JP2012163156A - ポペット弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに開口面積が急に変化するのを防ぎ、流量の変化を緩和することができるようにする。
【解決手段】 弁体37の筒状突出部38Eには、弁部38D側に位置してリフト量に対する開口面積の変化量を小さくし流量の変化を小さくする小流量調整部44と、小流量調整部44よりも弁体37の先端側に位置して前記リフト量に対する開口面積の変化を大きくし流量の変化を大きくする大流量調整部45とを設ける。大流量調整部45は、筒状突出部38Eの外周面を円弧状に面取りして形成された円弧面部45Aと、弁体37が大流量範囲にあるときに筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させる複数の切欠き部45Bとにより構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば油圧回路の途中に設けられ、流路を開,閉したり、流量の調整を行ったりするのに好適に用いられるポペット弁に関する。
一般に、油圧ショベル等の建設機械に用いる油圧回路では、弁ハウジング内の流路を開,閉したり、流量の調整を行ったりするのにポペット弁が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この種の従来技術によるポペット弁では、互いに交差した入口側通路と出口側通路がハウジングに設けられ、前記出口側通路に対する入口側通路の交差部位となる接続端側にはシート部が設けられている。また、前記ハウジング内には、前記シート部に離着座して前記通路間を連通,遮断するポペット型の弁体が設けられている。
前記弁体は、前記シート部に着座したときに入口側通路と出口側通路との間を遮断する。一方、前記弁体がシート部から離座したときには、入口側通路と出口側通路との間を連通すると共に、そのリフト量に応じて流体の流量が可変に調整される。このため、従来技術によるポペット弁には、リフト量に対する流量の変化を小さくして小流量調整を行う複数のノッチが、弁体の先端側外周に切欠いて設けられている。さらに、前記各ノッチよりも前記弁体の先端側には、先細りにした円錐状の突起部を設けることにより、必要となる最大の開口面積を確保できるようにしている。
特開2006−17273号公報
ところで、上述した従来技術によるポペット弁では、前記弁体がシート部に着座した全閉位置とシート部から最も離間した全開位置との間で変位する。このとき、弁体のリフト量が小さい小流量範囲にあるときには、流体の流量を微妙に調整して制御するために、リフト量に対する流体の流量変化は小さい。一方、リフト量が大きい大流量範囲に弁体を位置させたときには、その開口面積が速やかに最大に到達するように、リフト量に対する流量変化が大きくなっている。
しかし、従来技術によるポペット弁では、弁体の先端側を円錐状の突起部として形成しているから、弁体が大流量範囲にあるときには、リフト量にほぼ比例して開口面積が変化する。このため、弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときには、その開口面積がリフト量に対して急激に変化する傾向があり、流体の流量が急に増加するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに開口面積が急に変化するのを防ぎ、流量の変化を緩和することができるようにしたポペット弁を提供することにある。
上述した課題を解決するため本発明は、互いに交差する第1流路と第2流路とを有し、該第2流路に対する前記第1流路の交差部位にテーパ状のシート部が設けられたハウジングと、前記第1流路に進退可能な状態で前記ハウジングに設けられ、前記シート部に離着座する弁部と、先端側が該弁部よりも前記第1流路に向けて突出した筒状突出部とを有する弁体とを備え、該弁体は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する開口面積をリフト量に応じて変化させ前記第1流路と前記第2流路との間を流れる流体の流量を制御するポペット弁に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記弁体の筒状突出部には、前記弁部側に位置して前記リフト量に対する開口面積の変化量を小さくし流量の変化を小さくする小流量調整部と、該小流量調整部よりも前記弁体の先端側に位置して前記リフト量に対する開口面積の変化を大きくし流量の変化を大きくする大流量調整部とを設け、前記弁体は、前記弁部が前記シート部に着座した全閉位置にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を遮断し、前記弁部が前記シート部から離座し、かつ前記筒状突出部の小流量調整部が前記シート部よりも前記第1流路に進入した小流量範囲にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を小流量の流体が流通可能な状態で連通し、前記弁部が前記シート部から離座し、かつ前記筒状突出部の小流量調整部が前記第1流路よりも前記シート部側に退出した大流量範囲にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を大流量の流体が流通可能な状態で連通する構成とし、前記弁体の大流量調整部は、前記弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替るときの開口面積の変化を緩和するため前記筒状突出部の外周面を円弧状に面取りして形成された円弧面部と、前記弁体が大流量範囲にあるときに前記筒状突出部の内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させる複数の切欠き部とを有する構成としたことにある。
また、請求項2の発明は、前記弁体の円弧面部を、前記筒状突出部の先端から前記大流量調整部と小流量調整部との境界部分まで延びる構成としている。
さらに、請求項3の発明によると、前記弁体の切欠き部は、前記筒状突出部の先端側から切欠いた最も深い部分を前記大流量調整部と小流量調整部との境界部分に近い位置に配置する構成としている。
