〔第1の実施の形態〕
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、第1の実施の形態に係る硬貨処理装置(硬貨入出金装置)を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における硬貨処理装置の構成を示す前面図であり、図2は、図1に示す硬貨処理装置の側面図である。また、図3は、図1等に示す硬貨処理装置の機能ブロック図である。また、図4は、図1等の硬貨処理装置に用いられる出金箱の構成の詳細を示す斜視図であり、図5および図6は、図1等の硬貨処理装置に用いられる回収カセットの構成の詳細を示す斜視図である。
本実施の形態の硬貨処理装置10は、略直方体形状の筐体12を備えており、この筐体12の上面12aには硬貨の投入口14が設けられている。また、筐体12内の上部においてホッパ20が設けられており、筐体12の上面12aにある投入口14に投入された硬貨はホッパ20に送られるようになっている。また、ホッパ20には搬送部22が接続されており、このホッパ20に収容された硬貨が1枚ずつ搬送部22に繰り出されるようになっている。また、搬送部22には識別部24が設けられており、ホッパ20から搬送部22に繰り出された硬貨は識別部24により金種、正損、真偽等の識別が行われるようになっている。
図1に示すように、搬送部22における識別部24よりも下流側の箇所には入金リジェクト硬貨選別部26が設けられている。また、この入金リジェクト硬貨選別部26の下方には入金リジェクト硬貨シュート(図示せず)を介して入金リジェクト部30が設けられている。そして、識別部24によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨や、識別部24により識別することができなかった硬貨は、入金リジェクト硬貨選別部26により搬送部22から入金リジェクト硬貨シュートに送られ、この入金リジェクト硬貨シュートから入金リジェクト部30に硬貨が自重による落下によって送られる。入金リジェクト部30に集積された硬貨は、筐体12の前面12bから操作者が取り出すことができるようになっている。
また、搬送部22における入金リジェクト硬貨選別部26よりも下流側の箇所には一括硬貨選別部27が設けられており、この一括硬貨選別部27よりも下流側の箇所には、5円硬貨選別部28a、1円硬貨選別部28b、50円硬貨選別部28c、100円硬貨選別部28d、10円硬貨選別部28e、500円硬貨選別部28fがそれぞれ上流側から順に設けられている。ここで、一括硬貨選別部27および各硬貨選別部28a〜28fの下方にはそれぞれ対応する入金硬貨シュート(図示せず)が設けられており、各入金硬貨シュートの下方には入金一時保留部32が設けられている。そして、識別部24により5円硬貨、1円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨と選別された硬貨は、それぞれ対応する各硬貨選別部28a〜28eにより搬送部22から各々の入金硬貨シュートに送られるようになっている。また、500円硬貨選別部28fは搬送部22の底部に形成された開口からなり、識別部24により識別された硬貨が500円硬貨である場合には、この硬貨は各硬貨選別部28a〜28eによりこれらの硬貨選別部28a〜28eに対応する各入金硬貨シュートに送られることなく、代わりに500円硬貨選別部28fの開口によりこの500円硬貨選別部28fに対応する入金硬貨シュートに送られることとなる。また、また、識別部24により正常な硬貨であると識別された硬貨について、この硬貨の金種に対応する硬貨収納繰出部34(後述)が満杯である場合には、識別部24により識別された硬貨は一括硬貨選別部27により搬送部22からこの一括硬貨選別部27に対応する入金硬貨シュートに送られるようになっている。
前述のように、一括硬貨選別部27および各硬貨選別部28a〜28fの下方には、それぞれの入金硬貨シュートを介して入金一時保留部32が設けられている。この入金一時保留部32は、搬送部22から一括硬貨選別部27および各硬貨選別部28a〜28fにより各入金硬貨シュートを介して送られた硬貨を一時的に保留するようになっている。
より詳細には、入金一時保留部32は、仕切枠体32aおよび底板32bから構成されている。仕切枠体32aはその上面および下面が開口しており、この仕切枠体32aは、混合硬貨領域、5円硬貨領域、1円硬貨領域、50円硬貨領域、100円硬貨領域、10円硬貨領域および500円硬貨領域からなる7つの領域に区分けされている。ここで、一括硬貨選別部27および各硬貨選別部28a〜28fから、それぞれ対応する入金硬貨シュートを介して、仕切枠体32aの各領域に硬貨が送られるようになっている。仕切枠体32aは、図1の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。また、仕切枠体32aの下方に設けられた底板32bは、この仕切枠体32aの下面の開口を塞ぐようになっており、この底板32bも図1の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。ここで、仕切枠体32aおよび底板32bがそれぞれ図1における実線位置にあるときに、一括硬貨選別部27および各硬貨選別部28a〜28fから送られた硬貨が仕切枠体32aの各領域にそれぞれ一時的に保留される。
図1および図2に示すように、筐体12の内部において入金一時保留部32の高さレベルよりも下方には硬貨収納繰出部34、一括硬貨収納部35および返却箱36がそれぞれ設けられている。硬貨収納繰出部34は、硬貨を金種別に収納するとともに必要枚数の硬貨を下方に繰り出すようになっている。より詳細には、硬貨収納繰出部34は、5円硬貨を収納する5円硬貨収納繰出部34aと、1円硬貨を収納する1円硬貨収納繰出部34bと、50円硬貨を収納する50円硬貨収納繰出部34cと、100円硬貨を収納する100円硬貨収納繰出部34dと、10円硬貨を収納する10円硬貨収納繰出部34eと、500円硬貨を収納する500円硬貨収納繰出部34fとから構成されており、各硬貨選別部28a〜28fにより入金一時保留部32の各領域に送られた硬貨が、対応する金種の各硬貨収納繰出部34a〜34fに送られるようになっている。また、一括硬貨収納部35は金種混合状態で硬貨を収納するようになっており、この一括硬貨収納部35には、一括硬貨選別部27により入金一時保留部32の混合硬貨領域に送られた硬貨が収納されるようになっている。
そして、仕切枠体32aおよび底板32bがそれぞれ図1における実線位置にあるときにこの仕切枠体32aの各領域に硬貨がそれぞれ一時的に保留された後、仕切枠体32aが図1における二点鎖線位置に移動すると、この仕切枠体32aの各領域内にある硬貨が一括硬貨収納部35または各硬貨収納繰出部34a〜34fに送られるようになる。一方、仕切枠体32aおよび底板32bがそれぞれ図1における実線位置にあるときにこの仕切枠体32aの各領域に硬貨がそれぞれ一時的に保留された後、底板32bが図1における二点鎖線位置に移動すると、仕切枠体32aの各領域内にある硬貨が返却箱36に送られ、この返却箱36に硬貨が金種混合状態で収納されるようになる。この返却箱36は、操作者が筐体12の前面12bから手前に引き出すことにより、筐体12から取り出すことができるようになっている。
図2に示すように、各硬貨収納繰出部34a〜34fの下方には例えばベルトコンベアからなる搬送部38が設けられており、各硬貨収納繰出部34a〜34fから下方に繰り出された硬貨は搬送部38上に載置されるようになっている。そして、搬送部38により硬貨は図2における左方に金種混合状態で搬送され、この搬送部38の左側下方に設けられた出金一時保留部42に送られるようになっている。また、図2に示すように、搬送部38の左端上方には例えば撮像カメラからなる判定部40が設けられている。この判定部40は、各硬貨収納繰出部34a〜34fから下方に繰り出され搬送部38により搬送される硬貨が適正な硬貨であるか否かの判定を行うようになっている。また、搬送部38における判定部40よりも上流側において、逆転ローラ39が当該搬送部38から上方にわずかに離間して設けられており、この搬送部38と逆転ローラ39との間で硬貨が1枚ずつに分離されるようになっている。このような逆転ローラ39が設けられていることにより、搬送部38により搬送される硬貨を1枚ずつに分離することができ、この1枚ずつに分離された硬貨を判定部40により判定することができるようになる。
