JP2012166865A - エスカレータ用ステップ及びエスカレータ表示システム - Google Patents

エスカレータ用ステップ及びエスカレータ表示システム Download PDF

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Abstract

【課題】エスカレータ用ステップにおいて、表示機能を付与するために特別な外部電源を必要としないようにすることである。
【解決手段】エスカレータ用のステップ30は、乗客が乗る踏板40と、踏板40の下部に配置されて踏板40を下方から支持するフレーム32と、フレーム32に配置され、エスカレータの傾斜部での蹴上げに相当するライザ50と、フレーム32のライザ50側下部に回動可能に設けられ、エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラ36,37と、ステップローラ36,37の回転速度を増速する発電機増速機76,77と、発電機増速機76,77に接続され、回転速度に応じた発電電力を出力する発電機78,79と、発電電力を蓄電する蓄電装置80と、ライザ50に設けられ、蓄電装置からの電力によって表示を行う表示パネル60とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、エスカレータ用ステップ及びエスカレータ表示システムに係り、特に、表示機能を有するエスカレータ用ステップ及びそのステップを用いるエスカレータ表示システムに関する。
エスカレータは、乗客が乗る踏板と蹴上げに相当するライザとを含む複数のステップを無端状に接続して、予め定めた昇降傾斜角度で、下層階乗場と上層階乗場の間に配置される昇降装置である。この踏板およびライザは、人目に触れるものであるので、これらを広告媒体等として用いようとする考えがある。
例えば特許文献1には、エスカレータのステップにおいて、踏板の両側下部に設けられて踏板を下方から支持するブラケットの間に渡って開口部が形成された金属製補強板を設け、その開口を覆うように透光性を有する繊維強化樹脂製のライザを固定することが開示されている。そして、ライザの裏面に任意の図柄、文字等を印刷し、これをエスカレータ内部に設けた照明器具で照明することで、意匠性を向上させることが述べられている。
また、特許文献2には、エスカレータの踏段照明装置として、踏板上面に太陽電池と発光ダイオードを埋め込むことが開示されている。これによって、太陽光あるいは電灯で太陽電池が発電し、これを蓄電池に蓄電しスイッチを介して発光ダイオードを発光させ踏段を照明することが述べられている。
また、非特許文献1には、LEDを使用したエスカレータ乗場安全装置として、ステップチェーン等のエスカレータが動くと動作する機器に小型の発電機を取り付け、この発電を利用して、乗場付近に設けた緑色のLED、踏段への乗口付近に設けた赤色のLEDを発光させることが述べられている。
再表WO2007/113897号公報 特開平5−162963号公報
発明協会公開技報,2008−503109,2008年5月30日
エスカレータのステップを広告媒体等に用いることができる表示機能を付与するには、乗客が乗る踏板の強度、ステップの表示部に供給する電源をどのように確保するかが課題である。また、ステップは無端状に接続され、複数のステップのうち、約半数は床下に隠れて人目に触れないので、不必要な表示を行わない工夫等も必要である。
本発明の目的は、表示機能を付与するために特別な外部電源を必要としないエスカレータ用ステップ及びそのステップを用いるエスカレータ表示システムを提供することである。また、他の目的は、エスカレータ全体としての効果的な表示を可能とするエスカレータ表示システムを提供することである。
本発明に係るエスカレータ用ステップは、エスカレータの乗客が乗る踏板と、踏板の下部に配置されて踏板を下方から支持するフレームと、フレームに配置され、エスカレータの傾斜部での蹴上げに相当するライザと、フレームのライザ側下部に回動可能に設けられ、エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラと、ステップローラの回転速度を増速する増速機構と、増速機構に接続され、回転速度に応じた発電電力を出力する発電機と、発電電力を蓄電する蓄電装置と、踏板またはライザに設けられ、蓄電装置からの電力によって表示を行う表示部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るエスカレータ用ステップにおいて、表示部は、踏板またはライザの背後に設けられ、表示部が設けられる踏板またはライザは、表示部からの光を通す透光孔部を有することが好ましい。