上述の如く、請求項1の発明によれば、弁体の弁部がシート部から離座し、筒状突出部の小流量調整部がシート部よりも第1流路側に進入した小流量範囲にあるときに、例えば第1流路から第2流路に向けて流れる流体を小流量に調整して制御することができる。また、弁体の大流量調整部は、筒状突出部の外周面に円弧状の面取りを施した円弧面部を有しているため、この円弧面部の曲面に応じて開口面積を緩やかに増加させることができ、小流量範囲から大流量範囲に切替わるときの開口面積の変化を緩和することができる。
また、弁体の大流量調整部は、筒状突出部の内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させるための切欠き部を有しているから、弁体が大流量範囲に位置して弁体の筒状突出部の周囲を流体が通過するときに、この流体の流れの一部を筒状突出部の径方向に向かう流れにすることができる。この結果、弁体の変位方向に対抗する流体の流通を抑制することができ、これにより、例えば弁体を閉弁方向に向けて付勢する流体力を低減することができ、弁体のリフト量への流体力の影響を低減することができる。
請求項2の発明によると、弁体の円弧面部は、筒状突出部の先端から大流量調整部と小流量調整部との境界部分まで延びる構成としたから、小流量範囲の流量制御に影響を与えることはなく、かつ弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、弁体のリフト量に対する開口面積の急な変化を良好に緩和することができる。
請求項3の発明によると、弁体の筒状突出部に形成した切欠き部は、筒状突出部の先端側から切り欠いた最も深い部分を大流量調整部と小流量調整部との境界部分に近い位置に配置しているので、弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、流体の流れの一部を筒状突出部の径方向の流れにすることができる。このため、弁体を大流量範囲のうちいずれの位置に配置したときでも、各切欠き部を通じて筒状突出部の径方向に向けて流体を流通させることができるから、弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、閉弁方向に向けた流体力を速やかに低減することができる。
本発明の第1の実施の形態によるポペット弁を油圧ショベルの油圧回路に適用した場合を示す全体構成図である。 図1中のポペット弁および方向制御弁を示す縦断面図である。 図2中のポペット弁を拡大して示す縦断面図である。 図3中の弁部材を単体として示す斜視図である。 ポペット弁の弁体が小流量範囲にリフトしている状態を示す図3とほぼ同様な縦断面図である。 ポペット弁の弁体が小流量範囲と大流量範囲の境界までリフトした状態を示す図3とほぼ同様な縦断面図である。 ポペット弁の弁体が全開位置までリフトした状態を示す図3とほぼ同様な縦断面図である。 ポペット弁のリフト量と開口面積との関係を示す特性線図である。 第2の実施の形態によるポペット弁を示す図3とほぼ同様な縦断面図である。 弁体のリフト量に対する第1,第2の実施の形態による切欠き部の開口面積の変化特性を示す特性線図である。
以下、本発明の実施の形態によるポペット弁を、油圧ショベルの油圧回路に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた後述の作業装置4とにより構成されている。
4は上部旋回体3の前部に設けられた作業装置で、該作業装置4は、基端側が上部旋回体3に取付けられたブーム5と、該ブーム5の先端側に取付けられたアーム6と、該アーム6の先端側に取付けられた作業具としてのバケット7と、上部旋回体3とブーム5との間に設けられブーム5を俯仰動させるブームシリンダ8と、ブーム5とアーム6との間に設けられアーム6を俯仰動させるアームシリンダ9と、アーム6とバケット7との間に設けられバケット7を回動させるバケットシリンダ10等とにより構成されている。
11は油圧ショベル1に搭載されたメインの油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ11は、タンク12と共に油圧源を構成し、例えばディーゼルエンジン等の原動機(図示せず)により回転駆動されるものである。そして、油圧ポンプ11は、タンク12内の作動油を吸込んでポンプ管路13(センタバイパス管路14)に向けて圧油を吐出し、この圧油は後述のブーム用制御弁16,アーム用制御弁18を介してブームシリンダ8,アームシリンダ9に供給される。また、ブーム用制御弁16,アーム用制御弁18とタンク12との間には、例えばブームシリンダ8,アームシリンダ9からの戻り油をタンク12側に還流させるためのタンク管路15が設けられている。
ここで、ポンプ管路13の途中には分岐管路13A,13Bが設けられ、一方の分岐管路13Aは、後述のポペット弁36を介してアーム用制御弁18の高圧側ポート(即ち、図2中に示す後述の出口側通路25)に接続される。他方の分岐管路13Bは、後述するブーム用制御弁16の高圧側ポートに接続されるものである。なお、ポンプ管路13とタンク管路15は、他の分岐管路、他の方向制御弁(いずれも図示せず)等を介してバケットシリンダ10等にも接続されるものである。
16はブームシリンダ8用の方向制御弁(以下、ブーム用制御弁16という)で、該ブーム用制御弁16は、左,右の油圧パイロット部16A,16Bを有し、常時は中立位置(イ)に保持される。そして、ブーム用制御弁16は、左,右の油圧パイロット部16A,16Bに対して、例えば油圧パイロット式の操作弁(図示せず)からパイロット圧が供給されることにより、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換えられる。
17A,17Bはブームシリンダ8とブーム用制御弁16との間に設けられた一対の主管路で、該主管路17A,17Bのうち一方の主管路17Aは、ブームシリンダ8のボトム側油室(図示せず)をブーム用制御弁16の一方の圧油流出入ポートに接続するものである。他方の主管路17Bは、ブームシリンダ8のロッド側油室(図示せず)をブーム用制御弁16の他方の圧油流出入ポートに接続するものである。
ブーム用制御弁16が中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13B、ブーム用制御弁16、主管路17Aを介してブームシリンダ8の前記ボトム側油室に供給され、前記ロッド側油室内の圧油は主管路17B、ブーム用制御弁16、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、ブームシリンダ8は前記ボトム側油室に供給された圧油により伸長し、ブーム5を上向きに仰動する。
