JP2012158558A - メタクリル酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】副生物であるテレフタル酸などの高沸物の析出を抑えるメタクリル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を分子状酸素と接触酸化させてメタクロレインおよびメタクリル酸を含む反応生成ガスを得る気相酸化反応工程(A)と、その反応生成ガスをメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触させ、反応生成ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸含有水溶液(1)を得るメタクリル酸凝縮工程(B)と、メタクリル酸凝縮工程(B)で残るガス中のメタクロレインをメタクリル酸および酢酸含有水溶液に吸収させるメタクロレイン吸収工程(C)と、その吸収したメタクロレインを液相中で分子状酸素と接触酸化させてメタクリル酸を含む反応液を得るメタクリル酸の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はメタクリル酸の製造方法に関する。
イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を、分子状酸素に接触酸化させることにより、メタクロレインやメタクリル酸を得る方法(直酸法)が一般に知られている。この方法においては、反応生成ガスには目的成分のメタクロレインやメタクリル酸のほか、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、酢酸などが存在する。その反応生成ガスは急冷されてメタクリル酸や水などが凝縮し、大部分のメタクロレインと窒素、酸素などの非凝縮性ガスが塔頂より分離される。特許文献1では、窒素、酸素などの非凝縮性ガスとメタクロレインとを効率よく分離する方法として、水や、メタクロレインの除去された15質量%以上のメタクリル酸水溶液などを用いる方法が報告されている。
一方、特許文献2ではメタクロレインを固体触媒存在下で液相中において分子状酸素によって酸化させることにより、メタクリル酸を製造する方法(液相法)が報告されている。この方法においては、溶媒として有機カルボン酸、アルコール、ケトンといった任意の含水溶媒で行なうことができると報告されている。
イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方から直酸法によりメタクロレインやメタクリル酸を製造し、得られたメタクロレインから液相法によりメタクリル酸を製造する方法は、これまで報告がなく、プロセスの詳細不明であった。そこで、この方法について検討したところ、直酸法で製造するメタクロレインとメタクリル酸の生成比が大きくなるにつれ、直酸法のメタクロレインの回収工程で副生成物のテレフタル酸の析出がみられ、安定運転が困難になることが分かった。
特開2003−192627号公報 特表2004−519326号公報
本発明は、その方法におけるテレフタル酸の析出を防止することを目的とする。
本発明は、イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を分子状酸素と接触酸化させてメタクロレインおよびメタクリル酸を含む反応生成ガスを得る気相酸化反応工程(A)と、その反応生成ガスをメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触させ、反応生成ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸含有水溶液(1)を得るメタクリル酸凝縮工程(B)と、メタクリル酸凝縮工程(B)で残るガス中のメタクロレインをメタクリル酸および酢酸含有水溶液に吸収させるメタクロレイン吸収工程(C)と、その吸収したメタクロレインを貴金属触媒の存在下、液相中で分子状酸素と接触酸化させてメタクリル酸を含む反応液を得る液相酸化反応工程(D)と、その反応液を蒸留塔に送り、塔頂から低沸点成分を留出させ、塔底からメタクリル酸含有水溶液(2)を取り出すメタクリル酸分離工程(E)とを含むメタクリル酸の製造方法である。
メタクリル酸凝縮工程(B)で用いるメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液は、メタクリル酸分離工程(E)において蒸留塔の塔底から取り出されるメタクリル酸含有水溶液(2)であることが好ましい。
本発明により、メタクリル酸の製造方法における副生物であるテレフタル酸などの高沸物の析出が抑えられる。
本発明のメタクリル酸製造フローの一例である。
<気相酸化反応工程(A)>