また、本発明に係るエスカレータ用ステップにおいて、踏板周辺の明るさまたはライザ周辺の明るさを検知する検知部と、検知部の検知結果に応じ、表示部に対する表示制御を行う表示制御回路と、を備えることが好ましい。
また、本発明に係るエスカレータ用ステップにおいて、増速機構は、ステップローラの回転軸と同軸に設けられローラ側回転子と、発電機の入力軸に同軸に設けられ、ローラ側回転子の外径に対し予め定めた増速比で定まる外径を有する発電機側回転子と、を含むことが好ましい。
また、本発明に係るエスカレータ表示システムは、乗客が乗る踏板と蹴上げに相当するライザとを含む複数のステップを無端状に接続して、予め定めた昇降傾斜角度で、下層階乗場と上層階乗場の間に配置されるエスカレータと、各ステップの踏板またはライザに設けられる表示部と、エスカレータの運行に合わせ、下層階乗場と上層階乗場との間で乗客が乗ることができるステップである複数の利用ステップに設けられる表示部のみを表示する制御を行う表示制御部と、を備え、ステップは、エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラと、ステップローラの回転速度を増速する増速機構と、増速機構に接続され、回転速度に応じた発電電力を出力する発電機と、発電電力を蓄電し、表示部に表示電力を供給する蓄電装置と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るエスカレータ表示システムにおいて、表示制御部は、複数の利用ステップのそれぞれの表示部の表示を独立としながら全体として1つの表示内容を表示する全体表示制御を行うことが好ましい。
上記構成の少なくとも1つにより、エスカレータ用ステップは、エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラの回転速度を増速して、回転エネルギを発電電力に変換する発電機を備え、その発電電力を蓄電し、踏板またはライザに設けられる表示部に供給して表示を行う。
ステップローラから表示用のエネルギを得ても、エスカレータの運行にはほとんど影響しない。しかしながら、エスカレータの昇降速度は、例えば30m/s程度であって、ステップローラの回転速度は、せいぜい、毎分数回転に過ぎない。磁束の変化を電流に変換して発電する機械電気変換を用いる発電機では、毎分数回転程度では、十分な発電電力を得ることができない。上記構成では、増速機能を設けたので、表示部の電源として十分な電力の発電を行うことができる。このように、各ステップごとに独立の発電機を設けるので、各ステップに表示機能を付与するために特別な外部電源を必要としない。
また、エスカレータ用ステップにおいて、表示部は、踏板またはライザの背後に設けられ、踏板またはライザには、表示部からの光を通す透光孔部が設けられる。例えば、透光孔部の大きさ、配置を適切に設定することによって、踏板およびライザに要求される強度を確保することができる。
また、エスカレータ用ステップにおいて、踏板周辺の明るさまたはライザ周辺の明るさを検知し、その検知結果に応じ、表示部に対する表示制御を行う。例えば、エスカレータに乗客が乗っていて、表示を行ってもあまり効果がないときには、表示をしないことにすることで、表示部の消費電力を抑制することができる。
また、エスカレータ用ステップにおいて、ステップローラの回転軸に設けられローラ側回転子と、発電機の入力軸に設けられる発電機側回転子について、適当にそれぞれの外径を設定して、増幅機構とすることができる。ローラ側回転子と発電機側回転子の間は、ベルト等の動力伝達部材で接続してもよく、歯車機構を用いて直結してもよい。
また、エスカレータ表示システムは、各ステップの踏板またはライザに表示部を設け、エスカレータの運行に合わせ、下層階乗場と上層階乗場との間で乗客が乗ることができるステップである複数の利用ステップに設けられる表示部のみを表示する。このようにすることで、効果的な表示をしながら、不必要な表示を省略することができ、消費電力を抑制できる。
また、エスカレータ表示システムにおいて、複数の利用ステップのそれぞれの表示部の表示を独立としながら全体として1つの表示内容を表示する全体表示制御を行う。これによって、エスカレータ全体としての広い表示面積と、エスカレータの移動に伴う動く広告としての機能を付与でき、効果的な広告媒体とすることができる。
