JP2012177068A - 接着ゴム組成物及び接着処理繊維並びに動力伝動用ベルト - Google Patents

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Yorifumi Hineno
順文 日根野
Takuya Tomoda
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Abstract

【課題】繊維とゴムとの間に介在し、繊維とゴムとのとの接着性を改善又は向上できるゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム組成物を、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体、シリカ、およびシランカップリング剤で構成する。このようなゴム組成物において、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体は、エチレン45〜80重量%およびジエン4〜15重量%を含み、かつJISK6300−1に準じて125℃で測定したとき、ムーニ粘度30〜120を有するエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維に対する接着性に優れ、動力伝動用ベルト(Vリブドベルト、ローエッジVベルト、平ベルトなど)などに利用できるゴム組成物(接着ゴム組成物)、この組成物で被覆された被覆繊維(ゴム被覆繊維)、および前記ゴム組成物又は前記被覆繊維を用いた動力伝動用ベルトに関する。
従来、自動車用エンジン等に用いられる動力伝動用ベルトとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが用いられてきた。しかし、近年、省エネルギー化及びコンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム内の部品が密集して配置される傾向があり、それに起因してエンジンルーム内の温度は従来に比べて上昇してきている。そして、このような高温雰囲気下においては、前述のようなゴムの層が硬化して、このゴム層に早期にクラックが生じるという問題が発生していた。このようなベルトの早期破損現象に対し、従来から使用されているクロロプレンゴムの代わりに、耐熱性に優れたエチレン−プロピレン系ゴム(EPR)あるいはエチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィンゴムを使用した動力伝動用ベルトが採用されている。このような動力伝動用ベルトでは、通常、エチレン−α−オレフィンゴムで構成された接着ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊で被覆処理した繊維(ゴム被覆繊維)で形成される。しかし、エチレン−α−オレフィンゴムは、心線などの繊維に対する接着性が低いという問題がある。特に、ゴム糊(オーバーコート)処理前に、繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理する場合においては、接着ゴム組成物と、繊維のRFL被膜との接着性が重要となる。
そこで、繊維とエチレン−α−オレフィンゴムとを良好に接着させるための方法が種々提案されている。例えば、特開2000−234277号公報(特許文献1)には、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維コードの接着方法において、繊維コードをイソシアネート化合物又は/及びエポキシ化合物からなる第1処理液で処理し、次いでレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックスの第2処理液で処理し、更にその後、ハロゲン化ポリマーに加硫剤を添加した第3処理液で処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめ、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維とを接着させる方法が開示されている。しかし、特許文献1に記載された方法で製造されたベルトは、心線との接着性を大きくできても、ダイオキシンの発生につながるハロゲンを含有する。環境対策として、環境負荷物質であるハロゲンを含有することなく、エチレン−α−オレフィンゴム組成物と心線との接着性に優れたベルトが求められる。
また、特開2002−88658号公報(特許文献2)には、繊維をエチレン・α−オレフィンエラストマーラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液(RFL液)で付着処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊でオーバーコート処理し密着加硫せしめ、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体を製造する方法が開示されている。
特許文献2に記載された方法で製造されたベルトは、ハロゲンを含有しておらず、引用文献1と比較すると、環境に配慮したベルトといえる。しかし、この文献では、依然として繊維又はRFL液の被膜と、エチレン・α−オレフィンゴム組成物との接着性を十分に改善できない場合がある。また、この文献の接着処方では、RFL液のラテックスおよび未加硫ゴム組成物の双方に、エチレン・α−オレフィンゴムを使用する必要があり、処方が限定される。特に、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液に使用するエチレン・α−オレフィンゴムのジエン含量と、オーバーコート処理液に使用するエチレン・α−オレフィンゴムのジエン含量との総和を、実質的に15重量%以上とする必要があるため、材料の選択肢が少ないなど接着処方の設計自由度が低い。例えば、特許文献2の実施例4のオーバーコート処理液に使用するエチレン・α−オレフィンゴムのジエン含量は4重量%であるが、これを上記の総ジエン含量15重量%以上とするには、少なくともレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液に使用するエチレン・α−オレフィンゴムのジエン含量を11重量%以上とする必要があるため、ラテックスの選択肢が大幅に制限される。
特開2000−234277号公報(請求項1) 特開2002−88658号公報(請求項1、2、表5(段落[0048]))
従って、本発明の目的は、ハロゲンを含有しなくても、繊維に対する接着性を改善又は向上できるゴム組成物、この組成物で被覆された繊維(ゴム被覆繊維)、および前記ゴム組成物又は前記ゴム被覆繊維を用いた動力伝動用ベルト(Vリブドベルトなど)を提供することにある。
本発明の他の目的は、ゴム(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体)の組成(例えば、ジエン含量)を極端に制限しなくても、繊維に対する接着性を改善又は向上できるゴム組成物、この組成物で被覆された繊維(ゴム被覆繊維)、および前記ゴム組成物又は前記ゴム被覆繊維を用いた動力伝動用ベルトを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ゴムと繊維との接着性を改善又は向上できるゴム組成物、この組成物で被覆された繊維(ゴム被覆繊維)、および前記ゴム組成物又は前記ゴム接着性繊維を用いた動力伝動用ベルトを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のハロゲン非含有ゴム(第1のゴム)と、シリカと、シランカップリング剤とを組み合わせることにより、繊維に対する接着性に優れたゴム組成物が得られること、また、このようなゴム組成物は、繊維とゴム(第1のゴムとは異なる第2のゴム)との間に介在し、繊維と第2のゴムとの接着性も改善又は向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の組成物(ゴム組成物)は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体、シリカ、およびシランカップリング剤を含んでいる。このようなゴム組成物において、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体は、通常、エチレン45〜80重量%(特に、47〜75重量%)程度およびジエン4〜15重量%(特に、4.2〜13重量%)程度を含み、かつJISK6300−1に準じて125℃で測定したとき、ムーニ粘度30〜120程度を有するエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体であってもよい。
本発明のゴム組成物において、シランカップリング剤の割合は、例えば、シリカ100重量部に対して1〜20重量部程度であってもよい。また、前記シランカップリング剤は、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含んでいてもよい。
本発明のゴム組成物は、さらに、硫黄系加硫剤を含んでいてもよい。このような組成物において、シランカップリング剤の割合は、シリカ100重量部に対して3〜10重量部程度であってもよく、硫黄系加硫剤の割合は、シランカップリング剤100重量部に対して30〜300重量部程度であってもよい。また、本発明のゴム組成物は、さらに、硫黄系加硫促進剤を含んでいてもよい。
本発明のゴム組成物は、繊維だけでなく、ゴム(第2のゴム)に対する接着性にも優れている。そのため、本発明のゴム組成物は、繊維とゴム(第2のゴム)とを接着させるための組成物(繊維をゴムに接着させるための処理剤)であってもよい。なお、第2のゴム(又はその組成物)は、特に、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体で構成してもよい。
本発明には、繊維と、この繊維を被覆する前記ゴム組成物(第1のゴム組成物)とで形成されたゴム被覆繊維(ゴム接着性繊維)も含まれる。このようなゴム被覆繊維において、繊維は、易接着性処理された繊維であってもよい。例えば、繊維は、フェノール類、アルデヒド類及びゴムを含む組成物で被覆処理された被覆繊維であってもよい。すなわち、このような繊維は、繊維(コアとなる繊維)と、この繊維を被覆し、フェノール類、アルデヒド類及びゴムを含む組成物で形成された被膜とで構成された繊維であってもよい。また、ゴム被覆繊維において、ゴム組成物の厚みは、4〜15μm程度であってもよい。
