JP2012137410A - スクラップ表面プロファイル計測方法 - Google Patents

スクラップ表面プロファイル計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容器内に積層されたスクラップ表面までの距離を適正に計測して容器内のスクラップの表面プロファイルを高精度に計測することができるスクラップ表面プロファイル計測方法を提供すること。
【解決手段】電磁波距離計測部11は、容器2内のスクラップ21表面上に、容器2内のスクラップ21のうちの大きいスクラップ21のサイズと同程度またはそれ以下の大きさのスポットが照射されるように調整されたビーム幅の電磁波をアンテナ111から送信し、アンテナ111によってその反射波を受信することで容器2内のスクラップ21表面までの距離を計測する。
【選択図】図1

Description

本発明は、容器内に積層されたスクラップの表面プロファイルを計測するスクラップ表面プロファイル計測方法に関するものである。
鉄系のスクラップは、溶解して再利用が可能であるため、製鉄所においては鉄源として重要である。スクラップを溶解するスクラップ溶解炉としては、電気炉、シャフト炉、キュポラ等が挙げられ、広義の意味では転炉もこれに当てはまる。このようなスクラップ溶解炉は、炉内に装入されたスクラップを加熱して溶解し、溶鋼を得るものである。従来の高炉法による銑鉄の生産は効率的であるものの、設備投資コストや粗鋼生産量等を考慮すると、特に小規模な工場では、スクラップ溶解炉を用いるほうがより適切な生産規模の操業が可能であり、また、場合によっては粗鋼1tあたりのCO2排出量が高炉よりも低減できる利点もある。
ところで、スクラップ溶解炉では、予め炉内に装入するスクラップの嵩密度を求め、求めた嵩密度に応じて溶解能力を調節することでエネルギー効率や操業効率の最適化を図っている。例えば、電極を炉内に挿入し、電気抵抗によるジュール熱でスクラップを溶解する電気炉では、嵩密度が低い場合、スクラップの温度が上昇しにくいため電流を多く流すことで効率的にスクラップを溶解して操業効率を上げている。一方、嵩密度が高い場合には、流す電流を少なくしてエネルギー効率を最適化している。
ここで、嵩密度は、装入するスクラップの重量を予め計測しておき、その体積を求めることで算出できる。体積は、装入するスクラップを容積が既知である容器、例えば搬送用の台車内に収容し、この容器内のスクラップ表面の層高を計測することで算出できる。そして、層高は、例えば、各種距離計を用いて容器内のスクラップ表面までの距離を計測することで計測されている。例えば、特許文献1には、音波を用いる距離計を製錬炉内の上下方向、半径方向および周方向に移動可能に設け、製錬炉内装入物の層高さを測定する技術が開示されている。この他、レーザー距離計を用いたものも知られている。
特開平3−134109号公報
しかしながら、炉内に装入するスクラップは様々な形状をしており、容器内にはこれら様々な形状のスクラップが積層された状態で収容されるため、容器内のスクラップ表面は平らではなく、また、表層に存在する個々のスクラップの表面やエッジ部分は様々な方向を向いている。このため、特許文献1の技術を適用してスクラップ表面までの距離を計測する場合、スクラップ表面に向けて送信した音波がその反射位置におけるスクラップ表面の状態によっては乱反射してしまい、正確な距離計測が困難な場合があった。また、レーザー距離計を用いた場合も、反射位置におけるスクラップ表面の状態によっては、十分な強度の反射波が得られずにデータの欠損が発生する場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容器内に積層されたスクラップ表面までの距離を適正に計測して容器内のスクラップの表面プロファイルを高精度に計測することができるスクラップ表面プロファイル計測方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるスクラップ表面プロファイル計測方法は、大きさの異なるスクラップが内部に積層された容器内の前記スクラップの表面プロファイルを計測するスクラップ表面プロファイル計測方法であって、前記容器内の前記スクラップ表面上に前記スクラップのうちの大きいスクラップのサイズと同程度または該サイズ以下の大きさのスポットが照射されるように調整されたビーム幅の電磁波を送信し、該送信した電磁波の反射波を受信することで前記スクラップ表面までの距離を計測する計測工程を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかるスクラップ表面プロファイル計測方法は、上記の発明において、前記スポットのビーム幅は200mm以上でかつ800mm以下であり、前記電磁波の搬送周波数は1GHz以上でかつ100GHz以下であることを特徴とする。
