JP2012177458A - フォイル軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の軸受性能を具備したフォイル軸受を低コストに量産可能とする。
【解決手段】可撓性を有し、内周に挿入した軸部材2との間に楔状のラジアル軸受隙間Cを形成する有端円筒状のトップフォイル4と、トップフォイル4の外径側に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する支持部材5と、トップフォイル4および支持部材5を内周に収容した円筒状の外方部材3とを備えるフォイル軸受1において、支持部材5が、周方向で無端の筒状体で構成される。この支持部材5は、例えば、薄肉リング状の金属素材5’にプレス加工(絞り加工)を施すことで得られる。
【選択図】図1
【解決手段】可撓性を有し、内周に挿入した軸部材2との間に楔状のラジアル軸受隙間Cを形成する有端円筒状のトップフォイル4と、トップフォイル4の外径側に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する支持部材5と、トップフォイル4および支持部材5を内周に収容した円筒状の外方部材3とを備えるフォイル軸受1において、支持部材5が、周方向で無端の筒状体で構成される。この支持部材5は、例えば、薄肉リング状の金属素材5’にプレス加工(絞り加工)を施すことで得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、軸部材と、軸部材を内周に収容した円筒状の外方部材との間に、可撓性を有する薄膜状のフォイルを介在させたいわゆるフォイル軸受に関する。
従前、ガスタービンや過給機の主軸等、高温環境下で高速回転する軸を支持するための軸受として、油潤滑の転がり軸受の他、すべり軸受の一種である動圧軸受(流体動圧軸受)が使用されていた。特に、油循環用の補機を別途設けることが困難な場合、潤滑油のせん断抵抗が問題となる場合、および油による周辺環境の汚染が問題となる場合等には、潤滑流体として空気を用いる空気動圧軸受が好適に使用されていた。
一般的な動圧軸受(空気動圧軸受)は、回転側と静止側の双方の軸受面が剛体で構成される。この種の動圧軸受において、回転側と静止側の軸受面間に形成されるラジアル軸受隙間の隙間幅管理が不十分であると、安定限界を超えた際にホワールと称される自励的な主軸の振れ回りが生じ易くなる。従って、一般的な動圧軸受において、所望の軸受性能を安定的に発揮・維持可能とするには、ラジアル軸受隙間の隙間幅を高精度に管理(常時適正範囲内に維持)する必要がある。しかしながら、上記したガスタービンや過給機の支持軸受には、例えば下記の特許文献1に開示されているように一般的に300℃程度以上の耐熱性が要求される。このように高温となる環境下で動圧軸受を使用する場合には、熱膨張の影響でラジアル軸受隙間の隙間幅が変動し易く、所望の軸受性能を安定的に維持するのが困難である。
そこで、フォイル軸受と称される軸受が提案され、あるいは実用されるに至っている。フォイル軸受は、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する薄膜状のフォイル(箔)で軸受面を構成し、この軸受面のたわみを許容することで荷重を支持するものであり、例えば下記の特許文献2,3に開示されているものが公知である。上記特許文献に開示されたフォイル軸受は、可撓性を有し、内周に挿入した軸部材との間に楔状のラジアル軸受隙間を形成するトップフォイルと、トップフォイルの外径側に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する支持部材としてのバックフォイルと、トップフォイルおよびバックフォイルを内周に収容した円筒状の外方部材とを備える。このようなフォイル軸受において、軸部材が回転(偏芯回転)すると、軸部材の外周面とトップフォイルの内径面との間に楔状のラジアル軸受隙間が形成され、このラジアル軸受隙間に形成される流体膜で軸部材がラジアル方向に相対回転自在に支持される。そして、軸部材の回転中には、ラジアル軸受隙間における圧力分布の変動に応じてトップフォイルおよびバックフォイルが変形(弾性変形)するため、ラジアル軸受隙間の隙間幅が常時適正範囲内に維持される。また、このトップフォイルおよびバックフォイルの変形に伴ってトップフォイルに作用する摩擦力が軸・軸受系の振動を抑制するため、フォイル軸受は安定性に優れるという特徴があり、一般的な動圧軸受と比較して高速での使用が可能である。
