JP2012143824A - カッター - Google Patents

カッター Download PDF

Info

Publication number
JP2012143824A
JP2012143824A JP2011002583A JP2011002583A JP2012143824A JP 2012143824 A JP2012143824 A JP 2012143824A JP 2011002583 A JP2011002583 A JP 2011002583A JP 2011002583 A JP2011002583 A JP 2011002583A JP 2012143824 A JP2012143824 A JP 2012143824A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anvil
surface layer
die
cutter
cutting edge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011002583A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5797408B2 (ja
Inventor
Shigeki Mori
茂樹 毛利
Yasutaka Tsujita
泰隆 辻田
Hiroshi Minamisawa
洋志 南澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Tungsten Co Ltd
Original Assignee
Nippon Tungsten Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Tungsten Co Ltd filed Critical Nippon Tungsten Co Ltd
Priority to JP2011002583A priority Critical patent/JP5797408B2/ja
Publication of JP2012143824A publication Critical patent/JP2012143824A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5797408B2 publication Critical patent/JP5797408B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Perforating, Stamping-Out Or Severing By Means Other Than Cutting (AREA)

Abstract

【課題】刃先を持つダイおよび刃先を受けるアンビルに硬質材料を用いて、両者に挟まれた板状のワークを切断加工するカッターで、耐摩耗性を従来使われているカッターより落とすことなく、カッター初期使用時のダイ刃先のチッピングを低減する。
【解決手段】アンビル11を二層以上の構造として、アンビル表面5をヤング率がEc(GPa)の硬質層としたうえで、その硬質層の厚さTc(mm)を 60≦Ec×Tc≦2160 の範囲とすることで、耐摩耗性と初期使用時の刃先のチッピング防止を両立できた。
【選択図】 図1

Description

本発明は切断刃先を持つダイと、その刃を受けるアンビルを有し、両者間に挿入された板状または箔状の被切断物であるワークを挟み所望の形状に切断するカッターに関する。
また、前記分野の中で特に、切断したい輪郭を少なくとも有する刃先を持つダイカットロールと、前記刃先と切断加工するワークを挟み込むアンビルロールとを有する、ワークを切断加工するロータリーカッターに関する。
カッターの刃先を硬質材料で製作することは特許文献1などに記載されている。この場合の硬質材料とは、一般的な刃物構造用の材料である焼入れ鋼、工具鋼などよりもより硬質であることを指す。硬質材料をダイおよびアンビルに使用することにより、耐摩耗性が向上するために、同じ形状を多数切断加工する用途に適している。
特許文献2にはダイとともにアンビルに硬質材料を用い、両者に一定の硬さの差を設けるロータリー方式のカッターが開示されている。両者に硬さの差を設けることにより、切断品質が向上し、カッターの寿命も向上することが記載されている。
特許文献3には、ダイの刃先に硬質材料のコーティングがなされたロータリーカッターが開示されている。コーティングはTiNまたはTiC層を設けて行なう。刃先の耐摩耗性を向上する目的でコーティングがなされている技術である。刃先のみにコーティングを施すことにより、耐摩耗性と製造費用の両立を目指している。
特許文献4には、ダイカットロールの刃先に対応するアンビルロールの使用面にコーティング処理がほどこすという技術が開示されている。ロール状のアンビルにコーティングを施すと記載があるが、「例としてWC−Co系材料などの成分からなる炭化物サーメットあるいはAl系材料などの成分からなるセラミックスなどの硬質材料の溶射などでコーティングした被膜7’が形成」と記載があるのみであり、硬質材料の被膜をどのような特性を持った材料でどの程度の厚さ施せばよいかについての記載は皆無である。
特許文献5には、ロールの外周面に炭化物、窒化物、炭窒化物、DLCからなるコーティングをPVD法またはCVD法により蒸着形成するロータリーカッターが示されている。この技術に述べられているコーティング部は、ダイカットロールの刃先部分以外に前記コーティングを施し、ロールの残留応力を開放しロールが均一になる。また、ダイカットロールのコーティング層が緩衝材となり、刃先のチッピングを防ぐ旨が記載されている。
さて、以上に示した技術では未解決の問題がある。
それは、カッターとして実際に使用した際に頻繁に生じる、初期作動時のダイ刃先のチッピング(欠け)である。
通常カッターは、アンビルの刃を受ける部分(ロータリーカッターの場合は外周部。以後「使用表面層」と表記する)の部分的摩耗を避けるために、ダイとアンビルとを常に同じ位置関係で切断するのではなく、刃先と対応するアンビルの表層部は周期的または1回の切断ごとに相対的に位置を変えるように設計されている。こうすることにより、アンビルは平面または円周上に満遍なく使用でき、使用による摩耗も均一にすることができる。このことをロータリーカッターに適用できることが特許文献1にも述べられている。
よって、刃先はアンビルと比較して、ワークを切断する箇所と実際に接触する部分(以後、「当接面」と表記する)の面積が小さくなる。そのために、刃先とアンビルの使用表層面を比較すると、前者のほうが摩耗は激しくなる。
そこで、アンビルを刃先よりも若干低硬さの材料で構成するほうが、再研磨などのメンテナンス処置を行なう回数を減らすことができ、実稼働時間の増加に寄与する。
刃先はチッピングしにくいように研磨されているが、機械加工の回転工具による表面の微細な傷、初期作動時の刃先やその保持体や周辺機器のブレ、温度変化による熱膨張などにより、使用初期には一部に瞬間的な応力が発生しやすく、刃先チッピングの起りやすい環境となる。ロータリーカッター方式の場合のロールのブレが加わるためによりチッピングが生じやすくなる。
しばらく使用することにより、前記要因が安定する。機械加工による表面状態も、ワークとの摩耗による表面状態が支配的になるために、チッピングの危険性は徐々に低下する。
チッピングが起りやすいことは、刃先とともにアンビルにも例えば超硬合金などの耐摩耗性の材料が使用されていることに起因する。例えば超硬合金は応力に対して変形しにくい、すなわちヤング率の高い材料であるために、初期作動時に生じやすい瞬間的な応力に対して変形しにくい。その際の瞬間的な応力が刃先の機械的強度を超えた場合に、チッピングが生じていると考えてよい。
一般的にアンビルはダイの刃先よりも硬さの低い材質で構成されることは前述したが、確かに安定的に使用している場合はそれで十分な場合もあるが、アンビルの使用面はあくまでも硬質材料が主であり、初期作動時のチッピングを避けることを目的とした場合は耐摩耗性だけを考慮した技術では不十分である。もちろん、初期のチッピングだけを考慮すれば、ヤング率の低い材料をアンビル使用表面層に用いればよいが、それでは耐摩耗性が著しく劣ることになる。アンビルに使用する材料で、ヤング率が初期作動時に刃先のチッピングを発生させない程度に十分に低く、同時に耐摩耗性に優れた材料があればこの問題を解決できるが、実用的、工業的、費用面から考えてその両方を満たす材料は現在のところ適当なものがない。