本発明を構成する気相酸化反応工程(A)では、イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を分子状酸素と接触酸化させてメタクロレインおよびメタクリル酸を含む反応生成ガスを得る。
イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を原料とし、それと分子状酸素又は分子状酸素含有ガスとを触媒に接触させることが好ましい。原料および分子状酸素または分子状酸素含有ガス(以下「原料ガス」という)中の原料の濃度は1〜20容量%であることが好ましく、3〜10容量%がより好ましい。
分子状酸素源としては空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気等を用いることもできる。原料ガス中の原料と酸素のモル比(容量比)は、1:0.5〜1:3の範囲とするのが好ましい。
原料ガスは、原料と分子状酸素以外に、水を含んでいることが好ましく、原料ガス中の水の濃度は、蒸気として1〜45容量%の範囲とするのが好ましい。また、原料ガスは窒素、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して用いることが好ましい。
後の液相酸化反応工程(C)における触媒活性劣化を防止するため、原料ガス中の硫黄分は1ppm以下にすることが好ましい。
触媒としては、モリブデン、ビスマスおよび鉄を少なくとも含む複合酸化物が好ましい。特に、下記式(1)で表される組成を有する触媒が好ましい。
MoBiFe Si (1)
前記式(1)において、Mo、Bi、Fe、Si及びOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素及び酸素を示す。Mはコバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xはクロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タンタル及び亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xはリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、タングステン、アンチモン及びチタンから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Xはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、g、h及びiは各元素の原子比率を表し、a=12のときb=0.01〜3、c=0.01〜5、d=1〜12、e=0〜8、f=0〜5、g=0.001〜2及びh=0〜20であり、iは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素原子比率である。なお、前記式(1)に示される組成は各元素の原料の仕込み量から算出した値とする。
通常、反応温度は、高活性が得られるので300℃以上が好ましく、触媒寿命の点で450℃以下が好ましい。反応圧力は常圧ないし数気圧まで用いられる。反応は固定床でも流動床でもよい。この反応によってメタクロレインを含む反応生成ガスを得る。
この反応における原料の転化率は、イソブチレンの回収とプロセスの経済性を考慮して、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、原料の転化率は、触媒寿命の延長を図るために99%以下であることが好ましく、97%以下であることがより好ましい。
原料ガス組成が爆発範囲に入ることを避け、かつ、触媒の性能を十分に発現させるために、後のメタクロレイン吸収工程(C)からメタクロレインを回収した後に残るガスを原料ガスに含有させて循環させることが好ましい。
<メタクリル酸凝縮工程(B)>
本発明を構成するメタクリル酸凝縮工程(B)では、反応生成ガスをメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触させ、反応生成ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸含有水溶液(1)を得る。
メタクリル酸は、液相酸化反応工程(D)で生成するものを使用することができる。市販品を用いることもできる。
水溶液中のメタクリル酸の濃度は、15質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましい。また、99質量%以下であることが好ましい。他の成分として水以外にアルコール類、ケトン類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水素類等などを含有させることができる。
アルコール類としては、t−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