また、本発明にかかるスクラップ表面プロファイル計測方法は、上記の発明において、前記計測工程は、前記スクラップ表面の上方で計測位置を移動させながら前記スクラップ表面までの距離を順次計測し、前記計測位置を移動させながら計測した一連の前記スクラップ表面までの距離の計測値から異常値を除去し、該異常値を除去した後の前記計測値をもとに移動平均処理を行う信号処理工程を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかるスクラップ表面プロファイル計測方法は、上記の発明において、前記信号処理工程は、前記計測位置の移動方向に沿って前記計測位置を所定距離毎の区間に分割し、該区間毎に前記計測値の最小値を代表値として抽出して、該代表値に対して移動平均処理を行うことを特徴とする。
本発明のスクラップ表面プロファイル計測方法では、スクラップ表面上に照射されるスポットのサイズが容器内のスクラップのうちの大きいスクラップのサイズと同程度またはそれ以下となるように調整されたビーム幅の電磁波を送信し、その反射波を受信することでスクラップ表面までの距離を計測することとした。これによれば、スポットが小さすぎることによって受ける乱反射等の影響で生じる反射率の低下を抑制しつつ、スポットが大きすぎることによって受ける干渉等の影響で生じる距離計測精度の低下を抑制することができる。したがって、容器内に積層されたスクラップ表面までの距離を適正に計測して容器内のスクラップの表面プロファイルを高精度に計測することができる。
図1は、スクラップ表面プロファイル計測装置の構成およびスクラップを収容するための容器の内部を示した模式図である。 図2は、容器の平面図である。 図3は、ビーム幅と反射率との関係およびビーム幅と距離計測精度との関係を示す図である。 図4は、ビーム幅と計測性能指数との関係を示す図である。 図5は、プロファイル計測処理の処理手順を示すフローチャートである。 図6は、容器の平面図である。 図7は、実施例における表面プロファイルの計測結果を示す図である。 図8は、図7の計測結果に対して上記した移動平均処理を施した結果を示す図である。 図9は、比較例における表面プロファイルの計測結果を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明のスクラップ表面プロファイル計測方法を実施するための形態について説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態のスクラップ表面プロファイル計測装置1の構成およびこのスクラップ表面プロファイル計測装置1が計測対象とするスクラップ21を収容するための容器2の側面を切り欠いて内部の様子を示した模式図である。
容器2は、上面が開口した箱状を有し、スクラップ溶解炉に装入されるスクラップ21が内部に積層されて収容される。ここで、容器2の容積は既知である。この容器2内に収容されるスクラップ21は、種々雑多な形状をしている。例えば、平板状の鋼材や、断面視H字状、L字状、円形状等の鋼材、ワイヤ状の鋼材、球状の鋼塊、あるいはこれらのものに孔が形成されたもの、粒状に細かく裁断されたもの等が混在する。また、その大きさも様々であり、大きいもので数百mm〜1m程度、小さいもので数十mm程度である。ここで、容器2内に収容される各種形状、各種大きさのスクラップ21の組み合わせや混在割合は一定ではなく、その都度(チャージ毎に)異なる。また、収容時にサイズの小さいスクラップ21が大きいものの隙間に入り込む場合がある。このため、容器2内に積層されたスクラップ21の嵩密度は、チャージ毎に異なる。この嵩密度を精度良く求めるためには、容器2内のスクラップ21の体積を精度良く求める必要があり、そのためには、容器2内に積層されたスクラップ21表面(容器2の上面側に露出する表層のスクラップ21の表面)の層高(容器2の内底面からの高さ)を高精度に計測する必要がある。
