JP2012162712A - 容器蓋部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピールオープン性(易引き裂き性)、寸法安定性に優れ、ヒンジ特性、剛性、成形性に優れた容器蓋部材を提供する。
【解決手段】下記を満たすプロピレン系ブロック共重合体(A)を含み、曲げ弾性率が1400MPa以下であるプロピレン系樹脂材料(X)を成形してなる容器蓋部材による。
・プロピレン単独重合体またはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン共重合体(成分(A1))を40〜90重量%、プロピレンと20〜60重量%のエチレンとのプロピレンエチレンランダム共重合体(成分(A2))を10〜60重量%含有する、
・成分(A1)のメルトフローレートが、15〜500g/10分、
・成分(A2)のメルトフローレートが、2.0g/10分以下、
・成分(A1)と成分(A2)とのメルトフローレート比が、50以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器蓋部材に関し、さらに詳しくは、ピールオープン性(易引き裂き性)、寸法安定性に優れ、ヒンジ特性、剛性、成形性を有する容器蓋部材に関する。
食品および医療用容器、例えば粉ミルク缶・容器等の上蓋等には樹脂材料からなる蓋材が用いられ、ポリオレフィン樹脂、特に高圧法低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が使用されていることはよく知られている。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂では、剛性感が不足している。
従来から、ポリオレフィン樹脂を用いた蓋用の樹脂材料として、各種の提案がなされており、例えば、特許文献1には、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂にポリプロピレン樹脂をブレンドした樹脂が、また特許文献2には、ポリプロピレンと特定のエチレン−α−オレフィン共重合体及び特定のブロック共重合体からなる引き千切り容易なポリプロピレン組成物が、さらに、特許文献3には、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂に特定の水添スチレン・ブタジエンラバーおよび直鎖状低密度ポリエチレン樹脂をブレンドした組成物が、開示されている。
しかし、近年、流通段階での不正開封や内容物の改ざん防止のため、ピールオープン性を有する蓋部材も要求されているが、特許文献1に示されるような直鎖状低密度ポリエチレン樹脂にポリプロピレン樹脂をブレンドしたものは、剛性感が不足しており、寸法安定性も悪く、ヒンジ強度に乏しい。また、特許文献2に開示のポリプロピレン共重合体からなるポリプロピレン組成物や、特許文献3に開示のプロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂組成物は、樹脂そのもののピールオープン性が悪いため、特定の水添スチレン・ブタジエンラバーおよび直鎖状低密度ポリエチレン樹脂をブレンドしてピールオープン性を改善する必要があるため、物性バランスの改善効果を押し下げる方向へ作用している。
このように、オレフィン系樹脂材料を用いた容器蓋部材においては、ピールオープン型やヒンジ付きのものが要求されており、ピールオープン性、寸法安定性に優れ、さらにヒンジ特性、剛性、成形性等の要求性能全てを満たす必要があるが、既存のポリオレフィン系樹脂材料を用いる限り、これを達成することは非常に困難であった。
こうした状況下に、これらの性能をバランスよく向上させ、ピールオープン性(易引き裂き性)、寸法安定性に優れ、ヒンジ特性、剛性、成形性を有する蓋部材を開発することが望まれていた。
特開平2−45362号公報 特公平5−6576号公報 特開平11−165751号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ピールオープン性(易引き裂き性)、寸法安定性に優れ、かつヒンジ特性、剛性、成形性を有する容器蓋部材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体に特定の改質材を加えたプロピレン系樹脂組成物を成形することにより、ピールオープン性(易引き裂き性)、寸法安定性に優れ、ヒンジ特性、剛性、成形性に優れた容器蓋部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(i)〜(iv)を満たすプロピレンエチレンブロック共重合体(A)を含み、曲げ弾性率が1400MPa以下であるプロピレン系樹脂材料(X)を成形してなる容器蓋部材が提供される。
(i)プロピレン単独重合体もしくはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン共重合体(成分(A1))を40〜90重量%、プロピレンと20〜60重量%のエチレンとのプロピレンエチレンランダム共重合体(成分(A2))を10〜60重量%含有する
(ii)成分(A1)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、15〜500g/10分の範囲にある
(iii)成分(A2)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、2.0g/10分以下である
(iv)成分(A1)と成分(A2)とのメルトフローレート(MFR)比(成分(A1)のMFR/成分(A2)のMFR)が、50以上である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系樹脂材料(X)は、さらに、密度が0.850〜0.940g/cm、メルトフローレートが2〜70g/10分である熱可塑性樹脂(B)を、5〜50重量%含有することを特徴とする容器蓋部材が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、熱可塑性樹脂(B)は、ポリエチレン(C)、炭素数4〜10のα−オレフィンもしくは炭素数4〜10のアルカジエンから選ばれる少なくとも一種をコモノマーとして5〜50重量%含むエチレン系エラストマー(D)もしくはプラストマー(E)およびエチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンもしくは炭素数4〜10のアルカジエンから選ばれる少なくとも一種をコモノマーとして5〜40重量%含むプロピレン系エラストマーもしくはプラストマー(F)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする容器蓋部材が提供される。
本発明の容器蓋部材は、ピールオープン性、寸法安定性に優れ、ヒンジ特性、剛性、成形性の全ての性能において、非常に優れているという、従来のポリオレフィン系樹脂組成物を成形した場合には実現し得なかった性能を得ることができる。そのため、本発明の容器蓋部材は、食品および医療用容器等の蓋部材として、例えば粉ミルク等の粉体を収容する缶容器等の上部開口部に冠着され、ヒンジ部を有する蓋体等として、非常に有用である。
本発明の容器蓋材は、前記(i)〜(iv)を満たし、曲げ弾性率が1400MPa以下であるプロピレン系ブロック共重合体(A)を含有するプロピレン系樹脂材料(X)を成形してなることを特徴とする。
以下、プロピレン系樹脂材料(X)を構成する各成分、その好ましい製造方法等について、詳細に説明する。
[1]プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)
本発明に使用するプロピレン系樹脂材料(X)に用いるプロピレン系ブロック共重合体(A)は、成分(A1)と成分(A2)とからなり、以下(i)〜(iv)を満たすことを必要とする。すなわち、
