JP2012149191A - 熱硬化性樹脂組成物、並びにその半硬化物及び硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、並びにその半硬化物及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】低融点化と硬化後の高熱伝導性とを両立可能な熱硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物を、2種類以上のエポキシ樹脂モノマを含むとともに相溶可能な樹脂モノマ混合物と、硬化剤と、無機充填材とを含んで構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、並びにその半硬化物及び硬化物に関する。
近年、電子・電気機器の小型化に伴って発熱量が増大したため、その熱をいかに放散させるかが重要な課題となっている。これらの機器に用いられている絶縁材料としては、絶縁性、耐熱性等の観点から、熱硬化性樹脂硬化物が広く使われている。しかし、一般的に熱硬化性樹脂硬化物の熱伝導率は低く、熱放散を妨げている大きな要因となっているため、高熱伝導性を有する熱硬化性樹脂硬化物の開発が望まれている。
高熱伝導性を有する熱硬化性樹脂硬化物として、分子構造中にメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂組成物の硬化物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、高熱伝導性を有し、軟化点(融点)の低い熱硬化性樹脂として、特定の構造を有するエポキシ樹脂が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
複数の樹脂からなる樹脂混合物としては、分子構造中に特定のメソゲン骨格を有するエポキシ化合物を混合することで、樹脂硬化物を製造する際の硬化温度範囲が化合物単体の場合よりも広くなり、高熱伝導性を有する樹脂硬化物の製造が容易となることが報告されている(例えば、特許文献3及び4参照)。更には、液晶性ポリマーと熱硬化性樹脂とが相分離した状態で存在している絶縁組成物が提案されており、液晶性ポリマーが高熱伝導性、熱硬化性樹脂が銅等の金属との密着性に関与しているとされている(例えば、特許文献5参照)。
特許第4118691号公報 特開2007−332196号公報 特開2008−239679号公報 特開2008−266594号公報 特開2010−18679号公報
しかしながら、分子構造中にメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂は、高熱伝導性であればあるほど融点も高くなることが一般的であり、成形条件等の作業性が厳しくなる場合がある。特にエポキシ樹脂が高融点であると、エポキシ樹脂の溶融に高温を要するため、熱硬化温度が高くなり、その分、エポキシ樹脂と硬化剤との反応速度も速くなる。そうすると、エポキシ樹脂が十分に溶融する前に硬化剤との反応が開始されるため、メソゲン骨格の配向が揃う前に硬化してしまい、エポキシ樹脂本来の持つ高熱伝導性を十分に発揮できない場合もある。また、特許文献2のように、高熱伝導性と低融点化を両立させた新規熱硬化性樹脂も存在するが、このような新規エポキシ樹脂の設計及び合成は決して容易ではない。
本発明は、上記課題に鑑み、低融点化と、硬化後の高熱伝導性とが両立可能な熱硬化性樹脂組成物、並びにその半硬化物及び硬化物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 2種類以上のエポキシ樹脂モノマを含み、相溶可能な樹脂モノマ混合物と、硬化剤と、無機充填材と、を含む熱硬化性樹脂組成物。
<2> 前記エポキシ樹脂モノマの少なくとも1種類は、分子構造中にエステル結合を含むメソゲン基を有している、前記<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3> 前記エポキシ樹脂モノマは、分子構造中にメソゲン基を有している、前記<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4> 前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂である、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> 前記無機充填材の含有量が、全体積中において70体積%を超える、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> 前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する、半硬化樹脂組成物層を有するBステージシート。
<7> 前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する、硬化樹脂組成物。
<8> 前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む、樹脂層を有する樹脂シート。
<9> 金属箔と、前記金属箔上に配置された前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂組成物層と、を備える樹脂付金属箔。
<10> 金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する硬化樹脂組成物層と、前記硬化樹脂組成物層上に配置された金属箔と、を備える金属基板。
