JP2012147576A - 配電系統運用方法、配電系統運用装置、配電系統運用システム及びプログラム - Google Patents

配電系統運用方法、配電系統運用装置、配電系統運用システム及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】フェランチ効果を軽減できるようにする。
【解決手段】管理システム20は、スイッチ5とスマートメータ13とに通信可能に接続される。配電線情報取得部211は、スイッチ5が測定した電圧Viを含む配電線情報を取得する。力率調整処理部213は、電圧Viが所定の上限電圧Vmaxを超えるスイッチ5がある場合に、分散型電源の力率を下げるように力率設定要求をスマートメータ13に送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、配電系統運用方法、配電系統運用装置、配電系統運用システム及びプログラムに関する。
配電系統から受電する需要家側で進相コンデンサなどを設置することにより力率の向上が図られている。通常、電動機等の誘電負荷が多く配電線に接続されている。多くの誘電負荷が稼働する重負荷時には、系統負荷全体としては遅れ力率となり、配電系統では送電端から受電端に向かって電圧が徐々に低くなる分布となる。しかし、夜間や休日などのように誘電負荷が稼働しない軽負荷時には、進相コンデンサなどのために系統負荷の力率が進み力率となり、送電端の電圧よりも受電端の電圧の方が高くなるフェランチ効果が生じる。フェランチ効果を解消するべく、例えば、夜間や休日などには進相コンデンサを開放することが行われる。また、特許文献1では、分路リアクトルの開閉によりフェランチ効果を解消しようとしている。
特開2009−254168号公報
しかしながら、夜間や休日ごとに進相コンデンサを開放するには需要家の手間となってしまう。また、リアクトルの設置にはコストがかかる。
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、フェランチ効果を軽減する配電系統運用方法、配電系統運用装置、配電系統運用システム及びプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、力率が調整可能な分散型電源が配電線路に接続される配電系統の運用方法であって、前記配電線路の電圧を取得し、前記電圧が所定の上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように調整することとする。
本発明の配電系統運用方法によれば、フェランチ効果により電圧が上限値を超えることになった場合に、配電路に電力を供給している分散型電源の力率を下げることができる。したがって、分散型電源における無効電力が増え、分散型電源から配電路に供給される有効電力が減少する。よって、配電路におけるフェランチ効果を軽減することができる。
また、本発明の配電系統運用方法では、前記配電線路の前記電圧を調整する電圧調整器が前記配電線路に接続されており、前記電圧が前記上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率が所定の下限値であるときは、前記配電線路の前記電圧を下げるように前記電圧調整器を動作させるようにしてもよい。
この場合、分散型電源が作る電圧を所定の下限値以上に保ち、分散型電源を作動させ続けることを可能とする一方で、電圧調整器によりフェランチ効果の軽減を行うことができる。
また、本発明の配電系統運用方法では、前記分散型電源の前記力率を下げるように調整した場合に、前記分散型電源により作られる電圧が所定の下限電圧を下回ったときは、前記分散型電源の前記力率を上げるように調整するようにしてもよい。
この場合、フェランチ効果が解消し、配電路が遅れ力率になったときには、力率を下げていた分散型電源の力率を改善させることができる。したがって、分散型電源の運用効率を高めることができる。
また、本発明の配電系統運用方法では、複数の前記分散型電源が前記配電線路に接続されており、前記電圧が前記上限値未満になるまで、前記分散型電源が接続されている場所が前記電圧を取得した場所に近い順に、前記分散型電源の前記力率を下げるようにしてもよい。
この場合、フェランチ効果による電圧上昇の影響が高い場所の近くで分散型電源から供給される有効電力を低減することができるので、より効率的にフェランチ効果を軽減することができる。
また、本発明の配電系統運用方法では、複数の前記分散型電源は複数のグループにグループ分けされており、前記電圧が前記上限値以上である場合に、前記複数のグループから1つのグループを選択し、前記選択したグループに所属する前記分散型電源のそれぞれについて、前記力率を下げるように調整するようにしてもよい。
また、本発明の配電系統運用方法では、前記配電線路の複数の箇所における電圧を取得し、前記複数の箇所における電圧のいずれか1つでも前記上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように調整するようにしてもよい。