スクラップ表面プロファイル計測装置1は、前述のスクラップ21表面の層高を求めるため、容器2の上面開口上方の全域で計測位置を移動させながら、各計測位置からスクラップ21表面までの距離を容器2内のスクラップ21の表面プロファイルとして計測する。このスクラップ表面プロファイル計測装置1は、電磁波距離計測部11を備える。電磁波距離計測部11は、電磁波距離計等で構成され、容器2の内部に電磁波(送信信号)を送信し、その反射波(反射信号)を受信して電磁波の反射位置、すなわち容器2内に積層されたスクラップ21表面までの距離を計測するものであり、容器2の上面開口と対向配置されて容器2の内部に向けて電磁波を送信するとともに、送信した電磁波の反射波を受信するためのアンテナ111を備える。
アンテナ111は、不図示の搬送装置により、容器2の上面開口上方の所定の高さ位置(Z位置;以下、「計測高さ位置」と呼ぶ。)において、鉛直方向(Z軸方向)に直交する水平面(XY平面)内で移動自在に構成される。例えば、搬送装置は、そのZ位置が前述の計測高さ位置となるようにアンテナ111を保持し、X軸方向およびY軸方向にモータ駆動で移動する保持部材や、この保持部材の移動を案内するガイドレール等で構成される。
この電磁波距離計測部11は、計測高さ位置のアンテナ111をXY平面内で移動させて容器2の上面開口上方の全域を走査させながら、容器2内に積層されたスクラップ21表面までの距離Dを順次計測していく。計測した距離Dの計測値(距離計測値)は、計測時のアンテナ111の初期位置からの移動量とともに後述する記憶部125に出力され、移動量によって定まる各計測位置における距離データとして記憶部125に記憶される。
また、スクラップ表面プロファイル計測装置1は、装置各部の動作を制御する制御部12を備える。例えば、制御部12は、電磁波距離計測部11の動作を制御し、容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを計測するための処理を行う。
この制御部12は、入力部121や表示部123、記憶部125と接続されている。入力部121は、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、各種スイッチ等の各種入力装置によって実現されるものであり、操作入力に応じた入力信号を制御部12に出力する。表示部123は、LCDやELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置によって実現されるものであり、各種設定入力や各種表示出力のための画面を表示する。記憶部125は、更新記憶可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、ハードディスク、各種記憶媒体等の記憶装置によって実現される。この記憶部125には、スクラップ表面プロファイル計測装置1を動作させ、容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを計測するのに必要な各種プログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等が予め記憶され、あるいは処理の都度一時的に記憶される。例えば、記憶部125には、上記したように、電磁波距離計測部11によって計測された容器2の上面開口上方の各計測位置における距離データが記憶される。
図2は、容器2の平面図である。電磁波距離計測部11のアンテナ111から送信された電磁波は、図2に示すように、アンテナ111下方のスクラップ21表面内の位置において、アンテナ111の指向角に応じたビーム幅のスポットS1として照射される。一般に、電磁波距離計を用いた距離計測では、アンテナ111からの距離が離れるほどビーム幅が広がることが知られている。そして、距離計測値は、アンテナ111からスポットS1の照射範囲内のスクラップ21表面までの平均的な距離として計測される。