また、一般的な動圧軸受のラジアル軸受隙間は、軸径の1/1000のオーダーで管理する必要があることから、例えば直径が数mm程度の軸を支持する動圧軸受であっても、ラジアル軸受隙間の隙間幅を数μm程度に管理する必要がある。従って、製造時の公差、さらには熱膨張量まで考慮すると、一般的な動圧軸受において隙間幅管理を厳密に行うことは極めて困難であると言わざるを得ない。これに対してフォイル軸受の場合には、ラジアル軸受隙間を形成するトップフォイル自体が弾性変形するため、ラジアル軸受隙間の隙間幅を数十μm程度に管理すれば足りる。従って、フォイル軸受は、一般的な動圧軸受に比べ、製造や隙間管理を容易化することができるという利点もある。
なお、特許文献2のフォイル軸受は、矩形状の金属薄板(薄膜)を筒状に丸めてなるバックフォイルに複数設けた切り上げ部により、トップフォイルが弾性的に支持される構造となっており、また、特許文献3のフォイル軸受は、矩形状の金属薄板を筒状に丸めてなるバックフォイルに複数設けた折り曲げ部により、トップフォイルが弾性的に支持される構造となっている。
特許文献2,3に記載のフォイル軸受では、矩形状の金属薄板に機械加工や折り曲げ加工を施すことによって、トップフォイルを弾性的に支持するための弾性支持部(切り上げ部や折り曲げ部)を形成し、さらにこれを筒状に丸めることで完成品としてのバックフォイルを得ているが、このようにすると、フォイル軸受の製造工程がどうしても煩雑となるため、フォイル軸受の量産コストが増大する。また、金属薄板を必ずしも同一の態様で丸めることができるとは限らないため、フォイル軸受相互間で、軸受性能にバラツキが生じ易いという問題もある。
そこで、本発明は、所望の軸受性能を具備したフォイル軸受を低コストに量産可能とすることを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、可撓性を有し、内周に挿入した軸部材との間に楔状のラジアル軸受隙間を形成するトップフォイルと、トップフォイルの外径側に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する支持部材と、トップフォイルおよび支持部材を内周に収容した円筒状の外方部材とを備え、ラジアル軸受隙間に生じた流体膜で軸部材と外方部材の相対回転を支持するフォイル軸受において、支持部材を、周方向で無端の筒状体で構成したことを特徴とする。
このように、支持部材を、周方向で無端の筒状体で構成すれば、機械的又は人為的作業で矩形状の金属薄板を筒状に丸めることによって完成品としての支持部材(バックフォイル)を得ていた従来構成に比べ、フォイル軸受の製造工程を簡略化することができる。また、完成品としての支持部材相互間で、形状的(寸法的)な差異が生じる可能性を効果的に低減することができる分、フォイル軸受相互間で軸受性能にバラツキが生じ難くなる。従って、本発明の構成を採用すれば、所望の軸受性能を具備したフォイル軸受を低コストに量産することが可能となる。
周方向で無端の筒状体からなる支持部材は、金属のプレス成形品や、溶融材料の射出成形品とすることができる。このような構成によれば、トップフォイルを弾性的に支持する部分(弾性支持部)等を型成形することができるので、弾性支持部等を別工程で製作する手間を省いて支持部材、ひいてはフォイル軸受の製造コストを低廉化することができる。なお、ここでいう「溶融材料の射出成形品」には、溶融樹脂の射出成形品の他、アルミニウムやマグネシウム等に代表される低融点金属の射出成形品、MIM成形品、CIM成形品などが含まれ、求められる機械的強度や耐熱性を具備し、フォイル軸受の使用環境下(使用温度範囲内)でトップフォイルを適切に弾性支持し得るものであれば、何れを採用しても良い。
上記構成のフォイル軸受において、外方部材に対する支持部材の固定手段としては、外方部材の内周から支持部材が抜脱するのを防止することができるのであれば、適宜選択することができる。例えば、圧入、接着、圧入接着(圧入と接着の併用)、溶着等の手段によって支持部材と外方部材を固定することができる。また、上記の各固定手段に替えて、もしくは上記の各固定手段に加えて、支持部材と外方部材の何れか一方に設けた凹部に、他方に設けた凸部を嵌合する、いわゆる凹凸嵌合を採用して支持部材と外方部材を固定することもできる。
トップフォイルおよび支持部材の少なくとも一方の軸方向端部に径方向の突出部を設け、この突出部を、外方部材と、外方部材の軸方向外側に設けた挟持部材とで軸方向に挟持固定するようにしても良い。このようにすれば、トップフォイルおよび支持部材の少なくとも一方の外方部材からの抜脱を簡便に防止することができる。
