JP2012143086A - 超音波モータ - Google Patents

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Abstract

【課題】組み立て容易性が良好な超音波モータを得る。
【解決手段】楕円振動が励起される積層圧電素子40と、前記楕円振動を駆動源として回転駆動されるロータ機構部10と、積層圧電素子40をロータ機構部10に圧接させる押圧機構部20と、フレーム30と、フレーム30のうち積層圧電素子40に対向する面に設けられ、振動子40をその厚み方向においてフレーム30と共に挟持する挟持部51s1−1〜4および51s2−1〜4と、を超音波モータに具備させ、前記フレーム30及び前記挟持部51s1−1〜4および51s2−1〜4のうち少なくとも一方は、積層圧電素子40の厚み方向について弾性力を有し、前記挟持部51s1−1〜4および51s2−1〜4は、フレーム30と積層圧電素子40とに対して圧接している。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば圧電素子等の振動子の振動を利用する超音波モータに関する。
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子等の振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く高分解能である点、静粛性に富む点、及び磁気的ノイズを発生させない点等の利点を有している。
超音波モータでは、超音波振動子を、摩擦部材である駆動子を介して、相対運動部材である被駆動部材に押し付けることで、前記駆動子と前記被駆動部材との間に摩擦力を発生させ、この摩擦力によって前記被駆動部材を駆動する。
例えば、縦振動と捻れ振動とを超音波振動子に同時に発生させることで、それらの振動が合成された楕円振動を当該超音波振動子に発生させ、該楕円振動を利用して前記被駆動部材を駆動する超音波モータが知られている。このような超音波モータに関連する技術としては、例えば特許文献1に次のような技術が開示されている。
この特許文献1に開示されている技術によれば、棒状弾性体の側面において互いに対向して配置された2個の積層圧電素子の伸縮振動を利用して、前記棒状弾性体に縦振動と捻じれ振動とを同時に励起し、前記棒状弾性体の端面に設けられた駆動子に楕円運動を励起させて、駆動子によりロータを回転させる超音波モータが開示されている。
詳細には、特許文献1に開示されている超音波モータでは、縦振動の周波数と、捻れ振動の周波数と、を略一致させる為に、前記棒状弾性体に溝部を設けている。そして、この溝部の位置を調整することで、縦振動の周波数と捻れ振動の周波数との共振周波数を略一致させている。
さらに、前記棒状弾性体の中央部には長さ方向に沿った貫通孔が設けられ、該貫通孔にシャフトが挿入されて固定されている。そして、このシャフトを基準にして支持されたロータを、上述した楕円振動から駆動力を得た前記駆動子によって回転させている。
特開平9−117168号公報
ところで、特許文献1に開示されている超音波モータは、以下の理由により、組み立て容易性が良好であるとは言い難い。
すなわち、特許文献1に開示されている超音波モータでは、積層圧電素子と棒状弾性体とを接着固定しなければならない点、及び、縦振動の周波数と捻れ振動の周波数とを略一致させる為に棒状弾性体に溝部を形成しなくてはならない点、が組み立て容易性を低下させている。そして、このような組立性の不良が、当該超音波モータのモータ性能のばらつきや低下を招くことがある。
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、組み立て容易性が良好な超音波モータを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一態様による超音波モータは、
中心軸に垂直な断面が矩形状を呈し、該矩形状を構成する短辺と長辺との比率が所定の値に設定され、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、が同時に励起されることで楕円振動が励起される振動子と、
前記振動子のうち前記楕円振動が励起される面に当接し、前記楕円振動を駆動源として、前記中心軸を回転軸として回転駆動されるロータ機構部と、
前記振動子を前記ロータ機構部に向かって押圧し、前記振動子の前記楕円振動が励起される面を前記ロータ機構部に圧接させる押圧機構部と、
前記ロータ機構部と前記押圧機構部と共に前記振動子を保持するフレームと、
前記フレームのうち前記振動子に対向する面に設けられ、前記振動子をその厚み方向において前記フレームと共に挟持する挟持部と、
を具備し、
前記フレーム及び前記挟持部のうち少なくとも一方は、前記振動子の厚み方向について弾性力を有しており、