本発明によれば、低融点化と、硬化後の高熱伝導性とが両立可能な熱硬化性樹脂組成物、並びにその半硬化物及び硬化物を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂モノマの2種類以上を含んで相溶可能な樹脂モノマ混合物と、硬化剤と、無機充填材と、を含むことを特徴とする。
相溶可能な樹脂モノマ混合物を含むことで、熱硬化性樹脂組成物としての融点を低下させることができ、また、硬化後には高い熱伝導性を達成することができる。
[樹脂モノマ混合物]
樹脂モノマ混合物は、2種以上のエポキシ樹脂モノマを含み、樹脂モノマ混合物として相溶可能に構成されている。ここで「相溶可能」とは、熱硬化性樹脂組成物を構成する2種以上のエポキシ樹脂モノマからなる樹脂モノマ混合物を、半硬化物又は硬化物とした場合に、それぞれのエポキシ樹脂モノマに由来する相分離状態が観察されないことを意味する。すなわち、硬化前の樹脂モノマ混合物において各エポキシ樹脂モノマが相分離していても、その半硬化物又は硬化物において相分離していなければ相溶可能とする。
また、樹脂モノマ混合物が3種以上のエポキシ樹脂モノマを含む場合、樹脂モノマ混合物を構成する全てのエポキシ樹脂モノマから成る樹脂モノマ混合物として相溶可能であれば良く、3種以上のエポキシ樹脂モノマから選ばれる任意の2種のエポキシ樹脂モノマから成る樹脂モノマ混合物が相溶可能である必要はない。
樹脂モノマ混合物が相溶可能かどうかは、半硬化物又は硬化物における相分離状態の有無で判断される。具体的には、光学顕微鏡を用いて加熱状態にある樹脂モノマ混合物を観察することで判断される。より詳細には、以下の通りである。すなわち、樹脂モノマ混合物を、樹脂モノマ混合物としての等方相転移温度以上に熱して溶融させる。次いで、溶融した樹脂モノマ混合物を自然冷却させる過程において、熱硬化性樹脂組成物を用いて半硬化物又は硬化物を形成する際の温度、つまり硬化温度における光学顕微鏡像(100倍)を観察し、樹脂モノマ混合物を構成する各エポキシ樹脂モノマが相分離しているか否かを観察することで判断する。
すなわち、本発明において相溶可能な樹脂モノマ混合物とは、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度において相溶状態にあり、樹脂モノマ混合物を構成するそれぞれのエポキシ樹脂モノマが相分離していない樹脂モノマ混合物を意味する。
前記硬化温度は、熱硬化性樹脂組成物に応じて適宜選択されるが、100℃以上であることが好ましく、100℃〜200℃であることがより好ましく、120℃〜200℃であることがさらに好ましい。
更に具体的には、熱硬化性樹脂組成物を硬化温度140℃で半硬化物又は硬化物にする場合、樹脂モノマ混合物を等方相転移温度以上に熱して溶融させ、これを自然冷却させる過程で、140℃のときの顕微鏡像(100倍)を観察して相分離が確認されなければ、樹脂モノマ混合物として相溶状態にあると判断する。
樹脂モノマ混合物中の各エポキシ樹脂モノマが、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度において相分離していなければ、樹脂モノマ混合物に由来する半硬化物又は硬化物中で、各エポキシ樹脂モノマが互いに相分離することはないと考えられるため、樹脂モノマ混合物として相溶可能であるとする。
また、樹脂モノマ混合物が相溶可能かどうかは、樹脂モノマ混合物の半硬化物又は硬化物を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによっても調べることができる。樹脂モノマ混合物の半硬化物又は硬化物の断面を、例えば、ダイヤモンドカッターで切り出した後、研磨紙及びスラリーを用いて研磨し、その断面の状態を、SEMを用いて例えば2000倍で観察すると、相分離する組み合わせのエポキシ樹脂モノマからなる樹脂モノマ混合物に由来する半硬化物又は硬化物ならば相分離の様子が明確に観察できる。
また、相溶可能な組み合わせのエポキシ樹脂モノマからなる樹脂モノマ混合物の融点は、前記樹脂モノマ混合物を構成する最も融点が高いエポキシ樹脂モノマの融点よりも低くなる現象が見られる。ここでいう融点とは、液晶相を有するエポキシ樹脂モノマならば、エポキシ樹脂モノマが液晶相から等方相へと相転移するときの温度を指す。また、液晶相を有さないエポキシ樹脂モノマならば、物質が固体(結晶相)から液体(等方相)へと状態変化するときの温度を指す。
ここで液晶相とは、結晶状態(結晶相)と液体状態(等方相)の中間に位置する相のひとつであり、分子の配向方向は何らかの秩序は保っているものの、3次元的な位置の秩序を失った状態である。
液晶相の有無は、室温からの昇温させていく過程での物質の状態変化を、偏光顕微鏡を用いて観察する方法によって判別できる。クロスニコル状態での観察において、結晶相及び液晶相は偏光解消による干渉縞が見られ、等方相は暗視野に見える。また、結晶相から液晶相への転移は、流動性の有無により確認できる。つまり、液晶相を発現するということは、流動性を有し、かつ偏光解消による干渉縞が観察される温度領域を有しているということである。
樹脂モノマ混合物が液晶相を有する場合、その温度領域の幅は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが更に好ましい。前記温度領域が10℃以上であることで高い熱伝導率を達成できる。さらに前記温度範囲は広ければ広いほどより高熱伝導率が得られ易く好ましい。
より具体的に液晶相を有するか否かは以下のようにして判断される。
エポキシ樹脂モノマ又は樹脂モノマ混合物を加熱しながら、エポキシ樹脂モノマ又は樹脂モノマ混合物の状態変化を偏光顕微鏡(例えば、オリンパス社製BS51)にて観察(倍率:100倍)した場合、クロスニコル状態での観察において、前記エポキシ樹脂モノマ又は樹脂モノマ混合物が流動性を有し、且つ偏光解消による干渉縞が観察される温度領域を持っていることが確認されれば、液晶相を有すると判断する。