上記した何れの固定手段を採用する場合においても、支持部材と外方部材は完全に固定(外方部材に対する支持部材の相対移動を許容しない態様で両者を固定)することができる他、支持部材の外方部材との対向面のうち、少なくとも一部が外方部材と摺動(摺動移動)可能な状態で、支持部材を外方部材に固定することもできる。後者の構成を採用すれば、フォイル軸受の運転中に発生する振動が、支持部材と外方部材との間で生じる摩擦力によって減衰されるため、軸部材の回転を一層安定的に支持することが可能となる。
以上に述べた本発明に係るフォイル軸受は、ガスタービンのロータや、過給機(ターボチャージャ)のロータ等の支持に好ましく用いることができる。
以上より、本発明によれば、所望の軸受性能を具備したフォイル軸受を低コストに量産することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係るフォイル軸受1の軸直交断面図を概念的に示す。同図に示すフォイル軸受1は、例えば、ガスタービンのロータや過給機のロータ等、高温環境下で高速回転する軸部材2を回転自在に支持するためのものであり、内周に挿入した軸部材2との間に楔状のラジアル軸受隙間Cを形成するトップフォイル4と、トップフォイル4の外径側に配置された支持部材5と、トップフォイル4および支持部材5を内周に収容した円筒状の外方部材3とを主要な構成部材として備える。軸部材2の外周面は、凹凸のない平滑な円筒面に形成されている。なお、実際のラジアル軸受隙間Cの隙間幅は数十μm程度の微小なものであるが、図1においては理解の容易化のために誇張して描いている。
外方部材3は、ソリッド(非多孔質)の金属材料や樹脂材料により周方向で無端の円筒状に形成され、図示しない静止側部材の内周に固定されている。トップフォイル4は、略矩形状をなし、曲げに対して剛性の低い可撓性を有する金属薄板(薄膜)を丸めることにより、周方向で有端の円筒状に形成されている。
支持部材5は、図2(b)にも示すように、外方部材3の内周面3aに沿う円弧状の取付け部5aと、取付け部5aよりも内径側に膨出し、トップフォイル4を弾性的に支持する断面半円状の弾性支持部5bとが周方向に交互に設けられた、周方向で無端の筒状体からなる。この支持部材5は、図2(a)に示すようなリング状の金属薄板5’を完成品形状に対応した金型に沿って塑性変形させる(絞り込む)ことによって成形された金属のプレス成形品とされる。
本実施形態では、支持部材5の外径面(取付け部5aの外径面)を外方部材3の内周面3aに軽圧入(外方部材3と支持部材5の相対的な摺動移動が許容される程度の締め代で圧入)することにより、外方部材3の内周に支持部材5が固定されている。また、トップフォイル4の周方向一端部は、支持部材5の内径面(図示例では、一の弾性支持部5bの頂部)に接着、溶着等の適宜の手段で固定されており、トップフォイル4の周方向他端部は、トップフォイル4の周方向一端部の内径面に摺動自在に接触している。トップフォイル4の周方向一端部を支持部材5に固定した状態で、支持部材5の各弾性支持部5b(但し、図1においては、トップフォイル4の周方向一端部が固定された弾性支持部5bの反時計回り側に隣接した弾性支持部5bを除く)の頂部には、トップフォイル4の外径面が摺動可能に接触している。そして、以上の態様で外方部材3に対して支持部材5が、また支持部材5にトップフォイル4が固定されたアセンブリの内周に軸部材2を挿入することで、図1に示すフォイル軸受1が得られる。
以上の構成において、図示しない駆動機構から軸部材2に回転駆動力が付与されることによって軸部材2が回転(偏芯回転)すると、軸部材2の外周面とトップフォイル4の内径面との間に楔状のラジアル軸受隙間Cが形成され、このラジアル軸受隙間Cに形成される流体膜(空気膜)によって軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。軸部材2の回転中には、トップフォイル4が有する可撓性により、トップフォイル4の内径面(軸受面)が、トップフォイル4に作用する荷重、軸部材2の回転速度、周辺温度等が変化するのに応じて任意に変形するため、ラジアル軸受隙間Cの隙間幅が運転条件に応じた適切幅に自動調整される。このような隙間幅の自動調整機能により、軸部材2の回転が安定的に支持される。
また、トップフォイル4が支持部材5の弾性支持部5bによって弾性的に支持されていること、トップフォイル4の径方向他端部がトップフォイル4の径方向一端部の内径面に対して摺動自在に接触しており、トップフォイル4の拡縮変形が可能であること、さらに支持部材5の取付け部5aが外方部材3の内周面3aに軽圧入されており、支持部材5が外方部材3に対して摺動移動可能であること、などの理由から、ラジアル軸受隙間Cの隙間幅の自己調整能力が強化されると共に、振動の減衰効果が得られるため、高温・高速回転といった過酷な運転条件でも軸部材2の回転が一層安定的に支持される。なお、支持部材5の弾性支持能力は、支持部材5を構成する金属薄板の肉厚・材質、弾性支持部5bの形状等を変更することで任意に調整することができる。すなわち、弾性支持部5b、ひいては支持部材5の形状は図示例のものに限定されるわけではなく、金属のプレス加工あるいは後述する溶融材料の射出成形で成形可能であれば、要求される弾性支持能力等に応じて適宜変更可能である。