(i)プロピレン単独重合体またはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン共重合体(成分(A1))を40〜90重量%、プロピレンと20〜60重量%のエチレンとのプロピレンエチレンランダム共重合体(成分(A2))を10〜60重量%含有すること、
(ii)成分(A1)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、15〜500g/10分の範囲にあること、
(iii)成分(A2)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、2.0g/10分以下であること、さらに
(iv)成分(A1)と成分(A2)とのメルトフローレート(MFR)比(成分(A1)のMFR/成分(A2)のMFR)が、50以上であること。
なお、ここでいうブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレン共重合体成分(成分(A1))と、プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A2))を、好ましくは逐次重合することより得られる、通称でのブロック共重合体であり、必ずしも成分(A1)と成分(A2)とが完全にブロック状に結合されたものでなくてもよい。
以下、上記(i)〜(iv)等について、さらに詳細に説明する。
(i)成分(A1)および成分(A2)とその割合
成分(A1)は、プロピレン単独重合体もしくはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン共重合体であり、成分(A2)は、プロピレンと20〜60重量%のエチレンとのプロピレンエチレンランダム共重合体である。
プロピレン系ブロック共重合体中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、プロピレン系ブロック共重合体に耐熱性を付与する成分であるが、W(A1)が多過ぎると柔軟性や耐衝撃性及び透明性を充分に発揮することができない。そこで成分(A1)の割合は、90重量%以下である必要がある。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎると、成分(A1)の融点が十分であっても耐熱性が低下し、滅菌、殺菌工程において変形してしまう恐れがあるため、成分(A1)の割合は40重量%以上でなければならない。
(ii)成分(A1)のメルトフローレート(MFR)
成分(A1)のメルトフローレート(230℃、21.18N)は、15〜500g/10分の範囲にあることが必要であり、好ましくは、50〜400g/10分、より好ましくは、50〜300g/10分であるである。MFRが15g/10分未満では成形が困難になり、500g/10分を超えると耐衝撃性が期待できなくなる。
(iii)成分(A2)のメルトフローレート(MFR)
また、成分(A2)のメルトフローレート(230℃、21.18N)は、2.0g/10分以下であることが必要であり、好ましくは1.7g/10分以下、より好ましくは1.5g/10分以下、特には1.3g/10分以下である。MFRが2.0g/10分を超えると、プルオープン性が期待できなくなる。
(iv)成分(A1)と成分(A2)とのMFR比
さらに、プロピレン重合体成分(A1)とプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)とのMFR比(プロピレン重合体成分(A1)のMFR/プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)のMFR)は、50以上であることが重要であり、好ましくは、100以上である。成分(A1)のMFR/成分(A2)のMFRが50未満であると、成分(A2)が成分(A1)中へ層状に微分散し、キャップのプルオープン時に、成分(A1)及び成分(A2)が共に伸びてしまい、スコア部(引き裂き部)を引き裂くことが困難になる。
[2]プロピレン系ブロック共重合体(A)の特性
本発明で用いられるプロピレン系ブロック共重合体(A)は、好ましくは逐次重合することにより製造され、第1工程で、プロピレン単独重合体成分あるいはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン重合体成分(A1)を40〜90重量%重合した後、第2工程で、20〜60重量%のエチレン量を含むプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)を10〜60重量%逐次重合することで得ることが好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体(A)を含有し、曲げ弾性率が1400MPa以下であるプロピレン系樹脂組成物となる要件を以下に説明する。
(1)成分(A1)中のエチレン含量:[E]A
好ましくは上記逐次重合の第1工程で製造されるプロピレン共重合体成分(A1)は、蓋材の剛性を発現するために、結晶性を有するプロピレン単独重合体、もしくはエチレン含量が1重量%未満のプロピレン−エチレンランダム共重合体である必要がある。エチレン含量が1重量%を超えると結晶性が低くなり、蓋材の剛性を悪化させる恐れがある。
(2)成分(A2)中のエチレン含量:[E]B
好ましくは上記逐次重合の第2工程で製造されるプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン系ブロック共重合体(A)中でゴム弾性成分の役割を有し、ピールオープン性を付与するために必要な成分である。
成分(A2)のエチレン含量が20重量%を下回ると、成分(A1)と相溶しやすくなり、ピールオープン性に乏しくなるため好ましくない。一方、また、60重量%を超えると成分(A1)との相溶性が著しく悪くなり、成形性が著しく悪化するため好ましくない。
(3)成分(A1)の割合:W(A1)および成分(A2)の割合:W(A2)
プロピレン系ブロック共重合体(A)を構成する成分(A1)の割合であるW(A1)、および成分(A2)の割合であるW(A2)の含有量比は、W(A1)が40〜90重量%であり、W(A2)が60〜10重量%の範囲にある必要がある。
W(A1)の割合が40重量%未満であると、容器蓋部材の剛性が低下する恐れがある。他方、W(A1)の割合が90重量%を越えるとピールオープン性の起点となるゴムの絶対量が少なくなり、ピール性が不十分となる恐れがある。好ましくは、W(A1)の割合が50〜90重量%、さらに好ましくは60〜80重量%の範囲であると良い。
(4)逐次重合による際の[E]A、[E]B、各成分量W(A1)、W(A2)の特定
逐次重合によってプロピレン系ブロック共重合体(A)を製造する場合の成分(A1)、(A2)の各エチレン含量および量は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析を用いることが望ましい。
(4−1)温度昇温溶離分別(TREF)による各成分量W(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner、J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45、1−24(1990)
L.Wild、Adv.Polym.Sci.;98、1−47(1990)
J.B.P.Soares、A.E.Hamielec、Polymer;36、8、1639−1654(1995)
(4−2)TREF測定方法
TREFの測定は具体的には以下のように測定を行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A1)と(A2)は結晶性の違いにより各々溶出ピーク温度T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、中間の温度T(C)(={T(A1)+T(A2)}/2)において、ほぼ分離が可能である。
(4−3)各成分中のエチレン含量[E]Aと[E]Bの特定
・成分(A1)と成分(A2)の分離
