JP5784105B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に眼部の断層像観察に適用可能な技術に関する。
近年、眼科の臨床現場においては、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、以下「OCT」と呼ぶ)による網膜の断層像を取得する装置が導入され、新たな知見を与えている。複数枚の網膜の断層像をボリューム画像として取得できるようになり、疾患の進行に伴う層ごとの変化を広範囲にわたって定量的に取得することが可能となってきている。これにより、精度の高い進行度合いの把握や治療効果の評価につながることが期待されている。
このような新しい装置による画像を効果的に活用するためには、従来の手法により得られてきた知見との関連が重要となる。例えば、緑内障の診断や治療の評価においては、神経線維層の厚み変化の重要性が知られているが、その結果、スリットランプや眼底写真による眼底観察で得られるC/D比(カップとディスクの比率)が有効な指標の1つとして用いられてきた。
スリットランプによる観察は、3次元情報を得ることができるが、定量的な評価が難い。これに対して眼底写真では、定量評価が可能であるが、3次元的な情報が失われてしまう。このため、特許文献1では、3次元情報と定量的な評価の両方を得るために、立体眼底カメラを用いた視神経乳頭部の形状取得と表示に関する手法が提案されている。また、OCTにより得られるボリューム画像中からC/D比を近似的に求める手法も提案されている。
特開平11−151206号公報
しかしながら、立体眼底カメラによる撮影で得られる情報は、あくまで異なる角度から撮影して得られる画像を合成するものであり、網膜内部の断層情報は含まれていない。このためOCTにより得られるボリューム画像の情報に比べて、網膜内部の情報を正確に取得できないという課題があった。
またOCTボリューム画像では、カップにあたる神経線維層に関しては詳細な情報が得られるが、ディスクにあたる強膜に関しては、近似的な値しか取得できない。そのために、これまでのOCTボリューム画像は、全体像を把握できるような情報を提示することが困難であった。
本発明はこのような課題を解決するため、複数の画像データを用いて網膜内部の全体像が把握できるような情報を提示する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、画像処理装置は、被検眼の撮影時期の異なる複数の断層画像を取得する取得手段と、前記複数の断層画像の一の断層画像から網膜層を抽出する抽出手段と、前記抽出した網膜層に基づき、強膜表面形状を構成する構成手段と、前記複数の断層画像のそれぞれと前記一の断層画像から抽出された網膜層に基づき構成された強膜表面形状とを合成する合成手段と、前記強膜表面形状が合成された複数の断層画像のそれぞれを表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の画像データを用いて網膜内部の全体像が把握できるような情報を提示する技術を提供することが可能となる。
実施形態1に係る画像処理装置の機能構成を示す図。 実施形態1に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャート。 OCTにより取得されるボリューム画像の一例を示す図。 強膜のモデルを合成したボリューム画像の一例を示す図。 経時変化のOCTボリューム画像を強膜モデルと合成する方法を示す図。 強膜のモデルを合成したボリューム画像の表示例を示す図。 強膜のモデルを合成したボリューム画像を用いて経過観察画像を表示する際の例を示す図。 実施形態2に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート。
<実施形態1>
