JP2012170169A - 電力系統安定化装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不安定現象判定部103は、過渡安定度計算実行部102での計算結果から、各想定事故に対して、安定度の判別と電圧過昇有無の判定を行う。また、発電機選定部104aは、不安定現象判定部103にて安定度が不安定であると判別した場合には遮断制御する発電機を選定し、調相設備選定部104bは、不安定現象判定部103にて電圧過昇の発生ありと判定した場合には調相設備を選定する。
【選択図】図1
Description
(1−1)構成
以下、本発明に係る第1の実施形態について、図1を参照して詳しく説明する。図1は第1の実施形態に係る電力系統安定化装置の構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る電力系統安定化装置は、中央演算装置100と、中央制御装置200と、端末装置300と、伝送路400、500、700と、情報端末600とから構成されている。
中央演算装置100は、伝送路400を介して中央制御装置200と接続されると共に、伝送路700を介して1個以上の情報端末600と接続されている。中央演算装置100には、系統モデル作成部101と、過渡安定度計算実行部102と、不安定現象判定部103と、制御対象選定部104と、選定処理判定部105と、潮流計算実行部106と、発電機の選定テーブル107と、調相設備の選定テーブ108と、警告表示部109とが設けられている。
系統モデル作成部101は、情報端末600から伝送路700を介して、電力系統の計測情報や系統状態情報を取り込み、リアルタイムで系統状態を把握して、電力系統における現在の潮流状態を算出し、過渡安定度計算用の系統モデルを作成する部分である。
過渡安定度計算実行部102は、系統モデル作成部101の作成した系統モデルを用いて過渡安定度計算を実行する部分である。すなわち、過渡安定度計算実行部102では、系統モデルをおいて起こり得る事故ケースを予め複数想定し、想定した各事故ケースの過渡的な系統状態変化を、過渡安定度計算によって演算する。なお、過渡安定度計算には電力系統の動特性解析モデルなどが利用されている。
不安定現象判定部103は、過渡安定度計算実行部102での計算結果から、系統不安定現象が発生するかどうか、つまり各想定事故に対して、安定度の判別と、電圧過昇有無の判定を行う部分である。
制御対象選定部104は、本実施形態の主要部であって、不安定現象判定部103の判定結果に基づいて、電力系統の安定化に必要となる制御対象として、発電機を選定する発電機選定部104aと、開放または投入の制御対象となる調相設備を選定する調相設備選定部104bとからなる。発電機選定部104aは、不安定現象判定部103にて安定度が不安定であると判別した場合には遮断制御する発電機を選定し、調相設備選定部104bは、不安定現象判定部103にて電圧過昇の発生ありと判定した場合には調相設備を選定するようになっている。
選定処理判定部105は、制御対象選定部104による制御対象の選定時に、次のような判定を行う部分である。すなわち、選定処理判定部105は、想定事故時制御対象の選定が完了しているか否かの判定、遮断制御する発電機の選定が可能か不可能かという判定、調相設備の選定が可能か不可能かという判定を行う。
発電機選定部104aによる遮断制御する発電機の選定、並びに選定処理判定部105による発電機の選定可否判定には、予め設定保存されている遮断制御対象の発電機の選定テーブル107が利用される。
一方、調相設備選定部104bによる調相設備の選定、並びに選定処理判定部105による調相設備の選定可否判定には、調相設備の選定テーブル108が利用される。調相設備の選定テーブル108は、予め設定保存する開放制御または投入制御の対象とする全調相設備と、調相制御の選定優先順位とから系統状態情報をもとにして、現時点で開放または投入の制御可能な状態にある調相設備を抽出して、選定優先順に調相設備を並べたものである。
潮流計算実行部106は調相設備選定部104bに接続されている。潮流計算実行部106は調相設備選定部104bによる調相設備の選定に際して、電力系統の潮流計算を行う部分である。
警告表示部109は、選定処理判定部105に接続されている。警告表示部109は、選定処理判定部105から表示指令を受けた場合に、安定化不可の警告表示を出力する部分である。