本発明には、心線としての繊維が埋設されたゴム層を含む動力伝動用ベルトであって、前記ゴム層が、前記繊維(又は心線)を被覆(又は埋設)する前記ゴム組成物(第1のゴム組成物)の硬化物(加硫物)で構成されている動力伝動用ベルト(心線としての繊維と、この繊維を被覆する前記ゴム組成物(第1のゴム組成物)の硬化物とで構成されたゴム層を含む動力伝動用ベルト)も含む。
このような動力伝動用ベルトにおいて、ゴム層は、心線を被覆する前記ゴム組成物(第1のゴム組成物)の硬化物で形成された第1のゴムと、この第1のゴムをさらに被覆又は埋設する第2のゴムとで構成されていてもよい。なお、第2のゴムは、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体で構成してもよい。前記動力伝動用ベルトは、特に、Vリブドベルトであってもよい。
本発明のゴム組成物は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体で構成でき、ハロゲンを含有しなくても(又はハロゲン含有ゴムを使用しなくても)、繊維に対する接着性を改善又は向上できる。なお、繊維は、接着処理又は被覆処理(例えば、ホルムアルデヒド、レゾルシンおよびラテックスを含む処理液で被覆処理)された繊維(接着処理繊維又は被覆繊維)であってもよい。
また、本発明のゴム組成物では、特定のゴムとシリカとシランカップリング剤とを組み合わせることにより、ゴム(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体)の組成(例えば、ジエン含量)を極端に制限しなくても、繊維に対する接着性を改善又は向上できる。特に、本発明のゴム組成物では、繊維がゴムを含む組成物(又は処理液)で被覆処理又は易接着処理された繊維であっても、前記組成物又は処理液を構成するゴムとの関係で、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体中のジエン含量を選択することなく、繊維に対する高い接着性を実現できる。
さらに、本発明のゴム組成物は、繊維に対する接着性に優れるだけでなく、ゴム(第2のゴム)と繊維との接着性を改善又は向上することもできる。そのため、本発明のゴム組成物は、第2のゴムと繊維との間に介在して、第2のゴムと繊維との接着性を改善又は向上させるための接着性向上剤(接着性改善剤)としても好適である。
図1は、本発明の動力伝動用ベルトの一例を示す概略断面図である。 図2は、実施例の高温高張力逆曲げ走行試験で用いた試験機の概略図である。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物(未加硫のゴム組成物)は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体(第1のゴムなどということがある)、シリカ、およびシランカップリング剤を含んでいる。このようなゴム組成物は、繊維に対する接着性(及び密着性)に優れ、繊維に対して強固に接着できる。また、本発明のゴム組成物(第1のゴム組成物などということがある)は、後述するように、繊維のみならず、ゴム(第2のゴム)に対する接着性にも優れ、繊維と第2のゴムとの間の接着性を改善するための接着性成分としても好適である。
(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体)
エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体(エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム)は、エチレンと、α−オレフィン(エチレン以外のα−オレフィン)と、ジエン(ジエン系単量体)との共重合体(三元共重合体)である。
このような共重合体において、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどのα−C3−12オレフィン系単量体(特に、鎖状オレフィン)などが挙げられる。これらのうち、プロピレンなどのα−C3−4オレフィン(特にプロピレン)が好ましい。α−オレフィンは、単独又は2種以上組み合わせてもよい。
また、ジエンとしては、通常、非共役ジエン系単量体が挙げられる。このようなジエン系単量体としては、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げられる。ジエンは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、各成分の割合は、繊維やゴム(第2のゴム)に対する接着性などの観点から重要である。エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、エチレンの割合は、45〜80重量%(例えば、46〜77重量%)程度の範囲から選択でき、例えば、47〜75重量%(例えば、48〜73重量%)、好ましくは49〜72重量%(例えば、50〜70重量%)程度であってもよい。エチレン含量が小さすぎると、ゴム組成物の硬度やモジュラスを十分に高めることができず、ゴム組成物内部で破壊が発生して繊維や第2のゴムに対する接着性を低下させる虞がある。また、エチレン含量が大きすぎると、ゴム組成物が汎用の溶剤に溶解しにくくなってゴム組成物(ゴム糊)の作製に長時間を要するなど、作業性が低下する虞がある。
また、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、ジエンの割合は、4〜15重量%(例えば、4.1〜14重量%)程度の範囲から選択でき、例えば、4.2〜13重量%(例えば、4.3〜12重量%)、好ましくは4.4〜11.5重量%(例えば、4.5〜11重量%)程度であってもよい。ジエンの割合が小さすぎると、架橋密度の低下に伴い繊維や第2のゴムに対する十分な接着性を担保できなくなる可能性があり、ジエンの割合が大きすぎると、ゴム組成物のスコーチタイムが短くなって存置安定性が低下する可能性がある。
なお、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、α−オレフィンの割合は、例えば、10〜60重量%、好ましくは15〜55重量%、さらに好ましくは18〜50重量%(例えば、20〜45重量%)程度であってもよい。
エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、分子の大きさも接着性などの観点から重要である。エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、JISK6300−1に準じて125℃で測定したときのムーニ粘度は、30〜120の範囲から選択でき、好ましくは30〜110、さらに好ましくは32〜100程度であってもよい。なお、ムーニ粘度は、分子量と相関があり、ムーニ粘度が小さくなると、分子量が小さくなる傾向がある。ムーニ粘度が小さすぎると、ポリマー分子間の絡み合いが少なくなるためか、繊維や第2のゴムとの接着性が低下する虞がある。また、ムーニ粘度が大きすぎると、ゴムが練りにくくなって生産性が低下したり、ゴム糊の粘性が大きくなって繊維を被覆する際にかすが付着するなどの不具合が発生する虞がある。
(シリカ)
本発明のゴム組成物は、充填剤(又は補強剤又は増強剤)の中でも、特にシリカを少なくとも含んでいる。シリカと後述のシランカップリング剤とを組み合わせて、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体に組み合わせることにより、繊維(および第2のゴム)に対する接着性を著しく改善又は向上できる。なお、シリカは、乾式シリカ、湿式(含水)シリカのいずれであってもよいが、含水シリカを好適に使用してもよい。含水シリカを使用すると、加水分解縮合を伴うシランカップリング剤との反応が進行しやすくなり、繊維や第2のゴムに対する接着性をより向上できる場合がある。また、シリカは、非多孔質又は多孔質のいずれであってもよく、コロイダルシリカであってもよい。
シリカの平均粒径は、例えば、1〜1000nm、好ましくは3〜300nm、さらに好ましくは5〜100nm(例えば、10〜50nm)程度であってもよい。
また、シリカの比表面積は、例えば、50〜500m/g、好ましくは70〜400m/g、さらに好ましくは100〜350m/g程度であってもよい。
ゴム組成物において、シリカの割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは3〜80重量部、さらに好ましくは5〜40重量部(例えば、10〜30重量部)程度であってもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、官能基と、加水分解縮合性基とを有するケイ素化合物である。官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、アルケニル基(ビニル基、アリル基など)、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、ウレイド基などが含まれる。なお、官能基は、通常、炭化水素基(例えば、アルキル基)などの連結基を介して、シランカップリグ剤を構成するケイ素原子に結合していてもよい。シランカップリング剤は、これらの官能基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
加水分解縮合性基としては、ケイ素原子に直接結合した基又は原子、例えば、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子など)、アルコキシ基(アリールオキシ基を含む)などが挙げられる。シランカップリング剤は、これらの加水分解縮合性基を単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましいシランカップリング剤には、アルコキシシラン類(官能基を有するアルコキシシラン類)が含まれる。アルコキシシラン類は、モノ乃至トリアルコキシシラン類のいずれであってもよく、特に、ジアルコキシラン類、トリアルコキシシラン類であってもよい。
シランカップリング剤(アルコキシシラン類など)は、加水分解性縮合性基が加水分解縮合したシロキサン構造(−Si−O−Si−)を有していてもよく、部分縮合物であってもよい。