ところで、上記したように、容器2内のスクラップ21は、形状も大きさも様々である。このため、容器2内のスクラップ21表面の形状は平らではなく、表層に存在する個々のスクラップ21の表面やエッジ部分が形成する数十cm程度の凹凸が複数存在し、且つ、これら個々のスクラップ21の表面やエッジ部分は様々な方向を向いている。このため、ビーム幅が狭すぎると、スポットの照射範囲内に例えばスクラップ21の角やワイヤ状のスクラップ21が存在する場合に、照射した電磁波の乱反射(散乱)によって反射率が低下してしまう。一方で、ビーム幅が広すぎると、スポットの照射範囲内に例えばスクラップ21同士の隙間等の凹凸の大きい部分が存在する場合に、アンテナ111からみて奥側の箇所(凹部)を反射位置とする反射波と、アンテナ111からみて手前側の箇所(凸部)を反射位置とする反射波とが干渉して距離計測値の計測精度が低下してしまう。したがって、スポットの大きさが、容器2内に収容されるスクラップ21のうちの大きいもののサイズと略同程度またはそれ以下の大きさとなるようにすれば、乱反射等の影響を抑えて反射率を向上させつつ、干渉等の影響による距離計測値の計測精度の低下を抑制することが可能となる。
なお、容器2内に収容されるスクラップ21の大きさは予め既知であり、事前に取得できる。また、スポットの大きさを大きいスクラップ21のサイズに応じた大きさとするのは、スポットの照射範囲内になるべく凹凸等の高低差の大きい箇所が含まれないようにするためである。したがって、その形状が縦長のものについては、例えば短手方向の長さをその大きさとして取得しておく。
実際に、容器2内のスクラップ21表面にビーム幅の異なる電磁波を照射して距離計測を行い、ビーム幅と反射率との関係およびビーム幅と距離計測精度(例えば、標準偏差の逆数で与えられる精度指数等)との関係を調査した。図3は、得られたビーム幅と反射率との関係およびビーム幅と距離計測精度との関係を示す図であり、ビーム幅(mm)に対する反射率の変化曲線L21を一点鎖線で示すとともに、ビーム幅(mm)に対する距離計測精度の変化曲線L23を実線で示している。これら変化曲線L21,L23が示すように、ビーム幅が狭くなると、距離計測精度が向上する一方、前述の乱反射等の影響を受けて反射率は低下している。また、ビーム幅が広くなると、反射率は向上するものの、反射波の干渉等の影響を受けて距離計測精度が低下している。ここで、容器2内のスクラップ21表面に対し、スポットの大きさがサイズの大きいスクラップ21と略同程度となるように電磁波を照射するためのビーム幅の範囲は、図3中に矢印で示す範囲R2であった。そして、この範囲R2内での反射率および距離計測精度の各値は、いずれもある程度大きい値として得られている。
また、図4は、ビーム幅と計測性能指数との関係を示す図であり、ビーム幅(mm)に対する計測性能指数の変化曲線L3を示している。ここでは、図3に示したビーム幅と反射率との関係と、ビーム幅と距離計測精度との関係との積、具体的には、反射率の値と距離計測精度の値との積をビーム幅毎に求め、その最大値を1として正規化したビーム幅毎の値を計測性能指数としている。図4に示すように、計測性能指数が0.8以上であるビーム幅の範囲は、200mm〜800mmであった。なお、この計測性能指数が0.8以上となるビーム幅200mm〜800mmの範囲は、スポットの大きさがサイズの大きいスクラップ21と略同程度となるビーム幅の範囲R2(図3を参照)と略一致している。よって、本例では、アンテナ111が送信する電磁波のビーム幅は、200mm〜800mmを採用するのがよいと結論付けた。
ここで、電磁波による距離計測で用いられるアンテナ111としては、ホーンアンテナ、パラボラアンテナ、スロットアレイアンテナ等が比較的容易に入手可能なものとして知られている。これらのうち、指向角を最も狭くすることが可能なものは、送受一体型のアンテナであるスロットアレイアンテナである。スロットアレイアンテナの指向角は、3°以下まで調整して製作することが可能であり、例えば、距離計測値が2m〜4mの間で変化する場合、指向角を3°としたときのビーム幅(スポット径)は229mm〜458mm程度となり、大きいスクラップ21のサイズと略一致している。
また、搬送周波数としては、1GHz〜100GHz程度の周波数帯域を用いるのが適切である。この周波数帯域の波長は、3mm〜300mm程度であり、スクラップ21の大きさの範囲と略一致している。より好ましくは、Kバンド帯(18GHz〜25GHz)の周波数を用いると、アンテナ111を適度な大きさに設計でき、計測も正確に行える。また、適切な信号処理を行うことで距離計測精度をさらに向上させることが可能となる。
