以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る露光装置EXを示す概略構成図である。図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージMSTと、基板Pを保持して移動可能な基板ステージPSTと、マスクステージMSTに保持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに保持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関する情報を記憶する記憶装置MRYが接続されている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成するための液浸機構100を備えている。液浸機構100は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、投影光学系PLの像面側先端部近傍において、その投影光学系PLを囲むように設けられた環状のノズル部材70と、ノズル部材70に設けられた供給口12を介して基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、ノズル部材70に設けられた回収口22を介して基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。本実施形態において、ノズル部材70は、液体LQを供給する供給口12を有する第1ノズル部材71と、液体LQを回収する回収口22を有する第2ノズル部材72とを備えている。第1ノズル部材71と第2ノズル部材72とは別の部材である。第1ノズル部材71は、基板P(基板ステージPST)の上方において、投影光学系PLの像面側先端部近傍を囲むように環状に設けられている。第2ノズル部材72は、基板P(基板ステージPST)の上方において、第1ノズル部材71の外側を囲むように環状に設けられている。
露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子LS1と、その像面側に配置された基板P表面との間に液体LQを満たす局所液浸方式を採用し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMを通過した露光光ELを基板Pに照射することによってマスクMのパターンを基板Pに投影露光する。制御装置CONTは、液体供給機構10を使って基板P上に液体LQを所定量供給するとともに、液体回収機構20を使って基板P上の液体LQを所定量回収することで、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を局所的に形成する。
また、露光装置EXは、基板Pの表面位置に応じて、ノズル部材70の位置及び姿勢(傾き)のうち少なくともいずれか一方を調整するノズル調整機構80を備えている。ノズル調整機構80は、ノズル部材70を駆動可能な駆動機構83を備えており、ノズル部材70の下面70Aの少なくとも一部と基板P表面との間の相対距離及び相対傾斜のうち少なくとも一方を調整する。ここで、ノズル部材70の下面70Aとは、第1ノズル部材71の下面71A及び/または第2ノズル部材72の下面72Aを含むものであり、基板ステージPSTに支持された基板P表面と対向する面である。したがって、ノズル調整機構80は、下面71A、72Aの少なくとも一方と基板P表面との間の相対距離及び相対傾斜のうち少なくとも一方を調整する。なお、以下の説明においては、第1、第2ノズル部材71、72のうち基板P表面と対向する下面71A、72Aを合わせて「ノズル部材70の下面70A」と適宜称する。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。もちろん、マスクMと基板Pとを同一の走査方向に同期移動する走査型露光装置であってもよい。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
露光装置EXは、床面上に設けられたベース9と、そのベース9上に設置されたメインコラム1とを備えている。メインコラム1には、内側に向けて突出する上側段部7及び下側段部8が形成されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであって、メインコラム1の上部に固定された支持フレーム3により支持されている。
