JP2012169497A - シールド部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】編組線のシールド性能の低下を抑制する。
【解決手段】3本の電線が挿入される円筒状のシールド材を適切な長さに切断し、切断したシールド材の先端を拡開し、拡開した先端部分にプレス加工(圧縮加工)を施すことによりシールド材20dの素線21dをシールド材20dの表面(扁平な面)に沿って扁平に形成する。これにより、断面が円形の素線からなるシールド材を用いるものに比して編粗密度を高くすることができ、シールド性能の低下を抑制することができる。
【選択図】図9
【解決手段】3本の電線が挿入される円筒状のシールド材を適切な長さに切断し、切断したシールド材の先端を拡開し、拡開した先端部分にプレス加工(圧縮加工)を施すことによりシールド材20dの素線21dをシールド材20dの表面(扁平な面)に沿って扁平に形成する。これにより、断面が円形の素線からなるシールド材を用いるものに比して編粗密度を高くすることができ、シールド性能の低下を抑制することができる。
【選択図】図9
Description
本発明は、素線が織られた編組線として形成され、複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材およびその製造方法に関する。
従来、この種のシールド部材としては、金属糸編組チューブにより形成され、この編組チューブで複数本のコア線(電線)の外周を囲むことによりシールドするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシールド部材では、先端が長円形状のシールドシェルに取り付けられており、シールドシェルをシールドケースに固定することにより、シールドケースに導通させている。
上述したシールド部材では、先端をシールドシェルに取り付けるため、先端部で編組線を幅広に拡げる必要がある。編組線は、通常、同一径の素線が同一ピッチで編み込まれることから、拡げられた部分は編組密度が低くなり、十分なシールド効果を得ることができない場合が生じる。
本発明のシールド部材およびシールド部材の製造方法は、こうした問題を解決し、編組線のシールド性能の低下を抑制することを主目的とする。
本発明のシールド部材およびシールド部材の製造方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のシールド部材は、
素線が織られた編組線として形成され、複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材であって、
前記素線の断面が扁平で且つ該素線の扁平な面が前記編組線の表面に沿って扁平となるよう形成されてなる
ことを要旨とする。
素線が織られた編組線として形成され、複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材であって、
前記素線の断面が扁平で且つ該素線の扁平な面が前記編組線の表面に沿って扁平となるよう形成されてなる
ことを要旨とする。
この本発明のシールド部材では、素線が織られた編組線として形成し、素線の断面が扁平で且つ素線の扁平な面が編組線の表面に沿って扁平となるよう形成する。これにより、素線の断面が円形のものに比して、編組密度を高くすることができるから、シールド性能を良好なものとすることができる。
こうした本発明のシールド部材において、前記複数本の電線のコネクタ接続部分を覆う範囲の前記素線の断面が扁平となるよう形成されてなるものとすることができる。
本発明のシールド部材の製造方法は、
複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材の製造方法であって、
素線が織られて形成された編組線の一部を拡げる第1の工程と、
前記拡げられた部分の素線が前記編組線の表面に沿って扁平となるようプレスする第2の工程と、
を備えることを要旨とする。
複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材の製造方法であって、
素線が織られて形成された編組線の一部を拡げる第1の工程と、
前記拡げられた部分の素線が前記編組線の表面に沿って扁平となるようプレスする第2の工程と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のシールド部材の製造方法によれば、素線が織られて形成された編組線の一部を拡げ、拡げた部分の素線が編組線の表面に沿って扁平となるようプレスする。これにより、素線の断面が円形のものに比して、編組密度を高くすることができるから、シールド性能を良好なものとすることができる。
こうした本発明のシールド部材の製造方法において、前記第1の工程は、前記複数本の電線のコネクタ接続部分を覆う範囲で前記編組線を拡げる工程であり、前記第2の工程は、前記コネクタ接続部分を覆う範囲で前記素線が扁平となるようプレスする工程であるものとすることができる。
