JP2012141490A - 熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板表面に形成されたレジスト膜の周縁部を短時間にて除去可能にすることができる熱処理方法および熱処理装置を提供する。
【解決手段】冷却プレート81に保持された基板Wの表面の全面にはほぼ均一な厚さにてレジスト膜RFが形成されている。フラッシュ照射部60は、投光光学系61を備えており、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を集光してレジスト膜RFの周縁部RFEのみに一括照射する。フラッシュ光照射により周縁部RFEはガラス転移点Tg以上に加熱され、脱保護反応によって現像液に溶解可能となる。フラッシュ光照射によるレジスト膜RFの周縁部RFEの加熱処理は処理時間が1秒以下の極めて短時間の処理であり、しかも周縁部RFEの全体に一括してフラッシュ光が照射されるため、その周縁部RFEを短時間にて除去可能とすることができる。
【選択図】図10
【解決手段】冷却プレート81に保持された基板Wの表面の全面にはほぼ均一な厚さにてレジスト膜RFが形成されている。フラッシュ照射部60は、投光光学系61を備えており、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を集光してレジスト膜RFの周縁部RFEのみに一括照射する。フラッシュ光照射により周縁部RFEはガラス転移点Tg以上に加熱され、脱保護反応によって現像液に溶解可能となる。フラッシュ光照射によるレジスト膜RFの周縁部RFEの加熱処理は処理時間が1秒以下の極めて短時間の処理であり、しかも周縁部RFEの全体に一括してフラッシュ光が照射されるため、その周縁部RFEを短時間にて除去可能とすることができる。
【選択図】図10
Description
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)の表面に形成されたレジスト膜の周縁部に対してフラッシュ光を照射して当該周縁部を加熱する熱処理方法および熱処理装置に関する。
半導体デバイスや液晶ディスプレイなどの製品は、上記基板に対して洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の諸処理を施すことにより製造されている。これらのうちレジスト塗布処理は、回転する基板の主面にレジスト液を滴下して、それを遠心力によって拡布し、基板主面に薄いレジスト膜を形成する処理である。このレジスト塗布処理によって基板全面にレジスト膜がほぼ均一に形成されることとなるが、基板主面の周縁部についてはパターン露光が行われないため、レジスト膜は不要である。また、基板主面の周縁部は、基板搬送時に搬送ロボットのアームが接触することとなるため、不要なレジスト膜が形成されていると発塵の原因ともなる。
このため、例えば特許文献1には、水銀キセノンランプなどの光源からの光線(通常は紫外線)を光ファイバによって露光ヘッドに導き、この露光ヘッドから基板主面の周縁部にスポット光を照射することによって、当該周縁部のレジスト膜を露光する技術(エッジ露光処理)が開示されている。こうして露光されたレジスト膜の周縁部は、パターン露光された部分とともに、後の現像処理工程において現像液によって溶解されて除去される(ポジ型レジストの場合)。
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来の技術においては、小さなスポット光をレジスト膜の周縁部に照射しつつ、そのスポット光を基板の周縁に沿って相対移動させて周縁部全体の露光を行っていた。このため、レジスト膜の周縁部露光に長時間を要することとなり、スループットを低下させるという問題が生じていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板表面に形成されたレジスト膜の周縁部を短時間にて除去可能にすることができる熱処理方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板の熱処理方法において、基板の表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜の周縁部にフラッシュランプからフラッシュ光を照射して当該周縁部の温度をガラス転移点以上に加熱する周縁部加熱工程と、前記周縁部加熱工程の後、前記基板の表面に現像液を供給して前記レジスト膜の前記周縁部を除去する現像工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記基板を冷却プレート上に保持しつつフラッシュ光の照射を行うことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理方法において、前記周縁部加熱工程でのフラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記周縁部加熱工程では、前記フラッシュランプに印加する電圧を制御することによって前記周縁部の加熱温度を変更することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、基板の熱処理装置において、表面にレジスト膜が形成された基板を収容するチャンバーと、フラッシュ光を出射するフラッシュランプと、前記フラッシュランプから出射されたフラッシュ光を前記レジスト膜の周縁部のみに到達させる投光光学系と、フラッシュ光が照射された前記周縁部の温度がガラス転移点以上となるように、前記フラッシュランプに印加する電圧を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る熱処理装置において、前記チャンバー内にて前記基板を載置して保持する冷却プレートをさらに備えることを特徴とする。
請求項1から請求項4の発明によれば、基板表面に形成されたレジスト膜の周縁部にフラッシュランプからフラッシュ光を照射して当該周縁部の温度をガラス転移点以上に加熱するため、短時間のうちに当該周縁部に脱保護反応を生じさせて現像液に可溶とし、レジスト膜の周縁部を短時間にて除去可能にすることができる。
特に、請求項2の発明によれば、基板を冷却プレート上に保持しつつフラッシュ光の照射を行うため、連続して処理する基板間での温度履歴を均一にすることができる。
特に、請求項3の発明によれば、フラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下であるため、基板表面に形成されたレジスト膜の周縁部を確実に短時間にて除去可能にすることができる。
特に、請求項4の発明によれば、フラッシュランプに印加する電圧を制御することによって周縁部の加熱温度を変更するため、その温度変更に要する待機時間は不要となる。
また、請求項5および請求項6の発明によれば、フラッシュランプから出射されたフラッシュ光を基板の表面に形成されたレジスト膜の周縁部のみに到達させる投光光学系と、フラッシュ光が照射された周縁部の温度がガラス転移点以上となるように、フラッシュランプに印加する電圧を制御する制御部と、を備えるため、短時間のうちに当該周縁部に脱保護反応を生じさせて現像液に可溶とし、レジスト膜の周縁部を短時間にて除去可能にすることができる。
特に、請求項6の発明によれば、チャンバー内にて基板を載置して保持する冷却プレートをさらに備えるため、連続して処理する基板間での温度履歴を均一にすることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係る熱処理装置を組み込んだ基板処理装置の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る熱処理装置を組み込んだ基板処理装置1の平面図である。また、図2は基板処理装置1の液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
本実施形態の基板処理装置1は、略円形の半導体ウェハー等の基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板Wに現像処理を行う装置(いわゆるコータ&デベロッパ)である。なお、本発明に係る基板処理装置1の処理対象となる基板Wは半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等であっても良い。
本実施形態の基板処理装置1は、インデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40およびインターフェイスブロック50の5つの処理ブロックを一方向(X方向)に連設して構成されている。インターフェイスブロック50には基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニット(ステッパ)EXPが接続配置されている。
インデクサブロック10は、装置外から受け取った未処理基板を装置内に搬入するとともに、現像処理の終了した処理済み基板を装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロック10は、複数のキャリアC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納するインデクサロボットIRと、を備えている。
