JP2012168079A - 電界プローブ及び電界測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電界プローブ及び電界測定装置に関し、電界の測定精度を向上させる。
【解決手段】中心導体2と、中心導体2の外周に設けられた誘電体3と、誘電体3の外周に設けられた外導体4とを備えた電界プローブ1において、外導体4の外周面を損失性材料部5で被覆することにより、比較用プローブ11におけるような、外導体4の表面への電気力線の回り込みを抑制する。電界プローブ1における、破線Eで囲まれた範囲内の電気力線の回り込みが抑制されるので、理論値との類似性が強く、正確な電界強度を検出する。
【選択図】図5

Description

本件は、電界を検出するための電界プローブ及び電界測定装置に関する。
従来、無線通信,光無線通信等の移動体通信システムの普及に伴い、家電機器やコンピュータ,航空機器,携帯電話機といった電子機器類の電磁両立性(EMC;Electro-Magnetic Compatibility)に関するEMC規格が世界的に整備されつつある。EMC規格とは、電子機器類から放射される電磁波の及ぼす影響に関する評価尺度を定めたものであり、国際規格及びこれに準拠する地域規格,各国規格として種々制定されている。
電子機器類の電磁両立性は、主に二つの側面から評価される。一つは外来の電磁波に対する耐性の評価であり、もう一つは電子機器から外部へ放射される電磁波ノイズ強度の評価である。前者は他の機器からの影響の受けやすさ(感受性)を評価対象とし、後者は他の機器への影響の与えやすさ(影響力)を評価対象とする。つまり、これらの両側面の性能を確保することで、複数の電子機器類が混在する電磁環境下での動作安定性を向上させることが意図されている。
一方、近年の電子機器類は、電子回路の高密度化,動作周波数の高周波化,動作電圧の低電圧化等により、外来の電磁波だけでなく内部で発生した電磁波に対する耐性が低下しやすい傾向にある。例えば、ワンセグ(地上デジタルテレビ放送のワンセグメント部分受信サービス)対応の携帯電話機において、無線モジュールから発生する電磁波ノイズによってテレビアンテナの感度が低下する場合があることが知られている。また、通話送受信用の電磁波が画像処理回路内に混入すると、表示画面にちらつきやノイズを発生させる場合もある。このように、電子機器で生じる電磁波が自らの性能に影響を与える現象は、自家中毒(又はイントラEMC)と呼ばれている。
自家中毒を予防するには、従来の電磁両立性への配慮だけでなく、電子機器で発生する電磁波の強度と発生源の位置とを正確に把握することが肝要である。とりわけ、電磁波発生源の近傍における電磁界の状態を正確に可視化する測定技術が望まれる。
近傍界の電界を把握するための手法としては、電界プローブ及び測定器(スペクトラムアナライザやオシロスコープ等)を用いた手法が知られている。すなわち、同軸型の探針を用いて電磁波の放射源に対して非接触の状態で電界の変動を検出し、これを測定器で分析するものである(例えば、特許文献1参照)。電界の強度分布を測定することで、電磁波の放射状態を観察することが容易となり、例えばプリント回路基板の回路設計や電子部品の選定にこれを役立てることができる。
特開2007−278820号公報
しかしながら、電界を検出する電界プローブ自身によって、その検出対象の電界が乱されてしまう場合がある。すなわち、同軸型の電界プローブは基準電位(グランド)を規定する外導体に内挿された中心導体で電界強度を検出する構造を持つため、導電性の外導体によって中心導体に作用する電界が変化してしまい、正確な電界強度を検出できない。事実、電界プローブを用いた電界強度の実測結果は、有限差分時間領域法(FDTD法)等のシミュレーションで得られる理論的な電界分布と必ずしも一致しない。電界プローブの侵襲性による測定精度の劣化現象は、従来の電磁界解析分野における懸案事項の一つであり、それゆえ、非侵襲性の高い電界プローブの開発が待望されている。