また、本発明のシールド部材の製造方法において、前記第1の工程により拡げられた部分の内面と外面とに型を押し当てた状態でプレスすることにより前記素線を扁平に形成する工程であるものとすることができる。こうすれば、素編の比較的容易に扁平にすることができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのシールド部材20を含むハーネス10の外観図であり、図2は、図1のハーネス10のA−A断面図であり、図3は、ハーネス10のB−B断面図である。
ハーネス10は、図1に示すように、3本の電線30U,30V,30Wと、3本の電線30U,30V,30Wの電極端子32U,32V,32Wを有するコネクタ部34(図1では一端側のみ図示したが、他端側も同様に形成する。)と、3本の電線30U,30V,30Wの外周を覆って一括してシールドする実施例のシールド部材20と、シールド部材20を被覆する樹脂製の外装部28とにより構成されている。このハーネス10は、実施例では、走行用のモータを備える電気自動車に搭載され、直流電力をインバータにより三相交流電力に変換してモータに供給することによりモータを駆動する駆動ユニットにおける、インバータとモータとを電気的に接続する高圧ハーネスとして用いられる。
実施例のシールド部材20は、所定径の素線を所定ピッチで編み込んでなる円筒状の編組線(図2参照)を用いて構成されており、端部が拡げられて幅広(扁平)に形成されている(図3参照)。図4は、シールド部材20の製造工程の一例を示す説明図である。以下、シールド部材20の製造工程を、図5に示すシールド部材20の製造の様子を参照しながら説明する。
シールド部材20の製造工程は、まず、編組線により形成された円筒状のシールド材20a(図5(a)参照)を必要な長さに切断してシールド材20b(図5(b)参照)を形成し(工程S100)、シールド材20bの一端側の先端を拡開する先端拡げ加工を行なってシールド材20c(図5(c)参照)を形成する(工程S110)。図6に、先端拡げ加工の様子を示す。先端拡げ加工は、図示するように、シールド材20bの円筒内部を円錐形状の治具40の円錐先端に押し込むことにより行なわれる。
先端拡げ加工が行なわれると、次に、シールド材20cの拡げられた先端部分にプレス加工を施すことによりシールド材20d(図5(d)参照)を形成する(工程S120)。図7に、プレス加工の様子を示す。プレス加工は、図7に示すように、シールド材20cの拡開の傾斜に沿った傾斜面を有する外型50a,50bを側方両側から押し当てると共にシールド材20cの先端部分の円筒内部に底面が長円形(或いは矩形)で且つ側面がシールド材20cの円筒内部の傾斜に沿った傾斜角度の円錐形(或いは角錐形)の内型52を押し当てた状態で上方から圧縮加工することにより行なわれる。図8は、図7のシールド材20cのC−C断面図であり、図9は、図7のシールド材20dのD−D断面図である。図示するように、編組線を構成する断面が円形の素線21cは圧縮加工により潰されて断面が扁平な長円形の素線21dとなり、素線21dの扁平な面は素線21dの集合体としてのシールド材20d(編組線)の扁平な面と略平行となる。したがって、プレス加工後のシールド材20dはプレス加工前のシールド材20cに比して網目の隙間は狭くなり、厚みは薄くなる。
図10は、プレス加工前後の素線断面を示す説明図である。なお、図10では、説明を容易とするため、プレス加工後の素線21dの断面を矩形として考えている。プレス加工前の素線21cの面積を「S1」とし、プレス加工後の素線21dの面積を「S2」とすると、式(1)が成り立つ。いま、素線21cをその幅(2r)が半分となるまでプレス加工して潰すことを考えると、プレス加工後の素線21dの幅はrとなるから、高さhは式(1)の関係を用いて式(2)により計算することができる。したがって、シールド材20dの編組密度はシールド材20cよりも約1.57(=h/2r)倍増加するため、編組線を拡開するものとしても、シールド性能は低下しない。
S1=S2 (1)
h=3.14×r (2)
h=3.14×r (2)
プレス加工が行なわれると、シールド材20dの端部をシールドシェル24の外周に被せ、その外周にカシメリングを取り付けてカシメにより接合するカシメ加工を行なってシールド材20eを形成する(工程S130)。
こうして一端側の先端拡げ加工とプレス加工とカシメ加工とが行なわれると、他端側も同様に、先端拡げ加工によるシールド材の拡開とプレス加工による素線の潰しとカシメ加工によるシールドシェル26の取り付けとを順次行なって(工程S140〜S160)、シールド部材20が完成する。
なお、ハーネス10は、図11に示すように、シールド部材20(図11(a)参照)の円筒内部に3本の電線30U,30V,30Wを挿入し(図11(b)参照)、シールド部材20の外周に絶縁樹脂層である外装部28を取り付けると共に端部にコネクタ部34を取り付けて(図11(c)参照)、完成する。なお、実施例では、シールドシェル24はモータを収容する図示しないモータケースに固定されてシールド部材20とモータケースとを電気的に接続し、シールドシェル26はインバータを収容する図示しないインバータケースに固定されてシールド部材20とインバータケースとを電気的に接続する。
