JP2012167931A - 電子時計及び電子時計の受信制御方法 - Google Patents

電子時計及び電子時計の受信制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】閏秒情報の受信時刻を簡単に小負荷で取得可能な電子時計を提供する。
【解決手段】時、分、秒、及び曜日で表した閏秒情報の受信時刻を、複数の時に対して共通な分と秒の組み合わせで複数の分秒パターンに分類し、分秒パターンの番号を曜日と時に関連付けて第1テーブルとする。番号ごとの分と秒の組み合わせを第2テーブルとする。第1テーブルから内部時刻の曜日と時に対応する番号を検索する(S1)。取得した番号に対応する分秒パターンから、内部時刻よりも後の分と秒を検索する(S2)。該当時刻があった場合には(S3)、GPS受信回路が受信に要する時間を減算する(S7)。また、UTCオフセット分を減算する(S8)。求めた閏秒受信タイミングと内部時刻が一致したかどうかを判断する(S9)。一致した場合には、閏秒情報の受信を行う(S10、S11)。
【選択図】図9

Description

本発明は、例えばGPS衛星等の位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して現在の日付や時刻等を求める電子時計、及び、電子時計の受信制御方法に関する。
特許文献1には、航法データの中からサブフレームとページの識別情報等を取得し、このサブフレームとページの識別情報等から、閏秒補正データの受信タイミングを算出する閏秒補正方法が開示されている。この閏秒補正方法では、算出した閏秒の受信タイミングを記憶部に記憶するようになっている。
特開2008-145287号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、閏秒に関する情報が記載されたページ番号及びサブフレーム、並びに、GPS計測で取得したページ番号及びサブフレームを数値化し、所定の式を用いて演算を行うことにより閏秒補正データの受信タイミングを算出するので、演算能力が低いICを用いている場合には負荷が重くなってしまう。また、一般的なGPS受信モジュールからはNMEAのデータ形式で出力が行なわれるが、この出力には、サブフレームとページの識別情報は入っていない。
さらに、特許文献1では、算出した閏秒の受信タイミングを記憶部に記憶するようになっているが、全ての受信タイミングを記憶してしまうと、データ量が大きくなり、タイミング検索に時間がかかる。特許文献1では、データ量を軽減するために、月末の23時近辺のデータに限定して記憶し、タイミングが一致しない場合には所定の演算によりタイミング時刻を判定するようになっている。従って、演算能力が低いICを用いている場合には負荷が重くなってしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で取得することができる電子時計及び電子時計の受信制御方法を提供することを解決課題としている。
以上の課題を解決するため、本発明に係るアンテナ内蔵式電子時計は、時刻情報及び閏秒情報を含む衛星信号を送信する衛星から、前記衛星信号を受信することが可能な受信部と、前記衛星信号のうち前記時刻情報及び閏秒情報を受信するように前記受信部を制御し、前記時刻情報及び閏秒情報に基づいて内部時刻を修正する制御部と、前記閏秒情報の受信タイミングを、受信時、受信分、受信秒、及び受信曜日で表した閏秒情報受信タイミングデータに基づき、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、前記複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて記憶する第1のテーブルと、前記識別情報ごとに、受信分と受信秒の組み合わせを記憶する第2のテーブルとを備え、前記制御部は、前記第1のテーブル及び第2のテーブルから、前記内部時刻後の閏秒情報受信タイミングデータを取得し、取得した閏秒情報受信タイミングデータに基づいて前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御すること
を特徴とする。
この電子時計では、閏秒情報の受信タイミングを、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、この複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて第1のテーブルとして記憶すると共に、識別情報ごとに受信分と受信秒の組み合わせを第2のテーブルとして記憶したので、テーブルの容量を著しく小さくすることができる。また、少ないデータ量のテーブルを用いて検索を行うので、閏秒情報の受信タイミングの検索を短時間で行うことが可能となり、衛星信号の受信時間を短縮化し、電子時計の消費電力を低減することが可能である。
以上より、本発明によれば、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で取得することができる電子時計を提供することができる。
上述した電子時計において、前記閏秒受信タイミングデータを、前記閏秒情報の送信開始時刻から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた、閏秒情報の受信開始時刻を示すデータとする。この場合には、前記制御部は、前記時刻情報と世界協定時との差分が、前記第1のテーブル及び第2のテーブルの作成時から変動しているかどうかを判断し、変動している場合には、前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから当該変動分を減算した時刻と、前記内部時刻が一致した場合に、前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御することが好ましい。これにより、前記時刻情報と世界協定時との差分が、テーブル作成時から変動している場合でも、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ正確に取得することができる。
上述した電子時計において、前記閏秒受信タイミングデータは、閏秒情報の受信開始時刻を世界協定時で示したデータとすることが好ましい。これにより、衛星信号に含まれる時刻情報と、実際に電子時計を使用する場所での時刻とのずれを無くし、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ実際に電子時計を使用する場所において正確に取得することができる。
上述した電子時計において、前記閏秒受信タイミングデータを、前記閏秒情報の送信開始時刻を示すデータとする。この場合には、前記制御部は、前記閏秒受信タイミングデータから受信に要する時間を差し引き、さらに前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた時刻と、前記内部時刻が一致した場合に、前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御することが好ましい。これにより、一度作成した閏秒受信タイミングデータを変更することなく、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ正確に取得することができる。