また、本発明の他の態様は、分散型電源が接続される配電系統の運用装置であって、前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、配電線路に接続されて前記配電線路における電圧を測定するセンサと、のそれぞれと通信可能に接続され、前記センサが測定した前記電圧を取得する電圧取得部と、前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御する力率制御部と、を備えることとする。
また、本発明の他の態様は、分散型電源が接続される配電系統を運用するシステムであって、前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、配電線路に接続されて前記配電線路における電圧を測定するセンサと、前記センサが測定した前記電圧を取得する電圧取得部と、前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御する力率制御部と、を備えることとする。
また、本発明の他の態様は、分散型電源が接続される配電系統を運用するためのプログラムであって、前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、配電線路に接続され、前記配電線路における電圧を測定するセンサと、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータに、前記センサが測定した前記電圧を取得するステップと、前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御するステップと、を実行させることとする。
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、フェランチ効果を軽減することができる。
本実施形態に係る配電系統運用システムの全体構成を示す図である。 管理システム20のハードウェア構成例を示す図である。 管理システム20のソフトウェア構成例を示す図である。 配電線情報記憶部231の構成例を示す図である。 制御機器情報記憶部232の構成例を示す図である。 力率の調整処理の流れを示す図である。
==システム構成==
以下、本発明の一実施形態に係る管理システム20を含む配電系統運用システムについて説明する。本実施形態の配電系統運用システムは、分散型電源が接続される配電系統においてフェランチ効果が発生した場合に、分散型電源の力率を下げるように運用することで、フェランチ効果を解消しようとするものである。
図1は、本実施形態に係る配電系統運用システムの全体構成を示す図である。本実施形態では、電源1から配電線2に電力が供給されるとともに、分散型電源11からも配電線2に電力が供給される。
配電線2には、誘導性の負荷4が接続される。負荷4は、例えば工場に設置される電動機などである。負荷4の稼働時は遅れ力率となるので、工場などには進相コンデンサ(不図示)が設置され、これにより力率の向上が図られる。負荷4の一部または全部が稼働しない場合、逆に進相コンデンサによって配電線2における力率が進んでしまい、フェランチ効果が発生する。負荷4の非稼働時に進相コンデンサが切り離されればフェランチ効果は抑制される。
配電線2にはスイッチ5が配置されており、スイッチ5は配電線2の電圧、電流及び力率を測定可能である。管理システム20は通信路31を介してスイッチ5と接続されている。通信路31は、例えばPLC(Power Line Communication)により通信を行うための電力線や、無線通信路、公衆電話回線網、イーサネット(登録商標)、シリアルケーブルなどである。また、通信路31を例えばインターネットなどの通信ネットワークとしてもよい。管理システム20は、通信路31を介してスイッチ5が測定した電圧、電流および力率を取得する。本実施形態では、配電線2の状態を示す情報(以下、「配電線情報」という。)を取得するためのコマンド(以下、「配電線情報取得要求」という。)が管理システム20からスイッチ5に送信され、スイッチ5は配電線情報取得要求に応じて電圧、電流及び力率を測定し、当該スイッチ5の識別情報(以下、「スイッチID」という。)と、測定した電圧、電流及び力率と、スイッチ5が所属するグループ(例えば、住所やエリアなど)を示す識別情報(以下、「グループID」という。)を含む配電線情報を管理システム20に送信するものとする。なお、各スイッチ5には予めグループが設定されているものとする。
分散型電源11は、例えば家庭に設置される太陽光発電機や風力発電機などである。なお、分散型電源11として化石燃料を用いる発電機を採用することもできる。分散型電源11を配電線2に接続するためにパワーコンバータ12が設置される。
パワーコンバータ12は、分散型電源11の力率を調整するパワーコンバータ12は、外部からの信号に応じて力率を変更可能であるものとする。分散型電源11から供給された電力量などを測定するためにスマートメータ13が設置される。