前記挟持部は、前記フレームと前記振動子とに対して圧接している
ことを特徴とする。
本発明によれば、組み立て容易性が良好な超音波モータを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す分解斜視図。 第1実施形態に係る超音波モータの正面図。 第1実施形態に係る超音波モータの側面側からの斜視図。 回転規制フレームが有する弾性力(付勢力)の方向を示す図。 組立前の本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。 積層圧電素子をないものと仮定した本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。 組立後の本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。 組立後の本一実施形態に係る超音波モータにおける挟持部のたわみの一例を示す図。 積層圧電素子の一構成例を示す図。 縦1次振動モードにおける積層圧電素子の振動状態を破線で示す斜視図。 捻れ2次振動モードにおける積層圧電素子の振動状態を破線で示す斜視図。 積層圧電素子の各振動モードにおける共振周波数特性の一例を示す図。
以下、本発明の実施形態に係る超音波モータについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す分解斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る超音波モータの正面図である。図3は、一実施形態に係る超音波モータの側面側からの斜視図である。
図1に示すように、本第1実施形態に係る超音波モータは、ロータ機構部10と、押圧機構部20と、フレーム30と、積層圧電素子40と、を具備する。
前記ロータ機構部10は、中心軸11と、軸受け12と、歯車13と、摺動板14と、を有する。
前記中心軸11は、後述するロータ機構収容フレーム31bに対して固定された軸部材である。なお、ロータ機構部10における各構成部材は、この中心軸11に対して同心状に配設されている。
前記軸受け12は、中心軸11に挿通されたベアリング部材である。
前記歯車13は、軸受け12に結合され、この軸受け12を介して中心軸11に対して回転自在に設けられている。
前記摺動板14は、後述する駆動子41に接触するよう配置され、該駆動子による駆動力を歯車13に伝達する。
前記押圧機構部20は、バネ21と、押圧軸22aが設けられた固定板22と、を有する。
前記バネ21は、後述する積層圧電素子40を、ロータ機構部10に対して押圧する為のバネ部材である。このバネ21は、後述する押圧軸22aによって位置決めされている。具体的には、このバネ21は、例えば板バネやコイルバネ等である。
前記固定板22は、後述する一対の回転規制フレーム31a1,31a2の底面に対して螺子止め或いは接着等により固定された板状部材である。この固定板22と積層圧電素子40とによって挟み込まれたバネ21は、撓んだ状態で積層圧電素子40をロータ機構部10に対して押圧する。
前記押圧軸22aは、バネ21の中空領域に挿入されて当該バネ21を位置決めし、ロータ機構部10の回転軸と積層圧電素子40の回転軸とを一致させる略円柱状の部材である。この押圧軸22aの一方端は固定板22に対して挿通され、他方端は積層圧電素子40の底面のうち捻り振動の節位置に対応する位置(幅方向及び厚み方向の中心位置近傍)に接着等により固定されている。
前記フレーム30は、回転規制フレーム31a1,31a2と、ロータ機構収容フレーム31bと、を有する。
前記回転規制フレーム31a1,31a2は、対向する一対の略板状部材であり、これら回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2との間に積層圧電素子40が挿入される。詳細は図4を参照して後述するが、フレーム30は、何ら外力が加わらない状態では、回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2とが積層圧電素子40の厚み寸法よりも大きく離間するような付勢力(弾性力)を有している。これにより、積層圧電素子40を回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2との間に挿入(配置)することが容易となる。
前記回転規制フレーム31a1のうち積層圧電素子40に対向する面には、積層圧電素子40を挟持する為の挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4が設けられている。同様に、前記回転規制フレーム31a2のうち積層圧電素子40に対向する面には、積層圧電素子40を挟持する為の挟持部51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4が設けられている。
