JP2012149034A - 複合粒子、光音響イメージング用造影剤、及び光音響イメージング方法 - Google Patents

複合粒子、光音響イメージング用造影剤、及び光音響イメージング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大きい音響波を発生することができ、抗体と有機色素をともに多く結合させることができる、複合粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】 無機材料を有する粒子と、前記粒子に結合した有機色素と、抗体とを有する複合粒子において、前記抗体が前記有機色素に結合していることを特徴とする複合粒子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合粒子、光音響イメージング用造影剤、及び光音響イメージング方法に関する。
MRI用造影剤であるリゾビスト(登録商標)(複数の酸化鉄粒子を多糖類のデキストランでコーティングしたもの)は音響波を発生することが知られている(非特許文献1)。
一方、CLIO(複数の酸化鉄粒子を、架橋したデキストランでコーティングしたもの)の表面に蛍光色素Cy5.5及び抗体を結合させた粒子が知られている。この粒子は、抗原の、MRI及び蛍光イメージングに用いることができる(非特許文献2)。
Biomed Tech 2009;54:83−88 Bioconjugate Chem.2005,16,576−581
しかし、リゾビスト(登録商標)は音響波を発生するものとして酸化鉄粒子のみを有するため、リゾビスト(登録商標)から発生する音響波は小さく、より大きい音響波を発生する光音響イメージング用造影剤が望まれていた。また、リゾビスト(登録商標)は抗体を有しないため、抗原を特異的に検出することは困難であると考えられる。
一方、非特許文献2に記載の粒子は、粒子の表面に抗体と蛍光色素を結合させるため、抗体と蛍光色素をともに多く結合させることができないという問題があった。
第一の本発明に係る複合粒子は、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第一の色素を含む粒子と、前記粒子の表面に結合した、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第二の色素と、抗体と、を有する複合粒子において、前記抗体が前記第二の色素に結合していることを特徴とする。
第二の本発明に係る複合粒子は、無機材料を有する粒子と、前記粒子に結合した有機色素と、抗体とを有する複合粒子であり、前記抗体を前記有機色素に結合していることを特徴とする。
本発明に係る複合粒子は、音響波を発生するものとして、第一の色素に加えて第二の色素を有するため、大きい音響波を発生することができる。また、本発明に係る複合粒子は、抗体を第二の色素に結合させることができるため、抗体と第二の色素をともに多く有する。
本発明の実施形態に係る複合粒子を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係る複合粒子の調製方法を示す模式図である。 本実施例における(a)仕込んだ色素Aのモル数と結合した色素Aのモル数との関係を示すグラフ、(b)結合した色素Aのモル数と蛍光強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例における(a)仕込んだ色素Bのモル数と、結合した色素Bのモル数との関係を示すグラフ、(b)結合した色素Bの数と光音響信号強度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例における、NP−2−395−IgGなどの光音響信号強度を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限られない。
(実施形態1)
本実施形態に係る複合粒子は、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第一の色素を含む粒子(以下、コア粒子と呼ぶことがある)と、前記粒子の表面に結合した、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第二の色素と、抗体と、を有する複合粒子において、前記抗体が前記第二の色素に結合していることを特徴とする。
本実施形態に係る複合粒子は、第一の色素に加えて、第二の色素を有するため、光を多く吸収し、大きな音響波を発生させることができる。また抗体は、粒子102に結合した第二の色素の一部または全部に結合することができる。なお、第二の色素が、抗体が結合することのできる結合サイトを複数有する場合は、抗体は、1つの第二の色素に複数個結合することができる。このような形態をとることで、複合粒子は第二の色素と抗体の両方ともに、多く有する。その結果、この複合粒子に光を照射すると、発せられる音響波は大きく、抗原部位をより正確に検出することができる。
なお、第二の色素が、粒子の表面の、第二の色素が結合することのできる結合サイト全部に結合していない場合、第二の色素が結合していない結合サイトに、抗体を結合させることもできる。なお、抗体にさらに別の抗体を結合させてもよい。抗体と別の抗体は同じでもよいし、異なっていてもよい。
第一の色素を有する粒子に第二の色素が結合した複合粒子に比べて、第一の色素を有する粒子に第二の色素が結合し、その第二の色素に抗体(音響波を発しない)が結合した複合粒子は、より大きな音響波を発生する。これは、第二の色素に抗体が結合している場合、第二の色素に光が照射されることで得た励起エネルギーが蛍光として発せられにくいからであると考えられる。つまり、第二の色素に抗体が結合していると、第二の色素の励起エネルギーの少なくとも一部は抗体の振動や回転エネルギー、あるいは周囲の媒体の熱エネルギーへと変換される。そして、抗体の振動や回転エネルギーの少なくとも一部は、第一の色素や周囲の媒体へ伝わり熱エネルギーとして消費される結果、音響波として発せられると考えられる。その結果、第二の色素に抗体が結合していない場合に比べて、抗体が結合している場合の方が、大きな音響波を生じると考えられる。
本実施形態において第一の色素及び第二の色素は、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上であれば、特に限定されない。好ましくは、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10−1cm−1以上、さらに好ましくは10−1cm−1以上、特に好ましくは、10−1cm−1以上の場合である。モル吸光係数が大きいと、発せられる音響波の強度は大きくなり、光音響イメージング法において、より大きな信号強度を得ることができる。なぜなら、モル吸光係数と音響波の強度とは、比例関係にあるからである。
本実施形態における第一の色素、第二の色素として、無機材料や有機色素を用いることができる。
本実施形態におけるコア粒子として、無機材料、有機色素の少なくともいずれか一方を有する粒子を用いることができるが、無機材料を有する粒子を用いることが好ましい。
本実施形態における第一の色素と第二の色素とは異なることが好ましく、第一の色素が無機材料で、第二の色素が有機色素であることがさらに好ましい。
(無機材料)
本実施形態における無機材料としては、例えば、金属酸化物、金属、その他の無機材料を挙げることが出来る。
