JP2012155983A - 電池およびそれを用いた電池パック - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の電池では、電池が異常高温に曝された場合、電池内部圧力の異常上昇により、電池ケースがその周壁の不特定部分で破断し易くなり、高温ガスやその引火による火炎が電池外部に放出する危険性がある。またこの電池を複数個林立した場合には、隣接する電池に火炎が類焼する可能性がある。
【解決手段】本発明の電池は、電池ケースの周壁の高さ方向の中央部が最も肉厚になるように構成する。本構成にすることで、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分は、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかに限定することができる。よって、この電池を利用した電池パックでは電池の類焼を抑制することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は電池およびそれを用いた電池パックに関するものである。
リチウムイオン電池に代表される従来の電池ケースには、一般に、金属が使用されている。例えば円筒形リチウムイオン二次電池では、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼などが使用されている。これらの材料は、電気化学的に安定であり、加工性に優れるという特徴を有する。そのため、ニッケルメッキ鋼の場合、通常は0.2mm以下の薄板の状態で使用されることが多い。
0.2mm以下の薄板のニッケルメッキ鋼からなる電池ケースに、正極板、負極板、セパレータをゼリーロール状に捲回することで得られた電極群を挿入し、それぞれの極板を、電池ケースや封口板と接続した後に、電解液を注入し、封口することで電池が完成する。
上記電池ケースに求められる要件は、(1)電池外部からの衝撃や水分などの浸入に対して電極群を保護すること、(2)電池内部要素、例えば電解液の漏出を防ぐこと、(3)異常高温時に電池から高温ガスが発生した場合、安全にそのガスを電池外部へ放出すること、である。特に(3)の高温ガスの安全な放出については、昨今の多数の電池(例えば20個以上)を収容した電池パックにおいて、重要な主要技術の一つになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−97836号公報
従来の電池ケースは、電池の高容量開発競争の中、電池容量を決定する電極群の体積をより多く確保するために、電池ケース自身の肉厚をより薄くしてきた経緯がある。しかしながら、電池ケースを薄くした場合、電池の高容量化が達成される反面、電池ケースの強度は弱くなる。そのため、例えば異常高温に曝されて、電池から多量の高温ガスが発生した場合、内部圧力の増加によって、電池ケースの破断や破裂が起こり、高温ガスが放出される危険性がある。また、その破断や破裂は、電池ケースの不特定箇所で起こり得るため、高温ガスが放出される箇所が特定できず、電池の安全性に対するリスクは潜在的に高まっているという問題がある。
本発明は、電池の開発において上記電池の安全性に対するリスクを低減するために、高温ガスが電池の上部側および底部側の少なくともいずれかから放出される電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の電池は、電池ケースにおいて、その周壁の高さ方向の中央部が最も厚肉となるように構成したことを特徴とする。本構成によれば、電池が異常高温に曝されて多量の高温ガスを発生した場合であっても、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかから、高温ガスを電池外部に放出するように、電池ケースの破断や破裂をする部分を限定することができる。
本発明の電池によれば、高温ガスは、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかから電池外部に放出されるため、横方向への高温ガスの噴出を避けることができる。よって、この電池を利用した電池パックにおいては、高温ガスの放出を電池上部および電池底部に集約することが可能となり、より安全に高温ガスを電池パック外部へ放出することができるため、電池の類焼を抑制することが可能となる。
本発明の一実施の形態における電池の一部切欠斜視図 本発明の一実施の形態における電池ケースの断面図 本発明の一実施の形態における電池ケースの断面図 本発明の一実施の形態における電池ケースの断面図 本発明の一実施の形態における電池ケースの断面図 本発明の一実施の形態における電池パックの断面図 燃焼試験の電池配置図