前述のように、図2において搬送部38の左端下方には出金一時保留部42が設けられており、搬送部38により図2における左方に搬送され判定部40により判定が行われた硬貨は出金一時保留部42に金種混合状態で一時的に保留されるようになっている。より詳細には、出金一時保留部42は、枠体42aおよび底板42bから構成されている。枠体42aはその上面および下面が開口しており、この枠体42aの上面に形成された開口を介して搬送部38から枠体42a内の領域に硬貨が送られるようになっている。図1および図2に示す実施の形態の硬貨処理装置10においては、枠体42aはその位置が固定されており、移動しないようになっている。また、枠体42aの下方に設けられた底板42bは、この枠体42aの下面の開口を選択的に塞ぐようになっており、この底板42bは図2の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。ここで、底板42bが図2における実線位置にあるときに、枠体42a内の領域に硬貨が一時的に保留される。一方、底板42bが図2における実線位置から二点鎖線位置に移動したときには、枠体42a内の領域に一時的に保留された硬貨が下方に落下するようになっている。
図1および図2に示すように、筐体12の内部において出金一時保留部42の高さレベルよりも下方には装填部50が設けられている。この装填部50には、硬貨の出金を行うために用いられる出金箱54および硬貨の回収を行うために用いられる回収カセット56を選択的に着脱自在に装填することができるようになっている。出金箱54および回収カセット56の構成の詳細については後述する。そして、装填部50に装填された出金箱54または回収カセット56には、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が送られるようになっている。なお、後述するように、硬貨の出金処理が行われる際には、底板42bは図2における二点鎖線位置に位置するようになっており、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨はこの出金一時保留部42を通過して装填部50に装填された出金箱54に直接的に送られるようになっている。一方、硬貨の回収処理が行われる際には、底板42bは図2における実線位置に位置するようになっており、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨は枠体42a内の領域に一時的に保留され、その後、底板42bが図2における実線位置から二点鎖線位置に移動すると、枠体42a内の領域に一時的に保留された硬貨が下方に落下して装填部50に装填された回収カセット56に収納されるようになる。
次に、出金箱54の構成の詳細について図4を用いて説明する。図4は、出金箱54の構成の詳細を示す斜視図である。図4に示すように、出金箱54は略直方体形状のものからなり、その上面は開口している。また、出金箱54の前面には取っ手54aが設けられており、この取っ手54aに手を掛けることにより操作者が筐体12の前面12bから出金箱54を手前に引き出すことができるようになっている。
また、回収カセット56の構成の詳細について図5および図6を用いて説明する。図5は、回収カセット56の構成の詳細を示す斜視図であり、図6は、回収カセット56の内部の構成の詳細を示す部分切欠斜視図である。
図5に示すように、回収カセット56は略直方体形状のものからなり、その上面には開口部56cが形成されている。また、回収カセット56の前面には取っ手56aが設けられており、この取っ手56aに手を掛けることにより操作者が筐体12の前面12bから回収カセット56を手前に引き出すことができるようになっている。
また、図6に示すように、回収カセット56には、開口部56cを選択的に閉止するシャッター56dが設けられている。このシャッター56dは、回収カセット56が硬貨処理装置10の装填部50から取り外されているときには開口部56cを閉止するようになっており、一方、回収カセット56が硬貨処理装置10の装填部50に装填されたときには開口部56cを開くようになっている。より詳細には、シャッター56dは図6における実線位置(閉止位置)と二点鎖線位置(開口位置)との間で移動自在となっており、このシャッター56dが図6における実線位置にあるときに開口部56cが当該シャッター56dにより閉止され、シャッター56dが図6における二点鎖線位置にあるときに開口部56cが開かれるようになっている。なお、シャッター56dに何ら力が加えられていない場合には、図示しないバネ機構によりシャッター56dは図6における実線位置(閉止位置)に維持されるようになっている。
また、回収カセット56の内部においてシャッター56dにはリンク部材56eが設けられている。このリンク部材56eは軸56fを中心として回転可能となっている。また、回収カセット56の側面には挿入口56gが設けられている。また、硬貨処理装置10の装填部50には解除レバー51が取り付けられており、回収カセット56が装填部50に装填されると、この装填部50に設けられた解除レバー51が挿入口56gを介して回収カセット56内に進入し、リンク部材56eの下端を図6における手前側に押圧する。このことにより、リンク部材56eは軸56fを中心として回転し、このリンク部材56eの上端がシャッター56dを後方に(すなわち、図6における実線位置から二点鎖線位置に向かう方向に)押圧する。このことにより、バネ機構によりシャッター56dに加えられる力に抗してシャッター56dが図6における二点鎖線位置(開口位置)に移動し、開口部56cが開かれるようになる。このようにして、回収カセット56dが装填部50から取り外されているときにはこのシャッター56dおよびリンク部材56eは図6における実線位置に維持され、シャッター56dは開口部56cを閉止する。一方、回収カセット56dが装填部50に装填されると、解除レバー51によりリンク部材56eが図6における実線位置から二点鎖線位置に回転させられ、このリンク部材56eによりシャッター56dが図6に実線位置から二点鎖線位置に移動させられ、開口部56cが開かれるようになる。本発明においては、リンク部材56e等により、回収カセット56のシャッター56dの開閉機構が構成されている。
また、装填部50には、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかを検出する検出部52が設けられている。より詳細に説明すると、図4および図5に示すように、出金箱54および回収カセット56にはそれぞれ近接スイッチ54b、56bが設けられている。なお、図4および図5に示すように、出金箱54における近接スイッチ54bおよび回収カセット56における近接スイッチ56bは互いに異なる高さレベルの箇所にそれぞれ設置されている。そして、装填部50には、出金箱54および回収カセット56の各近接スイッチ54b、56bに対応するよう、これらの近接スイッチ54b、56bを検出する2つの検出センサが上下方向に並ぶよう設けられている。これらの2つのセンサにより検出部52が構成されている。ここで、出金箱54が装填部50に装填されたときには、検出部52における下方の検出センサが近接スイッチ54bを検出することにより、装填部50に出金箱54が装填されたことが検出される。一方、回収カセット56が装填部50に装填されたときには、検出部52における上方の検出センサが近接スイッチ56bを検出することにより、装填部50に回収カセット56が装填されたことが検出される。
