JP2012154865A - 水蒸気バリア性の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水蒸気透過率を実際に測定することなく、水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を容易に評価することができる水蒸気バリア性の評価方法を提供する。
【解決手段】第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、下記式(1)から算出されるS1の値を、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)とみなして評価することを特徴とする。
log101=−0.015×(θ×ΔB)−0.25 (1)
式(1)中、θは水滴接触角を示し、ΔBは第1酸化物(X)の塩基度Bxと第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は太陽電池等の機器、或いは食品、薬品等の包装材料等において、高い防湿性を付与するために用いられる水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法に関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は太陽電池等の機器は、一般に湿気に弱く、吸湿によって急速にその特性を劣化させるため、高防湿性、即ち酸素や水蒸気等の透過又は侵入を防止するガスバリア性を有する部品を装備することが不可欠である。
例えば、太陽電池の例では、太陽電池モジュールの受光面とは反対側の裏面にバックシートが設けられている。このバックシートは、基材に、蒸着材等を用いて成膜された高防湿性を有する水蒸気バリア膜と、それらを保護する部材等から構成されたものが代表的なものである。また、上記太陽電池等の機器の他に、食品や薬品等の包装材料等でも高い水蒸気バリア性が求められており、プラスチックの表面に酸化珪素、酸化アルミ又はアルミ金属箔等を蒸着させて成膜した水蒸気バリア膜を備える包装材料等が一般的に広く知られている。
上記太陽電池のバックシート等が備える水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性の評価は、これまで、カップ法(JIS Z 0208)やモコン法(JIS K 7129)等によって評価されていたが、モコン法による水蒸気透過率の測定限界が0.01/m2・day程度であることから、有機ELディスプレイ等に要求される高度な水蒸気バリア性の評価が困難であるという問題があった。このような問題を解消する評価方法として、水蒸気透過性を評価する材料から成る固体基板の片面側に、水分と反応して腐食する腐食性金属を形成した金属腐食試験片を湿度環境下に保管し、固体基板を透過した水蒸気によって腐食性金属の一部分が腐食した金属腐食試験片の画像を撮影し、撮影した画像の処理を行う画像処理手段を用いて水分と反応した金属の腐食状態を評価し、腐食領域の形状、分布及び/又は面積から固体基板の水蒸気透過性を評価する評価方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−181300号公報(請求項1)
しかしながら、上記モコン法等による評価方法では、高度な水蒸気バリア性の評価が困難であること以外にも、水蒸気透過率の実測には試験片を所定の温度、湿度環境下に長時間保持する必要があるため、非常に時間がかかるという問題がある。水蒸気透過率の実測に時間がかかると、製品の研究開発や品質検査、品質管理等に多大な時間を要することになり、その結果、製品の製造においても多大な時間と費用が発生するという問題が生じる。また、上記従来の特許文献1に示される評価方法では、金属腐食試験片を形成した後、測定と関係の無い大気中の水分から隔離するために、非腐食性金属やバリア性の高い透明酸化物で保護する、或いは硬化性樹脂とガラス基板で封止するなど、測定前の準備工程が煩雑であり、手間と時間がかかるといった問題があった。
本発明の目的は、長時間を要する水蒸気透過率を実際に測定することなく、水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を迅速、かつ容易に評価することができる水蒸気バリア性の評価方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、下記式(1)から算出されるS1の値を、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)とみなして評価することを特徴とする。
log101=−0.015×(θ×ΔB)−0.25 (1)
但し、式(1)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは第1酸化物(X)の塩基度Bxと第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
本発明の第2の観点は、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、下記式(2)及び式(3)の双方を満たすS2の範囲から、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)を定めて評価することを特徴とする。
{−0.015×(θ×ΔB)−0.25}−0.25≦log102 (2)
log102≦{−0.015×(θ×ΔB)−0.25}+0.25 (3)
