JP2012136370A - 単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材及び単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材12は、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有する。表層のX線回折により、(111)結晶面、(200)結晶面、(220)結晶面及び(311)結晶面の少なくとも一つに対応した1次回折ピークが観察される。少なくとも一つの1次回折ピークから算出される平均結晶子径が、700Åより大きい。
【選択図】図1
Description
、炭化ケイ素のエピタキシャル成長プロセスの低温化を図れるという利点もある。
とができる。なお、平均結晶子径が700Åより大きい場合にケイ素溶融層への溶出が生じにくくなるのは、表層において多結晶炭化ケイ素結晶の高い反応性を有する粒界が占める割合が少なくなるためであると考えられる。
但し、
β:半値幅、
θ:回折線のブラック角、
λ:測定に用いたX線の波長、
η:結晶の不均一歪みの値、
ε:結晶子径の平均の大きさ、
である。
シード基板12は、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有する。具体的には、図3に示すように、本実施形態では、シード基板12は、黒鉛からなる支持材12bと、多結晶炭化ケイ素膜12cとを有する。黒鉛からなる支持材12bは、炭化ケイ素のエピタキシャル成長プロセスに十分に耐えることのできる高い耐熱性を有している。また、黒鉛からなる支持材12bは、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20と似通った熱膨張率を有する。従って、黒鉛からなる支持材12bを用いることにより、炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20を好適に形成することができる。
折ピークの合計強度に対する(111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度の比(((111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度)/(少なくとも一つの1次回折ピークの合計強度))は、5以上であることが好ましい。この場合、単結晶炭化ケイ素のエピタキシャル成長速度を高めることができる。これは、ケイ素溶融層への溶出が生じにくい(111)結晶面の露出割合が高まるためであると考えられる。また、この場合には、優れた特性を有する六方晶の単結晶炭化ケイ素のエピタキシャル成長膜20を形成することが可能となる。これは、(111)結晶面が六方晶の(0001)結晶面と等価であるため、(111)結晶面が多く露出している場合、六方晶の単結晶炭化ケイ素のエピタキシャル成長が好適に進行するためであると考えられる。
本実施形態においては、フィード基板11は、シード基板12よりもケイ素溶融層13への溶出が生じにくいものである限りにおいて特に限定されない。このため、フィード基板11としては、例えば、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有し、その表層のX線回折により、(111)結晶面、(200)結晶面、(220)結晶面及び(311)結晶面の少なくとも一つに対応した1次回折ピークが観察され、それら少なくとも一つの1次回折ピークから算出される平均結晶子径が、700Å以下である基板を好適に用いることができる。
iCを主成分として含むことが好ましく、実質的に多結晶3C−SiCからなることが好ましい。そうすることにより単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の成長速度を高めることができる。
かさ密度1.85g/cm3、灰分5ppm以下である高純度等方性黒鉛材料からなる黒鉛材(15mm×15mm×2mm)を基材として用いた。この基材をCVD反応装置内に入れ、CVD法により基材上に厚み30μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル1を作製した。なお、原料ガスとしては、四塩化ケイ素及びプロパンガスを用いた。成膜は、常圧、1200℃で行った。成膜速度は、30μm/hとした。
反応温度を1400℃とし、成膜速度を60μm/hとしたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル2を作製した。
反応温度を1250℃とし、成膜速度10μm/hとし、四塩化ケイ素に代えてCH3SiCl3を用いたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル3を作製した。
四塩化ケイ素及びプロパンガスに代えてジクロロシラン(SiH2Cl2)及びアセチレンを用い、反応温度を1300℃とし、成膜速度10μm/hとしたこと以外は、上記作製例1と同様にして黒鉛材の表面上に50μmの多結晶炭化ケイ素被膜を形成し、サンプル4を作製した。なお、サンプル4では、多結晶炭化ケイ素被膜の厚みは、約1mmであった。
上記作製のサンプル1〜4の表層のX線回折を行った。なお、X線回折は、リガク社製アルティマ(Ulutima)を用いて行った。測定結果を図6に示す。また、サンプル1〜4における、観察された回折ピークと、(111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度を100としたときの各結晶面に対応した回折ピークの相対強度をまとめる。
上記X線回折測定の結果に基づいて、Hallの式を用いて、サンプル1〜4のそれぞれの平均結晶子径を算出した。なお、算出には、(111)結晶面、(200)結晶面、(220)結晶面及び(311)結晶面に関する回折ピークのデータを用いた。結果を、下記の表2に示す。