また、装填部50には、この装填部50に出金箱54または回収カセット56が装填されたときに、装填された出金箱54や回収カセット56をロックするロック部(図示せず)が設けられている。ロック部により出金箱54や回収カセット56が装填部50にロックされると、これらの出金箱54や回収カセット56を装填部50から手前側に引き出すことができないようになる。
また、図3に示すように、硬貨処理装置10には、当該硬貨処理装置10の各構成要素の制御を行うための制御部60が設けられている。より具体的には、制御部60には、ホッパ20、搬送部22、識別部24、入金一時保留部32、硬貨収納繰出部34、搬送部38、判定部40、出金一時保留部42、装填部50および検出部52がそれぞれ接続されている。そして、識別部24による硬貨の識別結果や判定部40による硬貨の判定結果、ならびに検出部52による検出結果等が制御部60に送られるようになっている。一方、制御部60は、ホッパ20、搬送部22、入金一時保留部32、硬貨収納繰出部34、搬送部38、出金一時保留部42にそれぞれ制御信号を送り、これらの構成要素の制御を行うようになっている。
また、制御部60には入力部62、表示部64およびインターフェース66が接続されている。入力部62および表示部64は筐体12の上面12aや前面12bに設けられている。そして、操作者は入力部62により制御部60に対して様々な指令を与えることができるようになっている。具体的には、例えば、操作者は入力部62により制御部60に対して出金処理や回収処理等の指令を与えることができるようになっている。また、制御部60は表示部64に対して硬貨処理装置10における硬貨の収納状況や処理状況等を表示させるようになっている。また、表示部64には、検出部52により検出された、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかという情報が表示されるようになっている。また、インターフェース66により、制御部60は上位装置に対して信号の送受信を行うようになっている。
本実施の形態の硬貨処理装置10においては、制御部60は、装填部50に設けられた検出部52による検出結果に基づいて硬貨収納繰出部34の制御を行うようになっている。具体的には、制御部60は、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させ、また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させるよう制御を行うようになっている。このような制御部60による制御内容の詳細については後述する。
次に、上述のような構成からなる硬貨処理装置10の動作について以下に説明する。なお、以下に示す硬貨処理装置10の動作は、制御部60が硬貨処理装置10の各構成要素を制御することにより行われる。
まず、硬貨処理装置10における硬貨の入金処理の動作について説明する。
操作者によって筐体12の上面12aに設けられた投入口14に硬貨が投入されると、この硬貨はホッパ20に集積される。そして、ホッパ20から搬送部22に硬貨が1枚ずつ繰り出される。ホッパ20から搬送部22に繰り出された硬貨は識別部24によりその金種、正損、真偽等の識別が行われる。ここで、識別部24によりリジェクト硬貨であると識別された硬貨や、識別部24により識別することができなかった硬貨は、入金リジェクト硬貨選別部26により搬送部22から入金リジェクト部30に送られる。入金リジェクト部30に集積された硬貨は、操作者により筐体12の前面12bから取り出されることとなる。
一方、識別部24により正常な硬貨であると識別された硬貨は、当該硬貨の金種に応じて、対応する各硬貨選別部28a〜28fにより搬送部22からそれぞれの入金硬貨シュートに送られる。そして、各入金硬貨シュートから入金一時保留部32に硬貨が金種別に送られる。具体的には、入金一時保留部32の仕切枠体32aおよび底板32bが図1における実線位置にそれぞれ位置しており、各硬貨選別部28a〜28fから入金一時保留部32に送られた硬貨は仕切枠体32a内の各領域(具体的には、5円硬貨領域、1円硬貨領域、50円硬貨領域、100円硬貨領域、10円硬貨領域および500円硬貨領域)に金種別に一時的に保留される。また、識別部24により正常な硬貨であると識別された硬貨について、この硬貨の金種に対応する硬貨収納繰出部34が満杯である場合には、識別部24により識別された硬貨は一括硬貨選別部27により搬送部22からこの一括硬貨選別部27に対応する入金硬貨シュートに送られる。そして、この入金硬貨シュートから入金一時保留部32に硬貨が送られるが、この硬貨は仕切枠体32a内における混合硬貨領域に一時的に保留される。
ホッパ20に投入された硬貨が全て入金一時保留部32または入金リジェクト部30に送られると、表示部64にはこのことが表示される。そして、操作者が入力部62により入金硬貨の入金確定の指令を制御部60に与えた場合には、または上位装置からインターフェース66を介して制御部60に対して入金硬貨の入金確定の指令がなされた場合には、入金一時保留部32の仕切枠体32aが図1における実線位置から二点鎖線位置に移動する。このことにより、仕切枠体32aの下面が開いた状態となり、この仕切枠体32a内の各領域に一時的に保留された硬貨が自重により下方に落下して一括硬貨収納部35および各硬貨収納繰出部34a〜34fにそれぞれ送られるようになる。より詳細には、仕切枠体32a内における混合硬貨領域に一時的に保留されている硬貨は一括硬貨収納部35に送られ、この一括硬貨収納部35に金種混合状態で収納されるようになる。一方、仕切枠体32a内における各金種の領域に一時的に保留されている硬貨は、対応する金種の各硬貨収納繰出部34a〜34fに送られ、これらの硬貨収納繰出部34a〜34fに金種別に収納されるようになる。このようにして、硬貨処理装置10における硬貨の入金処理が終了する。
一方、ホッパ20に投入された硬貨が全て入金一時保留部32または入金リジェクト部30に送られた後、操作者が入力部62により入金硬貨の返却の指令を制御部60に与えた場合には、または上位装置からインターフェース66を介して制御部60に対して入金硬貨の返却の指令がなされた場合には、入金一時保留部32の底板32bが図1における実線位置から二点鎖線位置に移動する。このことにより、仕切枠体32aの下面が開いた状態となり、仕切枠体32aの各領域内にある硬貨が返却箱36に送られ、この返却箱36に硬貨が金種混合状態で収納されるようになる。そして、操作者により返却箱36が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、この返却箱36内の硬貨が操作者に返却されるようになる。
次に、硬貨処理装置10における硬貨の出金処理の動作について説明する。
硬貨の出金処理を行うにあたり、操作者はまず出金箱54を装填部50に装填する。この際に、装填部50に設けられた検出部52により、装填部50に出金箱54が装填されたことが検出され、この検出情報が制御部60に送られる。装填部50に出金箱54が装填されると、制御部60はこの情報を表示部64に表示させる。
そして、出金箱54が装填部50に装填された後、操作者が入力部62により硬貨の出金処理の指令を制御部60に与える。より詳細には、操作者により各処理モードのうち出金処理モードが入力部62によって選択されたり、出金処理の命令が入力部62によって制御部60に与えられたりすることによって、制御部60に出金処理の指令が与えられるようになる。そして、制御部60は、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて各硬貨収納繰出部34a〜34fから各金種の硬貨について必要枚数の硬貨を下方に繰り出させ、搬送部38に送る。ここで、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合や、装填部50に何も装填されていないことが検出部52により検出された場合には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから硬貨が繰り出されることはない。