上記の金属酸化物としては、例えば、酸化鉄(Fe、Fe)、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化ホウ素を挙げることが出来る。上記の金属としては、例えば、金、銀、銅、白金を挙げることが出来る。また、金、銀、銅、白金の混成によるコロイドを用いることも可能である。その他の無機材料としては、例えば、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム、硫化亜鉛、硫化鉛、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、シュウ酸鉄を挙げることが出来る。無機材料としては、600nm乃至1300nmの波長領域に吸収をもつ、酸化鉄の粒子(以下、酸化鉄粒子と呼ぶことがある)を用いることが好ましい。
本実施形態に係る無機材料の形状は特に限定されず、例えば、球状、ナノロッド、ナノキューブ、ナノプリズム、ナノシェルなどが挙げられる。また無機材料は、乾燥した粒子の状態で存在してもよく、液体中にコロイド状となって存在していてもよい。
(無機材料の粒径)
本明細書において、無機材料の粒径は、透過型電子顕微鏡(TransmissionElectron Microscope、TEM)で撮影した無機材料の像の直径を測定することにより求めた。無機材料の像が真球状でない場合は、無機材料の像の短軸と長軸の長さを測定し、それらの値の平均値を直径とした。
本実施形態において、無機材料の粒径は、15nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
(酸化鉄粒子)
本実施形態における酸化鉄粒子としては特に限定されず、例えば、Fe(マグネタイト)、γ−Fe(マグヘマイト)、またはこれらの混合物からなる粒子を用いることができる。マグネタイトは、マグヘマイトより600nm乃至1300nmの波長領域におけるモル吸光係数が高いことが知られており、発せられる音響波が、マグへマイトに比べて大きいと考えられるため、酸化鉄はマグネタイトであることが好ましい。
また、本実施形態における酸化鉄粒子は、単結晶、多結晶、非晶質(アモルファス)のいずれの結晶状態でもよい。
本実施形態における酸化鉄粒子は市販のものを用いてもよいし、以下の方法で得たものを用いてもよい。例えば、FeClとFeClを水に溶解させて溶解液とし、この溶解液を攪拌しながらアンモニア水を加えて、酸化鉄粒子を得る方法である。
酸化鉄粒子を有する粒子は多数市販されており、当業者が適宜のものを容易に入手し利用できる。なお、酸化鉄粒子を有する粒子の製造方法についても多数の文献があり、それらを参照することで、容易に合成することが可能である。例えば、FeCl・6HO(25.5g)とFeCl・4HO(10.2g)を混合、溶解した水溶液(600ml)と、粉末状デキストラン(分子量10000ダルトン、360g)と30%NHOH溶液(30ml)を用いて、米国特許第5262176号の方法に準じて、酸化鉄粒子を有するデキストラン粒子のコロイド溶液を調製できる。また、酸化鉄粒子を有する粒子に各種リンカー分子を結合させることも可能である。例えば、カルボジイミド縮合剤である1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.6mg)と3,6−ジオキサオクタン二酸(3.6mg)を、0.5M β−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(1.25ml、pH=6.3)で溶解し、50℃で10分間インキュベートして、上記のデキストラン粒子コロイド溶液に加え、室温で2時間反応させ、磁石を用いてデキストラン粒子を精製することで、オリゴエチレンオキシドをリンカー分子とし、その末端にカルボキシル基を持つデキストラン粒子が得られる。
本実施形態に係る複合粒子の有する酸化鉄粒子は1次粒子でもよいし、2次粒子でもよい。本実施形態における酸化鉄粒子は、その1次粒子の表面、あるいは、2次粒子の表面が表面修飾剤で被覆されていてもよい。
(酸化鉄粒子の粒径)
本明細書において、酸化鉄粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)で撮影した酸化鉄粒子の像の直径を測定することにより求めた。粒子の像が真球状でない場合は、酸化鉄粒子の像の短軸と長軸の長さを測定し、それらの値の平均値を直径とした。
本実施形態において、酸化鉄粒子の粒径は、15nm以上500nm以下であることが好ましく、20nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る複合粒子は、酸化鉄粒子を1個のみ有していてもよく、2個以上有していてもよい。複合粒子の有する酸化鉄粒子の粒径が500nmである場合、複合粒子の有する酸化鉄粒子は3個以下であることが好ましい。
(無機材料を有する粒子)
本実施形態において無機材料を有する粒子とは、光を吸収して音響波を発するものであれば特に限定されない。ここで、光とは、紫外光(10nm乃至400nmの波長を有する電磁波)、可視光(400nm乃至600nmの波長を有する電磁波)または近赤外光(600乃至1300nmの波長を有する電磁波)などである。本実施形態における無機材料を有する粒子としては、近赤外光を吸収して音響波を発するものであることが好ましい。
本実施形態に係る無機材料を有する粒子は、(1)無機材料のみからなる粒子、(2)無機材料を無機物もしくは有機物中に分散してなる粒子、(3)無機材料を無機物もしくは有機物で被覆してなる粒子のいずれかをいう。本実施形態において、(1)乃至(3)のいずれかもしくはその組み合わせを使用することができる。
本実施形態において、無機材料を有する粒子は後述する無機材料の少なくとも1種類を含んでいればよく、2種類以上含んでいても良い。また、無機材料を有する粒子中の無機材料の数は少なくとも1個を含んでいればよく、2個以上含んでいても良い。
無機材料を有する粒子の例として、デキストランで被覆された酸化鉄からなる粒子を考える。このとき、デキストランと酸化鉄の重量比(デキストラン(g)/酸化鉄(g))は0.1乃至10の範囲であることが好ましく、1乃至5の範囲であることがさらに好ましい。デキストランと酸化鉄の重量比が0.1以上であれば、酸化鉄が粒子の表面に露出しにくく、粒子の分散安定性がよいと考えられる。
(無機材料を有する粒子の形状)
本実施形態における無機材料を有する粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状、ナノロッド、ナノキューブ、ナノプリズム、ナノシェルなどが挙げられる。
(無機材料を有する粒子の粒径)
本明細書において、無機材料を有する粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)で撮影した無機材料を有する粒子の像の直径を測定することにより求めた。粒子の像が真球状でない場合は、無機材料を有する粒子の像の短軸と長軸の長さを測定し、それらの値の平均値を直径とした。
本実施形態において、無機材料を有する粒子の粒径は、1nm乃至950nmであることが好ましく、15nm乃至500nmであることがさらに好ましい。また、200nm以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る無機材料を有する粒子は、600nm乃至1300nmの波長領域におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上であることが好ましく、10−1cm−1以上であることがさらに好ましく、10−1cm−1以上であることがさらに好ましく、10−1cm−1以上であることが特に好ましい。
(有機色素)
本実施形態において有機色素とは、光を吸収して音響波を発するものであれば特に限定されない。ここで、光とは、紫外光(10nm乃至400nmの波長を有する電磁波)、可視光(400nm乃至600nmの波長を有する電磁波)または近赤外光(600乃至1300nmの波長を有する電磁波)などである。本実施形態における有機色素としては、近赤外光を吸収して音響波を発するものであることが好ましい。