照明光学系ILは、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域を設定する視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)などが用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態においては、液体LQとして純水を用いた。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能である。マスクステージMSTは、マスクMを真空吸着(又は静電吸着)により保持する。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)45が複数設けられている。マスクステージMSTは、エアベアリング45によりマスク定盤4の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。マスクステージMST及びマスク定盤4の中央部にはマスクMのパターン像を通過させる開口部(開口部の側壁をMK1、MK2で表す)がそれぞれ形成されている。マスク定盤4は、メインコラム1の上側段部7に防振装置46を介して支持されている。すなわち、マスクステージMSTは、防振装置46及びマスク定盤4を介してメインコラム1(上側段部7)に支持された構成となっている。また、防振装置46によって、メインコラム1の振動が、マスクステージMSTを支持するマスク定盤4に伝わらないように、マスク定盤4とメインコラム1とが振動的に分離されている。
マスクステージMSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含むマスクステージ駆動機構MSTDの駆動により、マスクMを保持した状態で、マスク定盤4上において、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。マスクステージMSTは、X軸方向に指定された走査速度で移動可能となっており、マスクMの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができるだけのX軸方向の移動ストロークを有している。
マスクステージMST上には移動鏡41が設けられている。また、移動鏡41に対向する位置にはレーザ干渉計42が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計42によりリアルタイムで計測される。レーザ干渉計42の計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計42の計測結果に基づいてマスクステージ駆動機構MSTDを駆動し、マスクステージMSTに保持されているマスクMの位置制御を行う。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子LS1を含む複数の光学素子で構成されており、それら光学素子は鏡筒PKで保持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは、反射素子を含まない屈折系、屈折素子を含まない反射系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。
投影光学系PLを保持する鏡筒PKの外周にはフランジPFが設けられており、投影光学系PLはこのフランジPFを介して鏡筒定盤5に支持されている。鏡筒定盤5は、メインコラム1の下側段部8に防振装置47を介して支持されている。すなわち、投影光学系PLは、防振装置47及び鏡筒定盤5を介してメインコラム1(下側段部8)に支持された構成となっている。また、防振装置47によって、メインコラム1の振動が、投影光学系PLを支持する鏡筒定盤5に伝わらないように、鏡筒定盤5とメインコラム1とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、基板Pを保持する基板ホルダPHを支持して移動可能である。
基板ホルダPHは、例えば真空吸着等により基板Pを保持する。基板ステージPST上には凹部50が設けられており、基板Pを保持するための基板ホルダPHは凹部50に配置されている。そして、基板ステージPSTのうち凹部50以外の上面51は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。
基板ステージPSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)48が複数設けられている。基板ステージPSTは、エアベアリング48により基板定盤6の上面(ガイド面)に対して非接触支持されている。基板定盤6は、ベース9上に防振装置49を介して支持されている。また、防振装置49によって、ベース9(床面)やメインコラム1の振動が、基板ステージPSTを支持する基板定盤6に伝わらないように、基板定盤6とメインコラム1及びベース9(床面)とが振動的に分離されている。
基板ステージPSTは、制御装置CONTにより制御されるリニアモータ等を含む基板ステージ駆動機構PSTDの駆動により、基板Pを基板ホルダPHに保持した状態で、基板定盤6上において、XY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。