上述した電子時計において、前記閏秒受信タイミングデータは、閏秒情報の送信開始時刻を前記衛星信号のうちの前記時刻情報で示したデータであることが好ましい。衛星信号のうちの時刻情報を使用することにより、一度作成した閏秒受信タイミングデータを変更することなく、受信する際に、受信に要する時間や、時刻情報と世界協定時との差分を考慮することにより、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ正確に取得することができる。
本発明の電子時計の受信制御方法は、上述した課題を解決するため、時刻情報及び閏秒情報を含む衛星信号を送信する衛星から、前記衛星信号を受信することが可能な受信部と、前記衛星信号のうち前記時刻情報及び閏秒情報を受信するように前記受信部を制御し、前記時刻情報及び閏秒情報に基づいて内部時刻を修正する制御部と、前記閏秒情報の受信タイミングを、受信時、受信分、受信秒、及び受信曜日で表した閏秒情報受信タイミングデータに基づき、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、前記複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて記憶する第1のテーブルと、前記識別情報ごとに、受信分と受信秒の組み合わせを記憶する第2のテーブルとを備える電子時計の受信制御方法であって、前記内部時刻の曜日と時に基づいて、前記第1のテーブルから該当する分秒パターンの識別情報を取得する工程と、前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから、前記内部時刻よりも後の受信分と受信秒の組み合わせを取得する工程と、前記内部時刻が、前記取得した識別情報に対応する受信曜日、受信時、及び、取得した受信分と受信秒の組み合わせに一致したかどうかを判断する工程と、一致した場合に、前記閏秒情報の受信を開始する工程とを備えることを特徴とする。
この電子時計の受信制御方法では、閏秒情報の受信タイミングを、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、この複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて第1のテーブルとして記憶すると共に、識別情報ごとに受信分と受信秒の組み合わせを第2のテーブルとして記憶したので、テーブルの容量を著しく小さくすることができる。また、少ないデータ量のテーブルを用いて検索を行うので、閏秒情報の受信タイミングの検索を短時間で行うことが可能となり、衛星信号の受信時間を短縮化し、電子時計の消費電力を低減することが可能である。
以上より、本発明によれば、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で取得することができる電子時計の受信制御方法を提供することができる。
上述した電子時計の受信制御方法において、前記閏秒受信タイミングデータを、前記閏秒情報の送信開始時刻から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた、閏秒情報の受信開始時刻を示すデータとする。この場合には、前記時刻情報と世界協定時との差分が、前記第1のテーブル及び第2のテーブルの作成時から変動しているか否かを判断する工程と、前記差分が変動している場合には、前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから、当該変動分を減算する工程とをさらに備えることが好ましい。これにより、前記時刻情報と世界協定時との差分が、テーブル作成時から変動している場合でも、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ正確に取得することができる。
上述した電子時計の受信制御方法において、前記閏秒受信タイミングデータを、前記閏秒情報の送信開始時刻を示すデータとする。この場合には、前記取得した識別情報に対応する受信曜日、受信時、及び、取得した受信分と受信秒の組み合わせから受信に要する時間を差し引く工程と、前記差し引いた値から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引く工程とをさらに備えることが好ましい。一度作成した閏秒受信タイミングデータを変更することなく、受信する際に、受信に要する時間や、時刻情報と世界協定時との差分を考慮することにより、閏秒に関する情報の受信タイミングを、簡単に小負荷で、かつ正確に取得することができる。
本発明の第1実施形態に係るアンテナ内蔵式電子時計100(電子時計100)を含むGPSシステムの全体図である。 電子時計100の一部断面図である。 電子時計100の回路構成を示すブロック図である。 電子時計100の航法メッセージの構成を示す図であり、(A)はメインフレームの構成を示す図、(B)はTLMワードの構成を示す図、(C)はHOWワードの構成を示す図、(D)はサブフレーム1の詳細な構成を示す図である。 電子時計100の航法メッセージのサブフレームとページの関係を示す図である。 電子時計100のページ18のサブフレーム4の詳細な内容を示す図である。 ページ18のサブフレーム4の受信可能となる時刻を時、分、秒、曜日のデータとして表したテーブルである。 本発明の第一実施形態における閏秒情報受信タイミングを示すテーブルであり、(A)は閏秒情報受信タイミングの分秒の5パターンを、0時から23時までの時と日曜日から土曜日までの曜日とにより関連付けたテーブルであり、(B)は各パターンの番号をテーブル番号として、テーブル番号ごとに閏秒情報受信タイミングの分と秒の組み合わせを表したテーブルである。 本発明の第一実施形態の受信制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第二実施形態の受信制御処理を示すフローチャートである。
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子時計100の平面図であり、図2は電子時計100の一部断面図である。図1から明らかなように、電子時計100は、使用者の手首に装着される腕時計であり、文字板11及び指針12を備え、時刻を計時して表面に表示する。文字板11の大部分は、光及び1.5GHz帯のマイクロ波が透過し易い非金属の材料(例えば、プラスチック又はガラス)で形成されている。指針12は、文字板11の表面側に設けられ、回転軸13を中心に回転移動する秒針121、分針122及び時針123を含み、歯車を介してステップモーターで駆動される。
電子時計100では、リューズ14やボタン15、ボタン16の手動操作に応じた処理が実行される。具体的には、リューズ14が操作されると、その操作に応じて表示時刻を修正する手動修正処理が実行される。また、ボタン15が長時間(例えば3秒以上の時間)にわたって押されると、衛星信号を受信するための受信処理が実行される。また、ボタン16が押されると、自動受信の有効/無効を切り替える切替処理が実行される。自動受信が有効の場合、固定の時間間隔(例えば1日間隔)で受信処理が実行される。