代表的なシランカップリング剤としては、例えば、メルカプト基を有するシランカップリング剤、エポキシ基を有するシランカップリング剤、アミノ基(置換アミノ基を含む)を有するシランカップリング剤、アルケニル基を有するシランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤、イソシアネート基を有するシランカップリング剤、ハロゲン原子を有するシランカップリング剤(例えば、2−クロロエチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのハロC2−4アルキルモノ乃至トリC1−4アルコキシシランなど)、ウレイド基を有するシランカップリング剤(例えば、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなど)、シアノ基を有するシランカップリング剤(例えば、3−シアノプロピルジメチルクロロシラン)などが挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤には、例えば、メルカプト基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン)、メルカプト基を有するトリアルコキシシラン(例えば、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン)などのメルカプト基を有するアルコキシシラン、メルカプト基を有するシロキサン[例えば、α,ω−ビス(3−メルカプトプロピル)ポリジメチルシロキサンなど]などが含まれる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤には、例えば、エポキシ基を有するジアルコキシシラン{例えば、(グリシドキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン[例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシランなどの(グリシドキシC2−4アルキル)C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど]など}、エポキシ基を有するトリアルコキシシラン{例えば、(グリシドキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシドキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、エポキシシクロアルキルトリメトキシシラン[例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどのエポキシC5−8シクロアルキルC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]など}などのエポキシ基を有するアルコキシシランなどが含まれる。
アミノ基を有するシランカップリング剤には、例えば、アミノ基を有するジアルコキシシラン[例えば、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどの(アミノC2−4アルキルアミノ)C1−4アルキル−C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど]、アミノ基を有するトリアルコキシシラン{例えば、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン;2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、などのN−(アミノC2−4アルキル)アミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン;p−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン;3−[N−アリル−N−(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシランなど}、アルコキシシリル基を有するアミン{例えば、N,N’−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N’−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、1−トリメトキシシリル−4,7,10−トリアザデカン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミンなど}、アミノ基を有するシロキサン[例えば、1−(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサンなど]などが含まれる。
アルケニル基を有するシランカップリング剤には、例えば、アルケニル基を有するジアルコキシシラン[例えば、アルケニルアルキルジアルコキシシラン(例えば、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシランなどのC2−4アルケニルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン)、ジアルケニルジアルコキシシラン(例えば、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシランなどのジC2−4アルケニルジC1−4アルコキシシラン)など]、アルケニル基を有するトリアルコキシシラン{例えば、アルケニルトリアルコキシシラン[例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ(t−ブトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどのC2−4アルケニルトリC1−4アルコキシシラン]、アルケニルトリ(アルコキシアルコキシ)シラン[例えば、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シランなどのC2−4アルケニルトリ(C1−4アルコキシC2−4アルコキシ)シラン]など}などのアルケニル基を有するアルコキシシランなどが含まれる。
(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤には、例えば、(メタ)アクリロイル基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど)、(メタ)アクリロイル基を有するトリアルコキシシラン[例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルトリ(C1−4アルコキシC2−4アルコキシ)シラン;N−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの[(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキル]アミノC2−4アルキルトリアルコキシシランなど]などの(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランなどが含まれる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、例えば、イソシアナトアルキルアルコキシシラン(例えば、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトエチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトメチルフェニルジメトキシシランなどのイソシアナトC1−4アルキルアルコキシシラン)などのイソシアネート基を有するアルコキシシランなどが含まれる。
シランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのシランカップリング剤のうち、メルカプト基を有するシランカップリング剤(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するアルコキシシラン)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するアルコキシシラン)、アミノ基を有するシランカップリング剤(例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン)が好ましく、特に、メルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましい。
このようなシランカップリング剤は、加硫剤(硫黄系加硫剤など)を含むゴム組成物において、繊維や第2のゴムに対する接着性の改善効果に優れている。特に、メルカプト基を有するシランカップリング剤は、ジエン(前記エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体のジエン、後述の繊維の接着処理に用いるゴム中のジエン、後述の第2のゴム中のジエンなど)と反応するためか、繊維や第2のゴムに対する接着性を効率よく改善できる。
シランカップリング剤の割合は、シリカ100重量部に対して、0.5〜30重量部(例えば、0.7〜25重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、1〜20重量部、好ましくは2〜18重量部(例えば、2.5〜15重量部)、さらに好ましくは3〜12重量部(例えば、3.5〜10重量部)、特に4〜8重量部程度であってもよく、通常3〜10重量部程度であってもよい。なお、このような範囲でシランカップリング剤とシリカとを組み合わせると、効率よくゴム組成物の接着性を向上できる。
また、シランカップリング剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜5重量部(例えば、0.5〜3重量部)程度であってもよい。
(加硫剤)