TREF測定により求めた上記T(C)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(C)にける可溶成分(A2)とT(C)における不溶成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules、21 314〜319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
・分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(C)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(C)に保持したまま、T(C)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(C)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次いで10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒(o−ジクロロベンゼン)を20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(C)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーをろ過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と成分(A2)それぞれについてのエチレン含有量はプロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製 GSX−400または、同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules、17 1950(1984)等を参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sαα等の記号はCarmanら(Macromolecules、10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2012162712
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules、15 1150(1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) ・・・(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) ・・・(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) ・・・(3)
[PEP]=k×I(Sββ) ・・・(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) ・・・(5)
[EEE]=k×[I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4}・・・(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。従って、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレンエチレンランダム共重合体(A2)には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 2012162712
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=
(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
また、プロピレン系ブロック共重合体(A)全体のエチレン含量[E]Wは、上記より測定された成分(A1)と成分(A2)それぞれのエチレン含量[E]A1と[E]A2およびTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)重量%から以下の式により算出される。
[E]W={[E]A×W(A1)+[E]B×W(A2)}/100 (重量%)
(5)プロピレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)
本発明で使用されるプロピレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜300g/10分の範囲にあることが好ましく、より好ましくは2〜200g/10分である。MFRが0.5g/10分未満では成形が困難になりやすく、300g/10分を超えると耐衝撃性が期待できにくい。蓋材が射出成形にて製造される場合は、特に、15〜100g/10分が好ましい。
また、前記したとおり、成分(A1)のメルトフローレート(230℃、21.18N)は、15〜500g/10分であることが好ましく、より好ましくは、50〜400g/10分である。MFRが15g/10分未満では成形が困難になり、500g/10分を超えると耐衝撃性が期待できなくなる。
また、前記したとおり、成分(A2)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、2.0g/10分以下であることが好ましく、より好ましくは、1.3g/10分以下である。MFRが2.0g/10分を超えるとピールオープン性が期待できなくなる。
さらに、前述のとおり、プロピレン重合体成分(A1)とプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)とのMFR比(プロピレン重合体成分(A1)のMFR/プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)のMFR)が50以上であり、好ましくは、100以上である。プロピレン重合体成分(A1)のMFR/プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)のMFRが50未満であると、ピールオープン性に乏しくなる。
メルトフローレート(MFR)は、周知のように、プロピレン系ブロック共重合体の重合条件である温度や圧力を調節したり、重合時において水素等の連鎖移動剤の添加量を制御したりすることにより、容易に調整を行うことができる。
ここで、プロピレン系ブロック共重合体(A)のMFRは、JIS K7210に準拠し、加熱温度230℃、荷重21.18Nで測定する値である。
(6)プロピレン系樹脂材料(X)の曲げ弾性率(FM)
本発明で使用されるプロピレン系樹脂材料(X)の曲げ弾性率(FM)は、1400MPa以下である必要があり、1000MPa以下であるのが好ましい。曲げ弾性率が、1400MPaを超えると、開封時に蓋が割れる可能性が高い。また、ピールオープン部の指かけ部が硬く、指を切傷するおそれがある。
ここで曲げ弾性率は、射出成形機により、成形温度200℃、金型温度30℃で、90×10×4mmの試験片を作製し、JIS K7203:1982に準拠して、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、試験温度23℃で測定される。曲げ弾性率は、柔軟性の指標であり、この値が小さいほど、成形品が柔軟であり、封止性能、開封性能等に優れていることを示す。
曲げ弾性率(FM)は、プロピレンエチレンランダム共重合体(A)あるいは後記する熱可塑性樹脂(B)を造粒機または成形機スクリュー内にてメルトブレンドすることにより、容易に調整することができる。
(7)プロピレン系樹脂材料(X)の収縮率
本発明で使用されるプロピレン系樹脂材料(X)の収縮率は、1.2〜2.0であることが好ましく、1.6以下であるのがより好ましい。収縮率が2.0以上になると、夏場・冬場で収縮が大きく異なり、嵌合する容器に蓋が合わなくなる可能性が高い。ここで収縮率は、成形温度200℃、金型温度40℃で、120×120×2mm厚の射出シートを作製し、ケガキ間の長さを測定した。収縮率が小さい程、得られた成形品は、体積変化が小さい。