また、ボタン15が短時間にわたって押されると、前回の受信処理の結果を表示する結果表示処理が行われる。例えば、前回の受信処理で受信に成功した場合には、秒針121が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、受信に失敗した場合には、秒針121が「N」の位置(20秒位置)に移動し、受信が試行されなかった場合には、秒針121が「Skip」の位置(10秒位置)に移動する。
図2に示すように、電子時計100は、ステンレス鋼(SUS)やチタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。ベゼル18は、衛星信号の受信性能を向上させるためにセラミック等の非金属材料で構成される。外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋20が取り付けられている。外装ケース17の内部には、ムーブメント21、ソーラーセル22、GPSアンテナ23、二次電池24等が配置されている。
ムーブメント21は、ステップモーターや輪列211を含んで構成されている。ステップモーターは、モーターコイル212、ステーター、ローター等で構成されており、輪列211や回転軸13を介して指針12を駆動する。ムーブメント21の裏蓋20側には回路基板25が配置され、回路基板25は、コネクター26を介してアンテナ基板27及び二次電池24と接続されている。
回路基板25には、GPSアンテナ23で受信した衛星信号を処理する受信回路を含むGPS受信回路28、ステップモーターの駆動制御などの各種の制御を行う制御回路70等が取り付けられている。GPS受信回路28や制御回路70は、シールド板30に覆われており、二次電池24から供給される電力で駆動される。
ソーラーセル22は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電を行う光発電素子であり、発生した電力を出力するための電極を備え、文字板11の裏面側に配置されている。文字板11の大部分は、光が透過し易い材料で形成されているから、ソーラーセル22は、表面ガラス19及び文字板11を透過した光を受光して光発電を行うことができる。
二次電池24は、電子時計100の電源であり、ソーラーセル22で発生した電力を蓄積する。電子時計100では、ソーラーセル22の二つの電極と二次電池24の二つの電極とをそれぞれ電気的に接続することが可能であり、接続時には、ソーラーセル22の光発電によって二次電池24が充電される。なお、本実施形態では、二次電池24として、携帯機器に好適なリチウムイオン電池を用いているが、リチウムポリマー電池や他の二次電池を用いてもよいし、二次電池とは異なる蓄電体(例えば容量素子)を用いてもよい。
GPSアンテナ23は、1.5GHz帯のマイクロ波を受信するアンテナであり、文字板11の裏面側に配置され、裏蓋20側のアンテナ基板27上に実装されている。文字板11に直交する方向において、GPSアンテナ23と重なる文字板11の部分は、1.5GHz帯のマイクロ波が透過しやすい材料(例えば、導電率及び透磁率の低い非金属の材料)で形成されている。また、GPSアンテナ23と文字板11との間には電極を備えたソーラーセル22が介在しない。よって、GPSアンテナ23は、表面ガラス19及び文字板11を透過した衛星信号を受信することができる。
ところで、GPSアンテナ23とソーラーセル22の距離が近いほど、GPSアンテナ23とソーラーセル22内の金属性部材が電気的に結合してロスが発生したり、GPSアンテナ23の放射パターンがソーラーセル22に遮られて小さくなったりする。そのため、受信性能が劣化しないように、本実施形態では、GPSアンテナ23とソーラーセル22との距離が所定値以上になるように配置されている。
また、GPSアンテナ23は、ソーラーセル22以外の金属部材との距離も所定値以上になるように配置されている。例えば、外装ケース17やムーブメント21が金属部材で構成されている場合、GPSアンテナ23は、外装ケース17との距離及びムーブメント21との距離がともに所定値以上になるように配置される。なお、GPSアンテナ23としては、パッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナ等を採用可能である。
GPS受信回路28は、二次電池24に蓄積された電力で駆動される負荷であり、各回の駆動毎に、GPSアンテナ23を通じてGPS衛星からの衛星信号の受信を試み、受信に成功した場合には、取得した軌道情報やGPS時刻情報等の情報を制御回路70へ供給し、受信に失敗した場合には、その旨の情報を制御回路70へ供給する。
本実施形態では、GPS受信回路28の駆動電流は20mAであり、衛星信号の受信には30秒を要する。従って、GPS受信回路28の1回の駆動で消費される電力量である1回容量は、20mA×30秒=0.17mAHである。1回容量は、受信処理において判定の閾値として用いられるものであり、予め定められている。この判定については後述する。なお、GPS受信回路28の構成は、公知のGPS受信回路の構成と同様であるため、その説明を省略する。
[電子時計の回路構成]
図3は、電子時計100の回路構成を示すブロック図である。電子時計100は、GPS受信回路28及び制御表示部36を含んで構成されている。GPS受信回路28は、衛星信号の受信、GPS衛星の捕捉、位置情報の生成、時刻修正情報の生成等の処理を行う。制御表示部36は、内部時刻情報の保持及び内部時刻情報の修正等の処理を行う。
ソーラーセル22は、充電制御回路29を通じて二次電池24に電力を充電する。電子時計100はレギュレータ34及び35を備え、二次電池24は、レギュレータ34を介して制御表示部36に、レギュレータ35を介してGPS受信回路28に駆動電力を供給する。また電子時計100は、二次電池24の電圧を検出する電圧検出回路37を備える。
なお、レギュレータ35に代えて、例えば、RF部50(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ35−1と、ベースバンド部60(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ35−2(ともに図示せず)とに分けて設けてもよい。レギュレータ35−1は、RF部50の内部に設けてもよい。
また電子時計100は、GPSアンテナ23及びSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ32を含む。GPSアンテナ23は、図2で説明したように、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信するスロットアンテナである。ただし、GPSアンテナ23は衛星信号以外の不要な電波も若干受信してしまうため、SAWフィルタ32は、GPSアンテナ23が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ32は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