更に基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能である。したがって、基板ステージPSTに支持された基板Pの表面は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6自由度の方向に移動可能である。
基板ステージPSTの側面には移動鏡43が設けられている。また、移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計44によりリアルタイムで計測される。
また、露光装置EXは、例えば特開平8−37149号公報に開示されているような、基板ステージPSTに支持されている基板P表面の面位置情報を検出する斜入射方式のフォーカス・レベリング検出系30を備えている。フォーカス・レベリング検出系30は、基板P表面に液体LQを介して検出光Laを照射する投光系31と、基板P表面に照射された検出光Laの反射光を受光する受光系32とを備えている。フォーカス・レベリング検出系30は、基板P表面の面位置情報(Z軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報)を検出する。なお、フォーカス・レベリング検出系は、基板P表面に液体LQを介さずに検出光Laを照射する方式のものを採用してもよいし、静電容量型センサを使った方式のものを採用してもよい。
レーザ干渉計44の計測結果は制御装置CONTに出力される。フォーカス・レベリング検出系30の検出結果も制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、基板ステージ駆動機構PSTDを駆動し、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角(θX、θY)を制御して基板P表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、レーザ干渉計44の計測結果に基づいて、基板PのX軸方向、Y軸方向、及びθZ方向における位置制御を行う。
液浸機構100の液体供給機構10は、液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。供給管13の他端部は第1ノズル部材71に接続されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、加圧ポンプ、供給する液体LQの温度を調整する温調装置、及び液体LQ中の異物(気泡を含む)を除去するフィルタユニット等を備えている。液体供給部11の動作は制御装置CONTにより制御される。
なお、タンク、加圧ポンプ、温調装置、フィルタユニット等の全てを露光装置EXの液体供給機構10が備えている必要はなく、それらの少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場などの設備で代替してもよい。
液浸機構100の液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部は第2ノズル部材72に接続されている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。液体回収部21の動作は制御装置CONTにより制御される。
なお、真空系、気液分離器、タンク等の全てを露光装置EXの液体回収機構20が備えている必要はなく、それらの少なくとも一部を露光装置EXが設置される工場などの設備で代替することもできる。
図2は投影光学系PLの像面側先端部近傍を示す側断面図である。なお図2においては、投影光学系PLを構成する光学素子として3つの光学素子LS1〜LS3が示されているが、実際には投影光学系PLは3つ以上の複数の光学素子によって構成されている。投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち投影光学系PLの像面側先端部に設けられた光学素子LS1は、レンズ作用を有しない無屈折力の光学素子であって、平行平面板である。すなわち、光学素子LS1の下面T1及び上面T2のそれぞれは略平面であり、且つ、互いに略平行である。なお、光学素子LS1としては、その上面T2が投影光学系PLの物体面側(マスクM側)に向かって膨らむように形成され、屈折力を有した光学素子であってもよい。
光学素子LS1の上面T2の外径は下面T1の外径よりも大きく形成されており、光学素子LS1の上面T2近傍にはフランジ部F1が形成されている。鏡筒PKは光学素子LS1の外側面C1を取り囲むように設けられており、鏡筒PKの内側には、光学素子LS1のフランジ部F1を支持する支持部PKFが設けられている。そして、鏡筒PKの下面TKと、鏡筒PKに支持(保持)された光学素子LS1の下面T1とはほぼ面一となっている。