次に、サンプル1〜4について、図7に示すように、サンプルを回転させながら(111)面の回折ピークが現れる角度を測定した。結果を図8〜図11に示す。なお、図8〜図11に示すグラフにおいて、横軸は、図7に示す配向角度(α)である。縦軸は強度である。
上記実施形態において説明した液相エピタキシャル成長方法により、サンプル1〜4をフィード基板として用い、下記の条件で単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20を作製した。そして、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の断面を光学顕微鏡を用いて観察することにより、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の厚みを測定した。測定された厚みを炭化ケイ素エピタキシャル成長を行った時間で除算することにより、単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜20の成長速度を求めた。
シード基板:結晶多形が4Hである炭化ケイ素基板
雰囲気の圧力:10−6〜10−4Pa
雰囲気温度:1900℃
上記作製のサンプル1をフィード基板11として用い、上記作製のサンプル3をシード基板12として用い、上記成長速度評価実験と同様の条件で単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長実験を行った。その後、シード基板12としてのサンプル3の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。サンプル3の表面のSEM写真を図14に示す。図14に示す写真より、平均結晶子径が700Åより大きく、(111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度)/(少なくとも一つの1次回折ピークの合計強度)が25であるサンプル3をシード基板12として用いることにより、六方晶である単結晶炭化ケ
イ素エピタキシャル成長膜を得ることができることが分かる。
上記作製のサンプル1をフィード基板として用い、上記作製のサンプル2をシード基板として用い、上記成長速度評価実験と同様の条件で単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長実験を行った。その後、シード基板としてのサンプル2の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。サンプル2の表面のSEM写真を図15に示す。図15に示す写真より、平均結晶子径が700Å以下であるサンプル2をシード基板として用いた場合は、ほとんどエピタキシャル成長が進行しないことが分かる。
11…フィード基板
11a…主面
11b…支持材
11c…多結晶炭化ケイ素膜
12…シード基板
12a…主面
12b…支持材
12c…多結晶炭化ケイ素膜
13…ケイ素溶融層
20…単結晶炭化ケイ素エピタキシャル成長膜
Claims (9)
- 単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法に用いられるシード材であって、
結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む表層を有し、
前記表層のX線回折により、(111)結晶面、(200)結晶面、(220)結晶面及び(311)結晶面の少なくとも一つに対応した1次回折ピークが観察され、
前記少なくとも一つの1次回折ピークから算出される平均結晶子径が、700Åより大きい、単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。 - 前記少なくとも一つの1次回折ピークの合計強度に対する前記(111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度の比(((111)結晶面に対応した1次回折ピークの強度)/(少なくとも一つの1次回折ピークの合計強度))が5以上である、請求項1に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記表層のX線回折により観察される前記(111)結晶面のうち、配向角度が67.5°以上であるものの占める割合が80%以上である、請求項1または2に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記表層は、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を主成分として含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記表層は、実質的に、結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素からなる、請求項4に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 支持材と、前記支持材の上に形成されており、前記表層を構成している多結晶炭化ケイ素膜とを備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 前記多結晶炭化ケイ素膜の厚みは、30μm〜800μmの範囲内にある、請求項6に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 結晶多形が3Cである多結晶炭化ケイ素を含む多結晶炭化ケイ素材により構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の単結晶炭化ケイ素液相エピタキシャル成長用シード材の表層と、炭化ケイ素からなる表層を有するフィード材の表層とをケイ素溶融層を介して対向させた状態で加熱することにより前記シード材の表層上に単結晶炭化ケイ素をエピタキシャル成長させる、単結晶炭化ケイ素の液相エピタキシャル成長方法。
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