また、GPS受信回路28は、RF(Radio Frequency:無線周波数)部50とベースバンド部60を含んで構成されている。以下に説明するように、GPS受信回路28は、SAWフィルタ32が抽出した1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。
RF部50は、LNA(Low Noise Amplifier)51、ミキサ52、VCO(Voltage Controlled Oscillator)53、PLL(Phase Locked Loop)回路54、IFアンプ55、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ56、ADC(A/D変換器)57等を含んで構成されている。
SAWフィルタ32が抽出した衛星信号は、LNA51で増幅される。LNA51で増幅された衛星信号は、ミキサ52でVCO53が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路54は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO53の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO53は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ52でミキシングされた信号は、IFアンプ55で増幅される。ここで、ミキサ52でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ55は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ56は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ56を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)57でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部60は、DSP(Digital Signal Processor)61、CPU(Central Processing Unit)62、SRAM(Static Random Access Memory)63、RTC(リアルタイムクロック)64を含んで構成されている。また、ベースバンド部60には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)65やフラッシュメモリー66等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。フラッシュメモリー66には、例えば時差情報が記憶されている。時差情報は、時差データ(座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられたUTCに対する補正量等)が定義された情報である。
ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
また、ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド部60は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星に同期(すなわち、GPS衛星を捕捉)したものと判断する。ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星を検索することができる。
また、ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードにおいて、捕捉したGPS衛星の衛星情報を取得するために、当該GPS衛星のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星の衛星情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド部60は、航法メッセージの各サブフレームのTLMワード(プリアンブルデータ)を検出し、各サブフレームに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する(例えばSRAM63に記憶する)処理を行う。ここで、GPS時刻情報は、週番号データ(WN)及びZカウントデータであるが、以前に週番号データが取得されている場合にはZカウントデータのみであってもよい。
そして、ベースバンド部60は、衛星情報に基づいて、内部時刻情報を修正するために必要な時刻修正情報を生成する。
時刻情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報に基づいて測時計算を行い、時刻修正情報を生成する。時刻情報取得モードにおける時刻修正情報は、例えば、GPS時刻情報そのものであってもよいし、GPS時刻情報と内部時刻情報との時間差の情報であってもよい。
一方、位置情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報や軌道情報に基づいて測位計算を行い、位置情報(より具体的には、受信時に電子時計100が位置する場所の緯度及び経度)を取得する。さらに、ベースバンド部60は、フラッシュメモリー66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報により特定される電子時計100の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。このようにして、ベースバンド部60は、時刻修正情報として衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データを生成する。位置情報取得モードにおける時刻修正情報は、上記の通り、GPS時刻情報と時差データそのものであってもよいが、例えば、GPS時刻情報の代わりに内部時刻情報とGPS時刻情報の時間差のデータであってもよい。
なお、ベースバンド部60は、1つのGPS衛星の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよいし、複数のGPS衛星の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよい。
また、ベースバンド部60の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65が出力する基準クロック信号に同期する。RTC64は、衛星信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC64は、TCXO65から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
制御表示部36は、制御回路70、駆動回路74及び水晶振動子73を含んで構成されている。
制御回路70は、記憶部71、RTC(Real Time Clock)72を備え、各種制御を行う。制御部70は、例えばCPUで構成することが可能である。