鏡筒PKの内側面PKSと光学素子LS1の外側面C1との間には所定の隙間(ギャップ)G1が設けられている。ギャップG1にはシール部材60が設けられている。シール部材60は、液浸領域AR2の液体LQがギャップG1に浸入することを抑制するとともに、ギャップG1に存在する気体が液浸領域AR2の液体LQに混入することを抑制するものである。ギャップG1に液体LQが浸入すると、光学素子LS1の外側面C1に対して力を作用する可能性があり、その力によって光学素子LS1が振動したり変形したりする可能性がある。また、ギャップG1に存在する気体が液浸領域AR2の液体LQに混入し、混入した気体(気泡)が露光光ELの光路上に浸入する可能性がある。本実施形態においては、鏡筒PKの内側面PKSと光学素子LS1の外側面C1との間のギャップG1にはシール部材60が設けられているので、上述の不都合の発生を防止できる。
本実施形態においては、シール部材60は断面がV形のVリングであり、Vリングの本体部が鏡筒PKの内側面PKSに保持されている。また、Vリングのうち可撓性を有する先端部が光学素子LS1の外側面C1に接触している。なお、シール部材60は、ギャップG1への液浸領域AR2の液体LQの浸入、及びギャップG1に存在する気体の液浸領域AR2への混入を抑制でき、光学素子LS1への応力が小さいものであれば、例えばOリング、Cリングなど、種々のシール部材を使用することができる。
ノズル部材70は、投影光学系PLの像面側先端部近傍において、その投影光学系PLを囲むように環状に形成されており、投影光学系PLの光学素子LS1を囲むように配置された第1ノズル部材71と、その第1ノズル部材71の外側を囲むように配置された第2ノズル部材72とを備えている。第1ノズル部材71は、投影光学系PLを構成する光学素子を保持する鏡筒PKに支持されている。第1ノズル部材71は、環状部材であって、鏡筒PKの外側面PKCに接続されている。そして、鏡筒PKの外側面PKCと第1ノズル部材71の内側面71Sとの間には隙間(ギャップ)が無い。すなわち、鏡筒PKと第1ノズル部材71とは隙間無く接合されており、ほぼ一体となっている。したがって、液浸領域AR2の液体LQが、鏡筒PKの外側面PKCと第1ノズル部材71の内側面71Sとの間には浸入しない。また、鏡筒PKの外側面PKCと第1ノズル部材71の内側面71Sとの間の隙間に起因して液浸領域AR2の液体LQに気体が混入することも防止できる。
第2ノズル部材72は、支持機構81を介してメインコラム1の下側段部8に支持されている。支持機構81は、連結部材82と、連結部材82の一端部(上端部)と下側段部8との間に設けられた駆動機構83とを備えており、連結部材82の他端部(下端部)は第2ノズル部材72の上面に接続(固定)されている。支持機構81は、駆動機構83を駆動することにより、メインコラム1の下側段部8に対して第2ノズル部材72を移動可能である。また、不図示ではあるが、支持機構81は、第2ノズル部材72で発生した振動がメインコラム1の下側段部8に伝わらないように防振するパッシブ防振機構も備えている。パッシブ防振機構は、連結部材82とメインコラム1の下側段部8との間に設けられ、空気バネ(例えばエアシリンダやエアベローズ)等によって構成されており、気体(空気)の弾性作用によって第2ノズル部材72の振動がメインコラム1に伝わらないように防振する。なお、パッシブ防振機構はコイルバネを含むものであってもよい。第2ノズル部材72も、第1ノズル部材71と同様、環状部材であって、第1ノズル部材71の外側面71Cを取り囲むように設けられている。そして、鏡筒PKに接続された第1ノズル部材71の外側面71Cと、支持機構81に支持された第2ノズル部材72の内側面72Sとの間には所定の隙間(ギャップ)G2が設けられている。このため、第1ノズル部材71と第2のズル部材72は直接接続されておらず、振動的に分離されている。
第1、第2ノズル部材71、72のそれぞれは、基板P表面(基板ステージPST上面)と対向する下面71A、72Aを有している。鏡筒PKに接続された第1ノズル部材71の下面71Aと、支持機構81に支持された第2ノズル部材72の下面72Aとはほぼ面一である。また、第1、第2ノズル部材71、72の下面71A、72Aと、光学素子LS1の下面T1とはほぼ面一である。したがって、本実施形態においては、第1ノズル部材71の下面71Aと、第2ノズル部材72の下面72Aと、鏡筒PKの下面TKと、光学素子LS1の下面T1とがほぼ面一となっている。
基板P上に液体LQを供給する供給口12は、第1ノズル部材71の下面71Aに設けられている。また、基板P上の液体LQを回収する回収口22は、第2ノズル部材72の下面72Aに設けられている。供給口12は、第1ノズル部材71の下面71Aにおいて、投影光学系PLの光軸AXを囲むように複数設けられている(図3参照)。また、回収口22は、第2ノズル部材72の下面72Aにおいて、第1ノズル部材71の下面71Aに設けられた供給口12よりも投影光学系PLの光軸AXに対して外側に離れて設けられている。回収口22は、第2ノズル部材72の下面72Aにおいて、投影光学系PLの光軸AXを囲むように、例えば環状のスリット状に形成されている(図3参照)。また本実施形態においては、回収口22には多孔部材(メッシュ部材)22Pが配置されている。