本実施形態における有機色素として例えば、シアニン系色素、アジン系色素、アクリジン系色素、ベリリウム系色素、キノン系色素、テトラサキクリン系色素、フラボン系色素、ポリエン系色素、BODIPY(登録商標)系色素、Hilyte Fluor(登録商標)系色素、ヘミシアニン系色素、ローダミン系色素、ストレプトシアニン系色素、スチルベン系色素、スチリル系色素、メロシアニン系色素、多核メロシアニン系色素、オキサゾール系色素、オキソノール系色素、オキサジアゾール系色素、アリーリデン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素、クマリン系色素、ナフタルイミド系色素、または金属錯体色素、およびこれらの誘導体が挙げられる。上記色素群の中でも、例えばCy(登録商標)5.5(GE Healthcare UK社製)やAlexa Fluor(登録商標)750(Invitrogen社製)などのシアニン色素は、色素分子内の芳香環にスルホン酸基を有しているため高い水溶性を有しており、生体内など水分子の多い環境下で用いる際に適している。
本実施形態に係る有機色素の具体例としては、下記の式(1)乃至(4)で表される化合物が挙げられる。
有機色素を第二の色素として用いる場合、有機色素は、反応性官能基を2つ以上有する多官能性色素であることが好ましい。ここで「反応性官能基」とは、適切な条件下において、コア粒子と結合することができる官能基、後述する抗体の有する官能基と結合することができる官能基を意味する。反応性官能基として、例えばカルボキシル基、アミノ基、マレイミド基、ヒドロキシル基、チオール基、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基などが挙げられる。反応性官能基を2つ有する有機色素の具体例としては、以下の式(5)で表される、Cy(登録商標)5.5 bisfunctional reactive dye(GEヘルスケア社製)が挙げられる。下記の式(5)で表される有機色素は、反応性官能基であるマレイミド基を2つ有する。下記の式(6)で表わされる有機色素は、反応性官能基であるNHS基を2つ有するCy(登録商標)5.5である。下記の式(7)で表わされる有機色素は、反応性官能基であるカルボキシル基を2つ有するシアニン系の色素である(以下では、Cypateと呼ぶことがある)。
また、有機色素が反応性官能基を2つ以上有する場合、それらの反応性官能基は互いに異なることが好ましい。異なることで、有機色素の有する1つの反応性官能基はコア粒子と結合し、他の反応性官能基はコア粒子と結合しにくく、その後に結合させる抗体に結合させやすいからである。例えば、2つの反応性官能基を有し、それらが同じである場合、それら官能基が2つともコア粒子に結合してしまうおそれがあり、該有機色素に抗体を結合させることができないおそれがある。
また、有機色素が反応性官能基を1つのみ有する一官能性色素を化学修飾することで、多官能性色素とし、本実施形態における有機色素として用いてもよい。一官能性色素として例えば、下記の式(8)で表される、Cy(登録商標)5.5 monofunctional reactive dye(GEヘルスケア社製)が挙げられる。
(コア粒子)
本実施形態において、コア粒子が無機材料、有機色素の少なくともいずれか一方を有する場合、無機材料や有機色素は、無機物もしくは有機物中に分散されていてもよく、無機物もしくは有機物で被覆されていてもよい。コア粒子が無機材料や有機色素そのものであってもよい。
上記の、無機材料あるいは有機色素を分散または被覆する有機物としては、例えば、多糖類、蛋白質、ペプチド、核酸、合成高分子、リポソーム、ポリマーミセル、ポリイオンコンプレックス、脂肪酸、界面活性剤を挙げることが出来る。
上記多糖類としては、例えば、デキストラン、プルラン、マンナン、アミロペクチン、キトサン、キシログルカン、ヒアルロン酸、アルギン酸、水溶性セルロース、でんぷん、アガロース、カラギーナン、ヘパリンを挙げることが出来る。また、これら多糖類にアミノ基、水酸基、カルボキシル基、マレイミド基といった官能基が導入された誘導体を用いることもできる。
上記蛋白質としては、例えば、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン、フィブリンを挙げることが出来る。
上記合成高分子としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリアリルアミン、ポリアミドアミンデンドリマーなどのアミノ基を有する高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水酸基を有する高分子、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸などのカルボキシル基を有する高分子、ポリ無水マレイン酸などの酸無水物を有する高分子、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレングルコール、などの生体適合性を有する高分子を挙げることが出来る。
また、上記の合成高分子を構成するモノマーユニットと、他の合成高分子のモノマーユニットとを有する共重合体を用いてもよく、その例としてポリ乳酸−グリコール酸共重合体が挙げられる。
上記リポソームを構成するリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリンを挙げることが出来る。
上記ポリマーミセルを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールからなる親水性セグメントと、ポリラクチド、ポリラクチドグリコリド共重合体、ポリε−カプロラクトンからなる群より選ばれる疎水性セグメントと、を有するブロックコポリマーを挙げることが出来る。
上記のポリイオンコンプレックスを形成するポリマーの組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリアリルアミンからなる群より選ばれるポリカチオンセグメントを有するポリマーと、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸からなる群より選ばれるポリアニオンセグメントを有するポリマーとを挙げることが出来る。
また、ポリイオンコンプレックスを形成するポリマーを構成するモノマーユニットと、他のポリマーのモノマーユニットとを有する共重合体を用いてもよい。
上記の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、ラウロレイン酸、フィセテリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、イソラウリン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などの分岐脂肪酸、を挙げることが出来る。
上記の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキル硫酸塩、リン脂質、ポリオキシエチレンソルビタン系脂肪酸エステル、を挙げることが出来る。
上記の、無機材料あるいは有機色素を分散または被覆する前記無機物としては、例えば、シリカ、炭酸塩、ヒドロキシアパタイトを挙げることが出来る。
上記の、無機材料あるいは有機色素を分散もしくは被覆する有機物及び無機物は、単独で使用してもよく、任意に混合して用いてもよい。
無機材料あるいは有機色素を分散もしくは被覆する、有機物や無機物としては、上記の反応性官能基を有するものであることが好ましい。なぜなら、反応性官能基に第二の色素を結合させやすいからである。この反応性官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、マレイミド基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