<メタクロレイン吸収工程(C)>
本発明を構成するメタクロレイン吸収工程(C)では、反応生成ガス中のメタクロレインをメタクリル酸および酢酸含有水溶液に吸収させる。
メタクリル酸は、液相酸化反応工程(D)で生成するものを使用することができる。市販品を用いることもできる。酢酸は、気相酸化反応工程(A)や液相酸化反応工程(C)で副生するものを使用することができる。市販品を用いることもできる。
水溶液中のメタクリル酸および酢酸の濃度は、それらの合計濃度として15質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、98質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。他の成分として水以外にアルコール類、ケトン類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水素類等などを含有させることができる。
アルコール類としては、t−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
また、メタクロレイン吸収工程(C)で吸収した液を液相酸化反応工程(D)に送る前に、蒸留法などによりメタクロレインを濃縮することができる(不図示)。その際、分離された吸収液は再びメタクロレイン吸収工程(C)の吸収液として使用可能である。
<液相酸化反応工程(D)>
本発明を構成する液相酸化反応工程(D)では、メタクロレインを貴金属触媒の存在下、液相中で分子状酸素と接触酸化させてメタクリル酸を含む反応液を得る。
貴金属触媒としてはパラジウムを含有する触媒が好ましい。触媒中のパラジウムの化学状態は、金属状態でも酸化状態でもよいが、高い触媒活性を示すことからパラジウムは金属状態であることが好ましい。
触媒は、触媒活性を向上させる観点から、テルルを含有することが好ましい。触媒中のテルルの化学状態は、金属状態でも酸化状態でもよいが、パラジウムの電子状態をより変化させることから、テルルは金属状態であることが好ましい。また、パラジウムとテルル
とが隣接することにより、電子状態が大きく変化したパラジウムの割合が高くなることから、テルルはパラジウムと合金化または金属間化合物を形成していることがより好ましい。
パラジウムに対するテルルのモル比(Te/Pd)は、0.001〜0.40であることが好ましく、0.002〜0.30であることがより好ましく、0.003〜0.25であることがさらに好ましい。このようなモル比でパラジウムとテルルを含有する触媒を用いることで、メタクリル酸の選択性および生産性をさらに高めることができる。Te/Pdは、触媒の製造に使用するパラジウムおよびテルルの各原料の配合比等により調整可能である。
触媒は、他の金属元素を含有していてもよい。他の金属元素の例としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀、オスミウム等の貴金属元素;ビスマス、アンチモン、タリウム、鉛、水銀等の卑金属元素が挙げられる。触媒に含まれる他の金属元素は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高い触媒活性を発現させる観点から、触媒に含まれる金属元素のうち、パラジウムおよびテルルの合計量が25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
触媒は、非担持型でもよいが、パラジウムが担体に担持されている担持型であることが好ましい。触媒がテルルを含有する場合は、パラジウムおよびテルルが担体に担持されていることが好ましい。担体としては、活性炭、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、チタニア、ジルコニア等を用いることができる。中でも、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが好ましい。担体は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の担体を併用する場合は、例えばシリカとアルミナを混合した混合物を用いることもでき、シリカ−アルミナ等の複合酸化物を用いることもできる。液相酸化反応に際し、以下の方法により調製された貴金属含有触媒を使用することが好ましいが、市販品を使用しても構わない。
触媒は、液相酸化反応を行う反応液中に懸濁させた状態で使用することが好ましいが、固定床で使用してもよい。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