制御回路70は、制御信号をGPS受信回路28に送り、GPS受信回路28の受信動作を制御する。また制御回路70は、電圧検出回路37の検出結果に基づいて、レギュレータ34及びレギュレータ35の動作を制御する。また制御回路70は、駆動回路74を介してすべての指針の駆動を制御する。
記憶部71には内部時刻情報が記憶されている。内部時刻情報は、電子時計100の内部で計時される時刻の情報であり、水晶振動子73及びRTC72によって生成される基準クロック信号によって更新される。従って、GPS受信回路28への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針の運針を継続することができるようになっている。
制御回路70は、時刻情報取得モードに設定されると、GPS受信回路28の動作を制御し、GPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部71に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報からUTCオフセットを減算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。また、制御回路70は、位置情報取得モードに設定されると、GPS受信回路28の動作を制御し、衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部71に記憶する。
[航法メッセージ]
次に、GPS衛星から送信される衛星信号である航法メッセージについて説明する。航法メッセージのビットレートは50bpsであり、GPS衛星のキャリア周波数で変調されている。図4に航法メッセージの内容を示す。航法メッセージは、図4(A)に示すように1500ビットを1フレームとするデータで構成される。1フレームは、5個のサブフレームから構成される。各サブフレームは300ビットのデータで構成される。ビットレートは50bpsであるから、1個のサブフレームを送信するのに6秒かかり、1個のフレームを送信するのに30秒かかる。
サブフレーム1には、週番号データ等の衛星補正データが含まれている。サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメータ(各GPS衛星の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメータ(全GPS衛星の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOWワードが含まれている。従って、TLMワードやHOWワードは、GPS衛星から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、及びアルマナックパラメータは30秒間隔で送信される。
図4(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブル(8bit)、TLMメッセージ及びReservedビット(16bit)、パリティ(6bit)が含まれている。
また、図4(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)というGPS時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に「0」に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報である。このZカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。
例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図4(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」「101」のIDコードが含まれている。
図4(D)にサブフレーム1の詳細な内容を示す。サブフレーム1のワード3には、週番号データ(WN)、衛星健康状態(SVhealth)データなどの衛星補正データが格納されている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。すなわち、GPS時刻情報の起点は、UTC(世界協定時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。そして、週番号と経過時間(秒)のデータを取得することで、受信側はGPS時刻情報を取得できる構成となっている。また、週番号データは、1週間単位で更新されるデータとなっている。
電子時計100は、サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS時刻情報を取得することができる。ただし、電子時計100は、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしている場合は、週番号データを取得しなくてもGPS衛星の現在の週番号データを得ることができる。従って、電子時計100は、Zカウントデータを取得すれば、日付以外の現在時刻が分かるようになっている。 このため、電子時計100は、現在時刻としてZカウントデータのみを取得する。なお、TLMワード、HOWワード(Zカウントデータ)、衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータ等は、本発明における衛星信号の一例である。
本発明において、測時モードの受信とは、時刻情報であるZカウントデータを受信することを意味する。Zカウントデータは、1つのGPS衛星からでも取得できる。また、Zカウントデータは、各サブフレームに含まれているので、6秒間隔で送信される。このため、測時モードの受信とは、捕捉衛星数は少なくとも1つであり、1個のZカウントデータを取得する受信所要時間は長くても6秒であり、取得できる情報はZカウントデータ(時刻情報)であり、前記エフェメリスパラメータやアルマナックパラメータは受信しない処理を意味する。受信所要時間は、6秒で1個のZカウントデータを取得でき、受信データの検証のために、2〜3個のZカウントデータを取得する場合でも12〜18秒という短時間で受信を完了できる。
一方、本発明において、測位モードの受信とは、各GPS衛星の軌道情報であるエフェメリスパラメータを3衛星分以上、受信することを意味する。測位のためには少なくとも3個以上のGPS衛星5からエフェメリスパラメータを取得する必要があるためである。なお、エフェメリスパラメータはサブフレーム2,3に含まれるため、最短で18秒間の受信(サブフレーム1〜3までの受信)を行えば取得できる。従って、複数のGPS衛星5を同時に捕捉して受信する場合、エフェメリスパラメータの受信及び測位計算を行って測位データを取得するには、アルマナックデータを保持しないコールドスタート状態では約30秒〜1分の時間が必要である。
電子時計100において、測時モードの受信は原則として所定の時刻に自動的に受信する自動受信処理であり、測位モードの受信はユーザーの操作による手動受信処理である。なお、測時モードにおいて、GPSの週番号データはサブフレーム1に含まれているので、日付情報まで取得したい場合はサブフレーム1が送信される毎分0秒か3秒に自動受信処理を開始できるように受信開始時刻を設定すると、最短所要時間で時刻情報と日付情報を受信できる。