収縮率は、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)あるいは熱可塑性樹脂(B)を造粒機または成形機スクリュー内にてメルトブレンドすることにより、容易に調整を行うことができる。
(8)プロピレン系樹脂材料(X)のヒンジ特性
本発明で使用されるプロピレン系樹脂材料(X)は、そのヒンジ試験では、50,000回以上ヒンジ部が切れないことが好ましく、繰り返し回数が100,000回以上であることがより好ましい。ヒンジ特性が、50,000回を下回ると、蓋に設けてある、開口部のヒンジ部分が使用期間内に千切れてしまう可能性が高く、蓋としての性能を果たさない。
ここでヒンジ試験は、東洋精機製MIT耐揉疲労試験機により、80×15×2.3mmtの試験片をセットし、折り曲げ角度90°にて測定した。この折り曲げ回数が高い程、得られた成形品は、ヒンジ特性に優れる。ヒンジ特性は、プロピレンエチレンランダム共重合体成分により、容易に調整を行なうことができる。
ヒンジ特性は、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)を造粒機または成形機スクリュー内にてメルトブレンドすることにより、容易に調整することができる。
[3]プロピレン系ブロック共重合体(A)の製造方法
プロピレン系ブロック共重合体(A)は、好ましくは、結晶性プロピレン重合体部分である成分(A1)を重合(前段)した後、プロピレンエチレンランダム共重合体部分である成分(A2)の重合(後段)を行う逐次重合により得ることができる。
上記重合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022等に記載のもの等)が使用できる。
なかでも、剛性、耐衝撃性のバランスが良いプロピレン系ブロック共重合体が容易に得るために、本発明においては、一般的に立体規則性の高いチーグラー・ナッタ触媒を使用するのがより好ましい。
チーグラー・ナッタ触媒は、公知の触媒が使用可能である。
チタン化合物としては、有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478、特開昭58−23806、特開昭63−146906等に記載のもの)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808、特開昭58−83006、特開昭58−5310、特開昭61−218606等に記載のもの)等が好ましく挙げられる。
また、助触媒として有機アルミニウム化合物が用いられる。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、いずれの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、成分(A1)をバルク重合で行い、成分(A2)を気相重合で行う方法や、成分(A1)をバルク重合、続いて気相重合で行い、成分(A2)は気相重合で行う方法などが挙げられる。成分(A2)のプロピレンエチレンランダム共重合体部分は、重合溶媒にプロピレンエチレンランダム共重合体が溶け出し難い気相重合で行うのが好ましい。
また重合形式として、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる攪拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
気相重合においては、プロピレン単独重合体部分である成分(A1)の重合工程はプロピレン、連鎖移動剤として水素を供給して、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜90℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPaの条件で、滞留時間は2〜10時間、好ましくは2〜5時間で行う。成分(A1)には、本発明の効果を損なわない範囲でプロピレン、エチレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
引き続いて、後段重合工程で、プロピレン、エチレンと水素を供給して、成分(A1)の重合工程で使用した触媒の存在下に、温度50〜150℃、好ましくは50〜80℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPaの条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行い、プロピレンエチレンランダム共重合体部分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン系ブロック共重合体を得る。プロピレンエチレンランダム共重合体部分には本発明の効果を損なわない範囲でプロピレン、エチレン以外の他のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
[4]熱可塑性樹脂(B)
本発明で用いられるプロピレン系樹脂材料(X)には、密度が0.850〜0.940g/cm、メルトフローレートが2〜70g/10分である熱可塑性樹脂(B)を、5〜50重量%含有することが望ましい。
熱可塑性樹脂(B)の密度範囲は、0.850〜0.940g/cmの範囲内にあることが好ましい。密度が0.940g/cmより高い場合には、ピールオープン性能が著しく低下するため、併用する意味が失われる。密度が0.850g/cmより低い場合には、剛性が低下するため好ましくない。
ここで、密度は、JIS K7112に準拠して測定する値である。
また、熱可塑性樹脂(B)のメルトフローレート(JIS K7210:1999に準じて、加熱温度:ポリエチレン系は190℃、ポロプロピレン系及びポリスチレン系は230℃、荷重21.18Nにて測定)は、2〜70g/10分の範囲内にあることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)のメルトフローレートが2g/10分より低いと、プロピレン系樹脂材料(X)の流動性を低下させてしまい、ピール部分が薄肉のため、成形できにくくなる。
また、メルトフローレートが70g/10分より高いと、高温下に保持した際に成形品内で移動しやすくなり、ピールオープン性が損なわれる原因となりうるので好ましくない。
熱可塑性樹脂(B)のプロピレン系樹脂材料(X)中の含有量は、プロピレン系ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計を100重量%とした際に、5〜50重量%の範囲とすることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)の含有量を50重量%以下に抑えることにより、プロピレン系ブロック共重合体(A)が元来有している剛性を損なうことなく、封止性能が高い容器蓋部材を得ることが可能である。熱可塑性樹脂(B)の含有量が50重量%を超えると、剛性が著しく低下し、べたつきが激しくなる上、射出成形時の離型が非常に困難になるため、望ましくない。5重量%未満では、剛性が高く、プルオープン時に指を切傷する危険があり、また、引き裂きの起点が不足し、プルオープン性が乏しくなるため、5重量%〜40重量%の範囲で用いるのがより好ましい。
プロピレンエチレンブロック共重合体(A)は、本発明に必要な特性を維持する為に、少なくとも50重量%以上、通常は60〜100重量部の範囲内にあればよい。
熱可塑性樹脂(B)としては、上記した密度とメルトフローレートの範囲を満たす熱可塑性樹脂であれば使用することができる。
熱可塑性樹脂(B)として好ましい樹脂として、ポリエチレン(C)を挙げることができる。その代表例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。高密度ポリエチレン(HDPE)は柔軟性に乏しいため、好ましくない。特に、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(他のα−オレフィンとの共重合体を含み、特に1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンとの共重合体)は、低分子量成分や低結晶性成分を含まないため、べたつき、ブリードアウト等の観点からより好ましい。