また、電子機器の近傍界における電界ベクトルの方向は、電磁波の放射源を中心とした放射方向とは限らない。例えば、高周波回路や部品の接続に用いられるマイクロストリップライン構造では、信号線路が設けられる基板の裏面側に接地面(グランドパターン)が設けられるため、信号線路から放射された電気力線の進行方向が基板表面に向かって湾曲し、その曲率は信号線路との位置関係によって大きく変化する。一方、電界プローブはその先端に作用する電界の傾き(方向)を識別することができないため、電界プローブによる測定結果から電磁波の放射源の位置を特定することが難しい。
なお、マイクロストリップライン構造の基板の板面に対して平行な方向にx軸,y軸を設定し、板面に垂直な方向にz軸を設定すると、放射源の位置はxy平面内で最もz軸方向の電界成分が大きい座標に相当するものと考えられる。換言すると、z軸方向の電界成分が正確に把握されれば、放射源の位置も特定される。
しかし、電界プローブの先端にはz軸方向の成分だけでなくx軸,y軸方向の電界成分が作用し、三軸の電界成分が反映された電界が検出されることになる。つまり、電界のx軸成分やy軸成分の存在によって正確なz軸成分の値が不明確となり、このことが放射源の位置の特定を困難にしているという実情がある。
本件の目的の一つは、このような課題に鑑み創案されたもので、電界の測定精度を向上させることである。
また、前記目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
開示の電界プローブは、中心導体と、前記中心導体の外周に設けられた誘電体と、前記誘電体の外周に設けられた外導体とを備える。また、前記外導体の外周面を被覆し電磁波を吸収する損失性材料部を備える。
開示の技術によれば、電界の検出精度を向上させることができる。
実施形態に係る電界測定装置の構成を例示する図である。 図1の電界測定装置の電界プローブを例示する図であり、(a)は縦断面図〔(b)のB−B断面図〕、(b)は横断面図〔(a)のA−A断面図〕である。 図1の電界プローブによる電界測定の数値解析モデルを説明するための模式的な斜視図である。 数値解析による電界分布の演算結果をグラフ化したものである。 マイクロストリップラインの近傍界での電界分布を示す模式図であり、(a)は比較用プローブを用いた場合の電界分布、(b)は図1の電界プローブを用いた場合の電界分布を示す。 図1の電界測定装置による電界の測定結果を示すグラフである。 (a),(b),(c),(d)のそれぞれは、変形例としての電界測定装置の電界プローブを例示する縦断面図である。
以下、図面を参照して電界プローブ及び電界測定装置に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(実施形態及び各変形例を組み合わせる等)して実施することができる。
[1.装置構成]
図1は、実施形態に係る電界測定装置10の構成を例示する斜視図である。この電界測定装置10は、例えば電子部品を実装したプリント回路基板12や、電子回路を内蔵した家電機器,コンピュータ,無線送受信装置,携帯電話機といった電子機器類の近傍における電界を測定するものであり、スペクトラムアナライザ6(計測装置)及び電界プローブ1を備える。
電子機器類から放射される電磁波による電界及び磁界の特性は、放射源からの距離によって大きく変動する。およそ電磁波の一波長よりも距離が小さい範囲は近傍界と呼ばれ、これよりも距離が大きい範囲は遠方界と呼ばれる。本電界測定装置10は、電子機器類の近傍界における電界強度の測定に用いて好適であるが、遠方界での測定に適用することも可能である。
スペクトラムアナライザ6は、入力される高周波信号の周波数スペクトルを測定し表示する装置である。ここでは、電界プローブ1から入力される電圧信号がスペクトラムアナライザ6の測定対象となる。スペクトラムアナライザ6は、電界プローブ1から入力される信号の周波数スペクトル毎の強度をディスプレイに表示する。
電界プローブ1は、探査対象と非接触状態で電界を検出する同軸型のプローブであり、電界プローブ1の先端部近傍に作用した電界強度の変化に対応する信号を出力するものである。この電界プローブ1は、図2(a),(b)に示すように、中心導体2,誘電体3,外導体4及び損失性材料部5を有する。
中心導体2は例えば銅線からなる芯線であり、電界プローブ1の中心に配置される。中心導体2は導体損失の低い物質で形成することが好ましく、また表皮効果を考慮して中心導体2の表面に銀めっき加工等を施してもよい。