また、測時モードでは、所定時刻の自動受信処理に加えて、所定の条件を検出した場合にも自動的に受信する処理を設けてもよい。ここで、所定の条件とは、例えば、時刻情報を受信しやすい屋外に移動したことを検出できた場合に、測時モードでの自動受信を行うものなどである。屋外に移動したことは、ソーラーセル22の発電量が所定値を上回っていることにより判定できる。なお、測時モードの受信は、通常は1日に1回行えば良いため、所定の条件の自動受信処理は、所定時刻での自動受信処理で受信に失敗した場合のみ、1日1回の受信を確保するために行えばよい。
GPS衛星からの信号は以上のように送信されてくるため、本実施の形態のGPS受信とは、各GPS衛星からのC/Aコードと位相同期させることである。つまり、このようなGPS衛星のフレームデータ等を取得するには、受信側である電子時計100がGPS衛星信号と同期する必要がある。この場合、特に1ms単位の同期のためにC/Aコード(1023chip(1ms))が用いられる。このC/Aコード(1023chip(1ms))は、地球を周回している複数のGPS衛星毎に異なっており、固有のものとなっている。従って、特定のGPS衛星の衛星信号を受信する場合は、受信部である電子時計100から、いずれかのGPS衛星に固有のC/Aコードを発生させて位相同期することで、受信することができるようになっている。
C/Aコード(1023chip(1ms))と同期させると、サブフレームデータのTLMワードのプリアンブルデータ、HOWワードを受信でき、HOWワードのZカウントが取得できるようになっている。そして、電子時計100は、TLMワード、HOWワードのZカウントを取得した後に、続けて週番号情報(WN)、衛星健康状態(SVhealth)を取得することもできる。
取得したZカウントが信頼できるか否かの判断は、パリティチェックを行うことで可能である。つまり、HOWワードのTOWデータの後のパリティ データで、正誤の確認をすることができる。そして、パリティチェックで誤りが確認された場合は、このZカウントには、なんらかの異常があるとみなして、時刻修正には、使用しないようにすることができる。
[閏秒情報]
以上に説明した航法メッセージは、図5に示すように、ページ1からページ25までの25個のページで構成されている。そして、GPS衛星は、この25個のページ(フルページ)からなる航法メッセージを繰り返し送信している。各ページはフレームとも呼ばれ、1500ビットのデータ量である。航法メッセージのデータ速度は50bpsであるため、1つのページ(フレーム)の送信に は30秒かかり、25個のページ(フルページ)を送信するには、30秒×25=750秒=12.5分かかる。
サブフレーム1〜3は、各ページにおいてそれぞれ同じ種類のデータを送信している。しかし、サブフレーム4,5は、アルマナック(全GPS衛星の概略軌道情報)など全衛星に関係する情報が格納されている。これらの情報はデータ量が多いため、サブフレーム4,5は、ページ毎に異なる種類のデータを送信している。
閏秒情報は、ページ18のサブフレーム4にある。ページ18のサブフレーム4は、図6に示すように、TLM、HOWの他、ワード3〜5には電離層補正係数〜α0〜α3、β0〜β3等が格納され、ワード6,7,8にはUTCパラメータA、A0が格納されている。また、ワード8〜10には、閏秒情報が格納されている。具体的には、ワード8のt0t、WNtにエポック時刻の情報が格納され、ΔtLSには現在の閏秒が格納され、WNLSFには閏秒の更新週が格納され、DNには閏秒の更新日が格納され、ΔtLSFには更新後の閏秒が格納されている。
GPSの航法メッセージは、週単位で放送されるため、毎週日曜日の00:00:00になるとページ1からの放送に戻る。従って、ページ18のサブフレーム4は、毎週日曜日の00:00:00から計測すると、GPS時刻で00:08:48に受信されることになる。つまり、図5に示すように、サブフレーム1からサブフレーム5までの1ページ分の航法メッセージの送信に要する時間が30秒であるから、ページ17の送信完了までには、30秒×17=510秒を要する。さらに、サブフレーム1からサブフレーム3までの送信完了には、6秒×3=18秒を要する。従って、ページ18のサブフレーム4の受信が可能になるには、510秒+18秒=528秒、すなわち、8分48秒を要する。これを、日曜日の00:00:00をスタート時点と考えると、00:08:48がページ18のサブフレーム4の受信が可能になる時刻となる。
以下、図5に示すように、フルページの送信完了には12.5分を要するので、ページ18のサブフレーム4は、00:21:18、00:33:48等に受信可能となる。図7は、このようにして考えたページ18のサブフレーム4が受信可能となるGPS時間を、土曜日の23:51:18まで示したものである。
ページ18のサブフレーム4の受信可能となる時刻を、数式で算出することなく求めるためには、図7に示す時、分、秒、曜日のデータをテーブルとしてROM等に記憶し、電子時計100の内部時刻と一致する時間をテーブルから検索すればよい。しかしながら、例えば、時、分、秒、曜日のデータを記憶するために、それぞれ1バイトずつ使用したとすると、テーブルのすべてのデータを記憶するためには、806×4=3224バイトもの容量が必要になる。これでは、演算能力の低いICを用いている場合には検索に時間がかかり、受信時間の増加に伴って消費電力も増加してしまう。
[閏秒情報受信タイミングテーブル]
本発明では、図8(A)、(B)に示すように、閏秒の受信タイミングの時刻情報を、時と分秒に分けたテーブルで持ち、データ記憶容量の低減と、検索の簡易化を図った。具体的には、1時間内の閏秒情報受信タイミングの分秒のパターンは、0から4までの5パターンに集約されるので、これらの5パターンを、図8(A)に示すように、0時から23時までの時と、日曜日から土曜日までの曜日とにより、関連付けたテーブルを作成する。一つのパターンに要する記憶容量を1バイトとすると、図8(A)のテーブルは、5×5=25バイトでよいことになる。
次に、図8(B)に示すように、各パターンの番号をテーブル番号として、テーブル番号ごとに閏秒情報受信タイミングの分と秒の組み合わせを表したテーブルを作成する。分秒にそれぞれ1バイト必要だとすると、テーブル番号0について分と秒で10バイト必要になる。以下、テーブル番号1について8バイト、テーブル番号2について10バイト、テーブル番号3について10バイト、テーブル番号4について10バイトがそれぞれ必要となる。従って、図8(B)のテーブルに要する容量は48バイトとなる。
図8(A)のテーブルに要する容量が25バイト、図8(B)のテーブルに要する容量は48バイトであるから、全部で73バイトのテーブルを備えれば閏秒情報受信タイミングを検索することができる。図7に示した場合の3224バイトに比べると極めて少ない容量でテーブルを作成することができ、検索に要する時間を低減し、受信時間の軽減に伴う低消費電力化が可能となる。
[受信制御処理]