本発明の第1の発明は、電池ケースにおいて、周壁の高さ方向の中央部が最も肉厚となるように構成したことを特徴とする電池である。本発明の電池によれば、電池ケースの中央部の強度が向上することで、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスやその引火による火炎が電池外部に放出する部分を、電池の中央部以外に限定することができる。よって電池の側面から高温ガスや火炎が放出されにくくなり、電池が類焼しにくくなるため、より安全な電池パックの設計が可能となる。
本発明の第2の発明は、電池ケースの周壁の肉厚が中央部に向かって徐々に厚くなるようにした第1の発明に記載の電池である。本発明の電池によれば、電池ケースの強度は中央部に向かい徐々に向上すため、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスやその引火による火炎が電池外部に放出する部分を、電池の中央部でなく、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかに限定することができる。特に傾斜面が電池ケース内部にある場合は、電池ケースの周壁の肉厚が開口部から徐々に厚くなるため、周壁の中央部のみ厚くした場合と比較して、電極群の挿入が容易になる。
本発明の第3の発明は、電池ケースの周壁の中央部に向かう傾斜面を電池ケースの内面に形成した第2の発明に記載の電池である。本発明の電池においても、電池ケースの強度は中央部に向かい徐々に向上するため、上記第2の発明の効果と同様の効果を得ることができる。さらに、傾斜面が電池ケース内部にあるので、電池ケース外部はストレート形状にすることができ、隣接する電池間に余分な隙間が出来ず、電池パックの体積効率を高めることができる。
本発明の第4の発明は、電池ケースの周壁の中央部に向かう傾斜面を電池ケースの外面に形成した第2の発明に記載の電池である。本発明の電池においても、電池ケースの中央部に向かい徐々に強度が向上するため、上記第2の発明の効果と同様の効果を得ることができる。さらに、傾斜面が外部に形成されているので、ケースの加工性に優れ、また電極群の挿入も容易になるという特長がある。
本発明の第5の発明は、電池ケースの周壁の中央部に向かう傾斜面を曲面状に形成した第2の発明に記載の電池である。本発明の電池によれば、傾斜面を曲面状に形成することで、電池ケースの中央部に向かって最適に徐々に強度が向上する。したがって、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスやその引火による火炎が、電池の中央部でなく、電池
最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかから電池外部へ放出するように、上記発明より高い精度で限定することができる。
本発明の第6の発明は、上記第1〜5の発明の電池を用いた電池パックに関する。本発明の電池パックの内部には、上記第1〜5の発明のいずれか1つに記載の単電池が複数個林立して配列している。
これらの単電池が異常高温に曝された場合、上述したように、高温ガスやその引火による火炎が排出される箇所は、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかに限定される。そのため、仮に1個の単電池が燃焼した場合であっても、その単電池から放出される高温ガスや火炎は、隣接する電池の位置する横方向に噴出することがなく、隣接する電池の類焼を抑制することができる。さらに、電池から発生する高温ガスを、電池パック内部へ拡散させることなく集約することが可能となり、高温ガスの引火による電池の類焼も防ぐことができる。よって、電池パックの内部での単電池の類焼発生確率は、従来の電池パックに比べて極めて低くなり安全な電池パックを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図2〜図5の電池ケースを用いた本発明の非水電解液二次電池の一実施の形態である円筒形リチウムイオン二次電池の構造を、図1を参照しながら説明する。負極端子を兼ねる円筒状の電池ケース3内に、円柱状の電極群4が収納されている。電極群4の中心部には中芯2が配置されている。電池ケース3は、例えば図5のように、周壁の高さ方向の中央部が最も肉厚であり、肉厚が中央部に向かって曲面状に厚くなるように構成した構造を有している。電極群4は、帯状の正極板5と帯状の負極板6とを帯状の多孔質絶縁体としてのセパレータ7を介在させて捲回することにより構成されている。電池ケース3の開口端部は、樹脂製のガスケットを介して封口板9の周縁部にかしめつけることにより、封ロされている。
負極板6は、負極集電体としての銅箔に負極合剤層が形成された塗工部、および前記銅箔が露出している露出部からなる。負極板6の露出部は、負極板6の外周側(巻き終わり側)の端部において、負極リード8を接合するための部分として設けられる。ここで、負極リード8の端部の一方は、電池ケース3の内面と対向する負極板6の露出部に接続され、他方は電池ケース3の内底面に接続されている。