通常、液相酸化反応は、分子状酸素を含有するガスを用いて実施される。分子状酸素を含有するガスとしては、空気がその酸素濃度および経済性から好ましいが、より高い酸素濃度で製造する場合など、必要であれば、純酸素、または、純酸素と、空気、窒素、二酸化炭素、蒸気状の水との混合ガスを用いることもできる。分子状酸素の量は、メタクロレイン1モルに対して、0.1モル以上であることが好ましく、0.3モル以上であることがより好ましく、0.5モル以上であることがさらに好ましい。また、30モル以下であることが好ましく、25モル以下であることがより好ましく、20モル以下であることがさらに好ましい。
分子状酸素を含有するガスは、ガス分散器を用い液相中に微細な泡状で供給するのが好ましい。ガス分散器としては、例えば、多孔板、ノズル、多孔質板などが挙げられる。分子状酸素を含有するガスの空塔速度としては、0.2cm/s以上であることが好ましく、0.5cm/s以上であることがより好ましい。また、30cm/s以下であることが好ましく、25cm/s以下であることがより好ましい。
液相酸化反応に用いる溶媒は特に限定されないが、水、アルコール類、ケトン類、有機酸類、有機酸エステル類、炭化水素類等が使用できる。アルコール類としては、例えば、t−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸等が挙げられる。有機酸エステル類としては、例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。炭化水素類としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。中でも炭素数2〜6の有機酸類、炭素数3〜6のケトン類が好ましい。溶媒は1種でも、2種以上の混合溶媒でもよい。
液相酸化反応を行う温度および圧力は、用いる反応溶媒および原料によって適宜選択される。反応温度は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。反応圧力は、反応液が反応温度において液化する圧力以上の圧力であることが好ましく、具体的には、0.05MPa以上であることが好ましく、0.1MPa以上であることがより好ましい。反応圧力は高いほうが酸化反応が速やかに進行するため、高い値に設定することが好ましいが、経済的な観点から、10MPa以下であることが好ましく、8MPa以下であることがより好ましい。なお、本発明における圧力はゲージ圧である。
なお、液相酸化反応時における高温による原料や生成物の重合を防止するために、重合防止剤を使用することが好ましい。重合防止剤の使用量は、液相酸化反応において原料や生成物の重合を防止するのに必要な量とすることができる。
液相酸化反応は、回分式、連続式いずれの方法でもおいても実施することができるが、工業的には連続式の方が好ましく用いられる。連続式の場合、気液固反応が実施できれば制約はないが、例えば、充填塔型反応器、気泡塔型反応器、撹拌槽型反応器、スプレー塔型反応器、段塔型反応器等が用いられる。貴金属含有触媒を反応液中に懸濁させて液相酸化反応をする場合には、この中でも気泡塔型反応器、撹拌槽型反応器が好ましく用いられる。反応器は必要に応じて、2段以上の多段直列に配置し、反応液が各槽を順次流通するようにして液相酸化反応を実施することもできる。反応液の反応器内における滞留時間は、貴金属含有触媒の量、反応温度、圧力等により適宜選択できるが、通常0.1hr以上、好ましくは0.2hr以上であり、通常10hr以下、好ましくは8hr以下である。
液相酸化反応において、反応器内の液相部を通過した分子状酸素を含有するガス(以下未反応酸素ガスと呼ぶ)は、気相部において爆鳴気を形成する恐れがあるため、気相部、場合によっては液相部に窒素、二酸化炭素、蒸気状の水等の不活性ガスを供給し爆鳴気形成を回避することが好ましい。未反応酸素ガスまたは未反応酸素ガスを前記不活性ガスで希釈したガスには低濃度の原料や反応溶媒が存在しているため、大気汚染防止またはコストの観点から、通常、原料や反応溶媒を回収後、インシネエーター等で処理してから大気中に放散される。この回収法としては、吸収法、吸着法などを挙げることができる。
用いた貴金属含有触媒と得られた反応混合液とをそれぞれ分離し、貴金属含有触媒は再び反応器に戻して再利用することが好ましい。貴金属含有触媒と反応混合液との分離は、減圧、常圧、加圧いずれの圧力においても実施することができる。
貴金属含有触媒の粒径が大きい場合及び比重が大きい場合は、上記分離として重力による沈降分離を実施できるが、貴金属含有触媒の粒径が小さい場合及び比重が小さい場合は、重力の代わりに遠心力を利用した遠心分離、重力、加圧または減圧を利用してろ材と称する隔壁によってろ過ケーキとろ液とに分離するろ過を用いることが好ましい。
遠心分離の際、遠心沈降機として、例えば、円筒型遠心分離機、固体排出式分離機、垂直型デカンター、垂直型多段デカンター、自動回分式水平型デカンター、水平型デカンター連続排出式、セントリフュージを、遠心ろ過機として、例えば、回分式遠心ろ過機、自動回分式遠心ろ過機、自動排出型遠心脱水機、スクリュー排出型遠心脱水機、振動排出型遠心脱水機、押出板型遠心脱水機、押出板型多段式遠心脱水機、スクリュー排出型(横型)遠心脱水機等を用いることができる。