以下、挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4について、その構成及び配設位置を詳細に説明する。
図1乃至図3に示す例では、前記挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4は、回転規制フレーム31a1,31a2に挿入された略棒状形状の部材であり、少なくとも積層圧電素子40に対向する(接触する)端部は弾性を有しており(例えば樹脂や硬質ゴムを材料として構成されており)、該端部が回転規制フレーム31a1,31a2から積層圧電素子40に向かって露出している。
このように構成された挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4が、回転規制フレーム31a1,31a2に形成した孔部に圧入され、或いは挿入された後に接着等で固定されて設けられている(具体的な配設位置については後述する)。
なお、樹脂を材料として挟持部を構成する場合、フレーム30と一体成形してもよい。さらには、金属(例えばアルミニウム)を材料としてフレーム30を構成し、且つ、樹脂を材料として挟持を構成する場合、挟持部をインサート成形してもよい。
また、上述の挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4のうち積層圧電素子40に対向する(接触する)端部を構成する材料は、歯車13の回転方向と同方向への積層圧電素子40の変位を規制する程度の硬質性と、積層圧電素子40の振動をフレーム30に伝達しにくく且つ積層圧電素子40の寸法のばらつきを吸収可能な程度の弾性を兼ね備えた材料であれば任意である(一例としては、上述のように硬質ゴムを挙げることができる)。
ここで、各挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−4の寸法は、組立後に互いに対向する一対の挟持部の頂点間距離が、組立前の当該超音波モータにおいて積層圧電素子40の厚み寸法よりも大きい値となるように設定する。
前記回転規制フレーム31a1,31a2において挟持部51s1−1,51s2−1が設けられている位置は、挟持部51s1−1と挟持部51s2−1とによって積層圧電素子40の捻れ振動の節位置(当該積層圧電素子40の振動を阻害せず且つ当該積層圧電素子40の長手方向端面に励起される捻れ振動の振幅を最大とするような位置)を挟持可能な位置である。これにより、良好な駆動効率が実現する。
また、挟持部51s1−1と挟持部51s2−1とは、それぞれ回転規制フレーム31a1,31a2のうち互いに対向する位置に設けられており、積層圧電素子40をその厚み方向において挟持する。
前記回転規制フレーム31a1において、図3に示すように挟持部51s1−1が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a1の短手方向に距離Lだけ離間した位置に(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置;後に図11を参照して詳述;以下同様)、挟持部51s1−1に対して前記短手方向に並列に、挟持部51s1−2が設けられている。同様に、回転規制フレーム31a2において、挟持部51s2−1が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a2の短手方向に距離Lだけ離間した位置に(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置)、挟持部51s2−1に対して前記短手方向に並列に、挟持部51s2−2が設けられている。
さらに、回転規制フレーム31a1において、図3に示すように挟持部51s1−1が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a1の長手方向に所定距離だけ離間した位置(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置)に、挟持部51s1−1に対して前記長手方向に並列に、挟持部51s1−3が設けられている。同様に、回転規制フレーム31a2において、挟持部51s2−1が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a2の長手方向に所定距離だけ離間した位置(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置)に、挟持部51s2−1に対して前記長手方向に並列に、挟持部51s2−3が設けられている。