特開平5−338064号公報 特開平3−246000号公報 実開平1−138691号公報 特開平11−77586号公報 特開2000−177032号公報
本発明が解決すべき課題は、従来の少なくともダイの刃先に硬質材料を用いたカッターの利点である長寿命を維持したまま、前記使用初期のチッピングの発生を抑えることである。
請求項1に記載の本発明は 刃先を有するダイと、ダイの刃先に対応する部分が平坦形状のアンビルを有し、ダイとアンビルの相対距離を縮める際に両者間に挟まれた被切断物であるワークを打ち抜くカッターであり、
前記アンビルは内部母材と異なる使用面表層を少なくとも有しており、
前記使用面表層のヤング率は内部母材よりも高く、
使用面表層の材質のヤング率をEc(GPa)とした場合の使用表層面の厚さTc(mm)が 60≦Ec×Tc≦2160
の範囲で表される関係を有するカッターである。
本発明者らはアンビルを2層以上の構造とし、使用表面層に高ヤング率の耐摩耗性に優れた材料をヤング率から導かれる所定の厚さで被覆し、内部母材には比較的ヤング率の低い材料を用いることによって、初期作動時に頻発する過大な応力の発生の際に内部母材の変形によりダイ刃先のチッピングを防ぎ、なおかつ耐摩耗性に優れた使用表面層を用いることにより耐磨耗性との両立を実現した。
2層「以上」というのは、表面使用層とそれよりもヤング率の低い層が当接面内部にあるということを指し、例えば構造的に3層や4層、それ以上のものも含む。図6に2層、3層とした場合の一例を示す。
使用表面層に用いる耐摩耗性に優れた材料は、その厚さが厚すぎるとアンビルの変形抵抗が高くなるために、初期作動時に発生しやすい過大な応力で変形量が少ないために、刃先への応力集中が起こり、チッピングを発生させる。これは使用表面層のヤング率が高いほど傾向が高くなる。ヤング率が高くなれば変形はより小さくしか起きないために、チッピングが生じやすくなり、ヤング率が低くなればチッピングが減少する傾向にある。
一方、使用表面層を薄くすることによりアンビルの変形抵抗は低くなり、初期作動時に発生しやすい過大な応力が生じた際も、ヤング率の比較的低い内部母材が変形することによりこの応力を吸収しやすくなり、チッピングの発生を抑えられる。しかしながら、アンビルはその使用表面層の材質として耐摩耗性の高い材料を使用しても、摩耗や刃先からの荷重による歪はなくすことは難しい。そこで、一定期間使用後にはダイやアンビルの使用表面層を研削などの機械加工を施し表面を除去することによって、再度良好に使用可能となる。これを再研磨という。使用表面層は薄いほうが初期作動時の刃先のチッピングは抑えることができるが、あまりに薄い場合は再研磨を行なうための十分な厚みが確保できないために、アンビル自体を交換するか、使用表面層をもう一度形成しなおす必要がある。これはアンビルの費用が余計にかかることになり望ましくない。そのために、使用表面層はチッピングの危険が回避される範囲内で、一定の厚さ以上あるほうが費用面で都合がよい。一般に一度の再研磨でアンビルの使用表面層を研削などの機械加工により除去する量は、使用表面層の外径で0.03〜0.5mmである。この量再研磨することにより数回〜数十回使用することができる。
前記請求の範囲は実験により特定した範囲である。
本範囲を求めるにあたって、ダイ刃先を超硬合金(硬さ93HR、ヤング率620GPa)、アンビルを周方向に2重構造として内部母材(ヤング率Eb(GPa))上に、使用表面層(ヤング率Ec(GPa))を厚さTc(mm)形成したカッターを使用した。
この使用表面層のEcを、材質を変えるにことによって種々条件を変え、また使用表面層の厚さTcを変えることにより適切範囲の選定を行った。また、内部母材のヤング率はEb(GPa)で表す。
アンビルの内部母材の材質については、本発明では特に限定するものではないが、被加工性などの製造費用や材料の入手の容易性、靱性などの面からより適した材料は挙げることができる。
アンビル内部母材は前述のようにヤング率が低いほうが、初期作動時のダイカットロール刃先のチッピングは減らすことができる。しかしながら、あまりにも強度やヤング率が低いような材料では、ロールの回転や切断時の応力により軸心にブレが生じたり、ワークに均一かつ適切な大きさの応力が与えられないなどの不具合が生じる。また別の特性では、あまりにも重量が大きくなるような重金属や、取り扱い時や使用時の衝撃で容易に破壊する材料も望ましくない。もちろん、製造費用が高いものや、加工が困難な材料も不適である。これらの条件を満たす材料としては、合金鋼(熱間工具鋼、冷間工具鋼、耐熱鋼、高張力鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、マンガンモリブデン鋼のいずれか)、工具鋼(炭素工具鋼、合金工具鋼、ダイス鋼、ハイス鋼のいずれか)のいずれかが適当である。
まずロータリーカッター方式の切断加工を行なった例を示す。
ダイカットロールとアンビルロールの外径を250(mm)、ワークとして紙おむつ用のポリプロピレン不織布を選定し、毎分600回転にて打抜き切断加工を行なった。装置の概要は図2に示す様に、ダイカットロールとアンビルロールを平行に設置し、それぞれ逆方向に回転させ、その間を通過するワークを加工した。ダイカットロールの刃先は先端に平端部を持ち稜面が複数の面を持つ凸型断面を有しており、ワークを通過させる前のアンビルロールの使用表面部とは−1μmのオフセット(1μmの食い込み量)の設定とした。
以上の装置を用いて、刃先を機械加工した状態にて、装置は初期作動時を再現するためにそのたび組付けをして実験を行なった。実験はそれぞれの条件にて30分間行ない、使用後の刃先をCCDカメラにて観察し、チッピングの状態を調べた。
実験後に図4に示すようにEcとTcをプロットして2次元グラフを作成したところ、チッピングを起こす試料と起こさない試料の境界に明確な反比例の相関関係が見られた。図4中のプロットで、○はチッピングが全く観察されなかった点、幅および深さが5μm以下の微細なチッピングのみが観察された点を▲、幅または深さが5μmを越えるチッピングが観察された点を×で示す。なお、この際の幅とは刃先パターンへの長さ、深さはアンビルロール径方向への長さを示す。
まず、チッピングが起らない領域においては、使用表面層のヤング率のEcが高くなるほどに、同厚さであるTcが制限された。Ecが550GPaの場合はTcが4mmまで厚くできるのに対し、ヤング率が1080GPaである場合は厚さの上限値は2mmであった。この厚さ以上にTcを大きくすると微細なチッピングが生じ、さらに厚さを0.5mm増やすことで刃先に5μmを越える大きなチッピングが生じた。
なお、Ecの値が300〜400の使用表面層は各種セラミックスを、500〜650には各種超硬合金を、800以上のものはDLCにて形成した試料である。それらは溶射法、CVD法およびコールドスプレー法によりアンビルロールの使用表面層に形成した。
実験にてチッピングを起こさないプロットのEcとTcの値から、それらの積が2160以下である場合にチッピングを起こさないことが分かった。この値を超えるとチッピングが生じるようになる。
チッピングの生じないTcの最低値はいずれのEcを持つ材質においても下限は特に見られなかった。実験は最低値でTc=0.2mmで行なったが、試験を行ったEcの材質が300〜1080の材質においてチッピングは生じなかった。この際のEcとTcの積の最小値は60である。