無機材料あるいは有機色素を分散もしくは被覆する、有機物の一例であるデキストランに、この官能基を導入する方法としては、公知の化学修飾法を用いることができる。例えば、デキストラン粒子をエピクロロヒドリンで架橋後、アンモニア処理をすることにより、アミノ基を有するデキストラン粒子を作製できる。
(コア粒子と有機色素との結合)
コア粒子が上記の反応性官能基を有する場合、カップリング反応などによって、第二の色素をコア粒子に直接結合させることができる。
直接結合させる例として、アミド化反応等が挙げられる。この反応は、例えば、コア粒子がカルボキシル基またはそのエステル誘導体を有し、第二の色素がアミノ基を有する場合、カルボキシル基またはそのエステル誘導体と、第二の色素の有するアミノ基の縮合反応により行なわれる。カルボキシル基を直接アミド化する場合には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N’−Dicyclohexylcarbodiimide)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)などのカルボジイミド縮合剤を用いることができ、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などを用いてカルボキシル基を予め活性化エステルとしてアミド化反応を促進させることもできる。
そのほかにも、コア粒子がチオール基を有し、第二の色素がマレイミド基を有する場合、チオール基とマレイミド基との結合反応も例として挙げることができる。この反応では、pHが中性の領域において効率的かつ選択的な結合反応を行える。この反応により第二の色素が結合した、コア粒子は、限外ろ過法、ゲルろ過クロマトグラフィー法などにより洗浄、精製することができる。また、コア粒子が酸化鉄を有する場合など、コア粒子が強磁性体である場合、永久磁石を用いた磁気分離法により、洗浄や精製を行うことができる。一方、コア粒子が非常に小さく、超常磁性を示す場合では、高勾配磁場下での磁気カラムを用いて、コア粒子の洗浄、精製を行うことができる。
コア粒子と第二の色素の結合方法や、コア粒子や、第二の色素の有する官能基の種類については前記のものに限定されることはなく、利用可能な種々の結合方法及び公知の官能基から当業者が適宜選択できる。
上記のように、第二の色素は光を吸収して音響波を発するものであるため、コア粒子に結合する第二の色素は多ければ多いほどよい。
(抗体)
本実施形態において抗体とは、特定の抗原又は物質に応答して免疫系により誘発されるイムノグロブリンファミリーのタンパク質の総称であり、特定の標的分子を認識し、かつこの標的分子に特異的に結合することができる物質である。本明細書において、「特異的に結合」とは、標的分子との解離定数KD(値が小さいほど結合親和性は高い)が1μM以下であると定義する。
本実施形態における抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、もしくはキメラ抗体でもよく、他の種由来のものでもよい。また、抗体は、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体とのいずれでもよい。
本実施形態における抗体は全抗体でも、抗体フラグメントでもよい。抗体フラグメントとは、抗体の一部分であり、標的分子に特異的に結合することのできるものを指す。抗体フラグメントとして例えば、Fabフラグメント(以下「Fab」と略すことがある)、Fab’フラグメント(以下「Fab’」と略すことがある)、F(ab’)、重鎖可変(VH)領域単独、軽鎖可変(VL)領域単独、VHとVLの複合体、あるいはラクダ化VHドメイン、または抗体の相補正決定領域(CDR)を含むペプチド、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを連結した一本鎖抗体(scfv)が挙げられる。一本鎖抗体は、ヒト化一本鎖抗体であることが好ましい。一本鎖抗体は、各種抗原に対応して安価かつ簡便に作製することができる。また、一本鎖抗体は、全抗体などと比べて分子量が小さいため、無機材料を有する粒子に抗体をより多く結合させることができる。さらに、一本鎖抗体は抗体のFc部位(定常部位)を持たないため、抗原性が低いと考えられる。そのため、一本鎖抗体は本実施形態に係る複合粒子の抗体として好ましい。
(標的分子)
本実施形態に係る複合粒子は、例えば、腫瘍のような病的組織を検出するための光音響イメージングに用いられる。したがって、上記の標的分子は例えば、病変部位で特異的に発現している分子、特に腫瘍部位に特異的に発現している分子である。具体的には、腫瘍抗原、受容体、細胞表面の膜タンパク質、タンパク質分解酵素、サイトカイン等が挙げられる。
前記腫瘍抗原の具体例としては、Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)ファミリー、Vascular Endothelial Growth Factor Receptor(VEGFR)ファミリー、Prostate Specific Antigen(PSA)、Carcinoembryonic Antigen(CEA)、Matrix Metalloproteinase(MMP)ファミリー、Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR)ファミリー、Epidermal Growth Factor(EGF)、インテグリンファミリー、I型インスリン様増殖因子受容体(Type 1 insulin−like growth factor receptor:IGF−1R)、CD184抗原(CXCケモカインレセプター4:CXCR4)、胎盤増殖因子(placental growth factor:PlGF)などが挙げられ、特に好ましくは、EGFRファミリーであるヒト上皮成長因子受容体2(HER2)である。HER2は、ErbB2、c−Erb−B2、p185HER2といわれることもある。HER2はチロシンキナーゼ型受容体の一つである。HER2は乳癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、肺癌などの腺癌で遺伝子増幅し、過剰に発現する物質(タンパク質)である。そのため、本実施形態に係る複合粒子の有する抗体として、HER2に特異的に結合する抗体を用いれば、上記の癌の腫瘍部位を特異的検出することのできる光音響イメージング用造影剤とすることができる。なお、HER2に特異的に結合する抗体として、ハーセプチン(登録商標)(中外製薬社製)が挙げられる。
本実施形態に係る複合粒子は光音響イメージングの造影剤として用いることが出来るほか、核磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging,MRI)や蛍光イメージングの造影剤としても用いることが可能である。さらに、酸化鉄を有する粒子が強磁性や常磁性を有する場合では、HER2に特異的に結合する性質を利用して、HER2の磁気分離や精製に用いることができる。
本実施形態における抗体は例えば、前記抗原又はその部分ペプチドを免疫原として公知の抗体作製法により抗体を適宜作製することができる。また、その作製された抗体の遺伝子配列情報から、遺伝子組み換え法により上記の一本鎖抗体を組換えタンパク質として取得することもできる。また、抗体は、市販品を使用してもよい。
(第二の色素と抗体との結合)
第二の色素が上記の反応性官能基を有する場合、カップリング反応などによって、第二の色素を抗体に直接結合させることができる。