搬送部38は各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨を図2における左方向に搬送し、出金一時保留部42にこの硬貨を送る。この際に、判定部40により、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨が適正な硬貨であるか否かの判定が行われる。
硬貨の出金処理が行われる際に、出金一時保留部42における底板42bは図2における二点鎖線位置に位置するようになっている。このことにより、搬送部38から出金一時保留部42の枠体42a内に送られた硬貨はこの枠体42aを通過してそのまま装填部50に装填された出金箱54に送られ、この出金箱54に硬貨が金種混合状態で収納されるようになる。このように、硬貨の出金処理が行われる際には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出され搬送部38により搬送される硬貨は出金一時保留部42に保留することなく装填部50に装填された出金箱54に直接的に送られるようになる。
出金されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出されて出金箱54に送られると、表示部64にこのことが表示される。そして、操作者により出金箱54が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、この出金箱54内の硬貨を操作者が取り出すことができるようになる。このようにして、硬貨の出金処理が終了する。
なお、上述のような出金処理が行われる間に、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、エラーとなり装填部50に設けられたロック部により出金箱54が装填部50から取り出せないようにロックされると共に、表示部64に出金エラーが発生した旨を表示し、管理者等による所定の復旧処理が行われる。上述のような動作が行われることにより、適正ではない硬貨が出金されることを防止することができる。
次に、硬貨処理装置10における硬貨の回収処理の動作について説明する。
硬貨の回収処理を行うにあたり、操作者はまず回収カセット56を装填部50に装填する。この際に、装填部50に設けられた検出部52により、装填部50に回収カセット56が装填されたことが検出され、この検出情報が制御部60に送られる。装填部50に回収カセット56が装填されると、制御部60はこの情報を表示部64に表示させる。
そして、回収カセット56が装填部50に装填された後、操作者が入力部62により硬貨の回収処理の指令を制御部60に与える。より詳細には、操作者により各処理モードのうち回収処理モードが入力部62によって選択されたり、回収処理の命令が入力部62によって制御部60に与えられたりすることによって、制御部60に回収処理の指令が与えられるようになる。そして、制御部60は、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて各硬貨収納繰出部34a〜34fから各金種の硬貨について必要枚数の硬貨を下方に繰り出させ、搬送部38に送る。ここで、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合や、装填部50に何も装填されていないことが検出部52により検出された場合には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから硬貨が繰り出されることはない。
搬送部38は各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨を図2における左方向に搬送し、出金一時保留部42にこの硬貨を送る。この際に、判定部40により、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨が適正な硬貨であるか否かの判定が行われる。
硬貨の回収処理が行われる際に、出金一時保留部42における底板42bは図2における実線位置に位置するようになっている。このことにより、枠体42aの底面の開口が底板42bにより塞がれ、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨は枠体42a内に一時的に保留されるようになる。
そして、回収されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出されて出金一時保留部42に送られると、表示部64にはこのことが表示される。そして、操作者が入力部62により回収確定の指令を制御部60に与えると、出金一時保留部42の底板42bが図2における実線位置から二点鎖線位置に移動し、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が回収カセット56に送られる。そして、回収カセット56に硬貨が送られると、操作者により回収カセット56が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、硬貨が回収カセット56ごと回収されるようになる。このようにして、硬貨の回収処理が終了する。
なお、上述のような回収処理が行われる間に、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、表示部64にはこのことが表示される。そして、回収されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て出金一時保留部42に送られても、この出金一時保留部42の底板42bは図2における実線位置から二点鎖線位置に移動しない。このことにより、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が回収カセット56に送られないようになる。上述のような動作が行われることにより、適正ではない硬貨が回収されることを防止することができる。
以上のように本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、装填部50には、硬貨の出金を行うために用いられる出金箱54および硬貨の回収を行うために用いられる回収カセット56を選択的に着脱自在に装填することができるようになっており、検出部52により、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかを検出するようになっており、制御部60は検出部52による検出結果に基づいて硬貨収納繰出部34の制御を行うようになっている。このように、一つの装填部50に出金箱54および回収カセット56の両方を選択的に着脱自在に装填可能とすることにより、省スペース化を図ることができる。また、この場合には出金一時保留部42を移動させる必要がなくなるので、硬貨処理装置の装置本体内で出金箱および回収カセットを並列に設置した場合と比較して、硬貨の処理時間を短くすることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させ、また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させるようになっている。このため、出金処理や回収処理を行う際に、出金箱54や回収カセット56に出金硬貨や回収硬貨を確実に収納させることができるようになる。すなわち、出金硬貨を行う際に装填部50に回収カセット56が誤って装填された場合でも、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されないようになるため、この回収カセット56に出金硬貨が収納されることはない。同様に、回収硬貨を行う際に装填部50に出金箱54が誤って装填された場合でも、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されないようになるため、この出金箱54に回収硬貨が収納されることはない。