JP2012161595A - 画像処理装置、画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 湾曲の大きな網膜の層厚を、縦横で解像度の異なるOCT画像を用いて定量的に計測するために、解像度の差を反映させた計測方向を算出して層厚の計測を行う。しかしOCT画像は縦方向と横方向で解像度が異なるために、撮影された網膜層が画像内で傾いている場合には、網膜から垂直方向に計測したのでは正確な層厚の計測とはならないという課題があった。
【解決手段】 網膜断層画像から網膜層境界を特定する網膜層検出手段と、前記検出した網膜層境界において、縦横の解像度比を反映した層境界との垂直方向を演算する垂直方向演算手段と、前期演算した垂直方向に網膜層厚を計測する層厚計測手段と、前期計測した網膜層厚を用いて層厚マップを作成するマップ作成手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、眼部の画像診断を支援する画像処理装置に関する。
生活習慣病や失明原因の上位を占める疾病の早期診断を目的として、眼部の検査が広く行われている。光干渉断層計(OCT;Optical Coherence Tomography)を用いた撮像装置(以下、OCT装置とも呼ぶ。)は、眼底の網膜の内部構造の状態を3次元的に観察することが可能であるため、疾病の診断に有用である。眼底の網膜は複数の層構造を示しており、各層の厚みが疾病の進行を示す指標となることが知られている。OCT装置により取得した網膜の断層画像を用いることにより、網膜の層構造を定量的に計測することができる。このため、疾病の進行を正確に把握することができるため、疾病の早期発見への期待が大きくなっている。ここで、網膜の断層画像を用いて、各層同士の深度方向(断層画像を表す図3の縦方向)の距離を網膜の層厚として計測する画像処理法が、特許文献1に開示されている。
ところで、近年、アジア地域で多くみられる、近視眼のOCTによる観察に注目が集まっている。近視眼では通常の眼底よりも、網膜の湾曲が大きくなる場合があり、疾病との相関に関心が集まっている。
ここで、図3は、網膜の湾曲が大きい場合について、近視眼眼底の黄斑付近の断層画像の模式図である。L1〜L4は、網膜の層構造の境界を示している。L1は内境界膜とその上部の組織との境界(以下ILMとする)、L2は神経線維層とその下部の層との境界(以下NFLとする)、L3は視細胞内節概説接合部との上部の層との境界(以下IS/OSとする)、L4は網膜色素上皮とその下部の組織との境界(以下RPEとする)を示している。
特開2009−66015号公報
一般的に、網膜の湾曲が大きい場合、断層画像の上部における各層同士の垂線方向(所定の層に対する垂直方向)の距離が短くなる(図3参照)。しかしながら、特許文献1のように、各層同士の深度方向の距離を網膜の層厚として計測すると、湾曲の大きな網膜の状態を正確に把握することは困難である。これでは、疾病の進行を正確に把握することは難しい。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、断層画像網膜の断層画像から網膜の網膜層境界を特定する網膜層検出手段と、特定された網膜層境界に対して垂直な方向の解像度と網膜層境界に対して平行の方向の解像度とが等しくされた所定断層画像における網膜層境界対して垂直な方向を演算する垂直方向演算手段と、所定断層画像における垂直な方向の実所定長さを測定し、断層画像における演算された垂直な方向の画像上の表示所定長さと、実所定長さと、の相関を求める手段と、表示所定長さと実所定長さとの相関を反映させた断層画像を作成する処理手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、近視等の理由により網膜が大きく湾曲しているような場合にも、網膜の状態をより正確に計測することができる。
実施形態1に係る画像処理装置10の機能構成を示す図。 実施形態1に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート。 湾曲の大きな網膜断層画像の模式図。 断層画像上の角度や層厚と、縦横の解像度を補正した画像上の角度や層厚の関係を示す模式図。 黄斑を中心としたラディアル・スキャンの模式図。 ラディアル・スキャンから作成した層厚マップのイメージ図。 実施形態2に係る画像処理装置10の機能構成を示す図。 実施形態2に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート。 湾曲の大きな網膜断層画像上でカーソルの位置にスケールを提示した場合の例。