なお、スロットアレイアンテナ以外のアンテナ、例えばホーンアンテナ等でも狭指向角となるような設計は可能であるが、アンテナが大型化してしまい、設置スペースを確保できない場合が生じ得る。また、広指向角のアンテナであっても、容器2内のスクラップ21表面に近接させることである程度の狭指向角は実現可能ではあるが、電磁波距離計を用いた距離計測では、近距離での計測が困難である。したがって、指向角を狭指向角(例えば3°)として製作したスロットアレイアンテナをアンテナ111として採用し、電磁波距離計測部11を構成するのがよい。
次に、以上のように構成される電磁波距離計測部11、すなわち、スクラップ21表面に対して大きいスクラップ21のサイズと略同程度のスポット径で電磁波が照射されるようにビーム幅が調整された電磁波距離計測部11を備えたスクラップ表面プロファイル計測装置1が行うプロファイル計測処理の処理手順について説明する。図5は、プロファイル計測処理の処理手順を示すフローチャートである。
このプロファイル計測処理では、先ず、電磁波距離計測部11が、制御部12の制御のもと、アンテナ111をXY平面内で移動させて容器2の上面開口上方の全域を走査させながら、この上面開口上方の各計測位置においてスクラップ21表面までの距離を計測する(ステップa1;計測工程)。具体的には、電磁波距離計測部11は、アンテナ111のX位置を初期位置から所定量づつずらして計測位置をX軸方向に沿って順次移動させる処理を、Y位置を所定量づつずらしながら各Y位置において行う。そして、電磁波距離計測部11は、各計測位置においてアンテナ111から電磁波を送信し、アンテナ111によってその反射波を受信することで鉛直下方のスクラップ21表面までの距離を計測して、容器2内のスクラップ21の表面全域で表面プロファイルを計測する。
このステップa1で行う電磁波を用いた距離計測の手法としては、公知の手法を適宜用いることとしてよい。例えば、Time Of Flight方式を採用し、一定間隔で所定の分解能となるパルスを送信信号としてアンテナ111から送信するとともに、その反射信号をアンテナ111によって受信する。そして、送信信号を送信してから反射信号を受信するまでの時間から、スクラップ21表面までの距離を算出する。
また、符号拡散方式を採用してもよい。この場合には、クロック周波数がわずかに異なる2つのM系列信号(擬似ランダム信号の1つ)を用意する。そして、一方のM系列信号を搬送波信号(sin波)と合成し、送信信号としてアンテナ111から送信するとともに、その反射信号をアンテナ111によって受信する。そして、搬送波信号を検波処理し、他方のM系列信号との相関処理を行うことで時間軸を拡大し(すなわち距離分解能を向上させて)、距離を算出する。この方法では、2つのM系列信号を合成し、ローパスフィルタ処理することで時間基準を作成でき、反射信号との相関処理の結果得られたパルスの時間遅れを計算して距離を算出する。
また、FMCW方式を採用してもよい。この場合には、搬送周波数を中心として周波数を連続的に三角波状に変調を繰り返す送信信号をアンテナ111から送信するとともに、その反射信号をアンテナ111によって受信し、送信信号と反射信号とを合成してビート周波数を取得する。そして、ビート周波数に基づき、変調周波数の変調幅や変調する三角波の周波数等をもとに距離を算出する。
続いて、制御部12が、信号処理工程として、先ず、ステップa1で計測した各計測位置における一連のスクラップ21表面までの距離計測値から異常値を除去し(ステップa3)、異常値を除去した後の距離計測値に対して移動平均処理を行う(ステップa5)。上記したように、スポットの照射範囲内に例えばスクラップ21の角やワイヤ状のスクラップ21が存在すると、照射した電磁波の乱反射の影響で反射率が低下してしまう。あるいは、スポットの照射範囲内に例えばスクラップ21同士の隙間等の凹凸の大きい部分が存在すると、干渉の影響で距離計測精度が低下してしまう。このため、このような箇所では、データが大きく変動する場合がある。そこで、このステップa3では、前後の距離計測値と大きく外れた距離計測値を異常値として除去する。そして、続くステップa5では、除去した後の距離計測値をもとに移動平均処理を行う。具体的には、例えば先ず、計測位置のY位置毎にそのX位置を所定距離毎の区間に分割し、この区間毎に該当する区間内の距離計測値の最小値を代表値として抽出する。そして、抽出した各区間の代表値に対して移動平均処理を行い、表面プロファイルを補正(再構成)する。