ブーム用制御弁16が中立位置(イ)から切換位置(ハ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13B、後述のポペット弁36、ブーム用制御弁16、主管路17Bを介してブームシリンダ8のロッド側油室に供給され、ボトム側油室内の圧油は主管路17A、ブーム用制御弁16、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、ブームシリンダ8は前記ロッド側油室に供給された圧油により縮小し、ブーム5を下向きに俯動する。
18はアームシリンダ9用の方向制御弁(以下、アーム用制御弁18という)で、該アーム用制御弁18は、左,右の油圧パイロット部18A,18Bを有し、常時は中立位置(イ)に保持される。そして、アーム用制御弁18は、左,右の油圧パイロット部18A,18Bに対して、例えば油圧パイロット式の操作弁(図示せず)からパイロット圧が供給されることにより、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)に切換えられる。
19A,19Bはアームシリンダ9とアーム用制御弁18との間に設けられた一対の主管路で、該主管路19A,19Bのうち一方の主管路19Aは、アームシリンダ9のボトム側油室(図示せず)をアーム用制御弁18の一方の圧油流出入ポート(即ち、図2中に示す流出入通路28A)に接続するものである。他方の主管路19Bは、アームシリンダ9のロッド側油室(図示せず)をアーム用制御弁18の他方の圧油流出入ポート(即ち、図2中に示す流出入通路28B)に接続するものである。
アーム用制御弁18が中立位置(イ)から切換位置(ロ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13A、後述の入口側通路24、ポペット弁36、出口側通路25、アーム用制御弁18、主管路19Aを介してアームシリンダ9の前記ボトム側油室に供給され、前記ロッド側油室内の圧油は主管路19B、アーム用制御弁18、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、アームシリンダ9は前記ボトム側油室に供給された圧油により伸長し、ブーム5を下向きに俯動する。
アーム用制御弁18が中立位置(イ)から切換位置(ハ)に切換えられたときには、油圧ポンプ11からの圧油が分岐管路13A、後述の入口側通路24、ポペット弁36、出口側通路25、アーム用制御弁18、主管路19Bを介してアームシリンダ9のロッド側油室に供給され、ボトム側油室内の圧油は主管路19A、アーム用制御弁18、タンク管路15を介してタンク12に排出される。これにより、アームシリンダ9は前記ロッド側油室に供給された圧油により縮小し、アーム6を上向きに仰動する。
20は設定圧可変式のリリーフ弁で、該リリーフ弁20は、ポンプ管路13、センタバイパス管路14とタンク管路15との間に設けられている。リリーフ弁20は、例えばポンプ管路13内の圧力が設定圧以上に上昇すると開弁し、このときの過剰圧をタンク管路15側にリリーフするものである。ここで、リリーフ弁20は、圧力設定用ばね20Aおよびパイロット油室20B等を有し、外部からパイロット油室20Bに供給されるパイロット圧に従って圧力設定用ばね20Aの設定圧力が変化される。これにより、リリーフ弁20は、そのリリーフ設定圧が低圧設定と高圧設定との間で2段階または3段以上の多段階に調整可能な構成となっている。
21は後述のポペット弁36とアーム用制御弁18とを含んで構成された制御弁装置で、該制御弁装置21は、図2に示すようにアーム用制御弁18とポペット弁36とに共通したハウジングとしての弁ケーシング22を有している。該弁ケーシング22には、その左,右方向に貫通して延びたスプール摺動穴23と、該スプール摺動穴23の径方向に離間して形成された第1流路としての入口側通路24と、該入口側通路24と交差して延び全体として逆U字状に形成された第2流路としての出口側通路25と、該出口側通路25に対する入口側通路24の交差部位24Aに形成され後述の弁体37が離着座する環状弁座としてのテーパ状のシート部26とが設けられている。
また、弁ケーシング22には、出口側通路25、シート部26を挟んで入口側通路24とは反対側に配置された段付穴からなる弁体摺動穴27と、該弁体摺動穴27を挟んで左,右方向に離間しアーム用制御弁18の圧油流出入ポートを構成する一対の流出入通路28A,28Bとが形成されている。前記弁体摺動穴27は、後述の衝合ブロック34と出口側通路25との間をスプール摺動穴23とほぼ直交する方向(径方向)に沿って延び、後述の弁体37が弁体摺動穴27内に変位可能に挿嵌されている。
スプール摺動穴23の周壁側には、図2中の左,右方向に離間した第1の環状油溝23A,23Bと、該第1の環状油溝23A,23Bよりもスプール摺動穴23の軸方向外側に位置し互いに左,右方向に離間した第2の環状油溝23C,23Dと、該第2の環状油溝23C,23Dよりもスプール摺動穴23の軸方向外側に位置し互いに左,右方向に離間した第3の環状油溝23E,23Fとが形成されている。
第1の環状油溝23A,23Bは、全体として逆U字状に形成された出口側通路25により互いに連通し、後述のスプール29が図2に示す中立位置から左,右方向に変位したときに第2の環状油溝23C,23Dに対して連通,遮断される。第2の環状油溝23C,23Dは、左,右の流出入通路28A,28Bを介して一対の主管路19A,19Bに常時連通している。また、第3の環状油溝23E,23Fは、各タンク管路15を介してタンク12に常時連通している。弁ケーシング22には、出口側通路25の途中から分岐した小径の油路からなる分岐通路25Aが形成されている。この分岐通路25Aは、後述する衝合ブロック34側の通路34Dと常時連通している。
29はアーム用制御弁18のスプールで、該スプール29は、弁ケーシング22のスプール摺動穴23内に挿嵌され、外部から油圧パイロット部18A,18Bに供給されたパイロット圧に従ってスプール摺動穴23内を左,右方向に摺動変位する。これにより、図1に示すアーム用制御弁18は、中立位置(イ)から左,右の切換位置(ロ),(ハ)に切換わるものである。
スプール29は、図2中に示すように第2の環状油溝23C,23Dを第1の環状油溝23A,23Bと第3の環状油溝23E,23Fとのいずれか一方に選択的に連通,遮断させる切換ランド29A,29Bを有している。この切換ランド29A,29Bには、圧油の流量を微調整するためのノッチ29A1 ,29B1 がそれぞれ複数個、周方向に離間して形成されている。