次に前記ダイまたはアンビルのいずれか一方の直線的な反復運動によりワークを打ち抜くカッター用いた例を示す。
図1に示すように、ダイとアンビルを対向させ、ダイの上下動によりダイとアンビル間に別途手段で送られたワークを挟みこみ切断する装置を用いて試験を行った。ダイにはワークの切断形状に合わせた刃先が、アンビルの刃先と対向する箇所には母材材質と異なる使用表面層を設けている。ワークは金属ワイヤーを内部に有し綿からなる布で、厚さが平均2mmのものとした。形状は200×300(mm)の四角形状から4つの角にコーナーRを10mm設けたものとした。刃先は超硬合金(ヤング率:550GPa、硬さ92HR、ランド幅0.03mm)で製作した。また、ダイの母材はスチール製、使用表面層は材質を種々変えてヤング率をEc(GPa)、厚さをTc(mm)とした。運転は毎分200ショットにて100分間行なった。ワークを通過させる前のアンビルの使用表面部とはオフセットなし(刃先がアンビル表面層と接触した位置)の設定とした。
以上の装置を用いて、刃先を機械加工した状態にて、装置は初期作動時を再現するためにそのたび組付けをして実験を行なった。使用後の刃先をCCDカメラにて観察し、チッピングの状態を調べた。
実験後に図5に示すようにアンビル使用表面層のEc(ヤング率:GPa)とTc(厚さ:mm)をプロットして2次元グラフを作成したところ、チッピングを起こす試料と起こさない試料の境界に反比例の相関関係が見られた。図5中のプロットで、○はチッピングが全く観察されなかった点、幅および深さが5μm以下の微細なチッピングのみが観察された点を▲、幅または深さが5μmを越えるチッピングが観察された点を×で示す。
ロータリーカッターにて得られた結果と傾向は同様であったが、チッピングが5μm以下しか起らない、表中の▲の領域は広い傾向があった。使用表面層のヤング率のEcが高くなるほどに、同厚さであるTcが制限された。Ecが550GPaの場合はTcが5mmまで厚くできるのに対し、ヤング率が1080である場合は厚さの上限値は2.5mmであった。この厚さ以上にTcを大きくすると微細なチッピングが生じ、さらに厚さを0.5mm増やすことで刃先に5μmを越える大きなチッピングが生じた。
なお、Ecの値が300〜400の使用表面層は各種セラミックスを、500〜650には各種超硬合金を、800以上のものはDLCにて形成した試料である。それらは溶射法およびコールドスプレー法によりアンビルの使用表面層に形成した。
実験にてチッピングを起こさないプロットのEcとTcの値から、それらの積が概ね2500以下である場合に微小なチッピングのみを起こし、2160以下の場合にはチッピングを起こさないことが分かった。この値を超えるとチッピングが生じるようになる。
チッピングの生じないTcの最低値はいずれのEcを持つ材質においても下限は特に見られなかった。実験は最低値でTc=0.2mmで行なったが、試験を行ったEcの材質が300〜1080の材質においてチッピングは生じなかった。この際のEcとTcの積の最小値は60である。
以上の結果より、本発明はEcとTcの積の範囲を 60≦Ec×Tc≦2160 の範囲に限定するものである。
請求項2に記載の本発明は前記内部母材のヤング率をEbとした場合の、前記使用表面層のヤング率と内部母材のヤング率の比が1<Ec/Eb≦5.5 の範囲で表される請求項1に記載のカッターである。
アンビル内部母材のヤング率は、前述のように使用表面層のそれよりも低い。より好ましい範囲は、使用表面層とのヤング率Ecと内部母材のヤング率Ebの比が1.45以上である。この数値より低くなると、使用表面層のヤング率が十分に上げられなくなるために、アンビルの長寿命を維持することが困難となる。また、その比が5.5を越えると、今度はアンビル使用表面層の材質のヤング率が高くなりすぎ、その結果として厚さを極めて薄くする必要が生じる。アンビルは使用後に再研磨によりその使用表面層を削り取ることで再度の使用が可能になるが、厚さの極めて薄いものはこの再研磨ができないか、できても回数が限られてしまうために工業上効率的でない。
請求項3に記載の本発明前記アンビルの前記使用面表層のロックウェルAスケールの硬さをHRcと表した際に
85.0≦HRc≦95.0
で表される請求項1または2に記載のカッターである請求項1に記載のカッターである。
使用面表層の硬さは、その耐摩耗性に直結する。アンビルの摩耗は刃先に比べれば比較的小さいとはいえ、硬さの高い刃先とワークを介して応力が与えられるために、使用面表層が硬さの低い材質であれば摩耗が進みやすくなり望ましくない。硬さの高い刃先に対して十分な耐摩耗性を得るためにはロックウェル硬さAスケールで85HR以上が望ましい。また、実用的な超硬合金やセラミックスなどで使用面表層を形成する場合でも、硬さは前述のように刃先よりも硬さが低いほうがよい。刃先は超硬合金やセラミックスで製造する技術が開示されており、実用的な材料での硬さの上限は95HR以下である。
請求項4に記載の本発明は、刃先のロックウェル硬さAスケールをHRaと表した際に 0<(HRa−HRc)≦14.9 で表される関係を有する請求項3に記載のカッターである。
前述のように、ダイの刃先とアンビル使用表面層の固さは、刃先のほうが高いほうがよい。アンビル寿命を重視するのであれば、刃先の硬さよりアンビルの使用表層面の硬さをやや低くする(0<HRa−HRc≦5)。逆に刃先の形状が複雑や加工しにくい形状の場合は、刃先の硬さより使用表層面を十分低くすることにより、刃先の再加工に要する費用や時間を効率化できる(3≦HRa−HRc≦14.9)。特にどちらかが問題にならなければ、HRa−HRcを2〜10程度とすればよい。
請求項5に記載の本発明は、アンビル使用表面層の材質がWCを主成分とする超硬合金である請求項1から4のいずれかに記載のカッターである。WCを主成分とする超硬合金は、耐摩耗性に優れ、製造もセラミックスなどの靱性が低い材料と比較すると容易である。製造費用や製造の容易さで特に優れているのは、WCを主成分として金属バインダであるCo、Ni、Feを添加した超硬合金である。また、この合金の一部を4a〜6a族金属およびそれらの炭化物、窒化物、炭窒化物を単独または複合で置換した材料でもよい。
請求項6に記載の本発明は、前記超硬合金のWC粒子の平均粒子径が0.03〜0.7μmである、請求項5に記載のカッターである。
