本明細書に引用されている全ての参考文献(特許、特許出願、論文、教科書など、及びこれらの中に引用されている参考文献を含む。)は、それらが既に有効でない範囲まで、参照により、その全体が、本明細書に組み込まれる。本明細書に使用されている節の見出しは、整理の目的のためにすぎず、記載されている主題を限定するものと解釈すべきではない。
定義
別段の定義がなければ、本発明に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の必要がなければ、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。
一般的に、本明細書に記載されている細胞及び組織培養、分子生物学並びにタンパク質及びオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド化学及びハイブリッド形成法に関連して使用される命名法及びこれらの技術は、周知のものであり、本分野において一般的に使用されている。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成及び組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)に対しては、標準的な技術が使用される。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、又は本分野で一般的に遂行されているように、又は本明細書に記載されているように、実施される。一般に、先述の技術及び手順は、本分野で周知の慣用的な方法に従い、並びに本明細書を通じて引用及び論述されている様々な一般的参考文献及びより具体的な参考文献中に記載されているように、実施される。例えば、「Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N. Y.(1989))」(参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学及び医薬品化学及び薬化学に関して使用される命名法、並びに本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学及び医薬品化学及び薬化学の実験室操作及び技術は、周知のものであり、本分野で一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、薬学的な調製、調合及び送達及び患者の治療に対しては、標準的な技術が使用される。
本願において、「又は」の使用は、別段の記載がなければ、「及び/又は」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語並びに「含む」及び「含まれた」などのその他の形式の使用は、限定的なものではない。また、「要素」又は「成分」などの用語は、別段の記載がなければ、一つのユニットを含む要素及び成分並びに1より多いサブユニットを含む要素及び成分を包含する。
本開示に従って使用される場合、以下の用語は、別段の記載がなければ、以下の意味を有するものと理解しなければならない。
本明細書において使用される「単離されたポリヌクレオチド」又は「単離された核酸」という用語は互換的に使用され、ゲノム、cDNA若しくは合成起源又はこれらの幾つかの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、その起源に基づいて、「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)「単離されたポリヌクレオチド」が本来その中に見出されるポリヌクレオチドの全部又は一部を伴っていないか、(2)本来連結されていないポリヌクレオチドに作用可能に連結されているか、又は(3)より大きな配列の一部として本来生じない。
「単離されたタンパク質」及び「単離されたポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、本明細書において、その起源又は由来源により、(1)本来見出されるタンパク質を伴わないか、(2)同じ起源由来の他のタンパク質が存在しないか(例えば、マウスタンパク質が存在しない。)、(3)異なる種由来の細胞によって発現されているか、又は(4)本来存在しない、cDNA、組み換えRNA若しくは合成起源又はこれらの幾つかの組み合わせのタンパク質を意味する。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、原型タンパク質、断片、ペプチド又はポリペプチド配列の類縁体を表すための包括的な用語として本明細書において使用される。従って、原型タンパク質、断片及び類縁体は、ポリペプチド属の種である。
ポリペプチド配列中の変異に関連する「X#Y」という用語は本分野で認知されており、ここにおいて、「#」はポリペプチドのアミノ酸数に関連する変異の位置を表し、「X」は野生型アミノ酸配列中の位置に見出されるアミノ酸を表し、「Y」はその位置における変異体アミノ酸を表す。例えば、EGFrポリペプチドに関する「L688P」という表記は、野生型EGFr配列のアミノ酸数688にロイシンが存在すること、及び変異体EGFr配列中でロイシンがプロリンで置換されていることを示している。
「変異体EGFrポリペプチド」及び「変異体EGFrタンパク質」という用語は互換的に使用され、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含むEGFrポリペプチドを表す。特定の典型的な変異体EGFrポリペプチドには、対立遺伝子バリアント、スプライスバリアント、誘導体バリアント、置換バリアント、欠失バリアント及び/又は挿入バリアント、融合ポリペプチド、相同分子種及び種間相同体が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、リーダー配列残基、標的誘導残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基及び/又は融合タンパク質残基などの(これらに限定されない。)C末端又はN末端に追加の残基を含む。
「変異体PI3Kポリペプチド」及び「変異体PI3Kタンパク質」という用語は互換的に使用され、E542K、E545A及びH1047Lから選択される少なくとも1つのPI3K変異を含むPI3Kポリペプチドを表す。特定の典型的な変異体PI3Kポリペプチドには、対立遺伝子バリアント、スプライスバリアント、誘導体バリアント、置換バリアント、欠失バリアント及び/又は挿入バリアント、融合ポリペプチド、相同分子種及び種間相同体が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、リーダー配列残基、標的誘導残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基及び/又は融合タンパク質残基など(これらに限定されない。)、C末端又はN末端に追加の残基を含む。
「変異体B−Rafポリペプチド」及び「変異体B−Rafタンパク質」という用語は互換的に使用され、V600E及びK601Eから選択される少なくとも1つのB−Raf変異を含むB−Rafポリペプチドを表す。特定の典型的な変異体B−Rafポリペプチドには、対立遺伝子バリアント、スプライスバリアント、誘導体バリアント、置換バリアント、欠失バリアント及び/又は挿入バリアント、融合ポリペプチド、相同分子種及び種間相同体が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、リーダー配列残基、標的誘導残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基及び/又は融合タンパク質残基など(これらに限定されない。)、C末端又はN末端に追加の残基を含む。
「変異体EGFr融合タンパク質」という用語は、変異体EGFrポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシル末端における1つ又はそれ以上のアミノ酸(異種ポリペプチドなど)の融合を表す。
「変異体PI3K融合タンパク質」という用語は、変異体PI3Kポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシル末端における1つ又はそれ以上のアミノ酸(異種ポリペプチドなど)の融合を表す。
「変異体B−Raf融合タンパク質」という用語は、変異体B−Rafポリペプチドのアミノ末端又はカルボキシル末端における1つ又はそれ以上のアミノ酸(異種ポリペプチドなど)の融合を表す。
ある対象に対して適用される、本明細書で使用する「天然に存在する」という用語は、目的物を自然に見出すことができるという事実を表す。例えば、自然の取得源から単離することができる生物(ウイルスを含む。)中に存在し、実験室またはその他においてヒトが意図的に修飾を加えていないポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
本明細書において使用される「作用可能に連結された」という用語は、成分を所期の様式で機能させることができる関係に成分があるような成分の位置を表す。コード配列に対して「作用可能に連結された」調節配列は、調節配列と適合的な条件下で、コード配列の発現が達成されるように連結されている。
本明細書において使用される「調節配列」という用語は、それらが連結されているコード配列の発現及びプロセッシングを実施するのに必要であるポリヌクレオチド配列を表す。このような調節配列の性質は、宿主生物に応じて異なる。原核生物では、このような調節配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含む。真核生物では、一般に、このような調節配列には、プロモーター及び転写終結配列が含まれる。「調節配列」という用語は、最小限、その存在が発現及びプロセッシングに不可欠である全ての成分を含むものとし、その存在が有利である追加の成分、例えば、リーダー配列及び融合対配列も含むことが可能である。
本明細書において使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、少なくとも10塩基長のヌクレオチド(リボヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチドの何れかまたはヌクレオチドの何れかのタイプの修飾された形態)のポリマー形態を意味する。本用語は、DNAの一本鎖及び二本鎖形態を含む。
本明細書において使用される「オリゴヌクレオチド」という用語には、天然に存在するオリゴヌクレオチド連結及び天然に存在しないオリゴヌクレオチド連結によって互いに連結された天然に存在するヌクレオチド及び修飾されたヌクレオチドが含まれる。オリゴヌクレオチドは、一般的に、200塩基以下の長さを含むポリヌクレオチドサブセットである。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、10から60塩基の長さであり、最も好ましくは、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ないし40塩基の長さである。オリゴヌクレオチドは、通常、一本鎖であるが(例えば、プローブの場合)、オリゴヌクレオチドは二本鎖であり得る(例えば、遺伝子変異体の構築において使用する場合)。本発明のオリゴヌクレオチドは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドの何れかであり得る。
「変異体EGFrポリヌクレオチド」、「変異体EGFrオリゴヌクレオチド」及び「変異体EGFr核酸」という用語は互換的に使用され、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含むEGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを表す。
「変異体PI3Kポリヌクレオチド」、「変異体PI3Kオリゴヌクレオチド」及び「変異体PI3K核酸」という用語は互換的に使用され、E542K、E545A及びH1047Lから選択される少なくとも1つのPI3K変異を含むPI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを表す。
「変異体B−Rafポリヌクレオチド」、「変異体B−Rafオリゴヌクレオチド」及び「変異体B−Raf核酸」という用語は互換的に使用され、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのB−Raf変異を含むB−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを表す。
本明細書において使用される「天然に存在するヌクレオチド」という用語には、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドが含まれる。本明細書において使用される「修飾されたヌクレオチド」という用語には、修飾又は置換された糖基などを有するヌクレオチドが含まれる。本明細書において使用される「オリゴヌクレオチド連結」という用語には、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート(phosphoroanilothioate)、ホスホルアニラダート(phoshoraniladate)、ホスホロアミダートなどのオリゴヌクレオチド連結が含まれる。例えば、「LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081(1986);Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077(1984);Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209(1988);Zon et al. Anti−Cancer Drug Design 6:539(1991);Zon et al. Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,pp.87−108(F. Eckstein,Ed.,Oxford University Press,Oxford England(1991));Stec et al. 米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543(1990)」を参照されたい(これらの開示内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。)。オリゴヌクレオチドは、所望であれば、検出用の標識を含むことができる。
本明細書において使用される「選択的にハイブリッド形成する」という用語は、検出可能に及び特異的に結合することを意味する。ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びこれらの断片は、非特異的な核酸への検出可能な結合の相当な量を最小限に抑えるハイブリッド形成及び洗浄条件下で、核酸鎖に選択的にハイブリッド形成する。本分野において公知の、及び本明細書に論述されている選択的ハイブリッド形成条件を達成するために、高ストリンジェンシー条件を使用することが可能である。一般的に、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及び断片と対象核酸配列間の核酸配列相同性は、少なくとも80%、より典型的には、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%の増加する相同性を有する。それらの配列間に部分的な同一性又は完全な同一性が存在すれば、2つのアミノ酸配列は相同である。例えば、85%の相同性は、2つの配列が最大の一致を有するように並置されたときに、アミノ酸の85%が同一であることを意味する。合致を最大化する際には、(合致されている2つの配列の何れか中の)ギャップが許容される。5又はそれ以下のギャップ長が好ましく、2又はそれ以下がさらに好ましい。あるいは及び好ましくは、変異データマトリックス及び6又はそれ以上のギャップペナルティーを用いるプログラムALIGNを用いて、2つのタンパク質配列(又は、それらから誘導される少なくとも30アミノ酸の長さのポリペプチド配列)が(標準偏差単位で)6以上のアラインメントスコアを有すれば、本用語が本明細書において使用される場合、それらは相同である。Dayhoff,M.O.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,pp.101−110(Volume 5,National Biomedical Research Foundation(1972))及びこの巻に対する補遺2、pp.1−10を参照されたい。ALIGNプログラムを用いて最適に並置された場合に、2つの配列又はその一部のアミノ酸が50%超又は50%に等しい同一性であれば、2つの配列又はその一部は、より好ましくは相同である。本明細書において「対応する」という用語は、参照ポリヌクレオチド配列の全部若しくは一部に対してポリヌクレオチド配列が相同である(すなわち、厳格に進化的に関連せずに同一である。)こと、又はポリペプチド配列は参照ポリヌクレオチド配列と同一であることを意味するために使用される。これに対して、本明細書において、「に相補的」という用語は、相補的な配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部又は一部に対して相同であることを意味するために使用される。例として、ヌクレオチド配列「TATAC」は参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」に対して相補的である。
以下の用語:「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセント」及び「実質的な同一性」が、2つ又はそれ以上のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の間の配列関連性を記載するために使用される。「参照配列」とは、配列比較のための基礎として使用される所定の配列である。参照配列は、例えば、配列表に掲載されている完全長cDNA若しくは遺伝子配列のセグメントとして、より大きな配列のサブセットであり得、又は完全なcDNA若しくは遺伝子配列を含み得る。一般的に、参照配列は、少なくとも18ヌクレオチド又は6アミノ酸長であり、頻繁に、少なくとも24ヌクレオチド又は8アミノ酸長であり、しばしば、少なくとも48ヌクレオチド又は16アミノ酸長である。2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列は、各々、(1)2つの分子間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の一部)を含んでもよく、及び(2)2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列間で相違する配列をさらに含んでもよく、配列類似性の局所領域を同定及び比較するために、2つ(又はそれ以上の)分子間の配列比較は、典型的には、「比較ウィンドウ」にわたって2つの分子の配列を比較することによって行われる。本明細書において使用される「比較ウィンドウ」は、少なくとも18の連続するヌクレオチド位置又は6つのアミノ酸の概念的セグメントを表し、ここにおいて、ポリヌクレオチド配列又はアミノ酸配列は、少なくとも18の連続するヌクレオチド又は6つのアミノ酸配列の参照配列と比較することができ、及び比較ウィンドウ中のポリオヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適なアラインメントのために、(付加又は欠失を含まない)参照配列と比べて、20パーセント又はそれ以下の付加、欠失、置換など(すなわちギャップ)を含み得る。比較ウィンドウを並置するための配列の最適なアラインメントは、Smith及びWaterman Adv. Appl. Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman及びWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson及びLipman Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444(1998)の類似法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0(Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)、GeneworksまたはMacVector software packagesにおける、GAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)によって又は目視によって実施することができ、様々な方法によって得られた最高のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウにわたって相同性の最高のパーセントをもたらす。)が選択される。
「配列同一性」という用語は、比較ウィンドウにわたって、2つのポリヌクレオチド又はアミノ酸配列が同一であること(すなわち、ヌクレオチド対ヌクレオチド又は残基対残基ベースで)を意味する。「配列同一性のパーセント」という用語は、比較ウィンドウにわたって最適に並置された2つの配列を比較し、合致した位置の数を得るために、両配列中で、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U又はI)又は残基が生じる位置の数を測定し、合致した位置の数を、比較ウィンドウ中の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)によって割り、及び配列同一性のパーセントを得るために、結果に100を乗じることにより計算される。本明細書において使用される「実質的な同一性」という用語は、少なくとも18ヌクレオチド(6アミノ酸)位置の比較ウィンドウにわたって、しばしば、少なくとも24−48ヌクレオチド(8−16アミノ酸)位置のウィンドウにわたって基準配列に対して比較した場合に、ポリヌクレオチド又はアミノ酸が、少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、より一般的には、少なくとも96、97、98又は99%の配列同一性を有する配列を含む、ポリヌクレオチド又はアミノ酸配列の特徴を表し、配列同一性のパーセントは、比較ウィンドウにわたって、参照配列の計20%又はそれ以下の欠失又は付加を含み得る配列と参照配列を比較することによって算出される。参照配列は、より大きな配列のサブセットであり得る。
