JP2012159874A - 運転者状態推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 運転者の注意状態を精度よく判定することを可能とした運転操作状態推定装置を提供する。
【解決手段】 車両の走行状態と運転者の操作状態に基づいて、前方注視点における目標コースからのずれである前方偏差εと修正操舵角δとの関係を途中1カ所で傾きの変化を許容する屈曲線(図においては、ε≧0では、δ=k1×ε、ε<0では、δ=k2×ε)で近似し、この修正操舵角と実操舵角との関係から運転者の意識状態を判定する。
【選択図】 図5
【解決手段】 車両の走行状態と運転者の操作状態に基づいて、前方注視点における目標コースからのずれである前方偏差εと修正操舵角δとの関係を途中1カ所で傾きの変化を許容する屈曲線(図においては、ε≧0では、δ=k1×ε、ε<0では、δ=k2×ε)で近似し、この修正操舵角と実操舵角との関係から運転者の意識状態を判定する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、運転者の注意状態を推定する状態推定装置に関し、特に、運転者の操舵に基づいてその注意状態の推定を行う運転者状態推定装置に関する。
従来から運転者の運転操作状態を監視することで、居眠り運転等の注意状態の変化を推定する技術が知られている。特許文献1に開示されている技術はそうした技術の一例であって、操舵角信号において居眠り運転で変化する周波数成分を抽出し、その帯域のパワー値を所定時間加算した値がしきい値を超えた場合に警報を発生させるものである。
この技術は、操舵量が乱れているか否かに基づいて運転意識の低下の有無を判定しているが、操舵量等の運転操作量は、走行環境に影響されるものである。このため、判断基準を厳しくすると、適切な操作であっても運転意識が低下してしまうと判定される場合がある一方、判断基準を緩くすると、居眠り運転等の検出精度が低下してしまう。
そこで本発明は、運転者の注意状態を精度よく判定することを可能とした運転操作状態推定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明にかかる運転者状態推定装置は、車両の走行状態と運転者の操作状態に基づいて、前方注視点における目標コースからのずれである前方偏差に対する操舵角の関係から必要操舵角を求め、当該必要操舵角と実操舵角との関係から運転者の意識状態を判定する運転者状態推定装置であって、取得した前方偏差と操舵角の対応関係を途中1点で傾きの変化を許容する屈曲線で近似した前方注視モデルに基づいて必要操舵角を算出することを特徴とする。
ここで、1点で傾きの変化を許容する屈曲線には、この1点で傾きが変化しない直線も含むものとする。傾きが変化する点(屈曲点)は、前方偏差と舵角を2次元上にプロットしたときの原点(前方偏差、舵角がともに0の点)にかぎらない。
この前方注視モデルの近似式を学習により再設定するとよい。また、前方注視モデルの正側と負側における傾きの相違に応じて車両状態または車両挙動を制御する制御手段をさらに備えているとよい。
本発明によれば、前方偏差を修正するのに必要な操舵角に対する実操舵角のずれに基づいて運転者の注視状態を判定することで、精度よく判定を行うことができる。また、このときの前方注視モデルの近似に屈曲線を利用することにより、車両に左右どちらかに寄りやすい車両流れがある場合においても判定精度を向上させることができ、誤警報の発生を抑制できる。
モデルを適宜再学習することにより、路面キャンバや横風、積載条件等に伴う一時的な車両流れの影響を加味した判定を行うことが可能となり、判定精度がより一層向上する。
正側と負側における傾きの相違は、車両流れに基づくものであるため、これを打ち消す方向へ車両状態を制御したり、それを考慮した車両制御を行うことで、走行時の安定性を高めることができ、ドライバビリティーが向上する。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明に係る運転者状態推定装置の構成を示すブロック図である。この装置は、制御部である判定ECU(Electric Control Unit)1を中心に構成される。判定ECU1は、CPU、ROM、RAMからなり、他の車両制御用ECU2と車内LAN等により相互通信を行う機能を有している。
判定ECU1には、車両前方に搭載されて、車両が走行しているレーンの画像を取得し、画像処理によりその区画線である白線位置を認識する白線カメラ11と、実際の舵角を検出する舵角センサ12と、ヨーレートまたは横加速度を検出するヨー/Gセンサ13と、車両の速度を検出する車速センサ14と、その他の操作系信号を検出する操作系センサ15と、推定装置による警報動作のオンオフを設定するスヌーズスイッチ16と、推定装置の感度を設定する設定ダイヤル17の出力が入力されている。また、判定ECU1は、メータ31の表示部と、ナビゲーション装置32に判定結果を通知する機能を有している。