ろ過の際、加圧ろ過器としては、例えば、加圧ヌッチェ、板枠型圧ろ器、凹板型圧ろ器、Eimco−Burwell圧ろ器、可逆圧ろ器、Kelly型ろ過器、Sweetl
and型ろ過器、Vallez型ろ過器、水平板型加圧ろ過器、垂直円筒型加圧葉状ろ過器、連続式クロスフロー型ろ過器、連続式回転円筒型加圧ろ過器、連続式二重円筒型加圧ろ過器、連続式ドラムベルト型加圧ろ過器、連続式ロータリーフィルタープレス、連続式加圧葉状ろ過器などが、真空ろ過器としては、真空ヌッチェ、真空葉状ろ過器、連続式多室円筒型真空ろ過器、連続式単室円筒型真空ろ過器、連続式垂直円板型真空ろ過器、連続式水平型真空ろ過器などが用いられ、連続的にスラリー状の触媒を分離する場合には、クロスフロー型ろ過器が好ましく用いられる。
直列多段槽型反応器を使用する場合、各槽の出口に触媒分離器を配置して、貴金属含有触媒と反応混合液の分離を行い、貴金属含有触媒は元の槽に返送し反応混合液は次の槽に送液することが好ましい。
<メタクリル酸分離工程(E)>
本発明を構成するメタクリル酸分離工程(E)では、反応液を蒸留塔に送り、その蒸留塔の塔底からメタクリル酸含有水溶液(2)を缶出液として取り出すことによってメタクリル酸を得る。
液相酸化反応工程(D)で生成したメタクリル酸はメタクリル酸分離工程(E)でメタクリル酸が分離される。メタクリル酸分離工程(E)は、軽低沸除去塔(E−1)、未反応メタクロレイン回収塔(E−2)及びメタクリル酸分離塔(E−3)からなることが好ましい。これらは、常用の蒸留操作、抽出操作、膜分離操作等により行うことができるが、通常連続式の多段蒸留塔による分離が好ましい。連続式の多段蒸留塔としては、リボイラーとコンデンサーを含めた段数が3段以上であり、4段以上であることが好ましく、5段以上であることがより好ましい。このような蒸留塔としては、棚段塔、充填塔が挙げられる。
前述の段数とは、棚段塔、充填塔ともに理論段数を示す。塔底温度は重合防止の観点から、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがより好ましい。操作圧力は、塔底の好ましい温度の範囲内において、常圧、加圧、減圧の圧力から選ばれる。また、必要に応じて塔頂液の一部を蒸留塔に還流することができ、還流比は0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましい。また20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。塔内の重合を防止するため、重合防止剤を使用することが好ましい。必要に応じて分子状酸素のエアーバブリングを併用することもできる。
液相酸化反応工程(D)から供給される反応液は、軽低沸除去塔(E−1)の塔頂からCOなどのメタクロレインよりも軽沸物が留出する。尚、得られる留出液にはメタクロレインを含むため、必要に応じて蒸留操作によってメタクロレインを回収し、液相酸化反応工程(D)にリサイクルさせることができる。
軽沸除去塔(E−1)の缶出液は、アセトン、メタクロレイン、水、酢酸、プロピオン酸、メタクリル酸などを含み、未反応メタクロレイン回収塔(E−2)へ供給され、塔頂からメタクロレインや一部溶媒が留出する。尚、得られる留出液には水、酢酸及びプロピオン酸などの溶媒が含まれ、必要に応じて蒸留操作によって溶媒を回収し、メタクロレイン吸収工程(C)の吸収溶媒として用いることもできる。
未反応メタクロレイン回収塔(E−2)の缶出液は、水、酢酸、プロピオン酸、メタクリル酸などを含み、メタクリル酸分離塔(E−3)へ供給され、塔頂から水、酢酸およびプロピオン酸などの溶媒が留出する。この留出液又は留出液の分離液は、液相酸化反応工程(D)にリサイクルさせることができるうえ、必要に応じて、メタクロレイン吸収工程(C)の吸収溶媒として用いることもできる。尚、液相酸化反応工程(D)で副生する水、酢酸およびプロピオン酸の生成量が多い場合には、リサイクルさせる前に一部パージすることが好ましい。また、缶出液中の酢酸およびプロピオン酸の合計濃度は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。酢酸やプロピオン酸濃度が高くなると、溶媒のメイクアップ費用が嵩むだけでなく、メタクリル酸分離工程(E)の後に水溶性不純物の除去のために設ける抽出工程の負荷が大きくなってしまう。
メタクリル酸分離塔(E−3)の缶出液は、メタクリル酸以外にテレフタル酸などの高沸物を含み、この缶出液をメタクリル酸凝縮工程(B)で反応生成ガスと接触させることが好ましい。