以上説明したように、本実施の形態では、ビーム幅のスポットがサイズの大きいスクラップ21と略同程度となるように指向角を調整して製作したスロットアレイアンテナをアンテナ111として用いて電磁波距離計測部11を構成することとした。そして、この電磁波距離計測部11を備えたスクラップ表面プロファイル計測装置1がプロファイル計測処理を行うことで容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを計測することとした。また、距離計測値から異常値を除去して移動平均処理を行うこととした。これによれば、スポットが小さすぎることによって受ける乱反射等の影響で生じる反射率の低下を抑制しつつ、スポットが大きすぎることによって受ける干渉等の影響で生じる距離計測精度の低下を抑制することができる。したがって、容器2内に積層されたスクラップ21表面までの距離を適正に計測して容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを高精度に計測することができる。
また、以上のようにして計測・再構成した表面プロファイルは、計測高さ位置から容器2の内底面までの距離を用いて容器2内のスクラップ21表面の層高を算出するのに用いられ、高精度な層高の算出が実現できる。すなわち、計測・再構成した表面プロファイルをもとに、予め測定しておいた計測高さ位置から容器2の内底面までの距離との差分を求めることで、容器2内のスクラップ21表面の層高を精度良く求めることができる。そして、このようにして求めた層高から容器2内のスクラップ21の体積を求める。予め容器2に装入するスクラップの重量を測定する。スクラップ重量を求めた体積で除算して容器2内のスクラップ21の嵩密度を求めることが可能である。
なお、上記した実施の形態では、1つの電磁波距離計を用いて電磁波距離計測部11を構成し、計測高さ位置のアンテナ111をXY平面内で移動させて容器2の上面開口上方の全域を走査させることによって、容器2内のスクラップ21の表面全域で表面プロファイルを計測することとした。これに対し、電磁波距離計を複数用意して電磁波距離計測部11を構成し、各々のアンテナを移動させることで表面プロファイルを計測するようにしてもよい。
例えば、3つの電磁波距離計を用いて電磁波距離計測部11を構成し、3つの電磁波距離計の各々のアンテナを容器2の上面開口上方にY軸方向に並べて設置する。図6は、この場合の容器2の平面図であり、3つのアンテナから送信され、スクラップ21表面に照射される電磁波のスポットS41,S42,S43を破線で示すとともに、各アンテナの移動経路を矢印A41,A42,A43によって示している。このようにすれば、これら3つのアンテナを同時にX軸方向に沿って所定量づつ移動させながら距離計測を行うことができ、上記した実施の形態のように1つのアンテナ111を上面開口上方の全域で移動させる場合と比較して短時間でスクラップ表面プロファイルを計測することができる。
また、移動方向と垂直な方向においてスクラップ21表面が均されている場合、例えば、スクラップ21表面がY軸方向に沿って均されている場合には、必ずしもY位置をずらしながら距離計測を行う必要はない。すなわち、このような場合には、1つのY位置について計測位置をX軸方向に沿って移動させながら距離計測を行い、各X位置での距離計測値をY軸方向に補完処理することで、スクラップ21の表面全域における表面プロファイルを取得できる。
(実施例)
本実施例では、搬送周波数が24GHzである電磁波距離計を用い、アンテナ111をスロットアレイアンテナとして電磁波距離計測部11を構成した。また、スロットアレイアンテナとしたアンテナ111の指向角を3°とした。そして、図5に示した処理手順に従ってプロファイル計測処理を行い、容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを計測した。図7は、本実施例における表面プロファイルの計測結果を示す図であり、横軸を位置(具体的には、あるY位置におけるアンテナ111の初期位置からのX軸方向への移動量(mm))、縦軸を距離(m)として、そのY位置においてアンテナ111のX位置を所定量づつ移動させながら順次各計測位置で計測した距離計測値をグラフ化して示している。また、図7では、実際に計測高さ位置(アンテナ111の高さ位置)から鉛直下方のスクラップ21表面までの距離を測定し、測定した実測値のプロットを示している。図7に示すように、実施例の計測結果は、実測値と略一致することが確かめられた。