この運転者状態推定装置においては、後述する前方注視モデルに基づいて推定した操舵角と運転者が実際に行った操舵角とのずれに基づいて運転者の注意状態を判定するものである。この注意状態判定は、本願出願人が昨年出願した特願2010−86056号の判定処理を用いることができる。同出願の発明と本願発明とは前方注視モデルのモデル化が相違する。
まず、判定処理の概略について述べる。白線カメラ11で取得したレーン情報に基づいて判定ECU1は、前方注視点における目標コースからのずれである前方偏差εを算出する。この前方偏差εは、車両の横ずれ量Dと、車速の横方向成分Vy、予め設定される前方注視時間ΔTに基づいて、以下の式により与えられる。
次に後述する前方注視モデルに基づいて推定操舵角δaを算出する。操舵角δと前方偏差εの関係からこれを近似する近似関数δ=f(ε)を求めておき、この関数を利用することで、推定操舵角を算出するものである。一方、舵角センサ12により実際に運転者が行った操舵角を取得し、その操舵角が過大もしくは過少である場合に、運転者の意識が低下していると判定し、メータ31の表示パネルに警報を表示したり、図示していないスピーカーを通じて警報を発する。操舵角が過大もしくは過少であるか否かの評価は、実操舵角と推定操舵角の差により評価するほか、両者のユークリッド距離、または、マハラノビス距離に基づいて比較を行ってもよい。
次に、この装置における運転者状態処理のための前方注視モデル作成処理を図2〜図4を参照して説明する。図2は処理全体を示すフローチャートであり、図3はそのPCA演算処理を、図4は、PCA演算繰り返し処理をそれぞれ示すフローチャートである。
最初に車線情報を検出する(ステップS1)。これは、白線カメラ11で認識した自車両が走行するレーンの区画線情報に基づいてそのカーブ半径R、レーン中心からの車両の横ずれ量D、レーン中心線に対する車両進行方向の向きであるヨー角Yを算出することで行えばよい。次に、車速情報Vを検出する(ステップS2)。これは、車速センサ14の出力から算出することができる。
検出したカーブ半径R、車速Vと実舵角δRに基づいて補正舵角δを求める。δは、実舵角δRからカーブ補正値δcを差し引いた値(δR−δc)であり、カーブ補正値δcは、スタビリティーファクタをA、ホイールベースをL、カーブ曲率(カーブ半径の逆数)をρとすると、次式により得られる。
次に、補正舵角δと前方偏差εの関係に基づいてPCA(principal component analysis:主成分分析)演算を行う(ステップS4)。具体的には、図5に示されるように、εが正の領域では、δ=k1×ε、εが負の領域では、δ=k2×εとして、近似係数であるk1、k2を求める(図3のステップS11、S12)。つまり、正側の領域と負側の領域とで傾きの異なる直線により近似することで、原点を屈曲点とする屈曲線で近似している。この処理は所定時間間隔で取得した複数の補正舵角δと前方偏差εの組み合わせを基にして行われる。
続いて、PCA演算の繰り返し処理を行う(ステップS5)。この繰り返し処理を図4に示す。最初に、ステップS4の処理の手法に基づいて係数k1、k2を同定する(ステップS21)、次に、再度PCA演算を行い(ステップS22)、新たな係数k12、k22を同定する(ステップS23)。こうして得られた新たな係数対k12、k22を元の係数対k1、k2と比較する(ステップS24、S26、S30)。新たな係数対k12、k22と元の係数対k1、k2とがほぼ一致すると判断した場合(ステップS24、S25)は、元の係数対k1、k2を前方注視モデルの係数として適用する。これは、元の係数を維持することになる。
一方、新たな係数k12と元の係数k1はほぼ一致するが、新たな係数k22と元の係数k2とは一致しない場合(ステップS24、S26、S27)には、k2について過去のk2と一致するまで再度PCA演算を行い(ステップS27、S28)、合致したk2nと、元の係数k1とを前方注視モデルの係数として適用する。
同様に、新たな係数k22と元の係数k2はほぼ一致するが、新たな係数k12と元の係数k1とは一致しない場合(ステップS24、S26、S30、S31)には、k1について過去のk1と一致するまで再度PCA演算を行い(ステップS31、S32)、合致したk1nと、元の係数k2とを前方注視モデルの係数として適用する。
元の係数対k1、k2と新たな係数対k12、k22とがともに一致しない場合は、再度ステップS22に戻り、新たな係数対k12、k22の取得をやり直す。これにより、最初の係数取得時に横風や路面キャンバ等の一時的に横力の影響があった場合でも正しい係数を取得することが可能となる。
続くステップS6では、設定ダイヤル17の設定に応じて前方偏差εに対する舵角の修正過大領域を決定する。この修正過大領域に基づいて前述した運転者の状態推定を行うとよい。