またエポキシ樹脂モノマ又は樹脂モノマ混合物の融点は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、25℃〜350℃までの温度範囲、10℃/分の昇温速度の条件で示差走査熱量測定を行い、相転移に伴うエネルギー変化(吸熱反応)が起こる温度として測定される。
樹脂モノマ混合物が相溶可能、すなわち樹脂モノマ混合物の半硬化物又は硬化物において、各エポキシ樹脂モノマが相分離していない状態であると、樹脂モノマ混合物に硬化剤、無機充填材等を加えて熱硬化性樹脂組成物を構成した場合でも、熱硬化性樹脂組成物の半硬化物又は硬化物において、各エポキシ樹脂モノマが相分離していない状態となる。
樹脂モノマ混合物に含まれる2種以上のエポキシ樹脂モノマは、樹脂モノマ混合物を相溶可能に構成できる限り特に制限はなく、通常用いられるエポキシ樹脂モノマから適宜選択することができる。中でも樹脂モノマ混合物は、その分子構造中にメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマ(以下、「特定エポキシ樹脂モノマ」ともいう)を少なくとも1種類含むことが好ましく、この1種類がエステル結合を含む特定エポキシ樹脂モノマであるとより好ましい。また、樹脂モノマ混合物中に、特定エポキシ樹脂モノマを2種類以上含むことがより好ましく、樹脂モノマ混合物中のエポキシ樹脂モノマが全て特定エポキシ樹脂モノマであることがさらに好ましい。
樹脂モノマ混合物が特定エポキシ樹脂モノマを含むことで、より高い熱伝導率を達成することができる。
特定エポキシ樹脂モノマは、高次構造を形成することが好ましく、液晶相を形成することがより好ましい。これにより更に高い熱伝導率を達成することができる。
ここで高次構造とは、ミクロな配列をしている構造体のことであり、例えば、結晶相や液晶相が相当する。このような高次構造体の存在確認は、偏光顕微鏡観察によって容易に判断することが可能である。即ち、クロスニコル状態での観察において、偏光解消による干渉縞が見られることで判別可能である。
この高次構造体は、通常樹脂中に島状に存在し、ドメイン構造を形成したその一つの島のことを指す。この高次構造単位は一般には共有結合を有している。
また液晶相の詳細については既述の通りである。
分子構造中にメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマ(以下、「特定エポキシ樹脂モノマ」ともいう)の具体的内容は、例えば、特許第4118691号公報を参照することができる。
以下に、特定エポキシ樹脂モノマの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
特定エポキシ樹脂モノマとして、例えば、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,8−オクタンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,6−ヘキサンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,4−ブタンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(4−オキシラニルブトキシ)ベンゾイックアシッド−1,4’−フェニレンエステル、4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、1,4−(4−オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−2−メチルフェニレンエステル、1−{4−〔(4−オキシラニルメトキシ)フェニル〕ベンゾイックアシッド}−4−オキシラニルメトキシベンゼン、1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−ビフェノールエステル等が挙げられる。
前記樹脂モノマ混合物は、その分子構造中にエステル結合を含むメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより樹脂モノマ混合物の融点をより効果的に降下させることができる。
エステル結合を含むメソゲン基としては例えば、フェニルベンゾエート基及びその誘導体等を挙げることができる。
エステル結合を含むメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマの具体例としては、例えば、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,8−オクタンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,6−ヘキサンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−〔1,4−ブタンジイルビス(オキシ)〕ビスフェノールエステル、4−(4−オキシラニルブトキシ)ベンゾイックアシッド−1,4’−フェニレンエステル、1,4−(4−オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−2−メチルフェニレンエステル、1−{4−〔(4−オキシラニルメトキシ)フェニル〕ベンゾイックアシッド}−4−オキシラニルメトキシベンゼン、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−ビフェノールエステル等を挙げることができる。
樹脂モノマ混合物を構成するエポキシ樹脂モノマの種類数は2以上であれば特に制限されない。