本発明のゴム組成物は、通常、加硫剤を含んでいてもよい。加硫剤としては、硫黄系加硫剤、有機過酸化物[例えば、ハイドロパーオキサイド(t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド(ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイドなど)、アルキルパーオキシエステル(t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエートなど)、パーオキシカーボネート(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネートなど)、ジアルキルパーオキサイド[ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジt−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−アミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなど]、パーオキシケタール(エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレートなど)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイドなど)など]、アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリルなど)などが挙げられる。加硫剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの加硫剤のうち、少なくとも硫黄系加硫剤を好適に用いてもよい。硫黄系加硫剤を用いると、有機過酸化物などに比べて、後述のゴム組成物(例えば、ビニルピリジン−ブタジエン系共重合体をゴムとする組成物)で被覆処理された繊維に対する本発明のゴム組成物の接着性を向上させやすい。
硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄[例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄など]の他、硫黄化合物[例えば塩化硫黄(一塩化硫黄、二塩化硫黄など)などが挙げられる。これらの硫黄系加硫剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
加硫剤の割合は、加硫剤の種類にもよるが、例えば、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜5重量部(例えば、0.5〜3重量部)程度であってもよい。
また、加硫剤(例えば、硫黄系加硫剤)の割合は、シランカップリング剤100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部(例えば、20〜500重量部)、好ましくは30〜300重量部(例えば、40〜250重量部)、さらに好ましくは50〜200重量部(例えば、70〜150重量部)程度であってもよい。
(加硫促進剤)
ゴム組成物は、さらに、加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、例えば、硫黄系加硫促進剤{例えば、チウラム系加硫促進剤[例えば、テトラメチルチウラム・モノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラム・ジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラム・ジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィドなど]、チアゾ−ル系加硫促進剤[例えば、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル、2−メルカプトベンゾチアゾ−ルの亜鉛塩、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド(MBTS)、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなど)など]、スルフェンアミド系加硫促進剤[例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなど]など}、ビスマレイミド系加硫促進剤(例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−1,2−エチレンビスマレイミドなど)、ウレア系加硫促進剤(例えば、エチレンチオウレアなど)などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの加硫促進剤のうち、TMTD、MBTS、CBSなどの硫黄系加硫促進剤を好適に使用できる。
加硫促進剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1.5〜5重量部程度であってもよい。
(フェノール類とアルデヒド類との縮合物)
本発明のゴム組成物は、さらに、フェノール類とアルデヒド類との縮合物(共重合物又はプレポリマー又はフェノール樹脂)を含んでいてもよい。このような縮合物(又はレゾール型のフェノール樹脂)を用いると、シランカップリング剤との組み合わせにより、相乗的に繊維や第2のゴムに対する接着性をより一層向上できる場合がある。
フェノール類としては、例えば、芳香族モノオール[例えば、フェノール、アルキルフェノール(例えば、o−,p−又はm−クレゾール、3,5−キシレノール、t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールなどのC1−20アルキルフェノール)、アリールフェノール(例えば、フェニルフェノール、ベンジルフェノール、クミルフェノール)など]、芳香族ポリオール(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロガロールなど)、アミノフェノール(3−アミノフェノール、4−アミノフェノールなど)などが挙げられる。これらのフェノール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのフェノール類のうち、芳香族ジオール、アミノフェノールなどが好ましく、レゾルシン、ハイドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン(特に、レゾルシン)が特に好ましい。
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドの縮合体も使用できる。これらのアルデヒド類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアルデヒド類のうち、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒドが特に好ましい。ホルムアルデヒドは、通常、ホルマリンとして用いられる。
アルデヒド類の割合は、フェノール類1モルに対して、例えば、0.5〜3モル、好ましくは0.6〜2.5モル、さらに好ましくは0.7〜2モル(特に0.8〜1.5モル)程度である。
フェノール類とアルデヒド類とは、縮合して縮合物(フェノール類とアルデヒド類との共重合物)を形成している。縮合物は、慣用の方法で調製でき、例えば、水中で前記アルカリ性化合物(例えば、水酸化ナトリウムなど)を触媒として用いて、前記フェノール類と前記アルデヒド類とを反応させることにより水分散液として調製できる。水分散液中の縮合物の割合は、例えば、1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度であってもよい。
縮合物の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1.5〜5重量部程度であってもよい。
また、縮合物の割合は、シランカップリング剤100重量部に対して、例えば、30〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部(例えば、70〜400重量部)、さらに好ましくは100〜300重量部(例えば、150〜250重量部)程度であってもよい。
なお、本発明のゴム組成物は、接着性をより一層向上させたり、繊維や第2のゴムとの接着の進行とともに、フェノール類とアルデヒド類との縮合をより一層進行させるため、架橋剤[例えば、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサアルコキシメチロールメラミン(例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミンなどのヘキサC1−4アルコキシメチロールメラミン)などのメラミン類とアルデヒド類との縮合物(部分縮合物、プレポリマー)など]を含んでいてもよい。
このような架橋剤(メラミン類とアルデヒド類との縮合物)の割合は、縮合物100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部(例えば、20〜500重量部)、好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは40〜250重量部程度であってもよい。
(他の成分)
本発明のゴム組成物は、汎用の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、共加硫剤(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物)、充填剤(又は増強剤又は補強剤、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどのシリカではない充填剤)、加硫助剤、架橋助剤、加硫遅延剤、滑剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィンなど)、老化防止剤、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、加工助剤、カップリング剤(チタンカップリング剤などのシランカップリング剤ではないカップリング剤)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、硫黄系加硫剤は、共加硫剤としての金属酸化物と組み合わせてもよい。
共加硫剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部(例えば、1.5〜15重量部)、さらに好ましくは2〜10重量部程度であってもよい。