ここでは、原点を屈曲点としてその前後で直線の傾きを異ならせた屈曲線により近似する例を述べたが、屈曲点は原点に限られるものではなく、原点を通過しない屈曲線で近似する場合も含まれる。例えば、ε≧ε0の領域では、δ=k1×(ε−ε0)+δ0で近似し、ε<ε0の領域では、δ=k2×(ε−ε0)+δ0で近似する。この場合の屈曲点は、(ε0,δ0)である。
特願2010−86056号における前方注視モデルは、図6に示されるように、前方偏差が正側負側の全体をPCA演算により一次式で近似(直線近似)している。操舵中立状態における直進性が確保されており、いわゆる車両流れのない状態においては、この直線近似による前方注視モデルにおいても図7に示されるように修正過大領域を適切に設定できる。
しかしながら、装着タイヤの状態、路面状況、積載条件、定常的な横風等の要因によって車両に横力が作用して操舵中立状態では左右いずれかの方向へ曲がってしまうことがある。この場合に、この従来モデルで評価すると、図8に示されるように、適切な操舵であるにもかかわらず修正過大領域と評価されてしまい、運転者が意識低下状態にあると誤判定してしまうおそれがある。
本願発明によれば、図5に示されるように、前方偏差εの正側と負側とに分けてPCA演算を行い、屈曲線によって近似モデルを作成することにより、車両流れがある場合にも適切な評価を行うことができるため、運転者の意識低下状態を精度よく判定することができる。
本発明における前方注視モデルは、運転者の意識低下状態判定以外にも応用が可能である。この前方注視モデルによれば、係数k1とk2の違いとして車両流れの向き、強度を把握することができる。そこで、把握した車両流れの向き、強度に応じた車両制御、運転者支援を行うことができる。
例えば、白線カメラ11で把握したレーン情報に基づいて自動的に車線内の走行を維持、またはその誘導を行う車線維持支援制御においては、例えば、左旋回方向に車両流れがある場合には、制御目標量が左旋回方向の場合の制御ゲインを右旋回方向の場合の制御ゲインに比較して小さく設定する。
タイヤ空気圧をモニタするシステムの場合には、旋回方向のタイヤの無荷重時の空気圧が減少していることが考えられるので、警報を発する空気圧のしきい値を変更し、警報を発しやすくする。
エアサスペンション等の車高制御を行うシステムにおいては、上記車両流れを解消する方向に車高、バネレート等を変更してロール角を付与することで、車両流れを抑制する。
車両流れの要因としてアライメントの左右差発生が考えられる場合には、メータ31にその旨を表示し、運転者に点検依頼を促す。
これらの車両制御を行うことで、車両流れ自体を抑制したり、車両流れの影響を抑制した車両制御等を行うことができ、制御精度、信頼性を向上させることができる。
1…判定ECU、2…他ECU、11…白線カメラ、12…舵角センサ、13…センサ、14…車速センサ、15…操作系センサ、16…スヌーズスイッチ、17…設定ダイヤル、31…メータ、32…ナビゲーション装置。
Claims (3)
- 車両の走行状態と運転者の操作状態に基づいて、前方注視点における目標コースからのずれである前方偏差から推定操舵角を求め、当該推定操舵角と実操舵角との関係から運転者の意識状態を判定する運転者状態推定装置であって、
前方偏差と操舵角とを対応づけて複数組取得し、その対応関係を途中点で傾きの変化を許容する屈曲線で近似した前方注視モデルに基づいて前記推定操舵角を算出することを特徴とする運転者状態推定装置。 - 前記前方注視モデルの近似式を学習により再設定することを特徴とする請求項1記載の運転者状態推定装置。
- 前記前方注視モデルの前記屈曲点両側の傾きの相違に応じて車両状態または車両挙動を制御する制御手段をさらに備えている請求項1または2に記載の運転者状態推定装置。
Priority Applications (1)
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JP2011017087A JP2012159874A (ja) | 2011-01-28 | 2011-01-28 | 運転者状態推定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015123930A (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-06 | 富士重工業株式会社 | 車両のレーンキープ制御装置 |
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2011
- 2011-01-28 JP JP2011017087A patent/JP2012159874A/ja active Pending
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