インデクサロボットIRは、載置台11に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能であるとともに昇降(Z軸方向)移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である可動台12を備えている。可動台12には、基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム13a,13bが搭載されている。保持アーム13a,13bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム13a,13bのそれぞれは、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、インデクサロボットIRは、保持アーム13a,13bを個別に各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
インデクサブロック10に隣接してバークブロック20が設けられている。インデクサブロック10とバークブロック20との間には、雰囲気遮断用の隔壁15が設けられている。この隔壁15にインデクサブロック10とバークブロック20との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック10からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック10のインデクサロボットIRはキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック20からインデクサブロック10へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており、バークブロック20の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板WをインデクサロボットIRが受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS10の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁15の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、インデクサロボットIRや搬送ロボットTR1が基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
次に、バークブロック20について説明する。バークブロック20は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック20は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部21と、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー22,23と、下地塗布処理部21および熱処理タワー22,23に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック20においては、搬送ロボットTR1を挟んで下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部21が装置正面側((−Y)側)に、2つの熱処理タワー22,23が装置背面側((+Y)側)に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー22,23の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー22,23から下地塗布処理部21に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、下地塗布処理部21は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットBRCを上下に積層配置して構成されている。それぞれの塗布処理ユニットBRCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック26、このスピンチャック26上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル27、スピンチャック26を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック26上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー22には、基板Wを所定の温度にまで加熱する2個の加熱ユニットHP、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する2個の冷却ユニットCPおよびレジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気中で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理ユニットAHLが上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー23にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。加熱ユニットHPおよび密着強化処理AHLは基板Wを載置して加熱するホットプレートを備え、冷却ユニットCPは基板Wを載置して冷却するクーリングプレートを備えている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている(後述する他の熱処理タワーについても同じ)。
図4に示すように、搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム24a,24bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム24a,24bのそれぞれは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。搬送アーム24a,24bは搬送ヘッド28に搭載されている。搬送ヘッド28は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド28は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム24a,24bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム24a,24bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR1は、2個の搬送アーム24a,24bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー22,23に設けられた熱処理ユニット(加熱ユニットHP、冷却ユニットCPおよび密着強化処理ユニットAHL)、下地塗布処理部21に設けられた4つの塗布処理ユニットBRCおよび後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック30について説明する。バークブロック20と現像処理ブロック40との間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック30が設けられている。このレジスト塗布ブロック30とバークブロック20との間にも、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25にバークブロック20とレジスト塗布ブロック30との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック20からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック20の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック30からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
レジスト塗布ブロック30は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジストを塗布してレジスト膜を形成するための処理ブロックである。なお、本実施形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック30は、下地塗布された反射防止膜の上にレジストを塗布するレジスト塗布処理部31と、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー32,33と、レジスト塗布処理部31および熱処理タワー32,33に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。