外導体4は、円筒状の導体として形成され、中心導体2と同軸に配置された部位である。外導体4は、その中心軸が中心導体2の中心軸Cに一致するように配置され、内部に中心導体2を挿通した状態で誘電体3を介して中心導体2と一体に固定される。外導体4は、中心導体2に入力される電界の基準電位(グランド)を規定する機能を持つ。なお、中心導体2と同様に、導体損失の低い物質で外導体4を形成することが好ましい。
なお、電界プローブ1をセミリジッド型の同軸プローブとする場合には、外導体4を銅管で形成してもよい。また、電界プローブ1をフレキシブル型の同軸プローブとする場合には、外導体4を網組み銅線等で形成してもよい。
誘電体3は、中心導体2及び外導体4間に充填された絶縁物からなる層である。誘電体3の比誘電率は、電界プローブ1に要求される特性インピーダンスに応じて設定される。なお、特性インピーダンスは、外導体4の内径と中心導体2の外径との比、及び、誘電体3の比誘電率によって定められる。
この誘電体3は、誘電体損失の低い物質で形成することが好ましく、例えば化学的活性の低いフッ素樹脂やポリエチレン等を用いることが考えられる。また、絶縁体として空気を利用する場合には、誘電体3を省略してもよい。この場合、中心導体2を外導体4に対して任意の絶縁物を介して固定すれば、中心導体2と外導体4との間の空間が誘電層として機能する。
損失性材料部5は、外導体4の外周に装荷された円筒状の部材である。損失性材料部5の内径は外導体4の外径に一致する寸法に形成され、損失性材料部5は外導体4の外周面4bに対して接触した状態で固定される。なお、損失性材料部5は、少なくとも外導体4の先端4a側の端部における外周面4bを被覆するように設けることが好ましい。
外導体4と損失性材料部5との接触状態は、密嵌状態としてもよいし、着脱自在に摺接させてもよい。この損失性材料部5は、電磁波を吸収して熱エネルギーに変換する機能を持った損失性材料を含む層とする。損失性材料は、エネルギーの変換メカニズムの相違により、おもに磁性損失材料と誘電性損失材料との二種類に分類される。
磁性損失材料とは、磁性材料の磁性損失能により電磁波のエネルギーを熱に変換する材料である。例えば、酸化鉄Fe2O3に二価酸化金属NiO,ZnO等を焼結したフェライト系電波吸収体や、ケイ素鋼Fe-Si,パーマロイFe-Ni,ステンレスFe-Cr-Si等の粉末を焼結した合金系電波吸収体、希土類磁石化合物等を用いることが考えられる。また、これらの金属の粉末をゴムや樹脂中に混入させた複合材料を用いてもよい。なお、使用する材料の比透磁率の複素成分が大きいほど電磁波のエネルギー損失量が増大し、すなわち電磁波の吸収量が増大する。
一方、誘電性損失材料とは、誘電材料の誘電損失能により電磁波のエネルギーを熱に変換する材料である。例えば、チタン酸バリウムBaTi3及び炭素粒子を樹脂中に混合した電波吸収体や、生体等価ファントム用の材料、高分子材料等を用いることが考えられる。なお、損失性材料部5の誘電性損失材料としては、誘電体3に適用される低損失の材料とは逆の特性を持つもの、すなわち誘電損失の大きいものが好ましい。使用する材料の比誘電率の複素成分が大きいほど、電磁波のエネルギー損失量が増大し、電磁波の吸収量が増大する。
電界プローブ1の先端形状に着目すると、図2(a)に示すように、中心導体2の先端2a,誘電体3の先端3a,外導体4の先端4a及び損失性材料部5の先端5aは全て同一平面上に位置し、これにより電界プローブ1の先端はフラットに形成されている。また、電界プローブ1の断面形状に着目すると、図2(b)に示すように、中心導体2,誘電体3,外導体4及び損失性材料部5は全て同心円状に配置されている。
[2.数値解析]
[2−1.理論値]
上記の電界プローブ1による電界測定の数値解析モデルとして用意されたマイクロストリップライン9(電磁波伝送路)を図3に例示する。このマイクロストリップライン9は、誘電体からなる基板8の上面に直線状の導体線路7を設けたものである。また、基板8の下面は全面グランドである。この数値解析に際し、マイクロストリップライン9の基板幅を200[mm],厚さを1[mm] ,導体線路7の幅を2[mm]に設定し、基板端部で導体線路7を終端させた。なお、基板の比誘電率は4とした。