スマートメータ13は、分散型電源11における電圧、電流及び力率を測定可能である。管理システム20は通信路32を介してスマートメータ13と接続されている。通信路32は、例えばPLCにより通信を行うための電力線や、無線通信路、公衆電話回線網、イーサネット(登録商標)、シリアルケーブルなどである。また、通信路32を例えばインターネットなどの通信ネットワークとしてもよい。管理システム20は、通信路32を介してスマートメータ13が測定した電圧、電流及び力率を取得する。本実施形態では、スマートメータ13における状態を示す情報(以下、「制御機器情報」という。)を取得するためのコマンド(以下、「制御機器情報取得要求」という。)が管理システム20からスマートメータ13に送信され、スマートメータ13は制御機器情報取得要求に応じて電圧、電流及び力率を測定し、当該スマートメータ13の識別情報(以下、「機器ID」という。)と、当該スマートメータ13が所属するグループを示すグループIDと、測定した電圧、電流及び力率とを含む制御機器情報を管理システム20に送信するものとする。なお、各スマートメータ13には、あらかじめ所属するグループが設定されているものとする。また、スマートメータ13に設定されるグループとスイッチ5に設定されるグループは同じであるものとする。
また、スマートメータ13は、力率を変更するように指示するコマンド(以下、「力率設定要求」という。)を管理システム20から受信した場合には、パワーコンバータ12に対して信号を与えて力率を変更する。本実施形態では、力率設定要求には力率の設定値が含まれており、スマートメータ13は力率設定要求に含まれている設定値を示す信号をパワーコンバータ12に与え、パワーコンバータ12は力率が入力された信号の値となるように位相を調整する。
配電線2には、配電線2の電圧を調整するための電圧調整器(リアクトル)30が接続される。電圧調整器30は、配電線2においてフェランチ効果が発生した場合に電圧を下げるように制御を行う。なお、電圧調整器30による電圧の調整処理には一般的な手法を用いることができる。電圧調整器30は通信路33を介して管理システム20と接続されており、管理システム20から送信される、電圧調整を開始するように指示するコマンド(以下、「電圧調整開始要求」という。)又は電圧調整を終了するように指示するコマンド(以下、「電圧調整終了要求」という。)に応じて配電線2の電圧を調整する。
==ハードウェア==
図2は管理システム20のハードウェア構成例を示す図である。管理システム20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のプログラムやデータを記憶する、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリなどである。CPU201は、記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース204は、スイッチ5やスマートメータ13、電圧調整器30などとの間で通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース204は、例えば、PLC通信を行うためのアダプタや、イーサネットに接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信路に接続するための無線通信機などである。入力装置205は、データの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
==ソフトウェア==
図3は管理システム20のソフトウェア構成例を示す図である。管理システム20は、配電線情報取得部211、制御機器情報取得部212、力率調整処理部213、配電線情報記憶部231、制御機器情報記憶部232を備える。なお、配電線情報取得部211、制御機器情報取得部212、力率調整処理部213は、管理システム20が備えるCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、配電線情報記憶部231、制御機器情報記憶部232は、メモリ202や記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
配電線情報記憶部231は、配電線情報を記憶する。図4は配電線情報記憶部231に記憶される配電線情報の構成例を示す図である。上述したように、配電線情報には、スイッチ5を示すスイッチID、当該スイッチ5により測定された電圧Vi、電流Ii及び力率θi、ならびにスイッチ5が属するグループを示すグループIDが含まれる。
配電線情報取得部211は、スイッチ5から配電線情報を取得する。本実施形態では、上述したように、配電線情報取得部211は、配電線情報取得要求をスイッチ5に送信し、配電線情報取得要求に応じてスイッチ5から送信される配電線情報を受信し、受信した配電線情報を配電線情報記憶部231に登録する。配電線情報取得部211は、所定の時間(例えば、5分、15分、1時間など)ごとに配電線情報取得要求をスイッチ5に送信して配電線情報を取得し、配電線情報記憶部231を更新し続けているものとする。なお、例えば、スイッチ5が、配電線情報取得要求を受信することなく、定期的に、電圧や電流、力率を測定して配電線情報を管理システム20に送信し、これを配電線情報取得部211が受信するようにしてもよい。
制御機器情報記憶部232は、制御機器情報を記憶する。図5は制御機器情報記憶部232に記憶される制御機器情報の構成例を示す図である。上述したように、制御機器情報には、スマートメータ13を示す機器ID、及びスマートメータ13が所属するグループを示すグループID、ならびに、スマートメータ13により測定された電圧Vj、電流Ij及び力率θjが含まれる。