そして、回転規制フレーム31a1において、図3に示すように挟持部51s1−2が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a1の長手方向に所定距離だけ離間した位置(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置)に、挟持部51s1−2に対して前記長手方向に並列に挟持部51s1−4が設けられている。同様に、回転規制フレーム31a2において、挟持部51s2−4が設けられた位置から、当該回転規制フレーム31a2の長手方向に距離Lだけ離間した位置(積層圧電素子40の捻れ振動の節位置)に、挟持部51s2−2に対して前記長手方向に並列に挟持部51s2−4が設けられている。
上述したように挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4を設けることで、積層圧電素子40を、積層圧電素子40の捻れ振動の節位置(捻れ振動を阻害しない位置)における4つの部位(互いに対向する2つの挟持部を一対として4対の挟持部)で挟持することができる。
ここで、挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4は、積層圧電素子40の捻れ振動の振動軸に対して、等間隔且つ対称に位置するように設けられている。
なお、前記所定距離Lは、駆動時に積層圧電素子40が歯車13の回転方向に変位しないような距離であり(所定距離未満の距離では回転方向に変位してしまう)、当該積層圧電素子40の寸法に応じて設計するのが好ましい。
ところで、前記ロータ機構収容フレーム31bは、前記中心軸11が固定され、前記中心軸11が挿通された軸受け12と歯車13と摺動板14とを収容する。
前記積層圧電素子40は、圧電シートが積層されて成る振動体であり、駆動子41と、回転規制部材42a1,42a2と、位置決めピン43と、が設けられている。この積層圧電素子40の積層構造については後述する。
前記駆動子41は、前記積層圧電素子40のうちロータ機構部10に対向する面に設けられ、摺動板14に接触している。
前記位置決めピン43は、前記積層圧電素子40の上面(ロータ機構部10に対向する面)のうち長辺方向且つ短辺方向の中心上に、当該上面に対して垂直に凸となるように当該上面に接着固定されている。この位置決めピン43は、ロータ機構部10を構成する部材の回転中心に設けられた孔に挿入される。この位置決めピン43によって、ロータ機構部10の回転中心と、当該積層圧電素子40上面の中心とが一致する。
以下、図4乃至図8を参照して、組立前と組立後における、挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4と、回転規制フレーム31a1,31a2との関わりについて詳細に説明する。
図4は、回転規制フレーム31a1,31a2が有する付勢力(弾性力)の方向を示す図である。図5は、組立前の本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図6は、積層圧電素子40を無いものと仮定した本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図7は、組立後の本一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図8は、組立後の本一実施形態に係る超音波モータにおける挟持部のたわみの一例を示す図である。なお、図4乃至図8においては、説明の便宜上、挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4を模式的に大きく図示している。
図4に示すように、フレーム30は、回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2とが両矢印Dで示す方向(積層圧電素子40の主平面に対して略垂直な方向)に開く付勢力(弾性力)を有している。
詳細には、何ら外力が加わらない状態では(当該超音波モータの組立前においては)、当該超音波モータは図5に示す部位P1を支点として部位P2が開くことで、回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2との間の距離が、積層圧電素子40の厚み寸法よりも大きい値となる。換言すれば、図4に示すように積層圧電素子40に対して何れの挟持部も接触しない態様となる。これにより、積層圧電素子40を回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2との間に挿入(配置)することが容易となる。
ここで、図5に示すように、挟持部51s1−1(51s2−1)と挟持部51s1−2(51s2−2)との間の距離を“Da”とし、挟持部51s1−3(51s2−3)と挟持部51s1−4(51s2−4)との間の距離を“Db”とし、積層圧電素子の厚みを“Tc”とする。
すると、図5に示すように当該超音波モータの組立前の状態において各寸法は、