即ち、スプール29が図2中の矢示A方向に摺動変位したときには、スプール29の切換ランド29Aが第1の環状油溝23Aを第2の環状油溝23Cに連通させ、スプール29の切換ランド29Bは、第1の環状油溝23Bを第2の環状油溝23Dに対して遮断すると共に、第2の環状油溝23Dを第3の環状油溝23Fに連通させる。これにより、アーム用制御弁18は、図1に示す中立位置(イ)から左側の切換位置(ロ)に切換わる。
一方、スプール29が図2中の矢示B方向に摺動変位したときには、スプール29の切換ランド29Bが第1の環状油溝23Bを第2の環状油溝23Dに連通させ、スプール29の切換ランド29Aは、第1の環状油溝23Aを第2の環状油溝23Cに対して遮断すると共に、第2の環状油溝23Cを第3の環状油溝23Eに連通させる。これにより、アーム用制御弁18は、図1に示す中立位置(イ)から右側の切換位置(ハ)に切換わる。
30A,30Bはスプール29と共にアーム用制御弁18を構成する左,右の蓋体で、該蓋体30A,30Bは、スプール摺動穴23の軸方向(左,右方向)両側に位置して弁ケーシング22に設けられ、スプール摺動穴23の両端側を閉塞するものである。また、蓋体30A,30Bには油圧パイロット部18A,18Bが設けられ、これらの油圧パイロット部18A,18Bには、前記操作弁からパイロット圧が供給される。アーム用制御弁18のスプール29は、このときのパイロット圧に従ってスプール摺動穴23内を左,右方向(図2中の矢示A,B方向)に摺動変位されるものである。
ここで、右側の蓋体30Bは、左側の蓋体30Aよりも長尺に形成され、この蓋体30B内には、後述のスリーブ31、ストッパ32、センタリング用のばね33等が設けられている。また、蓋体30Bには、図2に示す如くばね33の端部側が当接する環状の段部30B1 が設けられている。
31は弁ケーシング22の端面と蓋体30Bとの間に挟持して設けられたスリーブで、該スリーブ31は、その内径がスプール摺動穴23の穴径に対応し、蓋体30B内でスプール29を摺動変位可能に支持している。また、スリーブ31は、スプール29が図2に示すように中立位置にあるとき、または図2中の矢示B(左方向)に摺動変位したときに、後述するばね33のばね力を受承するものである。
32はスプール29の右側端部に螺着して設けられたストッパで、該ストッパ32は、蓋体30B内に摺動変位可能に配置され、蓋体30B内を軸方向に延びる軸部32Aを有している。そして、ストッパ32は、スプール29が図2中の矢示A方向(右方向)に摺動変位したときに、スプール29のストロークエンドを規制するものである。
33はスプール29を中立位置に保持するためのセンタリング用のばねで、該ばね33は、軸部32Aの外周側に位置してスプール29の端面(スリーブ31の端面)とストッパ32(蓋体30Bの段部30B1 )との間に予め初期荷重を与えた状態で配設されている。そして、ばね33は、油圧パイロット部18A,18Bからのパイロット圧がタンク圧レベルまで低下したときに、スプール29を中立位置に保持するものである。
また、外部から油圧パイロット部18Aに供給されたパイロット圧でスプール29が図2中の矢示A方向(右方向)に摺動変位するときに、スプール29の端面と蓋体30Bの段部30B1 との間でばね33は圧縮変形される。一方、外部から油圧パイロット部18Bに供給されたパイロット圧でスプール29が図2中の矢示B方向(左方向)に摺動変位するときには、スリーブ31の端面とストッパ32との間でばね33は圧縮変形されるものである。
34は弁ケーシング22と共にハウジングを構成する衝合ブロックで、該衝合ブロック34は、弁ケーシング22の弁体摺動穴27を外側から閉塞するように弁ケーシング22の外側面に衝合して設けられている。衝合ブロック34には、後述するポペット弁36のキャップ体41が嵌合して取付けられる嵌合凹部34Aと、後述する背圧調整弁35のスプール弁体35A等が収容される弁収容穴34Bと、該弁収容穴34Bと嵌合凹部34Aとの間を連通する第1の通路34Cと、弁ケーシング22の分岐通路25Aと弁収容穴34Bとの間を斜めに傾斜して延び背圧調整弁35により第1の通路34Cに対して連通,遮断される第2の通路34Dと、パイロット圧の給排ポート34Eおよびドレンポート34Fとが設けられている。
35は衝合ブロック34に設けられた背圧調整弁で、該背圧調整弁35は、弁収容穴34B内に摺動可能に挿嵌して設けられノッチ35A1 を有した段付のスプール弁体35Aと、該スプール弁体35Aの一側にばね室を画成する蓋部35Bと、該蓋部35Bとスプール弁体35Aとの間に縮装状態で設けられたスプリング35Cとを含んで構成されている。
背圧調整弁35は、スプリング35Cにより図1中に示す連通位置(a)に配置されるときに、第1,第2の通路34C,34D間をスプール弁体35Aを介して連通させる。このため、後述するポペット弁36の背圧室42は、第1,第2の通路34C,34Dおよび弁ケーシング22側の分岐通路25Aを介して出口側通路25と連通し、出口側通路25とほぼ等しい圧力に保たれる。
一方、背圧調整弁35のスプール弁体35Aは、外部の遠隔操作弁(図示せず)から給排ポート34Eに供給されるパイロット圧が予め決められた所定の圧力値以上まで上昇したときに、スプリング35Cに抗して摺動変位し、第1,第2の通路34C,34D間を遮断する。これにより、背圧調整弁35は、図1中に示す連通位置(a)から遮断位置(b)にスプリング35Cに抗して切換わるものである。このため、後述の背圧室42は、第2の通路34C(出口側通路25)に対して遮断され、弁体37のリフト量を小さく抑えるように後述の如く作用する。
36は制御弁装置21の一部を構成するポペット弁で、該ポペット弁36は、弁ケーシング22に設けられた入口側通路24、出口側通路25、シート部26および弁体摺動穴27と、後述の弁体37、キャップ体41、背圧室42および付勢ばね43とを含んで構成されている。そして、ポペット弁36は、背圧調整弁35と協働して後述する弁体37のリフト量を可変に調整し、これに応じてアーム制御弁18を流通する圧油の流量を可変に制御するものである。