本発明に係る実施の形態のエスカレータ表示システムにおいて、ステップに表示が行われる様子を説明する図である。 本発明に係る実施の形態のエスカレータ用ステップの側面図である。 本発明に係る実施の形態のエスカレータ用ステップの正面図である。 本発明に係る実施の形態のエスカレータ用ステップの上面図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。また、以下では、ステップの踏板、ライザのそれぞれが表示機能を有するものとして説明するが、勿論、踏板のみ、あるいはライザのみが表示機能を有するものとしてもよい。また、以下では、表示部として、複数の発光素子を2次元的マトリクス状に整列した表示パネルを説明するが、予め定めた文字、模様等を表示するように、固定的に発光素子を配列した表示パネルとしてもよい。また、表示素子として発光素子以外のものを用いてもよい。例えば、液晶表示パネルを用いてもよい。その場合には、バックライトを設けるものとしてもよい。あるいは、複数の小型電球を配列したものを用いてもよい。
また、以下で説明する形状、寸法、材質等は、説明のための一例であって、生体用音響センサが適用される状況に応じ、適宜変更することができる。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、エスカレータ表示システム10の構成を説明する図である。このエスカレータ表示システム10は、エスカレータ20と制御装置90とを含み、エスカレータ20の各ステップ30に表示機能を付与したものである。
エスカレータ20は、上層階乗場22と下層階乗場24の間に、複数のステップ30を無端状に接続したものを、予め定めた昇降傾斜角度で配置した昇降装置である。複数のステップ30は、制御装置90の昇降制御部92の制御の下で移動する。図1に示される欄干26は、複数のステップ30が移動する昇降路の両側に設けられ、ステップ30に乗る乗客が手で掴むことができる移動手摺を支持するものである。
ステップ30は、図1の右側に拡大図で示されるように、乗客が乗る踏板40と、エスカレータ20の傾斜部での蹴上げに相当するライザ50とを含む。踏板40には、滑り止め等のために、クリートと呼ばれる複数の凹凸が設けられ、これに対応して、ライザ50には、噛みこみを防ぐ等のための凹凸が設けられるが、図1の拡大図では、いずれも図示を省略してある。
ステップ30の構成については、図2以下で詳細に説明するが、ここでは、表示機能について述べる。踏板40に設けられる表示用の透光孔部44は、踏板40の背後に設けられる表示部からの表示光を導くための孔である。同様に、ライザ50に設けられる表示用の透光孔部44は、ライザ50の背後に設けられる表示部からの表示光を導くための孔である。
ここでは、踏板40において、欄干26側の端部に表示用の透光孔部44が設けられる。例えば、エスカレータ20が昇降運行をするときに、この表示用の透光孔部44から黄色光を点滅させるようにすることで、乗客にこの部分を踏まないようにする誘導表示の機能をもたせることができる。
また、ライザ50において、その表面の中央部に、マトリクス状に2次元的に整列配置された表示用の透光孔部52が設けられる。拡大図で示される例では、ライザ50の背後に設けられる表示部の「M」の文字が、複数の表示用の透光孔部52を通して認識できる。このように、ライザ50のマトリクス状に2次元配置された表示用の透光孔部52は、その背後の表示部の文字、模様をライザ50の表面に浮かび上がらせて表示する機能を有する。
各ライザ50における表示は、それぞれ独立に行われるが、エスカレータ20の全体として、複数のライザ50の表示を一体としてまとまったものとすることができる。図1の例では、「WELCOME」の文字が、エスカレータ20の複数のライザ50の表面に表示されている。
制御装置90は、昇降制御部92と、表示制御部94を含む。昇降制御部92は、エスカレータ20におけるステップ30と欄干26の移動手摺の運行を全体として制御する。具体的には、予め設定される移動速度で、ステップ30を移動させ、これに合わせて欄干26の移動手摺を移動させる機能を有する。予め設定される移動速度としては、約30m/s等とすることができる。
表示制御部94は、各ステップ30に設けられる表示部の動作を全体として制御する機能を有する。後述するように、各ステップ30にはそれぞれ表示制御回路が設けられるので、制御装置90の表示制御部94は、各ステップ30の表示制御回路を全体として制御する。ここでは、予め定めた表示内容を表示部の画面に表示させる一般的な表示制御の他に、昇降制御部92と協働して、エスカレータ20の運行に合わせた表示制御を行う。
1つ目は、エスカレータ20の運行に合わせ、上層階乗場22と下層階乗場24との間で乗客が乗ることができるステップ30である複数の利用ステップに設けられる表示部のみを表示する。これにより、無端状に接続される複数のステップ30のうち、床下に隠れて人目につかないステップ30については表示を行わないようにでき、エスカレータ20の全体としての表示部の消費電力を抑制することができる。