制御機器情報取得部212は、スマートメータ13から制御機器情報を取得する。本実施形態では、上述したように、制御機器情報取得部212は、制御機器情報取得要求をスマートメータ13に送信し、制御機器取得要求に応じてスマートメータ13から送信される制御機器情報を受信し、受信した制御機器情報を制御機器情報記憶部232に登録する。制御機器情報取得部212は、所定の時間(例えば、5分、15分、1時間など)ごとに制御機器情報取得要求をスマートメータ13に送信して制御機器情報を取得し、制御機器情報記憶部232を更新し続けているものとする。なお、例えば、スマートメータ13が、制御機器情報取得要求を受信することなく、定期的に、電圧、電流、力率を測定して制御機器情報を管理システム20に送信し、これを制御機器情報取得部212が受信するようにしてもよい。
力率調整処理部213は、配電線2におけるフェランチ効果を解消するべく、各分散型電源11における力率の調整を行う。力率調整処理部213は、分散型電源11において力率を下げることで、配電線2に供給される有効電力量を減らす。これにより配電線2において電圧上昇が抑制され、フェランチ効果が軽減する。なお、分散型電源11における力率の調整ではフェランチ効果が解消できない場合、力率調整処理部213は、電圧調整器30を投入する。また、配電線2が遅れ力率となった場合には、力率調整処理部213は、下げていた分散型電源11の力率を上げて通常の運用に戻す。
図6は力率調整処理部213により行われる力率の調整処理の流れを示す図である。なお、図6に示す力率の調整処理は、力率調整処理部213により所定の時間(例えば5分や10分、1時間などの任意の時間)ごとに実行されるものとする。
力率調整処理部213は、配電線情報記憶部231から次の配電線情報を読み出す(S301)。力率調整処理部213は、配電線情報を、ランダムに読み出してもよいし、スイッチIDの順に読み出してもよいし、電圧の順に読み出してもよい。力率調整処理部213は、次に読み出す配電線情報があれば(S302:YES)、配電線情報に含まれている電圧Viを所定の下限電圧Vminと比較する(S303)。電圧Viが下限電圧Vminを下回った場合(S303:NO)、力率調整処理部213は、全てのスマートメータ13に対して、所定のデフォルト値(例えば0.9など)を力率として設定した力率設定要求を送信し、電圧調整器30に電圧調整終了要求を送信して、フェランチ効果解消のために行っていた力率の調整等をリセットする(S304)。
電圧Viが所定の下限電圧Vmin以上であれば(S303)、力率調整処理部213は、電圧Viと所定の上限電圧Vmaxとを比較し(S305)、電圧Viが上限電圧Vmax以下であれば(S305:NO)、フェランチ効果が発生していないものとして、ステップS301からの処理を繰り返す。
電圧Viが上限電圧Vmaxを超えている場合には(S305:YES)、フェランチ効果が発生しているものとして、分散型電源11からの供給電力量を減らすように力率を調整する。力率調整処理部213は、制御機器情報記憶部232に記憶されている制御機器情報のグループを1つ選択する(S306)。ここで力率調整処理部213は、まず配電線情報に含まれるグループIDに一致する制御機器情報が制御機器情報記憶部232に記憶されている場合には、そのグループIDが示すグループを選択し、その後後述するステップS315の処理後は、他のグループを選択するようにする。他のグループの選択は、ランダムに選択するようにしてもよいし、同一グループに対応する制御機器情報の電圧又は電流の平均値の順に選択するようにしてもよい。力率調整処理部213は、選択するグループがない場合には(S307:NO)、電圧調整器30に対して電圧調整開始要求を送信して、電圧調整器30を投入する(S308)。
力率調整処理部213は、グループを1つ選択できた場合(S307:YES)、選択したグループに対応する次の制御機器情報を読み出し(S309)、読み出す制御機器情報がなければ(S310:NO)、ステップS306に戻る。そうでなければ、力率調整処理部213は、制御機器情報を読み出し(S310:YES)、読み出した制御機器情報に含まれている力率θjが所定の下限力率θminと比較する(S311)。力率θjが下限力率θmin以下であれば(S311:NO)、ステップS309に戻る。
制御機器情報に含まれている力率θjが下限力率θminより大きければ(S311:YES)、力率調整処理部213は、力率θjから所定のステップ値(図6の例では0.01)を減じて、ステップ値を減じた力率θjを設定した力率設定要求をスマートメータ13に送信して、分散型電源11における力率を下げるようにする(S312)。
ここで、制御機器情報取得部212は、制御機器情報取得要求をスマートメータ13に送信し、現在の電圧Vjが含まれる制御機器情報をスマートメータ13から取得して制御機器情報記憶部232に登録する(S313)。なお、制御機器情報取得部212は、パワーコンバータ12による力率の調整にかかると想定される所定時間待ってから制御機器情報取得要求を送信するようにしてもよい。
力率調整処理部213は、ステップS313で取得した制御機器情報の電圧Vjが下限電圧Vminを下回った場合には(S314:NO)、力率θjに所定のステップ値を加算し、ステップ値を加算した力率θjを設定した力率設定要求をスマートメータ13に送信して、分散型電源11における力率を変更前の状態に戻し(S315)、ステップS309に戻る。