37はポペット弁36の弁体で、該弁体37は、図3に示すように弁体摺動穴27内に挿嵌された段付の弁部材38と、該弁部材38の軸方向一側に螺合して設けられ後述のチェック弁体40を弁部材38との間で変位可能に保持する弁保持部材39とにより構成されている。弁保持部材39は、後述の付勢ばね43をキャップ体41との間で縮装状態に支持するばね受部39Aと、該ばね受部39Aよりも小径な有蓋筒状に形成され弁部材38(後述する段付穴部38Gの上部側)内に螺入した状態で後述のチェック弁体40を変位可能に保持する小径な保持筒部39Bとを含んで構成されている。
弁部材38は、弁体摺動穴27内に摺動可能に挿嵌された大径部38Aと、該大径部38Aの軸方向一側に設けられた小径筒部38Bと、大径部38Aの軸方向他側に小径な縮径部38Cを介して一体に形成され外周側が弁ケーシング22のシート部26に離着座する弁部38Dと、該弁部38Dの他側(先端側)から入口側通路24の交差部位24A内に向けて軸方向に突出した筒状突出部38Eとを含んで構成されている。
また、弁部材38には、前記筒状突出部38Eの内周側から大径部38A、小径筒部38B内へと軸方向一側(上側)に向けて延び途中部位に後述するチェック弁体40用の弁座38Fが形成された段付穴部38Gと、該段付穴部38Gの径方向に延びた複数の径方向穴38Hとが設けられている。さらに、弁部材38の筒状突出部38Eには、後述の小流量調整部44と大流量調整部45とが設けられている。入口側通路24から出口側通路25に向けて流れる圧油の流量は、これらの小流量調整部44と大流量調整部45とにより後述の如く調整されるものである。
40は弁部材38と弁保持部材39との間に収容されたチェック弁体で、該チェック弁体40は、弁保持部材39の保持筒部39B内に摺動可能に挿嵌され、常時は弁部材38の弁座38Fに着座するように弱ばね40Aにより付勢されている。弁部材38の筒状突出部38E側から入口側通路24内の圧力が作用すると、チェック弁体40は弱ばね40Aに抗して弁座38Fから離座するように開弁する。これにより、入口側通路24内の圧油は、弁部材38の段付穴部38Gおよび各径方向穴38H等を介して後述の背圧室42に供給される。
このように、チェック弁体40は、弁体37内を入口側通路24から背圧室42に向けて圧油が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止する。即ち、チェック弁体40は、背圧室42内の油液が弁部材38の各径方向穴38H等を介して段付穴部38G、入口側通路24に向け流通するのを阻止するものである。
41はポペット弁36の一部を構成するキャップ体で、該キャップ体41は、衝合ブロック34の嵌合凹部34A内に嵌合され、弁ケーシング22の弁体摺動穴27を軸方向一側(上側)から衝合ブロック34と共に閉塞している。弁体37の弁保持部材39とキャップ体41との間には背圧室42が形成され、この背圧室42は、衝合ブロック34の第1の通路34Cに常時連通している。
43は背圧室42内に位置して弁保持部材39とキャップ体41との間に配設された付勢ばねで、該付勢ばね43は、背圧室42内に発生する背圧と共に弁体37(弁保持部材39)を常時閉弁方向に付勢し、例えば外部から振動等で弁体37が不用意に開弁するのを防ぐものである。付勢ばね43は、ばね力が比較的小さいコイルスプリング等により構成されている。
44は弁体37の筒状突出部38Eに設けられた小流量調整部で、該小流量調整部44は、図3、図4に示すように弁部材38の筒状突出部38Eのうち弁部38D側寄りとなる位置にテーパ状をなす複数のノッチ(切欠き)を周方向に定間隔で設けることにより形成されている。図5に示すように弁体37のリフト量を小さい範囲に抑えた状態では、小流量調整部44(テーパ状のノッチ)と入口側通路24の交差部位24Aとの間に形成される開口面積(隙間)によって、入口側通路24から出口側通路25に向けて流れる圧油の流量が小流量に調整されるものである。
即ち、ポペット弁36の弁体37は、図5に示すように弁部材38の弁部38Dがシート部26から離座し、かつ筒状突出部38Eの小流量調整部44がシート部26よりも入口側通路24の交差部位24Aに進入した状態、即ち小流量範囲にあるときに、入口側通路24の交差部位24Aから出口側通路25に向けて流れる圧油の流量を比較的小さい流量に抑えた状態で両通路24,25間を連通させる。
45は弁体37の筒状突出部38Eに設けられた大流量調整部で、該大流量調整部45は、図3、図4に示すように、小流量調整部44よりも筒状突出部38Eの先端側に位置し該筒状突出部38Eの外周面を円弧状に面取りして形成された円弧面部45Aと、筒状突出部38Eの先端側端面を断面U字状に切欠いて形成された複数の切欠き部45Bとにより構成されている。大流量調整部45は、小流量調整部44に比較して弁体37のリフト量に対する開口面積の変化を大きし、リフト量に対する流量の変化を大きくするものである。
この場合、大流量調整部45の各切欠き部45Bは、小流量調整部44のノッチと同様に筒状突出部38Eの周方向に定間隔をもって配置され、筒状突出部38Eの内周面と前記円弧面部45Aとの間を径方向に延びるすり割り溝として形成されている。各切欠き部45Bに沿って図7中の矢示C方向(径方向外向き)に流通する圧油は、例えば小流量調整部44のノッチに沿って図7中の矢示E方向へと出口側通路25内に流入する。
大流量調整部45の円弧面部45Aは、図6に示すように弁体37のリフト量が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、入口側通路24の交差部位24Aとの間に形成される開口面積(隙間)が急に変化するのを緩和するため、筒状突出部38Eの外周面に円弧状の面取りを施すことにより形成されている。また、大流量調整部45の各切欠き部45Bは、図7に示すように弁体37が全開位置までリフトする大流量範囲にあるときに、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向(図7中の矢示C方向)に向けて圧油を流通させ、ポペット弁36の弁体37に対し閉弁する方向(図7中の矢示D方向)に働く流体力を低減する機能を有するものである。
ここで、大流量調整部45の円弧面部45Aは、筒状突出部38Eの先端側端面から大流量調整部45と小流量調整部44との境界部分まで所定の曲率をもって延びている。また、各切欠き部45Bは、筒状突出部38Eの先端側端面から軸方向上向きに切込んだすり割り溝により形成され、その最も深い最深部を大流量調整部45と小流量調整部44との境界部分に近い位置に配置している。