また樹脂モノマ混合物を構成する各エポキシ樹脂モノマの混合比は、任意であり特に制限はない。エポキシ樹脂モノマ混合物の低融点化の観点より、各エポキシ樹脂モノマが樹脂混合物中に5質量%以上含まれていることが好ましい。より好ましくは、各エポキシ樹脂モノマが10質量%〜90質量%の範囲内で含まれ、全体として100質量%となっていることである。
また各エポキシ樹脂モノマの混合比は、熱伝導性の観点より、液晶相を発現する温度領域が広くなる混合比であることが好ましい。液晶相を発現する温度領域は広ければ広いほど高熱伝導率が得られ易い傾向がある。
液晶相を発現する温度領域を広くする混合比は、エポキシ樹脂モノマ混合物を構成するエポキシ樹脂モノマの種類に応じて適宜選択される。
例えば、エポキシ樹脂モノマ混合物を、特定エポキシ樹脂モノマAと、特定エポキシ樹脂モノマAとは異なる特定エポキシ樹脂モノマBとで構成する場合、特定エポキシ樹脂モノマBに対する特定エポキシ樹脂モノマAの混合比(A/B)が、エポキシ当量基準で0.05〜20であることが好ましく、0.1〜10であることがより好ましい。
前記熱硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂モノマ混合物の含有量は特に制限されないが、熱硬化性と熱伝導率の観点から、熱硬化性樹脂組成物中に3〜10質量%であることが好ましく、3〜8質量%であることがより好ましい。
[硬化剤]
前記熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を少なくとも1種類含む。硬化剤としてはエポキシ樹脂モノマを熱硬化可能であれば特に制限されない。硬化剤としては例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びメルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤や、イミダゾール等の触媒型硬化剤等を挙げることができる。
中でも、耐熱性の観点から、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましく、更に保存安定性の観点から、フェノール系硬化剤の少なくとも1種類を用いることがより好ましい。
アミン系硬化剤としては、通常用いられるものを特に制限なく用いることができ、市販されているものであってもよい。中でも硬化性の観点から、2以上の官能基を有する多官能硬化剤であることが好ましく、さらに熱伝導性の観点から、剛直な骨格を有する多官能硬化剤であることがより好ましい。
2官能のアミン系硬化剤として具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメトキシビフェニル、4,4’−ジアミノフェニルベンゾエート、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、及び1,8−ジアミノナフタレン等が挙げられる。
中でも熱伝導率の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび1,5−ジアミノナフタレンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、1,5−ジアミノナフタレンであることがより好ましい。
フェノール系硬化剤としては、通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば市販の低分子フェノールや、それらをノボラック化したフェノール樹脂を用いることができる。
低分子フェノール硬化剤としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等の単官能のものや、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能のもの、更に1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3官能のもの等が使用可能である。またこれら低分子フェノール硬化剤をメチレン鎖等で連結してノボラック化したフェノールノボラック樹脂を硬化剤として用いることもできる。
フェノール系硬化剤としては、熱伝導率の観点から、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等の2官能のフェノール系硬化剤であることが好ましく、さらに耐熱性の観点から、これら低分子の2官能のフェノール系硬化剤をメチレン鎖で連結したフェノールノボラック樹脂であることがより好ましい。
フェノールノボラック樹脂として具体的には、クレゾールノボラック樹脂、カテコールノボラック樹脂、レゾルシノールノボラック樹脂、ハイドロキノンノボラック樹脂等、1種のフェノール化合物をノボラック化した樹脂や、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂、レゾルシノールハイドロキノンノボラック樹脂等、2種類又はそれ以上のフェノール化合物をノボラック化した樹脂を挙げることができる。
また、フェノール系硬化剤を用いる場合、必要に応じて硬化促進剤を併用しても構わない。硬化促進剤を併用することで、さらに十分に硬化させることができる。
熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に制限されない。例えば、硬化剤がアミン系硬化剤の場合は、アミン系硬化剤の活性水素の当量(アミン当量)と、エポキシ樹脂モノマ混合物のエポキシ当量との比(アミン当量/エポキシ当量)が0.5〜2となることが好ましく、0.8〜1.2となることがより好ましい。
また硬化剤がフェノール系硬化剤の場合は、フェノール性水酸基の活性水素の当量(フェノール性水酸基当量)と、エポキシ樹脂モノマ混合物のエポキシ当量との比(フェノール性水酸基当量/エポキシ当量)が0.5〜2となることが好ましく、0.8〜1.2となることがより好ましい。