第1ノズル部材71の内部には、複数の供給口12のそれぞれと供給管13とを接続する内部流路14が設けられている。第1ノズル部材71に形成された内部流路14は、複数の供給口12のそれぞれに接続可能なように途中から分岐している。また、第2ノズル部材72の内部には、環状の回収口22と回収管23とを接続する内部流路24が設けられている(図2参照)。内部流路24は、環状の回収口22に対応するように環状に形成され、その回収口22に接続した環状流路と、その環状流路の一部と回収管23とを接続するマニホールド流路とを備えている。基板P上に液体LQを供給するときには、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13、及び第1ノズル部材71の内部流路14を介して、基板Pの上方に設けられている供給口12より基板P上に液体LQを供給する。基板P上の液体LQを回収するときには、制御装置CONTは液体回収部21を駆動する。液体回収部21が駆動することにより、基板P上の液体LQは、基板Pの上方に設けられた回収口22を介して第2ノズル部材72の内部流路24に流入し、回収管23を介して液体回収部21に回収される。
制御装置CONTは、液体LQの液浸領域AR2を形成する際、液浸機構100の液体供給機構10及び液体回収機構20を使って基板P上に対する液体LQの供給及び回収を行う。液体LQは、ノズル部材70の下面70A(71A、72A)及び投影光学系PLの光学素子LS1の下面T1と、基板P表面との間に満たされて液浸領域AR2を形成する。
図3は、ノズル部材70を下側から見た図である。図3に示すように、第2ノズル部材72を支持する支持機構81は、3つの連結部材82と、それら連結部材82に対応して設けられた3つの駆動機構83とを備えている。連結部材82のそれぞれは、第2ノズル部材72の周方向(θZ方向)に沿ってほぼ等間隔(120°間隔)で配置されている。
連結部材82のそれぞれの下端部は、第2ノズル部材72の上面の3つの所定位置のそれぞれに固定されている。駆動機構83は、3つの連結部材82の上端部のそれぞれとメインコラム1の下側段部8との間に設けられている。すなわち、本実施形態においては、駆動機構83もほぼ等間隔(120°間隔)で3つ設けられている。また、上述のパッシブ防振機構も連結部材82に対応するように3つ設けられている。駆動機構83は、例えばローレンツ力で駆動するボイスコイルモータやリニアモータ等によって構成されている。
ローレンツ力で駆動するボイスコイルモータ等はコイル部とマグネット部とを有し、それらコイル部とマグネット部とは非接触状態で駆動する。そのため、駆動機構83を、ボイスコイルモータ等のローレンツ力で駆動する駆動機構によって構成することで、振動の発生を抑制することができる。
駆動機構83の動作は制御装置CONTに制御される。制御装置CONTは、3つの駆動機構83を使って、連結部材82に接続されている第2ノズル部材72を、メインコラム1の下側段部8に対して駆動する(変位または移動させる)。すなわち、制御装置CONTは、複数の駆動機構83のそれぞれの駆動量を調整することで、連結部材82に接続されている第2ノズル部材72の位置及び姿勢(傾き)のうち少なくともいずれか一方を調整する。本実施形態においては、駆動機構83は3つ設けられており、制御装置CONTは、複数の駆動機構83のそれぞれの駆動量を調整することで、第2ノズル部材72を、θX方向、θY方向、及びZ軸方向の3自由度の方向に関して駆動することができる。
そして、制御装置CONTは、基板P表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、第2ノズル部材72の位置及び姿勢のうち少なくともいずれか一方を調整する。
なおここでは、ノズル調整機構80は3つの駆動機構83を有しているが、駆動機構83の数及び位置は任意に設定可能である。例えば駆動機構83を6つ設け、第2ノズル部材72が、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関して駆動(変位または移動)されるようにしてもよい。このように、駆動機構83の数及び位置は、第2ノズル部材72を駆動したい自由度の数に応じて適宜設定すればよい。
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに投影することによって基板Pを露光する方法について説明する。
基板ホルダPHに基板Pがロードされた後、制御装置CONTは、液浸機構100の液体供給機構10及び液体回収機構20を使って基板P上に対する液体LQの供給及び回収を行う。液浸機構100による液体供給動作及び液体回収動作によって、ノズル部材70の下面70A及び投影光学系PLの下面T1と基板P表面との間に液体LQが満たされ、基板P上には液体LQの液浸領域AR2が局所的に形成される。
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影するものであって、基板PはX軸方向に移動しながら走査露光される。走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