正極板5は、正極集電体および正極集電体上に形成された正極合剤層を有する。また、正極板5の一部には、正極集電体上に正極合剤層を形成せずに正極集電体が露出した露出部が設けられ、正極リード10の端部の一方が接続されている。正極リード10の端部の他方は、電極端子1を有する封口板9の下部に接続されている。
負極集電体には、例えば、銅箔や銅のパンチングメタルや銅のラスメタルが用いられる。
負極合剤層には、例えば、負極活物質および結着剤を含む。負極活物質としては、例えば、各種天然黒鉛、各種人造黒鉛、シリコン含有複合材料、または各種合金材料を用いることができる。負極用結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという)またはその変性体が用いられる。
負極リード8には、例えば、ニッケル、銅、ニッケルおよび銅のクラッド材、または銅のニッケルめっき材が用いられる。上記クラッド材としては、銅板とニッケル板とを重ね合わせた材料、または銅板をニッケル板で挟んだ材料が好ましい。
正極集電体には、例えば、アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔のような金属箔が用いられる。
正極合剤層は、例えば、正極活物質、結着剤および導電材を含む。正極活物質としては、例えば、リチウム含有複合酸化物が用いられる。リチウム含有複合酸化物としては、例えば、LiCoO、LiCoOの変性体、LiNiO、LiNiOの変性体、LiMnO、またはLiMnOの変性体が挙げられる。各変性体には、アルミニウム、マグネシウムのような元素を含むものが挙げられる。また、各変性体には、コバルト、ニッケル、およびマンガンのうち少なくとも2種を含むものが挙げられる。正極用結着剤には、例えば、ポリフッ化ビニリデンのようなフッ素樹脂、アクリロニトリル単位を含むゴム性状高分子を用いることができる。正極用導電材としては、例えば、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックのようなカーボンブラック、または天然黒鉛および人造黒鉛のような黒鉛材料が用いられる。これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極リード10には、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
セパレータ7には、例えば、ポリプロピレンまたはポリエチレンのようなポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔性の単層、または複数の単層を積み重ねた積層体からなる。正極板5と負極板6との間の絶縁性確保、および電解液保持の観点から、セパレータ7の厚みは10μm以上が好ましい。一方で電池の設計容量維持の観点からは、セパレータ7の厚みは30μm以下がより好ましい。
非水電解液は、例えば、非水溶媒および前記非水溶媒に溶解するリチウム塩からなる。リチウム塩には、例えば、LiPF、またはLiBFが用いられる。非水溶媒には、例えば、エチレンカーボネート(以下、ECという)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、またはメチルエチルカーボネート(以下、MECという)が用いられ、これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、非水電解液に、ビニレンカーボネート、シクロヘキシルベンゼン、またはそれらの変性体を添加してもよい。
電池ケース3には、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼が用いられる。
本発明の電池ケース3は、図2〜図5の断面図に示すように、周壁の高さ方向の中央部が最も肉厚となるように構成した構造を有する。
本発明の一実施の形態である図2に示した電池ケース3では、電池ケース3の高さ方向の中央部に限定して肉厚部11を設けている。例えば18650サイズの円筒電池の場合、肉厚部11の厚みは薄肉部に比べて例えば0.05mm以上であることが好ましく、肉厚部11の長さは高さ方向の中央部の例えば10mm程度が好ましい。このような形状の電池ケース3では、電池ケース3の中央部の強度が高くなるため、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分は、電池の中央部以外に限定することができる。一般に電池の類焼は、高温ガスや火炎が、電池中央部が裂けて放出するために起こる確率が高い。本発明により、電池ケース3の中央部の強度が高くなることで、電池の類焼確率を下げることが出来る。
ここで電池ケース3の作製方法について説明する。代表的な電池ケース3の作製方法としてDI(Drawing and Ironing:絞りしごき)成形がある。電池ケース3の素材となる金属板材から、まずカッピングプレスという方法でカップ状に金属板
