JP2012160227A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面反射を防止しつつかつ生産の容易な光記録媒体を提供する。
【解決手段】光記録媒体11は、記録再生光によって再生される情報を記録した情報ピット2が形成された信号面6と、信号面6と対向する側に前記記録再生光が入射される読み出し面7とを有する基材1を備える。ここで読み出し面7には、前記記録再生光の反射を低減する複数の反射防止構造体3が前記記録再生光の波長よりも小さいピッチで形成される。反射防止構造体3それぞれは前記読み出し面上7において凹んだ凹形状を有し、読み出し面7上における縁部の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さが、底面の縁の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さよりも長くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光記録媒体に関し、特に反射防止構造を有する光記録媒体に関する。
ガラスやプラスチックからなる光学素子は、その表面におけるフレネル反射によって可視光領域において4%程度の表面反射を生ずることが知られている。多数のレンズやプリズム等の光学素子を組み合わせて光学系を構成すると、これらの光学素子の表面での反射が積み重なり、光線の透過率が減少する。このため、カメラの撮影レンズ、光ディスクのピックアップレンズ、眼鏡、あるいは液晶ディスプレイ等の空気と光学素子や光学部材との界面での反射損失を減らすための技術が種々提案されている。
そのような技術のひとつとして、光学素子の表面に微細な凹凸構造を作ることが検討されている。より具体的には、レリーフ構造格子や錐形状の突起物を光学素子表面に成形して表面反射を抑えるという技術である(例えば特許文献1参照)。光が空気層側、すなわち突起物の頂点から入射し、底面側に深さ方向に進行した場合、突起である光学素子媒質の面積が次第に増加することにより、屈折率は、空気の屈折率から光学素子の屈折率に少しずつ増大する。空気層から突起のない平坦な光学素子媒質に光が入射するのと異なり、急激な屈折率変化がないため、光の反射が抑制される。
特開2004−22157号公報
光学素子の表面に微細な凹凸構造を作る場合、その構造は信号面のパターンに比べ反射防止構造体のパターンはピッチが小さくかつ深く、構造体を忠実に成形することが困難となる。特に信号面と反射防止構造を同時に成形することが難しく、生産効率が悪くなる。また、射出成形を用いて生産する場合、溶融した樹脂が半径方向を中心から外周に向かって金型内部を流動することになるが、構造体を成形する溝が深いと、樹脂の流れを阻害し、ひいては外周部への樹脂の充填を阻害することとなる。加えて、反射防止構造の断面も三角形の溝としなければならないが、成形の精度も要求され実現が困難となる。
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、表面反射を防止しつつかつ生産の容易な光記録媒体を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のある態様は光記録媒体である。この光記録媒体は、記録再生光によって再生される情報を記録した情報ピットが形成された信号面と、前記信号面と対向する側に前記記録再生光が入射される読み出し面とを有する基材を備える。ここで前記読み出し面には、前記記録再生光の反射を低減する複数の反射防止構造体が前記記録再生光の波長よりも小さいピッチで形成される。また前記反射防止構造体それぞれは前記読み出し面上において凹んだ凹形状を有し、前記読み出し面上における縁部の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さが、底面の縁の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さよりも長くなる。
本発明によれば、表面反射を防止しつつかつ生産の容易な光記録媒体を提供することができる。
図1(a)および(b)は、実施の形態に係る光記録媒体の構成を模式的に示す図である。 図2(a)〜(c)は、記録再生光の入射光方向から見た光記録媒体の読み出し面を模式的に示す図である。 実施の形態に係る反射防止構造を有する光記録媒体を成形する成形装置を模式的に示す図である。 実施の形態に係る射出成形装置で成形された基材の直径方向の断面を模式的に示す図である。 反射防止構造体の深さに対する記録再生光の反射率の値のグラフを示す図である。 反射防止構造体の縁部の径と底部の径との比に対する記録再生光の反射率の値のグラフを示す図である。
図1(a)および(b)は、実施の形態に係る光記録媒体の構成を模式的に示す図である。具体的に、図1(a)は光記録媒体11の上面図を表し、図1(b)は線分ABの断面図を示す。図1(a)における光記録媒体11は、図1(a)に示すように円盤形状である。また、基材1の中心には記録再生装置(図示せず)に装着するための中心穴5が形成されている。
基材1は、記録再生光に対し透光性を有する樹脂あるいはガラスから作られている。より具体的には、基材1は、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、およびアモルファスポリオレフィン樹脂等のプラスチックを用いて作られている。これらのプラスチック材料の記録再生光波長における屈折率nは、1.45から1.65の範囲となる。