以上説明したように、本実施形態の管理システム20によれば、フェランチ効果を検知した場合に分散型電源11の力率を下げることにより、分散型電源11の無効電力量が増加し、配電線2に供給される有効電力量が減少するので、フェランチ効果が軽減される。特に電圧の上昇が小さい場合などには、フェランチ効果の解消が期待される。
また、本実施形態の管理システム20によれば、分散型電源11の力率を下げた場合に分散型電源11における電圧が下がり過ぎたときには、力率を戻すようにすることができるので、分散型電源11を停止させることなく、規定の電圧範囲になるように稼働を継続することができる。
また、本実施形態の管理システム20によれば、力率を調整する分散型電源11がない場合には電圧調整器30を作動させることができる。したがって、分散型電源11における力率の調整ではフェランチ効果が解消できなかった場合にも、電圧調整器30によりフェランチ効果を解消することができる。また、電圧調整器30は、動作回数が多くなると寿命が短くなることが知られているので、本実施形態のように、まずは分散型電源11による力率の調整によりフェランチ効果の解消を試みることで、電圧調整器30の動作回数を低減し、電圧調整器30の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態の管理システム20によれば、配電線2の電圧が下限値になると、全ての分散型電源11の力率をデフォルト値にリセットするとともに、電圧調整器30を止めるようにすることができる。したがって、例えば、負荷4が稼働し始めるなど、配電線2における力率の進みが遅れになった場合には、力率の調整をリセットして、通常通りの運用に戻すことができる。よって、配電系統全体での力率を改善することができる。
なお、本実施形態では、配電線2における電圧Vi、電流Ii、力率θiはスイッチ5が測定するものとしたが、例えばスイッチ5とは別に配電線2にこれらを測定するセンサを設置して、そのセンサから測定値が管理システム20に送信されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、管理システム20による制御対象となる機器はスマートメータ13のみであるものとしたが、例えば、パワーコンバータ12に接続されたパーソナルコンピュータを制御機器とすることもできる。すなわち、制御対象となる機器は、力率設定要求に応じて、配電線2に対して電力を供給する電源における力率を調整可能な機器であればよい。
また、本実施形態では、管理システム20とスイッチ5、スマートメータ13及び電圧調整器30とを接続する通信路31,32,33はそれぞれ異なるものとしたが、例えばインターネットなどの同一の通信網を介して接続するようにしてもよい。
また、本実施形態では、分散型電源11、パワーコンバータ12、スマートメータ13は別個に設置されているものとしたが、これらが一体となった分散型電源11を設置するようにしてもよい。
また、本実施形態では、スイッチ5及びスマートメータ13側で所属するグループはあらかじめ設定されており、配電線情報及び制御機器情報にグループも含まれるものとしたが、管理システム20側で、スイッチ5及びスマートメータ13ごとにその所属するグループを管理するようにしてもよい。この場合、管理システム20は、スイッチID又は機器IDに対応づけてグループIDを記憶するグループ記憶部を備えるようにし、グループ記憶部からグループに所属するスイッチ5及びスマートメータ13を特定するようにすることができる。また、管理システム20はグループ記憶部を備えずに、例えば、電源1からスマートメータ13までの距離を測定して、管理システム20が距離に応じたグループ分けを動的に行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、図6のステップS306において、グループの選択は、最初に配電線情報に含まれるグループIDが示すグループを選択するものとしたが、これに限らず、例えばランダムに選択するようにしてもよいし、同一グループに対応する制御機器情報の電圧又は電流の平均値の順に選択するようにしてもよい。また、グループ間の距離を算出するための情報(例えば、グループに対応するエリアの中心位置を示す緯度経度など)を、配電線情報に含めておき、電圧Viが所定の上限電圧Vmaxを超えたスイッチ5が所属するグループから近い順にグループを選択するようにしてもよい。フェランチ効果の発生源に近い箇所で対策した方が、フェランチ効果の解消効果は大きいことが知られており、このように電圧が上限値を超えたスイッチ5から近いグループから順に力率を調整することで、より効果的にフェランチ効果を解消することができる。
また、本実施形態では、配電線2における電圧Viによりフェランチ効果の発生を判定したが、力率θiにより判定するようにすることもできる。
また、図6のステップS306におけるグループの選択は、例えば、電圧Viが上限電圧Vmaxを超えたスイッチ5に近いグループを選択するようにすることもできる。この場合、各スマートメータ13について、制御機器情報にスイッチ5との間の距離を記憶するようにし、グループのうち、所属するスマートメータ13と電圧Viが上限電圧Vmaxを超えたスイッチ5との間の距離が最も近いものから順に選択するようにすることができる。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