また、熱可塑性樹脂(B)として、エチレン系のエラストマー(D)もしくはプラストマー(E)を用いることも好ましい。エラストマーもしくはプラストマーにおけるコモノマーとしては、好ましくは炭素数4〜10のα−オレフィン、炭素数4〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種類であり、コモノマーの含有量は5〜50重量%であることが望ましい。一般にコモノマー含有量が大きいほど柔軟化し、寸法安定性は低下する。このため、コモノマー含有量が5重量%より小さくなると、柔軟性が乏しくなり併用効果が薄れる。
一方、コモノマー含有量が50重量%より大きくなると、寸法安定性が著しく劣り、冬場と夏場で寸法が異なるなどの不具合が生じるため、好ましくない。
コモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いた際に、より有効に柔軟化させることができる。エチレン系のエラストマーもしくはプラストマーの代表例としては、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体等が挙げられる。
さらに、熱可塑性樹脂(B)として、プロピレン系のエラストマーもしくはプラストマー(F)を用いることも好ましい。好ましいコモノマーは、エチレン、炭素数4〜10のα−オレフィン、炭素数4〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種類であり、コモノマーの含有量は5〜40重量%であることが望ましい。一般にコモノマー含有量が大きいほど柔軟性が向上し、製品を開封する際の柔軟化効果が大きくなるが寸法安定性は低下する。このため、コモノマー含有量が5重量%より小さくなると柔軟性が乏しくなり併用効果が薄れる。一方、コモノマー含有量が40重量%より大きくなると、寸法安定性が著しく劣り、冬場と夏場で寸法が異なるなどの不具合が生じるため、好ましくない。
コモノマーの例としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
さらにまた、熱可塑性樹脂(B)として、スチレン系のエラストマー(G)を用いることもできる。コモノマーとしては、炭素数2〜10のα−オレフィン、炭素数4〜10のアルカジエンからなる群のうち少なくとも一種類であり、コモノマーの含有量は20〜80重量%であることが好ましい。一般にコモノマー含有量が大きいほど柔軟性が向上し、成形品の柔軟化効果が大きくなる反面、剛性は低下する。コモノマー含有量が20重量%より小さくなると柔軟性が乏しくなる。しかし、コモノマー含有量が80重量%より大きくなると、寸法安定性が著しく劣り、冬場と夏場で寸法が異なるなどの不具合が生じるため、好ましくない。
スチレン系のエラストマーの代表例としては、スチレン・エチレン・プロピレンジブロック共重合体(SEP)、スチレン・エチレン・ブテンジブロック共重合体(SEB)、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブテン・スチレントリブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレントリブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。また、これらを水添した重合体を使用してもよい。
スチレン系のエラストマー(G)は、臭気の点で劣るため、特に蓋材が食品用容器などに用いることが多いことを考慮すると、熱可塑性樹脂(B)としては、ポリエチレン(C)、エチレン系エラストマー(D)もしくはプラストマー(E)およびプロピレン系エラストマーもしくはプラストマー(F)が望ましい。
[5]その他の添加剤
本発明に使用するプロピレン系樹脂材料(X)には、プロピレン系重合体の安定剤などとして使用されている各種酸化防止剤、造核剤、中和剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
具体的には、酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ハイドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、ジ−ステアリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ラウリル−β,β’−チオ−ジ−プロピオネート等のチオ系酸化防止剤等が挙げられる。
結晶化核剤としては、公知の造核剤が使用でき、その具体例としては、例えばソルビトール系透明化核剤、アミン/アミド系透明性核剤、有機リン酸塩系透明化核剤および芳香族リン酸エステル類、タルクなど既知の造核剤を挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属脂肪酸塩、ハイドロタルサイト(商品名、協和化学工業製の下記一般式(1)で表されるマグネシウムアルミニウム複合水酸化物塩)、ミズカラック(商品名、水澤化学工業製の下記一般式(2)で表されるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩)などが挙げられる。
Mg1−xAl(OH)(COx/2・mHO ・・・(1)
(式中、xは、0<x≦0.5であり、mは3以下の数である。)
[AlLi(OH)X・mHO ・・・(2)
(式中、Xは、無機または有機のアニオンであり、nはアニオン(X)の価数であり、mは3以下である。)
滑剤としては、既知の滑剤が使用できるが、好ましいその具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイル等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、n−ヘキサデシル−3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノール縮合物、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕}、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等の光安定剤を挙げることができる。
さらに、下記一般式(3)や下記一般式(4)で表されるアミン系酸化防止剤、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジ−メチル−フェニル)−3H−ベンゾフラン−2−ワン等のラクトン系酸化防止剤、下記一般式(5)等のビタミンE系酸化防止剤を挙げることができる。
Figure 2012162712
Figure 2012162712
(式中、RとRは、炭素数14〜22のアルキル基である。)
Figure 2012162712
さらに、その他に、帯電防止剤、脂肪酸金属塩等の分散剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
また、本発明の容器蓋部材は、この組成物の特性を最大限維持しながら、他の特性または機能を付与する為に、それ以外の重合体、共重合体、エラストマーを任意にブレンドすることができる。具体的には、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、天然ゴム、ジエン系ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、多糖類、天然樹脂などの、各種樹脂またはエラストマーを該プロピレン径樹脂組成物100重量部に対して、1〜30重量部程度任意にブレンドすることが可能である。