中央制御装置200は、伝送路500を介して1個以上の端末装置300と接続されている。中央制御装置200は、中央演算装置100から受信した想定事故時制御対象を保存するようになっている。また、中央制御装置200は、実際に系統事故が発生した場合、端末装置300から系統事故情報を受信すると共に、所定の端末装置300へ制御指令を送信するように構成されている。
端末装置300は、電力系統安定化装置で安定化対象とする系統事故を検出する系統事故検出箇所と、系統事故時に遮断する発電機や、開放または投入する調相設備といった制御対象箇所に設置されている。
情報端末600は、電力系統内に分散配置されている。情報端末600は、系統の状態量を周期的に計測入力し、伝送路700を介して中央演算装置100に伝送するものである。
次に、第1の実施形態の中央演算装置100における制御対象選定処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。図2は、定周期(例えば1分間隔)で、不安定現象判定部103が複数の想定事故に対する電力系統の安定度および電圧過昇を判定し、制御対象選定部104が想定事故時制御対象を選定する1周期分の演算処理を示したものである。
以上のような第1の実施形態では、系統モデル作成部101が、制御対象となる系統から現時点の系統状態情報などを収集して過渡安定度計算用の系統モデルを作成し、過渡安定度計算実行部102が想定事故に対する過渡安定度計算を実行する。
(2−1)構成
以下、本発明に係る第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の基本的な構成は、図1に示した第1の実施形態のそれとほぼ同様である。第2の実施形態は、調相設備の選定に関して変更を施したものである。
電圧感度算出部121は、調相設備の制御時の系統内母線の電圧変化を、電圧感度として算出する部分である。電圧感度算出部121は電圧感度を次のようにして求める。まず、過渡安定度計算による電圧変化の計算結果から、対象系統内の母線毎に設定される電圧過昇しきい値を超えて最大電圧までの電圧逸脱量が、最大となる時点の過渡安定度計算結果を基に、潮流計算データを作成して潮流計算する。そして、電圧過昇最大時点の潮流計算により各母線の制御前後の電圧変化を、電圧感度として算出する。この時、母線の制御前後の電圧変化とは、調相設備が繋がる各母線の電圧について、単位量の調相設備を投入または開放制御した場合の変化量である。
電圧変化目標値算出部122は、過渡安定度計算の計算結果から、調相設備の制御時の母線の電圧変化目標値を算出する部分である。
組合せ最適化演算部123は、電圧感度と各母線の電圧変化目標値とから、不等式制約条件付き組合せ最適化問題を解くことで、各調相制御箇所の調相制御量を算出する部分である。不等式制約条件付き組合せ最適化問題の評価関数は、各母線の調相制御量の合計が最小となるように設定する。なお、電圧感度算出部121、電圧変化目標値算出部122、組合せ最適化演算部123の具体的な処理例に関しては、後段にて詳述する。
続いて、第2の実施形態の中央演算装置100における制御対象選定処理について、図7の処理フローチャートを用いて説明する。図7において図2に示した処理フローチャートと同一のステップ番号は同一の処理内容であり、説明を省略する。ここでは、電圧感度算出部121、電圧変化目標値算出部122、組合せ最適化演算部123の具体的な処理例を中心に、ステップS21とステップS22とステップS23を主として説明する。
以上のような第2の実施形態では、上記第1の実施形態の持つ作用効果に加えて、次のような独自の作用効果がある。すなわち、電圧過昇解消を図る調相設備の選定において、調相設備に制御優先順がない場合でも、組合せ最適化演算部123が、電圧過昇を解消する最小の調相設備を確実に選定することができる。したがって、調相設備の選定効率を高めることができる。
なお、本発明に係る電力系統安定化装置およびその制御方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、各構成要素は適宜変更可能である。また、本発明では、安定度判別の方法や電圧過昇判定の方法に関しても適宜選択可能である。
101…系統モデル作成部
102…過渡安定度計算実行部
103…不安定現象判定部
104a…発電機選定部
104b…調相設備選定部
105…選定処理判定部
106…潮流計算実行部
107…発電機の選定テーブル
108…調相設備の選定テーブル
109…警告表示部
121…電圧感度算出部
122…電圧変化目標値算出部
123…組合せ最適化演算部
200…中央制御装置
300…端末装置
400、500、700…伝送路