レジスト塗布ブロック30においては、搬送ロボットTR2を挟んでレジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部31が装置正面側に、2つの熱処理タワー32,33が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー32,33の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。レジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー32,33からレジスト塗布処理部31に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、レジスト塗布処理部31は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットSCを上下に積層配置して構成されている。それぞれの塗布処理ユニットSCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック36、このスピンチャック36上に保持された基板W上にフォトレジストの塗布液を吐出する塗布ノズル37、スピンチャック36を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック36上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー32には、基板Wを所定の温度にまで加熱するホットプレートを備えた2個の加熱ユニットHPおよび加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクーリングプレートを備えた2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー33にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。
図4に示すように、搬送ロボットTR2は、搬送ロボットTR1と同様の構成を備えており、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム34a,34bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム34a,34bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム34a,34bは搬送ヘッド38に搭載されている。搬送ヘッド38は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド38は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム34a,34bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム34a,34bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR2は、2個の搬送アーム34a,34bをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー32,33に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部31に設けられた4つの塗布処理ユニットSCおよび後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、現像処理ブロック40について説明する。レジスト塗布ブロック30とインターフェイスブロック50との間に挟み込まれるようにして現像処理ブロック40が設けられている。この現像処理ブロック40とレジスト塗布ブロック30との間にも、雰囲気遮断用の隔壁35が設けられている。この隔壁35にレジスト塗布ブロック30と現像処理ブロック40との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック30から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、現像処理ブロック40からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁35の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR2,TR3が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
現像処理ブロック40は、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。現像処理ブロック40は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部41と、現像処理後の熱処理を行う熱処理タワー42と、露光直後の基板Wに熱処理を行う熱処理タワー43と、現像処理部41および熱処理タワー42に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。
図2に示すように、現像処理部41は、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニットSDを上下に積層配置して構成されている。各現像処理ユニットSDは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック46、このスピンチャック46上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル47、スピンチャック46を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック46上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー42には、基板Wを所定の温度にまで加熱するホットプレートを備えた2個の加熱ユニットHPおよび加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクーリングプレートを備えた2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー43にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。熱処理タワー43の加熱ユニットHPは露光直後の基板Wに対して露光後ベーク処理(Post Exposure Bake)を行う。熱処理タワー43の加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPに対してはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板Wの搬出入を行う。
また、熱処理タワー43には、現像処理ブロック40とインターフェイスブロック50との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS7は、現像処理ブロック40からインターフェイスブロック50へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS7に載置した基板Wをインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック50から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS8に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。なお、基板載置部PASS7,PASS8は、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3およびインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4の両側に対して開口している。
搬送ロボットTR3は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム44a,44bを上下に近接させて備えている。搬送アーム44a,44bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム44a,44bは搬送ヘッド48に搭載されている。搬送ヘッド48は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド48は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム44a,44bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム44a,44bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR3は、2個の搬送アーム44a,44bをそれぞれ個別に基板載置部PASS5,PASS6、熱処理タワー42に設けられた熱処理ユニット、現像処理部41に設けられた5つの現像処理ユニットSDおよび熱処理タワー43の基板載置部PASS7,PASS8に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、インターフェイスブロック50について説明する。インターフェイスブロック50は、現像処理ブロック40に隣接して配置され、レジスト膜が塗布形成された未露光の基板Wを基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニットEXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光ユニットEXPから受け取って現像処理ブロック40に渡す処理ブロックである。