本明細書において使用される、20の慣用アミノ酸及びそれらの略号は、慣用的な用法に従う。「Immunology−−A Synthesis(2nd Edition,E.S. Golub and D. R. Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))」(参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。本明細書において使用される「アミノ酸」又は「アミノ酸残基」という用語は、天然に存在するLアミノ酸又はDアミノ酸を表す。アミノ酸に対して一般的に使用される一文字及び三文字の略号が、本明細書において使用される(Bruce Alberts et al.,Molecular Biology of the Cell,Garland Publishing,Inc.,New York(4th ed. 2002))。20の慣用アミノ酸、α−、α−二置換されたアミノ酸などの非天然アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸及びその他の非慣用アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)も、本発明のポリペプチドに対する適切な成分であり得る。非慣用アミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書において使用されるポリペプチドの表記法では、標準的な用法と慣習に従って、左手方向がアミノ末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方向である。
同様に、別段の記載がなければ、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は5’末端である。二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5’方向と称される。新生RNA転写物の、5’から3’への付加の方向は、転写方向と称される。RNAと同じ配列を有し、RNA転写物の5’末端に対して5’である、DNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称される。RNAと同じ配列を有し、RNA転写物の3’末端に対して3’である、DNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
ポリペプチドに対して適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、初期設定ギャップウェイトを用いたプログラムGAP又はBESTFITによるなど、最適に並置された場合に、2つのペプチド配列が、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95、96、97又は98%配列同一性、及び最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換だけ異なる。本明細書において論述される場合、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列中の微小な変動が、本発明によって包含されるものとして想定されるが、但し、アミノ酸配列中の変動は、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、及び最も好ましくは99%を維持する。保存的なアミノ酸置換とは、それらの側鎖中において、関連するアミノ酸のファミリー内で生じる置換である。遺伝的にコードされるアミノ酸は、一般的に、(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非帯電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンというファミリーに分けられる。より好ましいファミリー:セリン及びスレオニンは、脂肪族−ヒドロキシファミリーであり;アスパラギン及びグルタミンはアミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは、脂肪族ファミリーであり;フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは芳香族ファミリーであり、並びにシステイン及びメチオニンは含硫側鎖ファミリーである。例えば、ロイシンのイソロイシン又はバリンとの単離された置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単離された置換、スレオニンのセリンとの単離された置換、又はあるアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との類似の置換は、特に置換がフレームワーク部位内のアミノ酸を含まなければ、生じた分子の結合又は特性に対して多大な影響を有しない。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、グルタミン酸−アスパラギン酸、システイン−メチオニン及びアスパラギン−グルタミンである。
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させる置換、(2)酸化に対する感受性を低下させる置換、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる置換、(4)結合親和性を変化させる置換及び(5)このような類縁体の他の物理化学的又は機能的特性を付与又は修飾する置換である。類縁体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々な変異タンパク質を含み得る。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(好ましくは、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列中に(好ましくは、分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチドの部分中に)作製し得る。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させるべきではない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じるヘリックスを破壊する傾向を示すべきではなく、又は親配列を特徴付ける二次構造の他の種類を崩壊させるべきでない。)。本分野で認められたポリペプチド二次構造及び三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W. H. Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C. Branden and J. Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));及びThornton et al.,Nature 354:105(1991)に記載されており、これらは各々、参照により本明細書中に組み込まれる。
本明細書において使用される「類縁体」という用語は、天然に存在するポリペプチドのアミノ酸配列の一部に対して実質的な同一性を有する少なくとも25アミノ酸のセグメントから構成され、及び天然に存在するポリペプチドの活性の少なくとも1つを有するポリペプチドを表す。典型的には、ポリペプチド類縁体は、天然に存在する配列に関して保存的なアミノ酸置換(又は付加又は欠失)を含む。類縁体は、典型的には、少なくとも20アミノ酸長、好ましくは少なくとも50アミノ酸長又はそれ以上であり、しばしば、完全長の天然に存在するポリペプチドと同じ長さとすることが可能である。
ペプチド類縁体は、一般に、テンプレートペプチドの特性と類似の特性を有する非ペプチド薬として、製薬産業で使用される。非ペプチド化合物のこの種類は、「ペプチド模倣体」と名づけられている。「Fauchere,J. Adv. Drug Res. 15:29(1986);Veber and Freidinger TINS p.392(1985);and Evans et al. J. Med. Chem. 30:1229(1987)」、これらは参照により、本明細書に組み込まれる。このような化合物は、しばしば、コンピュータ化された分子モデリングの助けを借りて開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣体は、等価な治療効果又は予防効果を生じさせるために使用し得る。一般的に、ペプチド模倣体は、ヒト抗体などの模範ポリペプチド(すなわち、生化学的特性又は薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似するが、本分野で周知の方法によって、−−CH2NH−−、−−CH2S−−、−−CH2−CH2−−、−−CH=CH−(シス及びトランス)、−−COCH2−−、−−CH(OH)CH2−−及び−−CH2SO−−からなる群から選択される結合によって必要に応じて置換された1つ又はそれ以上のペプチド結合を有する。コンセンサス配列の1つ又はそれ以上のアミノ酸を同種のDアミノ酸で体系的に置換すること(例えば、L−リジンに代えてD−リジン)は、より安定なペプチドを作製するために使用し得る。さらに、コンセンサス配列又は実質的に同一なコンセンサス配列変異を含む拘束されたペプチドは、本分野で公知の方法によって、例えば、ペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって、作製され得る(Rizo and Gierasch Ann. Rev. Biochem. 61:387(1992)、参照により、本明細書に組み込まれる。)。
断片又は類縁体の好ましいアミノ及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に生じる。構造的及び機能的ドメインは、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データを、公共の配列データベース又は独自の配列データベースと比較することによって同定することが可能である。好ましくは、コンピュータ化された比較法は、公知の構造及び/又は機能の他のタンパク質中に生じる配列モチーフ又は予測されるタンパク質立体構造ドメインを同定するために使用される。公知の三次元構造に折り畳まれるタンパク質配列を同定するための方法は公知である(Bowie et al Science 253:164(1991)を参照。)。当業者であれば、本発明に従って構造的及び機能的ドメインを定義するために使用され得る配列モチーフ及び構造的立体構造を認めることができる。
「特異的結合因子」という用語は、標的に特異的に結合する天然分子又は非天然分子を表す。特異的結合因子の例には、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質及び小分子化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態において、特異的結合因子は抗体である。特定の実施形態において、特異的結合因子は抗原結合領域である。
「変異体EGFrポリペプチドに対する特異的結合因子」という用語は、変異体EGFrポリペプチドの任意の部分を特異的に結合する特異的結合因子を表す。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに対する特異的結合因子は、変異体EGFrポリペプチドに対する抗体である。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに対する特異的結合因子は抗原結合領域である。
「変異体PI3Kポリペプチドに対する特異的結合因子」という用語は、変異体PI3Kポリペプチドの任意の部分を特異的に結合する特異的結合因子を表す。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに対する特異的結合因子は、変異体PI3Kポリペプチドに対する抗体である。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに対する特異的結合因子は抗原結合領域である。
「変異体−Rafポリペプチドに対する特異的結合因子」という用語は、変異体B−Rafポリペプチドの任意の部分を特異的に結合する特異的結合因子を表す。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに対する特異的結合因子は、変異体B−Rafポリペプチドに対する抗体である。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに対する特異的結合因子は抗原結合領域である。
「特異的に結合する」という用語は、特異的結合因子が、非標的への結合に比べて大きな親和性で、標的に結合する能力を表す。特定の実施形態において、特異的結合とは、非標的に対する親和性より少なくとも10、50、100、250、500又は1000倍大きな親和性での、標的への結合を表す。ある実施形態において、親和性は、アフィニティELISAアッセイによって測定される。ある実施形態において、親和性は、BIAcoreアッセイによって測定される。特定の実施形態において、親和性は、速度論的な方法によって測定される。特定の実施形態において、親和性は、平衡/溶液法によって測定される。特定の実施形態において、抗体とその認識されるエピトープの1つ又はそれ以上との間の解離定数が1μM以下、好ましくは100nM以下及び最も好ましくは10nM以下である場合に、抗体は、抗原を特異的に結合すると言われる。
「原型の抗体及び免疫グロブリン」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されているが、異なる免疫グロブリンイソタイプの重鎖間で、ジスルフィド結合の数は異なる。各重及び軽鎖は、等間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一つの末端に、可変ドメイン(VH)を有し、その後に、多数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、1つの末端に可変ドメイン(VL)を有し、及びその他方の末端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインとともに並置され、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並置される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間にインターフェースを形成すると考えられている(Chothia et al. J. Mol. Biol. 186:651(1985;Novotny and Haber,Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 82:4592(1985);Chothia et al.,Nature 342:877−883(1989))。
「抗体」という用語は、原型状態の抗体及び特異的結合について、原型状態の抗体と競合するその抗原結合断片の両方を表す。「その抗原結合断片」とは、断片が抗原結合機能を保持している、原型状態の抗体分子の一部又は断片を表す。結合断片は、組換えDNA技術によって、又はパパインを用いた切断によるなど、原型状態の抗体の構想的若しくは化学的切断によって産生される。結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖抗体(「scFv」)、Fd’及びFd断片が含まれる。モノクローナル抗体から様々な断片を産生する方法は、当業者に周知である(例えば、Pluckthun,1992,Immunol. Rev. 130:151−188を参照されたい。)。「二重特異的」又は「二機能性」抗体以外の抗体は、その結合部位の各々が同一であると理解される。抗体の過剰が、カウンター受容体に結合された受容体の量を、(インビトロ競合結合アッセイで測定された場合に)少なくとも約20%、40%、60%又は80%低下させ、より一般的には、約85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%超低下させる場合に、抗体は、カウンター受容体への受容体の接着を実質的に阻害する。
「単離された」抗体とは、その天然環境の成分から同定され、及び分離され、及び/又は回収されている抗体である。その天然環境の夾雑成分は、抗体に対する診断又は治療用途を妨害する物質であり、酵素、ホルモン及びその他のタンパク質又は非タンパク質性溶質が含まれ得る。好ましい実施形態において、抗体は、(1)Lowry法及びスピニングカップシークエネータの使用による末端又は内部アミン配列決定によって測定された場合に、抗体の重量を95%超まで、又は(2)クマシーブルー、若しくは好ましくは、銀染色を用いた、還元若しくは非還元条件下でのSDS−PAGEによる均一状態まで精製される。抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された抗体には、組換え細胞内のインシチュでの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部分の配列が抗体間で大幅に異なり、並びに各特定の抗体の、その特定の抗原に対する結合及び特異性において使用されるという事実を表す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。可変性は、何れも軽鎖及び重鎖可変ドメイン中に存在する相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3つのセグメント中に集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と称される。原型の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、4つのFR領域(大部分はβシート立体構造を採り、3つのCDRによって接続されており、3つのCDRは、βシート構造を接続するループを形成し、幾つかの事例では、βシート構造の一部を形成する。)を含む。各鎖中のCDRは、FR領域によって、互いに近接した状態に保たれ、他の鎖由来のCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.(1991)参照)。定常ドメインは、抗体を抗原に結合する上で直接に関与していないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含有する最低の抗体断片である。二本鎖Fv種では、この領域は、緊密に非共有会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv種では、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインは、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種の構造と同様の「二量体」構造に会合できるように、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合され得る。各可変ドメインの3つのCDRが、VH−VL二量体の表面上の抗原結合部位を規定するために相互作用するのは、この立体配置中である。一括して、6つのCDRが抗体に対して抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、完全な結合部位より低い親和性であるが、抗原を認識及び結合する能力を有する。
「超可変領域」という用語は、本明細書において使用される場合、抗原結合に必要とされる抗体のアミノ酸残基を表す。超過片領域は、一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24−34(L1)、50−62(L2)及び89−97(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の31−55(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))及び/又は「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol 196:901−917(1987))を含む。「フレームワーク領域」又は「FR」残基は、本明細書において定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書において使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、特異的なリガンドと接触し、その特異性を決定する免疫学的受容体の一部を表す。免疫学的受容体のCDRは、受容体タンパク質の最も可変的な部分であり、受容体に多様性を付与し、受容体の可変ドメインの遠位末端に位置する6つのループ上に担持され、3つのループは、受容体の2つの可変ドメインの各々に由来する。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)が標的細胞上の結合された抗体を認識し、続いて、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞によって媒介される反応を表す。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対して、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFc発現は、「Ravetch and Kinet,Annu. Rev. Immunol 9:457−92(1991)」の464ページの表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は第5,821,337号に記載されているものなどのインビトロADCCアッセイを行い得る。このようなアッセイに対する有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。これに代えて又はこれに加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、「Clynes et al PNAS(USA) 95:652−656(1988)」に開示されているものなどの動物モデル中にて、インビボで評価し得る。
「エピトープ」という用語には、免疫グロブリン及び/又はT細胞受容体に特異的な結合をすることができる、あらゆるポリペプチド決定基が含まれる。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特異的な三次元構造的特徴及び特異的な電荷特徴を有する。
本明細書において、「因子」という用語は、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的高分子又は生物物質から作製された抽出物を表記するために使用される。
本明細書において使用される、「標識」又は「標識された」という用語は、例えば、放射性標識されたアミノ酸を取り込ませることによって、又は印を付けたアビジン(例えば、光学的方法又は比色分析法によって検出することができる、蛍光マーカー又は酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出することができるビオチン部分をポリペプチドに付着させることによって、検出可能なマーカーを取り込むことを表す。ある状況において、前記標識又はマーカーは、治療用とすることもできる。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する様々な方法が本分野において公知であり、使用することができる。ポリペプチド用の標識の例には、以下の放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド、リン光体)、酵素的標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、及び二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、発生し得る立体的障害を減らすために、標識には、様々な長さのスペーサーアームが付着される。