2つ目は、複数の利用ステップのそれぞれの表示部の表示を独立としながら、エスカレータ20の全体として1つの表示内容を表示する全体表示制御を行う。図1の「WELCOME」表示はその1例である。
次に、ステップ30の詳細構成について、図2から図4を用いて説明する。個々のステップ30は、それぞれが独立の部品として扱うことができるように構成される。図2は、ステップ30の側面図であり、図3は、ステップ30の正面図で、ライザ50を正面から見た図であり、図4は、ステップ30の上面図で、踏板40を上面から見た図である。
ステップ30におけるフレーム32は、踏板40の長手方向両側の下部にそれぞれ設けられる一対のブラケットと、この一対のブラケットを踏板40の長手方向に渡って接続する複数の渡し棒部材とを組み合わせた枠部材である。フレーム32は、踏板40の下部に配置されて踏板40を下方から支持する。また、フレーム32は、正面側の枠の部分で、ライザ50を裏面から支持する。また、フレーム32には、発電機側回転子74,75、
発電機増速機76,77、発電機78,79、蓄電装置80、回路基板82が取り付けられる。
図2において、フレーム32のライザ50の側と反対側で、踏板40の下部のところに、踏板40の長手方向の両側にそれぞれ設けられる連結部34,35は、図示されていないステップ軸が連結される部分である。このステップ軸の両端には駆動ローラがそれぞれ設けられる。駆動ローラは、エスカレータ20が昇降動作するときに、エスカレータ20の床下に延設される転送レールに案内されながら回転する。これによって、無端状に接続されたステップ30は、転送レールによって規定されるループ状の軌道に沿って移動することになる。
ステップローラ36,37は、フレーム32のライザ50側下部に設けられ、回転軸38,39の周りに回動可能な円板状の回転部材である。ステップローラ36,37は上記の駆動ローラと異なり、ステップ30が移動することで転送レール上を転がる従動ローラで、部品としてのステップ30の構成要素である。ステップローラ36,37の直径は約75mmである。エスカレータ20の移動速度を30cm/sとすれば、ステップローラ36,37の回転数は、毎分1.27回転である。
回転軸38,39を介してステップローラ36,37と同軸に配置されるローラ側回転子70,71は、ベルト72,73を掛けるためのローラ側プーリである。ローラ側回転子70,71は、エスカレータ20の転送レールと干渉しない大きさに設定される。
発電機側回転子74,75は、フレーム32に対し回転可能に支持されるプーリである。発電機側回転子74,75は、ローラ側回転子70,71との間に掛け渡されるベルト72,73を介して、ステップローラ36,37の回転エネルギを動力として受け取る機能を有する。このように、ベルト72,73は、ローラ側回転子70,71と発電機側回転子74,75の間に掛け渡されて、ステップローラ36,37側の動力を伝達する機能を有する動力伝達手段である。
発電機側回転子74,75の直径は、ローラ側回転子70,71の直径よりも小さく設定される。(ローラ側回転子70,71の直径)/(発電機側回転子74,75の直径)=(発電機側回転子74,75の回転数)/(ローラ側回転子70,71の回転数)=(発電機側回転子74,75の回転数)/(ステップローラ36,37の回転数)=増速比となる。このように、ローラ側回転子70,71、ベルト72,73、発電機側回転子74,75は、増速機構を構成する。この増速機構を次の発電機増速機76,77と区別して、ローラ側増速機構と呼ぶことにする。ローラ側増速機構によって、発電機側回転子74,75は、ステップローラ36,37の回転数に増速比を乗じた回転数で回転する。例えば、増速比として、5程度とすることができる。
発電機側回転子74,75と発電機78,79との間に設けられる発電機増速機76,77は、発電機側回転子74,75の入力軸の回転数をさらに増速する機構である。具体的には、歯車式増速機構を用いることができる。発電機増速機76,77の増速比は、10から20程度とすることができる。このように、ローラ側増速機構と、発電機増速機76,77によって、ステップローラ36,37の回転数は、数十倍から百倍程度に増速され、発電に適した回転数となる。
フレーム32に取り付けられる発電機79は、入力軸の回転数に応じた発電電力を出力する回転電機である。具体的には、入力軸に永久磁石が取り付けられて回転子を構成し、モータケースにコイルが設けられて固定子を構成する。永久磁石が回転することで、固定子のコイルに鎖交する磁束が時間と共に変化し、フレミングの法則に従って、コイルに誘起電流が流れる。これによって発電が行われる。誘起電流である発電電流の大きさは磁束の時間変化の大きさに比例するので、入力軸の回転数が大きいほど、発電電流が大きくなる。上記のように、ローラ側増速機構と、発電機増速機76,77によって、ステップローラ36,37の回転数は、数十倍から百倍程度に増速されるので、発電電流も、その分大きくなる。