直接結合させる例として、アミド化反応等が挙げられる。この反応は、例えば、コア粒子の有するカルボキシル基またはそのエステル誘導体と、抗体の有するアミノ基の縮合反応により行なわれる。カルボキシル基を直接アミド化する場合には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(N,N’−Dicyclohexylcarbodiimide)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride)などのカルボジイミド縮合剤を用いることができ、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などを用いてカルボキシル基を予め活性化エステルとしてアミド化反応を促進させることもできる。
そのほかにも、第二の色素がチオール基を有し、抗体がマレイミド基を有する場合、チオール基とマレイミド基との結合でもよい。この反応では、pHが中性の領域において効率的かつ選択的な結合反応を行える。コア粒子に結合した第二の色素に抗体を結合させてできた、本実施形態に係る複合粒子は、限外ろ過法、ゲルろ過クロマトグラフィー法などにより洗浄、精製することができる。また、コア粒子が酸化鉄を有する場合など、コア粒子が強磁性体である場合、永久磁石を用いた磁気分離法により、洗浄や精製を行うことができる。一方、コア粒子が非常に小さく、超常磁性を示す場合では、高勾配磁場下での磁気カラムを用いて、複合粒子の洗浄、精製を行うことができる。
第二の色素と抗体との結合方法や、コア粒子の有する官能基の種類については前記のものに限定されることはなく、利用可能な種々の結合方法及び公知の官能基から当業者が適宜選択できる。
(複合粒子の粒径)
本実施形態において、複合粒子の粒径は、動的光散乱解析装置(DLS−8000、大塚電子社製)を用いて、動的光散乱(Dynamic Light Scattering、DLS)法によって測定される流体力学的直径を意味する。本実施形態に係る複合粒子の粒径は、上記の標的分子の存在部位によって、最適な粒径に調整して用いればよいが、1nm乃至1000nmであることが好ましく、15nm乃至500nmであることがさらに好ましい。
複合粒子の粒径が1000nm以下の場合、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多くの造影剤を集積させることができる。その結果、複合粒子を生体内に投与した後、生体に光を照射すると、腫瘍部位から発せられる光音響信号は正常部位から発せられる光音響信号よりも大きくなる。したがって、複合粒子の粒径を1000nm以下とすることにより、腫瘍部位を特異的に検出することができる。また、複合粒子の粒径は、200nm以下であることがさらに好ましい。複合粒子の粒径が200nm以下であると、複合粒子が血中のマクロファージに取り込まれにくく、血中滞留性が高くなると考えられるからである。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る複合粒子について、図1を用いて説明する。なお、本実施形態に係る複合粒子の各構成要素について、実施形態1で説明しているものに関しては、ここでは説明を省く。
本実施形態に係る複合粒子101は、無機材料を有する粒子102と、前記粒子に結合した有機色素103と、抗体104とからなる。そして、抗体104が、有機色素103に結合していることを特徴とする。
このように、有機色素103は、酸化鉄を有する粒子の有する、有機色素が結合することのできる結合サイトに結合することができる。また、抗体104は、粒子102に結合した有機色素103の一部または全部に結合することができる。なお、有機色素103が、抗体104が結合することのできる結合サイトを複数有する場合は、抗体104は、1つの有機色素に複数個結合することができる。このような形態をとることで、複合粒子は有機色素103と抗体104の両方ともに、多く有する。その結果、この複合粒子に光を照射すると、発せられる音響波は大きく、抗原部位をより正確に検出することのできる造影剤となる。
なお、有機色素103が、酸化鉄粒子を有する粒子の有する、有機色素が結合することのできる結合サイト全部に結合していない場合、有機色素103が結合していない結合サイトに、抗体104を結合させることもできる。なお、抗体104にさらに別の抗体を結合させてもよい。
無機材料を有する粒子に有機色素が結合した複合粒子に比べて、無機材料を有する粒子に有機色素が結合し、その有機色素に抗体(音響波を発しない)が結合した複合粒子は、より大きな音響波を発生する。これは、有機色素に抗体が結合している場合、有機色素に光が照射されることで得た励起エネルギーが蛍光として発せられにくいからであると考えられる。つまり、有機色素に抗体が結合していると、有機色素の励起エネルギーの少なくとも一部は抗体の振動や回転エネルギー、あるいは周囲の媒体の熱エネルギーへと変換される。そして、抗体の振動や回転エネルギーの少なくとも一部は、無機材料や周囲の媒体へ伝わり熱エネルギーとして消費される結果、音響波として発せられると考えられる。その結果、有機色素に抗体が結合していない場合に比べて、抗体が結合している場合の方が、大きな音響波を生じると考えられる。
(複合粒子の製造方法)
本実施形態に係る複合粒子の製造方法は、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第一の色素を含む粒子に、第二の色素を結合させる工程と、前記第二の色素に抗体を結合させる工程とを有する。
本実施形態に係る複合粒子の製造方法の一例について図2を用いて説明する。まず、無機材料を有する粒子102に有機色素103を結合させる。次に、抗体104を、無機材料を有する粒子に結合した有機色素に結合させる。このようにして複合材料を調製することができる。なお、有機色素103に抗体104を結合させた後に、抗体の結合した有機色素を、無機材料を有する粒子に結合させることで複合材料を調製してもよい。
(光音響イメージング用の造影剤)
本実施形態に係る複合粒子は、光を吸収して音響波を発するため、光音響イメージング用の造影剤として用いることができる。
ここで、本明細書において「造影剤」とは、主に、検体内にあって観察したい組織や分子とその周囲の組織や分子とのコントラスト差を生じさせ、当該観察したい組織や分子の形態情報あるいは位置情報の検出感度を向上させることができる物質と定義する。ここで「光音響イメージング」とは、上記の標的分子を光音響装置などによって、イメージングすることを意味し、「光音響分子イメージング用造影剤」とは、当該光音響イメージングに用いることの出来る造影剤を意味する。
(分散媒)
本実施形態に係る造影剤は、上記の本実施形態に係る複合粒子と分散媒とを有する。上記の分散媒は、本実施形態に係る複合粒子を分散させるための液状の物質であり、例えば生理食塩水、注射用蒸留水などが挙げられる。本実施形態に係る造影剤は、上記本実施形態に係る複合粒子をこの分散媒に予め分散させておいてもよいし、本実施形態に係る複合粒子と分散媒とをキットにしておき、生体内に投与する前に複合粒子を分散媒に分散させて使用してもよい。なお、本実施形態に係る造影剤は、必要に応じて本実施形態に係る複合粒子及び分散媒の他に薬理上許容できる添加物を有していても良い。
(光音響イメージング方法)
本実施形態に係る光音響イメージング方法は、上記の光音響イメージング用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程と、前記検体内に存在する前記造影剤から発生する音響波を検出する工程と、を有する。