[実施例1]
本発明は、近視眼など湾曲が大きくなることが知られている疾病眼の網膜の層厚を定量的に計測する場合に、縦横の解像度が異なるOCT断層画像から正確な層厚を計測することを目的としたものである。より具体的には、断層画像から網膜層を検出してその傾きを求め、該傾きと、OCT断層画像の縦横の解像度の値から、層厚を計測する方向を算出して、その方向に計測を行う。このような計測法を用いることにより、湾曲が大きな網膜の場合でも正確な層厚を計測することが可能となり、該層厚により作成される層厚マップがより診断に有効な情報を提供する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置10の機能構成を示したものである。図中の100は画像取得部であり、不図示の断層画像取得装置により撮影された画像、もしくはデータベースに保存された画像を取得する。また取得した画像から画像の縦及び横方向の解像度を取得し、制御部110を通じて記憶部160に保存する。110は制御部、120は網膜層検出部、130は垂直方向演算部、140は層厚計測部、150はマップ作成部、160は記憶部であり、取得された画像に撮影されている網膜の層厚を計測し、結果を保存する。具体的には、網膜層検出部120により網膜層を検出し、記憶部160に保存された縦横の解像度比を考慮して層厚計測角度を垂直方向演算部130で算出する。算出された角度に基づき層厚計測部140で正確な層厚を計測し、マップ作成部140で層厚マップを作成する。170は出力部であり、作成された層厚マップを不図示のモニタ等に出力する他、記憶部160に保存されている処理結果を不図示のデータベースに保存する。
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。
<ステップS210>
ステップS210において、画像取得部110は、画像処理装置10に接続される不図示のOCT断層画像取得装置、もしくは該OCT断層画像取得装置により撮像された断層画像を保存するデータベースから、解析対象となる画像を取得する。そして、取得した断層画像を制御部110へと送信するとともに、画像から縦横の解像度を取得して記憶部130へと送信する。ここで解像度の情報は、Tiff画像のように画像内のタグに埋め込まれている情報を取得する場合もあれば、mhdファイルのような形で別ファイルに保存されている情報を同時に取得する場合や、不図示の操作者による入力値を取得する場合もある。
<ステップS220>
ステップS220において、網膜層検出部120は、記憶部160に保存された断層画像から網膜層境界を検出する。網膜層検出部120は、本発明において網膜の断層画像から網膜層境界を検出し、特定する網膜層検出手段とし作用し、網膜層検出工程を実行する。層のセグメンテーション手法に関しては様々な手法が知られているが、本実施形態ではエッジ強調フィルタを用いて層境界となるエッジを抽出し、その後網膜層に関する医学知識を用いて検出されたエッジと層境界を対応づける手法を用いた場合について説明する。またここではILMとRPEの検出について述べるが、他の層境界についても、同様の手法により検出することが可能である。
まず網膜層検出部120は、断層画像に対して平滑化フィルタ処理を行い、ノイズ成分を除去する。そして、エッジ検出フィルタ処理を行い断層画像からエッジ成分を検出し、層の境界に相当するエッジを抽出する。さらに、エッジ検出をした二次元断層画像から背景領域を特定し、背景領域の輝度値特徴を二次元断層画像から抽出する。そして、次に、エッジ成分のピーク値と、ピーク間の輝度値特徴を用いることで、各層の境界を判定する。
例えば網膜層検出部120は、硝子体側から眼底の深度方向にエッジを探索し、エッジ成分のピークと、その上下の輝度特徴と、背景の輝度特徴から、硝子体と網膜層との境界(ILM)を判定する。さらに、眼底の深度方向にエッジを探索し、エッジ成分のピークと、ピーク間の輝度特徴と、背景の輝度特徴を参照して、網膜色素上皮層境界(RPE)を判定する。以上の処理によって、層の境界を検出することができる。
このようにして検出した各層の境界(コントロールポイント)を制御部110へ送信するとともに、記憶部130に保存する。
<ステップS230>
ステップS230において、垂直方向演算部130は、ステップS220において検出されたRPEとILMを用いて、網膜層に対して垂直となる方向を算出する。ここで網膜層に対して垂直となる方向とは、縦横の解像度が等しい画像において、網膜に水平な方向と直行する方向とする。ステップS220において検出されたRPEの各点に対して、RPEに接する方向と水平方向のなす角θを計算する。さらに、このθから以下の式を用いて網膜層に対して垂直となる方向が、画像の垂直方向となす角度θ”を算出する。