このとき、各切欠き部45Bの最深部が、小流量調整部44に達する位置まで筒状突出部38Eの軸方向に延びる構成としてもよい。そして、ポペット弁36の弁体37は、弁部材38の弁部38Dがシート部26から離座し、かつ筒状突出部38Eの小流量調整部44が入口側通路24よりもシート部26側に退出した大流量範囲にあるときに、大流量調整部45により入口側通路24と出口側通路25との間を圧油が大流量な状態で流通することを許すように両通路24,25間を連通するものである。
本実施の形態によるポペット弁36を備えた制御弁装置21は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、油圧ポンプ11から吐出された圧油は、ポンプ管路13の分岐管路13Aから弁ケーシング22の入口側通路24、ポペット弁36の弁体37と交差部位24Aとの間を流通して出口側通路25に流れる。そして、出口側通路25に流れた圧油は、アーム用制御弁18を中立位置(イ)から切換位置(ロ)または(ハ)に切換えることにより、一対の主管路19A,19Bを介してアームシリンダ9に給排される。
アームシリンダ9に供給される圧油の流量は、ポペット弁36の弁体37における開口面積と、アーム用制御弁18のスプール29(切換ランド29A,29B)による開口面積とによって決められる。また、弁ケーシング22の入口側通路24から出口側通路25に向けた圧油の流れを遮断する場合に、ポペット弁36の弁体37は、弁部材38の弁部38Dを弁ケーシング22のシート部26に着座させることにより両通路24,25間を遮断する。
そこで、アーム用制御弁18を通じてアームシリンダ9に供給する圧油の流量を小流量に調整する場合には、背圧調整弁35を連通位置(a)から遮断位置(b)の方向に切換えていく。即ち、背圧調整弁35のスプール弁体35Aが図2中の矢示B(左方向)に摺動変位していく。このとき、背圧調整弁35のスプール弁体35Aに設けられたノッチ35A1 により開口面積が小さくなっていく。ノッチ35A1 により開口面積が小さくなると、背圧室42の圧力が高くなる。これにより、ポペット弁36の弁体37は、そのリフト量が背圧室42内の圧力により小さく抑えられ、図5に示すように小流量範囲に設定される。
また、背圧調整弁35が連通位置(a)から遮断位置(b)に完全に切換わると、ポペット弁36の背圧室42は、背圧調整弁35のスプール弁体35Aにより第2の通路34D、分岐通路25Aに対して遮断される。これにより、ポペット弁36の背圧室42は、入口側通路24とほぼ等しい圧力になるために、ポペット弁36の弁体37は閉弁する。
ここで、ポペット弁36の弁体37は、図5に示すように小流量範囲に設定されると、弁部材38の弁部38Dがシート部26から離座し、かつ筒状突出部38Eの小流量調整部44がシート部26よりも入口側通路24の交差部位24Aに進入した状態となる。このように小流量範囲に設定された場合、入口側通路24の交差部位24Aから出口側通路25に向けて流れる圧油の流量は、弁体37の小流量調整部44と入口側通路24の交差部位24Aとの間に形成される開口面積(隙間)によって小流量に調整される。弁体37のリフト量が小流量範囲にある場合、図8中に実線で示す特性線46の特性線部46Aに沿って、弁体37のリフト量に対する開口面積の変化量を小さく抑えることができ、リフト量に対する流量の変化を小さく制御することができる。
このため、油圧ショベル1のオペレータは、アーム用制御弁18をインチング操作してスプール29を中立位置から図2中の矢示A方向または矢示B方向に微妙に動かし、アーム6をゆっくりと動作させるように、アームシリンダ9に供給する圧油の流量を小さく調整したい場合にも、圧油の流量が急変することはなくなり、オペレータはインチング操作を容易に行うことができる。この場合、出口側通路25(環状油溝23Aまたは23B)から流出入通路28Aまたは28B(環状油溝23Cまたは23D)側に流通する圧油の流量を、例えばスプール29の切換ランド29A,29Bのいずれか一方でノッチ29A1 ,29B1 等を介して容易に調整することができ、アームシリンダ9の伸縮速度を遅くすることができる。
次に、アームシリンダ9の動作速度を速くしたい場合には、背圧調整弁35を遮断位置(b)から連通位置(a)に復帰させると、背圧調整弁35のスプール弁体35Aが第1,第2の通路34C,34D間を連通させる。このとき、ポペット弁36の背圧室42は、第1,第2の通路34C,34D、分岐通路25Aを介して出口側通路25に連通する。これにより、背圧室42内の圧力は、例えば入口側通路24内の圧力より相対的に低い圧力値まで低下する。
このため、ポペット弁36の弁体37は、背圧室42内の圧力低下に伴ってリフト量を大きくすることが可能な状態となり、図5に示す小流量範囲から図6、図7に示す大流量範囲まで開弁可能に設定される。弁体37(弁部材38)の弁部38Dが弁ケーシング22のシート部26から離座し、図6、図7に示すように入口側通路24から出口側通路25に向けて圧油を小流量範囲から最大流量を流す場合には、図6に示す小流量範囲と大流量範囲の境界となる位置から図7に示す最大リフト量(全開位置)まで弁体37をリフトさせる。
これにより、ポペット弁36の弁体37は、筒状突出部38Eの先端側外周面に形成した大流量調整部45の円弧面部45Aに沿って圧油を流通させることができ、急激な流量変化を緩和できる。また、筒状突出部38Eの先端側端面に形成した複数の切欠き部45Bは、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で図7中の矢示C方向に向けて圧油を流通させることにより、弁体37の閉弁方向(矢示D方向)に働く流体力を抑えつつ、弁体37の開口面積を最大とすることにより、最大流量を流すことができる。
ここで、大流量調整部45の円弧面部45Aによる作用、効果について図8を参照して説明する。図8中に実線で示す特性線46のように、弁体37のリフト量が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、筒状突出部38Eの外周面に円弧状に面取りを施した円弧面部45Aにより、小流量範囲と大流量範囲の切替わるときの開口面積の変化、即ち特性線部46Aから特性線部46Bへの切替り特性を滑らかな曲線とすることができ、これによって急な流量の変化を緩和することができる。
一方、図8中に二点鎖線で示す特性線47は、特許文献1による従来技術と同様に弁体の先端側にテーパ状の面取りを施した比較例の場合を示している。比較例の場合は、大流量範囲において開口面積の変化がリフト量にほぼ比例して増加するため、図8中に二点鎖線で示す特性線47のように、小流量範囲から大流量範囲に切替わるときの開口面積の変化が急となり、流量が急に変化するような事態が発生してしまう。