図1(b)は、中心穴5を通る線分ABの断面図を示す。説明の便宜上、以下では、信号面6を上側、読み出し面7を下側として説明する。光記録媒体11の基材1において、後述する情報ピット2の情報を読み出すための記録再生光が入射する読み出し面7の表面には、読み出し面7に対して凹となる反射防止構造体3が複数設けられている。言い換えると読み出し面7から見て信号面6側に向かって凸となる凹部が、反射防止構造体3として複数設けられている。この反射防止構造体3の詳細については後述する。
基材1において読み出し面7と対向する表面には、螺旋状あるいは同心円状に情報ピット2が形成されている。情報ピット2は、記録再生光によって再生されるべき音楽、ビデオ映像、データ等の情報信号を記録する。情報ピット2の上には、金属からなる反射層4が積層されている。さらに、情報ピット2と反射層4とを保護するために保護層8が形成される。保護層8は、紫外線硬化型樹脂の塗布膜や樹脂基板を貼り合わせることで構成される。保護層8の上面が上述した信号面6となる。
読み出し面7から記録再生光が入射し、反射防止構造体3を通過して、情報ピット2に光が照射されると、情報ピット2の反射層4で記録再生光が反射して、情報ピット2の存在しない平坦部分と情報ピット部分の反射光の光量に強度差が生じる。この強度差をもとに、情報ピット2に記録されている情報が復元される。
図2(a)〜(c)は、記録再生光の入射光方向から見た光記録媒体11の読み出し面7を模式的に示す図である。具体的に、図2(a)は光記録媒体11の上面図を示す。図2(b)は読み出し面7の上面の拡大図を示す。また、図2(c)は、図2(b)における線分EF方向の断面の拡大図を示す。
図2(a)に示すように、実施の形態に係る光記録媒体11の読み出し面7には、円環状のトラックが半径方向に等間隔で配置されている。反射防止構造体3は、この複数の円環状の各トラックにおいて、円周方向に等間隔で複数形成される。図2(b)は、図2(a)の一部を拡大して示す図であるため、円周方向の配列を直線状の配列として近似して図示している。そこで、以下図2(b)において、円周方向をX方向、半径方向をY方向として説明する。なお、説明の便宜上、反射防止構造体3が形成されるトラックの形状は円環として説明するが、この形状は円環に限らず、例えば一様螺旋や対数螺旋のような渦巻き型の形状であってもよい。また、複数の円環状のトラックは、読み出し面7に形成されている必要はなく、反射防止構造体3が互いに同一円周上にあるよう形成されればよい。
反射防止構造体3は読み出し面7から見て凹型である凹部であり、凹部の読み出し面7側の端部を上端とし、凹部の信号面6側の端部は底部とする。読み出し面7の境界とで形成される凹部の縁部(以下、単に「縁部」ともいう。)の形状は、円形あるいは円周方向に長い楕円や半径方向に長い楕円である。図2(b)に示すように、円環状トラックはPy間隔で配置されている。各反射防止構造体3は、円環状の各トラックにおいて、円周方向にPx間隔で形成される。図2(c)は、基材1の図2(b)におけるEF方向の断面の拡大図を示す。
反射防止構造体3は金型となるスタンパを樹脂に押しつけることによって生成される。スタンパ上に設けられた反射防止構造体3を形成するための反射防止構造体形成部が凸型であるマスタースタンパを用いると、基材1には凹型の複数の反射防止構造体3が形成され、反射防止構造体形成部が凹型となっているマザースタンパを用いると、凸型の複数の反射防止構造体3が形成される。
発明者は、反射防止構造体形成部が凸型であるマスタースタンパと、凹型であるマザースタンパとを用いて基材1を射出成形してその転写性を比較した。この結果、反射防止構造体形成部が凸型であるマスタースタンパの方が、凹型であるマザースタンパよりも、基材1への反射防止構造体3の転写性がよいことを見出した。したがって、生産性の観点から、反射防止構造体形成部が凸型となっているスタンパから成形される凹型の複数の反射防止構造体3によって反射防止構造体3を構成するのが好ましい。
ここで、仮に複数の反射防止構造体3がトラック上で密に連なるように反射防止構造体3を構成すると、各トラックにおいて反射防止構造体3による溝(凹部)が形成されることになる。同様に、複数の反射防止構造体3がY方向に密に連なると、基材1上に放射状に凹部が形成される。一般に、反射防止構造体3の成形時には、基材1の内周から外周方向、すなわちY方向に溶融した樹脂が流れる。このため、上述のような溝が存在すると、その溝で樹脂の流れがせき止められて基材1の外縁部分まで樹脂が行き渡らなくなり、樹脂が均一に分布しないことが起こり得る。その結果、基材1内で反射防止構造体3が一様に転写されなくなってしまう。
そこで、基材1上に樹脂が均一に分布するように、反射防止構造体形成部を構成する複数の凸部が互いに接することのないよう、間欠的にスタンパ上に配置することが好ましい。このようなスタンパで成形される反射防止構造体3は、図2(b)に示すように、複数の凹部が互いに接することなく間欠的に配置される。ここで「凹部が間欠的に配置される」とは、近接する各凹部の縁部が互いに接することなく配置されていることをいう。