そして、本発明に係るフォイル軸受1においては、支持部材5を、周方向で無端の筒状体で構成したことから、機械的又は人為的作業で矩形状の金属薄板を筒状に丸めることによって完成品としての支持部材5(バックフォイル)を得ていた従来構成に比べ、フォイル軸受1の製造工程を簡略化することができる。また、完成品としての支持部材5相互間で、形状的・寸法的な差異が生じる可能性を効果的に低減することができる分、フォイル軸受1相互間で軸受性能にバラツキが生じ難くなる。従って、所望の軸受性能を具備したフォイル軸受1を低コストに量産することができる。特に、支持部材5を金属のプレス成形品としたことから、筒状形態の支持部材5を得るのと同時に、トップフォイル4を弾性的に支持する弾性支持部5b等を型成形することができる。そのため、支持部材5、ひいてはフォイル軸受1の製造コストを低廉化する上で一層有効となる。
以上では、支持部材5の取付け部5aを外方部材3の内周面3aに軽圧入し、支持部材5と外方部材3の相対的な摺動移動を許容したことによって、振動の減衰効果やラジアル軸受隙間Cの隙間幅の自動調整能力の向上効果を得るようにしたが、同様の効果は、例えば、外方部材3の内周面3aに軽圧入した支持部材5(取付け部5a)のうち、一部の取付け部5aを接着や溶着等の手段で外方部材3の内周面3aに固定した場合にも得ることができる。なお、トップフォイル4を支持部材5の弾性支持部5bで弾性的に支持した構造等によって、ラジアル軸受隙間Cの隙間幅の自己調整能力や振動の減衰効果が十分に確保されるのであれば、圧入、接着、圧入接着、溶着等の手段により、支持部材5と外方部材3の相対的な摺動移動が許容されないように両者を固定しても良い。
外方部材3に対する支持部材5の固定方法は、外方部材3の内周から支持部材5が抜脱するのを防止することができるのであれば、上記のものに限られない。
例えば、図示は省略するが、互いに対向する外方部材3の内周面3aおよび支持部材5の外径面のうち、何れか一方に設けた凹部に、他方に設けた凸部を嵌合させるいわゆる凹凸嵌合構造によって外方部材3と支持部材5を固定することもできる。支持部材5が、図1等に示すように、円弧状の取付け部5aと、取付け部5aよりも内径側に膨出した断面半円状の弾性支持部5bとを周方向で交互に配した凹凸形状を有するものである場合、外方部材3の内周面3aに取付け部5aを嵌合可能な凹部を設ける、あるいは、弾性支持部5bの外径側に画成される間隙部の所定位置まで嵌入可能な凸部を外方部材3の内周面3aに設けることによって凹凸嵌合構造を構成することができる。凹凸嵌合構造は、外方部材3の内周面に支持部材5を接着、圧入、圧入接着、溶着等で固定する場合にも追加的に採用することができる。
また、例えば図3(a)(b)に示すように、支持部材5の軸方向端部の周方向一又は複数箇所(図示例では軸方向一端部の周方向三箇所)に径方向の突出部6を設け、この突出部6を、図3(c)に示すように、外方部材3の端面と外方部材3の軸方向外側に設けた円筒状の挟持部材7とで軸方向に挟持固定するようにしても良い。突出部6は、周方向の一又は複数箇所に設ける他、支持部材5の軸方向端部の全周に亘って設けることもできる(図示省略)。このような挟持構造を採用すれば、接着や溶着で支持部材5を外方部材3に固定する場合に比べ、固定プロセスを簡便化しつつ、外方部材3の内周から支持部材5が抜脱するのを効果的に防止することができる。この場合、突出部6は、外方部材3と支持部材5の相対的な摺動移動が許容される程度の力で挟持しても良いし、外方部材3と支持部材5の相対的な摺動移動が許容されないように強固に挟持しても良いが、振動の減衰効果を高める観点から言えば、外方部材3と支持部材5の相対的な摺動移動が許容される程度の力で突出部6を挟持するのが望ましい。
挟持部材7は、トップフォイル4を外方部材3に固定するための部材としても活用することができる。すなわち、図4に示すようにトップフォイル4の軸方向端部(図示例では軸方向両端部)の周方向一又は複数箇所、あるいは全周に亘って径方向の突出部6を設け、この突出部6を挟持部材7と外方部材3とで軸方向に挟持固定することもできる。この場合、トップフォイル4の軸方向両端部に設けた突出部5により、外方部材3内周からの支持部材5の抜脱を防止することができる。そのため、外方部材3に対する支持部材5の固定方法の選択自由度が増す、というメリットもある。また、図示は省略しているが、支持部材5の軸方向端部、およびトップフォイル4の軸方向端部の双方に径方向の突出部6を設け、これら突出部6の双方を、挟持部材7と外方部材3とで軸方向に挟持固定するようにすることもできる。