本実施形態に係る光音響イメージング方法の一例は以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る造影剤を検体に投与し、あるいは前記検体より得られた臓器等の試料に添加する。なお、前記検体とは、ヒト以外の、実験動物やペット等の哺乳類、その他、特に限定されない。前記検体中もしくは検体より得られた試料として例えば、臓器、組織、組織切片、細胞、細胞溶解物などを挙げることができる。本実施形態に係る造影剤の投与あるいは添加後、前記検体等に対し近赤外波長領域のレーザーパルス光を照射する。
次に、本実施形態に係る造影剤からの光音響信号(音響波)を音響波検出器、例えば圧電トランスデューサで検出し、電気信号に変換する。この音響波検出器より得られた電気信号に基づき、前記検体等の中の吸収体の位置や大きさ、あるいは光吸光係数などの光学特性値分布を計算することができる。例えば、前記光音響信号が基準とする閾値以上で検出されれば、その検体に標的分子、あるいは、標的分子を産生する部位が存在すると推定され、または、試料に標的分子が存在する、あるいは、試料の由来となる検体に標的分子を産生する部位が存在すると推定することができる。
以下の実施例で複合粒子を作製する際に用いる具体的な試薬や反応条件を挙げているが、これらの試薬や反応条件は、変更が可能であり、それらの変更は本発明の範囲に包摂されるものとする。したがって以下の実施例は、本発明の理解を助けることが目的であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
(無機材料を有する粒子の作製)
(合成例1)
(多官能性色素と酸化鉄粒子を有する粒子との結合(1))
有機色素として上記の式(5)で表される、多官能性色素であるCy5.5 bisfunctional reactive dye(GEヘルスケア社製)(以下、色素Aと略すことがある)を用いた。色素Aとアミノ基を表面に有する、酸化鉄粒子を有する粒子である、nanomag(登録商標)−D−spio(Micromod社製、平均粒径50nm)(以後、NPと略すことがある)とCy5.5とを室温で1時間、反応させた。反応溶媒は炭酸バッファーで、pHは8とした。仕込みの反応モル比(仕込んだ色素A/酸化鉄粒子を有する粒子)は、0、1600、8330で行った。ここで「仕込み」とは反応系に加えられた、という意味であり、「仕込みの反応モル比」とは、反応系に加えられた色素Aと、と酸化鉄粒子を有する粒子のモル濃度の比のことをいう。
反応後、100kDaのポアサイズのアミコンウルトラ−4(日本ミリポア社製)を用いた限外ろ過により、NPへ結合しなかった色素Aを除去して、色素Aが結合したNP(以後、色素結合NP−1と略すことがある)を得た。なお、得られた色素結合NP−1の675nmの吸光度より、NPへの色素Aの結合量を算出したただし、色素Aの675nmにおけるモル吸光係数は2.5×10−1・cm−1であった。図3(a)に、仕込んだ色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、結合した色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、の関係を示す。仕込んだ色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数を増加させると、結合した色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数が増加することが確認できた。
また、表1には結合した色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、色素Aが結合した酸化鉄粒子を有する粒子(色素結合NP−1)のモル吸光係数(M−1・cm−1)と、の関係を示した。色素Aを346個修飾された粒子は、色素Aを結合させなかった粒子に比べて、6.6倍のモル吸光係数を有することがわかった。
(実施例1)
(複合粒子の調製(1))
本実施例では、複合粒子の調製、すなわち、色素結合NP−1へ抗体を結合させた。20mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、及び24mgのN−ヒドロキシスクシンイミドを、1mlの0.5Mβ−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH=6.3)に溶解した。次に、色素結合NP−1を含む粒子懸濁液1mlに加えた。この粒子懸濁液を室温で1時間撹拌した後、PD−10脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、色素Aが有するカルボキシル基を活性化させたものと、低分子試薬を分離した。展開溶媒は炭酸ナトリウムバッファー(pH8.0)を用い、同時にバッファー交換を行った。次に、この粒子懸濁液に、抗体として、抗HER2抗体であるハーセプチン(登録商標)(中外製薬社製)(以下、IgGと略すことがある)を加えた。仕込みの反応モル比(IgG/色素結合NP−1)は、100で行った。この粒子懸濁液を室温で4時間撹拌した後、グリシンの1Mの水溶液をグリシン終濃度1mMとなるように加え、室温で30分間撹拌した。得られた複合粒子、すなわち、IgGを有する色素結合NP−1は、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdexの200GL10/300カラム、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)により精製した。展開溶媒はリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH=7.4)を用いた。ボイドボリューム画分にIgGが結合した色素結合NP−1が溶出し、これを回収した。なお、未反応のIgG由来のピーク面積からその濃度を定量することで、色素結合NP−1へのIgGの結合量を算出した。色素結合NP−1へのIgGの結合量は、色素結合NP−1、1個あたり30個であった。なお、上記カルボシキル基の活性化工程なしで色素結合NP−1に直接IgGを結合させた場合、色素結合NP−1へのIgGの結合量は、色素結合NP−1、1個あたり3個であった。この結果より、酸化鉄粒子を有する粒子に結合した色素AのNHS基は、IgGと結合するときに、一部は残存していたが、そのほとんどは加水分解により失活していたことが明らかとなった。
(複合粒子の蛍光強度測定)
複合粒子の蛍光スペクトル観察を行い、蛍光強度を測定した。励起波長は675nmとし、694nmの蛍光波長における蛍光強度を測定した。比較のために、色素A単独の蛍光強度も測定した。結果を図3(b)に示す。図3(b)では、色素Aの濃度で規格化された蛍光強度と、結合した色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、の関係が示されている。色素結合NP−1からの蛍光強度は、色素A単独の蛍光強度の44〜64%まで減少し、結合した色素Aのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数、が大きいほど蛍光強度は小さいことがわかった。これは主に色素Aと別の色素Aとの間の濃度消光によるものと思われる。また、IgGを結合させた色素結合NP−1からの蛍光強度は、IgGを結合させていないNPの蛍光強度より小さいことがわかった。これは主に色素Aの励起エネルギーの少なくとも一部がIgGの振動や回転エネルギー、あるいは周囲の媒体の熱エネルギーへと変換されたことによるものと思われる。さらにIgGを30個結合させた色素結合NP−1(IgGを30個有する複合粒子)は、IgGを3個結合させた色素結合NP−1(IgGを3個有する複合粒子)に比べて、色素Aの濃度で規格化された蛍光強度が小さいことがわかった。
(参考例1)
(抗体と、一官能性色素が結合した酸化鉄粒子を有する粒子との結合)