同様に、フィラーとして、アルミナ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、石膏、タルク、マイカ、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナのような各種無機質フィラーを1〜30重量部、好ましくは、1〜10重量部を任意にブレンドすることが可能である。
[6]プロピレン系樹脂材料(X)の製造方法
本発明で用いるプロピレン系樹脂材料(X)は、プロピレン系ブロック共重合体(A)および必要に応じて熱可塑性樹脂(B)、他の添加剤、樹脂、フィラー等の成分を、ブレンドして得られる。ブレンド方法は、メルトブレンドでもドライブレンドでもかまわない。すなわち、各成分を、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、プラベンダー、ロール等で160〜280℃の温度範囲で溶融混練(メルトブレンド)することにより得てもよく、溶融混練をしないままの混合品(ドライブレンド)を組成物として用いてもかまわない。また、プロピレン系ブロック共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)および、必要に応じて用いる他の添加剤、樹脂、フィラー等の成分のうち、一部をメルトブレンドし、一部をドライブレンドすることもできる。
[7]容器蓋部材
本発明の容器蓋部材は、上記プロピレン系樹脂材料(X)を、公知の射出成形機、押出成形機等各種の成形機、フィルム成形機、ブロー成形機等により成形することにより得られる。中でも射出成形、もしくは押出成形後に真空成形、厚空成形、熱成形等の二次加工で賦形することにより成形することが好ましく、射出成形がより好ましい。
成形品の寸法や形状は、各用途に適したものを、意匠性も考慮して任意に選定することが可能であるが、射出成形の場合は、肉厚が0.3mm〜5mm程度が好ましい。0.3mmよりも薄いと内容物の封止性が不足する懸念があるため好ましくなく、5mmよりも厚いと柔軟性が不足してピールが困難となるため好ましくない。
本発明の容器蓋部材は、開封−密封を繰り返して行うことのできる形式の容器蓋部材である。本発明の容器蓋部材は、その密封の容易性かつ確実性は、食品、飲料、医薬品、工業品などの幅広い物品の保存において非常に有用である。
特に、粉ミルク缶に代表される食品・医用品を収容した(円筒状等の)ストレート缶の上部開口に冠着されるオーバーキャップと言われる蓋部材、また、これに最初の開封時にピールして切除される機構を備えた蓋部材として有用である。
また、本発明の容器蓋部材は、寒冷地での使用や冷蔵・冷凍保存にも耐え得る耐寒性も併せ持っている。夏季でも寸法安定性にも極めて優れている。このような幅広い特性を全て兼ね備えた本発明のプルオープンキャップ部材は、従来には存在しておらず、極めて優れたものである。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において、用いた物性測定は以下の方法で行い、プロピレン系重合体、造核剤および他の添加剤としては以下のものを使用した。
1.測定法
(1)TREF
TREF測定方法は前述した通りである。
[装置]
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー社製デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル
光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
[測定条件]
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 :1mL/分
(2)各成分量の算出
TREFを用いて、前述した方法によって算出した。
(3)エチレン含有量の算出
13C−NMRにより組成を検定したエチレン・プロピレンランダムコポリマーを基準物質として733cm−1の特性吸収体を用いる赤外分光法により、ランダムコポリマー中のエチレン含量を測定した。ペレットをプレス成形により約500ミクロンの厚さのフィルムとしたものを用いた。
(4)MFR
JIS K7210:1999に準じ、加熱温度を、ポリエチレン系は190℃、ポロプロピレン系及びポリスチレン系は230℃、荷重21.18Nにて測定した。
(5)曲げ弾性率
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度200℃、金型温度40℃で、90×10×4mmの試験片を作製し、JIS K7203:1982に準拠して、試験速度2mm/分、支点間距離64mm、試験温度23℃、80℃で測定した。
曲げ弾性率は柔軟性の指標であり、この値が小さいほど、成形品が柔軟であり、封止性能、開封性能等に優れていることを示す。
また、80℃での曲げ弾性率は、調味料などを高温充填した際のキャップの耐熱性の指標のひとつとなる。この温度での曲げ弾性率が大きいほど、当該温度下での剛性が保持できていることを表しており、キャップの変形が少ないといえる。
(6)アイゾット衝撃強度
東芝機械製EC100射出成形機により、成形温度200℃、金型温度40℃で、64×12.7×4mmの試験片を作製し、ノッチングマシンで先端半径0.25mm、切り欠き深さ2.54mmのノッチ加工を行った後、JIS K7110:1984に準拠して、試験温度23℃で測定した。アイゾット衝撃強度は耐寒衝撃性の指標であり、この値が大きいほど、成形品が低温下においても衝撃破壊しにくいことを示す。
(7)ピールオープン強度
ピールオープン性を確認するために、ピールキャップでの評価を実施した。東芝機械製IS100GN射出成形機により、成形温度200℃、金型温度40℃でピールキャップを作製した。その後、室温23℃、相対湿度50%にて状態調整した後に、ピール部を45°の方向に引っ張るようにキャップを台座に固定した。引張り試験機にて、試験温度23℃、試験速度100mm/分にてピールオープン強度を測定した。
(8)収縮率
東芝機械社製IS100GN射出成形機により、成形温度200℃、金型温度40℃で、120×120×2mmtの射出シートをそれぞれ作製し、ケガキ間の距離を測定し、収縮率を求めた。
(9)ヒンジ試験(繰り返し破断)
東芝機械社製IS100GN射出成形機により、成形温度200℃、金型温度40℃で、80×15×2.3mmtのヒンジ試験片をそれぞれ作製し、45°の折り曲げ角度にて疲労試験を実施し、繰り返し破断回数を実施した。
2.使用材料
(1)プロピレン系ブロック共重合体(A)
下記の製造例1〜3により、本発明の要件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−1)〜(PP−3)を得た。また、下記の製造例4〜6により、プロピレン−エチレンブロック共重合体(PP−4)〜(PP−6)を得た。PP−4〜6は、本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体(A)としての要件を満たさないものである。
(製造例1)
(i)固体触媒成分(a)の製造
窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用い、該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下、四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後、2時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30質量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して、固体触媒成分390gを得た。
得られた固体触媒成分中には、チタンが1.22質量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを20℃を越えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して予備重合した。その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分(a)が得られた。