説明の便宜上、各反射防止構造体3の凹部の縁部の直径(縁部の形状が楕円形の場合は長径)をD1とする。このとき、複数の反射防止構造体3が間欠的に配置されるための条件は、近接する反射防止構造体3同士の縁部の中心間の距離をPとして、
P>D1 (1)
となる。
前述したように、実施の形態に係る反射防止構造体3は、Y方向に等間隔なトラック上に、X方向にも等間隔に配置されている。トラックの間隔をPy、X方向の間隔をPxとすると、複数の反射防止構造体3が間欠的に配置されるための条件は、
Px>D1 かつ Py>D1 (2)
となる。
ここで、Y方向のピッチPyはX方向のピッチPxと等しくなくてもよい。また、図2(a)における直線GHに沿って、反射防止構造体3がY方向に配列が揃う場合と揃わない場合があるが、反射防止構造体3が間欠的に配置される限り、どちらの配置をとってもよい。
以上、複数の反射防止構造体3同士の位置関係について説明した。次に、各反射防止構造体3の形状について説明する。
発明者の実験により、可視光領域の波長λの光に対して反射防止を機能させるためには、反射防止構造体3の深さhを50nm<h<500nmとし、各反射防止構造体3の配置の周期、すなわち上述のPxおよびPyが、100nm<Px<500nm、100nm<Py<500nmとなるよう反射防止構造体3を形成するとよいことが分かった。ここで、「反射防止構造体3の深さh」とは、反射防止構造体3の凹部が形成されている基材1の表面から凹部の底部に至るまでの最短距離である。具体的には、基材1の表面から底部に下ろした垂線の長さである。
表面に反射防止構造体3を形成していない平坦な基材1に対して可視光領域の波長の光を照射すると、その光は基材1の表面でおよそ4.5%反射する。これに対し、基材1の表面に上記のh、Px、Pyを満たすように反射防止構造体3を成形すると、反射防止構造体3によって基材1の表面の反射率を反射防止構造体3を形成していない場合の4.5%よりも低減することができる。このように、実施の形態に係る反射防止構造体3は、基材1の表面に反射防止構造体3を形成しない場合よりも基材1の表面の反射率を低減させることが可能であれば足り、反射を完全に防止できることに限られない。
発明者は、表面にそれぞれ異なる配置や形状の反射防止構造体3を形成したCD(Compact Disc)を複数用意し、記録再生光の表面における反射率と、そのCDを再生したときの音質との関係について官能評価試験を実施した。官能評価試験の評価項目は(1)レンジ感、(2)歪感、(3)奥行き感、(4)解像度、(5)バランス感の5項目である。この官能評価試験は、反射防止構造体3を形成していない従来のコンパクトディスクを評価点3とする5段階評価で行った。本評価試験においては、評価点の点数が高いほど音質がよいことを意味する。その結果、基材1の表面反射率を2.0%以下に抑えると、5つの評価項目のうち複数の項目が従来評価点3を上回り、CDの音質が向上することが判明した。さらに反射率を1.5%以下に抑えると、全ての項目で従来評価点3を上回り音質が著しく向上することも分かった。
基材表面の反射率を2%以下に抑えると、記録再生光が基材表面で反射して生じる迷光が低減して再生信号品質が向上することも明らかにされている。これは再生信号以外の不要反射光が光検出器に入射するのを防ぐことにより、再生信号のノイズ対信号比を増大させることができるからである。光記録媒体11を記録再生するレーザ波長λが780nmのときに基材1の表面の反射率を2%以下に抑えるためには、反射防止構造体3を構成する反射防止構造体3の深さhを100nm<h<300nmとし、周期を150nm<Px<400nm、150nm<Py<400nmとなるよう形成するとよいことを発明者は見出した。
ここで、実施の形態に係る反射防止構造体3は円錐や角錐のような鋭角の底部を持たない。図2(c)に示すように、実施の形態に係る反射防止構造体3の底部は平面で形成され、その平面は前記読み出し面7と平行である。底部における平面(底面)は底部径D2を有する。底部は、曲面で形成されていてもよく、このときの曲面の曲率は小さい方が望ましい。さらに、実施の形態に係る反射防止構造体3において、縁部の径D1と底部径D2との関係は、1>D2/D1となっている。
仮に1<D2/D1となる反射防止構造体3を形成する場合、スタンパ上の反射防止構造体形成部の先端径D2を、反射防止構造体形成部の底部の径D1より大きくする必要がある。本実施の形態において反射防止構造体形成部は凸型であるため、反射防止構造体形成部の先端部は凸型の先端に、反射防止構造体形成部の底部は凸型の底部に相当する。反射防止構造体形成部の底部面はスタンパの表面、すなわち反射防止構造体形成部が形成される面と同一面となる。
反射防止構造体形成部の先端部が反射防止構造体3の底部に対応し、反射防止構造体形成部の底部が反射防止構造体3の縁部に対応する。このようなスタンパを用いて反射防止構造体3を形成した後にそのスタンパを剥がすと、形成された反射防止構造体3(凹部)の縁部径D1は反射防止構造体形成部の先端部により凹部の底部径D2と同程度まで拡大してしまう。このため、後加工をすることなくD1<D2となる反射防止構造体3を形成することは難しい。また、凹部の縁部と底部とをつなぐ壁面で形成される凹部内径は、縁部から底部に向かうに連れ小さくなることが好ましい。凹部の縁部の内径D1を最大として底部に近づくほど径を小さくした方が、樹脂の充填率、すなわちスタンパからの転写率が向上する。さらに、スタンパの離型を容易とするため、離型による基材1の表面のめくれを低減することもできる。以上の観点からD1=D2とするのも望ましくなく、結論として反射防止構造体3の縁部の径D1と底部径D2との関係は、上述の1>D2/D1を満たすことが好ましい。