本明細書において使用される「医薬因子又は医薬」という用語は、患者に適切に投与されたときに、所望の治療効果を誘導することができる化学的化合物又は組成物を表す。本明細書中の他の化学用語は、「McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker,S.,Ed.,McGraw−Hill,San Francisco(1985))、参照により、本明細書に組み込まれる。)」に例示されているように、本分野における慣用の用法に従って使用される。
本明細書において、「抗悪性腫瘍薬」という用語は、ヒトの新生物、特に、癌腫、肉腫、リンパ腫又は白血病などの悪性(癌性)病変の発症又は進行を阻害するという機能的特性を有する因子を表すために使用される。転移の阻害は、しばしば、抗悪性腫瘍薬の特性である。
本明細書において使用される「実質的に純粋な」とは、対象種が、存在する主要な種であることを意味し(すなわち、モルベースでは、対象種が、組成物中の他の何れの個々の種よりも豊富である。)、好ましくは、実質的に精製された画分は、対象種が存在する全ての高分子種の少なくとも約50%(モルベースで)を占める組成物である。一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80%超、より好ましくは、約85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超又は99%超を含む。最も好ましくは、対象種は、組成物が実質的に単一の高分子種からなる、実質的な均一状態(慣用的な検出法によって、莢雑種が組成物中に検出できない。)に精製される。
患者という用語には、ヒト及び動物対象が含まれる。
治療における「哺乳動物」及び「動物」という用語は、ヒト、家畜及び農場動物、並びに動物園、スポーツ又はペット動物(イヌ、ウマ、ネコ、ウシなど)などの哺乳動物として分類される全ての動物を表す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「疾病状態」という用語は、細胞若しくは身体機能、系または臓器の中断、停止又は異常が起こった細胞又は哺乳動物個体の生理的状態を表す。
「治療する」又は「治療」という用語は、治療的処置及び予防的又は防止的措置の両方を表し、ここにおいて、目的は、癌の発達又は広がりなど、望ましくない生理的変化又は疾患を予防し、又は遅くする(弱める)ことである。本発明において、有益な又は所望の臨床的結果には、検出可能であると、又は検出不能であるとを問わない、症候の緩和、疾病の程度の減弱、疾病の安定化された(すなわち悪化しない)状態、疾病の進行の遅延又は減速、疾病状態の軽減又は緩和及び寛解(部分的又は完全であるかどうかを問わない。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。「治療」は、治療を受けていない場合に予測される生存に比べて、延長された生存も意味することが可能である。治療を必要とする者には、症状若しくは疾患を既に有する者及び症状若しくは疾患を有する傾向がある者又は症状若しくは疾患が予防されるべき者が含まれる。
「疾患」とは、1つ又はそれ以上の治療が有益である何らかの症状である。これには、哺乳動物が問題の疾患に罹患し易い病理的症状を含む慢性及び急性の疾患又は疾病が含まれる。本明細書において治療されるべき疾患の非限定的な例には、良性及び悪性腫瘍、白血病及びリンパ系悪性腫瘍、特に、乳癌、直腸癌、卵巣癌、胃癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎臓癌、大腸癌、甲状腺癌、膵臓癌、前立腺癌又は膀胱癌が含まれる。本発明に従って治療されるべき好ましい疾患は、子宮頸癌及び頸部上皮内扁平上皮及び腺新生物、腎細胞癌(RCC)、食道腫瘍及び癌腫由来の細胞株などの悪性腫瘍である。
「変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状」には、以下のうちの1つ又はそれ以上、すなわち、変異体EGFrポリペプチドによって引き起こされる疾病又は症状、変異体EGFrポリペプチドが寄与する疾病又は症状、変異体EGFrポリペプチドを引き起こす疾病又は症状及び変異体EGFrポリペプチドの存在と関連する疾病又は症状が含まれる。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異体EGFrポリペプチドの不存在下で存在し得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異体EGFrポリペプチドの存在によって悪化され得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状は癌である。典型的な癌には、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、脳腫瘍、膀胱癌、頭部及び頸部癌、卵巣癌並びに前立腺癌が含まれるが、これらに限定されない。
「変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状」には、以下のうちの1つ又はそれ以上、すなわち、変異体PI3Kポリペプチドによって引き起こされる疾病又は症状、変異体PI3Kポリペプチドが寄与する疾病又は症状、変異体PI3Kポリペプチドを引き起こす疾病又は症状及び変異体PI3Kポリペプチドの存在と関連する疾病又は症状が含まれる。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異の不存在下で存在し得る。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異体PI3Kポリペプチドの存在によって悪化され得る。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状は癌である。典型的な癌には、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、脳腫瘍、膀胱癌、頭部及び頸部癌、卵巣癌並びに前立腺癌が含まれるが、これらに限定されない。
「変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状」には、以下のうちの1つ又はそれ以上、すなわち、変異体B−Rafポリペプチドによって引き起こされる疾病又は症状、変異体B−Rafポリペプチドが寄与する疾病又は症状、変異体B−Rafポリペプチドを引き起こす疾病又は症状及び変異体B−Rafポリペプチドの存在と関連する疾病又は症状が含まれる。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異の不存在下で存在し得る。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状は、変異体B−Rafポリペプチドの存在によって悪化され得る。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状は癌である。典型的な癌には、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、胃癌、脳腫瘍、膀胱癌、頭部及び頸部癌、卵巣癌並びに前立腺癌が含まれるが、これらに限定されない。
「併用療法」において、患者は、化学療法剤又は抗悪性腫瘍剤及び/又は放射線療法と組み合わせて、標的抗原に対する特異的結合因子を用いて治療される。癌は、標準的な一次及び二次療法のために、変異体EGFrポリペプチドへの特異的結合因子の付加、変異体PI3Kポリペプチドへの特異的結合因子の付加及び/又は変異体B−Rafポリペプチドへの特異的結合因子の付加によるプロトコール下で治療される。プロトコールの設計は、腫瘍塊の減少によって評価される有効性及び標準的な化学療法の通常の用量を減少させる能力に注目する。これらの投薬量の減少は、化学療法剤の用量関連毒性を減少させることによって、追加の治療及び/又は延長された治療を可能とする。
「単独療法」は、化学療法又は抗悪性腫瘍剤を伴わずに、免疫療法を患者に施すことによる疾患の治療を表す。
(特定の実施形態)
ポリペプチド、断片及び融合タンパク質
特定の実施形態において、欠失バリアントは完全長の変異体EGFrポリペプチドの断片である。特定の実施形態において、このような断片は、変異体EGFrポリペプチドのエピトープに対応する。特定の実施形態において、このような断片は、(例えば、インビボプロテアーゼ活性によって)天然に存在する。特定の実施形態において、このような断片は化学的に合成される。特定の実施形態において、このような断片は、変異体EGFr融合タンパク質を形成するために、ポリペプチドに連結され得る。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長である。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50又は少なくとも70アミノ酸長である。
特定の実施形態において、欠失バリアントは、完全長の変異体PI3Kポリペプチドの断片が提供される。特定の実施形態において、このような断片は、変異体PI3Kポリペプチドのエピトープに対応する。特定の実施形態において、このような断片は、(例えば、インビボプロテアーゼ活性によって)天然に存在する。特定の実施形態において、このような断片は化学的に合成される。特定の実施形態において、このような断片は、変異体PI3K融合タンパク質を形成するために、ポリペプチドに連結され得る。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長である。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50又は少なくとも70アミノ酸長である。
特定の実施形態において、欠失バリアントは、完全長の変異体B−Rafポリペプチドの断片が提供される。特定の実施形態において、このような断片は、変異体B−Rafポリペプチドのエピトープに対応する。特定の実施形態において、このような断片は、(例えば、インビボプロテアーゼ活性によって)天然に存在する。特定の実施形態において、このような断片は化学的に合成される。特定の実施形態において、このような断片は、変異体B−Raf融合タンパク質を形成するために、ポリペプチドに連結され得る。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長である。特定の実施形態において、このような断片は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50又は少なくとも70アミノ酸長である。
特定の実施形態において、変異体ポリペプチドは、少なくとも1つの非タンパク質に連結され得る。このような基には、N結合型又はO結合型炭水化物鎖、ポリエチレングリコール(PEG)などの水溶性ポリマー及びこれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない(例えば、米国特許第4,179,337号参照)。本用語の意味の範疇に属する他の化学的修飾には、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール及び関連する分子が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、分子内のランダムな位置において、又は分子内の所定の位置において修飾されることができ、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の付着された化学的部分を含み得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、アミノ末端又はポリペプチド内の選択されたリジン若しくはアルギニン残基など、ポリペプチド中の所定の位置においても修飾され得る。他の化学的修飾には、変異体EGFrポリペプチドの検出及び単離を可能とするために、酵素標識、蛍光標識、同位体標識又はアフィニティー標識などの検出可能な標識が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、分子内のランダムな位置において、又は分子内の所定の位置において修飾されることができ、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の付着された化学的部分を含み得る。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、アミノ末端又はポリペプチド内の選択されたリジン若しくはアルギニン残基など、ポリペプチド中の所定の位置においても修飾され得る。他の化学的修飾には、変異体PI3Kポリペプチドの検出及び単離を可能とするために、酵素標識、蛍光標識、同位体標識又はアフィニティー標識などの検出可能な標識が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、分子内のランダムな位置において、又は分子内の所定の位置において修飾されることができ、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の付着された化学的部分を含み得る。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、アミノ末端又はポリペプチド内の選択されたリジン若しくはアルギニン残基など、ポリペプチド中の所定の位置においても修飾され得る。他の化学的修飾には、変異体B−Rafポリペプチドの検出及び単離を可能とするために、酵素標識、蛍光標識、同位体標識又はアフィニティー標識などの検出可能な標識が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、変異体EGFr融合タンパク質が提供される。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、ホモ二量体を形成するために相同なポリペプチドに融合することができ、又はヘテロ二量体を形成するために異種のポリペプチドに融合することができる。典型的な異種のポリペプチド及びペプチドには、融合タンパク質の検出及び/又は単離を可能とするためのエピトープ、膜貫通受容体タンパク質又はその一部(細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン又は細胞内ドメインなど)、膜貫通受容体タンパク質に結合するリガンド又はその一部;触媒的に活性である酵素又はその一部;オリゴマー化を促進するポリペプチド(ロイシンジッパードメインを含むが、これに限定されない。)、融合タンパク質の安定性を増加させるポリペプチド(免疫グロブリン定常領域を含むが、これに限定されない。)、並びに変異体EGFrポリペプチドと異なる治療的活性を有するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド又は変異体EGFr融合タンパク質は、N末端メチオニンへ連結することができ、これは、E.コリなどの原核細胞中での発現を可能とするために有用であり得る。
特定の実施形態において、変異体PI3K融合タンパク質が提供される。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、ホモ二量体を形成するために相同なポリペプチドに融合することができ、又はヘテロ二量体を形成するために異種のポリペプチドに融合することができる。典型的な異種のポリペプチド及びペプチドには、融合タンパク質の検出及び/又は単離を可能とするためのエピトープ、膜貫通受容体タンパク質又はその一部(細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン又は細胞内ドメインなど)、膜貫通受容体タンパク質に結合するリガンド又はその一部;触媒的に活性である酵素又はその一部;オリゴマー化を促進するポリペプチド(ロイシンジッパードメインを含むが、これに限定されない。)、融合タンパク質の安定性を増加させるポリペプチド(免疫グロブリン定常領域を含むが、これに限定されない。)、並びに変異体PI3Kポリペプチドと異なる治療的活性を有するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチド又は変異体PI3K融合タンパク質は、N末端メチオニンへ連結することができ、これは、E.コリなどの原核細胞中での発現を可能とするために有用であり得る。
特定の実施形態において、変異体B−Raf融合タンパク質が提供される。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、ホモ二量体を形成するために相同なポリペプチドに融合することができ、又はヘテロ二量体を形成するために異種のポリペプチドに融合することができる。典型的な異種のポリペプチド及びペプチドには、変異体B−Raf融合タンパク質の検出及び/又は単離を可能とするためのエピトープ、膜貫通受容体タンパク質又はその一部(細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン又は細胞内ドメインなど)、膜貫通受容体タンパク質に結合するリガンド又はその一部;触媒的に活性である酵素又はその一部;オリゴマー化を促進するポリペプチド(ロイシンジッパードメインを含むが、これに限定されない。)、融合タンパク質の安定性を増加させるポリペプチド(免疫グロブリン定常領域を含むが、これに限定されない。)、並びに変異体B−Rafポリペプチドと異なる治療的活性を有するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチド又は変異体B−Raf融合タンパク質は、N末端メチオニンへ連結することができ、これは、E.コリなどの原核細胞中での発現を可能とするために有用であり得る。
特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体EGFrポリペプチドのアミノ末端に融合される。特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体EGFrポリペプチドのカルボキシ末端に融合される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の異種又は相同ポリペプチド又はペプチドが、変異体EGFrポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端の両方に融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、変異体EGFrポリペプチドに直接融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、本分野において公知であるように、リンカー又はアダプター分子を介して、変異体EGFrポリペプチドに融合される。特定のこのような実施形態において、リンカー又はアダプター分子は、プロテアーゼが融合されるポリペプチドの分離を可能とするために、切断部位を含有するように設計される。
特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体PI3Kポリペプチドのアミノ末端に融合される。特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体PI3Kポリペプチドのカルボキシ末端に融合される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の異種又は相同ポリペプチド又はペプチドが、変異体PI3Kポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端の両方に融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、変異体PI3Kポリペプチドに直接融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、本分野において公知であるように、リンカー又はアダプター分子を介して、変異体PI3Kポリペプチドに融合される。特定のこのような実施形態において、リンカー又はアダプター分子は、プロテアーゼが融合されるポリペプチドの分離を可能とするために、切断部位を含有するように設計される。
特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体B−Rafポリペプチドのアミノ末端に融合される。特定の実施形態において、異種又は相同ポリペプチドは、変異体B−Rafポリペプチドのカルボキシ末端に融合される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の異種又は相同ポリペプチドが、変異体B−Rafポリペプチドのアミノ末端及びカルボキシ末端の両方に融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、変異体B−Rafポリペプチドに直接融合される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、本分野において公知であるように、リンカー又はアダプター分子を介して、変異体B−Rafポリペプチドに融合される。特定のこのような実施形態において、リンカー又はアダプター分子は、プロテアーゼが融合されるポリペプチドの分離を可能とするために、切断部位を含有するように設計される。
ベクター、宿主細胞、トランスジェニック動物並びにタンパク質産生及び精製
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。特定のこのような実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12及び配列番号13から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドは、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含む。特定の実施形態において、ベクターは発現ベクターである。
特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。特定のこのような実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドは、E542K、E545A及びH1047Lから選択される少なくとも1つのPI3K変異を含む。特定の実施形態において、ベクターは発現ベクターである。