Figure 2012161595
このように各コントロールポイントに対して演算された角度θ及びθ”を、制御部110へ送信するとともに、記憶部130に保存する。垂直方向演算部130は、本発明において特定された前記網膜層境界に対して垂直な方向の解像度と前記網膜層境界に対して平行の方向の解像度とが等しくされた所定断層画像、即ち縦横比を反映した断層画像における網膜層の境界に対して垂直な方向を演算する垂直方向演算手段として作用し、垂直方向演算工程を実行する。
<ステップS240>
ステップS240において、層厚計測部140は、ステップS230において算出された網膜層に対して垂直となる方向の角度θ”に基づき、層厚を計測する。具体的には、ステップS220で求められたRPEの各点から、ステップS230で算出された角度の方向に、ILMまでの距離Lを求める。そして求められた距離Lから、以下の式を用いて層厚L’を算出する。
Figure 2012161595
このように各コントロールポイントに対して計測された層厚L’を、制御部110へ送信するとともに、記憶部130に保存する。
即ち、層厚計測部140は、本発明における、所定の長さである網膜層の厚さについて、所定断層画像における前記垂直な方向の前記所定長さである実所定長さを測定する、後述する相関を求める手段の一部を構成する。ここで述べる実所定長さとは、網膜層境界に対して垂直な方向(縦)の解像度と、水平の方向(横)の解像度とが等しいところの本発明において定義する所定断層画像における網膜層境界に対して設定された該網膜層境界に垂直な方向での網膜層の厚さに対応する。
ここで、上記ステップS230、S240において用いた(式1)、(式2)について、このようにして角度や層厚を計算する理由を説明する。
図4においてL1、L4は、補正前の、縦横で解像度が異なる場合のILM、RPEをそれぞれ示していて、L1’、L4’は、縦横の解像度が等しくなるように補正した後の補正ILM、補正RPEを示している。点Aは、RPE上のある点を表し、点AにおけるRPEの水平方向とのなす角をθとする。点Aに対応する補正RPE上の点を点A’とする。この点A’における補正RPEの水平方向とのなす角をθ’とする。ここで層厚の計測は、縦横の解像度が等しくなるように補正した画像において、網膜(RPE)に対して直角方向に計測した場合のRPEからILMまでの距離とする。この場合、点A’における補正RPEに対する直角方向は、点A’から垂直方向に対してθ’の方向となる。この点A’から補正RPEに対して直角方向にひかれた直線が、補正ILMと交わる点を点B’とする。そしてこの点B’に対応する、ILM上の点を点Bとする。これより、補正前の画像において点Aにおける層厚を計測したい場合は、点Aから点B、つまり点Aに対して垂直方向から角度θ”の方向に計測すればよいことがわかる。
ここで、θとθ”の間には以下のような関係がある(式1)。
Figure 2012161595
ここでrは、横方向に対する縦方向の解像度の大きさであり,補正前の画像は、縦方向にr倍に引き伸ばされて表示されていることを示す。
この関係を用いれば、ステップS220において検出されたRPEに対して、網膜層に対して垂直となる方向の角度θ”を計測することができる。
さらに、層厚に関しても、点Aと点Bの距離をL、点A’と点B’の距離をL’としたとき、LとL’の間には以下のような関係がある(式2)。
Figure 2012161595
これにより、補正前の画像を用いて計測した距離Lから、補正後の距離A’B’を求めることができる。
以上の工程は、断層画像における演算された垂直な方向の画像上の所定長さである表示上の所定長さである表示所定長さ、即ち網膜層の表示厚さと、具体的な測定により得られる実際の厚さである実所定長さ(厚さ)と、の相関を求める、上述した相関を求める手段により為される。
<ステップS250>
ステップS250において、マップ作成部150は、ステップS240において算出された網膜の層厚(ここではRPEからILMまでの距離)を記憶部130より取得し、層厚マップを作成する。ここでは、ある点を中心として角度を変えながら断層画像を撮影するラディアル・スキャンによって撮影を行った場合を例として、層厚マップの作成法を示す。図5は、黄斑を中心として、15度ごとに12枚のラディアル・スキャンを行った場合の、撮像位置を示している。ここでは水平方向のスキャンをスキャン1、そこから15度回転させたスキャンをスキャン2としている。