各ショット領域の走査露光中においては、基板Pの面位置情報(Z方向の位置情報及び傾斜情報)がフォーカス・レベリング検出系30によって検出される。制御装置CONTは、基板Pの走査露光中に、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、基板P表面と投影光学系PLの像面との位置関係を調整する。具体的には、制御装置CONTは、基板P表面と投影光学系PL及び液体LQを介して形成される像面とを合致させるように、基板ステージ駆動機構PSTDを介して基板ステージPSTを駆動して、その基板ステージPSTに支持されている基板Pの面位置(Z位置、θX、θY)を調整する。なお、基板Pと投影光学系PLの像面との位置関係を調整する調整機構としては、基板P表面の面位置を調整する基板ステージPST(基板ステージ駆動機構PSTD)のみならず、例えば特開昭60−78454号公報に開示されているような、投影光学系PLに設けられている結像特性調整装置であってもよい。結像特性調整装置は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち特定の光学素子を駆動したり、鏡筒PK内部の圧力調整を行うことで、投影光学系PLの像面位置を調整可能である。したがって、制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、結像特性調整装置を駆動することで、基板P表面と投影光学系PLの像面との位置関係を調整し、投影光学系PLの像面と基板P表面とを合致させることができる。また、基板ステージPSTの駆動と結像特性調整装置の駆動とを併用して、基板P表面と投影光学系PLの像面とを合致させるようにしてもよい。
また、制御装置CONTは、基板Pの面位置(Z位置、θX、θY)に応じて、第2ノズル部材72の位置及び姿勢(Z位置、θX、θY)の少なくとも一方を調整する。具体的には、制御装置CONTは、基板P表面の面位置情報、すなわちフォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整して、第2ノズル部材72の環状の下面72Aと基板P表面と相対距離及び相対傾斜のうち少なくとも一方を所望状態に維持するように調整する。
第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離又は相対傾斜が変動すると、液体LQを良好に保持できず、液浸領域AR2の液体LQが流出したり、液浸領域AR2へ気泡が混入する可能性がある。制御装置CONTは、基板Pの走査露光中において、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離及び相対傾斜をほぼ一定に維持するように、駆動機構83を駆動して、第2ノズル部材72の位置と姿勢の少なくとも一方を調整する。これにより、第2ノズル部材72の下面72Aと基板Pとの間に液体LQを良好に保持して、液浸領域AR2の液体LQが流出したり、液浸領域AR2へ気泡が混入するなどといった不都合の発生を防止することができる。
本実施形態においては、制御装置CONTは、基板P表面と第2ノズル部材72の下面72Aとの距離をL1(ほぼ1mm)で、且つ基板P表面と下面72Aとがほぼ平行となるように第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整する。すなわち、図4(A)に示す模式図のように、基板Pの走査露光中において、投影光学系PLの像面と基板P表面とを合致させるために、基板P表面のZ軸方向の位置が変動した場合には、制御装置CONTは、駆動機構83によって第2ノズル部材72のZ軸方向に関する位置を変え、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離を所定距離L1に維持する。また、図4(B)、図4(C)に示すように、基板P表面がθX方向又はθY方向に傾斜した場合には、制御装置CONTは、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離を所定距離L1に維持しつつ、駆動機構83によって第2ノズル部材72のθX方向又はθY方向に関する位置(第2ノズル部材72の傾き)を変え、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対傾斜をほぼ平行に維持する。すなわち、制御装置CONTは、基板Pの表面位置の変化に応じて、駆動機構83を駆動し、第2ノズル部材72の下面72Aを、基板P表面の法線方向、及び傾斜方向に移動させる。なお、本実施形態においては、第2のズル部材72の初期位置及び初期傾きは、基板Pの基準面位置(設計値)との関係で、それぞれ予め所定の値に設定されており、駆動機構83はその設定された初期値を基準として第2ノズル部材72を変位させて、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離を所定距離L1を維持するとともに、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との平行を維持する。