また、図8は、図7の計測結果に対して上記した移動平均処理を施した結果を示す図であり、例えば図7中に破線で囲って示す距離計測値D5のように前後の距離計測値と大きく外れた距離計測値を異常値として除去した上で移動平均処理を施した結果を、図7の実施例における計測結果とともに示している。図8に示すように、距離計測値に対して移動平均処理を施すことで、表面プロファイルを滑らかなものに再構成することができる。
また、比較のため、搬送周波数が実施例と同じ24GHzである電磁波距離計を用い、アンテナ111をホーンアンテナとして電磁波距離計測部11を構成した。また、ホーンアンテナとしたアンテナ111の指向角を11°とした。そして、比較例として、図5に示した処理手順に従ってプロファイル計測処理を行い、容器2内のスクラップ21の表面プロファイルを計測した。図9は、本比較例における表面プロファイルの計測結果を示す図であり、横軸を位置(あるY位置におけるアンテナ111の初期位置からのX軸方向への移動量(mm))、縦軸を距離(m)として、実施例と同様にそのY位置においてアンテナ111のX位置を所定量づつ移動させながら順次各計測位置で計測した距離計測値をグラフ化して示している。また、図9においても、実測値のプロットを併せて示している。図9に示すように、アンテナ111としてホーンアンテナを用いた比較例では、距離計測値が実測値と大きく異なる結果となっている。これは、ホーンアンテナの指向角(ここでは11°)では、スクラップ21上に照射されるスポットのビーム幅が広すぎてしまい、スクラップ21同士の隙間等の凹凸の大きい部分での干渉の影響を大きく受けたことによるものと考えられる。
以上のように、本発明のスクラップ表面プロファイル計測方法は、容器内に積層されたスクラップ表面までの距離を適正に計測して容器内のスクラップの表面プロファイルを高精度に計測するのに適している。
1 スクラップ表面プロファイル計測装置
11 電磁波距離計測部
111 アンテナ
12 制御部
121 入力部
123 表示部
125 記憶部
2 容器
21 スクラップ

Claims (4)

  1. 大きさの異なるスクラップが内部に積層された容器内の前記スクラップの表面プロファイルを計測するスクラップ表面プロファイル計測方法であって、
    前記容器内の前記スクラップ表面上に前記スクラップのうちの大きいスクラップのサイズと同程度または該サイズ以下の大きさのスポットが照射されるように調整されたビーム幅の電磁波を送信し、該送信した電磁波の反射波を受信することで前記スクラップ表面までの距離を計測する計測工程を含むことを特徴とするスクラップ表面プロファイル計測方法。
  2. 前記スポットのビーム幅は200mm以上でかつ800mm以下であり、前記電磁波の搬送周波数は1GHz以上でかつ100GHz以下であることを特徴とする請求項1に記載のスクラップ表面プロファイル計測方法。
  3. 前記計測工程は、前記スクラップ表面の上方で計測位置を移動させながら前記スクラップ表面までの距離を順次計測し、
    前記計測位置を移動させながら計測した一連の前記スクラップ表面までの距離の計測値から異常値を除去し、該異常値を除去した後の前記計測値をもとに移動平均処理を行う信号処理工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のスクラップ表面プロファイル計測方法。
  4. 前記信号処理工程は、前記計測位置の移動方向に沿って前記計測位置を所定距離毎の区間に分割し、該区間毎に前記計測値の最小値を代表値として抽出して、該代表値に対して移動平均処理を行うことを特徴とする請求項3に記載のスクラップ表面プロファイル計測方法。
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