Tc<Da<Db
という関係にある。
組立の際には、回転規制フレーム31a1と回転規制フレーム31a2とによって積層圧電素子40の主平面を挟み込むように、当該回転規制フレーム31a1,31a2に押圧力を印加し、回転規制フレーム31a1,31a2と積層圧電素子40とが略平行を為す状態で、当該回転規制フレーム31a1,31a2の底面を固定板22に螺子止め等により固定する。
ここで、上述したように弾性力を有する挟持部が、組立後に積層圧電素子40及び回転規制フレーム31a1,31a2と圧接することでどのように変形するか(撓むか)を説明する。
積層圧電素子40を無いと仮定した場合、図6に示すように挟持部51s1−1(51s2−1)と挟持部51s1−2(51s2−2)との間の距離“Da”は、積層圧電素子40の厚み“Tc”よりも小さい値である。同様に、挟持部51s1−3(51s2−3)と挟持部51s1−4(51s2−4)との間の距離“Db”は、積層圧電素子40の厚み“Tc”よりも小さい値である。すなわち、
Da<Tc、Db<Tc,Da=Db
である。このような寸法に構成することで、当該超音波モータの組立後に、各挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4を、積層圧電素子40と回転規制フレーム31a1,31a2とに対して加圧接触させて弾性変形させることができる。
組立後の当該超音波モータでは、図7に示すように、挟持部51s1−1(51s2−1)と挟持部51s1−2(51s2−2)との間、及び、挟持部51s1−3(51s2−3)と挟持部51s1−4(51s2−4)との間に、厚み“Tc”の積層圧電素子40が介在している。このとき、これら挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4は、積層圧電素子40と回転規制フレーム31a1,31a2とによって挟持・押圧されて弾性変形する。
この弾性変形後には、挟持部51s1−1(51s2−1)と挟持部51s1−2(51s2−2)との間の距離“Da”は、積層圧電素子40の厚み“Tc”と同じ値になる。同様に、挟持部51s1−3(51s2−3)と、挟持部51s1−4(51s2−4)との間の距離“Db”は、積層圧電素子40の厚み“Tc”と同じ値になる。
このとき、各挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4は、図8に示すように(同図においては挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2の例を示している)、積層圧電素子40の厚み方向にΔDだけ圧縮変形する。つまり、積層圧電素子40は、外力が印加されない状態の寸法からΔDだけ圧縮変形させられた(撓んだ)挟持部の弾性力によって、その厚み方向において挟持(加圧状態で保持/支持)される。
上述したように、弾性力を有する部材(回転規制フレーム31a1,31a2、挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4)で振動体(積層圧電素子40)を挟み込んで支持することで、例えば下記の効果を得ることができる。
・振動体(積層圧電素子40)の厚み寸法が公差内で変化した場合であっても、該変化を吸収してフレキシブルに対応可能となり、振動体支持(保持)の精度が向上する。
・振動体(積層圧電素子40)を所謂ガタ無く支持(保持)する事が可能となる。
なお、当然ながら、挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4は全て同一の部材(同じ弾性力を有する部材)であるので、これらによって挟持された積層圧電素子40が、回転規制フレーム31a1,31a2に対して傾くことはない。
以下、積層圧電素子40の積層構造の一例について説明する。図9は、積層圧電素子40の一構成例を示す図である。
同図に示すように、積層圧電素子40は、第1積層部位411と、第2積層部位412と、第3積層部位413と、第4積層部位414と、第5積層部位415と、から成る。
詳細には、これら各積層部位(第1積層部位411、第2積層部位412、第3積層部位413、第4積層部位414、第5積層部位415)の積層構成は、次のような積層構成である。なお、各積層部位を構成する第1の圧電シート401、第2の圧電シート402、及び第3の圧電シート403の構成については後述する。
《第1積層部位411》
第1積層部位411は、少なくとも1枚の第3の圧電シート403から成る(複数枚の第3の圧電シート403から成る場合は、第3の圧電シート403がその厚み方向に積層されて成る)。
《第2積層部位412》
第2積層部位412は、第1積層部位411上に積層された部位であって、第1の圧電シート401と第2の圧電シート402とがその厚み方向に交互に積層されて成る。