樹脂の充填率やスタンパの離型等、生産の容易性を考慮すると、反射防止構造体3の深さhは浅いほど好ましい。一方で、基材1の表面反射を抑制するためには、反射防止構造体3の深さhは反射防止構造体3の縁部の径D1の数倍〜十数倍がよいと言われている。
発明者は、各反射防止構造体3の底面を平坦とすることで、反射防止構造体3の深さhが反射防止構造体3の縁部の径D1の1〜2倍程度であっても、記録再生光の基材1の表面における反射率を4.5%以下に抑えることができることを実験によって見出した。これは、例えば反射防止構造体3の底面で反射された記録再生光と、基材1の表面のうち反射防止構造体3が形成されていない部分で反射した記録再生光が打ち消し合うなど、種々の要因が複合的に重なって達成できたと推測される。
後述する実施の形態に係る反射防止構造体3の深さhと反射防止構造体3の縁部の径D1との関係は、
0.42≦h/D1≦1.67 (3)
である。また、反射防止構造体3の縁部から底部に至る傾斜、すなわち凹部の内径の変化は緩やかである方が、生産の容易性の観点から好ましい。詳細は後述するが、反射防止構造体3の縁部の径D1と底部径D2との関係は、
0.17≦D2/D1≦0.83 (4)
の範囲とするとよい。反射防止構造体3を上記式(3)、(4)を満たすようにすることにより、生産性の容易さを確保しつつ、表面反射を抑制できる反射防止構造体3を成形することが可能となる。
図3は、実施の形態に係る反射防止構造体3を有する光記録媒体11を成形する射出成形装置30を模式的に示す図である。射出成形装置30は、固定金型34a、可動金型33a、情報ピット2を成形する凸部34bが付された情報スタンパ34c、反射防止構造体3を成形する凸型の反射防止構造体形成部33bが付された反射防止構造スタンパ33c、溶融した樹脂を送り込むためのノズル36、および固定金型34aと可動金型33aとのそれぞれの温度を調整する温度調整装置35a、35bとを含む。
射出成形装置30は、既知の油圧式あるいは電動式の射出成形機によって実現される。基材1に凹形状の反射防止構造体3を転写するため、反射防止構造スタンパ33cにはこれと入れ子の凸形状の反射防止構造体形成部33bが配置されている。この凸形状の反射防止構造体形成部33bの頂部は平坦となっている。
反射防止構造スタンパ33cは、例えば光記録媒体のマスタリングプロセスにより作製される。ガラス原盤に形成したレジストをレーザ光で露光して現像した後、レジストのパターンをマスクとしてエッチングによりガラス面に反射防止構造体3のパターンを彫る。この面に導電膜を成膜した後、ニッケル電鋳を施し、ニッケル製の反射防止構造スタンパ33cを得る。
情報スタンパ34cも反射防止構造スタンパ33cの作成と同様のマスタリングプロセスを用いて作成される。情報ピット2の大きさは、CDの場合には、最短マーク長が0.83μm、トラックピッチが1.6μm、深さが160nm、幅が40nmであるが、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc;登録商標)用の情報ピットを作成することも可能である。この場合、それぞれの記録再生光の波長に応じて、最短マーク長、トラックピッチ、深さ、および幅を適宜実験によって決定すればよい。
以下、反射防止構造体3と情報ピット2とを備えた基材1の具体的な成形工程について説明する。
反射防止構造スタンパ33cと情報スタンパ34cとを射出成形装置30に設置し、基材1の2つの面に反射防止構造体3と情報ピット2とを備えた基材1を作製する。射出成形装置30の可動金型33aに反射防止構造スタンパ33cを取り付け、対向する固定金型34aに情報スタンパ34cを取り付ける。あるいはこれと反対に、射出成形装置30の可動金型33aに情報スタンパ34cを取り付け、対向する固定金型34aに反射防止構造スタンパ33cを取り付けることも可能である。
反射防止構造スタンパ33cと情報スタンパ34cとはともに、転写パターンが突起(凸部)として設けられている。固定金型34aおよび可動金型33aは、それぞれ温度調整装置35a、35bから温水を導入し、それぞれの金型を所定温度に加温し一定に保つように構成されている。溶融した樹脂ペレットをノズル36からスクリューを用いて押し出し、固定金型34aおよび可動金型33aの間に射出する。固定金型34aが可動金型33aを圧縮して、反射防止構造スタンパ33cと情報スタンパ34cとのそれぞれのスタンパのパターンを成形した基材1を得る。
スパッタリング法、あるいは真空蒸着法等の既知の手法により、信号面6側の情報ピット2の上に反射層4を設ける。反射層4は、高い反射率が得られるAu、Al、Ag、Pbまたはその合金を用いることで実現できる。反射層4の上には保護層8が成形される。保護層8は、紫外線硬化樹脂をスピンコートして基材1の全面に塗布して、紫外線を照射して硬化させることで形成される。この結果、光記録媒体11に耐傷性と耐湿性とを持たせることができる。