1 電源
2 配電線
4 負荷
5 スイッチ
11 分散型電源
12 パワーコンバータ
13 スマートメータ
20 管理システム
30 電圧調整器
31〜33 通信路
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 通信インタフェース
205 入力装置
206 出力装置
211 配電線情報取得部
212 制御機器情報取得部
213 力率調整処理部
231 配電線情報記憶部
232 制御機器情報記憶部

Claims (9)

  1. 力率が調整可能な分散型電源が配電線路に接続される配電系統の運用方法であって、
    前記配電線路の電圧を取得し、
    前記電圧が所定の上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように調整すること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  2. 請求項1に記載の配電系統運用方法であって、
    前記配電線路の前記電圧を調整する電圧調整器が前記配電線路に接続されており、
    前記電圧が前記上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率が所定の下限値であるときは、前記配電線路の前記電圧を下げるように前記電圧調整器を動作させること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  3. 請求項1又は2に記載の配電系統運用方法であって、
    前記分散型電源の前記力率を下げるように調整した場合に、前記分散型電源により作られる電圧が所定の下限電圧を下回ったときは、前記分散型電源の前記力率を上げるように調整すること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配電系統運用方法であって、
    複数の前記分散型電源が前記配電線路に接続されており、
    前記電圧が前記上限値未満になるまで、前記分散型電源が接続されている場所が前記電圧を取得した場所に近い順に、前記分散型電源の前記力率を下げること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配電系統運用方法であって、
    複数の前記分散型電源は複数のグループにグループ分けされており、
    前記電圧が前記上限値以上である場合に、前記複数のグループから1つのグループを選択し、前記選択したグループに所属する前記分散型電源のそれぞれについて、前記力率を下げるように調整すること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配電系統運用方法であって、
    前記配電線路の複数の箇所における電圧を取得し、
    前記複数の箇所における電圧のいずれか1つでも前記上限値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように調整すること、
    を特徴とする配電系統運用方法。
  7. 分散型電源が接続される配電系統の運用装置であって、
    前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、配電線路に接続されて前記配電線路における電圧を測定するセンサと、のそれぞれと通信可能に接続され、
    前記センサが測定した前記電圧を取得する電圧取得部と、
    前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御する力率制御部と、
    を備えることを特徴とする配電系統運用装置。
  8. 分散型電源が接続される配電系統を運用するシステムであって、
    前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、
    配電線路に接続されて前記配電線路における電圧を測定するセンサと、
    前記センサが測定した前記電圧を取得する電圧取得部と、
    前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御する力率制御部と、
    を備えることを特徴とする配電系統運用システム。
  9. 分散型電源が接続される配電系統を運用するためのプログラムであって、
    前記分散型電源の力率を変化させる力率調整器と、配電線路に接続され、前記配電線路における電圧を測定するセンサと、のそれぞれと通信可能に接続されるコンピュータに、
    前記センサが測定した前記電圧を取得するステップと、
    前記取得した電圧が所定の閾値以上である場合に、前記分散型電源の前記力率を下げるように前記力率調整器を制御するステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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