一官能性色素としてCy5.5 monofunctional reactive dye(GEヘルスケア社製)を用いた。上述の実施例の方法に従って、この一官能性色素と上記のNPとを結合させた(以下、一官能性色素結合NPと略すことがある)。仕込みの反応モル比(一官能性色素結合NP/酸化鉄粒子を有する粒子)は、1600で行った。得られた一官能性色素結合NPの675nmの吸光度より、一官能性色素のモル数/NPのモル数は143であった。この一官能性色素結合NPにIgGを結合させるため、NHS基を2つ有する架橋分子を用いた。具体的には、bis[sulfosuccinimidyl] suberate(BS3、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)社製)を粒子懸濁液に加えた。この粒子懸濁液を室温で1時間撹拌した後、PD−10脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、表面アミノ基をNHSエステル化した一官能性色素結合NPと未反応BS3を分離した。次いで、上記実施例1のIgGの結合反応と同様にして、IgGを反応させた。
結果として、IgGが結合したことは確認されなかった。このことより、一官能性色素結合NPの表面へ抗体を結合することは困難であることが示された。
(合成例2)
(多官能性色素と酸化鉄粒子を有する粒子との結合)
本合成例では、有機色素として、多官能性色素であるHiLyte Fluor(登録商標) 750 Bis−NHS ester,isomer II TEA salt(ANASPEC社製、以下、色素Bと略すことがある)を用いた。色素Bと上記のNPとを室温で1時間、反応させた。反応溶媒は炭酸バッファーで、pHは8とした。仕込みの反応モル比(仕込んだ色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数)が、0、86、535、1069、5347、10694の場合について合成反応を行った。反応後、100kDaのポアサイズのアミコンウルトラ−4(日本ミリポア社製)を用いた限外ろ過により、NPへ結合しなかった色素Bを除去して、色素BにNPが結合したもの(以後、色素結合NP―2と略すことがある)を得た。なお、得られた色素結合NP−2の750nmの吸光度より、NPへの色素Bの結合量を算出した。なお、色素Bの750nmにおけるモル吸光係数は2.5×10−1・cm−1であった。図4(a)に、得られた色素結合NP−2につき、仕込んだ色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、の関係を示す。仕込んだ色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数、を増加させると、結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数、が増加することが確認できた。表2には結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、色素結合NP―2のモル吸光係数と、の関係を示した。結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数が395の場合、(以後、NP−2−395と略すことがある)では、色素Bが結合していない場合に比べて、9.2倍のモル吸光係数を有していることがわかった。
(多官能性色素結合NP−2の光音響信号測定)
上記で得られた色素結合NP−2の光音響信号の強度を測定した。比較のため、色素Bを結合していないNPも同様に測定した。
光音響信号の計測は、パルスレーザー光をサンプルに照射し、サンプルから光音響信号を圧電素子を用いて検出し,高速プリアンプで増幅後,デジタルオシロスコープで取得した。具体的な条件は以下の通りである。光源として、チタンサファイアレーザ(Lotis社製)を用いた。波長は750nm、エネルギー密度は12mJ/cm2、パルス幅は20ナノ秒、パルス繰返しは10Hzの条件とした。超音波トランスデューサとしては、型式V303(Panametrics−NDT社製)を用いた。中心帯域は1MHz、エレメントサイズはΦ0.5、測定距離は25mm(Non−focus)、アンプは+30dB(超音波プリアンプ Model 5682 オリンパス社製)の条件である。測定容器としては、ポリスチレン製キュベットで、光路長0.1cm、サンプル容量は約200μlであった。溶媒はPBSを用いた。計測器は、DPO4104(テクトロニクス社製)を用いて、トリガー:光音響光をフォトダイオードで検出、Data acquisition:128回(128パルス)平均の条件で測定を行った。
結果を図4(b)に示す。図4(b)では、粒子濃度で規格化された相対的な光音響信号強度と、結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数と、の関係を示す。図4(b)において、結合した色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数が0とは、色素Bを結合していないNPのことを意味し、このNPの光音響信号強度を1とした。図4(b)から結合した色素Bの数の増加とともに、光音響信号も増加することがわかった。結合した色素Bの数が最も多いNP−2−395から測定された光音響信号強度は、色素Bを結合していないNPの光音響信号強度の約6倍の大きさであることがわかった。
(実施例2)
(複合粒子の調製(2))
本実施例では、上記で調製した、NP−2−395へ、上記のIgGを結合させて複合粒子を調製した。具体的には、まず、20mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、及び24mgのN−ヒドロキシスクシンイミドを、1mlの0.5Mβ−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(pH=6.3)に溶解した。次に、NP−2−395懸濁液1mlに加えた。このNP−2−395懸濁液を室温で1時間撹拌した後、PD−10脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、色素Bの有するカルボキシル基を活性化させたNP−2−395と低分子試薬とを分離した。展開溶媒は炭酸ナトリウムバッファー(pH8.0)を用い、同時にバッファー交換を行った。次に、このNP−2−395の懸濁液に、上記のIgGを加えた。仕込みの反応モル比(IgGのモル数/色素結合NP−2のモル数)は、100で行った。このNP−2−395の懸濁液を室温で4時間撹拌した後、グリシンの1Mの水溶液をグリシン終濃度1mMとなるように加え、室温で30分間撹拌した。得られたIgGを有するNP−2−395(以後、NP−2−395−IgGと略すことがある)は、ゲルろ過クロマトグラフィー(Superdexの200GL10/300カラム、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)により精製した。展開溶媒はリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH=7.4)を用いた。ボイドボリューム画分にNP−2−395−IgGが溶出し、これを回収した。なお、未反応抗体由来のピーク面積からその濃度を定量することで、NP−2−395−IgGへのIgGの結合量を算出した。色素結合NP−2へのIgGの結合量は、色素結合NP−2、1個あたり25個であった。
(NP−2−395−IgGの蛍光強度測定)