図4は、実施の形態に係る射出成形装置30で成形された基材1の直径方向の断面を示す図である。情報ピット2は、基材1の信号面6側に、情報ピット2の開始位置45aから情報ピット2の終了位置45bにわたって設けられる。信号面6と対向する読み出し面7側には、反射防止構造体3が、反射防止構造体3の開始位置46aから反射防止構造体3の終了位置46bにわたって設けられる。
例えばCDを再生する場合を考える。このとき対物レンズ44の開口数(numerical aperture;NA)は0.45であり、記録再生光45である再生レーザ光の波長λは780nmである。信号面6における記録再生光45のスポット半径rは、r=0.61×λ/NA=0.61×780/0.45=1057nmとなる。信号面6から記録再生光45の入射側にある読み出し面7では、スポット半径が0.36mmまで拡大する。
そこで、反射防止構造体3の開始位置46aは情報ピット2の開始位置45aよりも基材1の内周側に位置し、かつ、反射防止構造体3の終了位置46bは情報ピット2の終了位置45bよりも基材1の外周に位置するように成形する。この結果、反射防止構造体3が成形される領域の方が情報ピット2が成形される領域よりも広くなり、記録再生光45が反射防止構造体3を通過することが保証される。
発明者は、反射防止構造体3の縁部が囲む形状の直径D1、底部の直径D2、深さh、反射防止構造体3が配列されるトラックのピッチPy、およびトラック上における反射防止構造体3の円周方向のピッチPxについて、それらの値を変更することで成形される、異なる複数の反射防止構造体3を有するCDを作成し、記録再生光の表面反射率やCDの音質の官能評価実験を行った。以下、その結果を実施例およびその比較例として説明する。
まず、反射防止構造体3の縁部の直径D1が200nm場合の例について説明する。
(実施例1)
反射防止構造スタンパ33cを次のようにして作製した。まず、石英製のガラス円盤を用意し、光学研磨した石英ガラス製の円盤に真空プロセスであるスパッタリングにて分子量比が二酸化タングステン(WO):二酸化モリブデン(MoO)=9:1の混合物からなる無機レジスト層を膜厚50nmとして設けた。次に、この円盤を露光装置(図示せず)に設置し、線速度4.92m/sで一定にして回転させ、波長405nmのレーザ光をレジスト表面に開口数が0.9である対物レンズで集光、明滅して照射し、所定形状の潜像を形成した。
トラックのピッチPyを0.26μm、円周方向のピッチPxを0.13μmとし、内周から外周に向けて螺旋状に露光した。その後アルカリ性現像液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド現像液)で現像して露光部を除去し、レジストの凹凸パターンを得た。さらに、得られたレジストパターンをマスクとして、CHFをエッチングガスとして用いて、電圧を印加して異方性の高いドライエッチングを行うことにより、石英ガラス表面に反射防止構造体3を凹形状で成形した。
その後、ニッケル薄膜を成膜し、電鋳方法によりニッケル製の反射防止構造スタンパ33cを得た。反射防止構造スタンパ33cに形成された反射防止構造体形成部33bの形状は凸形状で、高さh=260nm、Px=0.30μm、Py=0.26μmであった。
これとは別に、コンパクトディスクの情報ピット2が成形された情報スタンパ34cをニッケルスタンパとして用意した。情報ピット2に対応するスタンパの凸部分の形状は、高さ140nm〜180nm、幅30nm〜50nmにある。反射防止構造体3とCDとを同時に射出成形する場合、通常のCDを射出成形する場合と比較して金型温度を高くするため、CDの情報ピット2の離型性が低下する。そのため、傾斜角度の小さな情報ピット2を成形する必要がある。そのため、情報ピット2の傾斜角度は12度〜30度の範囲が好ましい。
実施例1で使用した情報スタンパ34cは、高さ160nm、幅40nm、傾斜角度21度である。光記録媒体11の量産用の射出成形装置30の固定金型34aにCD用の情報スタンパ34cを取り付け、可動金型33aには反射防止構造スタンパ33cを取り付けた。固定金型34aと可動金型33aとの2つの金型の温度と型締め力を変えて射出成形を行い、ポリカーボネート樹脂の基材1を得た。
反射防止構造スタンパ33cの転写性を高めるため、可動金型33aの温度は、情報スタンパ34cを取り付けた固定金型34aの温度よりも高温に設定する方が好ましい。そこで、可動金型33aの温度を120〜140℃、固定金型34aの温度を95〜140℃とした。具体的には、可動金型33aの温度を135℃、固定金型34aの温度を120℃とした。また、型締め力は40トンとした。
信号面6側に情報ピット2が配置される領域を、光記録媒体11の半径25mm〜58mmの範囲の領域とし、反射防止構造体3が成形される領域は半径18mm〜59mmの範囲の領域となるように成形した。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)で基材1の表面を測定したところ、反射防止構造体3の深さhは200nmであり、反射防止構造スタンパ33cからの転写率は200nm/260nm=77%、PxとPyは反射防止構造スタンパ33cと同じ値を示した。