次に、以上のようなテーブルを用いた電子時計100の受信制御処理について説明する。なお、本実施形態では、図8(A)、(B)の閏秒受信タイミングテーブルは、GPS衛星から閏秒情報の放送が開始される時刻がGPS時刻として表されているものとする。
図9に受信制御処理の内容を示す。制御回路70は、内部時刻に受信時間(例えば、30秒)を加算して基準時刻を生成する(S0)。この後、制御回路70は、基準時刻の曜日と時により、図8(A)に示す閏秒受信タイミングテーブル(時)からテーブル番号を検索する(S1)。次に、図8(B)に示す閏秒受信タイミングテーブル(分秒)から、基準時刻の分秒より後の分秒を検索する(S2)。
検索の結果、閏秒受信タイミングテーブル(分秒)に、基準時刻の分秒より後の分秒に該当する時刻があつたかどうかを判断する(S3)。該当する時刻があった場合には、その時刻を記憶しておく。
一方、該当する時刻がなかった場合には、基準時刻が土曜日の23時かどうかを判断する(S4)。これは、GPSの航法メッセージは、週単位で放送され、毎週日曜日の00:00:00にページ1からの放送に戻るため、たとえ現在のページがページ18のサブフレーム4の受信前であっても、再度ページ1に戻ってからの閏秒受信タイミングを取得しなければならないためである。そこで、基準時刻が土曜日の23時であった場合には、日曜日、0時の受信タイミングテーブル(分秒)の先頭時刻を受信開始タイミングとする(S5)。つまり、0時08分48秒を受信タイミングとして記憶しておく。
また、該当する時刻がなかった場合であって、基準時刻が土曜日の23時ではない場合には、次の閏秒受信タイミングテーブル(分秒)の先頭時刻を受信開始タイミングとして記憶しておく。
本実施形態は、図8(A)、(B)に示す閏秒受信タイミングテーブルが、GPS衛星からの閏秒情報の放送開始時刻であり、UTCオフセットの値は考慮されていない。そこで、次に、受信時間の調整処理とUTCオフセットの減算処理を行う。
受信時間は、受信装置の処理能力によって変わるものであり、例えば、本実施形態のGPS受信回路28の場合には、受信に30秒の時間を要するものとする。閏秒受信タイミングテーブルから取得した閏秒受信タイミング時刻は閏秒情報の放送開始時刻なので、この放送開始時刻から30秒という受信時間を減算する(S7)。
また、閏秒受信タイミングテーブルから取得した閏秒受信タイミング時刻は閏秒情報の放送開始時刻であり、UTCオフセットの値は考慮されていないので、前記受信時間を減算した時刻から、さらにUTCオフセットの値を減算する(S8)。
UTCは12月か6月の末日、あるいは、3月か9月の末日等に閏秒の調整が実施される。しかし、GPS時刻には閏秒がないため、UTCにおいて閏秒の調整が実施される度にGPS時刻には閏秒がないため、UTCにおいて閏秒の調整が実施される度にGPS時刻とUTCの差(UTCオフセット)が大きくなってしまう。本実施形態では、UTCオフセットを15秒として、図8(B)の閏秒受信タイミングテーブル(分秒)の値から減算する(S8)。
閏秒受信タイミングを取得した後は、内部時刻と閏秒受信タイミングが一致するかどうかを判断し、一致するまで待機する(S9)。そして、内部時刻と閏秒受信タイミングが一致した時にページ18、サブフレーム4の受信を開始する(S10)。さらに、ページ18、サブフレーム4の閏秒情報を受信する(S11)。
次に、具体例について説明する。内部時刻が2011年12月10日、金曜日の0時0分0秒だとする。この場合には、図8(A)のテーブルからテーブル番号0を取得する。次に、図8(B)のテーブル番号0の分秒から、0分0秒よりも後の分秒を検索する。テーブル番号0の分秒には、8分48秒という該当時刻が存在する。従って、閏秒受信タイミングは、2011年12月10日、金曜日の0時8分48秒となる。
内部時刻が2011年12月10日、金曜日の0時59分0秒だとする。この場合には、図8(A)のテーブルからテーブル番号0を取得する。次に、図8(B)のテーブル番号0の分秒から、59分0秒よりも後の分秒を検索する。しかし、テーブル番号0の分秒には、59分0秒の後の分秒は存在しないので、次のテーブル番号1の先頭時刻、11分18秒が閏秒受信タイミングとなる。従って、閏秒受信タイミングは、2011年12月10日、金曜日の1時11分18秒となる。
内部時刻が2011年12月11日、土曜日の23時52分0秒だとする。この場合には、図8(A)のテーブルからテーブル番号2を取得する。次に、図8(B)のテーブル番号2の分秒から、52分0秒よりも後の分秒を検索する。テーブル番号2の分秒には、52分0秒の後の分秒は存在しないが、土曜日の23時の場合なので、次のテーブル番号の分秒を検索することなく、日曜日の0時の閏秒受信タイミングテーブルの先頭時刻、つまり、8分48秒が閏秒受信タイミングとなる。従って、閏秒受信タイミングは、2011年12月12日、日曜日の0時8分48秒となる。
以上のように、本実施形態によれば、少ないデータ量で閏秒受信タイミングをテーブルとして持つことができるので、たとえ演算能力の低いICを用いて場合であっても、閏秒受信タイミングの検索を簡単に短時間で行うことができる。その結果、受信時間の短縮化により消費電力の低減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、図8(A)、(B)に示す閏秒受信タイミングテーブルを作成する際に、受信装置の処理能力によって変わる受信時間、及び、UTCオフセットの値を考慮する必要がないので、作成済みの閏秒受信タイミングテーブルを有効に利用することができる。
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係る受信制御処理を示すフローチャートである。図9に示す第1実施形態との共通の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における閏秒受信タイミングテーブルは、UTCオフセットを15秒として、GPC時刻からUTCオフセットを減算したUTCによる受信開始時刻として表されているものとする。なお、第2実施形態では、図9に示すS0の処理が実行されないので、基準時刻が生成されない。このため、S1およびS2では、内部時刻が比較の対象となる。また、図8(A)に示す閏秒情報受信タイミングの分秒の5パターンを0時から23時までの時と、日曜日から土曜日までの曜日とにより関連付けたテーブルは本実施形態でも変わらない。
しかし、各パターンの番号をテーブル番号として、テーブル番号ごとに閏秒情報受信タイミングの分と秒の組み合わせを表すテーブルは、図8(B)に示す分秒の値から、UTCオフセットの15秒を減算した値になっている。例えば、テーブル番号0の最初の分秒は08分33秒となる。