特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。特定のこのような実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、配列番号19及び配列番号20から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドは、V600E及びK601Eから選択される少なくとも1つのB−Raf変異を含む。特定の実施形態において、ベクターは発現ベクターである。
特定の実施形態において、発現ベクターは、宿主生物によって認識され、及び変異体EGFrをコードする核酸分子に作用可能に連結されたプロモーターを含有し得る。特定の実施形態において、発現のために使用される宿主細胞及び所望されるタンパク質の収率に応じて、原型のプロモーター又は異種のプロモーターを使用し得る。
原核細胞宿主とともに使用するための典型的なプロモーターには、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系並びにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、他の公知の細菌プロモーターを使用し得る。公知の細菌プロモーターの配列は公表されており、これにより、当業者は、何れかの所望される制限部位を供給するために必要とされるリンカー又はアダプターを用いて、所望の核酸配列にそれらを連結することが可能となる。
酵母宿主とともに使用するための適切なプロモーターも、本分野において周知である。特定の実施形態において、酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとともに有利に使用される。哺乳動物の宿主細胞とともに使用するための適切なプロモーターは、周知である。哺乳動物の宿主細胞とともに使用するための典型的なプロモーターには、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及び最も好ましくはサルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものが含まれるが、これらに限定されない。典型的な哺乳動物プロモーターには、異種の哺乳動物プロモーターが含まれるが、これに限定されない。典型的な異種の哺乳動物プロモーターには、熱ショックプロモーター及びアクチンプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
変異体EGFrポリヌクレオチドを発現するために使用され得る典型的なプロモーターには、SV40早期プロモーター領域(Benoist and Chambon(1981),Nature,290:304−310);CMVプロモーター;ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列中に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.(1980),Cell,22:787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.(1981),Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,78:1444−5);メタロチオニン遺伝子の調節配列(Brinster et al.(1982),Nature,296:39−42);β−ラクタマーゼプロモーターなどの原核発現ベクター(Villa−Kamaroff et al.(1978),Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,75:3727−31);及びtacプロモーター(DeBoer,et al.(1983),Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,80:21−25)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態において、真核宿主細胞中での転写を増加させるために、ベクター中にエンハンサー配列を含め得る。哺乳動物遺伝子から得られる典型的なエンハンサー配列には、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトタンパク質及びインシュリンが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ウイルスから得られるエンハンサーが使用される。真核生物プロモーターの活性化のための典型的なエンハンサー配列には、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、エンハンサーは、ポリペプチドコード領域に対して5’及び3’の位置において、ベクター中にスプライスされ得る。特定の実施形態において、エンハンサーは、プロモーターから5’部位に位置する。特定の実施形態において、エンハンサーは、ポリペプチドコード領域の末端から3’部位に位置する。
特定の実施形態において、ベクターは、細菌、昆虫及び哺乳動物の宿主細胞の少なくとも1つと適合性があるベクターである。典型的なベクターには、pCRII、pCR3及びpcDNA3.1(Invitrogen Company,San Diego,CA)、pBSII(Stratagene Company,La JoIIa,CA)、pET15(Novagen,Madison,Wl)、pGEX(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)、pEGFP−N2(Clontech,Palo Alto,CA)、pETL(BlueBacII;Invitrogen)、pDSR−α(PCT公開WO90/14363)並びにpFastBacDual(Gibco/BRL,Grand Island,NY)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
典型的なベクターには、選択された宿主細胞と適合性を有するコスミド、プラスミド及び修飾されたウイルスが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ベクターは、Bluescript(R)プラスミド誘導体(高コピー数CoIEIベースのファジミド、Stratagene Cloning Systems Inc.,La JoIIa CA)、Taq増幅されたPCR産物をクローニングするために設計されたPCRクローニングプラスミド(例えば、TOPOTMTA Cloning(R)Kit、PCR2.1(R)プラスミド誘導体、Invitrogen、Carlsbad、CA)及びバキュロウイルス発現系(pBacPAKプラスミド誘導体、Clontech、Palo Alto、A)などの哺乳動物、酵母又はウイルスベクターなどの(これらに限定されない。)プラスミドを含み得る。特定の実施形態において、組換え分子は、形質転換、形質移入、注入、電気穿孔又はその他の公知の技術を介して、宿主細胞中に導入され得る。
「形質移入」という用語は、何らかのコード配列が実際に発現されているか否かに関わらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを表す。CaPO4沈殿及び電気穿孔を含む(これらに限定されない。)形質移入の多数の方法が当業者に公知である。特定の実施形態において、形質移入されたベクターの操作の何れかの指標が宿主細胞内に生じたときに、形質移入が成功したと認められる。
特定の実施形態において、宿主細胞は、原核生物宿主細胞(E.コリなど)又は真核生物宿主細胞(酵母細胞、昆虫細胞又は脊椎動物細胞など)であり得る。特定の実施形態において、E.コリなどの原核生物宿主細胞は、グリコシル化されていないタンパク質、例えば、グリコシル化された真核生物分子に比べて利点を有し得るグリコシル化されていないshBCMA及びグリコシル化されていないshTACIを産生する。特定の実施形態において、宿主細胞は、適切な条件下で培養された場合に、その後培地から収集することが可能であるか(宿主細胞が媒地中に本発明のポリペプチドを分泌する場合)、又は本発明のポリペプチドを産生する宿主細胞から直接収集することが可能な(分泌されない場合)本発明のポリペプチドを発現する。特定の実施形態において、適切な宿主細胞の選択は、所望される発現レベル、活性に対して所望されるか又は必要とされるポリペプチド修飾(グリコシル化又はリン酸化など)及び/又は生物学的に活性な分子への折り畳みの容易さなどの様々な要素を考慮に入れる。
多数の適切な宿主細胞が本分野において公知であり、多くは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)、Manassas、VAから入手可能である。典型的な宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(ATCC番号CCL61)、CHODHFR−細胞(Urlaub et al.(1980),Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97,4216−20)、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293又は293T細胞(ATCC番号CRL1573)及び3T3細胞(ATCC番号CCL92)などの哺乳動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。適切な哺乳動物宿主細胞の選択並びに形質転換、培養、増幅、スクリーニング及び産物の産生及び精製の方法は、本分野において公知である。典型的な宿主細胞には、サルCOS−1(ATCC番号CRL1650)及びCOS−7細胞株(ATCC番号CRL1651)及びCV−1細胞株(ATCC番号CCL70)が含まれるが、これらに限定されない。典型的な哺乳動物宿主細胞には、霊長類細胞株及びげっ歯類細胞株(形質転換された細胞株を含む。)が含まれるが、これらに限定されない。典型的な宿主細胞には、正常な二倍体細胞、一次組織のインビトロ培養から得られる細胞株、幹細胞株及び一次外植が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、候補細胞は、選択遺伝子が欠失した遺伝子型であり得、又は優性的に作用する選択遺伝子を含有し得る。典型的な宿主細胞には、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Manassas、VAから入手できる、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、マウスL−929細胞、Swiss、Balb−c又はNIHマウスから得られる3T3株、BHK又はHaKハムスター細胞が含まれるが、これらに限定されない。これらの細胞株の各々は、タンパク質発現の分野の当業者によって公知であり、入手可能である。
特定の実施形態において、宿主細胞は細菌細胞であり得る。典型的な細菌宿主細胞には、E.コリの様々な株が含まれるが、これらに限定されない(例えば、HB101、(ATCC番号33694)DH5α、DH10及びMC1061(ATCC番号53338))。典型的な宿主細胞には、シュードモナス属種、B.ズブチリス、その他のバチルス属種及びストレプトミセス属種の様々な株も含まれるが、これらに限定されない。
当業者に公知の酵母細胞の多くの株は、ポリペプチドの発現用の宿主細胞として利用することもできる。特定のこのような実施形態は、製造業者の指示書に従って、市販の発現系、例えば、Pichia Expression System(Invitrogen,San Diego,CA)を使用する。特定の実施形態において、このような系は、分泌を誘導するためにプレプロα配列に依拠する。ある実施形態において、挿入断片の転写は、メタノールによる誘導時に、アルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターによって駆動される。特定の実施形態において、宿主細胞はサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerivisae)であり得る。
特定の実施形態において、植物細胞系は宿主細胞として使用され得る。特定のこのような実施形態において、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV又はタバコモザイクウイルス)で形質移入された植物細胞系が使用される。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、pVL1393(PharMingen,San Diego,CA)などのバキュロウイルス発現ベクター中にクローニングされる。特定の実施形態において、このようなベクターは、無sF9タンパク質培地中でスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞を感染させるために、及び組換えポリペプチドを産生するために、製造業者の指示(PharMingen)に従って使用することが可能である。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、ヘパリン−セファロースカラム(Pharmacia)を用いて、このような培地から精製及び濃縮される。
特定の実施形態において、昆虫細胞系は宿主細胞として使用され得る。特定のこのような系は、例えば、「Kitts et al.(1993),Biotechniques,14:810−7,Lucklow(1993)」、「Curr. Opin. Biotechnol.,4:564−72」及び「Lucklow et al.(1993),J. Virol.,67:4566−79」に記載されている。典型的な昆虫細胞には、Sf−9及びHi5(Invitrogen,Carlsbad,CA)が含まれるが、これに限定されない。
特定の実施形態において、選択された宿主細胞中への、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの形質転換又は形質移入は、塩化カルシウム、電気穿孔、微小注入、リポフェクション又はDEAE−デキストラン法などの方法を含む周知の方法によって達成され得る。特定の実施形態において、選択された方法は、部分的に、使用されるべき宿主細胞の種類の関数である。これらの方法及びその他の適切な方法は当業者に周知であり、例えば、「Sambrook et al Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))」に記載されている。
変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドをコードする発現ベクターを(形質転換又は形質移入によって)含む宿主細胞は、当業者に周知の標準的な培地を用いて培養され得る。特定の実施形態において、培地は、細胞の増殖及び生存に必要な全ての栄養素を含有し得る。特定の実施形態において、E.コリ細胞は、Luria Broth(LB)及び/又はTerrific Broth(TB)中で培養され得る。真核細胞を培養するための典型的な培地には、RPMI1640、MEM、DMEMが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これらの全てには、培養されている具体的な細胞株に応じて、血清及び/又は成長因子を補充し得る。特定の実施形態において、昆虫細胞は、酵母抽出粉末(yeastolate)、ラクトアルブミン加水分解物及び/又はウシ胎児血清が補充されたGraceの媒地中で培養され得る。
特定の実施形態において、形質移入された細胞又は形質転換された細胞の選択的な増殖に有用な抗生物質又はその他の化合物が、培地への補充物として添加される。特定の実施形態において、使用されるべき化合物は、宿主細胞を形質転換するプラスミド上に存在する選択可能なマーカー要素の見地から選択される。選択可能なマーカー要素がカナマイシン耐性である、特定の実施形態において、培地に添加される化合物はカナマイシンである。選択的な増殖のための典型的な化合物には、アンピシリン、テトラサイクリン及びネオマイシンが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、宿主細胞によって産生される、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドの量は、本分野で公知の標準的な方法を用いて評価することが可能である。典型的な方法には、ウェスタンブロット分析、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、免疫沈降及び活性アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、原核宿主細胞中で発現される変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、細胞質周辺腔若しくは細胞質中の可溶性形態で、又は細胞内封入体の一部として、不溶性形態で存在し得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、当業者に公知の何れかの標準的な技術を用いて、宿主細胞から抽出することが可能である。特定の実施形態において、その後に遠心が行われる、フレンチプレス、ホモゲナイズ及び/又は音波処理によって周辺質/細胞質の内容物を放出させるために、宿主細胞を溶解することが可能である。
特定の実施形態において、細胞質中に存在するか、又は細胞質周辺腔から放出される、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドの可溶性形態は、本分野で公知の方法を用いて、さらに精製され得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、浸透圧ショック技術によって、細菌の細胞質周辺腔から放出される。
変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドが形成された封入体を有する場合、これらは、しばしば、細胞内膜及び/又は細胞外膜に結合し得るので、遠心後、主に、ペレット材料中に見出される。特定の実施形態において、ペレット材料は、次いで、封入体を放出し、分解し、及び可溶化するために、極端なpHで処理され、又はアルカリpHのジチオスレイトール若しくは酸性pHのトリスカルボキシエチルホスフィン、などの還元対の存在下で、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素又は尿素誘導体などのカオトロピック対で処理され得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、次いで、ゲル電気泳動、免疫沈降などを用いて分析し得る。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、以下に記載されている、及び「Marston et al.(1990),Meth. Enz.,182:264−75」に記載されているものなどの標準的な方法を用いて単離され得る。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、単離時に、生物学的に活性でない場合があり得る。特定の実施形態において、生物活性を回復するために、ポリペプチドを「再折り畳み」する、すなわちポリペプチドをその三次構造に変換し、ジスルフィド結合を生成する方法を使用し得る。特定の実施形態において、生物活性は、カオトロープの特定の濃度の存在下で、通常は7を上回るpHに、可溶化されたポリペプチドを曝露することによって回復され得る。カオトロープの選択は、封入体可溶化のために使用される選択と極めて類似しているが、特定の実施形態において、カオトロープは、より低い濃度で使用され、可溶化のために使用されるカオトロープと必ずしも同一でない。特定の実施形態において、再折り畳み/酸化溶液は、タンパク質のシステイン架橋の形成時にジスルフィドシャッフリングが起こるようにする特定の酸化還元電位を生成するために、還元対又は特定の比率でその酸化形態を加えた還元対も含有する。適切な酸化還元対には、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT及び2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−b(ME)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、再折り畳みの効率を増加させるために、共溶媒を使用し得るか、又は必要とし得、この目的のために使用される典型的なリパートナー(repartner)には、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、アルギニン及び関連分子が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、化学合成法によって調製され得る。特定の実施形態において、化学的合成法は、固相ペプチド合成を取り込み得る。特定の実施形態において、化学的合成法は、「Merrifield et al.(1963),J. Am. Chem. Soc.,85:2149」;「Houghten et al.(1985),Proc Natl Acad. Sci. USA,82:5132」;及び「Stewart and Young(1984),Solid Phase Peptide Synthesis,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL」に記載されているものなど、本分野において公知の技術を使用し得る。特定の実施形態において、ポリペプチドは、アミノ末端上のメチオニンあり又はなしに合成され得る。特定の実施形態において、化学的に合成された、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、ジスルフィド架橋を形成するために、これらの参考文献中に記載されている方法を用いて酸化され得る。特定の実施形態において、このようにして調製された変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドは、原型の又は組換え的に産生された、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドに付随する少なくとも1つの生物活性を保持する。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドを発現するために、トランスジェニック動物を使用し得る。特定の実施形態において、トランスジェニックミルク産生動物(例えば、ウシ又はヤギ)を使用し、動物のミルク中に、グリコシル化された変異体EGFrポリペプチド、グリコシル化された変異体PI3Kポリペプチド及び/又はグリコシル化された変異体B−Rafポリペプチドを取得し得る。特定の実施形態において、本分野において公知であるように、グリコシル化された変異体EGFrポリペプチド、グリコシル化された変異体PI3Kポリペプチド及び/又はグリコシル化された変異体B−Rafポリペプチドを産生するために、植物が使用される。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドを実質的に精製する。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドを実質的に精製する。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドを実質的に精製する。特定のタンパク質精製技術は、当業者に公知である。特定の実施形態において、タンパク質精製は、非ポリペプチド画分からのポリペプチド分画の粗分画を含む。特定の実施形態において、ポリペプチドは、クロマトグラフィー及び/又は電気泳動技術を用いて精製される。典型的な精製法には、硫酸アンモニウムを用いた沈殿、PEGを用いた沈殿、免疫沈降、熱変性後の遠心、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、Protein−A−Sepharose)、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィー、ゲルろ過、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーを含む(これらに限定されない。)クロマトグラフィー、等電点電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動並びにこのような技術及びその他の技術の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ポリペプチドは、高速タンパク質液体クロマトグラフィー又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製される。特定の実施形態において、精製工程は変化され得、又は特定の工程は省略され得、実質的に精製されたポリペプチドの調製のための適切な方法をなおもたらす。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又はB−Rafポリペプチドは、カルボキシ末端又はアミノ末端の何れかに位置する、ヘキサヒスチジンなどの1つ若しくはそれ以上のアフィニティータグ又はFLAG(Eastman Kodak Co.,New Haven,CT)若しくはmyc(Invitrogen)などの他の小ペプチドとともに調製され得、及び一工程アフィニティーカラムによって精製され得る。特定の実施形態において、ポリヒスチジンは、ニッケルに、大きな親和性と特異性で結合するので、ニッケルのアフィニティーカラム(Qiagen(R)ニッケルカラムなど)は、ポリヒスチジンタグ化特異的結合対の精製のために使用することが可能である。例えば、「Ausubel et al.,eds(1993),Current Protocols in Molecular Biology,Section 10.11.8,John Wiley & Sons,New York」を参照。特定の実施形態において、2以上の精製工程を使用し得る。