また、基材1の表面に対して垂直に切断した際の反射防止構造体3の断面は底部に平坦部分を有する台形状の凹形状を示し、底部径D2と縁部の径D1との関係は、D2/D1=0.2であった。基材1の表面における記録再生光の反射率は0.9%であり、反射防止構造体3を設けていない基材1の表面の反射率である4.5%から減少することができた。その後、情報ピット2上にアルミニウム合金の反射層4をスパッタリング法で設け、UV保護膜をコートして光記録媒体11を得た。このように、読み出し面7の表面に反射防止構造体3を設けたことによって読み出し面7の表面の反射が低減し、結果としてCDの再生信号自体が増大したと考えられる。
波長780nmの再生レーザを搭載した光学ピックアップで反射防止構造体3を通して信号面6のピット間のランド部分の反射率を測定したところ、85.9%であった。反射防止構造体3を設けていない従来の基材1の反射率78.6%と比較して、7.3%の増加が認められた。これに伴い、最短ピットである3T信号の再生出力も10.9%増大した。また、最内周半径25mmと最外周半径58mmと位置において再生波形を測定したところ、出力の変動は認められず、読み出し面7側の反射防止構造体3が成形された領域を拡大した効果が認められた。さらに、市販のコンパクトディスクプレーヤとスタジオ用スピーカと組み合わせ、官能評価で音質を評価したところ、解像度と歪感と奥行き感が著しく向上した。具体的には、官能評価試験で従来のコンパクトディスクを評価点3とした5段階評価で評価点5の結果を得た。
(実施例2〜7)
次に、実施例1に対し、反射防止構造体3の深さhを変更した例を実施例2〜7として説明する。実施例2〜7に係る反射防止構造体3は、深さhの値以外は実施例1と同様であり、反射防止構造体3とCDの情報ピット2とを有する基材1を成形した。具体的には、反射防止構造体3のピッチPxを0.20μm、トラックのピッチPyを0.26μmとし、各反射防止構造体3の縁部と底部との径比D2/D1=0.2とした。情報スタンパ34cの凸部分の形状は、高さ160nm、幅40nmとした。表1に、実施例2〜7の各パラメータとそのときのCD音質の官能評価実験の結果とを、比較例1、2とともに記載する。
表1において、「○」は従来と比べてCDの音質が向上したこと、「×」は低下したことを示す。後述の表2〜4においても同様である。
反射防止構造体3の深さhを、100nmから175nmに至るまで25nm刻みで変化させた例をそれぞれ実施例2〜5とし、反射防止構造体3の深さhを225nm、300nmとした例をそれぞれ実施例6、7とした。表1に示すように、実施例2〜7において読み出し面7側の反射率が従来の4.5%と比べて低下し、更に2%以下に抑制することができた。この結果、読み出し面7から基材1の内部への記録再生光の透過率が増加し、波長780nmのレーザを搭載した再生装置(図示せず)において読み出した再生信号の出力が増加した。反射防止構造体3が設けられていない従来のCDと音質を比較したところ、解像度、歪感、および奥行き感を向上させることができた。
(比較例1、2)
比較例1と2とは、実施例2〜7と同様に、実施例1に対して反射防止構造体3の深さhを変更した例である。
比較例1における反射防止構造体3の深さhは、h=80nmである。表1に示すように読み出し面7側の反射率の低下が不十分となり、反射率を2%以下に抑制することができなかった。このため、CDの音質の改善が不十分となった。また、比較例2は、反射防止構造体3の深さhをh=400nmとした。表1に示すように読み出し面7側の反射率は2%以下まで低下したものの、CDの音質の改善が認められなかった。
比較例2においてCDの音質の改善が認められなかったのは、記録再生光の反射率の問題ではなく、離型のしやすさに起因するCDの生産上の問題である。すなわち、反射防止構造スタンパ33cの転写性を高めるために、可動金型33aの温度を通常の95℃よりも40℃高めて135℃としたところ、CD側を離型する時に情報ピット2の周縁部分にめくれ(いわゆる「バリ」)が生じ、この結果、情報ピット2の読み取り時のエラーが増大したことによる。原理上は反射防止構造体3の深さhを大きくすることで、読み出し面7側の反射率をより抑制することが可能となるが、深さhを大きくすると生産の容易性が低下し、設計どおりの生産をすることが困難となる。深さhの大きさと生産の容易性とはトレードオフの関係にある。
次に、反射防止構造体3の縁部の径D1を240nmとして、反射防止構造体3が配列されるトラックのピッチPyを変化させた例を実施例8〜12および比較例3〜5として説明する。
(実施例8〜12)
反射防止構造体3が配列されるトラックのピッチPyを260nmとした例を実施例8、300nmとした例を実施例9、360nmから440nmに至るまで40nm刻みで変化させた例をそれぞれ実施例10〜12とする。
実施例8〜12において、トラック上における反射防止構造体3の配置のピッチPxは260μmであり、反射防止構造体3の深さh=200nm、縁部の径D1=240nm、縁部の径D1と底部の径D2との比D2/D1=0.2である。また、情報スタンパ34cの凸部分の形状は、高さ160nm、幅40nmとした。
実施例8〜12と後述する比較例3〜5について、各パラメータとそのときのCD音質の官能評価実験の結果を表2に示す。
表2に示すように、ピッチPyと読み出し面7側の反射率とは正の相関がある。表2は、反射防止構造体3の縁部の径D1に対し、2倍未満のピッチPyまでは読み出し面側の反射率を2%以下に抑制することができた。実施例8〜12に係る光記録媒体11であるディスクは、反射防止構造体3が設けられていない通常のディスクと比較して、読み出し面7での反射率が低減されており、CDの音質の改善が認められた。