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、硬貨収納繰出部34から繰り出され判定部40により判定が行われた硬貨を一時的に保留する出金一時保留部42が設けられており、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨が適正な硬貨ではないと判定部40により判定されたときに、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を装填部50に装填された出金箱54または回収カセット56に送らないようになっている。このため、適正ではない硬貨が出金されたり回収されたりすることを防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合には、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨を、出金一時保留部42に保留することなく装填部50に装填された出金箱54に送り、また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合には、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨を出金一時保留部42に一旦保留させ、出金一時保留部42に保留された硬貨を装填部50に装填された回収カセット56に送るようになっている。
また、本実施の形態の硬貨処理装置10によれば、検出部52により検出された、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかという情報が表示部64に表示されるようになっている。このことにより、操作者は、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかを瞬時に判断することができるようになり、装填部50に出金箱54や回収カセット56が誤って装填された場合でも操作者はすぐにこのことに気付くことができるようになる。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、硬貨の出金処理が行われる際に、出金一時保留部42における底板42bは図2における二点鎖線位置ではなく実線位置に位置するようになっていてもよい。この場合には、枠体42aの底面の開口が底板42bにより塞がれ、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨は枠体42a内に一時的に保留されるようになる。
そして、出金されるべき金種毎の枚数の硬貨が各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出されて出金一時保留部42に送られると、表示部64にはこのことが表示される。そして、操作者が入力部62により出金確定の指令を制御部60に与えると、出金一時保留部42の底板42bが図2における実線位置から二点鎖線位置に移動し、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が出金箱54に送られる。そして、出金箱54に硬貨が送られると、操作者により出金箱54が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、この出金箱54内の硬貨を操作者が取り出すことができるようになる。
硬貨の出金処理が行われる際に出金一時保留部42に硬貨が一時的に保留される場合において、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、表示部64にはこのことが表示される。そして、出金されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て出金一時保留部42に送られても、この出金一時保留部42の底板42bは図2における実線位置から二点鎖線位置に移動しない。このことにより、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が出金箱54に送られないようになる。上述のような動作が行われることにより、適正ではない硬貨が出金されることを防止することができる。
また、他の変形例として、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていないことが検出部52により検出された場合には、装填部50に出金箱54を装填することを促すガイダンスを表示部64に表示させるようになっていてもよい。また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていないことが検出部52により検出された場合には、装填部50に回収カセット56を装填することを促すガイダンスを表示部64に表示させるようになっていてもよい。これらの場合には、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填されていないときには操作者はすぐにこのことに気付くことができるようになる。
また、硬貨の出金処理や回収処理において、操作者がこれらの出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与える前に、装填部50に出金箱54や回収カセット56を必ずしも装填する必要はない。すなわち、操作者が出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与えた後、装填部50に出金箱54や回収カセット56を装填するようにしてもよい。この場合には、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填された後に、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されるようになる。
更に他の変形例においては、硬貨の出金処理や回収処理において、操作者が出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与えた後、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填されていないときでも、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されるようになっていてもよい。この場合には、出金処理および回収処理の両方の場合において、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨は出金一時保留部42に一時的に保留されるようになる。そして、硬貨収納繰出部34から必要枚数の硬貨が繰り出され、この繰り出された硬貨が全て出金一時保留部42に一時的に保留された後、装填部50に出金箱54や回収カセット56を装填するようになる。この際に、装填部50に出金箱54や回収カセット56が適切に装填されていないことが検出部52により検出されたときには、出金一時保留部42から出金箱54や回収カセット56に硬貨が送られることはない。また、この場合には、装填部50に適切な出金箱54や回収カセット56を装填することを促すガイダンスが表示部64に表示されるようになる。一方、装填部50に出金箱54や回収カセット56が適切に装填されていることが検出部52により検出されたときには、出金一時保留部42から出金箱54や回収カセット56に硬貨が送られるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置においては、出金一時保留部42の設置を省略することができる。このような硬貨処理装置について図7および図8を用いて説明する。図7は、第1の実施の形態の変形例における硬貨処理装置10aの構成を示す前面図であり、図8は、図7に示す硬貨処理装置10aの側面図である。
図7および図8に示すように、変形例に係る硬貨処理装置10aは、出金一時保留部42の設置が省略されていること以外は図1および図2に示すような硬貨処理装置10と同様の構成となっている。