従って、本実施の形態では、ポペット弁体36の弁体37を小流量範囲から大流量範囲に切替えるときの開口面積の変化を滑らかにすることができ、急な流量の変化を緩和することができる。この結果、アーム用制御弁18からアームシリンダ9に供給する圧油の流量が急に変化するのを抑えることができ、機械の負荷を良好に低減することができる。
次に、切欠き部45Bの作用、効果について説明する。ポペット弁36の弁体37が図7に示す如く全開位置までリフトした状態では、筒状突出部38Eの外周側に円弧面部45Aの全周に沿って矢示E方向の流れが発生する。このとき、ポペット弁36の弁体37には矢示E方向の流れとは逆向きに矢示D方向の流体力が働くことが知られている。矢示D方向の流体力は、弁体37の弁部38Dを閉弁方向に働く力であるため、弁体37が正規な全開位置(最大リフト量)まで変位するのを規制する場合がある。
そこで、ポペット弁36の弁体37には、筒状突出部38Eの外周面に円弧状に面取りを施した円弧面部45Aを形成すると共に、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて圧油を流通させるためのすり割り溝からなる複数の切欠き部45Bを設ける構成としている。これにより、図7中に示すように入口側通路24の交差部位24Aから出口側通路25に向けて流れる圧油の一部を、矢示C方向(径方向)に向かう流れとすることができ、矢示C方向の流れにより矢示D方向の流体力、即ちポペット弁36の弁体37を閉弁させる方向に働く流体力を低減させることができる。
筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させるための切欠き部45Bは、筒状突出部38Eの先端側端面から切込みを入れた最も深い部分を小流量範囲と大流量範囲の境界、即ち筒状突出部38Eの外周面に形成した円弧面部45Aの端縁部と近い位置まで延ばすことにより、筒状突出部38Eの外周面(円弧面部45Aの全周)からの流れにより発生する流体力を低減する効果を得ることができる。但し、小流量範囲に影響を与えない範囲であれば、切欠き部45Bは、小流量調整部44のノッチ長さよりも深い切欠き(すり割り溝)としてもよい。また、前記流体力の影響が小さければ、切欠き部45Bは、円弧面部45Aの端縁部よりも浅い位置に形成してもよい。
かくして、本実施の形態では、上述の如き構成を採用しているため、ポペット弁36の弁体37(弁部38D)が弁ケーシング22のシート部26から離座し、筒状突出部38Eの小流量調整部44(各ノッチの位置)が弁ケーシング22のシート部26よりも入口側通路24の交差部位24A側に進入した状態の小流量範囲(図5参照)にあるときは、小流量調整部44の各ノッチにより小流量の制御を行うことができる。
また、弁体37の大流量調整部45は、筒状突出部38Eの外周面に円弧状に面取りを施した円弧面部45Aを有しているため、円弧面部45Aの曲面に応じて開口面積を緩やかに増加させることができ、小流量範囲から大流量範囲に切替わるときの開口面積の変化を円弧面部45Aにより緩和することができる。さらに、弁体37の大流量調整部45は、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて圧油を流通させるための切欠き部45Bを有しているので、弁体37が図7に示すように大流量範囲まで開弁し、筒状突出部38Eの周囲を圧油が矢示E方向に通過するときに、この流れの一部を筒状突出部38Eの径方向に向かう矢示C方向の流れにすることができる。
この結果、弁体37の変位方向(矢示E方向)に対抗する流体の流通を矢示C方向の流れにより抑制することができ、ポペット弁36の弁体37を閉弁方向に向けて付勢する矢示D方向の流体力を低減できると共に、弁体37のリフト量への影響を低減することができる。
また、筒状突出部38Eの外周面に形成した円弧面部45Aは、筒状突出部38Eの先端から大流量調整部45と小流量調整部44との境界部分まで延びているため、小流量範囲の流量制御に影響を与えることなく、かつ、弁体37が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときのリフト量に対する開口面積の急な変化を緩和することができる。
さらに、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させるための切欠き部45Bは、筒状突出部38Eの先端側端面から切込みを入れた最も深い部分を大流量調整部45と小流量調整部44との境界部分に近い位置に配置しているので、弁体37が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、流体の流れの一部を筒状突出部38Eの径方向の流れにすることができる。このため、ポペット弁36の弁体37が大流量範囲のうちいずれの位置に配置したときでも、切欠き部45Bを通じて筒状突出部38Eの径方向に向けて流体を流通させることができるから、ポペット弁36の弁体37が小流量範囲から大流量範囲に切替わるときに、閉弁方向に働く流体力を速やかに低減することができる。
次に、図9は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。然るに、第2の実施の形態の特徴は、弁体37の筒状突出部38Eに形成した大流量調整部51の形状、特に切欠き部51Bの形状を別形状に変更したことにある。
ここで、大流量調整部51は、前記第1の実施の形態で述べた大流量調整部45と同様に円弧面部51Aと複数の切欠き部51Bとにより構成されている。しかし、大流量調整部51の各切欠き部51Bは、断面V字状のすり割り溝として形成されている点で第1の実施の形態とは異なっている。即ち、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて圧油を流通させるための切欠き部51Bは、必要な最大開口面積を満たす範囲であれば、図9に示すように断面V字状の凹溝により構成することができる。
この場合、筒状突出部38Eの内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させるための切欠き部51Bの形状は、筒状突出部38Eの外周面に円弧状に面取りを施して形成した円弧面部51Aの曲面の形状と必要最大開口面積の関係により決められるものである。