得られたNP−2−395−IgGの蛍光スペクトル観察を行い、蛍光強度を測定した。励起波長は757nmとし、780nmの蛍光波長における強度を測定した。比較のため、IgGを結合させる前のNP−2−395の蛍光強度も測定した。その結果、同じ粒子濃度で比較した場合、NP−2−395−IgGからの蛍光強度は、NP−2−395の蛍光強度の87%まで減少していることがわかった。これは主に色素間の濃度消光によるものと思われる。また、IgGを結合させた色素結合NP−2からの蛍光強度は、IgGを結合させていない色素結合NP−2の蛍光強度よりも小さかった。これは主に色素Bの励起エネルギーの少なくとも一部がIgGの振動や回転エネルギー、あるいは周囲の媒体の熱エネルギーへと変換されたことによるものと思われる。
(NP−2−395−IgGの光音響信号測定)
得られたNP−2−395−IgGの光音響信号を測定した。比較のため、市販の酸化鉄ナノ粒子であるフェルカルボトラン(販売名:リゾビスト(登録商標)注、日本シエーリング(株)社製)、色素Bを結合していないNP、IgGを結合させていないNP−2−395も同様に測定した。光音響信号の計測は、合成例2と同様にして行った。
前記光音響信号強度の測定結果を図5に示す。図5(a)には、NP−2−395(黒丸)、NP−2−395−IgG(白丸)由来の光音響信号波形を代表例として示す。時間遅れで検知されるピークは、セル内での反射などの影響を受けていると考えられるため,最初のピークのみがサンプルからの光音響信号として有効である。図5(b)には、上記のフェルカルボトランの光音響信号強度を1としたときの、NP、NP−2−395、ならびにNP−2−395−IgGの単位粒子濃度あたりの光音響信号強度を示した。NP−2−395−IgGからの光音響信号強度は、NP−2−395の光音響信号強度の1.3倍大きい値であった。この光音響信号強度の増加の理由は以下のように考えられる。すなわち、有機色素の励起エネルギーの少なくとも一部がIgGの振動や回転エネルギー、あるいは周囲の媒体の熱エネルギーへと変換されたことにより、そして、IgGの振動や回転エネルギーの少なくとも一部は、無機材料や周囲の媒体へ伝わり熱エネルギーとして消費される結果、音響波として発せられると考えられる。その結果、有機色素にIgGが結合していない場合に比べて、IgGが結合している場合の方が、大きな音響波を生じると考えられる。上記のNP−2−395−IgGの蛍光強度測定の結果は、上記のメカニズムを裏付けるものであると考えられる。また、別のメカニズムとして、IgGを結合することによる粒子被覆の結果、粒子の熱閉じ込め効果が増大し、光音響信号強度が増加することも考えられる。
図5(b)より、NP−2−395−IgGは、フェルカルボトランの約120倍の光音響信号強度であることがわかった。
以上の結果より、本実施例における、複合粒子は、大きな音響信号を発する、すなわち、大きな光音響信号を出す、光音響イメージング用造影剤となると考えられる。
(実施例3)
(多官能性色素にIgGを結合させた複合粒子の調製)
上記合成例2と同様にして、多官能性色素である色素Bを、NPに結合させた。ここでは、仕込みの反応モル比(仕込んだ色素Bのモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数)を500として反応させた。次いで、得られた色素結合NP(以後NP−3と略す)の色素に、上記実施例(2)(複合粒子の調製(2)と同様にして、IgGを結合させて複合粒子を調製した。得られたIgGを有するNP−3−IgG(以後、NP−3−IgGと略す)の色素結合量、抗体結合量、相対蛍光強度(色素濃度で規格化された蛍光強度の相対値)、相対光音響信号強度(色素濃度で規格化された光音響信号強度の相対値)を表3に示した。
(多官能性色素を有する粒子の表面にIgGを結合させた複合粒子の調製)
上記で得られたNP−3の表面にIgGを結合させるため、まずNP−3溶液にグリシン(終濃度1mM)を添加して室温で1時間撹拌した。その後、PD−10脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、グリシンを除去した。
次に、bis[sulfosuccinimidyl] suberate(BS3、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)社製)を粒子懸濁液に加えた。ここでは、仕込みの反応モル比(仕込んだBS3のモル数/酸化鉄粒子を有する粒子のモル数)を100000として反応させた。この粒子懸濁液を室温で30分撹拌した後、PD−10脱塩カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、表面アミノ基をNHSエステル化したNP−3と未反応BS3を分離した。次いで、上記実施例(2)(複合粒子の調製(2)と同様にして、IgGを結合させて複合粒子を調製した。
得られたIgGを粒子表面に有するNP−3(以後、NP−3(IgG)と略す)の色素結合量、抗体結合量、相対蛍光強度(色素濃度で規格化された蛍光強度の相対値)、相対光音響信号強度(色素濃度で規格化された光音響信号強度の相対値)を表3に示した。
表3に示すように、NP−3−IgGの蛍光強度は、NP−3(IgG)に比べ50%低下した。IgGを色素に直接結合させると、IgGを粒子表面に結合させる場合よりも、より色素からの蛍光が消光することが確認された。光音響信号強度はNP−3−IgGの方が高くなり、NP−3(IgG)に比べ、1.7倍の信号強度が得られた。IgGを色素に直接結合させる方が、色素の蛍光量子収率低下や熱閉じ込め効果増加に対し有利であることが示され、結果として、光音響信号強度の増加に対して有利となると考えられる。
101 複合粒子
102 無機材料を有する粒子
103 有機色素
104 抗体

Claims (8)

  1. 600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第一の色素を含む粒子と、
    前記粒子の表面に結合した、600nm乃至1300nmの範囲から選択される少なくとも1つの波長におけるモル吸光係数が10M−1cm−1以上である第二の色素と、
    抗体と、
    を有する複合粒子において、
    前記抗体が前記第二の色素に結合していることを特徴とする複合粒子。
  2. 前記第一の色素と前記第二の色素とが異なることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
  3. 前記第一の色素が無機材料で、かつ、前記第二の色素が有機色素であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合粒子。
  4. 前記第一の色素が酸化鉄粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合粒子。
  5. 前記第二の色素が、反応性官能基を2つ以上有する有機色素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合粒子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合粒子と、分散媒とを有することを特徴とする光音響イメージング用造影剤。
  7. 請求項6に記載の光音響イメージング用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程と、
    前記検体内に存在する前記造影剤から発生する音響波を検出する工程と、を有することを特徴とする光音響イメージング方法。
  8. 無機材料を有する粒子と、前記粒子に結合した有機色素と、抗体とを有する複合粒子において、前記抗体が前記有機色素に結合していることを特徴とする複合粒子。
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