(ii)プロピレン系ブロック共重合体(PP−1)の製造
<前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造>
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度75℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.085となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
<後段重合工程:プロピレンエチレンランダム共重合体成分の製造>
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.52となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.028となるように連続的に供給すると共に、エチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.2倍モルになるように供給し、プロピレンエチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレンエチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体(PP−1)を得た。
(製造例2:プロピレン系ブロック共重合体(PP−2)の製造)
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比を0.018、後段重合工程における水素/(プロピレン+エチレン)のモル比を0.0009になるように変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン系ブロック共重合体(PP−2)を製造した。
(製造例3:プロピレン系ブロック共重合体(PP−3)の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度55℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.071となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、製造例1の触媒をポリマー重合速度が13kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
続いて、第2反応器内が、重合温度60℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.52となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.035となるように連続的に供給すると共に、エチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して0.9倍モルになるように供給し、プロピレンエチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレンエチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体(PP−3)を得た。
(製造例4:プロピレン系ブロック共重合体(PP−4)の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度65℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.060となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、製造例1の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を50kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
続いて、第2反応器内が、重合温度60℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.52となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.071となるように連続的に供給すると共に、エチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して1.6倍モルになるように供給し、プロピレンエチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレンエチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を50kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体(PP−4)を得た。
(製造例5:プロピレン系ブロック共重合体(PP−5)の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧2.2MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.060となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、製造例1の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.15となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比で0.015となるように連続的に供給すると共に、エチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.0倍モルになるように供給し、プロピレンエチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレンエチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体(PP−5)を得た。
(製造例6:プロピレン系ブロック共重合体(PP−6)の製造)
製造例1で使用した触媒並び重合方法を用い、上記前段重合工程における水素/プロピレンのモル比を0.060、後段重合工程におけるエチレン/プロピレンのモル比で0.11、水素/(プロピレン+エチレン)のモル比を0.010、エチルアルコールをトリエチルアルミニウムに対して1.4倍モルになるように変更した以外は、製造例1に準じて行いプロピレン系ブロック共重合体(PP−6)を製造した。
以上のPP−1〜PP−6の重合条件、各特性を表3に示す。
Figure 2012162712
(2)熱可塑性樹脂(B)
以下の樹脂を用いた。
・ポリエチレン:LLDPE(C)
UJ580(商品名、日本ポリエチレン社製)
MFR20g/10分、密度0.925g/cm
・エチレン系エラストマー(D):
タフマーA1050S(商品名、三井化学社製)
MFR6.7g/10分、密度0.864g/cm
・エチレン系エラストマー(D):
タフマーP0280M(商品名、三井化学社製)
MFR2.7g/10分、密度0.871g/cm
・エチレン系エラストマー(D):
Engage8200(商品名、Dow Chemical社製)
MFR5.0g/10分、密度0.870g/cm
・エチレン系プラストマー(E):
カーネルKS340T(商品名、日本ポリエチレン社製、エチレン−ヘキセン系)
MFR3.5g/10分、密度0.880g/cm
・プロピレン系エラストマー(F):
Vistamaxx6202(商品名、ExxonMobil社製)
・プロピレン系エラストマー(F):
Versify3200(商品名、Dow Chemical社製)
MFR8.0g/10分、密度0.876g/cm
・スチレン系エラストマー(G):
クレイトンG1643(商品名、クレイトンポリマー社製)
MFR18g/10分、密度0.880g/cm
・スチレン系エラストマー(G):