充填剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部(例えば、2〜70重量部)、さらに好ましくは3〜60重量部(例えば、4〜50重量部)程度であってもよい。なお、ゴム組成物においては、後述の第2のゴム組成物における場合のように充填剤の割合を比較的大きくする必要はなく、むしろ、接着性成分としてのエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体の割合を大きくして接着性を向上させるという観点からは、充填剤の割合を比較的小さくしてもよい。このような観点からは、特に、充填剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜25重量部(例えば、0.7〜20重量部)、さらに好ましくは1〜15重量部(例えば、2〜10重量部)程度とすることもできる。
滑剤や老化防止剤の割合は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
また、後述するように、ゴム組成物は、溶媒や、慣用の接着性成分を含んでいてもよい。
[ゴム組成物の用途およびゴム被覆繊維]
本発明のゴム組成物は、繊維に対する接着性に優れている。しかも、このような本発明のゴム組成物は、ゴム(第2のゴム)に対する接着性にも優れている。そのため、本発明のゴム組成物は、繊維を接着させるための組成物として利用することもできる他、繊維とゴム(第2のゴム)との間に介在し、繊維とゴムとを接着させるための組成物(接着剤)として好適である。
なお、繊維とゴムとを接着させるための態様としては、ゴム組成物を繊維とゴムとの間に介在(又は接触)させて接着できればよいが、代表的には、ゴム組成物で被覆した繊維(ゴム被覆繊維)と、第2のゴムとを接着させてもよい。このような方法では、ゴム組成物と繊維との高い接着性を利用して効率よく第2のゴムと接着させることができる。すなわち、このような態様では、ゴム組成物で被覆された繊維を、第2のゴムに対する接着性を有する繊維(ゴム接着性繊維)として利用できる。そのため、本発明には、このような本発明のゴム組成物で被覆処理された繊維(ゴム被覆繊維、ゴム接着性繊維)も含まれる。
(繊維)
繊維としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、絹などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、スチレン系繊維、ポリフルオロエチレン系繊維、アクリル系繊維、ビニルアルコール系繊維、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維など)、全芳香族ポリエステル繊維、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維など)、全芳香族ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維などの有機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの繊維のうち、後述の心線に用いる場合などにおいては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、アラミド繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用され、特に、PET繊維やPEN繊維などのポリエステル繊維を好適に使用できる。繊維(ポリエステル繊維など)は、紡績糸やマルチフィラメント(双糸や3本以上の撚糸など)であってもよい。マルチフィラメント糸の繊度は、用途にもよるが、例えば、2000〜10000デニール(例えば、4000〜8000デニール)程度であってもよい。特に、繊維を後述のベルトの心線などとして使用する場合、繊維として、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。
繊維(例えば、マルチフィラメントなど)の繊維径は、用途に応じて適宜選択できるが、例えば、0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1.5mm程度であってもよい。特に、撚りコード繊維(心線)の繊維径は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2.5mm程度であってもよい。
繊維は、フェノール類、アルデヒド類及びゴムを含む組成物(易接着性処理用組成物などということがある)で易接着性処理又は被覆処理(表面処理)された被覆繊維(処理繊維、易接着性繊維)であってもよい。すなわち、このような被覆繊維は、繊維(例えば、ポリエステル繊維)と、この繊維を被覆する被膜であって、フェノール類、アルデヒド類及びゴムを含む組成物で形成された被膜とで構成されている。このような接着性処理がなされた繊維を用いると、より一層、前記ゴム組成物(第1のゴム組成物)との接着性を効率よく向上できる場合がある。
フェノール類としては、前記と同様の化合物(レゾルシン、ハイドロキノンなど)が挙げられ、好ましい態様も前記と同様である。フェノール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アルデヒド類もまた、前記と同様の化合物(ホルムアルデヒドなど)が挙げられ、好ましい態様も前記と同様である。アルデヒド類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アルデヒド類の割合は、フェノール類1モルに対して、例えば、0.5〜3モル、好ましくは0.6〜2.5モル、さらに好ましくは0.7〜2モル(特に0.8〜1.5モル)程度である。
なお、フェノール類とアルデヒド類とは、前記と同様に、縮合してプレポリマー(又は部分縮合物)を形成していてもよい。
フェノール類およびアルデヒド類の総量(又はフェノールとアルデヒド類との縮合物)の割合は、ゴム100重量部に対して、例えば、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜60重量部程度であってもよい。
ゴムとしては、例えば、ジエン系ゴム(例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、又はこれらのジエン系ゴムの水添物など)、オレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレン非共役ジエンゴム(EPDM)など)、アクリル系ゴム、フッ素ゴム、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アルキルクロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)、オレフィン−ビニルエステル共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EAM)など)などが挙げられる。これらのゴムは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、繊維の易接着性処理に用いるゴムは、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体である必要はない。本発明では、繊維の易接着性処理において、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体を使用しなくてもよく、ましてや、ジエン含量を調整する必要がないため、前記ゴム組成物中のエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体のジエン含量を厳密に調整する必要がなく、材料選択の幅が広い。
好ましいゴムには、前記ゴム組成物(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体)に対する接着性の観点から、比較的極性の小さいゴム(例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなど)が含まれる。また、ジエン系ゴムは、塩基性のゴム、例えば、ビニルピリジン骨格を有するジエン系ゴムであってもよい。このようなジエン系ゴムとしては、ブタジエン−ビニルピリジン系共重合体で構成されていてもよく、この共重合体は、さらに他の共重合性単量体を含んでいてもよい。他の共重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらのうち、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体が汎用される。代表的な、ビニルピリジン−ブタジエン系共重合体としては、例えば、ブタジエン−ビニルピリジン共重合体、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体などが汎用される。
ゴムは、慣用の乳化剤を用いて水中に分散させたラテックスであってもよい。さらに、ラテックスと、フェノール類およびアルデヒド類(又はプレポリマー)とを含む水分散液との混合液において、ゴムの固形分濃度は、例えば、1〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、さらに好ましくは10〜30重量%程度であってもよい。
なお、易接着性処理用組成物は、繊維に対する被覆を容易にするため、通常、液状組成物であってもよい。このような液状組成物は、流動性又は粘性を有していれば、無溶媒であってもよいが、通常、溶媒を含む組成物であってもよい。溶媒としては、特に限定されず、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類)などであってもよいが、通常、少なくとも水を含む溶媒である場合が多い。液状組成物において、固形分(例えば、フェノール類、アルデヒド類、およびゴム)の割合は、例えば、3重量%以上(例えば、4〜80重量%)、好ましくは5重量%以上(例えば、7〜50重量%)、さらに好ましくは10重量%以上(例えば、12〜30重量%)であってもよい。
なお、繊維は、易接着処理(又は易接着性処理)の前に、さらに、慣用の接着性成分(例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート系化合物又はウレタン樹脂など)で前処理(被覆処理)を行ってもよい。
繊維を、易接着処理する方法としては、特に限定されないが、繊維を液状の易接着処理用組成物に浸漬する方法、易接着性処理用組成物(通常、液状の組成物)を繊維に噴霧又は塗布する方法などが挙げられる。