《第3積層部位413》
第3積層部位413は、第2積層部位412上に積層された部位であって、少なくとも1枚の第3の圧電シート403から成る(複数枚の第3の圧電シート403から成る場合は、第3の圧電シート403がその厚み方向に積層されて成る)。
《第4積層部位414》
第4積層部位414は、第3積層部位413上に積層された部位であって、第1の圧電シート401と第2の圧電シート402とがその厚み方向に交互に積層されて成る。
《第5積層部位415》
第5積層部位415は、第4積層部位414上に積層された部位であって、少なくとも1枚の第3の圧電シート403から成る(複数枚の第3の圧電シート403から成る場合は、第3の圧電シート403がその厚み方向に積層されて成る)。
以下、前記第1の圧電シート401、第2の圧電シート402、及び第3の圧電シート403について詳細に説明する。
これら第1の圧電シート401、第2の圧電シート402、及び第3の圧電シート403は、矩形のシート状の圧電素子であり、例えばハード系のチタン酸ジルコン酸鉛の圧電セラミックス素子(PZT)から成る。
詳細には、前記第1の圧電シート401の電極形成面上には、その長手方向における略中央位置に、+相の第1内部電極401aと+相の第2内部電極401cとが、中心線C(短辺を2等分する線)に対して対称に設けられている。
同様に、前記第2の圧電シート402の電極形成面上には、その長手方向における略中央位置に、−相の第1内部電極402aと−相の第2内部電極402cとが、中心線C(短辺を2等分する線)に対して対称に設けられている。
ここで、前記+相の第1内部電極401aは、矩形形状を呈する第1の圧電シート401の一方短辺に向かって延びて露出する端部401aeを備えている。前記+相の第2内部電極401cは、矩形形状を呈する第1の圧電シート401の一方短辺に向かって延びて露出する端部401ceを備えている。
同様に、前記−相の第1内部電極402aは、矩形形状を呈する第2の圧電シート402の一方短辺に向かって延びて露出する端部402aeを備えている。前記−相の第2内部電極402cは、矩形形状を呈する第2の圧電シート402の一方短辺に向かって延びて露出する端部402ceを備えている。
そして、積層圧電素子40の外形部位(外形面)には、端部401ae同士,端部401ce同士,端部402ae同士,端部402ce同士をそれぞれ接続(短絡)する外部電極(不図示)が設けられている。ここで、積層圧電素子40のうち、少なくとも、+相の第1内部電極401aと−相の第1内部電極402aとが互いに対向する部分、及び、+相の第2内部電極401cと−相の第2内部電極402cとが互いに対向する部分、に活性化領域が形成されている。
詳細には、+相の第1内部電極401aと−相の第1内部電極402aとの間、及び、+相の第2内部電極401cと−相の第2内部電極402cとの間には高電圧が印加され、各電極が分極されて圧電的に活性化されている。
なお、上述の各内部電極401a,401c,402a,402cは、例えば厚さ4μmの銀パラジウム合金である。
前記第3の圧電シート403は、第1の圧電シート401及び第2の圧電シート402と同形状であって、且つ、内部電極が設けられていないシート状の部材である。
以上説明したように、積層圧電素子40においては、積層方向(積層圧電素子40の厚み方向)における中央部位には内部電極の無い絶縁層が設けられており、これにより積層方向(積層圧電素子40の厚み方向)について圧電活性化領域が2分割されている。また、積層方向における最下位部位及び最上位部位にも内部電極の無い絶縁層が設けられている。ここで、第4積層部位414に対応する電極層をA相と称し、第2積層部位412に対応する電極層をB相と称する。
図10は、縦1次振動モードにおける積層圧電素子40の振動状態を破線で示す斜視図である。図11は、捻れ2次振動モードにおける積層圧電素子40の振動状態を破線で示す斜視図である。図10及び図11においては、振動前の積層圧電素子40の状態(形状)を実線で示し、各振動モードにおける振動時の積層圧電素子40の状態(形状)を破線で示している。
ここで、図10及び図11に示すように、略直方体形状の積層圧電素子40の中心軸100cに直交する断面を構成する短辺の長さをaとし、長辺の長さをbとし、中心軸100cに沿った高さをcとする。但し、短辺a、長辺b、高さcの大小関係は、
a<b<c
であるとする。以降の説明においては、高さc方向を、縦1次振動モードの振動の方向とし、且つ、捻れ振動の捻れの軸方向とする。
本一実施形態に係る超音波モータにおいては、積層圧電素子40のうち短辺a、長辺b、高さcの各寸法の値を適宜設定することで、縦1次振動モードの共振周波数と、捻れ2次振動モードまたは捻れ3次振動モードの共振周波数と、を略一致させる。