マイクロストリップライン9に1[GHz]の高周波電圧を印加した場合における電界分布の数値解析結果を図4中に示す。ここでは、導体線路7の中心にy軸を設定し、これと直交する水平方向にx軸を設定するとともに、鉛直方向にz軸を設定した。また、板面から鉛直上方に1[mm]の高さの水平面内において、導体線路7の直上方(x=0)を解析位置の始点とし、走査方向をx軸方向とした。
図4に太実線で示すように、数値解析による電界強度の理論値は、距離x=0で最大値をとり、距離xが増大するに連れて減少する。また、x=x1で極小値,x=x2で極大値をとり、距離x2よりも遠方では大きく減衰する。
[2−2.比較用プローブ]
次に、上記の数値解析モデルに対し、従来の同軸型プローブに相当する比較用プローブ11を適用した場合に検出される電界強度の推定値を数値解析し、比較用プローブ11の侵襲性を確認した。この解析で想定した比較用プローブ11は、前述の電界プローブ1から損失性材料部5を取り除いたものに相当する。すなわち、比較用プローブ11は、上述の中心導体2,誘電体3及び外導体4を有するプローブとした。また、比較用プローブ11の諸元は、外径1[mm],長さ48[mm],中心導体の直径を0.27[mm],誘電体の比誘電率を2.2とした。比較用プローブ11による走査方向は、図3に示すように、導体線路7の直上方(x=0)を始点とするx軸方向とした。なお、比較用プローブ11の配置方向は、z軸方向(板面に垂直)とした。
図4に破線で示すように、比較用プローブ11による電界強度の検出推定値は、理論値から大きく乖離していることが読みとれる。特に、破線グラフの極小値となる距離x3が理論値の場合の距離x1と大きく相違しており、かつその位置での電界強度が過小評価されていることがわかる。また、その後の距離xの増大に対して電界強度の減衰作用が極めて小さく、あたかも電界が広範囲に渡って拡散しているかのような結果となる。
[2−3.電界プローブ]
続いて、上記の数値解析モデルに対し、上述の電界プローブ1を適用した場合に検出される電界強度の推定値を数値解析し、電界プローブ1の非侵襲性を確認した。ここで想定した電界プローブ1は、上記の比較用プローブ11の先端に損失性材料部5を装荷したものである。ここでは損失性材料部5の外径を11[mm]とし、長さを25[mm]とした。また、損失性材料部5の化学的組成は磁性損失材料とし、比透磁率を次式で与えた。また、比誘電率は15とし、導電率を0.002[S/m]とした。なお、数式中の各パラメータは、μS=500,t0=8[ns]とした。
Figure 2012168079
図4中に細実線で示すように、電界プローブ1による電界強度の検出推定値は、理論値との類似性が強く、正確な電界強度が検出されることが読みとれる。特に、理論値の極小値となる距離x1及びそのときの強度がほぼ一致しているだけでなく、距離x2よりも遠方での電界の減衰特性も酷似している。
[2−4.電界ベクトル分析]
電界測定時におけるマイクロストリップライン9の近傍界におけるxz平面内での電界分布の解析結果を図5に示す。図5(a)は、導体線路7の直上部に比較用プローブ11が位置する状態での電界分布であり、図5(b)は、電界プローブ1の場合のものである。なお、図5(a),(b)中の矢印の向きが電界の向きを表し、矢印の大きさが電界強度を表す。
比較用プローブ11を用いた場合には、図5(a)中に符号Dで示すように、導体線路7を始点とした電気力線が、破線で囲まれた範囲において外導体3の表面に対して回り込むように発生し、外導体3近傍のEx成分(電界ベクトルのうちx軸方向の成分)が中心導体2に作用する。この結果、Ez成分の変動によって中心導体2に発生する検出信号に対し、Ex成分に由来する乱れが混入する。つまり、比較用プローブ11は電界のEz成分だけでなく、Ex成分も検出してしまう。
一方、損失性材料部5が装荷された電界プローブ1を用いた場合には、図5(b)に符号Eで示すように、損失性材料部5の存在により外導体3の表面への電気力線の回り込みが抑制され、破線で囲まれた範囲内の電界成分が減少する。また、損失性材料部5の内部では、電界のエネルギーが磁性損失能により熱エネルギーに変換されるため、損失性材料部5の内部に進入した電界強度が減衰し、電界の変動が抑制される。