[無機充填材]
前記熱硬化性樹脂組成物は無機充填材の少なくとも1種を含む。これにより、高い熱伝導率を達成することができる。
無機充填材は非導電性であっても、導電性であってもよい。非導電性の無機充填材を使用することによって絶縁性低下のリスクを低下させることができる。また導電性の無機充填材を使用することによって熱伝導性がより向上する。
導電性の無機充填材として具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また導電性の無機充填材としては、金、銀、ニッケル、銅等が挙げられる。中でも熱伝導率の観点から、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素から選ばれるすくなくとも1種であることが好ましい。
これら無機充填材は、1種類又は2種類以上の混合系で用いることができる。
前記無機充填材は、2種類以上の互いに体積平均粒子径の異なるものを混合して用いることが好ましい。これにより大粒子径の無機充填材の空隙に小粒子径の無機充填材がパッキングされることによって、単一粒子径の無機充填材のみを使用するよりも密に充填されるため、より高熱伝導率を発揮することが可能となる。
具体的には、無機充填材として酸化アルミニウムを使用する場合、無機充填材中に、体積平均粒子径16〜20μmの酸化アルミニウムを60〜75質量%、体積平均粒子径2〜4μmの酸化アルミニウムを10〜20質量%、体積平均粒子径0.3〜0.5μmの酸化アルミニウムを10〜20質量%の範囲の割合で混合することによって、より最密充填化が可能となる。
無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて通常の条件で測定される。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有量は特に制限されない。中でも熱伝導性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の全体積を100体積%とした場合に、70体積%を超えることが好ましく、70体積%を超え90体積%以下であることがより好ましい。
無機充填剤の含有率が70体積%を超えるであることで、より高い熱伝導率を達成することができる。得ることが困難になる傾向があり、一方、90体積%以下であることで、樹脂組成物の柔軟性が低下することを抑制でき、絶縁性の低下を抑制できる。
前記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分に加えてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、溶剤、エラストマ、シランカップリング剤、分散剤、及び沈降防止剤等を挙げることができる。前記溶剤としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤を適宜選択して用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。シランカップリング剤を含むことで、熱伝導率や絶縁信頼性がより向上する。これは例えば、シランカップリング剤が無機充填材の表面とその周りを取り囲む樹脂の間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)を果たすためと考えることができる。
シランカップリング剤としては、市販のものを通常使用できるが、エポキシ樹脂モノマや硬化剤との相溶性および樹脂層と無機充填材との界面での熱伝導ロスを低減することを考慮すると、末端にエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、水酸基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。
具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、またSC−6000KS2に代表されるシランカップリング剤オリゴマ(日立化成コーテットサンド株式会社製)等も挙げられる。
これらシランカップリング剤は単独または2種類以上を併用することもできる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、前記熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂層の少なくとも1層を含み、必要に応じて離型フィルムをさらに含んで構成される。
樹脂シートは例えば、PETフィルム等の離型フィルム上に、前記熱硬化性樹脂組成物にメチルエチルケトンやシクロヘキサノン等の有機溶剤を添加して調製されるワニス状の熱硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂ワニス」ともいう)を、塗布後、乾燥することで製造することができる。
樹脂ワニスの塗布は公知の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに樹脂組成物層を形成するための塗布方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調節した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等を適用する。例えば、乾燥前の樹脂層の厚みが50μm〜500μmである場合は、コンマコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法は、樹脂ワニス状に含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から適宜選択することができる。