このような工程にすることによって、メタクロレイン回収工程におけるストリッピングが不用となる。また、テレフタル酸の析出を防止することも可能となり、経済的かつ安定なメタクリル酸の製造ができる。
以下、本発明の一実施形態について図1に基づいて説明する。
気相酸化反応工程(A)でライン1に含まれる原料のイソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方からメタクロレインやメタクリル酸を生成させる。
その後、メタクリル酸凝縮工程(B)へ送られて、ライン15のメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触してライン3に含まれるメタクリル酸と水とが凝縮してメタクリル酸含有水溶液(1)となる。メタクリル酸凝縮工程(B)では、急冷することによって、ライン3に含まれるメタクリル酸を凝縮させる。メタクリル酸含有水溶液(1)は、必要に応じてライン4でメタクリル酸を精製する工程に送ることができる。一方、メタクロレインを含むガスは、ライン5でメタクロレイン吸収工程(C)に送られる。メタクロレイン吸収工程(C)では、メタクリル酸および酢酸含有水溶液を吸収溶媒として、ライン5に含まれるメタクロレインを吸収させる。メタクロレインを吸収した後のガスは、未吸収のメタクロレイン、t−ブチルアルコール及びイソブチレンを含むため、ライン2によって気相酸化反応工程(A)にリサイクルされる。一方、メタクロレイン吸収工程(C)でメタクロレインを吸収した液は、ライン8で液相酸化反応工程(D)に送られる。また、メタクロレイン吸収工程(C)で吸収した液を液相酸化反応工程(D)に送る前に、蒸留法などによりメタクロレインを濃縮することができる(不図示)。その際、分離された吸収液は再びメタクロレイン吸収工程(C)の吸収液として使用可能である。
液相酸化反応工程(D)では、ライン8に含まれるメタクロレインからメタクリル酸を生成させる。
その後、メタクリル酸分離工程(E)へ送られてライン9に含まれるメタクリル酸が回収される。メタクリル酸分離工程(E)は、軽沸除去塔(E−1)、未反応メタクロレイン回収塔(E−2)及びメタクリル酸分離塔(E−3)からなる。軽沸除去塔(E−1)では、液相酸化反応工程(D)で副生した二酸化炭素やアセトンなど軽沸物を取り除く。軽沸除去塔(E−1)で軽沸副生成物を取り除いた液は、ライン11で未反応メタクロレイン回収塔(E−2)に送られる。未反応メタクロレイン回収塔(E−2)では、液相酸化反応工程(D)で未反応のメタクロレインを回収する。回収したメタクロレインはライン12で液相酸化反応工程(D)にリサイクルされる。一方、未反応メタクロレイン回収塔(E−2)でメタクロレインを取り除いた液は、ライン13でメタクリル酸分離塔(E−3)に送られる。メタクリル酸分離塔(E−3)では、液相酸化反応工程(D)で用いた溶媒とメタクリル酸とを分離する。メタクリル酸分離塔(E−3)で分離された溶媒は、ライン14で液相酸化反応工程(D)に送られる。一方、メタクリル酸分離塔(D−3)で分離されたメタクリル酸は、ライン15でメタクリル酸凝縮工程(B)に送られ、気相酸化反応工程(A)からの反応生成ガス3と接触させる。
本発明におけるメタクリル酸の製造方法は、メタクリル酸凝縮工程(B)において、反応生成ガスをメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触させているためテレフタル酸の析出が防止できる。

Claims (2)

  1. イソブチレンおよびt−ブチルアルコールの少なくとも一方を分子状酸素と接触酸化させてメタクロレインおよびメタクリル酸を含む反応生成ガスを得る気相酸化反応工程(A)と、その反応生成ガスをメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液と接触させ、反応生成ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸含有水溶液(1)を得るメタクリル酸凝縮工程(B)と、メタクリル酸凝縮工程(B)で残るガス中のメタクロレインをメタクリル酸および酢酸含有水溶液に吸収させるメタクロレイン吸収工程(C)と、その吸収したメタクロレインを貴金属触媒の存在下、液相中で分子状酸素と接触酸化させてメタクリル酸を含む反応液を得る液相酸化反応工程(D)と、その反応液を蒸留塔に送り、塔頂から低沸点成分を留出させ、塔底からメタクリル酸含有水溶液(2)を取り出すメタクリル酸分離工程(E)とを含むメタクリル酸の製造方法。
  2. メタクリル酸凝縮工程(B)で用いるメタクリル酸濃度が15質量%以上である水溶液が、メタクリル酸分離工程(E)において蒸留塔の塔底から取り出されるメタクリル酸含有水溶液(2)である請求項1に記載のメタクリル酸の製造方法。
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