易接着性繊維において、被膜の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm程度であってもよい。なお、被膜の厚みが小さすぎると十分な接着性向上効果が得られない場合があり、被膜の厚みが大きすぎると被膜内部での破壊が生じやすくなってむしろ接着性を低下させる場合がある。
(ゴム被覆繊維)
ゴム被覆繊維(ゴム接着性繊維)は、繊維(易接着繊維を含む)と、この繊維を被覆する前記ゴム組成物(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体又は第1のゴム、シリカ、およびシランカップリング剤を含むゴム組成物)とで形成されている。すなわち、ゴム接着性繊維は、繊維(繊維表面)に、ゴム組成物で構成された被膜が形成された繊維である。
繊維をゴム組成物で被覆する方法としては、特に限定されないが、繊維を液状のゴム組成物に浸漬する方法、ゴム組成物(通常、液状の組成物)を繊維に噴霧又は塗布する方法などが挙げられる。
なお、液状のゴム組成物は、前記ゴム組成物と溶媒とを混合することにより得ることができる。溶媒としては、特に限定されず、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルカノール類)、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロアルカン類)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン、シクロヘキサノンなどの環状ケトン)、セロソルブ類、カルビトール類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、グリコールエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)などの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用してもよい。
溶媒を含むゴム組成物において、固形分(第1のゴム、シリカ、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、前記縮合物など)の割合は、0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%(例えば、3〜7重量%)程度であってもよい。
なお、ゴム組成物は、前記と同様に、慣用の接着性成分(例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート系化合物又はウレタン樹脂など)を含んでいてもよい。このような場合、接着性成分の種類によっては硬化などが速やかに進行する場合があるため、繊維に噴霧又は塗布する直前にゴム組成物に含有させてもよい。接着性成分の割合は、ゴム組成物(溶媒を含む場合には、ゴム組成物の固形分)全体に対して、例えば、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%程度であってもよい。
ゴム被覆繊維において、ゴム組成物(又はゴム組成物で形成された被膜又はゴム組成物の層)の厚みは、用途にもよるが、例えば、1〜40μm、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜20μm程度であってもよく、通常3〜25μm(例えば、3.5〜20μm、好ましくは4〜15μm)程度であってもよい。
なお、繊維が易接着性処理されている場合、繊維(コアとなる繊維)とゴム組成物との間には、易接着性処理用組成物(又はその被膜)が存在又は介在している。
なお、ゴム被覆繊維において、ゴム組成物(および易接着性繊維のゴム、以下同じ)は、通常、未加硫であってもよいが、ゴム組成物の加硫とともに、繊維(又は易接着性繊維の被膜)とゴムとの強固な接着が実現される。すなわち、繊維と、この繊維を被覆するゴム組成物の硬化物(加硫物)とで形成されたゴム被覆繊維において、繊維とゴム組成物とが強固に接着している。ゴム組成物(未加硫ゴム組成物)の加硫は、通常、加熱下で行うことができ、加熱温度は、例えば、80〜250℃、好ましくは100〜230℃、さらに好ましくは120〜200℃(特に150〜180℃)程度であってもよい。加熱時間は、例えば、5分〜3時間、好ましくは10分〜2時間、さらに好ましくは15分〜1時間(特に20〜40分)程度であってもよい。なお、加硫は、加熱に加えて、加圧下(例えば、0.1〜100MPa、好ましくは0.3〜10MPa、さらに好ましくは0.5〜5MPa)程度の加圧下で行ってもよい。なお、易接着性繊維を構成するゴム(未加硫ゴム)の加硫は、この第1のゴム組成物の加硫とともに行ってもよい。また、ゴム被覆繊維と第2のゴム(又はその組成物)とを接着させる場合、後述するように、第2のゴム(又はその組成物)の加硫とともにゴム組成物を加硫させてもよい。
(第2のゴム)
本発明のゴム被覆繊維(又は第1のゴム組成物)は、繊維と第1のゴム組成物とを強固に接着でき、そのままでも使用可能であるが(例えば、後述の動力伝動用ベルトのゴム層をゴム被覆繊維又はその硬化物のみで構成する場合など)、前記のように、第2のゴム(又はその組成物)に対する接着性に優れているため、さらに、第2のゴムと接着させてもよい。そのため、本発明には、ゴム被覆繊維(又は繊維およびこの繊維を被覆する第1のゴム組成物)と、第2のゴム(又はその組成物)とが接着した接着体も含まれる。
第2のゴムとしては、特に限定されず、前記例示のゴムが挙げられる。ゴムは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。第2のゴムは、第1のゴムと同じ又は同系統のゴム、すなわち、オレフィン系ゴム(特に、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体)であってもよい。第2のゴムをエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体で構成すると、第1のゴムとの接着に有利(例えば、第1のゴムとの相溶性に優れている、第1のゴムのジエンとともに第2のゴムのジエンと反応させることができるなどの点で有利)であるだけでなく、後述のベルト用途において、耐熱性などのベルトに要求される所望の性能を効率よく付与しやすい。
なお、第2のゴム(又はその組成物)を構成するエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体において、各成分の割合(エチレンの割合、ジエンの割合)やムーニ粘度は、前記第1のゴムと同様の範囲であってもよいが、必ずしもこのような各成分の割合やムーニ粘度を充足する必要はなく、汎用のエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体を使用できる。
第2のゴムは、他の成分を含む組成物(第2のゴム組成物)を構成してもよい。第2のゴム組成物において、他の成分としては、前記第1のゴム組成物と同様の成分[例えば、シリカ、加硫剤、加硫促進剤、フェノール類とアルデヒド類との縮合物、添加剤(例えば、共加硫剤、充填剤、滑剤、老化防止剤など)など]が挙げられ、好ましい態様なども前記と同様である。
なお、第2のゴム組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよいが、シランカップリング剤を含んでいなくても、第1のゴム組成物(又は繊維)に対して高い接着性で接着できる。
なお、第2のゴム組成物において、他の成分の割合は、前記第1のゴム組成物と概ね同様の範囲から選択できる。例えば、加硫剤(硫黄系加硫剤など)の割合は、第2のゴム(エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体など)100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜5重量部程度であってもよい。また、加硫促進剤の割合は、第2のゴム100重量部に対して、例えば、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1.5〜5重量部程度であってもよい。
また、前記縮合物の割合は、第2のゴム100重量部に対して、例えば、0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1.5〜5重量部程度であってもよい。また、架橋剤(イソシアネート化合物など)の割合は、前記縮合物100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは50〜200重量部程度であってもよい。
共加硫剤(金属酸化物など)の割合は、第2のゴム100重量部に対して、例えば、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部程度であってもよい。
また、充填剤(カーボンブラックなど)の割合は、第2のゴム100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは15〜60重量部程度であってもよい。第2のゴム組成物が、上記範囲で充填剤を含んでいると、第2のゴム組成物に十分なゴムの硬度やモジュラスを付与しやすい。さらに、滑剤や老化防止剤の割合は、第2のゴム100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度であってもよい。
接着体において、第2のゴムとゴム被覆繊維(又は第1のゴム組成物)との接着形態は、特に限定されず、シート状のゴム被覆繊維と、シート状の第2のゴムとの積層体などであってもよく、通常、後述のベルト用途などでは、ゴム被覆繊維を第2のゴムに被覆又は埋設する形態であってもよい。
なお、接着体において、第2のゴムは、未加硫であってもよいが、通常、第2のゴムの加硫とともに、ゴム被覆繊維との強固な接着が実現される。すなわち、ゴム被覆繊維と第2のゴムの硬化物(加硫物)とが強固に接着している。第2のゴムの加硫は、前記第1のゴム組成物と同様の条件下(加熱下、加圧下など)で行うことができる。なお、第2のゴムの加硫は、第1のゴム組成物(および易接着性繊維のゴム)とともに行ってもよい。
[動力伝動用ベルト]