但し、式(2)及び式(3)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは第1酸化物(X)の塩基度Bxと第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
本発明の第1の観点の評価方法では、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、上記式(1)から算出されるS1の値を、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)とみなして評価する。これにより、従来、多大な時間を要していた水蒸気透過率の実測をせずに、水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を迅速、かつ容易に評価することができる。
本発明の第2の観点の評価方法では、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、式(2)及び式(3)の双方を満たすS2の範囲から、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)を定めて評価する。このように、第2の観点の評価方法では、上記本発明の第1の観点の評価方法によって算出されたlog101の値に、一定の範囲を付加して評価を行うことにより、式(1)から算出される値と実測値との間に比較的大きいな誤差が生じた場合でも、想定され得る誤差範囲を考慮した柔軟な評価を行うことができる。
本発明の評価方法に用いる式(1)〜式(3)を示すグラフ図である。 実施例の結果を示すグラフ図である。 水蒸気透過率が高い水蒸気バリア膜の内部構造を示す断面模式図である。 水蒸気透過率が低い水蒸気バリア膜の内部構造を示す断面模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態の評価方法>
本発明第一実施形態の評価方法は、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する新規な評価方法である。この評価方法で評価できる水蒸気バリア膜は、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材の2つの蒸着材を、いわゆる共蒸着によって成膜した蒸着膜であっても良いし、第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む1つの蒸着材を用いて、成膜した蒸着膜であってもよい。
また、真空成膜法については特に限定されず、例えば、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、反応性プラズマ蒸着法、抵抗加熱法、誘導加熱法等のいずれの成膜方法によって成膜された蒸着膜であってもよい。
具体的には、下記式(1)から算出されるS1の値を、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)とみなすことにより行う。
log101=−0.015×(θ×ΔB)−0.25 (1)
ここで、式(1)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは第1酸化物(X)の塩基度Bxと第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性には、本発明者らのこれまでの研究により、膜の内部構造(断面構造)が大きく影響するものと考えられている。例えば、図3に示す、基材11上に形成される酸化物薄膜22は、柱状晶の結晶がガスの浸透方向に対して平行に集合した構造になる。水蒸気等のガス分子は平行に集合した粒界の界面に沿って進むため、上記柱状晶の結晶が平行に集合した構造の薄膜22ではバリア性が低いことになる。一方、図4に示すように、柱状晶の一部が崩れ、アモルファス状態に近い緻密な微細構造では、水蒸気等のガス分子は迷路状の中を長距離にわたり移動する必要があるため、このような構造の酸化物薄膜32ではバリア性が向上することになる。
このような膜の内部構造には、成膜に用いられる蒸着材又はこれらに含まれる酸化物等の塩基度が大きく関係するものと考えられる。この「塩基度」は、森永健次らにより提案されたものであり、例えば彼の著書「K.Morinaga, H.Yoshida And H.Takebe:J.Am Cerm.Soc.,77,3113(1994)」の中で以下に示すような式を用いてガラス粉末の塩基度を規定している。この抜粋を以下に示す。
「酸化物MiOのMi−O間の結合力は陽イオン−酸素イオン間引力Aiとして次式で与えられる。
i=Zi・Z02-/(ri+r02-2=Zi・2/(ri+1.40)2
i:陽イオンの価数,酸素イオンは2
i:陽イオンのイオン半径(Å),酸素イオンは1.40Å
このAiの逆数Bi(1/Ai)を単成分酸化物MiOの酸素供与能力とする。
i≡1/Ai
このBiをBCaO=1、BSiO2=0と規格化すると、各単成分酸化物のBi−指標が与えられる。」本発明において用いられる酸化物の塩基度は、ガラス粉末の塩基度の指標について、ガラスを酸化物と置き換えて解釈したものである。
また、水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性には、膜の内部構造の他に、膜表面の撥水性等も大きく影響する。即ち、膜表面の撥水性が高ければ、膜内部に浸透する水蒸気の量を少なく抑えることができる。膜表面の撥水性を示す指標としては、固体表面に対する液体の吸着現象を表す尺度として一般的に用いられている水滴接触角が挙げられる。水滴接触角には、測定方法により、液適法、転落法、傾斜法等があり、本発明で規定する水滴接触角は、液滴法により、基板に成膜した膜にイオン交換水2μL滴下してから2秒後に測定されたものである。