特定の実施形態において、ポリペプチド調製の精製の程度を定量化する。精製の程度を定量するための特定の方法が、当業者に公知である。特定の典型的な方法には、調製物の特異的結合活性を測定すること及びSDS/PAGE分析によって調製物内のポリペプチドの量を評価することが含まれるが、これらに限定されない。ポリペプチド調製物の精製の量を評価するための特定の典型的な方法は、調製物の結合活性を計算すること、及びこれを初期抽出物の結合活性と比較することを含む。ある実施形態において、このような計算の結果は、「精製倍数」として表される。結合活性の量を表すために使用される単位は、実施されているアッセイに依存する。
特定の実施形態において、ポリペプチドは部分的に精製される。特定の実施形態において、部分精製は、より少ない精製工程を使用することによって、又は同じ一般的な精製スキームの異なる形態を用いることによって達成し得る。例えば、ある実施形態において、HPLC装置を用いて行われる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般的には、低圧クロマトグラフィーシステムを用いた同じ技術より大きな「精製倍数」をもたらす。特定の実施形態において、より低い精製度をもたらす方法は、ポリペプチドの総回収率の上で、又はポリペプチドの結合活性を維持する上で利点を有し得る。
ある例において、ポリペプチドの電気泳動的遊走は、SDS/PAGEの異なる条件によって、時折著しく変動し得る。例えば、「Capaldi et al.,Biochem Biophys/Res Comm,76:425(1977)」を参照されたい。当然のことながら、異なる電気泳動条件下では、精製又は部分精製されたポリペプチドの見かけの分子量は異なり得る。
トランスジェニック動物
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチド、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチド及び/又は1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むヒト以外のトランスジェニック動物が提供される。特定の実施形態において、ヒト以外のトランスジェニック動物には、マウス又はラットなどのげっ歯類、ウサギ、ヤギ、ヒツジ及びその他の農場動物が含まれるが、これらに限定されない。特定のトランスジェニック動物は、米国特許第5,489,743号及びWO94/28122号に記載されているものなどの(これらに限定されない。)周知の方法を用いて調製され得る。
特定の実施形態において、トランスジェニック動物を構築するために、組織特異性を示す動物転写調節領域を使用し得る。トランスジェニック動物中での組織特異的発現とともに使用するための典型的な転写調節領域には、膵臓腺房細胞中で活性であるエラスターゼI遺伝子調節領域(Swift et al.(1984),Cell,38:639−46;Ornitz et al.(1986),Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399−409;MacDonald(1987),Hepatology,7::425−515);膵臓β細胞中で活性であるインシュリン遺伝子調節領域(Hanahan(1985),Nature,315:115−122);リンパ系細胞中で活性である免疫グロブリン遺伝子調節領域(Grosschedl et al.(1984),Cell,38:647−58;Adames et al.(1985),Nature,318:533−8;Alexander et al.(1987),Mol. Cell. Biol.,7:1436−44);精巣、乳房、リンパ系及び肥満細胞中で活性であるマウス乳癌ウイルス調節領域(Leder et al.(1986),Cell,45:485−95);肝臓中で活性であるアルブミン遺伝子調節領域(Pinkert et al.(1987),Genes and Devel.,1 :268−76);肝臓中で活性であるαフェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumlauf et al.(1987),Mol. Cell. Biol.,5:1639−48;Hammer et al.(1987),Science,235:53−58);肝臓中で活性であるα1−アンチトリプシン遺伝子調節領域(Kelsey et al.(1987),Genes and Devel.,1:161−171);骨髄系細胞中で活性であるβグロビン遺伝子調節領域(Mogram et al.(1985),Nature,315:338−340;Kollias et al.(1986),Cell,46:89−94);脳内の乏突起膠細胞中で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readhead et al.(1987),Cell,48:703−712);骨格筋中で活性であるミオシン軽鎖−2遺伝子調節領域(Sani(1985),Nature,314:283−286);及び視床下部中で活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Mason et al.(1986),Science,234:1372−8)が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、野生型EGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが中断されており(すなわち、「ノックアウトされた」)、並びに野生型EGFrポリペプチドの発現のレベルが、動物中で有意に減少し、又は完全に喪失し、及び変異体EGFrポリペプチドが動物中で発現されるように、変異体EGFrポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドで置換されているヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、米国特許第5,557,032号に記載されている技術及び方法又は本分野において周知の他の技術などの技術及び方法を用いて、動物が調製され得る。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの発現のレベルを変化させるために、(例えば、本分野で公知の相同的組み換え法を用いることによって)1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドに対するプロモーターの活性が調節されたヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、変異体EGFrポリペプチドの発現のレベルは増加される。特定のこのような実施形態において、変異体EGFrポリペプチドの発現のレベルは減少される。
特定の実施形態において、野生型PI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが中断されており(すなわち、「ノックアウトされた」)、並びに野生型PI3Kポリペプチドの発現のレベルが、動物中で有意に減少し、又は完全に喪失し、及び変異体PI3Kポリペプチドが動物中で発現されるように、変異体PI3Kポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドで置換されているヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、米国特許第5,557,032号に記載されている技術及び方法又は本分野において周知の他の技術などの技術及び方法を用いて、動物が調製され得る。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの発現のレベルを変化させるために、(例えば、本分野で公知の相同的組み換え法を用いることによって)1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドに対するプロモーターの活性が調節されたヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドの発現のレベルは増加される。特定のこのような実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドの発現のレベルは減少される。
特定の実施形態において、野生型B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが中断されており(すなわち、「ノックアウトされた」)、並びに野生型B−Rafポリペプチドの発現のレベルが、動物中で有意に減少し、又は完全に喪失し、及び変異体B−Rafポリペプチドが動物中で発現されるように、変異体B−Rafポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドで置換されているヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、米国特許第5,557,032号に記載されている技術及び方法又は本分野において周知の他の技術などの技術及び方法を用いて、動物が調製され得る。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの発現のレベルを変化させるために、(例えば、本分野で公知の相同的組み換え法を用いることによって)1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドに対するプロモーターの活性が調節されたヒト以外の動物が提供される。特定のこのような実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドの発現のレベルは増加される。特定のこのような実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドの発現のレベルは減少される。
特定の実施形態において、薬物候補のスクリーニングのために、ヒト以外のトランスジェニック動物を使用することが可能である。特定の実施形態において、ヒト以外のトランスジェニック動物に対する薬物候補の影響が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの発現を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの発現を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの活性を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの活性を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの活性化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの活性化を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化を増加させる能力が測定される。
特定の実施形態において、薬物候補が、変異体EGFrポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体EGFrポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状を軽減する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体EGFrポリペプチド関連癌を軽減させる能力が測定される。
特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの発現を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの発現を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの活性を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの活性を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの活性化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの活性化を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体PI3Kポリペプチドの自己リン酸化を増加させる能力が測定される。
特定の実施形態において、薬物候補が、変異体PI3Kポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体PI3Kポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状を軽減する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体PI3Kポリペプチド関連癌を軽減させる能力が測定される。
特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの発現を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの発現を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの活性を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの活性を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの活性化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの活性化を増加させる能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が変異体B−Rafポリペプチドの自己リン酸化を増加させる能力が測定される。
特定の実施形態において、薬物候補が、変異体B−Rafポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を減少又は抑制する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体B−Rafポリペプチドへの、1つ又はそれ以上の特異的結合因子の結合を増加させる能力が測定される。特定のこのような実施形態において、薬物候補が、変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状を軽減する能力が測定される。特定の実施形態において、薬物候補が、変異体B−Rafポリペプチド関連癌を軽減させる能力が測定される。
特異的結合因子及び抗体
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドに対する特異的結合因子が提供される。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドに対する特異的結合因子が提供される。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドに対する特異的結合因子が提供される。特定のこのような実施形態において、特異的結合因子は抗体又はその抗原結合断片である。
特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、「Kohler et al.,Nature 256:495(1975)」によって初めて記載されたハイブリドーマ法を用いて作製し得る。特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、組換えDNA法によって作製し得る(米国特許第4,816,567号)。
ハイブリドーマ法の特定の実施形態において、マウス又は他の適切な宿主動物(ハムスター又はマカクザルを含むが、これらに限定されない。)は、免疫化のために使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生し、又は産生することができるリンパ球を惹起するために免疫される。特定の実施形態において、リンパ球はインビトロで免疫され得る。特定の実施形態において、リンパ球又はB細胞が濃縮されたリンパ球は、電気細胞融合法によって、又はポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いることによって骨髄腫細胞と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103,[Academic Press,1996])。
特定の実施形態において、非融合親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1つ又はそれ以上の物質を好ましくは含有する適切な媒地中に、ハイブリドーマ細胞が播種され、増殖される。特定の実施形態において、親骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠如している場合には、ハイブリドーマ用培地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の増殖を抑制する物質である、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含む。
特定の実施形態において、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を支持し、及びHAT培地などの培地に対して感受性である骨髄腫細胞が選択される。典型的な骨髄腫細胞株には、「Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USA」から入手可能なMOP−21及びMC−11マウス腫瘍並びに「American Type Culture Collection,Rockville,Maryland USA」から入手可能なSP−2又はX63−Ag8−653細胞から誘導されるものなどのマウス骨髄腫株が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ヒト骨髄腫及び/又はマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が、ヒトモノクローナル抗体の産生のために使用される(Kozbor,J. Immunol. 133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63,Marcel Dekker,Inc.,New York,[1987])。
特定の実施形態において、ハイブリドーマ細胞がその中で増殖している培地は、抗原に対して誘導されたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。特定の実施形態において、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、又はインビトロでの結合アッセイによって測定される。典型的な結合アッセイには、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)及び「Munson et al.,Anal. Biochem. 107:220(1980)」のスキャッチャード分析が含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、所望される特異性、親和性及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、細胞は、限界希釈操作によってサブクローニングし、及び標準的な方法によって増殖し得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103,Academic Press,1996)。この目的のための典型的な培地には、DMEM及びRPMI−1640培地が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ハイブリドーマ細胞は、動物中の腹水腫瘍としてインビボで増殖され得る。
特定の実施形態において、サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなどの慣用の免疫グロブリン精製操作によって、培地、腹水液又は血清から適切に分離される。