以上では、リング状の金属薄板5’にプレス加工(絞り加工)を施すことによって周方向で無端の筒状体からなる支持部材5を得るようにしたが、支持部材5は、溶融材料の射出成形品とすることもできる。この場合、支持部材5は、求められる機械的強度や耐熱性を満足し、フォイル軸受1の使用環境下でトップフォイル2を適切に弾性支持することができるものであれば、例えば、溶融樹脂の射出成形品、アルミニウムやマグネシウム等に代表される低融点金属の射出成形品、MIM成形品、あるいはCIM成形品の何れで構成しても構わない。
但し、支持部材5を溶融樹脂の射出成形品とする場合には、特に耐熱性の観点から適当なベース樹脂を選択する必要がある。すなわち、射出成形に用い得るベース樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の汎用プラスチック、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のエンジニアリングプラスチック、およびポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスチックから選定された一または複数種混合したものを使用することができるが、本実施形態に係るフォイル軸受1が前述のように300℃程度の高温環境下で用いられることを考慮すると、スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも特に高い耐熱性(融点が300℃以上)を具備するもの、具体的にはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や熱硬化性ポリイミドをベース樹脂とするのが望ましい。ベース樹脂には、強化材、潤滑剤、導電化材、寸法安定材等の各種充填材を一又は複数種配合することができる。
以上で説明したフォイル軸受1は、軸部材2を回転側、外方部材3(さらに、トップフォイル4および支持部材5)を静止側としたものであるが、本発明は、軸部材2を静止側、外方部材3を回転側としたフォイル軸受1にも好ましく適用することができる。但しこの場合、トップフォイル4および支持部材5が回転側となるので、遠心力によるトップフォイル4および支持部材5の変形を加味して両部材の設計(材質、肉厚、形状等の選択)を行う必要がある。
以上では、圧力発生流体(潤滑流体)として空気を用いるフォイル軸受1に本発明を適用したが、本発明は、圧力発生流体として潤滑油を用いるフォイル軸受1にも好ましく適用することができる。
1 フォイル軸受
2 軸部材
3 外方部材
4 トップフォイル
5 支持部材
6 突出部
7 挟持部材
C ラジアル軸受隙間
2 軸部材
3 外方部材
4 トップフォイル
5 支持部材
6 突出部
7 挟持部材
C ラジアル軸受隙間
Claims (7)
- 可撓性を有し、内周に挿入した軸部材との間に楔状のラジアル軸受隙間を形成するトップフォイルと、トップフォイルの外径側に配置され、トップフォイルを弾性的に支持する支持部材と、トップフォイルおよび支持部材を内周に収容した円筒状の外方部材とを備え、ラジアル軸受隙間に生じた流体膜で軸部材と外方部材の相対回転を支持するフォイル軸受において、
支持部材を、周方向で無端の筒状体で構成したことを特徴とするフォイル軸受。 - 支持部材が、金属のプレス成形品である請求項1に記載のフォイル軸受。
- 支持部材が、溶融材料の射出成形品である請求項1に記載のフォイル軸受。
- トップフォイルおよび支持部材の少なくとも一方の軸方向端部に径方向の突出部を設け、この突出部を、外方部材と、外方部材の軸方向外側に配置した挟持部材とで軸方向に挟持固定した請求項1に記載のフォイル軸受。
- 支持部材の外方部材との対向面のうち、少なくとも一部が外方部材と摺動可能な状態で、支持部材を外方部材に固定した請求項1に記載のフォイル軸受。
- ガスタービンのロータの支持に使用される請求項1に記載のフォイル軸受。
- 過給機のロータの支持に使用される請求項1に記載のフォイル軸受。
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- 2011-02-28 JP JP2011041846A patent/JP2012177458A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140513 |