図5は、インターフェイスブロック50の側面図である。インターフェイスブロック50は、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構IFRと、現像処理ブロック40の熱処理タワー43との間で基板Wの受け渡しを行うための搬送ロボットTR4と、を備える。また、インターフェイスブロック50は、表面にレジスト膜が形成された基板Wの周縁部にフラッシュ光を照射して当該周縁部を瞬間的に加熱する1個のフラッシュベークユニットFLBを備える。
図5に示すように、フラッシュベークユニットFLBは、インターフェイスブロック50の最上部に配置されている。フラッシュベークユニットFLBに対しては搬送ロボットTR4が基板Wの受け渡しを行う。フラッシュベークユニットFLBは、発光時間が極めて短いフラッシュランプを備え、基板Wの周縁部全体に一括して同時にフラッシュ光を照射する。このフラッシュベークユニットFLBの詳細な構成についてはさらに後述する。
また、フラッシュベークユニットFLBの下方スペースであって、搬送ロボットTR4と搬送機構IFRとの間には、基板送り用のセンドバッファSBF、基板戻し用のリターンバッファRBF、および、2つの基板載置部PASS9,PASS10、が上下に積層配置されている。上側の基板載置部PASS9は搬送ロボットTR4から搬送機構IFRに基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS10は搬送機構IFRから搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用するものである。
リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロック40が露光済みの基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック40の熱処理タワー43で露光後ベーク処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。一方、センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが未露光の基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するものである。リターンバッファRBFおよびセンドバッファSBFはいずれも複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボットTR4がアクセスを行い、センドバッファSBFに対しては搬送機構IFRがアクセスを行う。
現像処理ブロック40の熱処理タワー43に隣接して配置されている搬送ロボットTR4は、搬送ロボットTR1〜TR3と同様の構成を備えており、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム54a,54bを上下に近接させて備えている。搬送アーム54a,54bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム54a,54bは搬送ヘッド58に搭載されている。搬送ヘッド58は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド58は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム54a,54bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。
また、搬送機構IFRは、昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能な可動台52を備え、その可動台52に基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム53a,53bを搭載している。保持アーム53a,53bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム53a,53bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。
露光ユニットEXPは、基板処理装置1にてレジスト塗布された露光前の基板Wを搬送機構IFRから受け取ってパターン露光処理を行う。露光ユニットEXPにて露光処理の行われた基板Wは搬送機構IFRによって受け取られる。本実施形態の露光ユニットEXPは、化学増幅型レジスト膜が形成された基板Wに対してエキシマレーザを用いてパターン露光処理を行う。なお、露光ユニットEXPは、投影光学系と基板Wとの間に屈折率の大きな液体(例えば、屈折率n=1.44の純水)を満たした状態で露光処理を行う、いわゆる「液浸露光処理」に対応したものであっても良い。
次に、インターフェイスブロック50に設けられているフラッシュベークユニットFLBについて説明する。図6は、フラッシュベークユニットFLBの要部構成を示す図である。フラッシュベークユニットFLBは、表面にレジスト膜が形成された基板Wにフラッシュ光を照射し、そのレジスト膜の周縁部を加熱する熱処理ユニットである。
フラッシュベークユニットFLBは、レジスト膜が形成された基板Wを収容するチャンバー70と、チャンバー70内にて基板Wを載置して保持する冷却プレート(クーリングプレート)81と、冷却プレート81に保持された基板Wにフラッシュ光を照射するフラッシュ照射部60と、を備えている。また、フラッシュベークユニットFLBは、これらの各部を制御してフラッシュ加熱処理を実行させるユニットコントローラ90を備える。
チャンバー70は、基板Wを収容可能な筐体であり、インターフェイスブロック50内の所定位置に配置されている。チャンバー70の天井部にはフラッシュ照射部60が設置されている。チャンバー70の壁面(側壁、底壁および天井)によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー70の側壁には、基板Wの搬入および搬出を行うための搬送開口部68が設けられている。搬送開口部68は、図示を省略するシャッターによって開閉可能とされている。搬送開口部68が開放されると、搬送ロボットTR4によってチャンバー70に対する基板Wの搬入および搬出が可能となる。また、搬送開口部68が閉鎖されると、熱処理空間65が外部との通気が遮断された密閉空間となる。
冷却プレート81は、冷却機構82を内蔵した金属製(例えば、アルミニウム)の略円板形状の部材であり、チャンバー70内にて基板Wを載置して水平姿勢(主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢)に保持する。冷却プレート81の径は、基板W(本実施形態では略円形)の径よりも大きい。冷却機構82としては、水冷管やペルチェ素子などを用いることができる。冷却機構82は、少なくとも冷却プレート81のうちの載置する基板Wに対向する領域には均一な配設密度にて設けられている。このため冷却機構82は、当該領域を均一に冷却することができる。冷却機構82による冷却温度はユニットコントローラ90によって制御されており、本実施形態では半導体製造技術分野における常温である23℃を維持するように制御されている。
また、冷却プレート81の内部には熱電対を用いて構成された温度センサ83が配設されている。温度センサ83は冷却プレート81の上面近傍の温度を測定する。温度センサ83による測定結果はユニットコントローラ90に伝達される。温度センサ83によって測定される冷却プレート81の温度が予め設定された所定温度(本実施形態では23℃)となるように、冷却機構82がユニットコントローラ90によって制御される。すなわち、ユニットコントローラ90は、温度センサ83の測定結果に基づいて、冷却プレート81の温度をフィードバック制御する。なお、温度センサ83は、冷却プレート81が載置する基板Wが対向する領域に複数設けるようにしても良い。
冷却プレート81の上面には、図示を省略する複数個(3個以上)のプロキシミティボールが配設されている。プロキシミティボールは、例えばアルミナ(Al2O3)等の部材によって構成され、その上端が冷却プレート81の上面から微少量だけ突出する状態で配設される。このため、複数個のプロキシミティボールによって基板Wを支持したときには、基板Wの裏面と冷却プレート81の上面との間にいわゆるプロキシミティギャップと称される微小間隔が形成される。なお、冷却プレート81の上面にサセプタを設置し、そのサセプタを介して基板Wを支持するようにしても良い。
複数個のプロキシミティボールを介して冷却プレート81に載置された基板Wは、冷却プレート81によって常温(23℃)に温調される。すなわち、基板Wの温度が常温よりも高温であれば、常温にまで冷却される。また、常温近傍の基板Wについては、そのまま基板Wを安定して常温に維持する。