以上説明した実施例のシールド部材20によれば、シールド材20bの先端を拡開し、拡開した先端部分にプレス加工(圧縮加工)を施すことによりシールド材20dの素線21dをシールド材20dの表面(扁平な面)に沿って扁平に形成するから、円形の素線21cからなるシールド部材20cを用いるものに比してシールド部材20の編粗密度を高くすることができ、シールド性能の低下を抑制することができる。しかも、先端が拡開されたシールド部材20cに対してプレス加工を施すだけでよいから、シールド部材20の生産性を低下させることがない。
実施例のシールド部材20では、シールド材20cに外型50a,50bを側方両側から押し当てると共にシールド材20cの先端部分の円筒内部に内型52を押し当てた状態で圧縮加工することにより扁平な素線21dを形成するものとしたが、扁平な素線21dを形成することができれば、如何なる手法によるものとしてもよい。
実施例では、図4の工程図に示すように、シールド材20bの一端側に対して先端拡げ加工とプレス加工とカシメ加工とを順に行なってから他端側に対しても同様の先端拡げ加工とプレス加工とカシメ加工とを順に行なうものとしたが、工程順序はこれに限られず、シールド材20bの一端側の先端拡げ加工,他端側の先端拡げ加工,シールド材20cの一端側のプレス加工,他端側のプレス加工,シールド材20dの一端側のカシメ加工,他端側のカシメ加工の順に行なうものとしてもよい。
実施例では、本発明のシールド部材20を、電気自動車に搭載されたモータ駆動ユニットにおけるインバータと走行用モータとを電気的に接続する高圧ハーネスに適用するものとしたが、これに限られるものではなく、複数本の電線を覆ってシールドするものであれば、如何なるものにも適用可能である。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、シールド部材の製造産業に利用可能である。
10 ハーネス、20 シールド部材、20a〜20e シールド材、21 素線、24,26 シールドシェル、28 外装部、30U,30V,30W 電線、32U,32V,32W 電極端子、34 コネクタ部、40 治具、50a,50b 外型、52 内型。
Claims (5)
- 素線が織られた編組線として形成され、複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材であって、
前記素線の断面が扁平で且つ該素線の扁平な面が前記編組線の表面に沿って扁平となるよう形成されてなる
ことを特徴とするシールド部材。 - 請求項1記載のシールド部材であって、
前記複数本の電線のコネクタ接続部分を覆う範囲の前記素線の断面が扁平となるよう形成されてなる
ことを特徴とするシールド部材。 - 複数本の電線を覆ってシールドするシールド部材の製造方法であって、
素線が織られて形成された編組線の一部を拡げる第1の工程と、
前記拡げられた部分の素線が前記編組線の表面に沿って扁平となるようプレスする第2の工程と、
を備えるシールド部材の製造方法。 - 請求項3記載のシールド部材の製造方法であって、
前記第1の工程は、前記複数本の電線のコネクタ接続部分を覆う範囲で前記編組線を拡げる工程であり、
前記第2の工程は、前記コネクタ接続部分を覆う範囲で前記素線が扁平となるようプレスする工程である
シールド部材の製造方法。 - 請求項3または4記載のシールド部材の製造方法であって、
前記第2の工程は、前記第1の工程により拡げられた部分の内面と外面とに型を押し当てた状態でプレスすることにより前記素線を扁平に形成する工程である
シールド部材の製造方法。
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JP2011030176A JP2012169497A (ja) | 2011-02-15 | 2011-02-15 | シールド部材およびその製造方法 |
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Cited By (1)
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US9742124B2 (en) | 2014-02-13 | 2017-08-22 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Terminal block |
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2011
- 2011-02-15 JP JP2011030176A patent/JP2012169497A/ja not_active Withdrawn
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