アンビル使用表面層の材質として超硬合金が優れていることは前述の通りであるが、超硬合金の中でも特に優れているのはWC粒子の平均粒子径が0.03〜0.7μmである超硬合金である。このように微細なWCの結晶粒子を有することにより、耐摩耗性および耐チッピング性が向上するために、この範囲の材質が超硬合金の中でも特に適している。より適しているのは0.03〜0.45μmの範囲である。
請求項7に記載の本発明は、前記超硬合金のFe、Co、Niの含有量の合計が4〜20重量%である、請求項5または請求項6に記載のカッターである。WC基の超硬合金は焼結法によって製造されるが、その際には金属バインダ成分である鉄族金属(Fe、Co、Ni)を添加しなければ焼結が十分進まずに、気孔が残った組織になる。この効果は鉄族金属を4重量%以上添加することにより顕著に現れ、気孔が少ない組織を得られる。気孔が残っていれば、その気孔が表面に現れた際にカッターの切断不良の原因となる。また、鉄族金属の上限は20重量%までが望ましい。この範囲を超えれば、硬さが著しく低下するために、耐摩耗性を十分有しない使用表面層となる。
請求項8に記載の本発明は、前記ダイがダイカットロール、前記アンビルがアンビルロールで、両ロールの協働により、両ロール間に進行するワークを切断するロータリーカッター方式である請求項1から請求項7に記載のカッターである。
本発明はロータリーカッターに応用することが可能である。ロータリーカッターに応用する際は、ダイをロール外周部に設けたダイカットロールへ、アンビルを円筒形状のアンビルロールとし、両者を平衡に設置してその間にワークを流して、刃先とアンビルロールの円筒部との間に挟みこみ切断することにより可能となる。
ロータリーカッターは他の切断方式よりも高速で加工する用途に向いており、おむつ、サニタリー製品、金属箔、フィルター、紙製品、各種フイルム、医療用シート類、衛生用シート類など広範囲に使用されている。
請求項9に記載の本発明は前記ダイまたはアンビルの少なくともいずれか一方の直線的な反復運動によりワークを打ち抜く請求項1から請求項7のいずれかに記載のカッターである。
本発明はダイとアンビルが直線的に接近し、刃先とアンビル使用表面層とで挟みこむことによって切断する方式に応用が可能である。
この方法はロータリーカット方式と比較して切断の速度は劣るが、構造や調整が比較的容易であり、実用性は高い。直線的に接近するのは、ダイ側が動いてもよいし、アンビル側が動いてもよいし、また両方が動き切断する構造とすることもできる。刃先とアンビル使用表面層が同じ箇所にて加圧、加工をし続けるとその部分のアンビル使用表面層が偏摩耗しやすくなるために、一定期間使用に位置関係を変えるか、または加工のたびに自動的に変える手段を用いることが望ましい。
請求項10に記載の本発明はアンビルの使用面表層を溶射法、コールドスプレー法のいずれかで内部母材に被覆することを特徴とする、
刃先を有するダイと、ダイの刃先に対応する部分が平坦形状のアンビルを有し、
ダイとアンビルの相対距離を縮める際に両者間に挟まれた被切断物であるワークを打ち抜くカッターであり、
前記アンビルは内部母材と異なる使用面表層を少なくとも有しており、
使用面表層のヤング率は内部よりも高く、
使用面表層の材質のヤング率をEc(GPa)とした場合の使用表層面の厚さTc(mm)が
60≦Ec×Tc≦2160
の範囲で表される関係を有するカッターの製造方法である。
アンビル使用面表層は複数の手段で実現可能である。ひとつは内部母材とアンビル使用表面層を接着や溶接、ろう付などにより接合する手段である。この方法はアンビルが板状の場合には容易であるが、ロール状の場合は困難である。また、カッターは使用中に応力の集中が繰り返し生じるために、疲労破壊の可能性はある。
またロール状のダイ及びアンビルに適用できる方法としては、アンビルロールの外周部を超硬合金で製造するように、使用面表層の部分を円筒形状として焼きばめ、冷やしばめ、圧入などの方法で円柱形上の内部母材と一体化する方法がある。
別の方法としては、内部母材の円周上に何らかの手段を用いて使用表面層をコーティングする方法がある。具体的なコーティングの方法も複数あるが、コーティング材料をガス状にして蒸着するか、液体を用いてメッキのようにコーティングするか、固体または溶融した粒子を高速で衝突させる溶射やコールドスプレー法などがある。ただし、それぞれの方法で形成に時間や費用が極端にかかったり、超硬合金やセラミックスなどの硬質材料では難しかったり、アンビルロールの使用面表層としては表面の平滑さが十分確保できないなどの問題点もそれぞれ有している。
これらのコーティング手段で最も製造が容易であり、しかも費用をかけずに一定の厚さを持った緻密な層を得られるのは溶射法およびコールドスプレー法である。溶射法はフレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、HVOF溶射、爆発溶射のいずれの方法でもよく、溶射する材料の融点以下の温度まで熱した状態で高速で粒子を母材に衝突させるコールドスプレー法で形成してもよい。
特に、コールドスプレー法において、コーティングに用いる超硬合金粉末の粒子サイズを微小化することで、より緻密で高硬度なWCおよびCo層を形成することが可能なため、アンビルロールの仕様に適していると言える。
コールドスプレー法を用いて、コーティング層を形成する場合、まずロール基材へアルミナグリッドなどを使用してサンドブラストを行い、基材の脱脂および粗面化処理を行う。使用表面層に用いる材料の融点あるいは軟化温度以下の低温ガスの超音速流に粉末粒子を投入して基材に衝突させ、粒子の塑性変形によりコーティング層を形成する。この方法は超硬合金やセラミックスなど様々な材料に使用できる。使用表面層の気孔率を1%以下、望ましくは0.2%以下となるようにコーティング層を形成することが適している。
形成したコーティング層はそのままの状態では凹凸があり、円筒の面粗さや真円度が出ておらず、また表面には変質層があるために、これを加工機にて面粗さや真円度が確保できるまで機械加工する。機械加工は可能であれば旋盤にて乾式および加工、旋盤加工ができないものはダイヤモンドやc−BNなどの硬質な砥粒を有するホイールにて円筒研削盤にて加工を行なえばよい。