冷却プレート81には、その上面に出没する複数本(本実施の形態では3本)のリフトピン84が設けられている。3本のリフトピン84の上端高さ位置は同一水平面内に含まれる。3本のリフトピン84はエアシリンダ85によって一括して鉛直方向に沿って昇降される。各リフトピン84は、冷却プレート81に上下に貫通して設けられた挿通孔の内側に沿って昇降する。エアシリンダ85が3本のリフトピン84を上昇させると、各リフトピン84の先端が冷却プレート81の上面から突出する。また、エアシリンダ85が3本のリフトピン84を下降させると、各リフトピン84の先端が冷却プレート81の挿通孔の内部に埋入する。
チャンバー70の天井部に設けられたフラッシュ照射部60は、複数本(本実施形態では2本)のフラッシュランプFLからなる光源と、フラッシュ光を基板Wの周縁部のみに集光する投光光学系61と、を備えている。複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。なお、フラッシュ照射部60に備えるフラッシュランプFLの本数は特に限定されるものではなく、1本以上であれば良い。
複数のフラッシュランプFLのそれぞれには電源ユニット71が接続されている。図7は、電源ユニット71の要部構成を示す図である。電源ユニット71は、コイル72、コンデンサ73および充電器74を備える。本実施形態では、フラッシュランプFLとしてキセノンフラッシュランプを用いている。キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)77と、該ガラス管77の外周面上に付設されたトリガー電極76とを備える。フラッシュランプFLの陽極と陰極とを結ぶ配線にコイル72およびコンデンサ73が直列に接続されている。コンデンサ73には、充電器74によって所定の電圧が印加され、その印加電圧に応じた電荷が充電される。充電器74がコンデンサ73に印加する電圧値はユニットコントローラ90によって制御される。
また、トリガー電極76にはトリガー回路75から高電圧を印加することができる。トリガー回路75がトリガー電極76に電圧を印加するタイミングはユニットコントローラ90によって制御される。
フラッシュランプFLを発光させるときには、ユニットコントローラ90によって指定された電圧値にて充電器74がコンデンサ73に電圧を印加して充電する。コンデンサ73に印加電圧に応じた電荷が蓄積されると、フラッシュランプFLのガラス管77内の陽極と陰極との間に電位差が生じる。そのような状態となってもキセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管77内に電気は流れない。
しかしながら、トリガー回路75からトリガー電極76に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサ73に蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管77内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサ73に蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。なお、ガラス管77内に流れる電流の波形はコイル72によって規定され、コイル72のインダクタンスが大きいほどガラス管77内に電流が流れる時間(つまり、発光時間)が長くなる。
こうしてフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光は投光光学系61に入射する。投光光学系61は、複数の光学素子(レンズおよび/またはミラー)を鏡筒内に収納して構成されている。投光光学系61は、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を集光して冷却プレート81の上面に保持された基板Wの周縁部のみに照射する。本実施形態では、基板Wが円形の半導体ウェハーであるため、投光光学系61はフラッシュ光を円環状に集光して半導体ウェハーの周縁部のみに照射する(図9,10参照)。
ユニットコントローラ90は、フラッシュベークユニットFLBに設けられた上記の種々の動作機構を制御する。ユニットコントローラ90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、ユニットコントローラ90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えて構成される。ユニットコントローラ90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによってフラッシュベークユニットFLBにおける処理が進行する。なお、ユニットコントローラ90は、基板処理装置1の全体を管理するメインコントローラの下位コントローラとして設けられていても良い。
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における基板処理の手順について説明する。ここでは、まず、基板処理装置1における全体の処理手順を簡単に説明した後、フラッシュベークユニットFLBでの処理について説明する。図8は、基板処理装置1における基板Wの処理手順を示すフローチャートである。
装置外部から未処理の基板WがキャリアCに収納された状態でAGV等によってインデクサブロック10に搬入される。続いて、インデクサブロック10から未処理の基板Wの払い出しが行われる。具体的には、インデクサロボットIRが所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークブロック20の搬送ロボットTR1がその基板Wを受け取って熱処理タワー22のいずれかの密着強化処理ユニットAHLに搬送する。密着強化処理ユニットAHLでは、HMDSの蒸気雰囲気で基板Wを熱処理して基板Wの密着性を向上させる。密着強化処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR1によって取り出され、熱処理タワー22,23のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。
冷却された基板Wは搬送ロボットTR1によって冷却ユニットCPから下地塗布処理部21のいずれかの塗布処理ユニットBRCに搬送される。塗布処理ユニットBRCでは、基板Wの表面に反射防止膜の塗布液が供給されて回転塗布される。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR1によって熱処理タワー22,23のいずれかの加熱ユニットHPに搬送される。加熱ユニットHPにて基板Wが加熱されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が焼成される(ステップS1)。その後、搬送ロボットTR1によって加熱ユニットHPから取り出された基板Wは熱処理タワー22,23のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
次に、反射防止膜が形成された基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取って熱処理タワー32,33のいずれかの冷却ユニットCPに搬送して所定温度に温調する。続いて、搬送ロボットTR2が温調済みの基板Wをレジスト塗布処理部31のいずれかの塗布処理ユニットSCに搬送する。塗布処理ユニットSCでは、基板Wにレジスト膜の塗布液が回転塗布される。本実施形態においては、レジストとして化学増幅型レジストが使用される。
レジスト塗布処理が終了した後、塗布処理ユニットSCから搬出された基板Wは搬送ロボットTR2によって熱処理タワー32,33のいずれかの加熱ユニットHPに搬送される。加熱ユニットHPにて基板Wが加熱(Post Applied Bake)されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上にレジスト膜が形成される(ステップS2)。レジスト膜は基板Wの表面全面にほぼ均一な厚さにて形成される。その後、搬送ロボットTR2によって加熱ユニットHPから取り出された基板Wは熱処理タワー32,33のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
表面にレジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4によって受け取られ、フラッシュベークユニットFLBに搬入される。詳細については後述するが、フラッシュベークユニットFLBは、基板Wの表面に形成されたレジスト膜の周縁部のみにフラッシュ光を照射し、当該周縁部の温度をレジストのガラス転移点以上にまで加熱する(ステップS3)。このような加熱処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によってフラッシュベークユニットFLBから搬出され、基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wは搬送機構IFRによって受け取られ、露光ユニットEXPに搬入され、パターン露光処理に供される(ステップS4)。本実施形態では化学増幅型レジストを使用しているため、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分では光化学反応によって酸が生成する。