ステップS220〜S240によって、12枚のラディアル・スキャン上で、層厚の算出値が取得されている。ここでは、10ピクセルおきにコントロールポイントが設定されていて、各コントロールポイント上に層厚の値が得られているとする。図6(a)において、A1、B1はスキャン1上のコントロールポイント、A2,B2はスキャン2上のコントロールポイントとする。A1とA2はラディアル・スキャンの中心を中心とした同心円上に配置されるから、A1とA2における層厚の値をもとにして、A1とA2を結ぶ同心円上の辺A1A2上の層厚値を補完する。ここで補完の方法としては様々な方法が考えられる。A1とA2からの距離に応じた線形補完や、A1とA2・・・A12を考慮したスプライン補完などが考えられる。このようにして、同心円上に値を補完することにより、2次元の層厚マップを作成する。図6(b)に作成した層厚マップの模式図を示す。
以上の工程を実行するマップ作成部150は、本発明における表示上の網膜層厚さと実際に測定、計測された網膜層厚さを用いてこれらの相関を反映させた断層画像である層厚マップを作成する処理手段として作用する。
<ステップS260>
ステップS260において、出力部170は、ステップS250で作成した層厚マップを不図示のモニタに表示するとともに、記憶部160に保存された各ラディアル・スキャンの各コントロールポイントにおける、層厚を計測する方向を示す角度及び層厚の値を不図示のデータサーバに保存する。
以上の構成により、湾曲の大きな網膜の断層画像からでも、正確な層厚を反映した層厚マップを提示することができるという効果がある。
ここで、網膜の所定の層に対する垂直方向における各層同士の距離を網膜の層厚として計測することが、本出願人により提案されている(特願2009-199018参照)。このとき、断層画像において網膜が傾いて表示されている場合でも、正確に網膜の状態を把握することができる。
ところで、一般的に、断層画像における縦方向(所定の層に対する垂直方向)の解像度は、横方向(所定の層に平行な方向)よりも高い。このとき、縦方向と横方向との解像度を等しくするため、表示される断層画像は、実際の網膜の形状を縦方向に拡大した状態となる。この場合、全体的に層が潰れた印象を与える画像になる。また、上述した本出願人による提案(特願2009-199018)の手法で層厚を計測しても、網膜の状態を正しく把握しにくい場合がある。これに対し、本実施例では、縦方向の解像度を横方向に合わせない(解像度比の補正を行わない)断層画像の層厚マップを提示することとしている。これにより、医師は、見易い画像を用いて網膜内部の詳細の観察を行うことが可能となり、より正確に診断することができる。
[実施例2]
実施例1では、縦横の解像度が異なるOCT断層画像の湾曲した網膜において、正確な層厚を計測し、層厚マップを作成して提示する例を示した。しかし湾曲した網膜において、断層画像をより詳細に観察したい場合もある。本実施例では、断層画像上に網膜に対して垂直となる方向や、網膜と水平方向と垂直方向での長さの比を示す例について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像処理装置10の機能構成を示したものである。但し図7の、画像取得部100、制御部110、網膜層検出部120、記憶部160、出力部170は図1と同じであるため説明は省略する。入力部705は不図示の操作者により不図示のモニタ上で断層画像上に提示された位置、例えばカーソルの位置を取得する。領域分割部730は実施例で算出した層厚を計測する角度に基づき、網膜領域を分割する。長さ比演算部740は、層検出部120により検出された網膜層上において、網膜層と水平方向及び垂直方向の長さの変化量を算出する。
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。但し図8のステップS810〜S820は、図2のステップS210〜S220と同じであるため説明は省略する。
なお、網膜層検出部120は、本発明において網膜の断層画像から網膜層境界を検出し、特定する網膜層検出手段とし作用し、網膜層検出工程を実行する。
<ステップS830>
ステップS830において、領域分割部730は、実施例1のステップS230と同じ方法で網膜層に対して垂直となる方向の角度θ”を算出し、該角度に基づき、網膜領域を分割する。具体的には、ステップS820で検出し保存されているRPEの各コントロールポイントに対して算出した角度θ”の方向にひいた直線がILMと交差する点を求める(図4のBに対応)。RPE上のコントロールポイントをAnとし、対応するILM上の交点をBnとすれば、網膜内領域(RPEとILMに囲まれた領域)を領域Rn(An,Bn,An+1,Bn+1で囲まれた領域)に分割することができる。