請求項11に記載の本発明は、使用後に摩耗したアンビルの使用表面層を、表面から0.03〜0.5mm機械加工することにより再研磨して再度使用する、請求項1から請求項9のいずれかに記載のカッターの使用方法である。前述のようにアンビルはその使用表面層の材質として耐摩耗性の高い材料を使用しても、摩耗や刃先からの荷重による歪はなくすことは難しい。そこで、一定期間使用後にはアンビルの使用表面層を研削などの機械加工を施し表面を除去することによって、再度良好に使用可能となる。これを再研磨という。使用表面層は薄いほうが初期作動時の刃先のチッピングは抑えることができるが、あまりに薄い場合は再研磨を行なうための十分な厚みが確保できないために、アンビル自体を交換するか、使用表面層をもう一度形成しなおす必要がある。これはアンビルの費用が余計にかかることになり、望ましくない。そのために、使用表面層はチッピングの危険が回避される範囲内で、一定の厚さ以上あるほうが費用面で都合がよい。一般に一度の再研磨でアンビルの使用表面層を研削などの機械加工により除去する量は、使用表面層に対して0.03〜0.5mmである。この量再研磨することにより数回〜数十回使用することができる。
本発明のカッターを用いることにより、現行使用されているアンビル使用表面層に硬質材料を用いたアンビルと同様の耐摩耗性を維持したまま、初期作動時のダイ刃先のチッピングを避けることができる。
また、溶射法やコールドスプレー法など内部母材の表面に層を形成する方法も可能であり、円筒状の焼結体などを製作して内部母材とはめ合わせる現状の手段よりも安価にカッターを得ることができる。
本発明の実施に適した形態を示す。
(第1の形態)
第一の形態はロータリーカッターに適用した例である。
図2にロータリーカッターの形態を示す。ロータリーカッターは刃先3を有するダイカットロール1と、刃先を受けるアンビルロール2を有し、被切断物であるワークWを挟み応力をかけることによる切断をおこなう。挟まれたワークWはダイカットロール刃先3とアンビルロール使用表面層5の間で圧力をかけられ、圧縮された上で破断(切断)する。
ロータリーカッターの刃先3とアンビルロールの使用表面層5とは、通常マイナスのオフセット(干渉幅)を0.5〜3μmほど持つように設定しており、切断不良を防止するためにロールから切断箇所の方向に加圧を行なう場合もある。
ダイカットロールはその刃先5を胴部22よりも5〜15mm程度(径方向に)高く設けており、刃先は鋭利な形状ではなく平坦な端部21を持つことが多い。これはチッピングが起らず、耐久性を保つために採用されている形状である。先端部の平坦な部分をランド幅23と表現するが、ランド幅は0.01〜0.1mmが適当な範囲である。
ダイカットロール1は、刃先3以外の部分についてはその材質は問わず、切断に十分な程度に十分な剛性さえ得られればよい。ダイカットロール1には軸6が使用中にぶれるなどの現象を起こせば良好な切断ができなかったり、刃先を破損させたりする恐れがある。被加工性や費用の面を考慮すれば鉄系材料が適当である。より適当な材質は前述の工具鋼などを用いればよい。
刃先3の材質は超硬合金やセラミックスなどの硬質のものがよい。刃先3はその先端部に大きな応力が集中してかかるために、容易に破壊しないように強度や靱性が高い材料の使用がより望ましい。
一方アンビルロール2については、本発明のアンビルロールの内部母材4は前述の鉄系材料を用いるのが好ましく、使用表面層の材質及び厚さについては硬質材料で、ヤング率及び層の厚さが所定の範囲のものを用いればよい。硬質材料を内部母材へ形成するためには、溶射、コールドスプレー、蒸着、メッキなどの方法を用いることができる。
ダイカットロール1とアンビルロール2を平行状態で筐体に設置し、アンビルロール2とのオフセットを所定の数値にあわせ、互いに逆方向に回転するようにすればワークWを切断が可能となる。駆動方式はダイカットロール1を駆動してアンビルロール2とワークWはそれに連動して回転及び送られる1軸駆動法式か、ダイカットロール1とアンビルロール2双方を機械的に回転させる2軸駆動方式のいずれを選択してもよい。
以上に説明した装置を用いてワークWの切断加工を行なう。
ワークWは不織布、布、紙、プラスチック、樹脂、カーボン、金属箔など薄板状または箔状のものに適用可能である。
本発明のカッターをロータリーカッターに適用する場合は、図6に示すように前記アンビルロールを2層以上の構造とする。この2層では、使用表面層を1層必ず存在するために、アンビルロール2で使用表面層5以外が一体の場合は2層となる。また、一例として、アンビルロールの軸6と円筒状の母材4とを用い、この母材上に使用表面層5を形成すれば3層構造となる。3層以上の構造はその必要がある場合にとることが可能である。
ダイカットロール1については、ロールに刃先3を硬質材料にて形成するか、硬質材料で円筒形状に刃先部3を有した焼結材料をシャフトにはめ込むなどして固定すればよい。刃先3の加工は精密さが要求されるために、数値制御の機械による加工を行なうか、硬質のヤスリなどを用いて仕上げ加工を行なう。
アンビルロール2については、使用表面層5はヤング率(GPa)と厚さ(半径、mm)とを本発明の範囲である 60≦Ec×Tc≦2160 の範囲にて形成する。
また、この際に内部母材4のヤング率Eb(GPa)については 1<Ec/Eb≦5.5 の範囲、より望ましくは1.45≦Ec/Eb≦5.5の材料を選定することが望ましい。
使用表面層5の被覆については公知の方法、すなわちコーティング材料をガス状にして蒸着するか、液体を用いてメッキのようにコーティングするか、固体または溶融した粒子を高速で衝突させる溶射やコールドスプレー法のいずれかの方法により行なうことができる。また、他の方法として軸6や内部母材4とは別に製作したスリーブ状の使用表面層と内部母材4とを接合することによりアンビルロールを得られる。いずれの方法をとっても、表面使用層5の気孔率は1%以下、望ましくは0.2%以下がよい。
コーティングした表面は、コーティングが均一な緻密さや、厚さが均一でないことが多い。そのために、精密な寸法を得て均一な状態とするために、機械加工を行なう必要がある。機械加工は、可能であれば旋盤を用いて切削加工を行ない、切削が不可能か十分な面の特性(平滑性や同真度など)が得られない場合は、硬質粒子のホイールを用いた研削加工により行なう。
概ね使用表面の面粗さはRa(94年度版JIS)で0.1μm以下まで加工することが望ましい。
得られたダイカットロール1とアンビルロール2を回転駆動機構を有する筐体(図示せず)に取り付け、刃先3を0.5〜3μm程度アンビルロールの使用表面層5と干渉するように設定する。
以上に要点を記載した手段にて要部を構成し、本発明のロータリーカッターを得ることができる。

