスラリー9でも、脱泡後に混入した泡の除外も可能である。ただし、本発明は、水系スラリーに対して特に有効である。有機溶剤を溶媒として用いたスラリー9に対しては、人体への悪影響を及ぼさないように暴露対策を取り、高い引火性から守るため防爆対策を取ることが求められる。これらを避けるために溶媒として水を用いる水系スラリーが用いられることがあるが、水を溶媒に用いた場合は、有機溶剤系に比べ表面張力が高くなり、スラリー混合等の工程で多くの泡を噛む。また、水系スラリーでは、スラリー9中の気泡が破泡され難い。
スラリーダム2は、導入されたスラリー9を溜める構造を有しており、溜められたスラリー9はドクターブレード4へ供給される。スラリー9の導入とドクターブレード4への供給を調節することでスラリー9の液面の高さを一定に維持できる。
スクリーン固定部3は、スラリーダム2内で、スラリー9の流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーンを固定する。傾斜して固定するのは、スラリー9内の泡が液面に漂うのを防ぐためである。メッシュスクリーン7を傾斜させることで泡がスクリーン表面を上り、乾燥による破泡を促すことができる。これにより、スラリー9から泡を除去し、均一なグリーンシート6を成形できる。
スクリーン固定部3の具体的な構造には以下のような差し込みスリットが考えられる。まず、金属板の内部をくり貫き、メッシュスクリーン7を貼り付けたメッシュスクリーン板を準備しておく。そして、スラリーダム2内にはスクリーン固定部3として、メッシュスクリーン板をスラリーダム2に斜め方向に差し込む差し込みスリットを設ける。このようにしてメッシュスクリーン板を容易に固定できる。スクリーン固定部3は、メッシュスクリーンを45°以下の上り傾斜で固定することが好ましい。このように、緩やかな傾斜のメッシュスクリーン7を設置することで、泡がスクリーン表面を上り、スラリー9の表面で破泡しやすくなる。なお、傾斜角度はスラリー9の流速に応じて変えてもよい。
固定されるメッシュスクリーン7は、目開き150μm以下であることが好ましい。これにより、スラリー9を滞留させることなく、泡を除去することができる。スラリーダム2内に、メッシュスクリーン7のような気泡除去の手段を設けることで、スラリー9中に細かい泡を含んだままシート化されるのを防止し、ピンホール不良を生じ難くすることができる。
ドクターブレード4は、メッシュスクリーン7を透過したスラリー9を、キャリアフィルム5上に一定の厚さに調整して塗布する。塗布されたスラリー9は、キャリアフィルム5上で乾燥されシート化される。このようにしてグリーンシート6が成形される。
(シート成形装置の使用方法)
まず、スラリーダム2内に、スラリー9の流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーン7を固定する。メッシュスクリーン7は、スラリーダム2内にスラリー液面から突出しかつ、スラリー9の流動方向に上り傾斜を持たせて設置する。これにより、スラリー9の流れを滞留させることなく、スラリー9中の細かい泡をメッシュスクリーン7によりトラップすることができる。またトラップされた泡は、泡の上方に浮かび上がる力とスラリー9の流れにより、傾斜させたメッシュスクリーン7の上方へ押し出される。こうして液面から離された泡を乾燥により随時破泡するので、スラリーダム2内での固形物の発生を抑制すことができる。
次に、セラミックスのスラリー9を導入し、メッシュスクリーン7を透過させる。そして、メッシュスクリーン7を透過したスラリー9を、キャリアフィルム5上に塗布し、乾燥させてグリーンシート6を形成する。
(実施例)
上記の構成を有するシート成形装置10を用いて実際にシート成形を行った。メッシュスクリーン7として、50メッシュ(目開き109μm)を用い、その傾斜角度を30°に固定した。スラリー9には、平均粒径0.7μm(粒度分布計:LA920,堀場製作所製)のPZT粉末をセラミックスとして混合した。スラリー配合(重量比)は、粉末100、水20、分散剤2、消泡剤0.5、バインダー10とした。また、フィルム送り速度は、1m/minとした。
表1は、比較例および実施例の各不良率を示す表である。実施例は、傾斜させたメッシュスクリーン7を装着したシート成形装置10を用いて成形したグリーンシート6である。比較例は、泡対策として従来の邪魔板を装着したシート成形装置を用いて成形したグリーンシートと、泡対策を行わずに同じ条件で成形したグリーンシートである。グリーンシートは、いずれも50μmの厚みで成形した。
実施例、泡対策有りの比較例、泡対策無しの比較例の各グリーンシートについて、ピンホール不良率、シート厚みムラ不良率、突起物不良率を検証した。不良率は、所定のサイズにグリーンシートを切断した後、切断シートを検査装置にかけて、不良数および原因を特定して求めた。
Figure 2012179733
表1に示すように、実施例ではピンホール不良が無く、かつグリーンシートの厚みムラや突起物の混入などの不具合が無いセラミックスグリーンシートを成形することができた。一方、比較例については、泡対策の有無で不良率に差は生じたが、いずれの結果も実施例には及ばなかった。特にシート厚みムラ不良率および突起物不良率については、泡対策有りの比較例と比べて顕著に効果があることが分かった。以上、スラリーダム内に傾斜したメッシュスクリーンを設けることで、ピンホールを予防でき、かつグリーンシートの厚みムラや突起物の混入を抑えられることが実証された。
1 スラリー導入部
2 スラリーダム
3 スクリーン固定部
4 ドクターブレード
5 キャリアフィルム
6 グリーンシート
7 メッシュスクリーン
9 スラリー
10 シート成形装置

Claims (5)

  1. ドクターブレード法を用いたシート成形装置であって、
    セラミックスのスラリーを溜めるスラリーダムと、
    前記スラリーダム内で、スラリーの流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーンを固定するスクリーン固定部と、
    前記メッシュスクリーンを透過したスラリーを、キャリアフィルム上に塗布しグリーンシートを形成するドクターブレードと、を備えることを特徴とするシート成形装置。
  2. 前記スクリーン固定部は、メッシュスクリーンを45°以下の上り傾斜で固定することを特徴とする請求項1記載のシート成形装置。
  3. ドクターブレード法を用いたシート成形方法であって、
    スラリーダム内に、スラリーの流動方向に対して上り傾斜でメッシュスクリーンを固定する工程と、
    セラミックスのスラリーを導入し、前記メッシュスクリーンを透過させる工程と、
    前記メッシュスクリーンを透過したスラリーを、キャリアフィルム上に塗布しグリーンシートを形成する工程と、を行うことを特徴とするシート成形方法。
  4. 前記固定されるメッシュスクリーンは、目開き150μm以下であることを特徴とする請求項3記載のシート成形方法。
  5. 前記導入されるスラリー中のセラミックス粒子径は、1μm以下であり、前記導入されるスラリーの粘度は、1000mPa/s以上6000mPa/s以下であることを特徴とする請求項3または請求項4記載のシート成形方法。
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