特定の実施形態において、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、慣用の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離及び配列決定される。特定のこのような実施形態において、ハイブリドーマ細胞は、このようなポリヌクレオチドの好ましい採取源としての役割を果たす。特定の実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは発現ベクター中に配置され得る。特定のこのような実施形態において、発現ベクターは、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を取得するために宿主細胞中に形質移入される。典型的な宿主細胞には、本来免疫グロブリンタンパク質を産生しない、E.コリ細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば、非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全部又は一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合させることにより、修飾することができ、「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体を作製する。
特定の実施形態において、非免疫グロブリンポリペプチドが、抗体の定常ドメインを置換する。特定の実施形態において、標的抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作製するために、抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインを非免疫グロブリンポリペプチドと置換する。
特定の実施形態において、キメラ又はハイブリッド抗体は、架橋剤を含むものなど(これに限定されない。)の合成タンパク質化学中の公知の方法を用いてインビトロで調製することが可能である。特定のこのような実施形態において、イムノトキシンは、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合を形成することによって構築することが可能である。この目的のための典型的な試薬には、イミノチオラート及びメチル−4−メルカプトブチルイミダートが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、標的抗原に対するヒト抗体が提供される。特定の実施形態において、融合対としてヘテロ骨髄腫(マウス×ヒトハイブリッド骨髄腫)を用いてヒト抗体を作製するために、ハイブリドーマ技術が拡張される(例えば、Kozbor,J. Immunol. 133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63,Marcel Dekker,Inc.,New York,1987を参照。)。特定の実施形態において、ヒト抗体分泌細胞は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)での感染によって不死化することが可能である(James and Bell,J. Immunol. Methods 100:5−40[1987])。特定の実施形態において、ヒトB細胞の不死化は、形質転換遺伝子の所定の組み合わせを導入することによって達成することが可能である(Hahn et al.,Nature 400:464−468[1999])。
特定の実施形態において、免疫化すると、内在性免疫グロブリン産生の不存在下でヒト抗体のレパートリーを作製することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)が、ヒト抗体を作製するために使用される(例えば、Jakobovits et al,Nature 362:255−258[1993];Lonberg and Huszar,Int. Rev. Immunol. 13:65−93[1995];Fishwild et al.,Nat. Biotechnol. 14:845−851[1996];Mendez ef al.,Nat. Genet. 15:146−156[1997];Green,J. Immunol. Methods 231 :11−23[1999];Tomizuka et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722−727[2000];reviewed in Little et al.,Immunol. Today 21:364−370[2000]参照)。キメラ及び生殖系列変異体マウス中の抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失は、内在性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている(Jakobovits et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551−2555[1993])。このような生殖系列変異体マウス中にヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイを導入することにより、抗原誘発時にヒト抗体の産生をもたらす(Jakobovits et al.,Nature 362:255−258[1993])。
Mendezら(Nature Genetics 15:146−156[1997])は、抗原で誘発されたときに、高親和性の完全なヒト抗体を生成する、「Xenomouse(R)II」と称されるトランス上ニックマウスの系列を作製した。これは、内在性JHセグメント中に欠失を有するマウス中への、メガベースヒト重鎖及び軽鎖座位の生殖系列組み込みによって達成された。XenoMouse(R)IIは、約66のVH遺伝子、完全なDH及びJH領域及び3つの異なる定常領域(μ、δ及びλ)を含有するヒト重鎖座位の1,020kbを保有し、32Vκ遺伝子遺伝子、Jκセグメント及びCκ遺伝子を含有するヒトκ座位の800kbも保有する。特定の実施形態において、これらのマウス中で産生される抗体は、遺伝子再編成、集合及びレパートリーを含む全ての点でヒトに見られる抗体と酷似する。特定の実施形態において、ヒト抗体は、マウス座位中の遺伝子再編成を抑制する内在性JHセグメント中の欠失のために、内在性抗体に比べて優先的に発現される。
特定の実施形態において、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニック動物(例えば、Xenomouse(R)II(Abgenix,Inc.))は、変異体EGFrポリペプチド、変異体PI3Kポリペプチド及び/又は変異体B−Rafポリペプチドなど、特に興味のある抗原で免疫化され得る。特定の実施形態において、これらの免疫化された動物から得られる血清は、初期抗原に対する抗体反応性についてスクリーニングされる。特定の実施形態において、リンパ球はリンパ節又は脾細胞から単離され、CD138陰性及びCD19+細胞について選択することにより、B細胞に関してさらに濃縮され得る。特定の実施形態において、これらのB細胞培養(BCC)は、上に詳述されているようにハイブリドーマを作製するために、骨髄腫細胞に融合される。特定の実施形態において、これらのB細胞培養物は、初期抗原に対する反応性についてさらにスクリーニングされる。このようなスクリーニングには、ELISA、目的の抗原を結合する公知の抗体を用いた競合アッセイ及び抗原を発現する一過性に形質移入されたCHO細胞へのインビトロ結合が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、目的の抗体を分泌する単一のB細胞が、特異的な溶血斑アッセイによって同定される。特定のこのような実施形態において、溶解の標的とされる細胞は、前記抗原で被覆されたヒツジ赤血球(SRBC)である。特定のこのような実施形態において、斑の形成は、標的細胞の特異的抗原媒介性溶解を示し、従って、目的の免疫グロブリン及び補体を分泌するB細胞培養の存在を示す。特定のこのような実施形態において、斑の中心にある単一の抗原特異的形質細胞を単離し、mRNAの単離のために使用することが可能である。
特定の実施形態において、分泌された抗体の可変領域をコードするポリヌクレオチドは、逆転写酵素PCRを用いてクローニングすることが可能である。特定の実施形態において、クローニングされたポリヌクレオチドは、pcDNA、又は免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の定常ドメインを含有するpcDNAベクターなどのベクターカセットなどの適切な発現ベクター中にさらに挿入される。特定の実施形態において、作製されるベクターは宿主細胞(すなわち、CHO細胞)中に形質移入され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された慣用の栄養素培地中で培養される。
特定の実施形態において、ファージディスプレイ技術は、免疫化されていないドナーから得られる免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、ヒト抗体及び抗体断片をインビトロで作製するために使用される(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−553[1990];reviewed in Kipriyanov and Little,Mol. Biotechnol. 12:173−201[1999];Hoogenboom and Chames,Immunol. Today 21 :371−378[2000]参照)。特定のこのような実施形態において、抗体Vドメイン遺伝子は、M13又はfdなどの糸状バクテリオファージのメジャー又はマイナーコートタンパク質遺伝子の何れか中に、インフレームにクローニングされ、ファージ粒子の表面上に、機能的な抗体断片として提示される。特定の実施形態において、糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有し、抗体の機能的特性に基づく選択も、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。ファージディスプレイは、以下の文書:Johnson and Chiswell,Current Opinion in Structural Biology 3:564−571[1993)];Winter et al.,Annu. Rev. Immunol. 12:433−455[1994];Dall’Acqua and Carter,Curr. Opin. Struct. Biol. 8:443−450[1998];and Hoogenboom and Chames,Immunol.Today 21 :371−378[2000]中に特定されているものを含む(但し、これらに限定されない。)様々な形式で実施することが可能である。ファージディスプレイ用のV遺伝子セグメントの源には、免疫化されたマウスの脾臓から誘導されたV遺伝子の小ランダムコンビナトリアルライブラリー(Clackson et al.,(Nature 352:624−628[1991])及び免疫されていないヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリー(Marks et al.,J. Mol. Biol. 222:581−597(1991)、又はGriffiths et al.,EMBO J. 12:725−734(1993))が含まれるが、これに限定されるものではない。
特定の実施形態において、天然免疫反応において、抗体遺伝子は高い速度で変異を蓄積する(体細胞超変異)。特定の実施形態において、導入された変化の幾つかは、より高い親和性を付与する。特定の実施形態において、高親和性表面免疫グロブリンを提示するB細胞は、その後の抗原誘発の間に、優先的に複製及び分化される。特定の実施形態において、この天然の過程は、「チェーンシャフリング」として知られる技術(Marks et al.,Bio/Technol.10:779−783[1992])を用いることによって模倣することが可能である。特定のこのような実施形態において、ファージディスプレイによって得られた「一次」ヒト抗体の親和性は、重鎖及び軽鎖V領域遺伝子を、免疫化されていないドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然に存在するバリアントのレパートリー(レパートリー)と順次置換することによって改善することが可能であり、nM域の親和性を有する抗体及び抗体断片の産生を可能とする。特定の実施形態において、「Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.21 :2265−2266(1993)」によって記載されているように、極めて巨大なファージ抗体レパートリーが構築される(「マザー・オブ・オール・ライブラリー」としても知られる。)。特定の実施形態において、高親和性ヒト抗体は、巨大なファージライブラリーから直接単離される(例えば、Griffiths et al.,EMBO J. 13:3245−3260(1994)参照)。特定の実施形態において、げっ歯類抗体からヒト抗体を誘導するために遺伝子シャッフリングを使用することが可能であり、ヒト抗体は、出発するげっ歯類抗体と類似の親和性及び特異性を有する。特定のこのような実施形態において、ファージディスプレイ技術によって得られたげっ歯類抗体の重鎖又は軽鎖Vドメイン遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーと置換され、げっ歯類−ヒトキメラ(「エピトープインプリンティング」とも称される。)を作出する。特定の実施形態において、抗原による可変領域の選択は、機能的な抗原結合部位を回復することが可能なヒト可変領域の単離をもたらす。すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配(インプリント)する。特定の実施形態において、残存するげっ歯類Vドメインを置換するために本過程が反復される場合には、フレームワークを有しないか、又はげっ歯類起源のCDR残基を有するヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開された、PCT特許公開WO93/06213号を参照。)。
アレイ
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドと相補的な1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドと相補的な1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドをコードする1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドと相補的な1つ又はそれ以上のポリヌクレオチドを含むマイクロアレイが提供される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリヌクレオチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリヌクレオチドの量がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリヌクレオチドの量に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリヌクレオチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリヌクレオチドの量がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリヌクレオチドの量に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリヌクレオチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリヌクレオチドの量がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリヌクレオチドの量に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、mRNAは、まず、細胞又は組織試料から抽出され、続いて、cDNAへと変換され、これがマイクロアレイにハイブリッド形成される。特定のこのような実施形態において、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの存在又は不存在は、変異体EGFrポリペプチドの存在又は不存在の指標である。特定のこのような実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの発現レベルは、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの量を定量することによって評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの発現に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、mRNAは、まず、細胞又は組織試料から抽出され、続いて、cDNAへと変換され、これがマイクロアレイにハイブリッド形成される。特定のこのような実施形態において、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの存在又は不存在は、変異体PI3Kポリペプチドの存在又は不存在の指標である。特定のこのような実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの発現レベルは、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの量を定量することによって評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの発現に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、2つ又はそれ以上の細胞又は組織試料中の1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの存在又は不存在がマイクロアレイ技術を用いて評価される。特定のこのような実施形態において、mRNAは、まず、細胞又は組織試料から抽出され、続いて、cDNAへと変換され、これがマイクロアレイにハイブリッド形成される。特定のこのような実施形態において、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの存在又は不存在は、変異体B−Rafポリペプチドの存在又は不存在の指標である。特定のこのような実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの発現レベルは、マイクロアレイに特異的に結合されたcDNAの量を定量することによって評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織は評価前に処理され、この処理が1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの発現に影響を与える能力も評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドを含むマイクロアレイが提供される(例えば、McBeath et al.,Science,289:1760−1763,2000参照)。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドに対する候補特異的結合因子は、変異体EGFrポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドの活性を調節するための候補化合物は、変異体EGFrポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が評価される。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化を増加する能力が評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドを含むマイクロアレイが提供される(例えば、McBeath et al.,Science,289:1760−1763,2000参照)。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドに対する候補特異的結合因子は、変異体PI3Kポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドの活性を調節するための候補化合物は、変異体PI3Kポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体PI3Kポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が評価される。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体PI3Kポリペプチドの自己リン酸化を増加する能力が評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドを含むマイクロアレイが提供される(例えば、McBeath et al.,Science,289:1760−1763,2000参照)。特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドに対する候補特異的結合因子は、変異体B−Rafポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドの活性を調節するための候補化合物は、変異体B−Rafポリペプチドマイクロアレイを用いてスクリーニングされる。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体B−Rafポリペプチドの自己リン酸化を減少又は抑制する能力が評価される。特定のこのような実施形態において、候補化合物が変異体B−Rafポリペプチドの自己リン酸化を増加する能力が評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドに対する1つ又はそれ以上の特異的結合因子を含むマイクロアレイが提供される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの存在又は不存在が評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチドの量が評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドに対する1つ又はそれ以上の特異的結合因子を含むマイクロアレイが提供される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの存在又は不存在が評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体PI3Kポリペプチドの量が評価される。
