JP2012179641A - ホットワイヤ溶接方法 - Google Patents

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Tatsunori Kanazawa
辰徳 金沢
Yoshiyuki Abe
良之 阿部
Masamitsu Mukai
正光 向井
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Mitsubishi Power Industries Ltd
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Abstract

【課題】ホットワイヤ溶接における送給ワイヤの母材衝突による負影響を機器的手法を導入して回避又は緩和し溶接状態を安定化維持する。
【解決手段】本発明方法を実施するためのホットワイヤ溶接装置Xが、溶接トーチ1とワイヤトーチ2との連結部3に、弾性的なスライド機構Sを付設して該ワイヤトーチ2を可動保持している。弾性的なスライド機構Sは、コイルばねその他の付勢手段〔図示省略〕を有しており、加熱不足ワイヤ(W)の母材衝突による反力又は衝撃負荷を吸収して反動的に母材Mから遠ざかる後退動作と、除荷後の定位置へ戻る弾性復帰動作をおこなうものとしている。これにより、硬い加熱不足ワイヤ(W)が溶融プールPに突入して母材衝突した際にワイヤトーチ2を応動させ、適正溶融状態を確保するようにしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶接アークその他の溶接熱源により母材側に溶融プールを形成する溶接トーチと機器一体的に結合したワイヤトーチから加熱したフィラーワイヤを該溶接プールに連続送給して高速溶接をおこなうホットワイヤ溶接方法に係り、詳しくは、送給されたフィラーワイヤの母材衝突による負影響を回避又は緩和して溶接状態を安定化維持するための機器的手法を導入したホットワイヤ溶接方法に関する。
ここで、フィラーワイヤとは、溶接作業時に付加されて溶接材料(溶着金属)を生成する溶加材金属ワイヤであって、添加ワイヤとか溶加棒と称されるものである(以下、単にワイヤという)。また、溶接金属とは、被溶接部材(対象材料)である母材と溶着金属の両者が溶融・凝固したものを指称する。なお、ホットワイヤは文字どおり加熱ワイヤの意である。以下、ワイヤ(フィラーワイヤ)とホットワイヤは互換的に使用する。
従来より、ホットワイヤ溶接において、溶接開始当初では未加熱ワイヤが母材に接触して突っ張りとなり、溶接トーチやワイヤトーチが持ち上がるという問題や、後続の加熱ワイヤが屈曲状態となるジャミング現象が発生するという問題があった。
また、溶接作業中にワイヤが過熱溶断したりスパッタを発生して溶接作業を中断することがあり、溶接再開時に加熱不十分なワイヤを送る場合も同様の問題があった。もちろん、溶接欠陥を生じるという問題もある。
この改善のためにワイヤの加熱制御や送り制御により溶接状態を安定化しようとする提案があった(例えば、特許文献1、2を参照)。
こうしたなかで本出願人は、先に溶接進行方向の後方からワイヤ送給しながら、加熱制御して連続溶接の安定化を図る「高速溶接装置及びその溶接方法」を提案してきた(特許文献3を参照)。
特開2002−103040号公報 特開2003−320454号公報 特願2010−247187号公報
上記従来技術に共通する課題は、適正なワイヤ加熱溶融状態をどのようにして確保し、かつ、維持できるかという点にある。
ここで、適正なワイヤ加熱溶融状態(以下、適正溶融状態)とは、ワイヤ先端が母材(溶融プール)に接触し、その接点近傍で完全に溶融しているか溶融直前の状態にあり、ワイヤが切れることなく連続的に溶け落ちる状態を言っている。
本発明が解決しようとする課題は、未加熱又は加熱不十分なワイヤ(以下、加熱不足ワイヤという)が母材衝突した際の負影響(反力又は衝撃負荷に同じ)を機器的手法により吸収し、適正溶融状態を確保(移行、維持を含む)する点にある。この場合、溶接熱源の別異は問題としない。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消し、送給ワイヤの母材衝突による負影響を回避又は緩和して溶接状態を安定化維持するための機器的手法を導入したホットワイヤ溶接方法を提供するものである。
課題を解決するために本発明は、溶接アークその他の溶接熱源により母材側に溶融プールを形成する溶接トーチと機器一体的に結合したワイヤトーチから加熱したワイヤを該溶接プールに連続送給して高速溶接をおこなうホットワイヤ溶接方法において、