図10及び図11においてp1,p2で示すのは捻れ振動の方向であり、qで示すのは縦振動の方向であり、Nで示すのは振動の節である。
前記節Nは、図10に示す縦1次振動においては、積層圧電素子40の高さc方向の中心位置に1つ存在する。また、図11に示す捻れ2次振動においては、前記節Nは、高さc方向の2つの位置に存在する。
上述した挟持部51s1−1,51s1−2,51s1−3,51s1−4,51s2−1,51s2−2,51s2−3,51s2−3,51s2−4は、積層圧電素子40のうち捻れ2次振動の節Nの位置にて積層圧電素子40を挟持(加圧状態で支持・保持)するように、回転規制フレーム31a1,31a2において対応する位置に設けられている。
ここで、積層圧電素子40の高さcを一定として、(短辺の長さa/長辺の長さb)の値を横軸にとり、各振動モードにおける共振周波数の値を縦軸にとると、図12に示す特性を得ることができる。具体的には下記のような特性となる。すなわち、
・縦1次振動モードにおける共振周波数の値は、(a/b)の値に依存せず、略一定の値をとる。
・捻れ1次振動モード、捻れ2次振動モード、及び捻れ3次振動モードにおける共振周波数の値は、(a/b)の値の増加に従って、増加していく。
・捻れ1次振動モードにおける共振周波数は、(a/b)の値がどのような値であっても、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致することは無い。
・捻れ2次振動モードにおける共振周波数は、(a/b)の値が0.6となる近傍で、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致する。
・捻れ3次振動モードにおける共振周波数は、(a/b)の値が0.3となる近傍で、縦1次振動モードにおける共振周波数と一致する。
上述したような特性の為、本一実施形態においては下記のように(a/b)の値を設定する。すなわち、
・縦1次振動モードと捻れ2次振動モードとを利用する場合、(a/b)の値が0.55〜0.65となるように、積層圧電素子40の短辺の長さa及び長辺の長さbを設定する。
つまり本一実施形態に係る超音波モータにおいては、積層圧電素子40の中心軸100c方向に伸縮する縦1次共振振動と、中心軸100cを捻れ軸とする捻れ2次共振振動と、の共振周波数が略一致するように、積層圧電素子40における短辺の長さaと長辺の長さbとの比(比率)を設定する。
このようにして共振周波数の調整を行うことができるので、従来の技術では必要とされている共振周波数の調整の為の特別な加工等は一切不要になる。
積層圧電素子40においては、中心軸100c(回転軸)方向に沿って伸縮する縦1次共振振動と、中心軸100cを捻れ軸とする捻れ2次共振振動と、が同時に励起されることで、それらの振動が合成されて楕円振動が励起される。
具体的には、上述した第4積層部位414に対応する電極層であるA相、及び第2積層部位412に対応する電極層であるB相の各内部電極に、互いに位相が異なる交番電圧を印加することで、積層圧電素子40の厚み方向(積層方向)に分極されてなる活性化領域において縦1次共振振動と捻れ2次共振振動とが励起され、積層圧電素子40の端面において楕円振動が励起され、駆動子41によって摺動板14が回転駆動される。このように、本第1実施形態に係る超音波モータでは、積層圧電素子40の圧電横効果を利用して駆動を行う。
詳細には、A相とB相とに同位相の交番電圧を印加することで、積層圧電素子40には縦振動が励起される。また、A相とB相とに位相差が180度(逆位相)の交番電圧を印加することで、積層圧電素子40には捻れ振動が励起される。そして、A相とB相とに位相差が90度の交番電圧を印加することで、積層圧電素子40には縦振動と捻れ振動とが同時に励起され、その端面において楕円振動が励起される。
ところで、本第1実施形態に係る超音波モータでは、図9、図10、及び図11に示すように、内部電極401a,401c,402a,402cが各圧電シートにおいて設けられている位置は、当該積層圧電素子40に励起させる捻れ2次振動の腹部に対応する位置である。換言すれば、各内部電極401a,401c,402a,402cは、捻り2次振動の応力が最大となる位置に設けられている。
以上説明したように、本一実施形態によれば、組み立て容易性が良好な超音波モータを提供することができる。
具体的には、弾性力を有する挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4を介して、積層圧電素子40の主平面に対して略垂直な方向に付勢力を有する回転規制フレーム31a1,31a2によって振動体(積層圧電素子40)を挟持する構成を採ることで、例えば下記の効果を奏する。
・例えば公差内の積層圧電素子40の寸法変化を吸収することができ、振動体支持(保持)精度が向上する。
・振動体(積層圧電素子40)をガタ無く支持(保持)する事が可能となる。