蓄電装置80は、発電電力を蓄電し、蓄電された電力を負荷に供給する充放電可能な2次電池である。蓄電装置としては、キャパシタ、蓄電池等を用いることができる。
回路基板82は、表示制御回路84が搭載される基板で、表示制御回路84には蓄電装置80から電力が供給される。
表示制御回路84は、ライザ50の背面に取り付けられる表示パネル60の動作を制御する回路である。具体的には、表示パネル60を構成する複数の発光素子62を作動させる駆動回路と、駆動回路の動作を制御する制御ICとで構成される。制御ICは、エスカレータ20の制御装置90の表示制御部94からの制御信号によって駆動回路を制御する。また、これとは別に、表示プログラムを内蔵するメモリを有し、その表示プログラムに従って駆動回路の動作を制御するものとしてもよい。
表示制御回路84は、ステップ30の周辺の明るさに応じて、駆動回路の動作を制御する機能を有する。ステップ30の周辺の明るさは、踏板40周辺の明るさを検出するセンサ、ライザ50周辺の明るさを検出するセンサを用い、これらのセンサの検出結果に応じて、駆動回路の動作を停止し、あるいは発光素子62の輝度を調整する。
これによって、踏板40やライザ周辺が暗いときは発光素子の輝度を低くし、踏板40やライザ周辺が明るいときは発光素子の輝度を高くする。このようにすることで、踏板40における表示、ライザ50における表示が人間の目の視認の観点から十分なものとしつつ、表示パネル60に関する消費電力を抑制することができる。
エスカレータ20に乗客が多く乗って、その足や身体によってライザ50の表示があまり視認できないことが生じる。そのような状況のときは、踏板40の周辺、ライザ50の周辺が暗くなるので、明るさ検出のためのセンサによって検出ができる。その他に、踏板40やライザ50に反射光検出センサを設け、踏板40の上に乗客の足があるか否かを検出するものとしてもよい。これらの手段によって、ライザ50の表示があまり視認できない状況であると判断されるときには、表示制御回路84は、表示パネル60の動作を停止させる。これによって、無駄な表示を行わず、消費電力を抑制することができる。
表示パネル60は、図2に示されるように、ライザ50の背面に取り付けられる表示部である。具体的には、図3に示されるように、マトリクス状に、発光素子62を2次元的に整列配置したパネルである。発光素子62としては、発光ダイオードを用いることができる。図3の例では、6行13列の合計78個の発光素子62が配列されている。各発光素子62は、それぞれ表示制御回路64によって動作が制御される。
図3において、ライザ50に設けられる表示用の透光孔部52は、表示部である表示パネル60の発光素子62の表示光を外部に導くための孔である。したがって、エスカレータ20を利用する乗客は、この表示用の透光孔部52を通して、表示部である表示パネル60の表示内容を視認する。その観点では、表示用の透光孔部52がライザ50における表示部ということもできるが、ここでは、表示部はあくまでライザ50の背後にある表示パネル60であって、透光孔部52は、その表示部の表示光を外部に導くための孔にすぎない。
透光孔部52は、ライザ50の表面の凹凸の溝部の部分に貫通して設けられる。透光孔部52は、貫通孔に異物等が入って透光性を妨げないように、適当な透光性を有する樹脂等が充填されることが好ましい。ライザ50における透光孔部52の配置は、表示パネル60の発光素子62の2次元整列配置と同じ配列ピッチである。換言すれば、ライザ50に表示パネル60を取り付けると、表示パネル60の各発光素子62の位置に対応する位置にそれぞれ透光孔部52が来る。なお、透光孔部52の直径の大きさは、表示パネル60に配置される発光素子62の発光面積に相当する直径よりも小さく設定することがよい。
このように透光孔部52をライザ50に設けることで、ライザ50の背後の表示パネル60の各発光素子62の点滅による表示内容が、エスカレータ20を利用する乗客によって、そのまま、ライザ50の表面に視認される。
図4は、踏板40における表示用の透光孔部44の配置を説明する図である。踏板40の背後には、この透光孔部44の配置に対応して発光素子が配置される表示パネルが表示部として設けられることは、ライザ50の場合と同様である。
踏板40における透光孔部44は、図1でも述べたように、踏板40の欄干26側の両端部に設けられる。一般的なエスカレータにおいて、踏板40の欄干26側の両端部は、例えば、黄色く塗装されたセフティライン42,43が設けられる。このセフティライン42,43は、そこに乗客が乗ると、欄干26側と乗客の足等が干渉することがあるので、そのことを注意するために、色を異ならせてある。