材を打ち抜く。そしてボディーメーカーという方法で潤滑油を使いながら絞り加工で缶胴を薄く伸ばし、底部の成形を行う。更にトリマーという工程により不要部分をカットする。図2の電池ケース3の場合は、中央部のみを肉厚にするように絞りしごき加工を数段階に分けて行う。電池ケース3の底板については、DI成形で側板と一体成形する方法が一般的だが、底板と側板を別々に成形して後に溶接などで接合して電池ケース3を作製しても良い。
本発明の一実施の形態である図3に示した電池ケース3では、電池ケース3の肉厚が、高さ方向の中央部に向かって徐々に厚くなるように肉厚部11を設けており、傾斜部12を電池ケースの内面に形成している。例えば18650サイズの円筒電池の場合、最肉厚部の厚みは薄肉部に比べて例えば0.05mm以上が好ましい。このような形状の電池ケース3では、電池ケース3の中央部に近いほど強度が高くなるため、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分は、電池の中央部でなく、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかとなるよう限定することができる。よって、本発明により電池ケース3の中央部の強度が高くなることで、電池の類焼確率を飛躍的に下げることが出来る。
電池ケース3は、基本的には上記した作製方法で得られるが、図3の電池ケース3の場合は、電池ケース3の内面において、中央部に向かって徐々に肉厚が厚くなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行うことで作製することができる。
本発明の一実施の形態である図4に示した電池ケース3では、電池ケース3の肉厚が高さ方向の中央部に向かって徐々に厚くなるように肉厚部11を設けており、傾斜部12を電池ケースの外面に形成している。例えば18650サイズの円筒電池の場合、最肉厚部の厚みは薄肉部に比べて例えば0.05mm以上が好ましい。このような形状の電池ケース3では、電池ケース3の中央部に近いほど強度が高くなるため、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分は、電池の中央部でなく、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかとなるよう限定することができる。よって、本発明により電池ケース3の中央部の強度が高くなることで、電池の類焼確率を飛躍的に下げることが出来る。さらに本発明の電池ケース3は、電池ケースの加工性に優れ、また電池を作製する際に電極群の挿入が容易になるという特長がある。
電池ケース3は、基本的には上記した作製方法で得られるが、図4の電池ケース3の場合は、電池ケース3の外面において、中央部に向かって徐々に肉厚が厚くなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行うことで作製することができる。
本発明の一実施の形態である図5に示した電池ケース3では、電池ケース3の肉厚が高さ方向の中央部に向かって徐々に厚くなるように肉厚部11を設けており、傾斜部12を電池ケース3の外面に曲面状に形成している。例えば18650サイズの円筒電池の場合、最肉厚部の厚みは薄肉部に比べて例えば0.05mm以上が好ましい。このような形状の電池ケース3では、電池ケース3の中央部に向かい最適に徐々に強度が向上する。そのため、電池が異常高温に曝された場合に、高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分は、電池の中央部でなく、電池最上部の封口板側および電池底部側の少なくともいずれかに、上記の発明よりもより高い精度で限定することができる。よって、本発明により電池ケース3の中央部の強度が高くなることで、電池の類焼確率を飛躍的に下げることが出来る。
電池ケース3は、基本的には上記した作製方法で得られるが、図5の電池ケース3の場合は、電池ケースの外面において、中央部に向かって曲面状に徐々に肉厚が厚くなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行うことで作製することができる。
上記図2〜図5のいずれかの電池ケース3を用いたリチウムイオン電池の電池パックの断面図の例を図6に示す。この電池パックの主要部品は、複数個の単電池13と電池パックの外装ケース14と隔離板15と上部排気ダクト16と下部排気ダクト17である。この電池パックは、単電池13を複数個林立するように配列している。隣接する単電池13同士は、例えば1mm程度の間隙を設けて、双方の熱が直接伝わらないように配置している。外装ケース14の中には、複数個の単電池13の上下に隔離板15が配置され、その隔離板15と外装ケース14により、上部排気ダクト16と下部排気ダクト17が形成されている。