・上記の効果により、当該超音波モータのモータ性能の向上が実現する。また、積層圧電素子40の寸法変化に対する調整機構等が不要となり、部品構成が簡略化し、組立工数も削減される。
・単一の部材で構成した振動体(積層圧電素子40)に、縦振動と捻り振動とを同時に発生させ、それらの振動が合成された楕円振動によってロータ機構部10を駆動する構成を採ることで、振動体の構成の簡略化が実現した。
・簡易な構成で、押圧機構部20による押圧方向に対して垂直な平面内での積層圧電素子40の回転動作(ロータ機構部10の歯車13の回転方向と同方向への回転動作)を規制することができる。
・縦・屈曲方式のモータを利用する場合であっても、押圧方向に対して垂直な平面内での回転を規制する支持構成が不要となる。
・積層圧電素子40を上述のように構成することで、組立工数の削減及び低コスト化が実現する。
・組立工程を削減したことで、モータ性能のばらつきが低下し、性能の安定性が向上する。
・内部電極を設けた板状の圧電シートを積層して振動体(積層圧電素子40)を構成することで、低電圧駆動に適した構成としている。
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
例えば、上述の例では回転規制フレーム31a1,31a2に付勢力(弾性力)を備えさせ、且つ、挟持部51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4にも弾性力を備えさせた構成としているが、少なくとも何れか一方に弾性力を備えさせれば、上述の効果を実現することができる。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
10…ロータ機構部、 11…中心軸、 13…歯車、 14…摺動板、 20…押圧機構部、 21…バネ、 22a…押圧軸、 22…固定板、 30…フレーム、 31b…ロータ機構収容フレーム、 31a1,31a2…回転規制フレーム、 40…積層圧電素子、 41…駆動子、 42a1,42a2…回転規制部材、 43…ピン、 51s1−1,51s2−1,51s1−2,51s2−2,51s1−3,51s2−3,51s1−4,51s2−4…挟持部、 401…第1の圧電シート、 402…第2の圧電シート、 403…第3の圧電シート。

Claims (6)

  1. 中心軸に垂直な断面が矩形状を呈し、該矩形状を構成する短辺と長辺との比率が所定の値に設定され、前記中心軸方向に伸縮する縦振動と、前記中心軸を捻れ軸とする捻れ振動と、が同時に励起されることで楕円振動が励起される振動子と、
    前記振動子のうち前記楕円振動が励起される面に当接し、前記楕円振動を駆動源として、前記中心軸を回転軸として回転駆動されるロータ機構部と、
    前記振動子を前記ロータ機構部に向かって押圧し、前記振動子の前記楕円振動が励起される面を前記ロータ機構部に圧接させる押圧機構部と、
    前記ロータ機構部と前記押圧機構部と共に前記振動子を保持するフレームと、
    前記フレームのうち前記振動子に対向する面に設けられ、前記振動子をその厚み方向において前記フレームと共に挟持する挟持部と、
    を具備し、
    前記フレーム及び前記挟持部のうち少なくとも一方は、前記振動子の厚み方向について弾性力を有しており、
    前記挟持部は、前記フレームと前記振動子とに対して圧接している
    ことを特徴とする超音波モータ。
  2. 前記挟持部は、2個で一対を為す凸部が複数対設けられて成り、
    前記一対の凸部は、前記フレームのうち前記振動子に対して互いに対称な位置であって、且つ、互いに対向する位置に設けられた2個の凸部から成る、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
  3. 前記挟持部は、前記フレームのうち、前記振動子の前記捻れ振動の節位置に対応する位置に設けられている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
  4. 前記複数対の凸部は、各対同士が互いに所定間隔以上離間した位置に設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
  5. 前記挟持部は、前記振動子の振動を前記フレームに伝達しない材質から成る
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
  6. 前記フレームは金属材料から成り、前記挟持部は樹脂材料から成り、
    前記フレームと前記挟持部とは、インサート成形により一体的に構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
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