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは露光ユニットEXPから再びインターフェイスブロック50に戻され、搬送機構IFRによって基板載置部PASS10に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って現像処理ブロック40の熱処理タワー43のいずれかの加熱ユニットHPに搬送する。熱処理タワー43の加熱ユニットHPでは、露光時の光化学反応によって生じた生成物を酸触媒としてレジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させ、現像液に対する溶解度を露光部分のみ局所的に変化させるための露光後ベーク処理(Post Exposure Bake)が行われる(ステップS5)。
露光後ベーク処理が終了した基板Wは、加熱ユニットHP内部の機構によって冷却されることにより上記化学反応が停止する。続いて基板Wは、搬送ロボットTR4によって熱処理タワー43の加熱ユニットHPから取り出され、基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って熱処理タワー42のいずれかの冷却ユニットCPに搬送する。冷却ユニットCPにおいては、露光後ベーク処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に温調される。その後、搬送ロボットTR3は、冷却ユニットCPから基板Wを取り出して現像処理部41のいずれかの現像処理ユニットSDに搬送する。現像処理ユニットSDでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる(ステップS6)。やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によって熱処理タワー42のいずれかの加熱ユニットHPに搬送され、現像後の焼き締め加熱処理(Hard Bake)が行われる。さらにその後、基板Wは搬送ロボットTR3によって熱処理タワー42のいずれかのいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。
その後、基板Wは搬送ロボットTR3によって基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2によってそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークブロック20の搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2に載置されることにより、インデクサブロック10に格納される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板WはインデクサロボットIRによって所定のキャリアCに収納される。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
フラッシュベークユニットFLBでの処理についてさらに説明を続ける。フラッシュベークユニットFLBは、基板Wの表面に形成されたレジスト膜の周縁部にフラッシュ光を照射して加熱処理を行う。図9は、レジスト膜周縁部の表面温度の変化を示す図である。フラッシュベークユニットFLBでの処理は、ユニットコントローラ90がフラッシュベークユニットFLBの各動作機構を制御することにより進行する。
まず、図示省略のシャッターが開いて搬送開口部68が開放され、搬送ロボットTR4により搬送開口部68を介してレジスト膜が形成された基板Wがチャンバー70内に搬入される。具体的には、表面にレジスト膜が形成された基板Wを保持した搬送ロボットTR4の搬送アーム54a(または54b)が搬送開口部68からチャンバー70内に進入し、冷却プレート81の直上にて停止する。続いて、3本のリフトピン84が上昇して搬送アーム54aから基板Wを受け取る。その後、搬送ロボットTR4の搬送アーム54aがチャンバー70から退出するとともに、搬送開口部68が閉鎖されることによってチャンバー70内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、搬送アーム54aが退出した後、基板Wを支持する3本のリフトピン84が下降して冷却プレート81の挿通孔の内部に埋入する。リフトピン84が下降する過程において、図9の時刻t1にて基板Wはリフトピン84から冷却プレート81の上面に渡され、その上面に水平姿勢にて載置・保持される。冷却プレート81に受け渡された時刻t1の時点での基板Wおよびその表面に形成されたレジスト膜の温度は基板処理装置1が設置されている雰囲気の温度と同じであり、概ね常温(RT:本実施形態では23℃)である。
冷却プレート81は、冷却機構82によって予め常温に温調されている。ユニットコントローラ90は、温度センサ83の測定結果に基づいて、冷却プレート81の温度が23℃となるように冷却機構82を制御している。リフトピン84が下降して基板Wが常温に温調された冷却プレート81に載置されることにより、時刻t1から基板Wに対する冷却プレート81による温調が開始される。これにより、基板Wは正確に23℃に温調されることとなり、その結果ロットに含まれる複数の基板W間での温度履歴均一性を向上させることができる。
レジスト膜が形成された基板Wが冷却プレート81に載置されてから所定時間が経過した時刻t2にてユニットコントローラ90の制御によりフラッシュ照射部60のフラッシュランプFLが発光する。より詳細には、時刻t2よりも前に(基板Wがチャンバー70に搬入される前であっても良い)、ユニットコントローラ90が設定した電圧値にて充電器74がコンデンサ73に電圧を印加して充電する。時刻t2の時点ではコンデンサ73にはユニットコントローラ90が設定した印加電圧に応じた電荷が蓄積されており、フラッシュランプFLのガラス管77内の陽極と陰極との間にもその印加電圧にほぼ等しい電位差が生じている。そして、時刻t2にてユニットコントローラ90の制御下でトリガー回路75がトリガー電極76に高電圧を印加する。これにより、キセノンガスの絶縁性が破壊され、コンデンサ73に蓄積されていた電荷がガラス管77の両極間で瞬時に放電し、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。こうしてフラッシュランプFLから放出される光がフラッシュ光であり、その発光時間は0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い時間である。なお、フラッシュランプFLの発光時間はコイル72のインダクタンスによって規定される。
フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光は投光光学系61に入射する。投光光学系61は、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を集光して冷却プレート81の上面に保持された基板Wの周縁部のみに照射する。図10は、フラッシュ照射部60から基板Wの周縁部にフラッシュ光が照射される様子を模式的に示す図である。基板Wの表面の全面にはほぼ均一な厚さにてレジスト膜RFが形成されている。レジスト膜RFの厚さは数10nmと非常に薄い。フラッシュ照射部60から基板Wの周縁部に向けて出射されたフラッシュ光は、その基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの周縁部RFEのみに照射される。すなわち、フラッシュ照射部60の投光光学系61は、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光をレジスト膜RFの周縁部RFEのみに到達させる。
本実施形態においては、基板Wが円形の半導体ウェハーであるため、その表面全面に形成されたレジスト膜RFも円形の薄膜である。従って、図11に示すように、投光光学系61は、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を円環形状に集光してレジスト膜RFの円環状の周縁部RFEのみに到達させる。また、フラッシュ照射部60は、円環状の周縁部RFEの全体に一括してフラッシュ光を照射する。
このようなレジスト膜RFの周縁部RFEへのフラッシュ光一括照射によって、その周縁部RFEの表面がフラッシュ加熱される。フラッシュ照射部60から照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサ73に蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、発光時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そのようなフラッシュ光が照射されたレジスト膜RFの周縁部RFEの表面温度は、図9に示すように瞬間的に処理温度(加熱温度)T1にまで上昇し、その後急速に常温にまで下降する。
この処理温度T1は、レジスト膜RFを構成する化学増幅型レジストのガラス転移点Tg以上である。ガラス転移点Tgは、非晶質固体材料にガラス転移が生じる温度であり、高分子材料やガラスなどにおいてその存在が知られている。ガラス転移とは、低温では結晶質のように剛性および粘度が大きかった非晶質固体が、ある温度以上になると急激に剛性および粘度が低下して流動性が増す現象であり、その温度がガラス転移点と称される。レジスト膜RFを構成する化学増幅型レジストも高分子材料であり、ガラス転移点Tgが存在している。レジスト膜RFのガラス転移点Tgは、化学増幅型レジストの種類にもよるが、100℃〜150℃の範囲内である。