(第2の形態)
第2の形態はダイまたはアンビルの少なくとも一方の直線的な反復運動によりワークを打ち抜くカッターに適用した例である。このカッターを便宜的に以後「反復カッター」と記載する。
図1に反復カッターの形態を示す。反復カッターは刃先を有するダイ12と、刃先を受けであるアンビル11を有し、被切断物であるワークWを挟み応力をかけることによる切断をおこなう。挟まれたワークWはダイ刃先3とアンビル使用表面層5の間で圧力をかけられ、圧縮された上で破断(切断)する。
圧縮にかける応力はワークWの厚さや材質によって大きく異なるが、1〜1000MPaのことが多い。
ダイは代表的にはその刃先を胴部22よりも5〜15mm程度高く設けており、図3に示すように刃先は鋭利な形状ではなく平坦な端部21を持つことが多い。これはチッピングを起こしにくく、かつ耐久性を保つために採用されている形状である。先端部の平坦な部分をランド幅23と表現するが、ランド幅23は0.01〜0.1mmが適当な範囲である。もちろん切断するワークの厚さなどによってこの値は変化する。
ダイ12は、刃先以外の部分13についてはその材質は問わず、切断に十分な程度に十分な剛性さえ得られればよい。ダイ12は軸が使用中にぶれるなどの現象を起こせば良好な切断ができなかったり、刃先3を破損させたりする恐れがある。被加工性や費用の面を考慮すれば鉄系材料が適当である。より適当な材質は前述の工具鋼などを用いればよい。
刃先3の材質は超硬合金やセラミックスなどの硬質のものがよい。刃先3はその先端部に大きな応力が集中してかかるために、容易に破壊しないように強度や靱性が高い材料の使用がより望ましい。
一方アンビル11については、本発明のアンビル内部母材14は前述の鉄系材料を用いるのが好ましく、使用表面層5の材質及び厚さについては硬質材料で、ヤング率及び層の厚さが所定の範囲のものを用いればよい。硬質材料を内部母材へ形成するためには、溶射、コールドスプレー、蒸着、メッキなどの方法を用いることができる。また、溶着やホットプレスによる加熱状態での圧着など、内部母材と使用表面層のうち融点の低い材料の融点近くまで加熱して一体化する方法もある。板状の使用表面層5を製作したのちに、内部母材14と接合する方法も可能である。
ダイ12とアンビル11を対向状態で互いに接近可能な筐体に設置し、アンビル11とのオフセットを所定の数値にあわせ、少なくとも一方が直線的な反復運動を可能に設置すればよい。接近して、刃先3とアンビル使用表面層5とに挟まれたワークWが切断対象となる。駆動方式は油圧式やカム式などがあるが、いずれの機構においても実施が可能である。
以上に説明した装置を用いてワークの切断加工を行なう。
不織布、繊維、布、紙、プラスチック、樹脂、カーボン、金属箔、ゴム板など薄板状または箔状のワークに使用できる。ワークの送り機構は別途設け、ダイとアンビルの再接近時に切断を終了し、いったん離れ、次のワークが送られた状態でまた接近して切断という動作を繰り返す。
本発明のカッターを反復カッターに適用する場合は、前記アンビル11を2層以上の構造とする。この2層では、使用表面層5を1層必ず有するために、アンビル11で使用表面層5以外が一体の場合は2層となる。構造上、製造上で必要な際には、3層以上の構造とすることも可能である。
ダイ12については、ダイの基材部13に刃先を硬質材料にて形成するか、基材を含めたダイ自体を硬質材料で製作し、筐体に固定すればよい。刃先の加工は精密さが要求されるために、数値制御の機械による加工を行なうか、硬質のヤスリなどを用いて仕上げ加工を行なう。
アンビルについては、使用表面層についてはヤング率と厚さ(半径)とを本発明の範囲である 60≦Ec×Tc≦2160 の範囲にて形成する。
また、この際に内部母材のヤング率については 1<Ec/Eb≦5.5 の材料、より好ましくは 1.45≦Ec/Eb≦5.5 の範囲の材料を選定する。
使用表面層の被覆については公知の方法、すなわちコーティング材料をガス状にして蒸着するか、液体を用いてメッキのようにコーティングするか、固体または溶融した粒子を高速で衝突させる溶射やコールドスプレー法のいずれかの方法により行なうことができる。また、溶着やホットプレスによる加熱状態での圧着など、内部母材と使用表面層のうち融点の低い材料の融点近くまで加熱して一体化する方法もある。
コーティングした表面は、コーティングが均一な緻密さや、厚さが均一でないことが多い。そのために、精密な寸法を得て均一な状態とするために、機械加工を行なう必要がある。機械加工は、可能であればフライス盤などを用いて切削加工を行ない、切削が不可能か十分な面の特性(平滑性や真円度など)が得られない場合は、硬質粒子のホイールを用いた研削加工により行なう。
概ね使用表面層5の面粗さはRa(94年度版JIS)で0.1μm以下まで加工することが望ましい。
以上に要点を記載した手段にて要部を構成し、本発明の反復カッターを得ることができる。
本発明のカッターを反復カッターに用いた一例を示す。 本発明のカッターをロータリーカッターに用いた一例を示す。 刃先の断面の模式図。 アンビルロールの使用表面層のヤング率とその厚さを変更した際のチッピング状態を示す図。 板状アンビルの使用表面層のヤング率とその厚さを変更した際のチッピング状態を示す図。 アンビルの構造の一例(a)反復カッターの2層構造、(b)反復カッターの3層構造、(c)ロータリーカッターの2層構造、(d)ロータリーカッターの3層構造
1 ダイカットロール
2 アンビルロール
3 刃先
4 内部母材
5 使用表面層
6 軸部
11 アンビル
12 ダイ
13 ダイの胴部
14 アンビル内部母材
21 ランド部(刃先の平端部)
22 胴部
23 ランド幅
25 アンビルの最内層
W ワーク(被切断物)