本発明の単電池13は、単電池13が異常高温に曝された場合に高温ガスや火炎が電池外部に放出する部分を、単電池13の中央部でなく、最上部の封口板側および単電池底部側の少なくともいずれかとなるよう限定することができる。したがって、図6のように、単電池13を林立して配置した場合、単電池13から放出される高温ガスや火炎は、隣接する電池の方向ではなく、単電池13の封口板側または底部側へ放出し、隔離板15を通して、上部排気ダクト16または下部排気ダクトに集約される。ここで、高温ガスや火炎が、上記排気ダクトに効率よく集約されるように、隔離板15の一部には貫通孔を設けてもよく、また異常時の熱や圧力により孔が形成されやすい箇所を設けておいても良い。この上部排気ダクト16及び下部排気ダクト17により、放出した高温ガスや火炎が電池パックの内部に拡散することなく、電池パックの外部に効率的に排出されるため、電池パックの安全性をさらに高めることができる。
なお、図6では単電池13は、同極の電極端子が同一面に位置するように配列しているが、異極の電極端子が隣り合うように配列していても同様の効果が得られる。また、図6の電池パックにおいて、単電池13の配列する方向は限定されない。例えば電池ケース底部側が電池パックの底部に位置するように単電池を縦置きで配列しても、またその逆に配列してもよく、さらに単電池13を横置きで配列してもよい。また、電池パックは、単に複数の単電池を収容したものに限定されるものではなく、例えば複数の単電池の集合体を形成し、その集合体を複数収容する構成としてもよい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1と同じ構造の円筒形リチウムイオン二次電池を以下の手順で作製した。
以下の方法で負極板を作製した。負極活物質として人造黒鉛3kgと、結着剤としてのスチレンーブタジエン共重合体を40重量%含む水性分散液を75gと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース30gと、適量の水とを練合機にて攪拌し、負極合剤ペーストを得た。この負極合剤ペーストを厚み10μmの銅箔からなる負極集電体に塗布し、乾燥後に圧延してシート状の負極板を得た。この時、負極板の厚みは166μm、負極合剤層中の負極活物質の密度は1.6g/cmとした。この負極板を、電池ケースに挿入可能な大きさに帯状に裁断した。
以下の方法で正極板を作製した。正極活物質としてのコバルト酸リチウム3kgと、結着剤としてPVDFを12重量%含むN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)溶液lkgと、導電材としてのアセチレンブラック90gと、適量のNMPとを練合機にて攪拌し、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体に塗布し、乾燥後圧延してシート状の正極板を得た。この時、正極板の厚みは166μm、正極合剤層中の正極活物質の密度は3.6g/cmとし
た。この正極板を電池ケースに挿入可能な大きさに帯状に裁断した。
ECとMECとを体積比25:75の割合で混合した非水溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解して電解液を調製した。
上記で得られた負極板の負極集電体の露出部にニッケル製の負極リードを接合した。また、上記で得られた正極板の正極集電体の露出部にアルミニウム製の正極リードを接合した。その後、正極板と負極板との間にセパレータを介して捲回し電極群を構成した。セパレータには、厚み16μmの微多孔性のポリエチレンフィルムを用いた。上記で得られた非水電解液5.5gを図2〜図5の電池ケース(肉厚の最厚部=約0.2mm)に注入し、その後、電池ケースの開口端部をガスケットを介して封口板の周縁部にかしめつけ、電池ケースを封ロした。このようにして作製した図2〜図5の円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ:直径18mm、高さ65mm)を、それぞれロット1〜ロット4として、各ロット5個ずつ作製した。
ここで、図2〜図5の電池ケースは以下のようにして作製した。
ロット1の電池ケース3(図2に図示)は、ニッケルメッキ鋼を使用し、最薄部の厚みを0.15mm、肉厚部11の厚みを0.2mm、肉厚部の長さを10mm、として作製した。作製方法はDI成形とし、絞りしごき加工を数段階に分けて行い、電池ケース3を作製した。
ロット2の電池ケース3(図3に図示)は、ニッケルメッキ鋼を使用し、最薄部の厚みを0.15mm、肉厚部11の厚みを0.2mmとなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行い、電池ケース3内部に傾斜部12を設けた電池ケースを作製した。
ロット3の電池ケース3(図4に図示)は、ニッケルメッキ鋼を使用し、最薄部の厚みは0.15mm、肉厚部11の厚みは0.2mmとなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行い、電池ケース3外部に傾斜部12を設けた電池ケースを作製した。
ロット4の電池ケース3(図5に図示)は、ニッケルメッキ鋼を使用し、最薄部の厚みを0.15mm、肉厚部11の厚みを0.2mmとなるように、絞りしごき加工を数段階に分けて行い、電池ケース3外部に曲面状の傾斜部12を設けた電池ケースを作製した。