送給ワイヤの母材衝突による負影響を回避又は緩和して溶接状態を安定化維持するために機器的手法をもってするホットワイヤ溶接方法であって、
溶接トーチとワイヤトーチとの連結部で、該ワイヤトーチを可動保持することにより、加熱不足ワイヤが溶融プールに突入して母材衝突した際に応動させ、その反力又は衝撃負荷を吸収するようにしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、溶接開始当初や溶接再開時に加熱不足ワイヤが母材衝突した際の負影響(反力又は衝撃負荷に同じ)を機器的手法により吸収し、適正溶融状態を確保(移行、維持を含む)することが可能であり、これにより溶接状態の安定化維持が図れる。この場合、溶接熱源の別異は問題とならない。
実施例装置の機器構成概要説明図である。 実施例装置のスライド機構を示す動作説明図である。
本発明の実施形態は、上記溶接方法において、ワイヤトーチの可動保持が弾性的なスライド保持であって、フィラーワイヤの母材衝突による反力又は衝撃負荷を吸収して反動的に母材から遠ざかる後退動作と、除荷後の定位置へ戻る弾性復帰動作をおこなうものとしている。
また、上記溶接方法を実施するためのホットワイヤ溶接装置は、溶接トーチとワイヤトーチとの連結部に、弾性的なスライド機構を付設して該ワイヤトーチを可動保持してなり、加熱不足ワイヤが溶融プールに突入して母材衝突した際に応動し、その反力又は衝撃負荷を吸収するものとしている。
ここで、弾性的なスライド機構は、付勢手段を有し、フィラーワイヤの母材衝突による反力又は衝撃負荷を吸収して反動的に母材から遠ざかる後退動作と、除荷後の定位置へ戻る弾性復帰動作をおこなうスライドユニットとして構成される。
本発明の一実施例を添付図面を参照して以下説明する。
図1に示すように、本発明を実施するための溶接装置(以下、実施例装置Xという)は、溶接トーチ1とワイヤトーチ2との連結部3に、弾性的なスライド機構Sを付設して該ワイヤトーチ2を可動保持している。連結部3は連結ブラケットと通称される部材である。
実施例装置Xの弾性的なスライド機構Sは、コイルばねその他の付勢手段〔詳細は図示省略〕を有しており、加熱不足ワイヤ(W)の母材衝突による反力又は衝撃負荷を吸収して反動的に母材Mから遠ざかる後退動作と、除荷後の定位置へ戻る弾性復帰動作をおこなうものとしている。
図2にスライド機構Sの動作説明図を示すように、母材(溶融プール)とフィラーワイヤの位置関係が適正な溶融状態(a)から、フィラーワイヤが母材衝突して彎曲した不適性な状態(b)が発生したとき、スライドユニットSが後退動作してフィラーワイヤの彎曲を直して回復した溶融状態(c)に移行し、再び適正な溶融状態(a)に復帰するようにしている。
このように、硬い加熱不足ワイヤ(W)が溶融プールPに突入して母材衝突した際に応動し、その反力又は衝撃負荷を吸収することにより、適正溶融状態を確保(移行、維持を含む)するものである。
ここで、ホットワイヤ溶接の手法がホットワイヤTIG溶接であれホットワイヤレーザ溶接であれワイヤトーチ2の可動保持は共通し、溶接熱源の如何は問わない。
本発明方法は、溶接熱源の別異を問わず、溶接開始当初や溶接再開時に加熱不足ワイヤが母材衝突した際の負影響を機器的手法により吸収し、適正溶融状態を確保することが可能であり、これにより溶接状態の安定化維持が図れるという点で有用である。
1 溶接トーチ(溶接熱源)
2 ワイヤトーチ
3 連結部(連結ブラケット)
S スライドユニット〔スライド機構〕
M 溶接母材
P 溶融プール
W フィラーワイヤ
X 実施例装置

Claims (2)

  1. 溶接アークその他の溶接熱源により母材側に溶融プールを形成する溶接トーチと機器一体的に結合したワイヤトーチから加熱したフィラーワイヤを該溶接プールに連続送給して高速溶接をおこなうホットワイヤ溶接方法において、
    送給されたフィラーワイヤの母材衝突による負影響を回避又は緩和して溶接状態を安定化維持するために、
    溶接トーチとワイヤトーチとの連結部で、該ワイヤトーチを可動保持することにより、未加熱又は加熱不十分のフィラーワイヤが溶融プールに突入して母材衝突した際に応動させ、その反力又は衝撃負荷を吸収するようにしたことを特徴とするホットワイヤ溶接方法。
  2. ワイヤトーチの可動保持が弾性的なスライド保持であって、フィラーワイヤの母材衝突による反力又は衝撃負荷を吸収して反動的に母材から遠ざかる後退動作と、除荷後の定位置へ戻る弾性復帰動作をおこなうものである請求項1記載のホットワイヤ溶接方法。
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