Claims (11)

  1. 刃先を有するダイと、ダイの刃先に対応する部分が平坦形状のアンビルを有し、
    ダイとアンビルの相対距離を縮める際に両者間に挟まれた被切断物であるワークを打ち抜くカッターであり、
    前記アンビルは内部母材と異なる使用面表層を少なくとも有しており、
    前記使用面表層のヤング率は内部母材よりも高く、
    使用面表層の材質のヤング率をEc(GPa)とした場合の使用表層面の厚さTc(mm)が
    60≦Ec×Tc≦2160
    の範囲で表される関係を有するカッター。
  2. 前記内部母材のヤング率をEb(GPa)とした場合の、前記使用表面層のヤング率と内部母材のヤング率の比が
    1<Ec/Eb≦5.5
    の範囲で表される請求項1に記載のカッター。
  3. 前記アンビルの前記使用面表層のロックウェルAスケールの硬さをHRcと表した際に
    85.0≦HRc≦95.0
    で表される請求項1または2に記載のカッター。
  4. 前記刃先のロックウェルAスケールの硬さをHRaと表した際に
    0<(HRa−HRc)≦14.9
    で表される関係を有する請求項3に記載のカッター。
  5. アンビル使用表面層の材質がWCを主成分とする超硬合金である請求項1から4のいずれかに記載のカッター。
  6. 前記超硬合金のWC粒子の平均粒子径が0.03〜0.7μmである、請求項5に記載のカッター。
  7. 前記超硬合金のFe、Co、Niの含有量の合計が4〜20重量%である、請求項5または請求項6に記載のカッター。
  8. 前記ダイがダイカットロール、前記アンビルがアンビルロールで、
    両ロールの協働により、両ロール間に進行するワークを切断するロータリーカッター方式である請求項1から請求項7に記載のカッター。
  9. 前記ダイまたはアンビルの少なくともいずれか一方の直線的な反復運動によりワークを打ち抜く請求項1から請求項7のいずれかに記載のカッター。
  10. アンビルの使用面表層を溶射法、コールドスプレー法のいずれかで内部母材に被覆することを特徴とする、
    刃先を有するダイと、ダイの刃先に対応する部分が平坦形状のアンビルを有し、
    ダイとアンビルの相対距離を縮める際に両者間に挟まれた被切断物であるワークを打ち抜くカッターであり、
    前記アンビルは内部母材と異なる使用面表層を少なくとも有しており、
    使用面表層のヤング率は内部よりも高く、
    使用面表層の材質のヤング率をEc(GPa)とした場合の使用表層面の厚さTc(mm)が
    60≦Ec×Tc≦2160
    の範囲で表される関係を有するカッターの製造方法。
  11. 使用後に摩耗したアンビルの使用表面層を、表面から0.03〜0.5mm機械加工することにより再研磨して再度使用する、
    請求項1から請求項9のいずれかに記載のカッターの使用方法。
JP2011002583A 2011-01-08 2011-01-08 ロータリーカッター Active JP5797408B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011002583A JP5797408B2 (ja) 2011-01-08 2011-01-08 ロータリーカッター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011002583A JP5797408B2 (ja) 2011-01-08 2011-01-08 ロータリーカッター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012143824A true JP2012143824A (ja) 2012-08-02
JP5797408B2 JP5797408B2 (ja) 2015-10-21