このような観点から、水蒸気バリア性の評価において、蒸着材に含まれる酸化物の塩基度と水滴接触角に着目し、本発明者らが研究を重ねたところ、実測された水蒸気バリア膜の水蒸気透過率、バリア膜の形成に用いられる蒸着材が含有する酸化物の塩基度、水蒸気バリア膜表面の水滴接触角の間には、ある一定の相関があることが判った。具体的には、複数の水蒸気バリア膜から測定された水蒸気透過率Sの実測値について、横軸をθ×ΔB、縦軸をlog10Sとしてプロットしたときに、log10Sの値とθ×ΔBの値の間には上記式(1)に示すような傾きが負の比例関係があることが確認された。本発明において用いられる上記式(1)は、このときの複数の水蒸気バリア膜におけるlog10Sの値とθ×ΔBの値のデータから最小二乗法によって求められた直線である。
この直線を用いた具体的な評価手順は、次の通りである。先ず、酸化物(X)からなる蒸着材と、酸化物(Y)からなる蒸着材を用いた共蒸着により、或いは酸化物(X)及び酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用いて水蒸気バリア膜を成膜する。このとき、第1酸化物(X)の含有割合をxモル、第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするときのx及びyを0.05≦x/(x+y)≦0.95の範囲に限定する理由は、x/(x+y)が下限値未満又は上限値を越える水蒸気バリア膜については、本発明の方法では評価が困難であるからである。これは、x/(x+y)が下限値未満又は上限値を越えると、一方の酸化物の割合が少なくなりすぎて、他方の酸化物からなる単一組成の蒸着膜とほぼ同等になるからと推察される。なお、蒸着材に含まれる酸化物(X)又は酸化物(Y)の塩基度は予め求めておく。次に、水蒸気バリア膜を、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日放置した後、水蒸気バリア膜の水滴接触角θを求める。水滴接触角を測定する際に、上記条件にて放置する理由は、成膜して間もない蒸着膜は、その表面状態が安定しておらず、水滴接触角の経時変化が著しいことから、測定される水滴接触角の値に大きなバラツキが生じるため、少なくとも1日間放置する必要があるからである。次に、酸化物(X)及び酸化物(Y)の塩基度、及び上記測定された水滴接触角θを、式(1)に代入して、S1の値を求める。最後に、式(1)から求めたS1を水蒸気透過率Sの実測値、即ち温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で、モコン法にて測定された水蒸気透過率とみなす。
以上により、多大な時間を要する水蒸気透過率を実際に測定することなく、水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を容易に評価することができる。
<第二実施形態の評価方法>
本発明第二実施形態の評価方法は、上述した第一実施形態の評価方法と同様、第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する新規な評価方法である。この第二実施形態の評価方法では、下記式(2)及び式(3)の双方を満たすS2の範囲から、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)を定めて評価する。
{−0.015×(θ×ΔB)−0.25}−0.25≦log102 (2)
log102≦{−0.015×(θ×ΔB)−0.25}+0.25 (3)
但し、式(2)及び式(3)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは第1酸化物(X)の塩基度Bxと第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
上記式(2)及び式(3)に、上記本発明第一実施形態の評価方法で使用する式(1)を代入すると、上記式(2)及び式(3)は、下記式(4)で表される。
log101−0.25≦log102≦log101+0.25 (4)
第二実施形態の評価方法では、上記式(4)に示されるように、上述した第一実施形態の評価方法に用いる上記式(1)から算出されるlog101の値に、所定の範囲を設けて評価を行うものである。第一実施形態の評価方法では、上記式(1)から算出されるS1の値を、モコン法による水蒸気透過率そのものとみなすため、画一的かつ迅速な評価が可能である。一方、第1酸化物と第2酸化物が同じ場合、組成比が異なる膜でもΔBは同一となるといった近似的要素を含むため、上記式(1)から算出されるS1の値と実測値との間には比較的大きな誤差が生じることがある。そのため、場合によっては想定される誤差の範囲まで把握しておく必要がある。そこで、この第二実施形態の評価方法は、上記式(1)からlog101の値に一定の範囲を設けて評価を行うことにより、想定され得る実測値との誤差範囲までも考慮した柔軟な評価を可能にしたものである。なお、−0.25〜+0.25という範囲は、上記式(1)を算出する際に用いた実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値と、上記式(1)から算出されたlog101の値の誤差の最大値を考慮して設定した範囲である。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜8>