(比較例3〜5)
実施例8〜12と比較をするために、Pyを130nm、480nm、520nmとした例をそれぞれ比較例3〜5として評価を行った。比較例3においては、Py<D1となるため隣接する反射防止構造体3同士が重なり、その結果Y方向の穴形状が不均一となる。さらに、深さhも90nmと浅くなり、記録再生光の反射率を2%以下に抑制することができなかった。このため、CDの音質の改善も不十分となった。
比較例3とは逆にPyを広げすぎても、読み出し面7側の反射率の低下が不十分となる。具体的には、Py>480nmとなる比較例4および5は、読み出し面7側の反射率を2%以下に抑制することができなかった。このため、CDの音質の改善も不十分となった。Pyを広げると、基材1の表面に反射防止構造体3の成形されていない鏡面部分の領域が増すため、表面反射を抑制することができないことが原因と考えられる。
以上の実験結果と上述の式(2)とを考慮して、反射防止構造体3が配列されるトラックのピッチPyと、反射防止構造体3の縁部の径D1との関係は、
D1<Py<2×D1 (5)
となることが好ましいことを発明者は見出した。Pxについても同様のことがいえるから、
D1<Px<2×D1 (6)
となることも好ましいと言える。さらに式(1)を考慮すると、
D1<P<2×D1 (7)
まで一般化できる。式(7)は隣接する反射防止構造体3同士の関係を示す式である。例えば反射防止構造体3をランダムに配置する場合等、反射防止構造体3を配置するために円環状のトラックを利用しない場合に反射防止構造体3の配置を決定することに利用できる。
(実施例13〜19)
実施例8〜12と同様に反射防止構造体3の縁部の径D1を240nmとして、実施例1〜7の場合と同様に反射防止構造体3の深さhを変えて評価を行った。具体的には、深さhを100nmから400nmに至るまで50nm刻みで変化させた。なお、Px=Py=260nm、D1=240nm、D2/D1=0.2である。実施例13〜19と後述する比較例6、7について、各パラメータとそのときのCD音質の官能評価実験の結果を表3に示す。また、反射防止構造体3の深さhに対する記録再生光の反射率の値のグラフを図5に示す。
表3および図5より、深さhが大きくなるとともに読み出し面7側の反射率は小さくなることが分かる。反射防止構造体3が設けられていない通常のディスクと比較して、読み出し面7での反射率が低減され、基材1の内部への再生光の透過率が増加した結果、再生信号出力が増加したと考えられる。反射防止構造のない従来のCDの音質と比較した結果、解像度、歪感、および奥行き感を向上させることができた。
(比較例6〜7)
比較例6および7は、反射防止構造体3の深さhを変えて実施例13〜18と同様にして反射防止構造体3と情報ピット2とを有する基材1を成形した例である。比較例6は深さh=50nmであり、読み出し面7側の反射率を2%以下に抑制することができなかった。比較例6とは逆に、深さhを深くして500nmとした例が比較例7である。表3および図5に示すように、読み出し面7側の反射率は大幅に低下したものの、CDの音質は改善されなかった。これは前述したとおり、CD側を離型するときに生じた情報ピット2の周縁部分のめくれが原因であると考えられる。
表1および表3の結果より、反射防止構造体3の深さhを
100nm≦h≦400nm (8)
とすると、生産の容易性を確保しつつ、読み出し面7側の反射率が抑制できることを発明者は見出した。記録再生光の波長λ=780nmとの比を用いて式(8)を表すと、
0.128≦h/λ≦0.512 (9)
となる。
また、反射防止構造体3の縁部の径D1と深さhとの比は、
0.42≦h/D1≦1.67 (10)
となることが好ましい。
(実施例19〜23)
実施例8〜18と同様に反射防止構造体3の縁部の径D1を240nmとして、反射防止構造体3の縁部の径D1と底部の径D2との比を変えて評価を行った。具体的には、縁部の径D1を固定して底部の径D2の値を変化させた。なお、Px=Py=260nm、D1=240nm、h=200nmである。実施例19〜23と後述する比較例8、9について、各パラメータとそのときのCD音質の官能評価実験の結果を表4に示す。また、反射防止構造体3の縁部の径D1と底部の径D2との比(D2/D1)に対する記録再生光の反射率の値のグラフを図6に示す。
表4および図6に示すようにD2とD1との比D2/D1が0.7付近となると読み出し面7側の反射率が最小となる傾向を示す。なお、図6における実線は、プロットデータを2次曲線でフィッティングした結果を示している。反射防止構造体3が設けられていない通常のディスクと比較して、読み出し面7での反射率が低減され、基材1の内部への再生光の透過率が増加した結果、再生信号出力が増加した。反射防止構造体3のない従来のCDの音質と比較したところ解像度、歪感、および奥行き感を向上させることができた。
(比較例8、9)
比較例8および9は、D2を変えて実施例19〜23と同様にして反射防止構造体3とCDの情報ピット2を有した基材1を成形した例である。比較例8はD2/D1=0.08であり、底部径D2が縁部径D1に対して非常に小さいため反射防止構造体3の形状は円錐に近い。一方、比較例9はD2/D1=0.92であり、反射防止構造体3の形状は円柱に近い。いずれの例も、読み出し面7側の反射率が増加し、CDの音質の改善は不十分となった。