以下、図面を参照しながら実施形態1について説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置は、OCTにより緑内障の経時変化を示す複数のボリューム画像を取得して網膜の詳細な構造変化を観察する際に、疾病の進行を明確にするボリューム画像の提示を行う。具体的には、疾病の進行に伴う変化の少ない強膜のモデルを、OCTボリューム画像による近似精度の高い疾病初期の情報を用いて作成し、疾病が進行した後の複数のボリューム画像中に合成して表示する。このようにして作製したOCTボリューム画像を用いることで、疾病の進行に伴う網膜の詳細な構造に生じた変化は、変化の比較指標となるディスクの情報とともに表示することで明確となる。
図1は、本実施例における画像処理装置10の構成例を示す図である。画像処理装置10は、画像取得部100、記憶部120、表示部130、結果出力部140、検出部150、モデル構成部160、合成部170、制御部200を備える。また画像処理装置10は、外部のデータサーバ20と接続されている。
画像取得部100は、データサーバ20に格納されている複数のOCTボリューム画像を取得する。記憶部120は、取得されたOCTボリューム画像の画像データを格納する。制御部200は、不図示のCPUを含み、画像処理装置10を構成する各機能部100〜170の動作のための指示を行い、画像処理装置10の全体の制御を担う。表示部130は、制御部200の指示によりOCTボリューム画像などの表示を行う。
結果出力部140は、表示したOCTボリューム画像などの画像データをデータサーバ20に保存する。検出部150は、OCTボリューム画像の画像データから網膜層領域を抽出して層のセグメンテーションを行い、網膜色素上皮(以下「RPE」と呼ぶ)、RPEの下側の境界(以下,RPE境界と呼ぶ)およびRPE境界が乳頭付近で不連続となる部分(以下, RPE端と呼ぶ)を検出する。モデル構成部160は、検出部150で検出されたRPEの境界及びRPE端から強膜のモデルを構成する。合成部170は、モデル構成部160で構成された強膜のモデルをOCTボリューム画像と合成する。
図2は、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を示す。また、図3は、OCTで撮影した網膜の視神経乳頭部断層像の模式図である。図2及び図3を用いて、網膜の視神経乳頭部断層像および画像処理装置10の処理手順について説明する。まず、S210において、画像取得部100は、データサーバ20からOCTを用いて撮像された複数のOCTボリューム画像を取得し、複数の2次元断層画像の集合からなるボリューム画像として眼部の画像を取得し、記憶部120に記憶する。
この画像の例が図3に示される。図3(a)において、T〜Tは、2次元断層画像(Bスキャン画像、以下「断層像」と呼ぶ)である。各断層像Tで,断層像の横方向をX軸方向,深度方向をZ軸方向(以下、Z軸方向へのスキャンを「Aスキャンライン」と呼ぶ)と定義する。断層像Tにおいて、1はRPEの境界、2は内境界膜を表している。ここでOCTのボリューム画像は、T〜Tの各断層像に関して、位置合わせがされているものとする。一般に、OCTの断層像を複数枚撮影すると、目の動き等の影響で撮影範囲がZ軸方向にばらつく傾向がある。このZ軸方向のばらつきを、画像の相関係数等を用いて修正することをここでは「位置合わせ」と呼び、以下で扱うボリューム画像は、すでにこの「位置合わせ」の処理が行われているものとする。
S210では、画像取得部100は、データサーバ20に格納されている複数のOCTボリューム画像を取得し、記憶部120に記憶した。尚、ここで取得される複数のOCTボリューム画像とは、例えば緑内障と診断されている同一患者の同一被検眼に対して異なる日時に撮影された、経時変化を伴うOCTボリューム画像群である。各OCTボリューム画像は、撮影日時と関連付けて、データサーバ20に保持され、画像取得部100によりデータサーバ20から撮影日時とともに読み出され、記憶部120に記憶される。そして、制御部200は、記憶部120に記憶された複数のOCTボリューム画像の中から、最も早い時期に撮影されたOCTボリューム画像を選択する。
S220において、検出部150は、制御部200で選択されたOCTボリューム画像から網膜層領域を抽出する。網膜領域の抽出は、例えば断層像に対する単純な2値化処理で抽出できる。2値化処理における閾値は、経験的に決定した固定値を利用してもよいし、判別分析法やP−tile法を利用して、入力されるOCT像に合わせて決定してもよい。