本発明のゴム組成物又はゴム被覆繊維は、種々の用途に使用できるが、特に動力伝動用ベルトに好適に用いることができる。動力伝動用ベルトは、心線としての繊維が埋設されたゴム層を少なくとも含む動力伝動用ベルトであり、前記ゴム層が、前記繊維(又は心線)を被覆(又は埋設)する前記第1のゴム組成物の硬化物(加硫物)で構成されている。このような動力伝動用ベルトは、前記ゴム層を含んでいればよいが、通常、ベルト長手方向に延びて複数の心線が埋設された前記ゴム層(接着ゴム層)と、このゴム層の表面(又は一方の面)に積層された圧縮ゴム層と、前記ゴム層の裏面又は背面(又は他方の面)に積層された繊維層とで構成されている場合が多い。
図1は、本発明の動力伝動用ベルトの一例であるVリブドベルトを示す概略断面図である。
Vリブドベルト1は、ベルト長手方向に延び、繊維が前記第1のゴム組成物の硬化物で被覆された複数の心線(ゴム被覆心線)2と、この心線2をさらに被覆又は埋設する第2のゴムとで構成されたゴム層(接着ゴム層)3と、このゴム層3の表面に積層され、かつベルト長手方向に沿って3列で延びるリブ部5を有する圧縮ゴム層4と、前記ゴム層3の裏面(背面)に積層された繊維層6とで構成されており、各リブ部5の縦断面形状は、先端に向かって先細る台形形状である。なお、第2のゴムは、前記第2のゴム(又はその組成物)の硬化物(又はその加硫物)に相当する。
すなわち、図1のVリブドベルトでは、心線2が前記ゴム被覆繊維(又はその硬化物)として利用され、この心線2が前記第2のゴムの硬化物に埋設された構造を有している。
圧縮ゴム層は、ベルト使用時において、プーリーと接触して圧縮される層であり、前記第2のゴムの項で例示のゴムで構成されており、接着ゴム層との密着性の点から、通常、前記ゴム層(接着ゴム層)を構成するゴムと同一又は同種のゴムで構成されている。
なお、圧縮ゴム層も、前記第1又は第2のゴム組成物と同様に、ゴムに加えて、他の成分を含んでいてもよい。特に、圧縮ゴム層は、プーリーとの接触面における摩擦係数を低下させてベルト走行時の騒音又は異音を軽減するとともに、強度(特に、Vリブドベルトなどの耐側圧性)を高めるために、さらに短繊維を含んでいてもよい。短繊維としては、例えば、前記例示の繊維などを使用できる。前記繊維のうち、ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、綿、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの合成繊維などが汎用される。これらの短繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、剛直で高い強度を有する点から、少なくともアラミド繊維を含む短繊維が好ましい。短繊維の平均繊維長は、例えば、1〜20mm、好ましくは2〜15mm、さらに好ましくは3〜10mm程度である。短繊維の平均繊維径は、例えば、例えば、10〜30μm、好ましくは13〜27μm程度である。短繊維の割合は、ゴム100重量部に対して、例えば、1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部程度であってもよい。
圧縮ゴム層のリブ部の縦断面形状は、台形形状に限定されず、ベルト長手方向に延びる形状であればよく、例えば、略三角形状、略半円状などであってもよい。リブ部の列数(個数)は、3列に限定されず、2〜10列程度から選択できる。
圧縮ゴム層の厚み(リブ部の頂点と、接着ゴム層との界面との最短距離)は、例えば、1〜5mm、好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3mm程度である。
なお、圧縮ゴム層は、ゴム層(接着ゴム層)とともに、加硫する場合が多い。
ゴム層(接着ゴム層)は、前記図の例のように、ゴム被覆繊維(すなわち、心線を被覆する前記第1のゴム組成物の硬化物で形成された第1のゴム又は第1のゴム層)と、このゴム被覆繊維(又は第1のゴム又は第1のゴム層)をさらに被覆又は埋設する第2のゴム(又は第2のゴム層)とで構成されていてもよく、前記ゴム被覆繊維のみで構成することもできる。すなわち、第2のゴムを省略することも可能である。このような場合、心線(繊維)は繊維層又は伸張ゴム層と圧縮ゴム層の間に挟まれた状態で第1のゴム組成物に埋設されることになる。なお、第2のゴム層は、前記第2のゴム又はその組成物の硬化物(又は加硫物)に相当する。そのため、第2のゴム層は、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体などで構成できる。
なお、ゴム層において、心線は、通常、ベルト長手方向に延びて、複数本埋設されている。心線(又はコード)は、厚み方向の略中央部において、ベルトの幅方向に等間隔で複数本埋設されていてもよく、ゴム層の表面付近[例えば、圧縮ゴム層との界面付近(ゴム層中の圧縮ゴム層寄りの部分)や後述する繊維層との界面付近]に埋設されていたり、圧縮ゴム層との界面でゴム層(接着ゴム層)と圧縮ゴム層とに挟まれていてもよいが、通常、厚み方向の中央部又は圧縮ゴム層との界面付近に埋設されている。隣接する心線又は繊維の間隔(スピニングピッチ)は、心線の径に応じて選択できるが、例えば、0.5〜2mm、好ましくは0.8〜1.5mm、さらに好ましくは1〜1.3mm程度である。
なお、後述のように、繊維層を設けない場合、接着ゴム層上には、さらに他のゴム層(伸張ゴム層)を積層(又は形成)するのが好ましい。このような場合、伸張ゴム層と接着ゴム層とで挟む形態(又は伸張ゴム層および接着ゴム層の両方に接触する形態)で、繊維を埋設してもよい。
繊維層(カバー帆布)は、通常、ベルト表面側に設けられる。繊維層は、通常、布帛(帆布)である場合が多い。このような繊維層は、不織布であってもよいが、強度などの点から、織布や編布が好ましく、例えば、平織、綾織、朱子織などの織布(特に平織)が汎用される。繊維層を構成する繊維としては、前記例示の繊維が挙げられ、綿やレーヨンなどのセルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維などが汎用され、綿が特に汎用される。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、例えば、綿とポリエステル繊維とを混紡した混紡糸を使用してもよい。繊維の繊維径は、例えば、0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1.5mm(特に0.5〜1mm)程度である。綿糸の場合は、例えば、5〜100番、好ましくは10〜50番、さらに好ましくは15〜30番程度であってもよい。繊維は、紡績糸やマルチフィラメント(双糸や3本以上の撚糸など)であってもよい。なお、繊維層を構成する繊維は、顔料(カーボンブラックなどの黒色顔料、白色顔料など)などの前記例示の添加剤を含んでいてもよい。また、繊維は、前記例示の易接着性処理がなされていてもよい。
繊維層の厚みは、例えば、0.1〜5mm、好ましくは0.2〜3mm、さらに好ましくは0.3〜1mm(特に0.4〜0.8mm)程度であってもよい。
なお、繊維層は、必ずしも設ける必要はなく、前記他のゴム層を動力伝動ベルトの最表層としてもよい。
本発明の動力伝動用ベルトは、前記Vリブドベルトに限定されず、ローエッジVベルトや平ベルトなどにも利用できる。
動力伝動用ベルトの製造方法としては、慣用の方法を利用できる。例えば、円筒状の成形ドラムの周面に、必要に応じて繊維層と、接着ゴム層(第2のゴム)とを巻き付けた後、前記接着ゴム層(第2のゴム)の上にゴム被覆繊維(心線)を螺旋状にスピニングし、さらに接着ゴム層(第2のゴム)、圧縮ゴム層を順次巻きつけて未加硫(又は未架橋)スリーブを得た後、これを加硫(又は架橋)してスリーブを得る方法などが挙げられる。なお、この方法では、心線は、接着ゴム層中において、厚み方向の略中央部に埋設されるが、心線の上に圧縮ゴム層を直接巻きつけることにより、接着ゴム層に埋設される心線を圧縮ゴム層との界面付近に埋設させてもよい。また、この方法において、接着ゴム層を巻き付けることなく、ゴム被覆繊維(心線)のみを巻き付けることもできる。
この方法において、Vリブドベルトを製造する場合には、得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させながら、回転させた研削ホイールを走行中のスリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮ゴム層の表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨してもよい。さらに、このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断してVリブドベルトを製造してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例において使用した製品の詳細は以下の通りである。また、特に断りのない限り、組成割合(組成比)は重量割合(重量比)である。
(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM))
EPDM1:ダウエラストマー社製「IP5565」(エチレン含量50重量%、ジエン含量7.5重量%、ムーニ粘度(125℃)65のEPDM)
EPDM2:住友化学社製「ESPRENE 5527F」(エチレン含量54重量%、ジエン含量8.5重量%、ムーニ粘度(125℃)101のEPDM)
EPDM3:ランクセス社製「EPT3950」(エチレン含量56重量%、ジエン含量11重量%、ムーニ粘度(125℃)33のEPDM)
EPDM4:JSR社製「EP103AF」(エチレン含量59重量%、ジエン含量4.5重量%、ムーニ粘度(125℃)91のEPDM)
EPDM5:ダウエラストマー社製「IP4770R」(エチレン含量70重量%、ジエン含量4.9重量%、ムーニ粘度(125℃)70のEPDM)
(シリカ)
東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」、比表面積240m/g
(レゾルシン・ホルマリン共重合物(レゾルシノール樹脂))
レゾルシノール20%未満、ホルマリン0.1%未満のレゾルシン・ホルマリン共重合物
(ポリメリックイソシアナート)
MDI(メチレンビス(1,4−フェニレン)ジイソシアネート)をイソシアネートとするポリメリックイソシアナート(ポリメリックMDI)。
(実施例および比較例)
表1に示すゴム組成物(練りゴム)を、カレンダーロールにとおして圧延ゴムシートを作製した。なお、表1において、配合Bは、配合Aからシラン系カップリング剤を抜いたものであり、シランカップリング剤以外の組成は配合Aと同じにしている。また、EPDMは、表3に示すEPDMを使用した。