特定の実施形態において、1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドに対する1つ又はそれ以上の特異的結合因子を含むマイクロアレイが提供される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの存在又は不存在が評価される。特定のこのような実施形態において、細胞又は組織中の1つ又はそれ以上の変異体B−Rafポリペプチドの量が評価される。
特定の方法
特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドを結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドを結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドを結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドを動物に投与すること及び少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドを結合することが可能な抗体を前記動物から取得することを含む、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドを結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドを動物に投与すること及び少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドを結合することが可能な抗体を前記動物から取得することを含む、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドに結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドを動物に投与すること及び少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドを結合することが可能な抗体を前記動物から取得することを含む、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドに結合することが可能な抗体を取得する方法が提供される。特定のこのような実施形態において、抗体はヒト抗体である。
特定の実施形態において、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを結合できる抗体を取得する方法であり、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを動物に投与すること、並びに配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを結合できる抗体を前記動物から取得することを含む前記方法が提供される。特定のこのような実施形態において、抗体はヒト抗体である。
特定の実施形態において、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのポリペプチドを結合できる抗体を取得する方法であり、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つの配列を含む少なくとも1つのポリペプチドの少なくとも1つの断片を動物に投与すること(前記少なくとも1つの断片は少なくとも1つの変異を含む。)、並びに配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのポリペプチドに結合できる抗体を前記動物から取得することを含む前記方法が提供される。特定のこのような実施形態において、抗体はヒト抗体である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体EGFrポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体EGFrポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12及び配列番号13から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、及び(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12及び配列番号13から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、及び(b)前記ポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体PI3Kポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体PI3Kポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体B−Rafポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体B−Rafポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状に対する感受性を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体EGFrポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体EGFrポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中での、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12及び配列番号13から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中での、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12及び配列番号13から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のEGFr変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体PI3Kポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体PI3Kポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中での、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中での、配列番号15、配列番号16及び配列番号17から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のPI3K変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法が提供される。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体B−Rafポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)対象から得られた試料中での、変異体B−Rafポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドの発現の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリペプチドの発現の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、対象中の1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連する疾病又は症状への感受性を診断する方法は、(a)前記対象から得られた試料中の、配列番号19及び配列番号20から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を測定すること、並びに(b)前記ポリヌペプチドの転写又は翻訳の存在又は量に基づいて、1つ又はそれ以上のB−Raf変異に関連した疾病又は症状への感受性を診断することを含む。特定の実施形態において、前記疾病又は症状は癌である。
特定の実施形態において、変異体EGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法が提供される。特定の実施形態において、試料中の変異体EGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体EGFrポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体EGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定することを含む。特定の実施形態において、試料中の変異体EGFrポリペプチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体EGFrポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体EGFrポリペプチドの存在又は不存在を測定することを含む。
特定の実施形態において、変異体PI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法が提供される。特定の実施形態において、試料中の変異体PI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体PI3Kポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、E542K、E545A及びH1047Lから選択される少なくとも1つのPI3K変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体PI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定することを含む。特定の実施形態において、試料中の変異体PI3Kポリペプチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体PI3Kポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、E542K、E545A及びH1047Lから選択される少なくとも1つのPI3K変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体PI3Kポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定することを含む。
特定の実施形態において、変異体B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法が提供される。特定の実施形態において、試料中の変異体B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体B−Rafポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、V600E及びK601Eから選択される少なくとも1つのB−Raf変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体B−Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は不存在を測定することを含む。特定の実施形態において、試料中の変異体B−Rafポリペプチドの存在又は不存在を測定する方法は、(a)変異体B−Rafポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブに試料を曝露すること(前記領域は、V600E及びK601Eから選択される少なくとも1つのB−Raf変異を含む。)、並びに(b)前記試料中の変異体B−Rafポリペプチドの存在又は不存在を測定することを含む。
特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法は、変異体EGFrポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現する細胞を検査化合物に接触させること、及び前記検査化合物が変異体EGFrポリペプチドの活性を調節するかどうかを検出することを含む。特定のこのような実施形態において、検査化合物はEGFrポリペプチドの活性を増加させる。特定のこのような実施形態において、検査化合物はEGFrポリペプチドの活性を減少させる。特定のこのような実施形態において、EGFrポリペプチドの活性を減少させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。特定のこのような実施形態において、EGFrポリペプチドの活性を増加させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体EGFrポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。
特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法は、変異体PI3Kポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現する細胞を検査化合物に接触させること、及び前記検査化合物が変異体PI3Kポリペプチドの活性を調節するかどうかを検出することを含む。特定のこのような実施形態において、検査化合物はPI3Kポリペプチドの活性を増加させる。特定のこのような実施形態において、検査化合物はPI3Kポリペプチドの活性を減少させる。特定のこのような実施形態において、PI3Kポリペプチドの活性を減少させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。特定のこのような実施形態において、PI3Kポリペプチドの活性を増加させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体PI3Kポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。
特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドの活性の調節物質をスクリーニングする方法は、変異体B−Rafポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを発現する細胞を検査化合物と接触させること、及び前記検査化合物が変異体B−Rafポリペプチドの活性を調節するかどうかを検出することを含む。特定のこのような実施形態において、検査化合物はB−Rafポリペプチドの活性を増加させる。特定のこのような実施形態において、検査化合物はB−Rafポリペプチドの活性を減少させる。特定のこのような実施形態において、B−Rafポリペプチドの活性を減少させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。特定のこのような実施形態において、B−Rafポリペプチドの活性を増加させることが同定された検査化合物は、少なくとも1つの変異体B−Rafポリペプチドに関連する疾病又は症状を治療するために使用することが可能である。
特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供され、本方法は、
(a)対象から得られたポリヌクレオチド中の少なくとも1つのEGFr変異を検出すること(少なくとも1つのEGFr変異の検出は、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状を発症することに対して、患者が増加した感受性を有することを示す。)、及び
(b)変異体EGFrポリペプチドを特異的に結合する抗体を前記対象に投与することを含む。
特定のこのような実施形態において、抗体はヒト抗体である。特定のこのような実施形態において、抗体はパニツムマブ又はその抗原結合領域である。
特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供され、本方法は、
(a)対象から得られたポリヌクレオチド中の少なくとも1つのEGFr変異を検出すること(少なくとも1つのEGFr変異の検出は、患者が少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状を有することを示す。)、及び
(b)変異体EGFrポリペプチドを特異的に結合する抗体を前記対象に投与することを含む。
特定のこのような実施形態において、抗体はヒト抗体である。特定のこのような実施形態において、抗体はパニツムマブ又はその抗原結合領域である。
特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供され、前記EGFr変異の少なくとも1つはL688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される。
特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供され、ここにおいて、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状は非小細胞肺癌である。
特定の実施形態において、少なくとも1つのEGFr変異に関連する疾病又は症状に対して対象を治療する方法が提供され、このような治療を必要とする対象に、変異体EGFrポリヌクレオチドに対してアンチセンスのポリヌクレオチドを投与することを含む。
特定の実施形態において、個体の特異的集団において、変異体EGFr集団プロファイルを確定する方法が提供され、(a)集団中の個体の遺伝的プロファイル中に少なくとも1つのEGFr変異の存在を測定すること、並びに(b)変異体EGFr遺伝的プロファイルと前記個体との関係を確定することを含む。特定のこのような実施形態において、個体の特異的特徴は、EGFr変異に関連する疾病又は症状を発症することに対する感受性を含む。特定のこのような実施形態において、個体の特異的特徴は、EGFr変異に関連する疾病又は症状を呈することを含む。
特定の実施形態において、対象中の疾病又は症状に対するゲフィチニブ治療の効力を予測する方法が提供され、対象の変異体EGFrポリペプチド中のEGFr変異T790Mの存在又は不存在を測定することを含み、ここにおいて、1つ又はそれ以上の変異体EGFrポリペプチド中のEGFr変異T790Mの存在は、ゲフィチニブを用いた治療に対する耐性を示す。
特定の実施形態において、癌に罹患する対象中の抗EGFr抗体を用いた治療に対する応答性を測定する方法が提供され、対象中のEGFr変異T790Mの存在又は不存在を測定することを含む。特定のこのような実施形態において、抗体はパニツムマブ又はセツキシマブである。
特定の実施形態において、対象中の変異体EGFrポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出するためのキットが提供される。特定のこのような実施形態において、本キットは、変異体RGFrポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するプローブを含み、前記領域は、L688P、Q701H、K745N、C781R、アミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入、T790M、L828停止、Q849R、F910L及びV948Aから選択される少なくとも1つのEGFr変異を含む。特定の実施形態において、本キットは、2つ又はそれ以上の増幅プライマーをさらに含む。特定の実施形態において、本キットは、検出成分をさらに含む。特定の実施形態において、本キットは、核酸試料作製要素をさらに含む。
実施された実験及び達成された結果を含む以下の実施例は、例示の目的のためのみに提供されており、本発明を限定するものと解釈すべきでない。
〔実施例1〕
非小細胞肺癌及び結腸直腸腺癌腫瘍試料中でのEGFR、PI3K及びB−Raf変異の同定
非小細胞肺癌腫(「NSCLC」)に伴うEGFr、ホスファチジルイノシトール3’−キナーゼ(「PI3K」)及びB−Raf中の変異を同定するために、EGFr、PI3K及びB−Rafの特異的エキソンは、NSCLC腫瘍試料から単離及び増幅された。化学療法及び/又はパニツムマブによる患者の治療の前に、化学療法治療単独(カルボプラチン/パクリタキセル)と、ヒト抗EGFr抗体(Amgen)パニツムマブと組み合わされた化学療法治療とを比較する第一次NSCLC試験に参加した20人の患者から得た二重盲検腫瘍試料を得た。結腸直腸腺癌(「CRC」)に伴うEGFr及びPI3K中の変異を同定するために、20人のCRC患者の腫瘍からEGFr及びPI3Kの特異的エキソンを単離及び増幅した。化学療法及び/又はパニツムマブによる患者の治療の前に、化学療法治療単独(カルボプラチン/パクリタキセル)と、ヒト抗EGFr抗体(Amgen)であるパニツムマブと組み合わされた化学療法治療とを比較する第一次CRC試験に参加した20人の患者から得た二重盲検腫瘍試料を得た。これらのエキソンに対する野生型配列由来の何れかの変化を同定するために、単離された各エキソンを配列決定した。
20人の患者から得られたNSCLC腫瘍試料(表1)及び20人の患者から得られたCRC腫瘍試料(表2)を集めた。腫瘍のEGFr発現の量を特定するために各腫瘍試料の一部を染色し、3点のスケールで(3が染色の最大の程度である。)染色をランク付けした。各腫瘍試料の少なくとも10%は、3又はそれ以上の染色レベルを示した。ホルマリン固定され、パラフィン包埋された組織切片の巨視的解剖により、隣接する正常な組織、壊死片及び間質から腫瘍組織を分離した。整えられた試料を顕微鏡スライド上に固定し、室温で保存した。