次に、網膜領域の層のセグメンテーションを行い、内境界膜や神経線維層、RPE境界等を検出する。具体的には、まず注目する断層像Tに対して平滑化フィルタを適用し、ノイズ成分を除去する。そして、ノイズ平滑化後の画像に対してエッジ検出フィルタを適用し、エッジ強調画像を生成する。エッジ強調後の画像について「Aスキャンライン」ごとに走査し、ある閾値より高い値を持つ画素を選択する。選択された画素の中で、断層像の最も上側(Z軸の値が小さい側)にあるものが内境界膜を表す画素とする。さらに、各「Aスキャンライン」において上記選択された画素が複数ある場合に、内境界膜とされた画素以外の画素で、断層像の最も下側(Z軸の値が大きい側)にあるものをRPE境界とする。ここで、選択された画素が1つしかない「Aスキャンライン」において内境界膜は設定されるが、RPEは設定されないことに注意する。
但し、内境界膜、RPEの検出法はこれに限定されるものではなく、例えば画像のヒストグラムやテクスチャ情報を用いて検出してもよい。さらに本実施形態では、エッジ強調画像において閾値以上の画素を選択していたが、これに限定されるものではなく、例えば輝度プロファイルから勾配を求め、それを指標として検出を行ってもよい。あるいは、輝度情報から特徴量を求め、それを入力として識別器を用いた検出を行ってもよい。
次に、上記RPE境界1からRPE端を検出する。図3(b)に示すように、上記各断層像Tに対して求められたRPE境界が存在する領域R1と領域R3と、途切れている領域R2が存在する。R2のように、RPEの境界が不連続となっており、領域R1とR2で「Aスキャンライン」が連続して存在する領域の両端を、RPE端とする。そして、各断層像Tに対して求められたRPE端をボリューム画像中で連結させることで、視神経乳頭外縁の近似値とする。
S230において、モデル構成部160は、検出部150で検出されたRPE境界及びRPE端から、強膜のモデルを構成する。ここで強膜のモデルとは、強膜内部の情報を含むものではなく、生理的強膜輪(Elschning輪)に相当する視神経乳頭外縁の形状と、強膜と脈絡膜の境界の情報があればよい。そこで強膜のモデルを、視神経乳頭外縁形状としてS220で検出したRPE端を、強膜表面形状としてステップS220で検出したRPE境界を用いて構成する。具体的には、OCTボリューム画像中でRPE境界として検出された画素よりなる曲面を、Z軸方向に平行移動して強膜表面形状を近似する。一般に、脈絡膜の厚みは0.2mm程度であることが知られていて、網膜の厚み(0.1mm〜0.4mm)と同程度である。よって、S220で検出された内境界膜とRPE境界との間の距離(RPE境界が存在する領域)の平均値dを求めて、PRE境界として検出された曲面を内境界膜と反対方向にdだけ平行移動するものとする。
さらに視神経乳頭外縁部として、ステップS220において、各断層像Tに対して求められたRPE端をdだけ平行移動させた後、ボリューム画像中で連結したものを視神経乳頭外縁の近似値とする。S240において、合成部170は、モデル構成部160で構成された強膜のモデルを、OCTボリューム画像と合成する。ここでモデルの合成とは、図3で示したOCTボリューム画像から構成される3Dの各ボクセルが、S230で構成した強膜モデルの領域に対応する場合には、強膜のラベルを付与することを意味する。
他にも、S220で検出した網膜領域(内境界膜とRPEの間の領域)に対応するボクセルには、網膜のラベルを、またRPEと強膜の間の領域に対応する場合には、脈絡膜のラベルを付与する。図4にボリューム画像とラベルとの関係を示す。ここでL1は網膜領域、L2は脈絡膜領域、L3は強膜領域を示し、さらにRPE端に囲まれた(「Aスキャンライン」上にRPE境界が検出されていない)領域を乳頭領域L4としている。
さらに緑内障の経過観察においては、網膜領域及び乳頭領域において神経線維層等の構造変化が見られるのに対して、強膜の変化はみられないことに着目する。具体的には、S230によって構成された強膜のモデルを、このモデルを作成する際に利用したOCTボリューム画像に合成するのみならず、経過観察として取得されている同一患者の同一眼に関するOCTボリューム画像のすべてに合成する。そのために制御部200は、S210において記憶部120に格納した複数のOCTボリューム画像を取得する。そして合成部170は、S230でモデル構成部160により構成された強膜のモデルを、この取得した複数のOCTボリューム画像と合成する。