図7および図8に示すような硬貨処理装置10aでは、出金一時保留部42が設けられていないので、出金処理および回収処理の両方の場合において、硬貨収納繰出部34から繰り出され搬送部38により搬送される硬貨は、判定部40により判定された後、装填部50に装填された出金箱54や回収カセット56に直接的に送られるようになる。
また、図7および図8に示すような硬貨処理装置10aでは、図1および図2に示すような硬貨処理装置10と同様に、制御部60は、装填部50に設けられた検出部52による検出結果に基づいて硬貨収納繰出部34の制御を行うようになっている。具体的には、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させ、また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて硬貨収納繰出部34から硬貨を繰り出させるようになっている。このため、図7および図8に示すような硬貨処理装置10aにおいて、出金一時保留部42が設けられていなくとも、出金処理や回収処理を行う際に、出金箱54や回収カセット56に出金硬貨や回収硬貨をそれぞれ確実に収納させることができるようになる。
〔第2の実施の形態〕
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図9乃至図11は、第2の実施の形態に係る硬貨処理装置(硬貨入出金装置)を示す図である。このうち、図9は、本実施の形態における硬貨処理装置の構成を示す前面図であり、図10は、図9に示す硬貨処理装置の側面図である。また、図11は、図9等に示す硬貨処理装置の機能ブロック図である。なお、以下に示す第2の実施の形態の説明において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図9および図10に示すように、第2の実施の形態における硬貨処理装置11は、第1の実施の形態における硬貨処理装置10と比較して、出金リジェクト部58が装填部50と並列に並ぶよう設けられており、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が装填部50に装填された出金箱54や回収カセット56のみならず出金リジェクト部58にも送られ得るようになっている点が異なるのみであり、他の部分については第1の実施の形態における硬貨処理装置10とほぼ同様の構成となっている。以下、第2の実施の形態における硬貨処理装置11の構成および動作を説明するにあたり、第1の実施の形態における硬貨処理装置10と異なる点についてのみ記載する。
図9および図10に示すように、筐体12の内部において出金一時保留部42の高さレベルよりも下方には出金リジェクト部58が設けられている。この出金リジェクト部58は例えばリジェクト箱から構成されており、操作者はこのリジェクト箱を筐体12から取り出すことができるようになっている。なお、出金リジェクト部58は、筐体12から取り出し可能なリジェクト箱から構成されるものに限定されることはない。出金リジェクト部58の他の例として、筐体12内に固定され、筐体12から取り出すことができないものを用いてもよい。
第2の実施の形態における硬貨処理装置11でも、第1の実施の形態における硬貨処理装置10と同様に、出金一時保留部42は、枠体42aおよび底板42bから構成されている。しかし、第2の実施の形態における硬貨処理装置11では、枠体42aおよび底板42bの両方が、それぞれ互いに独立して、図10の矢印に示すように筐体12の内部において略水平方向に移動することができるようになっている。より詳細には、枠体42aには枠体駆動部が設けられており、この枠体駆動部は、枠体42aを、装填部50の真上の位置である実線位置と、出金リジェクト部58の真上の位置である二点鎖線位置との間で移動させることができるようになっている。同様に、底板42bには底板駆動部が設けられており、この底板駆動部は、底板42bを、実線位置にある枠体42aの下方にある位置(実線位置)と、二点鎖線位置にある枠体42aの下方にある位置(二点鎖線位置)との間で移動させることができるようになっている。ここで、枠体42aおよび底板42bがそれぞれ実線位置にあるときには、枠体42aの下面の開口が底板42bにより塞がれ、この枠体42a内に硬貨が一時的に保留されることなる。また、枠体42aおよび底板42bが同期して水平方向に移動し、枠体42aおよび底板42bがそれぞれ実線位置から二点鎖線位置に移動したときにも、枠体42aの下面の開口が底板42bにより塞がれたままとなり、この枠体42a内に硬貨が一時的に保留され続けることなる。その後、底板42bが二点鎖線位置から実線位置に移動すると、枠体42aの下面の開口が開かれることにより、枠体42a内に一時的に保留された硬貨が出金リジェクト部58に送られるようになる。これらの枠体駆動部および底板駆動部により、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を、装填部50に装填された出金箱54または回収カセット56、または出金リジェクト部58のうちいずれか一方に選択的に送るよう硬貨の振り分けを行う振分機構59(図11参照)が構成されている。
図11に示すように、第2の実施の形態の硬貨処理装置11における制御部60には振分機構59が接続されている。制御部60は、他の構成要素に加えてこの振分機構59にも制御信号を送り、当該振分機構59の制御を行うようになっている。
第2の実施の形態における硬貨処理装置11でも、第1の実施の形態における硬貨処理装置10と同様に、表示部64には、検出部52により検出された、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかという情報が表示されるようになっている。
次に、上述のような構成からなる硬貨処理装置11の動作について以下に説明する。以下に示す硬貨処理装置11の動作は、制御部60が硬貨処理装置11の各構成要素を制御することにより行われる。なお、硬貨の入金処理の動作については、第1の実施の形態の硬貨処理装置10における硬貨の入金処理の動作と同一であるためその説明を省略する。
まず、硬貨処理装置11における硬貨の出金処理の動作について説明する。
硬貨の出金処理を行うにあたり、操作者はまず出金箱54を装填部50に装填する。この際に、装填部50に設けられた検出部52により、装填部50に出金箱54が装填されたことが検出され、この検出情報が制御部60に送られる。装填部50に出金箱54が装填されると、制御部60はこの情報を表示部64に表示させる。
そして、出金箱54が装填部50に装填された後、操作者が入力部62により硬貨の出金処理の指令を制御部60に与える。制御部60は、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて各硬貨収納繰出部34a〜34fから各金種の硬貨について必要枚数の硬貨を下方に繰り出させ、搬送部38に送る。ここで、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合や、装填部50に何も装填されていないことが検出部52により検出された場合には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから硬貨が繰り出されることはない。
搬送部38は各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨を図10における左方向に搬送し、出金一時保留部42にこの硬貨を送る。この際に、判定部40により、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨が適正な硬貨であるか否かの判定が行われる。
硬貨の出金処理が行われる際に、出金一時保留部42における枠体42aおよび底板42bはそれぞれ図10における実線位置に位置するようになっている。このことにより、枠体42aの底面の開口が底板42bにより塞がれ、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨は枠体42a内に一時的に保留されるようになる。