図10に示す受信制御処理において、閏秒受信タイミング時刻の取得処理(S1〜S6)、および、閏秒情報の受信処理(S9〜S11)は図9に示す第1実施形態の処理と同様である。本実施形態は、閏秒受信タイミングテーブルが、UTCオフセットを15秒としてUTCによる受信開始時刻として閏秒受信タイミングが表されている。しかし、上述したように、UTCオフセットは閏秒の調整が実施される度に大きくなってしまう。従って、このテーブル作成後に閏秒の調整が実施された場合には、テーブルから取得した時刻と、実際のUTCとの間に差が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、UTCオフセットが現在値とタイミングテーブル作成時の値とで一致するかどうかを判断する(S20)。そして、一致しない場合には、上述のようにして記憶した閏秒受信タイミングからUTCオフセットの差分を減算する(S21)。例えば、本実施形態のテーブルは、UTCオフセットを15秒として作成されているが、現在のUTCオフセットが17秒であった場合には、差分の2を閏秒タイミングから減算する。このようにして求めた閏秒受信タイミング時刻を用いて、第1実施形態と同様に閏秒情報の受信処理を行う(S9〜S11)。
本実施形態によれば、閏秒情報受信タイミングテーブルを作成する際に、UTCオフセットを予め考慮して分秒データを作成するので、UTCオフセットが現在値と変わらない場合には、テーブルから取得した閏秒情報受信タイミングをそのまま使用することができる。
また、UTCオフセットが現在値から変更されている場合でも、UTCオフセット差分を考慮して閏秒受信タイミングを算出するので、正確に閏秒情報を受信することができる。
なお、上述した各実施形態においては、閏秒受信タイミングテーブルの時、分、秒、曜日の記録エリアの容量を、それぞれ1バイトとした例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更するようにしてもよい。
100…電子時計、28…GPS受信回路、70…制御回路、23…GPSアンテナ、12(121,122,123)、13…指針軸、、30…駆動機構。

Claims (8)

  1. 時刻情報及び閏秒情報を含む衛星信号を送信する衛星から、前記衛星信号を受信することが可能な受信部と、
    前記衛星信号のうち前記時刻情報及び閏秒情報を受信するように前記受信部を制御し、前記時刻情報及び閏秒情報に基づいて内部時刻を修正する制御部と、
    前記閏秒情報の受信タイミングを、受信時、受信分、受信秒、及び受信曜日で表した閏秒情報受信タイミングデータに基づき、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、前記複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて記憶する第1のテーブルと、
    前記識別情報ごとに、受信分と受信秒の組み合わせを記憶する第2のテーブルとを備え、
    前記制御部は、前記第1のテーブル及び第2のテーブルから、前記内部時刻後の閏秒情報受信タイミングデータを取得し、取得した閏秒情報受信タイミングデータに基づいて前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御すること、
    を特徴とする電子時計。
  2. 前記閏秒受信タイミングデータは、前記閏秒情報の送信開始時刻から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた、閏秒情報の受信開始時刻を示すデータであり、
    前記制御部は、前記時刻情報と世界協定時との差分が、前記第1のテーブル及び第2のテーブルの作成時から変動している場合には、前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから当該変動分を減算した時刻と、前記内部時刻が一致した場合に、前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
  3. 前記閏秒受信タイミングデータは、閏秒情報の受信開始時刻を世界協定時で示したデータである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電子時計。
  4. 前記閏秒受信タイミングデータは、前記閏秒情報の送信開始時刻を示すデータであり、
    前記制御部は、前記閏秒受信タイミングデータから受信に要する時間を差し引き、さらに前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた時刻と、前記内部時刻が一致した場合に、前記閏秒情報を受信するように前記受信部を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
  5. 前記閏秒受信タイミングデータは、閏秒情報の送信開始時刻を前記衛星信号のうちの前記時刻情報で示したデータである、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電子時計。
  6. 時刻情報及び閏秒情報を含む衛星信号を送信する衛星から、前記衛星信号を受信することが可能な受信部と、
    前記衛星信号のうち前記時刻情報及び閏秒情報を受信するように前記受信部を制御し、前記時刻情報及び閏秒情報に基づいて内部時刻を修正する制御部と、
    前記閏秒情報の受信タイミングを、受信時、受信分、受信秒、及び受信曜日で表した閏秒情報受信タイミングデータに基づき、複数の受信時に対して共通な受信分と受信秒の組み合わせを複数の分秒パターンとして分類し、前記複数の分秒パターンの識別情報を受信曜日と受信時に関連付けて記憶する第1のテーブルと、
    前記識別情報ごとに、受信分と受信秒の組み合わせを記憶する第2のテーブルとを備える電子時計の受信制御方法であって、
    前記内部時刻の曜日と時に基づいて、前記第1のテーブルから該当する分秒パターンの識別情報を取得する工程と、
    前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから、前記内部時刻よりも後の受信分と受信秒の組み合わせを取得する工程と、
    前記内部時刻が、前記取得した識別情報に対応する受信曜日、受信時、及び、取得した受信分と受信秒の組み合わせに一致したかどうかを判断する工程と、
    一致した場合に、前記閏秒情報の受信を開始する工程とを備える、
    ことを特徴とする電子時計の受信制御方法。
  7. 前記閏秒受信タイミングデータは、前記閏秒情報の送信開始時刻から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引いた、閏秒情報の受信開始時刻を示すデータであり、
    前記時刻情報と世界協定時との差分が、前記第1のテーブル及び第2のテーブルの作成時から変動しているか否かを判断する工程と、
    前記差分が変動している場合には、前記取得した識別情報に対応する分秒パターンから、当該変動分を減算する工程とをさらに備える
    ことを特徴とする請求項6に記載の電子時計の受信制御方法。
  8. 前記閏秒受信タイミングデータは、前記閏秒情報の送信開始時刻を示すデータであり、
    前記取得した識別情報に対応する受信曜日、受信時、及び、取得した受信分と受信秒の組み合わせから受信に要する時間を差し引く工程と、
    前記差し引いた値から、前記時刻情報と世界協定時との差分を差し引く工程とをさらに備える、
    ことを特徴とする請求項6に記載の電子時計の受信制御方法。
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