樹脂シートの密度は特に制限されないが、通常、3g/cm〜3.4g/cmとなる。樹脂シートの柔軟性と熱伝導率の両立を考慮すると、3g/cm〜3.3g/cmが好ましく、3.1g/cm〜3.3g/cmがより好ましい。
樹脂シートの密度は、例えば無機充填材配合量で調整することができる。
前記樹脂シートの厚みは、目的に応じて適宜選択することができる。例えば樹脂層の厚みとして50μm以上250μm以下とすることができ、熱伝導率、電気絶縁性およびシート可とう性の観点から、60μm以上200μm以下であることが好ましい。
[Bステージシート]
本発明のBステージシートは、前記熱硬化性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂組成物層を含み、シート状の形状を有する。
Bステージシートは、例えば、前記樹脂シートをBステージ状態まで加熱処理する工程を含む製造方法で製造できる。
前記樹脂シートを加熱処理して形成されることで、熱伝導率および電気絶縁性に優れ、Bステージシートとしての可とう性および可使時間に優れる。
本発明のBステージシートとは、その粘度が常温(25℃)においては10Pa・s〜10Pa・sであるのに対して、100℃で10Pa・s〜10Pa・sに粘度が低下するものである。また、後述する硬化後の硬化樹脂層は加温によっても溶融することは無い。尚、上記粘度は、動的粘弾性測定(周波数1ヘルツ、荷重40g、昇温速度3℃/分)によって測定されうる。
前記樹脂シートの樹脂層は硬化反応がほとんど進行していないため、可とう性を有するものの、シートとしての柔軟性に乏しく、支持体である前記PETフィルムを除去した状態ではシート自立性に乏しく、取り扱いが困難である。そこで後述する加熱処理により樹脂組成物をBステージ化する。
前記樹脂シートを加熱処理する条件は、熱硬化性樹脂組成物層をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、熱硬化性樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。加熱処理には、塗工の際に生じた樹脂層中の空隙(ボイド)をなくす目的から、熱真空プレス、および、熱ロールラミネート等から選択される加熱処理方法が好ましい。これにより平坦なBステージシートを効率よく製造することができる。
具体的には例えば、加熱温度80℃〜130℃で、1〜30秒間、減圧下(例えば、1MPa)で加熱プレス処理することで樹脂組成物をBステージ状態に半硬化することができる。
前記Bステージシートの厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm以上200μm以下とすることができ、熱伝導率、電気絶縁性およびシート可とう性の観点から、60μm以上150μm以下であることが好ましい。また、2層以上の樹脂シートを積層しながら熱プレスすることにより作製することもできる。
<樹脂付金属箔>
本発明の樹脂付金属箔は、金属箔と、前記金属箔上に配置された前記熱硬化性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂層とを備える。前記熱硬化性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂層を有することで、熱伝導率、電気絶縁性に優れる。
前記半硬化樹脂層は前記熱硬化性樹脂組成物をBステージ状態になるように加熱処理して得られるものである。
前記金属箔としては、金箔、銅箔、アルミニウム箔など特に制限されないが、一般的には銅箔が用いられる。
前記金属箔の厚みとしては、1μm〜35μmであれば特に制限されないが、20μm以下の金属箔を用いることで可とう性がより向上する。
また、金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、この両面に0.5μm〜15μmの銅層と10μm〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウムと銅箔とを複合した2層構造複合箔を用いることもできる。
樹脂付金属箔は、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物(好ましくは、樹脂ワニス)を金属箔上に塗布・乾燥することにより樹脂層(樹脂シート)を形成し、これを加熱処理してBステージ状態とすることで製造することができる。樹脂層の形成方法は既述の通りである。
樹脂付金属箔の製造条件は特に制限されないが、乾燥後の樹脂層において、樹脂ワニスに使用した有機溶剤が80質量%以上揮発していることが好ましい。乾燥温度は80℃〜180℃程度であり、乾燥時間は樹脂ワニスのゲル化時間との兼ね合いで適宜選択することができ、特に制限はない。樹脂ワニスの塗布量は、乾燥後の樹脂層の厚みが50μm〜200μmとなるように塗布することが好ましく、60μm〜150μmとなることがより好ましい。
前記乾燥後の樹脂層は、加熱処理されることでBステージ状態になる。前記樹脂組成物を加熱処理する条件はBステージシートにおける加熱処理条件と同様である。
[金属基板]
本発明の金属基板は、金属支持体と、前記金属支持体上に配置された前記熱硬化性樹脂組成物に由来する硬化樹脂組成物層と、前記硬化樹脂組成物層上に配置された金属箔と、を備える。金属支持体と金属箔との間に配置された前記熱硬化性樹脂組成物を含む樹脂層が、硬化状態になるように加熱処理して形成されたものであることで、接着性、熱伝導率、電気絶縁性に優れる。