このとき、疾病が進行した後のOCTボリューム画像と、S230において疾病の初期の段階で撮影されたOCTボリューム画像に基づき構成された強膜のモデルを、直接合成するのでは高い精度が得られない。何故なら、OCTボリューム画像中の網膜領域は、疾病の進行に伴い大きな構造変化を伴うことが知られているからである。このような場合には、経時変化後のOCTボリューム画像と前回撮影時のOCTボリューム画像との間で、重ね合わせ処理を行う。この結果をもとに、さらに前回撮影時のOCTボリューム画像と強膜モデルが合成されたボリューム画像に基づいて、経時変化後のOCTボリューム画像を強膜モデルと合成する。
具体的な処理を図5に示す。図5において、A,B,Cは、同一患者の同一眼のOCTボリューム画像であり、BはAの撮影の1年後、Cは3年後の画像であるとする。Dはボリューム画像Aに基づき作成された強膜のモデルとし、EはAとDを合成したボリューム画像であるとする。また強膜モデルDは、変化しないとする。ここで、1年後のボリューム画像B、3年後のボリューム画像CとDを直接合成することを考えると、CはAに比べて網膜層の構造に大きな変化がみられ、特にRPE端等に変化が見られる可能性があるので、CとDの合成は困難となる。そこで、まずCとBの間で重ね合わせの処理を行い、Bに対するCの相対位置を求めておく。さらに、BとDを合成して得られた合成画像Fから、BとDの相対位置を求める。Bを基準としてDの相対位置、及びCの相対位置が求められているから、これによりDとCを合成することができ、合成ボリューム画像Gを作成する。
S250において、表示部130は、合成部170で合成して作成された強膜のモデルを含んだOCTボリューム画像を、不図示のディスプレイ等の表示装置に表示する。さらに、これまでのステップの手順で作成された合成ボリューム画像の情報を、結果出力部140を通じてデータサーバ20に保存する。
図6に、合成ボリューム画像の表示の具体例を示す。緑内障の診断においては、神経線維層の厚みの分布を、視神経乳頭外縁部と比較しながらみることが重要である。よってS220で検出された網膜領域内の神経線維層部分のみを特に抽出し、その領域に相当するボクセルに単一の色情報を設定する。さらに、視神経乳頭外縁部を示す強膜領域が確認できるように、合成時における神経線維層領域の不透明度αを小さな値に設定する。図6(a)に示すように、強膜領域61に関しては、完全に不透明になるように不透明度αを1に設定する。
また図6(b)に示すように、上記のように作成されたボリューム画像を用いてボリュームレンダリング表示を行う。本実施形態においては、眼底をスリットランプ等で観察するイメージを提示するために、図6(c)に示すような位置に視点を置く。具体的には、内境界膜がボリューム画像の端とぶつかる点62、63をボリューム画像の4箇所で求めて、向かい合う2箇所を結んだ直線64と垂直となる方向65を求め、このベクトル上に視点をおく。
以上の例では網膜層領域のセグメンテーション結果を用いて、神経線維層のみに単一の色情報を与えてボリュームレンダリングを行った。しかし、OCTボリューム画像から得られる輝度情報を活用するならば、網膜層領域や乳頭領域に関しては低い不透明度とともにOCTの輝度情報を用い、強膜領域には不透明度1を与えてボリュームレンダリングすることもできる。
さらに、緑内障の診断において重要となるC/D比(カップ/ディスク比率)のカップの形状を3次元的に明示するために、内境界膜を用いたサーフェスレンダリング表示を行うこともできる。このとき、S220で取得される内境界膜の検出点を用いてポリゴン形状の表面を作成する。さらに、このポリゴン集合を半透明表示し、不透明表示される強膜形状とともに提示することで、カップとディスクを立体的に表示することができる。また、ポリゴンの表面に、3Dで表示した際の神経線維層の厚み情報を、厚みマップとして表示するなどすれば、内境界膜の形状とともに、神経線維層の厚み情報も得られるために、より診断に有効な表示となる。