レジスト膜RFが瞬間的にでもガラス転移点Tg以上にまで加熱されると、高分子材料である化学増幅型レジストの鎖状部分が解けて脱保護反応が生じる。その結果、ガラス転移点Tg以上にまで加熱されたレジスト膜RFは、露光されていなくても、後の現像工程にて現像液によって溶解される。本発明は、このような現象を利用し、従来行われていたエッジ露光処理に代えて、フラッシュ光照射によってレジスト膜RFの周縁部RFEをガラス転移点Tg以上にまで加熱している。なお、図9に示しているのは、レジスト膜RFの周縁部RFEの表面温度であるが、レジスト膜RFの厚さは極めて薄いため、瞬間的にでも表面がガラス転移点Tg以上にまで加熱されると周縁部RFEの全体もガラス転移点Tg以上にまで加熱される。
フラッシュ光が照射されてレジスト膜RFの周縁部RFEの表面温度が昇温を開始した時刻t2から常温にまで降温した時刻t3までの加熱処理時間は1秒以下である。このような1秒以下の短時間であっても、強度の大きなフラッシュ光照射によってレジスト膜RFの周縁部RFEを確実にガラス転移点Tg以上に加熱して脱保護反応を生じさせることができる。
フラッシュ光照射によるレジスト膜RFの周縁部RFEの加熱処理が終了した後においても、基板Wは冷却プレート81に保持され続けることによって冷却され、常温に維持される。やがて、所定時間が経過して時刻t4に到達した時点にて、3本のリフトピン84が上昇し、冷却プレート81に載置されていた基板Wを突き上げて冷却プレート81から離間させる。その後、搬送開口部68が再び開放され、搬送ロボットTR4の搬送アーム54a(または54b)が搬送開口部68からチャンバー70内に進入して基板Wの直下で停止する。続いて、リフトピン84が下降することによって、基板Wがリフトピン84から搬送アーム54aに渡される。そして、基板Wを受け取った搬送ロボットTR4の搬送アーム54aがチャンバー70から退出することにより、基板Wがチャンバー70から搬出され、フラッシュベークユニットFLBにおけるレジスト膜周縁部加熱処理が完了する。
上述した通り、フラッシュベークユニットFLBから搬出された基板Wは、その後パターン露光処理および露光後ベーク処理を経て現像処理ユニットSDに搬送される。現像処理ユニットSDでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を実行する。このとき、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFのパターン露光部分のみならず、フラッシュベークユニットFLBでのフラッシュ光照射によってガラス転移点Tg以上にまで加熱されたレジスト膜RFの周縁部RFEも現像液によって溶解されて除去される。こうして基板Wの周縁部からは不要なレジスト膜が除去されることとなる。なお、レジスト膜RFの周縁部RFEはパターン露光処理が行われる領域よりも外側であることは勿論である。
従来行われていたエッジ露光処理では、特許文献1にも開示されるように、スポット光を基板の周縁に沿って相対移動させるため、処理時間に長時間を要していた。本実施形態においては、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの周縁部RFEにフラッシュランプFLからフラッシュ光を一括照射して当該周縁部RFEの温度をガラス転移点Tg以上に加熱し、脱保護反応を生じさせて現像液に可溶としている。フラッシュ光照射によるレジスト膜RFの周縁部RFEの加熱処理は処理時間が1秒以下の極めて短時間の処理である。また、レジスト膜RFの周縁部RFEの全体に一括してフラッシュ光が照射される。その結果、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの周縁部RFEを短時間にて除去可能とすることができ、基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。
また、レジスト膜RFの周縁部RFEを除去可能とするのに要する時間が短時間であれば、基板処理装置1に1つのフラッシュベークユニットFLBを搭載するだけでも、この処理が基板処理装置1全体を律速することはない。従って、従来と同等のスループットを得るために、基板処理装置1に搭載するユニット数は少なくなり、装置サイズをコンパクトにできるとともに、消費電力の増加を抑制することもできる。
ところで、従来のエッジ露光処理に代えてレジスト膜RFの周縁部RFEをガラス転移点Tg以上に加熱するだけであれば、例えば周縁部RFEのみを加熱するホットプレートの如き加熱手段も採用することが可能である。しかしながら、ホットプレートなどによってレジスト膜RFの周縁部RFEを加熱した場合には、処理に要する時間は少なくとも10秒以上となり、その間に周縁部RFEから内側領域への熱伝導が生じる。その結果、加熱処理時に周縁部RFEのみを選択的に加熱したとしても、図12(b)に示すように、基板Wの端縁部から内側へと向けてレジスト膜RFに緩やかな温度勾配が発生し、ガラス転移点Tg以上となるレジスト膜RFの領域が周縁部RFEと一致しなくなる。すなわち、レジスト膜RFの周縁部RFEであってもガラス転移点Tgにまで昇温しない部分が生じたり、逆に周縁部RFEよりも内側の領域(通常はパターン形成領域)がガラス転移点Tg以上にまで昇温したりする。このようになると、後の露光処理工程において、レジスト膜RFの周縁部RFEが正確に除去されず、除去された部分と残留部分との境界も不明瞭となる。
これに対して、本実施形態のように、フラッシュ光照射によってレジスト膜RFの周縁部RFEを加熱するようにすれば、周縁部RFEが昇温を開始してから常温にまで降温する時間(図9の時刻t2から時刻t3までの時間)は1秒以下であるため、周縁部RFEから内側領域への熱伝導はほとんど生じない。このため、図12(a)に示すように、レジスト膜RFの周縁部RFEとそれよりも内側領域とでは温度が不連続となり、周縁部RFEのみを正確にガラス転移点Tg以上に加熱することができる。その結果、後の露光処理工程においても、レジスト膜RFの周縁部RFEのみを正確に除去することができる。また、除去された部分と残留部分との境界も明確となる。なお、図12はレジスト膜RFの温度分布を示す図であり、図12(a)は本実施形態のフラッシュ加熱によるものであり、図12(b)はホットプレートなどの長時間加熱によるものである。図12において、横軸には基板Wの端縁から中心に向けての距離を示し、縦軸にはレジスト膜RFの温度を示している。
また、化学増幅型レジストの種類によってガラス転移点Tgが異なるため、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの種類が異なるとフラッシュ光照射時の処理温度T1を変更しなければならないこともある。本実施形態のフラッシュベークユニットFLBであれば、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度を変化させることによって容易にレジスト膜RFの周縁部RFEの処理温度T1も変更することができるため、異なる種類のレジスト膜RFを形成した基板Wであっても処理温度変更のための待機時間無しに連続してフラッシュ光照射処理を行うことができる。その結果、異なる種類のレジスト膜RFを形成した基板Wを連続して処理する場合であっても、基板処理装置1のスループット低下を防止することができる。なお、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度は、例えばユニットコントローラ90が設定するコンデンサ73への充電電圧を変化させ、フラッシュランプFLに印加する電圧を調整することによって容易に変更することができる。換言すれば、ユニットコントローラ90は、フラッシュ光が照射されたレジスト膜RFの周縁部RFEの温度が当該レジスト膜RFを構成するレジスト材料のガラス転移点Tg以上となるように、充電器74がコンデンサ73に充電する電圧を設定し、フラッシュランプFLに印加する電圧を制御する。
また、本実施形態のフラッシュベークユニットFLBは冷却プレート81を備えており、この冷却プレート81によってフラッシュ光照射前後の基板Wを正確に常温に温調している。このため、連続して処理する複数の基板W間での温度履歴を均一にすることができる。
さらに、冷却プレート81によって基板Wを正確に常温に温調しているため、フラッシュ光照射時にもレジスト膜RFの周縁部RFEよりも内側領域は常温に維持され続ける。その結果、当該内側領域を常温に維持しつつも、周縁部RFEのみを確実にガラス転移点Tg以上に昇温することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、投光光学系61を複数の光学素子(レンズおよび/またはミラー)にて構成していたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの周縁部RFEのみに到達させるものであれば良い。