製造業者のプロトコールに従い、Pinpoint Slide DNA Isolation System(Zymo Research,Orange,CA)を用いて、試料スライドからゲノムDNAを調製した。最終の単離されたゲノムDNA産物を、500μLの水中に溶解した。各エキソンに対して特異的なプライマーを用いるPCRによって、ヒトEGFrのエキソン18、19、20、21及び23、ヒトPI3Kのエキソン9及び20並びにヒトB−Rafのエキソン15に対応する配列を増幅した。野生型EGFr cDNA配列中の各エキソンに対するイントロン配列5’及び3’を用いて、各エキソンに対するプライマー配列を設計した(Genbank受託番号AC006977;配列番号55)。ゲノム野生型EGFrヌクレオチド配列は、Genbank受託番号AC073324で見出される。野生型EGFrポリペプチド配列は、Genbank受託番号AAS83109(配列番号1)で見出される。EGFrエキソン18に対するフォワードプライマーは、5’−GGG CCA TGT CTG GCA CTG CTT TCC−3’(配列番号22)であり、EGFrエキソン18に対するリバースプライマーは、5’−GAA ATA TAC AGC TTG CAA GGA CTC−3’(配列番号23)であった。EGFrエキソン19に対するフォワードプライマーは、5’−AAT ATC AGC CTT AGG TGC GGC TCC−3’(配列番号24)であり、EGFrエキソン19に対するリバースプライマーは、5’−GAG AAA AGG TGG GCC TGA GGT TC−3’(配列番号25)であった。EGFrエキソン20に対するフォワードプライマーは、5’−CTG CGT AAA CGT CCC TGT GCT AGG TC−3’(配列番号26)であり、EGFrエキソン20に対するリバースプライマーは、5’−GCA CGC ACA CAC ATA TCC CCA TGG C−3’(配列番号27)であった。EGFrエキソン21に対するフォワードプライマーは、5’−GCA TGA ACA TGA CCC TGA ATT CGG−3’(配列番号28)であり、EGFrエキソン21に対するリバースプライマーは、5’−CCT GCA TGT GTT AAA CAA TAC AGC−3’(配列番号29)であった。EGFrエキソン23に対するフォワードプライマーは、5’−TCA TTC ATG ATC CCA CTG CCT TC−3’(配列番号30)であり、EGFrエキソン23に対するリバースプライマーは、5’−CAG CTG TTT GGC TAA GAG CAG CC−3’(配列番号31)であった。
野生型PI3Kポリペプチド配列は、Genbank受託番号U79143(配列番号14)で見出される。野生型PI3KcDNA配列は、図7(配列番号58)に示されている。PI3Kエキソン9に対するフォワードプライマーは、5’−CTG TAA ATC ATC TGT GAA TCC AGA GGG G−3’(配列番号32)であり、PI3Kエキソン9に対するリバースプライマーは、5’−GTA AAT TCT GCT TTA TTT ATT CCA ATA GGT ATG G−3’(配列番号33)であった。PI3Kエキソン20に対するフォワードプライマーは、5’−CTA CGA AAG CCT CTC TAA TTT TGT GAC ATT TGA GC−3’(配列番号34)であり、PI3Kエキソン20に対するリバースプライマーは、5’−CTT GCT GTA AAT TCT AAT GCT GTT CAT GGA TTG TGC−3’(配列番号35)であった。野生型B−Rafポリペプチド配列は、Genbank受託番号NM004333(配列番号18)で見出される。野生型B−Raf cDNA配列は、図8(配列番号60)に示されている。B−Rafエキソン11に対するフォワードプライマーは、5’−GGG GAT CTC TTC CTG TAT CCC TCT CAG GC−3’(配列番号36)であり、B−Rafエキソン11に対するリバースプライマーは、5’−GTT TAT TGA TGC GAA CAG TGA ATA TTT CC−3’(配列番号37)であった。B−Rafエキソン15に対するフォワードプライマーは、5’−CAT AAT GCT TGC TCT GAT AGG−3’(配列番号38)であり、B−Rafエキソン15に対するリバースプライマーは、5’−GTA ACT CAG CAG CAT CTC AG−31’(配列番号39)であった。
Taq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics Corp)及び以下の条件を用いてPCRを行った。10×Taq緩衝液5μL、24mMのMgCl20.5μL、ゲノムDNA(約0.5ng)1μL、2.5mMのdNTPs7μL、Taqポリメラーゼ(5U)1μL及び29.5μLのddH2Oを合わせて、混合した。合わせたプライマー原液(それぞれ10μM)6μLを各チューブに添加した。サイクルプロトコールは、93℃で4分を1サイクル、93℃で10秒、62℃で30秒、72℃で30秒を35サイクル、72℃で4分を1サイクルであった。反応の終了時に、温度を4℃に維持した。
各個別のエキソンに対するPCR産物をプールし、ゲル精製した。製造業者の指示書に従って、TOPO−TA Cloning Kit(Invitrogen Corp)を用いて、精製され増幅されたエキソン配列をpCR2.1ベクター中にサブクローニングした。Genetix Colony Pickerによって、ベクター及び目的の挿入エキソンを含有するE.コリコロニーを選択した。液体培地中で、これらのコロニーを一晩増殖させた。製造業者の指示書に従って、QIAGEN 9600、3000又は8000Bio−robot(Qiagen)を用いて、各一晩細菌培養から得られたプラスミドDNAを単離した。
製造業者の指示書に従い、BigDye 3.1Terminator Kit(Applied Biosystems,Inc.)を用いて、各エキソンを含有する単離されたプラスミドDNAを配列決定した。3700、3100又は3730Genetic Analyzer(Applied Biosystems,Inc.)を用いて配列決定データを集め、SeQuencher program(GeneCodes Corp.)を用いて分析した。患者試料から得られたエキソン配列を野生型エキソン配列と比較した。結果は、図1及び2に模式的に示されている。
NSCLC患者腫瘍試料の変異分析(図1)によって、EGFr中に以下の幾つかの変異が同定された。2人の異なる患者中にEGFrのエキソン18中の2つの異なる変異(Q701H(配列番号40、配列番号3のポリペプチドをコードする。)及びL688P(配列番号41、配列番号2のポリペプチドをコードする。))、2人の異なる患者中にEGFrのエキソン19中の15塩基対の欠失(配列番号42、配列番号4のポリペプチドをコードする。)及び変異(K745N(配列番号43、配列番号5のポリペプチドをコードする。))、3人の異なる患者中にEGFrのエキソン20中の3つの異なる変異(C781R(配列番号44、配列番号6のポリペプチドをコードする。)、T790M(配列番号45、配列番号8のポリペプチドをコードする。)及びアミノ酸771と772の間のヒスチジン挿入(配列番号46、配列番号7のポリペプチドをコードする。))、単一の患者中にEGFrのエキソン21中の1つの変異(Q849R(配列番号47、配列番号10のポリペプチドをコードする。))並びに2つの異なる患者中のEGFrのエキソン23中の2つの異なる変異(V948A(配列番号48、配列番号13のポリペプチドをコードする。)及びF910L(配列番号49、配列番号12のポリペプチドをコードする。))。NSCLC患者試料中のPI3Kエキソンの分析によって、7人の異なる患者中に観察されたPI3Kのエキソン9中に単一の変異(E545A(配列番号50、配列番号16のポリペプチドをコードする。)を同定し、PI3Kのエキソン20中には変異を同定しなかった。B−Rafエキソン15の分析も、2人の異なる患者中に単一の変異(V600E(配列番号51、配列番号19のポリペプチドをコードする。))を同定した。
これに対して、CRC患者の腫瘍試料の変異分析は、20人のCRC患者中にはEGFrの変異を一切同定しなかった(図2)。20人の患者のうち13人が、NSCLC患者試料中に以前に同定されたPI3Kのエキソン9中に同一のE545A変異(配列番号50、配列番号16のポリペプチドをコードする。)を有していた。さらに、このエキソン中に、3人の他の患者中に変異E542K(配列番号53、配列番号15のポリペプチドをコードする。))が同定された。単一の患者において、PI3Kのエキソン20中に1つの変異(H1047L(配列番号54、配列番号17のポリペプチドをコードする。))が同定された。
このように、12の異なるEGFr変異、1つのPI3K変異及び1つのB−Raf変異がNSCLC患者の腫瘍試料中に同定された一方で、CRC患者の腫瘍試料中には、3つのPI3K変異が同定され、EGFr変異は同定されなかった。
〔実施例2〕
拡張された非小細胞肺癌腫変異分析
39人のさらなるNSCLC患者腫瘍試料の拡張された変異研究を行った。化学療法及び/又はパニツムマブによる患者の治療の前に、化学療法治療単独(カルボプラチン/パクリタキセル)と、ヒト抗EGFr抗体(Amgen)であるパニツムマブと組み合わされた化学療法治療とを比較する第一次NSCLC試験に参加した39人の患者から得た二重盲検腫瘍試料を得た。実施例1に記載されている同一のDNA単離、増幅、サブクローニング及び分析操作を用いて、変異の存在について、EGFrエキソン18、19、20、21及び23並びにB−Rafエキソン11及び15を分析した。39個の試料が表3に詳述されており、これらの試料の分析の結果は図3に示されている。
分析の結果は、EGFrエキソン20又は23中に変異を同定しなかった。4つの異なる患者試料中のEGFrエキソン18(L688P(配列番号41、配列番号2のポリペプチドをコードする。))中に、単一の変異が同定された。単一の患者試料中に、EGFrエキソン19中の単一の15塩基対欠失(配列番号42、配列番号4のポリペプチドをコードする。)が同定された。それぞれ2人の異なる患者において、EGFrエキソン21(L858R(配列番号61、配列番号11のポリペプチドをコードする。)及びL828停止(配列番号56、配列番号9のポリペプチドをコードする。))中に、2つの変異が同定された。B−Rafエキソン11中には変異が同定されなかった。単一の患者試料中において、B−Rafのエキソン15中に1つの変異K601E(配列番号57、配列番号20のポリペプチドをコードする。))が同定された。観察された変異のうち、2つが、実施例1において既に同定されており(EGFrエキソン18中のL688P及びEGFrエキソン19中の15塩基対の欠失)、3つが新たに同定された(EGFエキソン21中のL858R及びL828停止並びにB−Rafエキソン15中のK601E)。EGFr遺伝子中の合計9つの確認された変異が8人のNSCLC患者試料中に同定され、B−Raf遺伝子中の1つの確認された変異が1人のNSCLC患者中に同定された。
〔実施例3〕
変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化能の分析
典型的には、EGFrは、EGF又はTGF−αなどのリガンドへの結合時に、内部移行への前駆体として自己リン酸化現象を経験する。従って、インビトロでのEGF誘導性EGFrリン酸化の阻害を測定するために、実施例2で同定された特定のEGFr変異体ポリペプチドを研究した。
野生型(配列番号1)又は変異されたEGFrポリペプチドを過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株が構築された。各株からの細胞を播種し、EGFでの刺激前に、パニツムマブ又はゲフィチニブ(IressaTM、4−キナゾリンアミン、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−[3−4−(モルホリン)プロポキシ]、小分子キナーゼ阻害剤)の何れか0〜2μMで処理した。EGF誘導性自己リン酸化に対するIC50は、ゲフィチニブ及びパニツムマブ処理された試料に対して計算された(表4)。野生型EGFr及びT790M変異体EGFrポリペプチドに対する生の電気泳動データが図4に示されている。
表4に示されているように、野生型EGFr及び15塩基対の欠失及びL858R EGFr変異体に対して、低濃度のEGFr自己リン酸化を抑制する上で、ゲフィチニブ及びパナツムマブの両方が有効であった。しかしながら、ゲフィチニブ(IC50>2000nM)によって、T790M変異体EGFrポリペプチドの自己リン酸化は阻害されなかったが、パニツムマブ(0.23nMのIC50)によって効果的に阻害された。従って、パニツムマブは、EGFrエキソン20中にT790M変異を有するNSCLC患者に対して、ゲフィチニブより有効な処置であり得る。
〔実施例4〕
変異分析のパニツムマブ効果との相関
実施例2の変異分析後、変異が観察された患者について研究の結果を非盲検とした(表5)。腫瘍サイズに基づいて、安定な疾病又は進行性の疾病の改善を特定するためのガイドラインを提供する固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)を用いて、6週毎に、調査者によって臨床データを評価した(Therasse et al.,February 2000,“New Guidelines to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumors,” J. Natl. Cancer Inst. 92(3):205−216を参照)。
結果は、化学療法と組み合わせたパニツムマブが、EGFrエキソン20中のT790M変異及びEGFrエキソン21中のL858R変異を有する患者に対して、少なくとも12週間、安定な疾病をもたらすことを、示している。化学療法/パニツムマブ併用療法を用いると、EGFrエキソン19中の15塩基対欠失を有する患者中に部分的な応答が観察された。これに対して、EGFrエキソン19中に同じ15塩基対欠失を有する患者は、化学療法処置のみで、安定な疾病を達成するに過ぎなかった。
最近の研究は、EGFrチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(IressaTM(AstraZeneca)及びエルロチニブ(TarcevaTM(Genentech)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリナミン)に対して感受性を示す、NSCLC由来の腫瘍中に幾つかのEGFr変異を同定した。Lynchら(2004,“Activating Mutations in the Epidermal Growth Factor Receptor Underlying Responsiveness of Non−Small−Cell Lung Cancer to Gefitinib,” New England J. Med. 350(21):2129−39)は、以下のEGFr変異:アミノ酸746−753領域中の欠失、L858R、L861Q及びG719Cが、ゲフィチニブによる処理に対する、NSCLC患者腫瘍の感受性と関連することを見出した。Paezら(2004,“EGFR Mutations in Lung Cancer:Correlation with Clinical Response to Gefitinib Therapy,”Science 304:1497−1500)は、Lynchらと同様の知見を有し、EGFr変異L858R、G719S及びアミノ酸746と759の間の様々な欠失変異を有する腫瘍を、ゲフィチニブによる治療に対して感受性があると同定した。Paoら2004(“EGF receptor gene mutations are common in lung cancers from“never smokers” and are associated with sensitivity of tumors to gefitinib and erlotinib,”Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(36):13306−13311)は、類似のEGFr変異(E746−A750欠失、L747−S752欠失、L858R及びR776C/L858R)がゲフィチニブ又はエルロチニブによる治療に対するNSCLC腫瘍の感受性と関連することを見出した。
これらの研究と同様、実施例1及び2に論述されている研究も、NSCLC腫瘍を伴うEGFr変異として、エキソン19中の15塩基対欠失変異体及びエキソン21中のL858Rを同定した。非盲検化された患者の転帰が利用可能なデータのうち、これらの2つの変異又はT790Mの何れかを含有する腫瘍は、化学療法と組み合わせたパニツムマブによって阻害された。しかしながら、T790M変異は、ゲフィチニブ/エルロチニブ実験において以前に同定されなかった。インビトロ研究は、T790M EGFr変異体の自己リン酸化はパニツムマブの極めて低濃度で効果的に阻害されるのに対して、ゲフィチニブはこの変異体EGFrの自己リン酸化の効果的阻害剤ではないことを示す。従って、パニツムマブ併用療法は、T790M EGFr変異体に対する効果的な治療であり得るが、ゲフィチニブは効果的な治療ではあり得ない。
他の実施形態は、明細書の検討及び本明細書に開示されている本発明の実施から当業者に自明である。明細書及び実施例は、典型的なものに過ぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されるものとする。
パニツムマブ第2相NSCLC臨床試験から得られたEGFr体細胞遺伝子変異の同定及び前臨床性質決定:パニツムマブ感受性及びゲフィチニブ耐性を有する新規変異の発見
Freeman D,1* Juan T,1* Sarosi I,1 Crawford J,2 Sandler A, 3 Schiller J,4 Prager D,5 Johnson D,3 Jerian S,1 Radinsky R1(*これらの著者は同等に寄稿した。),
1Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA;2Duke University Medical Center,Durham,NC;3 Vanderbilt−lngram Cancer Center,Nashville,TN;4University of Wisconsin,Madison,WI;5UCLA Medical Center,Los Angeles,CA
背景:EGFrチロシンキナーゼ阻害剤とモノクローナル抗体間の異なる機序を理解することは、EGFr経路及び臨床的な有益性をもたらすと思われる治療法に対する洞察を導き得る。完全なヒトモノクローナル抗体であり、EGFr細胞外ドメインに対して誘導されたパニツムマブは、現在、化学療法(カルボプラチン/パクリタキセル)と化学療法+パニツムマブを比較する第一次NSCLC試験において研究されている(n=175;主要評価項目=無増悪期間)。EGFr遺伝子変異について、60人の患者を評価した。本研究の目的は、パニツムマブが、ゲフィチニブに比べて、新規EGFr変異に対して異なる活性を有するかどうかを決定することであった。
方法:切開されたFFPE腫瘍切片(前処理)からゲノムDNAを単離した。EGFr遺伝子エキソン18、19、20、21及び23に対してPCRを行い、PCR産物をプールし、サブクローニングし、エキソン当り30を超えるコロニーの配列を決定し、Genetic Analyzerで分離した。その後のPCR及びゲノムDNA配列決定によって、変異の存在が確認された。これらのデータは、臨床結果データ(調査者は、6週ごとに、RECISTによって評価した。)に関連付けられた。インビトロでのEGF誘導性EGFr自己リン酸化の阻害を測定するために、WT及び変異体EGFrを過剰発現しているCHO細胞を、EGF刺激の前に、パニツムマブ又はゲフィチニブの何れか0−2μMで処理した。
結果:60人のNSCLC患者が、8人の患者中に5つの異なる体細胞EGFr遺伝子変異を示した。
*PR=部分的応答、SD=安定な疾病、PD=進行性の疾病
EGFr野生型、エキソン19欠失、エキソン21点変異及び新規エキソン20変異のEGF誘導性自己リン酸化に対するIC50は、ゲフィチニブで前処理された細胞については、14.6、1.4、3.2及び>2000nMであり、パニツムマブで前処理された細胞については、0.23、0.17、0.18及び0.23nMであった。
結論:8人の患者が、EGFr体細胞遺伝子変異を有していた。EGFrを過剰発現しているCHO細胞において、パニツムマブは、変異の状態に関わらず、EGF誘導性EGFR自己リン酸化を阻害した。エキソン20中の新規EGFr変異は、パニツムマブに対するインビトロ感受性、ゲフィチニブに対する耐性及びパニツムマブ+化学療法での治療に応答して、2サイクルにわたり(約12週間)、安定な疾病を経験した患者での臨床的有益性を伴う。
パニツムマブ+パクリタキセル及びカルボプラチン又は化学療法のみで治療されたNSCLC患者中のEGFr遺伝子変異の分析
Freeman D,1* Juan T,1* Sarosi I,1 Crawford J,2 Sandler A, 3 Schiller J,4 Prager D,5 Johnson D,3 Moss S,1 Radinsky R1(*これらの著者は同等に寄稿した。)、
1Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA;2Duke University Medical Center,Durham,NC;3 Vanderbilt−lngram Cancer Center,Nashville,TN;4University of Wisconsin,Madison,Wl;5UCLA Medical Center,Los Angeles,CA
背景:パニツムマブは、上皮成長因子受容体(EGFr)に対して誘導された完全なヒトモノクローナル抗体である。最近のデータは、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の部分集団において、EGFrキナーゼドメイン中の体細胞遺伝子変異が小分子チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性を伴うことを示唆している。パニツムマブ処理に対する患者の転帰とのEGFr遺伝子変異の関連性が存在すれば、これを決定するために、パクリタキセルとカルボプラチン(化学療法)とパニツムマブ+化学療法の有効性と安全性を比較する無作為化された第2相研究に登録した60人のNSCLC患者の腫瘍中に、EGFr遺伝子を配列決定した。適格な患者は、段階IIIb/IV疾病及び免疫組織化学によって示されたところにより、腫瘍細胞の10%超に1+、2+又は3+のEGF発現を有する腫瘍を有していた。腫瘍応答は、RECIST基準を用いて、6週毎に、調査者によって評価された。本研究は登録を終え(n=175)、治療が進行中である。
方法:ホルマリン固定され、パラフィン包埋された組織切片の、光学顕微鏡下での解剖により、隣接する正常な組織、壊死片及び間質から腫瘍組織(前処理)を分離した。ゲノムDNAを単離し、EGFr遺伝子のエキソン18、19、20、21及び23に対してPCRを行った。PCR産物をプールし、サブクローニングし、最低30個のコロニー/エキソン/患者を分析した。その後のPCR及び精製されたゲノムDNAの配列決定を使用して、変異の存在を確認した。蛍光色素ターミネーター化学を用いてEGFrの変異分析を行い、Genetic Analyzer上で分割した。
結果:60人のNSCLC患者のDNA配列決定によって、計8人の患者(4人は化学療法治療群から及び4人の患者は化学療法+パニツムマブ治療群から)中に体細胞EGFr遺伝子変異が明らかとなった。
*PR=部分的応答、SD=安定な疾病、PD=進行性の疾病
結論:EGFr体細胞遺伝子変異について、60人のNSCLC患者を評価した。8人の患者がEGFr遺伝子変異を有することが明らかとなり、3人の患者はパニツムマブ+化学療法により、部分的応答又は安定な疾病を有することが観察され、1人の患者はパニツムマブ+化学療法に対して応答しなかった。4人の患者は、化学療法単独で、部分的応答又は安定な疾病を有することが観察された。60人の患者の転帰が提示されている。