踏板40における透光孔部44は、このセフティライン42,43の範囲における表面の凹凸の溝部の部分に貫通して設けられる。透光孔部44に適当な透光性樹脂を充填することが好ましいこともライザ50における透光孔部52と同様である。このように、セフティライン42の範囲に透光孔部44を設け、その背後の表示部において発光素子を点灯または点滅させることで、その範囲に乗らないように、乗客により一層注意を促すことができる。
ライザ50の場合と同様に、踏板40にもマトリクス状に2次元的に透光孔部を整列配置することもできる。この場合、ライザ50には乗客の体重が掛からないのに対し、踏板40には乗客の体重が掛かるので、強度的な配慮が必要である。例えば、透光孔部の配置ピッチを広げて、踏板40に要求される強度を確保するようにしてもよい。あるいは、踏板40の背後に補強板を配置して、透光孔部による強度低下を補うようにしてもよい。
本発明に係るエスカレータ用ステップ及びこれを用いるエスカレータ表示システムは、一般乗客が利用するエスカレータに用いることができる。
10 エスカレータ表示システム、20 エスカレータ、22 上層階乗場、24 下層階乗場、26 欄干、30 ステップ、32 フレーム、34,35 連結部、36,37 ステップローラ、38,39 回転軸、40 踏板、42,43 セフティライン、44,52 透光孔部、50 ライザ、60 表示パネル、62 発光素子、64 表示制御回路、70,71 ローラ側回転子、72,73 ベルト、74,75 発電機側回転子、76,77 発電機増速機、78,79 発電機、80 蓄電装置、82 回路基板、84 表示制御回路、90 制御装置、92 昇降制御部、94 表示制御部。

Claims (6)

  1. エスカレータの乗客が乗る踏板と、
    踏板の下部に配置されて踏板を下方から支持するフレームと、
    フレームに配置され、エスカレータの傾斜部での蹴上げに相当するライザと、
    フレームのライザ側下部に回動可能に設けられ、エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラと、
    ステップローラの回転速度を増速する増速機構と、
    増速機構に接続され、回転速度に応じた発電電力を出力する発電機と、
    発電電力を蓄電する蓄電装置と、
    踏板またはライザに設けられ、蓄電装置からの電力によって表示を行う表示部と、
    を備えることを特徴とするエスカレータ用ステップ。
  2. 請求項1に記載のエスカレータ用ステップにおいて、
    表示部は、踏板またはライザの背後に設けられ、
    表示部が設けられる踏板またはライザは、表示部からの光を通す透光孔部を有することを特徴とするエスカレータ用ステップ。
  3. 請求項2に記載のエスカレータ用ステップにおいて、
    踏板周辺の明るさまたはライザ周辺の明るさを検知する検知部と、
    検知部の検知結果に応じ、表示部に対する表示制御を行う表示制御回路と、
    を備えることを特徴とするエスカレータ用ステップ。
  4. 請求項3に記載のエスカレータ用ステップにおいて、
    増速機構は、
    ステップローラの回転軸と同軸に設けられローラ側回転子と、
    発電機の入力軸に同軸に設けられ、ローラ側回転子の外径に対し予め定めた増速比で定まる外径を有する発電機側回転子と、
    を含むことを特徴とするエスカレータ用ステップ。
  5. 乗客が乗る踏板と蹴上げに相当するライザとを含む複数のステップを無端状に接続して、予め定めた昇降傾斜角度で、下層階乗場と上層階乗場の間に配置されるエスカレータと、
    各ステップの踏板またはライザに設けられる表示部と、
    エスカレータの運行に合わせ、下層階乗場と上層階乗場との間で乗客が乗ることができるステップである複数の利用ステップに設けられる表示部のみを表示する制御を行う表示制御部と、
    を備え、
    ステップは、
    エスカレータが昇降動作すると共に回転する一対のステップローラと、
    ステップローラの回転速度を増速する増速機構と、
    増速機構に接続され、回転速度に応じた発電電力を出力する発電機と、
    発電電力を蓄電し、表示部に表示電力を供給する蓄電装置と、
    を含むことを特徴とするエスカレータ表示システム。
  6. 請求項5に記載のエスカレータ表示システムにおいて、
    表示制御部は、
    複数の利用ステップのそれぞれの表示部の表示を独立としながら全体として1つの表示内容を表示する全体表示制御を行うことを特徴とするエスカレータ表示システム。
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