以下の式(3)は既述であるが、表4および図6に示す実験結果からD2/D1は、
0.17≦D2/D1≦0.83 (3)
を満たすことが好ましいことが分かった。
以上説明したように、実施の形態によれば、表面反射を防止しつつかつ生産の容易な光記録媒体を提供することができる。
具体的に、生産の容易性に関し、本発明の実施の形態に係る光記録媒体11は反射防止構造体3の縁部の径D1と深さhとの比(D1/h)1〜2倍程度と比較的浅いため、成型時に溶融した樹脂を充填するのが容易である。また、本発明の実施の形態に係る反射防止構造体3は凹部として形成されることから、反射防止構造体3を形成するための反射防止構造スタンパ33cは凸部となる。一般に、凸型の突起物を押しつけて樹脂に穴を成形する方が、凹型の構造物を押しつけて樹脂に突起物を成形するよりも容易である。さらに、本発明の実施の形態に係る反射防止構造体3は間欠的に配置されているため、成形時に溶融した樹脂の流れを阻害せず、樹脂を均一に分布させることができる。
本発明に係る光記録媒体11によれば、信号面6(情報ピット2)と読み出し面7側の反射防止構造体3とを同時に成形することができ、従来の成形装置を使い安価かつ高品質に生産することができる。反射防止構造体3を読み出し面7側に成形することにより、読み出し面7の表面反射が低減して、迷光が減少し、透過率が増加し、再生信号出力が増大して良好に情報信号を読み書きすることが可能となる。特にCDに適用した場合には音質が改善される。反射防止構造体3は信号領域よりも広い領域に設けられているため、信号領域の末端でも安定して高品質の再生信号が得られる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記の説明は、反射防止構造体3を構成する反射防止構造体3の縁部が囲む形状および底部の低面の形状が円または楕円の場合について説明したが、縁部が囲む形状および底部の低面の形状は楕円や円に限らず、例えば多角形であってもよい。この場合、縁部の任意の2点を結ぶ線分のうち、最長の長さとなる線分の長さD1を縁部の径D1とする。また、底面の縁の任意の2点を結ぶ線分のうち、最長の長さとなる線分の長さD2を底部径D2とする。
1 基材、 2 情報ピット、 3 反射防止構造体、 4 反射層、 4 比較例、 5 中心穴、 6 信号面、 7 読み出し面、 8 保護層、 11 光記録媒体、 30 射出成形装置、 33a 可動金型、 33c 反射防止構造スタンパ、 34a 固定金型、 34c 情報スタンパ、 35a、35b 温度調整装置、 36 ノズル、 44 対物レンズ、 45 記録再生光。

Claims (4)

  1. 記録再生光によって再生される情報を記録した情報ピットが形成された信号面と、前記信号面と対向する側に前記記録再生光が入射される読み出し面とを有する基材を備え、
    前記読み出し面には、前記記録再生光の反射を低減する複数の反射防止構造体が前記記録再生光の波長よりも小さいピッチで形成され、
    前記反射防止構造体それぞれは前記読み出し面上において凹んだ凹形状を有し、前記読み出し面上における縁部の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さが、底面の縁の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さよりも長くなることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記反射防止構造体それぞれは、前記読み出し面上における縁部の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さをD1、底面の縁の任意の2点を結ぶ線分のうち最長の長さとなる線分の長さをD2、近接する前記反射防止構造体同士の縁部の中心間の距離をP、前記記録再生光の波長をλとしたときに、D2<D1<P<λを満たすことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記反射防止構造体それぞれは、前記読み出し面上の第1の方向に近接する前記反射防止構造体同士の縁部によって形成される形状の中心間の距離をPy、第1の方向と垂直な第2の方向に近接する前記反射防止構造体部同士の縁部によって形成される形状の中心間の距離をPx、および前記反射防止構造体の前記読み出し面上の縁部から底部までの深さをhとしたときに、0.13<h/λ<0.5かつ0.42≦h/D1≦1.67かつ0.17≦D2/D1≦0.83かつD1<Px<2×D1かつD1<Py<2×D1を満たすことを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 前記読み出し面の形状は円盤形状であり、
    前記読み出し面の半径方向に形成された複数の前記反射防止構造体のうち、本光記録媒体の最内周側に形成された前記反射防止構造体の内周端から最外周側に形成された前記反射防止構造体の外周端までの距離は、前記信号面に形成された前記情報ピットの最内周端から最外周端までの距離より長いことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光記録媒体。
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