このように、制御装置CONTは、基板Pの走査露光中において、基板Pの面位置の変化に追従するように、第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整することにより、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との相対距離及び相対傾斜を一定に維持することができる。
また、本実施形態においては、ノズル部材70の下面70A(71A、72A)と、鏡筒PKの下面TKと、投影光学系PL(光学素子LS1)の下面T1とがほぼ面一となっている。したがって、液浸領域AR2は、ノズル部材70の下面70A及び投影光学系PLの下面T1と基板Pとの間に良好に形成される。ただし、下面71A、下面72A、下面TK、及び下面T1は、必ずしも面一になっている必要はなく、液浸領域AR2が良好に維持できるように各下面のZ方向の位置を設定することができる。なお、液浸領域AR2の液体LQと接触する液体接触面であるノズル部材70の下面70Aや投影光学系PLの下面T1、鏡筒PKの下面TKを液体LQに対して親液性にしておくことで、液浸領域AR2を更に良好に所望状態に維持することができる。また、基板Pの周囲には基板P表面とほぼ面一の上面51が設けられており、基板Pのエッジ部の外側には段差部がほぼ無い状態となっている。したがって、基板P表面のエッジ領域を液浸露光するとき等において、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、基板Pのエッジ部とその基板Pの周囲に設けられた平坦面(上面)51との間には0.1〜1mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが浸入することは殆ど無い。なお、上面51を液体LQに対して撥液性にしておくことで、液浸領域AR2の一部が上面51上に配置された場合(即ち、液浸領域AR2を形成する液体LQが、基板Pと基板ステージPSTの上面51とノズル部材の下面70Aと投影光学系PLの下面T1の間に保持される場合)であっても、基板ステージPST外側への液体LQの流出を抑制することができ、上面51上に液体LQが残留する等の不都合も防止できる。
本実施形態においては、液体回収機構20は、液体回収部21に設けられた真空系を駆動することで、回収口22を介して液体LQを回収する。その場合、液体LQは周囲の気体とともに回収口22を介して回収される可能性がある。そのため、回収口22を有する第2ノズル部材72は、第1ノズル部材71に比べて振動が発生しやすい可能性がある。
ところが、第1ノズル部材71と第2ノズル部材72との間にはギャップG2が設けられているので、第2ノズル部材72で発生した振動が、第1ノズル部材71及びその第1ノズル部材71に接続されている鏡筒PK(投影光学系PL)に直接的に伝達されることはない。
また、第2ノズル部材72は、パッシブ防振機構を含む支持機構81によってメインコラム1(下側段部8)に支持されているので、第2ノズル部材72で発生した振動が、メインコラム1に伝わることも抑制されている。
また、第2ノズル部材72を支持機構81を介して支持しているメインコラム1と、投影光学系PLの鏡筒PKをフランジPFを介して支持している鏡筒定盤5とは、防振装置47を介して振動的に分離されている。したがって、支持機構81のパッシブ防振機構と防振装置47とのそれぞれの機能によって、第2ノズル部材72で発生した振動が投影光学系PLに伝達されることが防止されている。また、メインコラム1と、基板ステージPSTを支持している基板定盤6とは、防振装置49を介して振動的に分離している。したがって、第2ノズル部材72で発生した振動が、メインコラム1及びベース9を介して基板ステージPSTに伝達されることも防止されている。また、メインコラム1と、マスクステージMSTを支持しているマスク定盤4とは、防振装置46を介して振動的に分離されている。したがって、第2ノズル部材72で発生した振動がメインコラム1を介してマスクステージMSTに伝達されることも防止されている。
一方、第1ノズル部材71は、回収口を有しておらず、液体LQを供給する供給口12のみを有しており、供給口12を介して液体LQを供給するときには、露光精度に影響を及ぼすほどの振動が発生する可能性は小さい。したがって、第1ノズル部材71が投影光学系PLの鏡筒PKに接続されていても、第1ノズル部材71に起因して露光精度に影響を及ぼすほどの振動が投影光学系PL(鏡筒PK)に生じる可能性は低く、露光精度は維持される。
また、ギャップG2は、第2ノズル部材72が駆動機構83によって駆動されても、第2ノズル部材72と第1ノズル部材71とが当たらない(干渉しない)程度の距離を有している。したがって、駆動機構83による第2ノズル部材72の駆動は妨げられない。なお、第2ノズル部材72の駆動を妨げないように、第2ノズル部材72に接続される回収管23の少なくとも一部は、伸縮可能で可撓性を有するチューブなどによって構成されていることが好ましい。