以上のように、強膜モデルを合成したOCTボリューム画像を用いて、ボリュームレンダリング表示やサーフェスレンダリング表示をする例を示したが、表示方法はこれに限定されるものではない。例えばボリュームレンダリングとサーフェスレンダリングを組み合わせてもよい。具体的には、神経線維層のみをボリュームレンダリングし、強膜をサーフェスレンダリングするなどの表示法を行ってもよい。
次に、上述したような、強膜のモデルを合成したボリューム画像によるさまざまな表示法を用いて、経過観察データを表示する。図5で示したように、経過観察のために撮影されたOCTボリューム画像に同一の強膜モデルを合成することにより、網膜領域及び視神経乳頭領域の変化を明示することができる。
具体的には、図7に示すように、3D表示画面にスクロールバーS1をつけ、スクロールするごとに異なる時期に撮影されたOCTボリューム画像との合成画像を表示する。これは、スクロールバーS1を、図6(a)と図6(b)と図6(c)のように順番に設定することで、例えば、図5のE、F及びGをそれぞれ時系列で表示するようにする。3D表示は、表示タイプや視点を変更して最も観察に適した状態を表示した上で、時間変化をスクロールすることができ、疾病による網膜層の変化の様子を明示的に示すことができる。
以上の構成により、ディスクの物理的構造である強膜に関する情報から強膜の3次元的モデルを構築し、OCTのボリューム画像中に合成できる。そして、合成されたボリューム画像を用いることにより、神経線維層等の網膜の詳細な情報と、ディスクを含む視神経乳頭部の奥行き情報を含む全体像を同時に提示することが可能となる。例えば、OCTボリューム画像を用いて緑内障の経過観察を行う場合、疾病の進行に伴う変化の著しい網膜層の情報を、安定した構造をもつ視神経乳頭外縁部と同時に提示することができる。これにより、視神経乳頭部の3D情報を観察する際に、ディスクの情報と比較しながら観察を行うことができるという効果がある。
<実施形態2>
実施形態1では、強膜のモデルを構成する際に、OCTボリューム画像から取得したRPE境界とRPE端の情報を用いていた。しかしRPE端が視神経乳頭外縁の近似値を与えるのは、乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)等の所見が見られないものに限られ、疾病が進行した後のOCTボリューム画像のみからでは、強膜のモデルを構成することが困難となる。実施形態2では、強膜のモデルを作成するために、OCTボリューム画像以外の画像、ここでは眼底画像の画像データを用いてより正確なモデルを構成する場合について説明する。
以下、図8のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。なお、S810、S840及びS850は、それぞれ、実施形態1のS210、S240及びS250と同様なので、説明を省略する。また複数の眼底画像が、撮影時期と関連付けられて、OCTボリューム画像とともに、データサーバ20に記憶されていると仮定する。
S815において、画像取得部100は、データサーバ20に格納されている複数の眼底画像を取得し、記憶部120に格納する。ここで取得する眼底画像は、ステップS810で取得されるOCTボリューム画像と同一患者の同一眼を撮影した画像である。制御部200は、記憶部120に保存された複数の眼底画像の中から、S810で選択されたOCTボリューム画像に最も近い時期に撮影された眼底画像を選択する。
S820において、検出部150は、制御部200で選択されたOCTボリューム画像の画像データから網膜層領域を抽出して層のセグメンテーションを行い、RPE境界を検出する。さらに、検出部150は、制御部200で選択された眼底画像から視神経乳頭外縁を検出する。
OCTボリューム画像からの網膜層領域の検出は、S220と同様なので、説明は省略する。眼底画像の画像データからの視神経乳頭外縁部の検出は、一般的に知られている二値化処理やエッジ強調フィルタなどを組み合わせることにより抽出する。