そして、出金されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出されて出金一時保留部42に送られると、表示部64にはこのことが表示される。その後、操作者が入力部62により出金確定の指令を制御部60に与えると、出金一時保留部42の底板42bが図10における実線位置から二点鎖線位置に移動し、枠体42aの底面の開口が開くことにより、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が出金箱54に送られる。そして、出金箱54に硬貨が送られると、操作者により出金箱54が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、この出金箱54内の硬貨を操作者が取り出すことができるようになる。このようにして、硬貨の出金処理が終了する。
なお、上述のような出金処理が行われる間に、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨が全て出金一時保留部42に送られた後に、振分機構59によって出金一時保留部42の枠体42aおよび底板42bが同期して実線位置から二点鎖線位置に移動する。この際に、枠体42aの下面の開口が底板42bにより塞がれたままとなり、この枠体42a内に硬貨が一時的に保留され続けることなる。その後、底板42bが二点鎖線位置から実線位置に移動すると、枠体42aの下面の開口が開かれることにより、枠体42a内に一時的に保留された硬貨が出金リジェクト部58に送られる。このようにして、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨が適正な硬貨ではないと判定部40により判定されたときに、振分機構59は、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を出金リジェクト部58に送るようになる。上述のような動作が行われることにより、適正ではない硬貨が出金されることを防止することができる。
次に、硬貨処理装置11における硬貨の回収処理の動作について説明する。
硬貨の回収処理を行うにあたり、操作者はまず回収カセット56を装填部50に装填する。この際に、装填部50に設けられた検出部52により、装填部50に回収カセット56が装填されたことが検出され、この検出情報が制御部60に送られる。装填部50に回収カセット56が装填されると、制御部60はこの情報を表示部64に表示させる。
そして、回収カセット56が装填部50に装填された後、操作者が入力部62により硬貨の回収処理の指令を制御部60に与える。制御部60は、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて各硬貨収納繰出部34a〜34fから各金種の硬貨について必要枚数の硬貨を下方に繰り出させ、搬送部38に送る。ここで、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合や、装填部50に何も装填されていないことが検出部52により検出された場合には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから硬貨が繰り出されることはない。
搬送部38は各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨を図10における左方向に搬送し、出金一時保留部42にこの硬貨を送る。この際に、判定部40により、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨が適正な硬貨であるか否かの判定が行われる。
硬貨の回収処理が行われる際に、出金一時保留部42における枠体42aおよび底板42bはそれぞれ図10における実線位置に位置するようになっている。このことにより、枠体42aの底面の開口が底板42bにより塞がれ、搬送部38から出金一時保留部42に送られた硬貨は枠体42a内に一時的に保留されるようになる。
そして、回収されるべき金種毎の枚数の硬貨が全て各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出されて出金一時保留部42に送られると、表示部64にはこのことが表示される。その後、操作者が入力部62により回収確定の指令を制御部60に与えると、出金一時保留部42の底板42bが図10における実線位置から二点鎖線位置に移動し、枠体42aの底面の開口が開くことにより、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が回収カセット56に送られる。そして、回収カセット56に硬貨が送られると、操作者により回収カセット56が筐体12の前面12bから手前に引き出されることにより、硬貨が回収カセット56ごと回収されるようになる。このようにして、硬貨の回収処理が終了する。
なお、上述のような回収処理が行われる間に、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出された硬貨が全て出金一時保留部42に送られた後に、振分機構59によって出金一時保留部42の枠体42aおよび底板42bが同期して実線位置から二点鎖線位置に移動する。この際に、枠体42aの下面の開口が底板42bにより塞がれたままとなり、この枠体42a内に硬貨が一時的に保留され続けることなる。その後、底板42bが二点鎖線位置から実線位置に移動すると、枠体42aの下面の開口が開かれることにより、枠体42a内に一時的に保留された硬貨が出金リジェクト部58に送られる。このようにして、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨が適正な硬貨ではないと判定部40により判定されたときに、振分機構59は、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を出金リジェクト部58に送るようになる。上述のような動作が行われることにより、適正ではない硬貨が回収されることを防止することができる。
以上のように本実施の形態の硬貨処理装置11によれば、装填部50には、硬貨の出金を行うために用いられる出金箱54および硬貨の回収を行うために用いられる回収カセット56を選択的に着脱自在に装填することができるようになっており、出金リジェクト部58には、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨が送られ得るようになっており、振分機構59は、判定部40による判定結果に基づいて、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を、装填部50に装填された出金箱54または回収カセット56、または出金リジェクト部58のうちいずれか一方に選択的に送るようになっている。このように、一つの装填部50に出金箱54および回収カセット56の両方を選択的に着脱自在に装填可能とすることにより、省スペース化を図ることができる。また、この場合には出金一時保留部42は、装填部50の上方の位置および出金リジェクト部58の上方の位置の2つの位置の間を移動するだけでよいので、硬貨処理装置の装置本体内で出金箱、回収カセットおよび出金リジェクト部の3つの構成要素を並列に設置した場合と比較して、硬貨の処理時間を短くすることができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置11によれば、振分機構59は、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨が全て適正な硬貨であると判定部40により判定されたときに、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を装填部50に装填された出金箱54または回収カセット56に送り、一方、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨が適正な硬貨ではないと判定部40により判定されたときに、出金一時保留部42に一時的に保留された硬貨を出金リジェクト部58に送るようになっている。