前記金属支持体は目的に応じて、その素材及び厚み等が適宜選択される。具体的には例えば、アルミニウム、鉄等の金属を用い、厚みを0.5mm以上5mm以下とすることができる。
また樹脂層上に配置される金属箔は、前記樹脂付金属箔における金属箔と同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明の金属基板は、例えば以下のようにして製造することができる。アルミニウム等の金属支持体上に、前記熱硬化性樹脂組成物を上記と同様にして塗布・乾燥することで樹脂層を形成し、さらに樹脂層上に金属箔を配置して、これを加熱・加圧処理して、樹脂層を硬化することで製造することができる。また、金属支持体上に、前記樹脂付金属箔を樹脂層が金属支持体に対向するように張り合わせた後、これを加熱・加圧処理して、樹脂層を硬化することで製造することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
無機充填材として、酸化アルミニウム225.4質量部(樹脂組成物全体積の74vol%に相当)(住友化学株式会社製、α−アルミナ:体積平均粒子径18μmアルミナ(AA−18)148.76質量部、体積平均粒子径3μmアルミナ(AA−3)54.10質量部、及び体積平均粒子径0.4μmアルミナ(AA−04)22.54質量部の混合物)と、シランカップリング剤として、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン0.24質量部(信越化学株式会社製、KBM−573)と、硬化剤として、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂のシクロヘキサノン溶解品9.94質量部(日立化成工業株式会社製、固形分50質量%)と、溶剤として、メチルエチルケトン44.77質量部及びシクロヘキサノン9.95質量部と、アルミナボール300質量部(粒子径3mm)を混合し、均一に混合できたことを確認した。
続いて、エステル結合を含むメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマである4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−ビフェノールエステル(エポキシ当量:269g/eq.以下、「エポキシ樹脂モノマA」ともいう)と、エステル結合を含まないメソゲン基を有するエポキシ樹脂モノマである1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン(エポキシ当量:201g/eq.以下、「エポキシ樹脂モノマB」ともいう)とをエポキシ当量が1:1となるように混合して樹脂モノマ混合物1を得た。
得られたエポキシ樹脂モノマ混合物1の18.91質量部と、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン0.19質量部とを更に混合し、40〜60時間ボールミル粉砕を行い、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニス)を得た。
得られた樹脂ワニスを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業株式会社製、75E−0010CTR−4、以下PETフィルムと略す)の離型面上に、厚みが約300μmになるようにアプリケーターで塗布し、常温で10〜15分放置した後に、100℃のボックス型オーブンで30分乾燥させて樹脂シートを得た。
続いて、樹脂シートの空気に触れていた上面をPETフィルムで覆い、真空熱プレス(上部熱板:150℃、下部熱板:80℃、真空度:≦1kPa、圧力:1MPa、処理時間1分)により加熱処理を行い、200μmの厚みを有する半硬化樹脂組成物層からなるBステージシートを得た。
得られたBステージシートの両面からPETフィルムを剥がし、両面を105μm厚の銅箔(古河電工株式会社製、GTS箔)で挟み、真空熱プレス処理(上部下部熱板温度:150℃、真空度:≦1kPa、圧力:4MPa、処理時間7分)を行って、銅箔と半硬化樹脂組成物層とを含む樹脂付金属箔を得た。
得られた樹脂付金属箔を、ボックス型オーブンで140℃/2時間、165℃/2時間、190℃/2時間のステップキュアにより、両面に金属箔を有する硬化樹脂組成物を得た。
続いて、両面に金属箔を有する硬化樹脂組成物から、銅のみを過硫酸ナトリウム溶液を用いてエッチング除去し、硬化樹脂組成物1を得た。
[評価]
上記で得られた樹脂モノマ混合物1及び硬化樹脂組成物1について、以下のような評価を行なった。評価結果を表1に示す。
(液晶相)
上記で得られた樹脂モノマ混合物1を加熱しながら、加熱中の樹脂モノマ混合物1の状態変化を、偏光顕微鏡(オリンパス社製BS51)を用いてクロスニコル状態で観察(倍率:100倍)した。
その結果、偏光解消による干渉縞を示したままで流動性を帯びた状態となる結晶相から液晶相への転移が、120℃で観察された。またさらに加熱を続けたところ暗視野に変化する液晶相から等方相への転移が、170℃で観察された。
すなわち上記で得られた樹脂モノマ混合物1は120℃〜170℃で液晶相を示した。
(融点測定)
上記で得られた樹脂モノマ混合物1について、示差走査熱量測定装置DSC7(パーキンエルマ製)を用い、25℃〜350℃までの温度範囲、10℃/分の昇温速度の条件で示差走査熱量測定を行い(サンプルホルダーに用いたパンはアルミニウム製)、得られた結果より、相転移に伴うエネルギー変化(吸熱反応)が起こる温度を融点とした。樹脂モノマ混合物1の融点は170℃であった。
(相溶性)