S830において、モデル構成部160は、検出部150で抽出されたRPE境界及び視神経乳頭外縁部を用いて強膜のモデルを構成する。ここでは、OCTボリューム画像と眼底画像という2種類の画像からそれぞれRPE境界と視神経乳頭外縁部を抽出しているため、2種類の画像の重ね合わせを行うことにより、この2種の抽出部分を統合する。具体的には、OCTボリューム画像の画像データから得られる輝度値を、図3(a)のZ軸方向に積算した積算画像を作成する。積算画像は、眼底画像と同様の、網膜を表面から観察した画像となるため、この積算画像と眼底画像の重ね合わせを行う。このとき、眼底画像と積算画像の双方から血管を抽出し、双方の血管の位置あわせに基づき画像の重ね合わせを行う。
モデル構成部160は、OCTボリューム画像と眼底画像の重ね合わせに基づき、OCTボリューム画像から抽出したRPE境界と、眼底画像に含まれる視神経乳頭外縁を統合する。S820において検出されたRPE境界に基づき、モデル構成部160は、RPE境界の近似面を作成する。RPE境界の検出されていない乳頭に近い部分、すなわち実施形態1で検出したRPE境界の不連続となるRPE端は検出できないので、眼底画像に含まれる視神経乳頭外縁を用いて、RPE端を特定する。そして、RPE境界の検出されていない乳頭に近い部分は、特定されたRPE端に対して周囲から面を外挿することによって、RPE境界全体の近似平面を求める。この近似平面上に、眼底から抽出された視神経乳頭外縁部を重ねる。眼底画像は3次元情報を持たないために、検出された視神経乳頭外縁部はZ軸方向の位置が定まらないが、このRPE近似面上に限定することで、視神経乳頭外縁部を確定することができる。
このようにして統合したRPE境界と視神経乳頭外縁部を用いて、強膜のモデルを作成する。ここでもS230と同様、上記統合したRPE境界と視神経乳頭外縁部をOCTボリューム画像のZ軸方向にdだけ平行移動して、強膜のモデルとする。
ここでは眼底画像とOCTボリューム画像を用いて強膜のモデルを構成する例を示したが、強膜のモデルを構成する方法はこれに限定されるものではなく、SLOなど他のモダリティからの画像を用いることもできる。
さらに、波長の異なる光源を用いたり、コヒーレンスゲートを調整して異なる焦点位置としたりして得られるOCTボリューム画像から、異なる箇所を抽出して統合してもよい。このように多種の画像からの情報を統合することで、より正確な強膜のモデルを構成することが可能になる。
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (3)

  1. 被検眼の撮影時期の異なる複数の断層画像を取得する取得手段と、
    前記複数の断層画像の一の断層画像から網膜層を抽出する抽出手段と、
    前記抽出した網膜層に基づき、強膜表面形状を構成する構成手段と、
    前記複数の断層画像のそれぞれと前記一の断層画像から抽出された網膜層に基づき構成された強膜表面形状とを合成する合成手段と
    前記強膜表面形状が合成された複数の断層画像のそれぞれを表示する表示手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記抽出手段が、前記一の断層画像から視神経乳頭外縁抽出し、
    前記構成手段が、前記抽出した視神経乳頭外縁に基づき、視神経乳頭外縁形状を構成し、
    前記合成手段が、前記視神経乳頭外縁形状を、前記複数の断層画像のそれぞれと合成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 取得手段が、被検眼の撮影時期の異なる複数の断層画像を取得する工程と、
    検出手段が、前記複数の断層画像の一の断層画像から網膜層を抽出する工程と、
    構成手段が、前記抽出した網膜層に基づき、強膜表面形状を構成する工程と、
    合成手段が、前記複数の断層画像のそれぞれと前記一の断層画像から抽出された網膜層に基づき構成された強膜表面形状とを合成する工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
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