かくして、このように構成される第2の実施の形態によれば、弁体37の筒状突出部38Eに形成した大流量調整部51を、筒状突出部38Eの外周面に形成した円弧面部51Aと、筒状突出部38Eの先端側端面にV字状のすり割り溝を複数個形成してなる切欠き部51Bとにより構成している。これにより、前記第1の実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。
特に、第2の実施の形態では、大流量調整部51の各切欠き部51Bを、断面V字状の凹溝により比較的単純な形状に形成することができ、各切欠き部51Bを筒状突出部38Eの先端側に形成、加工する上での作業性を向上することができる。
また、弁体37のリフト量に対する切欠き部51B(断面V字状の凹溝)の開口面積の特性について図10を参照して説明する。図10中に実線で示す特性線52は、弁体37のリフト量に対する断面V字状の凹溝(切欠き部51B)の開口面積の変化特性を示している。図10中に二点鎖線で示す特性線53は、弁体37のリフト量に対する第1の実施の形態で述べた円弧状の切欠き部45Bの開口面積の変化特性を示している。特性線52(第2の実施の形態)は、特性線53(第1の実施の形態)に比べ、曲面の面取りを施した場合の開口面積の特性(図8中の特性線部46B)により近い特性となっている。従って、大流量調整部51の各切欠き部51Bを、断面V字状の凹溝により形成した第2の実施の形態は、第1の実施の形態よりも開口面積の変化を滑らかにすることができる。
なお、前記各実施の形態では、弁体37の筒状突出部38Eに設ける小流量調整部44を、テーパ状に切欠いて形成した複数のノッチにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、小流量調整部として要求される所望の開口面積変化を満たすものであればよく、例えばキリ孔等のように別形状の小流量調整部を採用することも可能である。
また、前記各実施の形態では、アーム用制御弁18からアームシリンダ9に向けて給排される圧油の流量を調整するポペット弁36を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばブーム用制御弁16からブームシリンダ8に給排する圧油の流量調整を行う場合のポペット弁に適用してもよく、バケットシリンダまたはこれ以外の油圧アクチュエータに方向制御弁を通じて圧油を給排する場合のポペット弁にも適用することができる。
さらに、本発明によるポペット弁は、弁体のリフト量に応じて流体の流量を小流量から大流量へと可変に制御する構成のものであればよく、例えば油圧ショベル等の建設機械に適用範囲が限られるものではなく、広い範囲のポペット弁にも適用できるものである。
4 作業装置
5 ブーム
6 アーム
7 バケット(作業具)
8 ブームシリンダ
9 アームシリンダ
10 バケットシリンダ
11 油圧ポンプ
12 タンク
13 ポンプ管路
14 センタバイパス管路
15 タンク管路
16 ブーム用制御弁(方向制御弁)
18 アーム用制御弁(方向制御弁)
20 リリーフ弁
21 制御弁装置
22 弁ケーシング(ハウジング)
23 スプール摺動穴
24 入口側通路(第1流路)
24A 交差部位
25 出口側通路(第2流路)
26 シート部
27 弁体摺動穴
29 スプール
34 衝合ブロック(ハウジング)
35 背圧調整弁
36 ポペット弁
37 弁体
38 弁部材
38D 弁部
38E 筒状突出部
38F 弁座
38G 段付穴部
40 チェック弁体
42 背圧室
43 付勢ばね
44 小流量調整部
45,51 大流量調整部
45A,51A 円弧面部
45B,51B 切欠き部

Claims (3)

  1. 互いに交差する第1流路と第2流路とを有し、該第2流路に対する前記第1流路の交差部位にテーパ状のシート部が設けられたハウジングと、
    前記第1流路に進退可能な状態で前記ハウジングに設けられ、前記シート部に離着座する弁部と、先端側が該弁部よりも前記第1流路に向けて突出した筒状突出部とを有する弁体とを備え、
    該弁体は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する開口面積をリフト量に応じて変化させ前記第1流路と前記第2流路との間を流れる流体の流量を制御するポペット弁において、
    前記弁体の筒状突出部には、前記弁部側に位置して前記リフト量に対する開口面積の変化量を小さくし流量の変化を小さくする小流量調整部と、該小流量調整部よりも前記弁体の先端側に位置して前記リフト量に対する開口面積の変化を大きくし流量の変化を大きくする大流量調整部とを設け、
    前記弁体は、前記弁部が前記シート部に着座した全閉位置にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を遮断し、前記弁部が前記シート部から離座し、かつ前記筒状突出部の小流量調整部が前記シート部よりも前記第1流路に進入した小流量範囲にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を小流量の流体が流通可能な状態で連通し、前記弁部が前記シート部から離座し、かつ前記筒状突出部の小流量調整部が前記第1流路よりも前記シート部側に退出した大流量範囲にあるときに前記第1流路と前記第2流路との間を大流量の流体が流通可能な状態で連通する構成とし、
    前記弁体の大流量調整部は、前記弁体が小流量範囲から大流量範囲に切替るときの開口面積の変化を緩和するため前記筒状突出部の外周面を円弧状に面取りして形成された円弧面部と、前記弁体が大流量範囲にあるときに前記筒状突出部の内周側と外周側との間で径方向に向けて流体を流通させる複数の切欠き部とを有する構成としたことを特徴とするポペット弁。
  2. 前記弁体の円弧面部は、前記筒状突出部の先端から前記大流量調整部と小流量調整部との境界部分まで延びる構成としてなる請求項1に記載のポペット弁。
  3. 前記弁体の切欠き部は、前記筒状突出部の先端側から切り欠いた最も深い部分を前記大流量調整部と小流量調整部との境界部分に近い位置に配置する構成としてなる請求項1または2に記載のポペット弁。
JP2011023809A 2011-02-07 2011-02-07 ポペット弁 Withdrawn JP2012163156A (ja)

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