(比較例1)
電池ケース以外の電池構成要素(負極板、正極板、電極群など)は実施例1と同じ方法で作製した。得られた電極群を、従来使用の電池ケース(肉厚が均一=約0.15mm)に挿入した。上記以外、実施例1と同様の方法により電池をロット5として5個作製した。
(燃焼試験による電池の安全性評価)
環境温度25℃において、電池電圧が4.2Vに達するまで0.7ItmAの定電流で電池を充電した。この電池を電池電圧が4.2Vに達した後、電流値が50mAに達するまで4.2Vの定電圧で電池を充電した。上記充電の後、図7のように各ロット5個の内、1つの電池を中央部に配置して、残りの4個を90度ずつ4方(No.1〜No.4)に林立させた。中央部の電池との隙間は約1mmとした。
次に燃焼試験の実施方法を説明する。まず中央部の電池を、その底部からガスバーナーで熱し、高温ガスや火炎が放出するまで燃焼させた。中央部の電池が高温ガスまたは火炎を放出した時点でガスバーナーの燃焼を中止して、高温ガスまたは火炎により周囲4個の
電池が類焼するか否かを観察した。
試験結果を、表1に示す。
比較例1の電池は、周囲4つの電池が全て類焼し、類焼率が100%だった。燃焼試験後の中央部の電池の状態を確認したところ、電池ケースの高さ方向の中央部付近に電池ケースが裂けた痕跡があり、この部分から高温ガスや火炎が放出したことが分かった。また周囲4個の電池の状態を確認したところ、電池ケースの高さ方向の中央部付近に燃焼痕跡があり、中央部の電池からの高温ガスや火炎の放出を受けて類焼に至ったことが分かった。
これに対して実施例1の電池は、ロット1の類焼率は25%、ロット2〜4の類焼率は0%であり、比較例1に対して安全性が向上したことを確認した。ロット1では、No.4の電池のみが類焼しているが、燃焼試験後の中央部の電池の状態を確認したところ、高さ方向の上部付近に電池ケースが裂けた痕跡があった。比較例1と同様に電池ケースの裂けは認められたが、電池ケースの裂けの部位は明らかに異なった。ロット1では、電池ケースの中央部の肉厚が厚いため、電池ケースの裂けが中央部に発生しなかった。また、ロット2〜4の燃焼試験後の中央部の電池の状態を確認したところ、電池上部の封口板または電池底部に高温ガスや火炎の放出の痕跡を確認したが、電池ケースの側面の裂けは確認されなかった。安全性向上の手段として、中央部を厚肉にした電池ケースを用いた本発明の電池の有効性を確認できた。
よって、電池パックに本発明の電池を用いることで、高温ガス及び火炎の放出は電池上部または下部に限定されるため、万一、高温ガスまたは火炎が単電池の外部に放出しても、隣接する単電池が類焼する危険性が低くなる。また単電池上部と下部に排気ダクトを具備し、高温ガス及び火炎を上記排気ダクトを経由して電池パック外部に放出することで、さらに電池の類焼を抑制することが可能となる。
本発明の電池及び電池パックは、ノートパソコン等の携帯機器等の電子機器の電源や、家庭用蓄電、電気自動車(以下、EVという)およびハイブリッドEV用動力源、パックアップ電源として好適に用いられる。
1 電極端子
2 中芯
3 電池ケース
4 電極群
5 正極板
6 負極板
7 セパレータ
8 負極リード
9 封口板
10 正極リード
11 肉厚部
12 傾斜部
13 単電池
14 外装ケース
15 隔離板
16 上部排気ダクト
17 下部排気ダクト

Claims (6)

  1. 正極板と負極板とをセパレータを介して対向配置した発電要素を電解液とともに有底筒状の電池ケースに収納し、前記電池ケースの開口部を封口板で封口してなる電池において、前記電池ケースとして周壁の高さ方向の中央部が最も肉厚となるように構成したことを特徴とする電池。
  2. 前記電池ケースの周壁を底面側および開口部側から高さ方向の中央部に向かって徐々に肉厚になるように構成した請求項1記載の電池。
  3. 前記電池ケースとして周壁の高さ方向の中央部に向かう傾斜面を電池ケースの内面に形成した請求項2記載の電池。
  4. 前記電池ケースとして周壁の高さ方向の中央部に向かう傾斜面を電池ケースの外面に形成した請求項2記載の電池。
  5. 前記電池ケースとして周壁の高さ方向の中央部に向かう傾斜面を曲面状に形成した請求項2記載の電池。
  6. 単電池を複数個林立するように配列し、各単電池を電気的に接続してなる電池パックにおいて、上記単電池を請求項1〜5のいずれか1つに記載の電池を用いて構成したことを特徴とする電池パック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017045693A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 一般財団法人電気安全環境研究所 組電池の耐類焼試験方法

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