Family

ID=46787934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011002583A Active JP5797408B2 (ja) 2011-01-08 2011-01-08 ロータリーカッター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5797408B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103203774A (zh) * 2013-04-25 2013-07-17 浙江申明制鞋机械有限公司 一种在数控裁断机上冲裁裁片的方法
JP2015188964A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 日本タングステン株式会社 ロータリーカッター
JP6209300B1 (ja) * 2017-04-27 2017-10-04 日本タングステン株式会社 アンビルロール、ロータリーカッタ、及びワークの切断方法
CN114260664A (zh) * 2021-12-22 2022-04-01 江苏利宇剃须刀有限公司 一种改进的手动剃须刀片生产方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3003497U (ja) * 1994-04-25 1994-10-18 東京ハイテック株式会社 プレス金型
JP2006239816A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Mitsubishi Materials Corp ロータリーダイカッター
JP2007131505A (ja) * 2005-11-14 2007-05-31 Sanalloy Industry Co Ltd 超高硬度焼結工具用の焼結素材およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3003497U (ja) * 1994-04-25 1994-10-18 東京ハイテック株式会社 プレス金型
JP2006239816A (ja) * 2005-03-03 2006-09-14 Mitsubishi Materials Corp ロータリーダイカッター
JP2007131505A (ja) * 2005-11-14 2007-05-31 Sanalloy Industry Co Ltd 超高硬度焼結工具用の焼結素材およびその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103203774A (zh) * 2013-04-25 2013-07-17 浙江申明制鞋机械有限公司 一种在数控裁断机上冲裁裁片的方法
JP2015188964A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 日本タングステン株式会社 ロータリーカッター
JP6209300B1 (ja) * 2017-04-27 2017-10-04 日本タングステン株式会社 アンビルロール、ロータリーカッタ、及びワークの切断方法
EP3395516A1 (en) 2017-04-27 2018-10-31 Nippon Tungsten Co., Ltd Anvil roll, rotary cutter, and method of cutting workpiece
US10493649B2 (en) 2017-04-27 2019-12-03 Nippon Tungsten Co., Ltd. Anvil roll, rotary cutter, and method for cutting workpiece
CN114260664A (zh) * 2021-12-22 2022-04-01 江苏利宇剃须刀有限公司 一种改进的手动剃须刀片生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5797408B2 (ja) 2015-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Textured grinding wheels: a review
EP0560951B1 (en) Wear resistant tools
US20050158589A1 (en) Self-sharpening cutting tool with hard coating
EP1842609A1 (en) Edge replacement cutting tip and method of manufacturing the same
EP3395516B1 (en) Anvil roll, rotary cutter, and method of cutting workpiece
JP5413047B2 (ja) 複合焼結体
JP2011177890A (ja) 刃先交換型切削チップおよびその製造方法
JP5797408B2 (ja) ロータリーカッター
US6508150B1 (en) Reversible cutting tip, method for producing such cutting tip, tool provided with such cutting tips, and method for cutting a workpiece by using such cutting tip or a tool provided with such cutting tip
JP4185370B2 (ja) チップブレーカー付き硬質焼結体切削工具およびその製造方法
CN105773092A (zh) 胶粘硬质合金模切刀辊的制造方法
CN101795797A (zh) 切削工具、形成切削工具的方法及制造切削工具的方法
Okada et al. Cutting characteristics of direct milling of cemented tungsten carbides using diamond-coated carbide end mills with untreated and treated cutting edge
CN111283205B (zh) 一种超厚多晶金刚石复合材料、制备方法及其应用
JP4127666B2 (ja) スリッタ用切断刃およびスリッティング工具
CN102501027A (zh) 钴靶材的加工方法
JP4588847B2 (ja) ダイカットロール
CN108687976B (zh) 一种石材切割刀具
Karpuschewski et al. Machining processes
JP2010042462A (ja) 旋削用チップ
JP2018171686A (ja) 切断装置
EP3915702A1 (en) Rotary knife
JP5929144B2 (ja) 硬質焼結体ボールエンドミル
Yasui et al. Effect of low cutting speed on ultra-precision cutting of titanium alloy with coated-cemented-carbide tool
JP2011147983A (ja) 成形工具とその加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150303

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150811

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5797408

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150