なお、本実施例では、実施例1における垂直方向演算部130に換えて領域分割部730が、本発明において特定された前記網膜層境界に対して垂直な方向の解像度と前記網膜層境界に対して平行の方向の解像度とが等しくされた所定断層画像、即ち縦横比を反映した断層画像における網膜層の境界に対して垂直な方向を演算する垂直方向演算手段として作用し、垂直方向演算工程を実行する。また、該領域分割部730は、演算された垂直な方向に基づいて網膜層を複数の領域に分割する工程を実施する領域分割手段として作用し、前述した相関を求める手段に包含される。
<ステップS840>
ステップS840において、入力部705は、不図示の操作者により不図示のモニタ上に指定された位置を取得し、制御部110を通じて記憶部160に保存する。具体的には、不図示のモニタ上にOCT断層画像が提示されている場合に、不図示の操作者が断層画像上にカーソルを移動した場合のカーソル位置Cを取得することによって得られる。
<ステップS850>
ステップS850において、制御部110は、ステップS840で取得されたカーソル位置Cが、網膜内領域に含まれるか否かを判定する。判定の方法としては、カーソル位置Cとして取得された座標が、ステップS820で検出されたRPEとILMに挟まれた領域に含まれるかで判定するなどの方法がある。そして網膜内領域に含まれる場合には、ステップS830で分割された領域のうち、カーソル位置Cを含む領域(Rmとする)を求め、ステップS860に進む。含まれない場合には、ステップS880に進む。
<ステップS860>
ステップS860において、長さ比演算部740は、ステップS840で取得された網膜層内のカーソル位置Cに対して、網膜層に水平な方向とのなす角θと、網膜層に垂直となる方向の角度θ”それぞれの方向について、単位長さdの線分の画像上での長さを算出する。この比例演算工程は、前述した相関を求める手段に含まれた、分割された領域内の点に対して単位長さの縦横の画像上の比を演算する比例演算手段の一例である長さ比演算部740により実施される。
ここで、もしもカーソル位置CがRPE上のコントロールポイントと一致している場合には、該コントロールポイントに対してすでに取得されているθ、θ”を用いて、θ方向の長さd’は、
Figure 2012161595
θ”方向の長さd”は、
Figure 2012161595
と表わされる(ステップS240及び図4の説明を参照)。(式3)、(式4)によれば、網膜が水平方向(θ=0)であるとき、d’=d、d”=rdとなり、水平方向は単位長さdのまま、垂直方向は単位長さがr倍に拡大された値となっている。
カーソル位置がコントロールポイントに一致しない場合には、ステップS850において取得したカーソル位置を含む領域Rmに対して、AmとAm+1の値より補完した値を算出する。補完の手法は複数の方法が考えられるが、ここでは線形補完の場合を例として説明する。但し補完の方法が線形補完に限定されるものではない。
例えばカーソル位置Cから線分AmAm+1に下ろした垂線が、線分AmAm+1をh:1−hに分割する場合に、カーソル位置Cにおける角度を以下のように近似する。
Figure 2012161595
上記近似値を用いて、(式3)、(式4)より画像上での長さd’、d”を取得する。
<ステップS870>
ステップS870において、出力部170は、ステップS860において算出されたθ及びθ”の方向における、単位長さdの画像上での見た目の長さd’、d”に基づき、断層画像上にスケールを提示する。例えば、カーソル位置Cを原点として、画像の水平方向から角度θの方向に長さd’の線分を引き、垂直方向から角度θ”の方向に長さd”の線分を引いて、断層画像上に表示する。図9はスケールが提示された断層画像の一例を示しており、図中矢印で示されるカーソルの先端部を原点として個々の領域でのスケールが表示されている。線分の向きに関しては、カーソル位置CがRPEに近い場合にはd”の線分の向きを上向きに、ILMに近い場合には下向きに、画面の右側にある場合には、d’の線分の向きを左向きに、左側にある場合には右向きにするなどが考えられる。
以上の表示する工程は、上述した処理手段に含まれた、演算した長さ比に基づいて作成したスケールを網膜像の上の点に表示する制御手段110及び出力手段170によって実施される。
<ステップS880>
ステップS880において、制御部110は、断層画像による観察が終了したが否かを判定する。判定の方法は、不図示の操作者により終了を示す入力を受け取ることで行われる。断層画像の観察が終了していない場合には、ステップS840に戻って再度カーソル位置を取得する。カーソル位置に変更がある場合にはステップS850〜S870の操作を繰り返して新たなスケールを提示する。観察が終了したという入力があった場合には、処理を終了する。