Figure 2012177068
一方、1100dtex/2x3のポリエチレンテレフタレート(PET)の未処理撚糸コードを、プレディップ(P/D)処理液(ポリメリックイソシアナートを10重量%の割合で含むトルエン溶液)に浸漬した後、180℃で4分間熱処理した。次に、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)処理液[レゾルシンとホルマリンとのプレポリマー4重量部(レゾルシン2.6重量部、ホルマリン1.4重量部)、ラテックス(スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン共重合体、日本ゼオン(株)製)17.2重量部、水78.8重量部を含む混合液]に浸漬し、230℃で2分間熱処理した。
そして、前記のようにして作製した表1に示す組成(第1ゴムの組成)のゴムシートをトルエンに溶解させてゴム糊(ゴムシート由来成分の割合10重量%)とし、さらに、このゴム糊とポリメリックイソシアネートとをトルエンに溶解して作製したオーバーコート(O/C)処理液(ゴム糊50重量部、ポリメリックイソシアネート1重量部、トルエン94重量部を含む混合液)に浸漬し、150℃で4分間熱処理することにより、接着ゴムにより被覆された心線(被覆心線、被覆繊維、ゴム接着性繊維)を得た。なお、比較例4ではオーバーコート処理しなかった(すなわち、接着ゴムにより被覆しなかった)。
このようにして得られた被覆心線の特性を、以下のようにして測定又は評価した。
(剥離試験)
表2に示す組成(第2のゴム組成物)の未加硫ゴムシート(厚み4mm)の上に、被覆心線を、幅が25mmとなるように複数本平行に並べ(繊維間隔0.1mm)、プレス板で2.0MPaの圧力をかけ、160℃で30分間加硫して、剥離試験用の短冊試料(幅25mm×長さ150mm×厚み4mm)を作製した。そして、JISK6256に従って、引張速度50mm/分で剥離試験を行い、心線と接着ゴム(第2ゴム)との接着力(加硫接着力)を室温雰囲気下で測定した。なお、表2において、第2ゴムを構成するEPDMは、第1ゴムとは異なる一般的なEPDMを使用した。
Figure 2012177068
(ベルトでの剥離試験)
円筒状の成型ドラムの周面にゴム付綿帆布(繊維層としての平織りの帆布の上に前記表2に示す組成の未加硫ゴム組成物の層を積層したもの)1プライのゴム上に被覆心線を螺旋状にスピニングした後に、前記表2に示す組成の未加硫ゴム層と圧縮ゴム層(未加硫のエチレン−プロピレン−ジエンゴム組成物)を順に積層し、この積層物を加硫缶内で加硫(加硫温度160℃、30分)した。成型ドラムから脱型した加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させながら、回転中の研削ホイールを圧縮ゴム層表面に当てて複数の溝状部を研磨加工し、そして所定幅に切断してVリブドベルトを得た。得られたVリブドベルトはRMA規格による長さ1100mmのK型3リブドベルトであり、リブピッチ3.56mm、リブ高さ2.0mm、ベルト厚さ4.3mmであった。
そして、得られたVリブドベルトにおいて、ベルト周方向に埋設した隣り合う心線を、圧縮ゴム層側の接着ゴム層(第2のゴム)より2本引き起こし、引張速度50mm/分で剥離試験を行い、心線と接着ゴム(第2のゴム)との接着力(加硫接着力)を室温雰囲気下で測定した(心線2本剥離力)。
(高温高張力逆曲げ走行試験)
直径120mmの駆動プーリ23、直径85mmのアイドラープーリ22、直径120mmの従動プーリ21、直径55mmのテンションプーリ24を順に配置した図2の試験機を用い、前記得られたVリブドベルトにおける心線の接着性を評価した。すなわち、各プーリ21〜24にVリブドベルト1を掛架し、Vリブドベルト1のテンションプーリ24への巻き付け角度90°、アイドラープーリ22ヘの巻き付け角度120°、雰囲気温度120℃、駆動プーリ23の回転数4900rpm、ベルト張力87kgf/3rib(リブ)の試験条件でテンションプーリ24に荷重を付与し、従動プーリ21に負荷12PSを与えてVリブドベルト1を最大200時間走行させた。心線がVリブドベルトの両端面の何れか一方より飛び出す(ポップアウトする)ことなく、Vリブドベルトが200時間走行すれぱ、心線の接着性は良好と判断した。なお、ポップアウトした場合、ポップアウトするまでの走行時間を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 2012177068
表3の結果から明らかなように、実施例では、プレス及びベルトでの剥離力が高く(剥離状態はゴム裂き)、高温高張力逆曲げ走行試験においては、ベルトを200時間走行させても心線のポップアウトは発生せず、繊維と第1のゴム組成物(及び第2のゴム)とが非常に強固に接着していることがわかった。
また、被覆心線における接着ゴム層の厚みが接着に与える影響を調べた結果を表4に示す。
Figure 2012177068
なお、第1のゴム組成物の層(第1のゴム組成物で形成された層、第1のゴム組成物層)の厚みは、オーバーコート処理液の濃度や浸漬回数(ディップ回数)により調整した。すなわち、実施例6では浸漬回数1回、実施例7では浸漬回数2回、実施例8では浸漬回数3回とした。
また、第1のゴム組成物の層の厚みは、次のようにして測定した。まず、第1のゴム組成物で被覆された心線(ゴム被覆繊維)をクロロプレンゴム組成物中に埋設し、160℃、30分の条件でプレス加硫して、シート状の加硫ゴム組成物を作成した。そして、このゴムシートをゴム被覆繊維と直角方向に切断し、ゴム被覆繊維の切断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM5900LV)を用いて塩素の元素マッピング分析を行い、塩素が含まれてない部分を厚みとした。すなわち、第1のゴム組成物中には塩素が含有されておらず、一方、ゴム被覆繊維を埋設したクロロプレンゴム組成物中には塩素が含まれているため、これを利用して、第1のゴム組成物とクロロプレンゴム組成物との境界を明確にすることにより、繊維から前記境界までの距離を第1のゴム組成物の厚み(被膜厚み)として測定した。
表4の結果から明らかなように、同一のゴムを用いた場合、第1のゴム組成物の厚みを調整することで、十分な接着強度(例えば、380N以上)で接着ゴム(第2のゴム)に接着できることがわかった。なお、第1のゴム組成物の厚みが大きくなるにつれて、若干、接着性に低下傾向が見られた。このような傾向を示すメカニズムは、定かではないが、所定の厚みを越えるとゴム内部の破壊が発生しやすくなるものと考えられる。
本発明のゴム組成物は、繊維(および第2のゴム)に対する接着性に優れる。また、本発明のゴム組成物は、繊維だけでなく、第2のゴムに対する接着性にも優れており、ゴムに対する繊維の接着性を向上させるための成分(接着剤)などとしても好適である。そのため、繊維とゴムとの高い接着性が要求される用途、例えば、ベルト(特に、動力伝動用ベルト)などにおいて好適である。
1…Vリブドベルト
2…心線
3…接着ゴム層
4…圧縮ゴム層
5…リブ部
6…繊維層

Claims (15)

  1. エチレン45〜80重量%およびジエン4〜15重量%を含み、かつJISK6300−1に準じて125℃で測定したとき、ムーニ粘度30〜120を有するエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体、シリカ、およびシランカップリング剤を含むゴム組成物。
  2. エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体が、エチレン47〜75重量%およびジエン4.2〜13重量%を含み、かつJISK6300−1に準じて125℃で測定したとき、ムーニ粘度30〜120を有するエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体である請求項1記載のゴム組成物。
  3. シランカップリング剤の割合が、シリカ100重量部に対して1〜20重量部である請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. シランカップリング剤が、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. さらに、硫黄系加硫剤を含む請求項4記載のゴム組成物。
  6. シランカップリング剤の割合が、シリカ100重量部に対して3〜10重量部であり、かつ硫黄系加硫剤の割合が、シランカップリング剤100重量部に対して30〜300重量部である請求項5記載のゴム組成物。
  7. さらに、硫黄系加硫促進剤を含む請求項5又は6記載のゴム組成物。
  8. 繊維とゴムとを接着させるための組成物である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. 繊維と、この繊維を被覆する請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物とで形成されたゴム被覆繊維。
  10. 繊維が、フェノール類、アルデヒド類及びゴムを含む組成物で被覆処理された被覆繊維である請求項9記載のゴム被覆繊維。
  11. ゴム組成物の厚みが、4〜15μmである請求項9又は10記載のゴム被覆繊維。
  12. 心線としての繊維が埋設されたゴム層を含む動力伝動用ベルトであって、前記ゴム層が、前記繊維を被覆する請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の硬化物で構成されている動力伝動用ベルト。
  13. ゴム層が、心線を被覆する請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の硬化物で形成された第1のゴムと、この第1のゴムをさらに被覆又は埋設する第2のゴムとで構成されている請求項12記載の動力伝動用ベルト。
  14. 第2のゴムが、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体で構成されている請求項13記載の動力伝動用ベルト。
  15. Vリブドベルトである請求項12〜14のいずれかに記載の動力伝動用ベルト。
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