これにより、中心導体2に作用する電界はEz成分が優位となり、電界プローブ1は中心導体2の先端2aに作用するEz成分の変化に対応する電圧信号を生成する。このように、マイクロストリップライン9の近傍界の電界測定において、電界プローブ1はEx成分の影響を受けにくく非侵襲的であることがわかる。
[3.実測]
上記の数値解析モデルに基づき、上述の電界測定装置10を用いた電界の実測結果を図6に示す。実測に際し、図3のモデルと同様のマイクロストリップライン構造の高周波回路を作成し、導体線路7に高周波信号発生器を接続して電界を形成した。また、実測用の電界プローブ1の損失性材料部5には、解析時のものと同等寸法のゴムフェライトを使用した。実測用の比較用プローブ11には、実測用の電界プローブ1からゴムフェライトを取り除いたものを使用した。なお、図6中の太実線は、図4中の太実線と同一のものを示し、細実線が実測用の電界プローブ1で実測された電界強度を示し、破線が比較用プローブ11で実測された電界強度を示す。
図6に示すように、電界プローブ1及び比較用プローブ11の実測結果は、図4に示すコンピュータ解析の結果と同様の傾向を示している。例えば、破線で示す比較用プローブ11の実測値が理論値から大きく乖離しているのに対し、細実線で示す電界プローブ1の実測値は理論値にほぼ一致し、電界強度の増減の傾向もほぼ同一である。
図4及び図6に示すグラフが類似していることから、上記の数値解析モデルに基づくコンピュータ解析が妥当であることが確認される。さらに、図6中に細実線で示す実測結果を踏まえると、ゴムフェライトを外導体4の外周に装荷することによって中心導体2に作用する電界のEx成分が減少し、Ez成分の検出精度が向上していることがわかる。
[4.効果]
開示の電界プローブ1によれば、外導体4の外周面4bを損失性材料部5で被覆することにより、外導体4の外表面4bへの電気力線の回り込みを抑制することができ、測定対象の電界に対する電界プローブ1の非侵襲性を向上させることができる。
また、損失性材料部5に含まれる損失性材料により、外導体4の外周面4bよりも外側での電界変動を抑制することができる。これにより、中心導体2に作用する電界のEx成分を減衰させることができ、電界プローブ1による電界の測定精度を向上させることができる。
特に、電気力線の密度が高い外導体4の先端4a側が損失性材料部5で覆われるため、電界プローブ1を測定対象物に近接させた場合であっても電界を乱しにくくすることができ、非侵襲性を確保することができる。さらに、このような非侵襲的な電界プローブ1を用いた電界検知により、スペクトラムアナライザ6で測定される電界分布の精度をも向上させることができる。
また、損失性材料部5に磁性損失材料を用いた場合には、その磁性損失能を利用して確実に電磁波のエネルギーを熱に変換することができ、外導体に作用する電界のEx成分を減衰させることができる。なお、比透磁率の複素成分を増大させることでEx成分による中心導体2への影響を減少させることができ、電界の検出精度をさらに向上させることができる。
一方、損失性材料部5に誘電性損失材料を用いた場合であっても、その誘電損失能を利用した電磁エネルギーの変換が可能であり、外導体に作用する電界のEx成分を減衰させることができる。なお、磁性損失材料の場合と同様に、比誘電率の複素成分を増大させることでEx成分による中心導体2への影響を低めることができ、電界の検出精度をさらに向上させることができる。
[5.変形例]
開示の実施形態の一例に関わらず、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成及び各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。以下の変形例において、上述の実施形態と同一の要素については同一の符号を用いて説明を省略する。
上述の実施形態では、円筒状に形成された損失性材料部5を例示したが、損失性材料部5の形状はこれに限定されない。例えば、図7(a)に示すように、外導体4の先端4a側ほど外径が縮径した形状としてもよい。損失性材料部5の先端を細く形成することにより、狭隘な箇所の電界を検出しやすくすることができる。