例えば、図13に示すように、投光光学系61を遮光板69にて構成するようにしても良い。遮光板69は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光に対して不透明な素材(例えば、ステンレススチールなどの金属)にて形成されている。遮光板69は、冷却プレート81に載置された基板Wの直上に近接して配置されており、その基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFのうち周縁部RFEを除く領域を覆う。すなわち、上方から見ると、レジスト膜RFの周縁部RFEのみが遮光板69の周囲に露出している。上記実施形態のように、基板Wが円形の半導体ウェハーであれば、遮光板69もそれも小径の円板形状となる。
レジスト膜RFのうち周縁部RFEを除く領域を遮光板69によって遮光した状態でフラッシュランプFLよりフラッシュ光を出射すると、周縁部RFEのみにフラッシュ光が一括照射される。これにより、レジスト膜RFの周縁部RFEのみがフラッシュ加熱され、ガラス転移点Tg以上にまで昇温される。その結果、上記実施形態と同様に、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFの周縁部RFEを短時間にて除去可能とすることができる。なお、遮光板69を配置する手法としては、チャンバー70の天井部から吊り下げるようにしても良いし、側方から支持棒によって支持するようにしても良い。また、基板Wの搬出入の支障とならないように、遮光板69を昇降するリフト機構を設けるようにしても良い。さらに、遮光板69を支持棒によって側方から支持する場合には、当該支持棒がフラッシュ光照射時に周縁部RFEに影を作るため、当該支持棒を基板Wに対して相対的に回転させて2回フラッシュ光照射を行うのが好ましい。
また、フラッシュランプFLの形状は棒状ランプに限定されるものではなく、点光源のランプであっても良いし、円環形状のランプであっても良い。特に、図13に示す例のように、基板Wが円形の半導体ウェハーであって遮光板69によって周縁部RFEを除く領域を覆う場合には、周縁部RFEが円環形状となるため、それに対応してフラッシュランプFLの形状も円環形状とするのが好ましい。
また、上記実施形態では冷却プレート81の平面サイズを基板Wのサイズよりも大きくしていたが、これを若干小さくしても良い。より具体的には、冷却プレート81の平面サイズをレジスト膜RFのうちの周縁部RFEを除く領域と等しいサイズとし、その冷却プレート81上にレジスト膜RFの周縁部RFEのみがはみ出すように基板Wを載置するようにしても良い。このようにすれば、レジスト膜RFの周縁部RFEは冷却されにくいため、周縁部RFEのみを確実にガラス転移点Tg以上に加熱することができる。
また、フラッシュベークユニットFLBの配置位置はインターフェイスブロック50に限定されるものではなく、基板Wの表面にレジスト膜RFが形成された後、現像処理が行われる工程までに当該基板Wが搬送される経路上の任意の位置に設けるようにすれば良い。例えば、フラッシュベークユニットFLBをレジスト塗布ブロック30の熱処理タワー32,33のいずれかに組み込むようにしても良いし、現像処理ブロック40の熱処理タワー42,43のいずれかに組み込むようにしても良い。
また、基板処理装置1に複数台のフラッシュベークユニットFLBを搭載するようにしても良い。この場合、複数のフラッシュベークユニットFLBを並行して使用するようにしても良いし、一部のフラッシュベークユニットFLBを予備としても良い。
また、上記実施形態においては、フラッシュ光照射時の処理温度T1を変更するのに、コンデンサ73への充電電圧を変化させることによって実現していたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度を変更する任意の手法を採用することができる。例えば、フラッシュランプFLの陽極と陰極とを結ぶ配線に絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子を設け、そのスイッチング素子によってフラッシュランプFLに流れる電流を制御することにより、フラッシュ光照射の強度を変えてフラッシュ光照射時の処理温度T1を変更するようにしても良い。また、電源ユニット71に容量の異なる複数種類のコンデンサを設け、これらを切り替えることによってフラッシュ光照射の強度を変えるようにしても良い。
また、本発明に係る熱処理技術によって処理対象となる基板Wは半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。これらの場合、処理対象となる基板Wの形状に応じて、フラッシュ照射部60から照射するフラッシュ光の照射領域の形状を設定する。例えば、処理対象となる基板Wが矩形のガラス基板であれば、フラッシュ照射部60はその矩形の周縁部にフラッシュ光を照射する。
1 基板処理装置
10 インデクサブロック
20 バークブロック
30 レジスト塗布ブロック
40 現像処理ブロック
50 インターフェイスブロック
60 フラッシュ照射部
61 投光光学系
65 熱処理空間
70 チャンバー
71 電源ユニット
72 コイル
73 コンデンサ
74 充電器
81 冷却プレート
90 ユニットコントローラ
BRC,SC 塗布処理ユニット
CP 冷却ユニット
FL フラッシュランプ
FLB フラッシュベークユニット
HP 加熱ユニット
IFR 搬送機構
PASS1〜PASS10 基板載置部
SD 現像処理ユニット
TR1,TR2,TR3,TR4 搬送ロボット
W 基板
10 インデクサブロック
20 バークブロック
30 レジスト塗布ブロック
40 現像処理ブロック
50 インターフェイスブロック
60 フラッシュ照射部
61 投光光学系
65 熱処理空間
70 チャンバー
71 電源ユニット
72 コイル
73 コンデンサ
74 充電器
81 冷却プレート
90 ユニットコントローラ
BRC,SC 塗布処理ユニット
CP 冷却ユニット
FL フラッシュランプ
FLB フラッシュベークユニット
HP 加熱ユニット
IFR 搬送機構
PASS1〜PASS10 基板載置部
SD 現像処理ユニット
TR1,TR2,TR3,TR4 搬送ロボット
W 基板
Claims (6)
- 基板の表面にレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
前記レジスト膜の周縁部にフラッシュランプからフラッシュ光を照射して当該周縁部の温度をガラス転移点以上に加熱する周縁部加熱工程と、
前記周縁部加熱工程の後、前記基板の表面に現像液を供給して前記レジスト膜の前記周縁部を除去する現像工程と、
を備えることを特徴とする熱処理方法。 - 請求項1記載の熱処理方法において、
前記基板を冷却プレート上に保持しつつフラッシュ光の照射を行うことを特徴とする熱処理方法。 - 請求項1または請求項2記載の熱処理方法において、
前記周縁部加熱工程でのフラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下であることを特徴とする熱処理方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理方法において、
前記周縁部加熱工程では、前記フラッシュランプに印加する電圧を制御することによって前記周縁部の加熱温度を変更することを特徴とする熱処理方法。 - 表面にレジスト膜が形成された基板を収容するチャンバーと、
フラッシュ光を出射するフラッシュランプと、
前記フラッシュランプから出射されたフラッシュ光を前記レジスト膜の周縁部のみに到達させる投光光学系と、
フラッシュ光が照射された前記周縁部の温度がガラス転移点以上となるように、前記フラッシュランプに印加する電圧を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。 - 請求項5記載の熱処理装置において、
前記チャンバー内にて前記基板を載置して保持する冷却プレートをさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011000461A JP2012141490A (ja) | 2011-01-05 | 2011-01-05 | 熱処理方法および熱処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011000461A JP2012141490A (ja) | 2011-01-05 | 2011-01-05 | 熱処理方法および熱処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012141490A true JP2012141490A (ja) | 2012-07-26 |
Family
ID=46677830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2011000461A Pending JP2012141490A (ja) | 2011-01-05 | 2011-01-05 | 熱処理方法および熱処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2012141490A (ja) |
-
2011
- 2011-01-05 JP JP2011000461A patent/JP2012141490A/ja active Pending
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