600…情報端末
Claims (7)
- 電力系統の状態量を定周期で収集して現在の潮流状態を表す系統モデルを作成する系統モデル作成ステップと、前記系統モデルを用いて想定事故に対する過渡安定度計算を実行する過渡安定度計算実行ステップと、前記過渡安定度計算の結果から安定度判定および電圧過昇の発生有無判定を行う不安定現象判定ステップと、前記不安定現象判定ステップの判定結果に基づいて遮断制御する発電機と開放制御または投入制御する調相設備を選定する制御対象選定ステップとを含む電力系統安定化装置の制御方法において、
前記制御対象選定ステップでは、
前記不安定現象判定ステップにおける安定度判定が不安定の場合には、安定化に必要な前記発電機を予め設定された発電機選定テーブルから過渡安定度計算を繰り返して選定する発電機選定ステップを行い、
次に、前記不安定現象判定ステップにおける電圧過昇の発生有無判定が電圧過昇有りの場合には、電圧過昇の解消に必要な前記調相設備を予め設定された調相設備選定テーブルから潮流計算を繰り返して選定する調相設備選定ステップを行い、
さらに、前記過渡安定度計算実行ステップでは、前記制御対象選定ステップにて想定事故に対し選定した前記発電機および前記調相設備の各制御時間を反映した過渡安定度計算を実行し、
前記発電機選定ステップは、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて過渡安定度が安定と判定した場合に遮断制御する発電機の選定を完了し、
前記調相設備選定ステップは、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて電圧過昇無しと判定した場合に開放制御または投入制御する調相設備の選定を完了することを特徴とする電力系統安定化装置の制御方法。 - 前記調相設備選定ステップにおいて、調相設備の選定テーブルの全ての調相設備を開放制御または投入制御しても電圧過昇を解消できない場合には、遮断制御する発電機選定順に従い過渡安定度が安定の下で遮断制御する発電機を増加させた後に調相設備を選定することを特徴とする請求項1に記載の電力系統安定化装置の制御方法。
- 電力系統の状態量を定周期で収集して現在の潮流状態を表す系統モデルを作成する系統モデル作成ステップと、前記系統モデルを用いて想定事故に対する過渡安定度計算を実行する過渡安定度計算実行ステップと、前記過渡安定度計算の結果から安定度判定および電圧過昇の発生有無判定を行う不安定現象判定ステップと、前記不安定現象判定ステップの判定結果に基づいて遮断制御する発電機と開放制御または投入制御する調相設備を選定する制御対象選定ステップとを含む電力系統安定化装置の制御方法において、
前記制御対象選定ステップでは、
前記不安定現象判定ステップにおける安定度判定が不安定の場合には、安定化に必要な前記発電機を予め設定された発電機選定テーブルから過渡安定度計算を繰り返して選定する発電機選定ステップを行い、
次に、前記不安定現象判定ステップにおける電圧過昇の発生有無判定が電圧過昇有りの場合には、電圧過昇の解消に必要な前記調相設備を選定する調相設備選定ステップを行い、
この調相設備選定ステップでは、
前記調相設備を投入制御または開放制御した場合の母線の電圧変化を表す電圧感度を算出する電圧感度算出ステップと、
前記過渡安定度計算結果から調相設備の制御時の前記母線の電圧変化目標値を算出する電圧変化目標値算出ステップと、
前記電圧感度と前記電圧変化目標値と予め設定された調相設備の選定テーブルとから前記電圧変化目標値を達成しかつ選定する調相設備の総容量が最小となる調相設備を選定する組合せ最適化演算ステップを行い、
さらに、前記過渡安定度計算実行ステップでは、前記制御対象選定ステップにて想定事故に対し選定した前記発電機および前記調相設備の各制御時間を反映した過渡安定度計算を実行し、
前記発電機選定ステップは、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて過渡安定度が安定と判定した場合に遮断制御する発電機の選定を完了し、
前記調相設備選定ステップは、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて電圧過昇無しと判定した場合に開放制御または投入制御する調相設備の選定を完了することを特徴とする電力系統安定化装置の制御方法。 - 前記電圧感度算出ステップでは、調相設備が3巻線変圧器に接続される場合は前記系統モデルにおいて3巻線変圧器を等価T型回路で模擬し、調相設備を投入制御または開放制御した場合の電圧感度を等価T型回路の母線または中点について算出することを特徴とする請求項3に記載の電力系統安定化装置の制御方法。