このことより、出金処理や回収処理を行う際に、適正ではない硬貨が出金されたり回収されたりすることを防止することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置11によれば、第1の実施の形態の硬貨処理装置10と同様に、検出部52により検出された、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかという情報が表示部64に表示されるようになっている。このことにより、操作者は、出金箱54および回収カセット56のうち何れが装填部50に装填されたかを瞬時に判断することができるようになり、装填部50に出金箱54や回収カセット56が誤って装填された場合でも操作者はすぐにこのことに気付くことができるようになる。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置11は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、硬貨の出金処理が行われる際に、枠体42aが図10における実線位置に位置するとともに底板42bが図10における二点鎖線位置に位置するようになっていてもよい。この場合には、搬送部38から出金一時保留部42の枠体42aに送られた硬貨はこの枠体42aを通過してそのまま装填部50に装填された出金箱54に送られ、この出金箱54に硬貨が金種混合状態で収納されるようになる。このように、硬貨の出金処理が行われる際には、各硬貨収納繰出部34a〜34fから繰り出され搬送部38により搬送される硬貨は出金一時保留部42に保留することなく装填部50に装填された出金箱54に直接的に送られるようになる。
なお、上述のような出金処理が行われる間に、搬送部38から出金一時保留部42に送られる硬貨に適正ではない硬貨があると判定部40により判定されると、エラーとなり装填部50に設けられたロック部により出金箱54が装填部50から取り出せないようにロックされると共に、表示部64に出金エラーが発生した旨を表示し、管理者等による所定の復旧処理が行われる。これらの動作が行われることにより、適正ではない硬貨が出金されることを防止することができる。
また、他の変形例として、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていないことが検出部52により検出された場合には、装填部50に出金箱54を装填することを促すガイダンスを表示部64に表示させるようになっていてもよい。また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていないことが検出部52により検出された場合には、装填部50に回収カセット56を装填することを促すガイダンスを表示部64に表示させるようになっていてもよい。これらの場合には、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填されていないときには操作者はすぐにこのことに気付くことができるようになる。
また、硬貨の出金処理や回収処理において、操作者がこれらの出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与える前に、装填部50に出金箱54や回収カセット56を必ずしも装填する必要はない。すなわち、操作者が出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与えた後、装填部50に出金箱54や回収カセット56を装填するようにしてもよい。この場合には、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填された後に、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されるようになる。
更に他の変形例においては、硬貨の出金処理や回収処理において、操作者が出金処理や回収処理の指令を入力部62により制御部60に与えた後、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填されていないときでも、硬貨収納繰出部34から硬貨が繰り出されるようになっていてもよい。この場合には、出金処理および回収処理の両方の場合において、硬貨収納繰出部34から繰り出された硬貨は出金一時保留部42に一時的に保留されるようになる。そして、硬貨収納繰出部34から必要枚数の硬貨が繰り出され、この繰り出された硬貨が全て出金一時保留部42に一時的に保留された後、装填部50に出金箱54や回収カセット56を装填するようになる。
この場合、振分機構59は、入力部62により出金処理の指令が与えられたときに、装填部50に出金箱54が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて出金一時保留部42から装填部50に装填された出金箱54に硬貨を送り、また、入力部62により回収処理の指令が与えられたときに、装填部50に回収カセット56が装填されていることが検出部52により検出された場合のみにおいて出金一時保留部42から装填部50に装填された回収カセット56に硬貨を送るようになっていてもよい。このことにより、出金処理や回収処理を行う際に、出金箱54や回収カセット56に出金硬貨や回収硬貨を確実に収納させることができるようになる。すなわち、出金硬貨を行う際に装填部50に回収カセット56が誤って装填された場合でも、出金一時保留部42から装填部50に装填された回収カセット56に硬貨が送られないようになるため、この回収カセット56に出金硬貨が収納されることはない。同様に、回収硬貨を行う際に装填部50に出金箱54が誤って装填された場合でも、出金一時保留部42から装填部50に装填された出金箱54に硬貨が送られないようになるため、この出金箱54に回収硬貨が収納されることはない。
また、この場合、出金一時保留部42に硬貨が一時的に保留された後、装填部50に出金箱54または回収カセット56が適切に装填されていないことが検出部52により検出された場合に、装填部50に適切な出金箱54や回収カセット56を装填することを促すガイダンスが表示部64に表示されるようになっていてもよい。このことにより、装填部50に出金箱54や回収カセット56が装填されていないときには操作者はすぐにこのことに気付くことができるようになる。
また、上述のような第1および第2の実施の形態において、装填部50は、大きさが異なる複数の種類の回収カセットが選択的に着脱自在に装填され得るようになっていてもよい。このような例について図12を用いて具体的に説明する。
図12に示すように、装填部50には、回収カセットとして、比較的小さなサイズの回収カセット56pおよび比較的大きなサイズの回収カセット56qをそれぞれ装填することができるようになっている。ここで、比較的小さなサイズの回収カセット56pが装填部50に装填されたときには、この回収カセット56pは筐体12内に完全に収容されるようになる。一方、比較的大きなサイズの回収カセット56qが装填部50に装填されたときには、この回収カセット56qの一部は筐体12から外部に突出するようになる。図12(b)に示すように、比較的大きなサイズの回収カセット56qが装填部50に装填された場合でも、図5および図6に示すように、回収カセットの上面に開口部が形成されるとともに、この開口部を選択的に閉止するシャッターが設けられる場合には、この開口部が筐体12の内部に位置することにより、装填部50に装填された回収カセット56qの一部が筐体12から外部に突出している場合でも、この回収カセット56q内にある硬貨が外部に取り出されてしまうことを防止することができる。
なお、図12では2つの異なるサイズの回収カセットをそれぞれ装填部50に装填することができることについて示されているが、3つ以上の異なるサイズの回収カセットが装填部50に選択的に着脱自在に装填され得るようになっていてもよい。