また、図7(b)に示すように、外導体4の先端4a側ほど外径が拡径した形状としてもよい。すなわち、検出対象に近い(電界から受ける影響が大きい)損失性材料部5の先端の厚みを大きくすることにより、中心導体2に作用しうる電界のEx成分への減衰効果を向上させることができ、電界プローブ1の非侵襲性をさらに向上させることができる。
あるいは、図7(c)に示すように、損失性材料部5を電界プローブ1の延在方向に分割した二段構造としてもよい。この場合、先端側に位置する一方を第一損失性材料部51,他方を第二損失性材料部52とおくと、第一損失性材料部51側を第二損失性材料部52よりも電磁波の吸収率が高い材料で形成する。また、損失性材料部5を三段以上の複数段に分割した場合には、外導体4の先端4a側ほど電磁波の吸収率が高い材料で損失性材料部5を形成することが考えられる。
これらのような構成により、図7(b)に示すものと同様に、電界プローブ1の先端側における不要な電界干渉を抑制することが可能となり、非侵襲性をさらに向上させることができる。特に、電界プローブ1の先端側ほど電界強度が大きく干渉しやすいため、侵襲性の低減効果を高めることができる。
なお、図7(d)に示すように、損失性材料部5の縮径部53を他の部位よりも電磁波の吸収率が高い材料で形成してもよい。これにより、電界プローブ1の利便性を向上させつつ非侵襲性を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、図2(a)に示すように、電界プローブ1の先端がフラットに形成されたものを例示したが、電界プローブ1の先端形状はこれに限定されない。例えば、中心導体2を誘電体3や外導体4の端面よりも下方に突出させてもよい。これにより、電界強度の検出感度を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、図2(b)に示すように、中心導体2,誘電体3,外導体4及び損失性材料部5が同心円状に配置されたものを例示したが、これらの各要素の断面形状や外形状はこれに限定されない。例えば、各要素の断面形状を多角形状にしてもよいし、あるいは電波吸収性を考慮して、損失性材料部5の外表面に凹凸を設けてもよい。
なお、上述の実施形態では、電界プローブ1をスペクトラムアナライザ6に直接的に接続した電界測定装置10を例示したが、具体的な電界の測定手法はこれに限定されない。例えば、増幅器や安定器をこれらの間に介装させてもよいし、スペクトラムアナライザ6に加えて(あるいは代えて)他の計測装置やコンピュータを接続してもよい。
1 電界プローブ
2 中心導体
3 誘電体
4 外導体
5 損失性材料部
6 スペクトラムアナライザ(計測装置)
10 電界測定装置

Claims (6)

  1. 中心導体と、
    前記中心導体の外周に設けられた誘電体と、
    前記誘電体の外周に設けられた外導体と、
    前記外導体の外周面を被覆し電磁波を吸収する損失性材料部と
    を備えたことを特徴とする、電界プローブ。
  2. 前記損失性材料部が、磁性損失材料を含有する
    ことを特徴とする、請求項1記載の電界プローブ。
  3. 前記損失性材料部が、誘電性損失材料を含有する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の電界プローブ。
  4. 前記損失性材料部が、前記外導体の端部側ほど細い形状である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の電界プローブ。
  5. 前記損失性材料部が、前記外導体の端部側ほど前記電磁波の吸収率が高く設定されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の電界プローブ。
  6. 電界強度に応じた信号を出力する電界プローブと、前記電界プローブから出力された信号の強度を表示する計測装置とを備えた電界測定装置において、
    前記電界プローブが、
    軸状の中心導体と、
    前記中心導体の外周に設けられた誘電体と、
    前記誘電体の外周に設けられた外導体と、
    前記外導体の端部における外周面を被覆し電磁波を吸収する損失性材料部と、を有する
    ことを特徴とする、電界測定装置。
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