(その他の実施形態)
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムによって、或いは該プログラムコードを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
10 画像処理装置
100 画像取得部
110 制御部
120 網膜層検出部
130 垂直方向演算部
140 層厚計測部
150 マップ作成部
160 記憶部
170 出力部
705 入力部
730 領域分割部
740 長さ比演算部

Claims (7)

  1. 網膜の断層画像から前記網膜の網膜層境界を特定する網膜層検出手段と、
    特定された前記網膜層境界に対して垂直な方向の解像度と前記網膜層境界に対して平行の方向の解像度とが等しくされた所定断層画像における前記網膜層境界に対して前記垂直な方向を演算する垂直方向演算手段と、
    前記所定断層画像における前記垂直な方向の実所定長さを測定し、前記断層画像における演算された前記垂直な方向の画像上の表示所定長さと、前記実所定長さと、の相関を求める手段と、
    前記表示所定長さと前記実所定長さとの相関を反映させた断層画像を作成する処理手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 断層画像における前記実所定長さ及び表示所定長さは前記網膜層の厚さに対応し、
    前記相関を求める手段は、演算した前記垂直な方向に前記網膜層の厚を計測する層厚計測手段を有し、
    前記処理手段は、計測した前記網膜層の厚を用いて層厚マップを作成するマップ作成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 断層画像における前記実所定長さ及び表示所定長さは前記断層画像における単位長さに対応し、
    前記相関を求める手段は、演算された前記垂直な方向に基づき前記網膜層を複数の領域に分割する領域分割手段と、
    分割された前記領域内の点に対して、前記単位長さの前記網膜層に水平な方向及び前記垂直な方向での画像上の長さ比を演算する長さ比演算手段と、を有し、
    前記処理手段は、演算した前記長さ比に基づき作成したスケールを、前記網膜像の上の点に提示する表示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 網膜の断層画像から前記網膜の網膜層境界を特定する網膜層検出工程と、
    特定された前記網膜層境界に対して垂直な方向の解像度と前記網膜層境界に対して平行の方向の解像度とが等しくされた所定断層画像における前記網膜層境界に対して前記垂直な方向を演算する垂直方向演算工程と、
    前記所定断層画像における前記垂直な方向の実所定長さを測定し、前記断層画像における演算された前記垂直な方向の画像上の表示所定長さと、前記実所定長さと、の相関を求める工程と、
    前記表示所定長さと前記実所定長さとの相関を反映させた断層画像を作成する処理工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  5. 断層画像における前記実所定長さ及び表示所定長さは前記網膜層の厚さに対応し、
    前記相関を求める工程は、演算した前記垂直な方向に前記網膜層の厚を計測する層厚計測工程と、
    前記処理工程は、計測した前記網膜層の厚を用いて層厚マップを作成するマップ作成工程を有することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
  6. 断層画像における前記実所定長さ及び表示所定長さは前記断層画像における単位長さに対応し、前記相関を求める工程は、演算された前記垂直な方向に基づき前記網膜層を複数の領域に分割する領域分割工程と、
    分割された前記領域内の点に対して、前記単位長さの前記網膜層に水平な方向及び前記垂直な方向での画像上の長さ比を演算する長さ比演算工程と、を有し、
    演算した前記長さ比に基づき作成したスケールを、前記網膜像の上の点に提示する表示工程と
    を有することを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
  7. 請求項4乃至請求項6に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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