上記で得られた樹脂モノマ混合物1について、等方相転移温度以上に加熱して溶融させた後に自然冷却しながら、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度である140℃における樹脂モノマ混合物の状態を顕微鏡(オリンポス社製BS51)で観察(倍率:100倍)したところ、樹脂モノマ混合物1の相分離は観察されなかった。
すなわち、上記で得られた樹脂モノマ混合物1は、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度である140℃において相溶性を有していた。
(熱伝導率)
上記で得られた硬化樹脂組成物1の熱拡散率を、熱拡散率測定装置(NETZCH社製LFA447)を用いて、レーザーフラッシュ法により測定した。得られた熱拡散率に、別途測定した硬化樹脂組成物の比重及び比熱の値を掛け算して、熱伝導率を求めた。
硬化樹脂組成物1の熱伝導率は10.5W/mKであった。
<比較例1>
実施例1において、エポキシ樹脂モノマBの代わりに、エポキシ樹脂モノマYL−6121H(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:172g/eq.)を用いたこと以外は上記と同様にして、樹脂モノマ混合物2及び硬化樹脂組成物C1を得た。
樹脂モノマ混合物2及び硬化樹脂組成物C1について上記と同様にして評価を行なった。
樹脂モノマ混合物2においては、エポキシ樹脂モノマAに由来する由来する液晶相が観察された。また熱硬化性樹脂組成物の硬化温度である140℃において相分離が観察された。すなわち、樹脂モノマ混合物2は、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度である140℃において相溶性を有していなかった。
その他の評価結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1において、樹脂モノマ混合物1の代わりに、4−(オキシラニルメトキシ)ベンゾイックアシッド−4,4’−ビフェノールエステル(エポキシ樹脂モノマA)のみを用いたこと以外は上記と同様にして、硬化樹脂組成物C2を得た。
エポキシ樹脂モノマA及び硬化樹脂組成物C2について上記と同様にして評価を行なった。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例1において、樹脂モノマ混合物1の代わりに、1−{(3−メチル−4−オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン(エポキシ樹脂モノマB)のみを用いたこと以外は上記と同様にして、硬化樹脂組成物C3を得た。
エポキシ樹脂モノマB及び硬化樹脂組成物C3について上記と同様にして評価を行なった。評価結果を表1に示す。
<比較例4>
実施例1において、樹脂モノマ混合物1の代わりに、エポキシ樹脂モノマYL−6121H(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:172g/eq.)のみを用いたこと以外は上記と同様にして、硬化樹脂組成物C4を得た。
エポキシ樹脂モノマB及び硬化樹脂組成物C4について上記と同様にして評価を行なった。評価結果を表1に示す。
なお、エポキシ樹脂モノマYL−6121Hは液晶相を示さなかったため、固体(結晶相)から液体(等方相)への相転移が起こる温度を融点とした。
以上の結果から、熱硬化性樹脂組成物の熱硬化温度で相溶する樹脂モノマ混合物は、エポキシ樹脂モノマAよりも低い融点を示すことが分かる。一方、熱硬化温度で相溶しない樹脂モノマ混合物は、エポキシ樹脂モノマAと同程度の融点を示した。
また、熱硬化温度で相溶する樹脂モノマ混合物を含む熱硬化性樹脂組成物に由来する硬化樹脂組成物においては、相乗的に熱伝導率が向上することが分かる。一方、熱硬化温度で相溶しない樹脂モノマ混合物を含む熱硬化性樹脂組成物に由来する硬化樹脂組成物では、熱伝導率が向上しないことが分かる。

Claims (10)

  1. 2種類以上のエポキシ樹脂モノマを含み、相溶可能な樹脂モノマ混合物と、
    硬化剤と、
    無機充填材と、
    を含む熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂モノマの少なくとも1種類は、分子構造中にエステル結合を含むメソゲン基を有している、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂モノマは、分子構造中にメソゲン基を有している、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記無機充填材の含有量が、全体積中において70体積%を超える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する、半硬化樹脂組成物層を有するBステージシート。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する、硬化樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む、樹脂層を有する樹脂シート。
  9. 金属箔と、
    前記金属箔上に配置された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する半硬化樹脂組成物層と、
    を備える樹脂付金属箔。
  10. 金属支持体と、
    前記金属支持体上に配置された請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物に由来する硬化樹脂組成物層と、
    前記硬化樹脂組成物層上に配置された金属箔と、
    を備える金属基板。
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