JP2012154465A - ピストンリング - Google Patents

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政男 石田
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Abstract

【課題】合口端部の摩耗の増大やスカッフィングを防止するピストンリングを提供する。
【解決手段】合口隙間2を有する円環形状をなすピストンリング1において、オーバリティが130℃〜200℃で−0.2〜0である。オーバリティは、フレキシブルテープ(例えば厚さ0.08〜0.10mmの金属製テープ)の中へピストンリングを入れ、所定の合口隙間になるまでピストンリングを閉じたときの、合口方向の直径D1と、その90度方向の直径D2との差(D1−D2)をいう。ピストンリング1は形状記憶合金からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関用ピストンリングに関する。
通常のピストンリングは、高温・高負荷運転時、リングとシリンダの温度差及び材料の違いによる熱膨張差によってピストンリング周長の増加量がシリンダ内周長の増加量より大きくなると、合口端部での面圧が高くなる。その結果、ピストンリングは合口端部で摩耗が多くなり、合口端部でのスカッフィングや表面処理皮膜の剥離等の不具合が発生する場合がある。
特許文献1は形状記憶合金で形成されたピストンリングを記載している。このピストンリングは、低温域において拡径してトップリング溝から膨出し、ピストンのトップランドに相応してデッドボリュームを減少させ、高温域において縮径してトップリング溝内に収まり、スカッフィングを防止している。
特開平7−269413号公報
特許文献1に記載されているピストンリングは、高温域において縮径させてリング溝内に収めてしまい、シリンダ内周面とは接触しない。一方、特許文献1には、シリンダ内周面と摺動させる第二のピストンリングが記載されているが、このピストンリングは、高温時に拡径するため、高温時に面圧が高くなり、摩耗の増大やスカッフィングを生じる場合がある。
本発明の目的は、合口端部の摩耗の増大やスカッフィングを防止するピストンリングを提供することである。
本発明は、合口隙間を有する円環形状をなすピストンリングにおいて、オーバリティが130℃〜200℃で−0.2〜0であることを特徴とする。
オーバリティが−0.2よりマイナス量が大きくなると、合口端部がシリンダ内周に接しなくなり、シール性が低下する。オーバリティが0より大きいと、合口端部で面圧が高くなり、合口端部の摩耗が多くなる。
上記ピストンリングは形状記憶合金から形成できる。前記形状記憶合金はマルテンサイトからオーステナイトへの変態温度が40℃〜100℃で形状変化するものを使用することができる。
本発明のピストンリングによれば、温度上昇時、ピストンリングは常にシリンダに接しているが、合口端部の面圧上昇が回避される。その結果、運転時、ピストンリングの合口端部の外周面の摩耗が増大することなく、また、スカッフィングの発生やPVD皮膜等の表面処理皮膜の剥離などを防止できる。
本発明の一実施形態を示すピストンリングの平面図である。 本発明のピストンリングの130℃〜200℃での面圧分布を示す図である。 本発明のピストンリングの常温での面圧分布を示す図である。 従来のピストンリングの130℃〜200℃での面圧分布を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
ピストンリング1(図1参照)は合口隙間2を有している円環形状をなすリングであり、形状記憶合金からなる。形状記憶合金としては、マルテンサイトからオーステナイトへの変態温度が40℃〜100℃(例えば50℃〜65℃)で形状変化するもの(例えばニッケルチタン合金)が使用される。ピストンリング1は外周面がシリンダ内周面に常に接するようにして使用される。
ピストンリング1はオーバリティが130℃〜200℃で−0.2〜0である。オーバリティは、フレキシブルテープ(例えば厚さ0.08〜0.10mmの金属製テープ)の中へピストンリングを入れ、所定の合口隙間になるまでピストンリングを閉じたときの、合口方向の直径D1と、その90度方向の直径D2との差(D1−D2)をいう。
図2〜図4は各オーバリティでのピストンリングの面圧分布を示している。オーバリティは図2が−0.2、図3が0、図4が0.3である。オーバリティが−0.2であると、図2に示されているように合口端部での面圧は低いが、オーバリティが0.3になると、図4に示されているように合口端部での面圧が高くなる。
表1は、ピストンリングのオーバリティが−0.2の時のリング合口端部の摩耗量を1とした場合の、各オーバリティの値でのリング合口端部の摩耗量と漏光の有無を示す。摩耗量は次のようにして算出した。往復動摺動試験機(200回転/分、シリンダボア径:86φmm)にピストンリングをセットし、ピストンリングをシリンダ内で1分間、往復動させた後、取り出し、ラッピング加工(砥粒:#1200、加工時間:40秒)後、リング外周形状をあらさ計で測定し、加工前後の形状差よりリング合口端部の摩耗量を算出した。漏光はシリンダボア内径のリングゲージにピストンリングを装着し、後方から光を当てて漏れを検査した。
オーバリティが−0.2のとき、漏光はない。オーバリティが−0.21のとき、摩耗は少ないが、漏光が有るためシール性が低下し、オイル消費の悪化やブローバイガスの増加を生じる。オーバリティが0のとき、摩耗が少なく、漏光もない。オーバリティが0.05、0.10、0.20では漏光はないが、摩耗が多くなる。
Figure 2012154465
1 ピストンリング
2 合口隙間
D1 合口方向の直径
D2 合口方向に対して90度方向の直径

Claims (3)

  1. 合口隙間を有する円環形状をなすピストンリングにおいて、オーバリティが130℃〜200℃で−0.2〜0であることを特徴とするピストンリング。
  2. 形状記憶合金からなることを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
  3. 前記形状記憶合金がマルテンサイトからオーステナイトへの変態温度が40℃〜100℃で形状変化することを特徴とする請求項2記載のピストンリング。
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