ダイナロン1320P(商品名、JSR製)
MFR3.5g/10分、密度0.890g/cm
(4)添加剤
(i)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:
テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート]メタン
イルガノックス1010(Irganox1010、商品名、チバ社製)
(ii)リン系酸化防止剤:
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)フォスファイト
イルガフォス168(Irgafos168、商品名、チバ社製)
(iii)中和剤:
ステアリン酸カルシウム
CaSt(商品名、日東化成社製)
(実施例1〜12、比較例1〜7)
上記したプロピレン系ブロック共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性樹脂(C)、その他の添加剤を、表4および5に記載の配合割合(重量部、ただし添加剤は重量%)で準備し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて溶融混練し、ダイ出口部温度200℃でダイから押し出してペレット化した。
得られたペレットより、前述の条件にしたがって試験片を成形し、物性の評価を行った。それらの結果を表4および表5に示す。
Figure 2012162712
表4より明らかなように、実施例1は、本発明に規定されたプロピレンエチレンブロック共重合体(A)を成形したものである。ピールオープン強度、収縮のバランスが良好なだけでなく、ヒンジ強度が高い。
実施例2〜6は、本発明に規定されたプロピレンエチレンブロック共重合体(A)に熱可塑性樹脂(B)を配合して成形したものである。柔軟性、ピールオープン性、ヒンジ強度、寸法安定性のバランスに優れていることがわかる。非相溶系の熱可塑性樹脂を配合したことにより、プロピレンエチレンブロック共重合体との界面強度が低下した為に、ピールオープン性が良好になったことが分かる。
実施例7〜10は、本発明に規定されたプロピレンエチレンブロック共重合体(A)に相溶系の熱可塑性樹脂を配合して成形したものである。その結果、ピールオープン性は、非相溶系熱可塑性樹脂には劣るものの、収縮も少ないことが分かった。
実施例11は、本発明に規定されたプロピレンエチレンブロック共重合体(A)にピールオープン性改良のために非相溶系と相溶系の熱可塑性樹脂を配合して成形したものである。これより、ピールオープン性が良好であることが明らかである。
実施例12は、本発明に規定されたMFRの低いプロピレンエチレンブロック共重合体(A)に熱可塑性樹脂(B)を配合したことにより、プロピレン系組成物のMFRが高くなり、成形性に影響を与えず、ピールオープン性に優れ、低収縮であることが分かった。
Figure 2012162712
比較例1〜3は、本発明における規定を満たさないプロピレンエチレンブロック共重合体(PP−4〜PP−6)を単独で評価したものである。比較例1は、MFR(A1)/MFR(A2)の比が低いため、ピールオープン性に乏しい結果となっている。比較例2は、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)が低く、ピールオープン性に乏しい。比較例3は、プロピレンエチレンランダム共重合体成分(B)中のエチレン量が少なく、(B)成分が(A)成分と相溶化するため、ピールオープン性に乏しいことが分かる。
比較例4〜6は、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)に熱可塑性樹脂(B)を配合して成形したものであるが、プロピレンエチレンブロック共重合体(A)単独でのピールオープン性にも乏しいため、(B)を配合しても改良されていないことが分かる。
比較例7は、一般的に、容器蓋材として使用されているLLDPEである。この結果より、ピールオープン性には優れるが、耐熱性に乏しく、高温下でのキャップの使用ができないことが分かる。
(実施例13、14)
本発明の容器蓋部材が高圧蒸気滅菌処理を必要とする用途(例えば、輸液用ピールキャップ材等の医療用途)にも適していることを示すために、以下に述べる実施例13、14を行った。
実施例13では、上記実施例と同様にPP−1が60重量部、KS340Tが30重量部、ダイナロン1320Pが10重量部として、ピールキャップを成形し、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)の処理を行った。冷却後、このピールキャップの開口性を一般的な手作業の試験により確認したところ、開口作業によってプルリングのウエルド部がちぎれることはなく、開口性は良好であった。この材料の曲げ弾性率は、540MPAであった。
また、実施例14では、上述と同様にPP−1が60重量部、KS340Tが20重量部、ダイナロン1320Pが20重量部として、ピールキャップを成形し、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)の処理を行った。冷却後、このピールキャップの開口性を一般的な手作業の試験により確認したところ、開口作業によってプルリングのウエルド部がちぎれることはなく、開口性は良好であった。この材料の曲げ弾性率は、500MPAであった。
本発明の容器蓋部材は、柔軟で低収縮であり、ピールオープン性や、ヒンジ強度に優れる。このため、食品、飲料、医療、工業品等に用いられる容器蓋部材として極めて有用であり、産業上の利用性は極めて高いものがある。

Claims (3)

  1. 下記(i)〜(iv)を満たすプロピレンエチレンブロック共重合体(A)を含み、曲げ弾性率が1400MPa以下であるプロピレン系樹脂材料(X)を成形してなる容器蓋部材。
    (i)プロピレン単独重合体もしくはプロピレンと1重量%未満のエチレンとのプロピレン共重合体(成分(A1))を40〜90重量%、プロピレンと20〜60重量%のエチレンとのプロピレンエチレンランダム共重合体(成分(A2))を10〜60重量%含有する
    (ii)成分(A1)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、15〜500g/10分の範囲にある
    (iii)成分(A2)のメルトフローレート(230℃、21.18N)が、2.0g/10分以下である
    (iv)成分(A1)と成分(A2)とのメルトフローレート(MFR)比(成分(A1)のMFR/成分(A2)のMFR)が、50以上である
  2. プロピレン系樹脂材料(X)は、さらに、密度が0.850〜0.940g/cm、メルトフローレートが2〜70g/10分である熱可塑性樹脂(B)を、5〜50重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の容器蓋部材。
  3. 熱可塑性樹脂(B)は、
    ポリエチレン(C)、
    炭素数4〜10のα−オレフィンもしくは炭素数4〜10のアルカジエンから選ばれる少なくとも一種をコモノマーとして5〜50重量%含むエチレン系エラストマー(D)もしくはプラストマー(E)および
    エチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンもしくは炭素数4〜10のアルカジエンから選ばれる少なくとも一種をコモノマーとして5〜40重量%含むプロピレン系エラストマーもしくはプラストマー(F)
    から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の容器蓋部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015003981A (ja) * 2013-06-20 2015-01-08 日本ポリプロ株式会社 プロピレン系ブロック共重合体の製造方法

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