- 前記電圧変化目標値算出ステップでは、前記過渡安定度計算結果から調相設備の制御時の前記母線の電圧変化目標値に一定値を加えて電圧変化目標値とし、
前記組合せ最適化演算ステップでは、選定した調相設備で電圧過昇が発生する場合に、前記電圧変化目標値にさらに一定値を加えた後、調相設備を選定することを特徴とする請求項3または4に記載の電力系統安定化装置の制御方法。 - 電力系統の状態量を定周期で収集して現在の潮流状態を表す系統モデルを作成する系統モデル作成手段と、前記系統モデルを用いて想定事故に対する過渡安定度計算を実行する過渡安定度計算実行手段と、前記過渡安定度計算の結果から安定度判定および電圧過昇の発生有無判定を行う不安定現象判定手段と、前記不安定現象判定手段による判定結果に基づいて遮断制御する発電機と開放制御または投入制御する調相設備を選定する制御対象選定手段とが設けられた電力系統安定化装置において、
前記制御対象選定手段は、
前記不安定現象判定手段による安定度判定が不安定の場合に、安定化に必要な前記発電機を予め設定された発電機選定テーブルから過渡安定度計算を繰り返して選定する発電機選定手段と、
前記不安定現象判定手段による電圧過昇の発生有無判定が電圧過昇有りの場合は電圧過昇の解消に必要な前記調相設備を予め設定された調相設備選定テーブルから潮流計算を繰り返して選定する調相設備選定手段とから構成され、
前記発電機選定手段は、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて過渡安定度が安定と判定した場合に遮断制御する発電機の選定を完了するように構成され、
前記調相設備選定手段は、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて電圧過昇無しと判定した場合に開放制御または投入制御する調相設備の選定を完了するように構成され、
さらに、前記過渡安定度計算実行手段は、前記制御対象選定ステップにて想定事故に対し選定した前記発電機および前記調相設備の各制御時間を反映した過渡安定度計算を実行するように構成されたことを特徴とする電力系統安定化装置。 - 電力系統の状態量を定周期で収集して現在の潮流状態を表す系統モデルを作成する系統モデル作成手段と、前記系統モデルを用いて想定事故に対する過渡安定度計算を実行する過渡安定度計算実行手段と、前記過渡安定度計算の結果から安定度判定および電圧過昇の発生有無判定を行う不安定現象判定手段と、前記不安定現象判定手段による判定結果に基づいて遮断制御する発電機と開放制御または投入制御する調相設備を選定する制御対象選定手段とが設けられた電力系統安定化装置において、
前記制御対象選定手段は、
前記不安定現象判定手段による安定度判定が不安定の場合には、安定化に必要な前記発電機を予め設定された発電機選定テーブルから過渡安定度計算を繰り返して選定する発電機選定手段と、
前記不安定現象判定手段による電圧過昇の発生有無判定が電圧過昇有りの場合には、電圧過昇の解消に必要な前記調相設備を選定する調相設備選定手段とから構成され、
前記発電機選定手段は、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて過渡安定度が安定と判定した場合に遮断制御する発電機の選定を完了するように構成され、
前記調相設備選定手段は、前記過渡安定度計算の結果に基づいて前記不安定現象判定ステップにて電圧過昇無しと判定した場合に開放制御または投入制御する調相設備の選定を完了するように構成され、
前記調相設備選定手段には、
前記不安定現象判定手段による電圧過昇の発生有無判定が電圧過昇有りの場合に、調相設備を投入制御または開放制御した場合の母線の電圧変化を表す電圧感度を算出する電圧感度算出手段と、
前記過渡安定度計算結果から調相設備の制御時の前記母線の電圧変化目標値を算出する電圧変化目標値算出手段と、
前記電圧感度と前記電圧変化目標値と予め設定された調相設備の選定テーブルとから前記電圧変化目標値を達成しかつ選定する調相設備の総容量が最小となる調相設備を選定する組合せ最適化演算手段が設けられ、
さらに、前記過渡安定度計算実行手段は、前記制御対象選定ステップにて想定事故に対し選定した前記発電機および前記調相設備の各制御時間を反映した過渡安定度計算を実行するように構成されたことを特徴とする電力系統安定化装置。
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