次の表1に示す条件にて、ガラス基板上に水蒸気バリア膜を成膜し試験片を得た。なお、水蒸気バリア膜の成膜は、反応性プラズマ蒸着法にて行い、実施例1〜7は第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材の2つの蒸着材を用いた共蒸着により、実施例8は第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む1つの蒸着材を用いて行った。
次に、これらの試験片を、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日放置した後、水蒸気バリア膜の水滴接触角θを求めた。水滴接触角θは、ガラス基板に成膜した膜にイオン交換水2μL滴下してから2秒後に測定された液滴法による接触角である。上記酸化物(X)及び酸化物(Y)の塩基度、及び上記測定された水滴接触角θを、下記式(1)に代入してS1の値(みなし値)をそれぞれ求めた。
log101=−0.015×(θ×ΔB)−0.25 (1)
この結果を次の表1に示す。また、式(1)から算出されたlog101の値と、θ×ΔBの値の関係を図2に示す。
<比較試験及び評価>
実施例1〜8と同じ条件で、水蒸気バリア膜を成膜した試験片をそれぞれ用意した。この試験片について、それぞれモコン法(JIS K 7129)により、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件にて水蒸気バリア膜の水蒸気透過率Sを測定し、これらを実測値とした。この結果を次の表1に示す。また、実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値と、θ×ΔBの値の関係を図2に示す。
Figure 2012154865
表1及び図2から明らかなように、実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値、水滴接触角θ、塩基度の絶対値ΔBの間には相関があることが判る。また、式(1)から算出されたlog101の値は、実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値とほぼ近い値を示しており、式(1)から、水蒸気透過率の実測値とほぼ近い値が算出できることが確認された。
更に、図2から明らかなように、実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値は、いずれもlog101−0.25からlog101+0.25の範囲内にあることが判る。このことから、例えば実施例6のように、式(1)から算出されたlog101と、実測された水蒸気透過率Sのlog10Sの値の間に比較的大きな誤差が生じた場合でも、log101の値に上記範囲を付加して評価することで、想定される誤差範囲を把握しておくことができ、より柔軟な評価が行えることが確認された。

Claims (2)

  1. 第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、
    下記式(1)から算出されるS1の値を、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される前記水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)とみなして評価することを特徴とする水蒸気バリア性の評価方法。
    log101=−0.015×(θ×ΔB)−0.25 (1)
    但し、式(1)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の前記水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは前記第1酸化物(X)の塩基度Bxと前記第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、前記水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、前記第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
  2. 第1酸化物(X)からなる蒸着材と第2酸化物(Y)からなる蒸着材、或いは第1酸化物(X)及び第2酸化物(Y)の双方を含む蒸着材を用い、真空成膜法により成膜した水蒸気バリア膜の水蒸気バリア性を評価する方法において、
    下記式(2)及び式(3)の双方を満たすS2の範囲から、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で1時間放置した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で測定される前記水蒸気バリア膜の水蒸気透過率S(g/m2・day)を定めて評価することを特徴とする水蒸気バリア性の評価方法。
    {−0.015×(θ×ΔB)−0.25}−0.25≦log102 (2)
    log102≦{−0.015×(θ×ΔB)−0.25}+0.25 (3)
    但し、式(2)及び式(3)中、θは成膜後、温度25℃、相対湿度50%RHの条件で1日間保持した後の前記水蒸気バリア膜における水滴接触角を示し、ΔBは前記第1酸化物(X)の塩基度Bxと前記第2酸化物(Y)の塩基度Byとの差の絶対値を示す。また、前記水蒸気バリア膜中の第1酸化物(X)の含有割合をxモル、前記第2酸化物(Y)の含有割合をyモルとするとき、x及びyは0.05≦x/(x+y)≦0.95を満たす。
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