また、走査露光のための基板Pの移動に伴って、投影光学系PLの下面T1及びノズル部材70の下面70Aと基板Pとの間の液浸領域AR2の液体LQが、移動する基板Pに引っ張られるように移動する可能性がある。例えば図5に示すように、基板Pの+X方向への移動に伴って、液浸領域AR2の液体LQの一部が+X方向に移動する可能性がある。ところが、第1ノズル部材71と第2ノズル部材72との間にはギャップG2が形成されており、そのギャップG2の上端部は大気開放されているので、液体LQはギャップG2に出入りすることができる。したがって、ノズル部材70の大きさ(径)が小さくても、回収口22の外側への液体LQの流出を抑えることができる。
また、ギャップG2に存在する気体が液浸領域AR2の液体LQに混入する可能性が考えられるが、ギャップG2は、露光光ELの光路(投影領域AR1)に対して、供給口12よりも外側に設けられており、供給口12から供給された液体LQの一部は、供給口12よりも外側へ向かう液体の流れを形成している(図5中、矢印y1参照)。したがって、ギャップG2から液浸領域AR2の液体LQ中に気泡が混入しても、供給口12より供給された液体LQの一部の流れによって、その混入した気泡は露光光ELの光路に対して遠ざかるように移動する。そのため、混入した気体(気泡)が露光光ELの光路に浸入して基板P上へのマスクMのパターンの転写精度が劣化するといった不都合の発生を防止することができる。
以上説明したように、ノズル部材70の下面70Aと基板P表面との間に液体LQを保持することによって液浸領域AR2を形成した場合、基板Pの面位置に応じてノズル部材70の位置及び姿勢のうち少なくともいずれか一方を調整することで、ノズル部材70と基板Pとの位置関係を所望状態に維持することができる。したがって、走査露光中において基板Pの面位置が変化しても、液体LQはノズル部材70と基板Pとの間に良好に保持され、ひいては投影光学系PLと基板Pとの間にも良好に保持される。したがって、基板Pの外側への液体LQの流出や液体LQ中への気泡の混入が抑制され、露光装置EXは露光処理を精度良く行うことができる。
特に、本実施形態においては、第1、第2ノズル部材71、72のうち、回収口22を有する第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方が調整されるので、基板Pの面位置の変化に追従しながら、第2ノズル部材72の回収口22を介して液体LQを良好に回収することができる。したがって、基板Pの走査露光中においても、液体回収機構20は液体LQを良好に回収することができる。なお、第1ノズル部材71を鏡筒PKに接続せずに、第2ノズル部材72と同様に駆動機構を有する支持機構を介してメインコラム1の下側段部に支持し、第1ノズル部材71の位置及び姿勢(Z方向の位置及び傾斜)の少なくとも一方を、第2ノズル部材72とは独立して、基板Pの面位置に応じて調整するようにしてもよい。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
第2の実施形態の特徴的な部分は、ノズル部材70は1つの部材によって構成されており、ノズル部材70の下面70Aに、液体LQを供給する供給口12と液体LQを回収する回収口22とのそれぞれが設けられている点にある。図6において、ノズル部材70は、投影光学系PLを囲むように形成された環状部材であって、投影光学系PLの鏡筒PKの外側面PKCとノズル部材70の内側面70Sとの間には所定のギャップG3が設けられている。このギャップG3によって、液体LQの供給や回収に伴ってノズル部材70に振動が発生しても、その振動が投影光学系PLに直接的に伝達されることが防止されている。そして、そのノズル部材70が駆動機構83を有する支持機構81を介してメインコラム1の下側段部8に支持されている。基板Pを走査露光する際には、制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果に基づいて、ノズル部材70の位置及び姿勢のうち少なくともいずれか一方を調整する。このように、ノズル部材70が1つの部材によって構成されている場合においても、基板Pの面位置に応じて、ノズル部材70の位置及び姿勢のうち少なくともいずれか一方を調整することで、液体LQの流出や、液浸領域AR2への気泡の混入を防止することができる。
<第3の実施形態>
次に、図7を参照しながら本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の第1の実施形態との違い、すなわち、第3の実施形態の特徴的な部分は、液体LQを供給する供給口12が鏡筒PKの下面TKに設けられており、その供給口12と供給管13とを接続する内部流路14が鏡筒PK内部に設けられている点にある。すなわち、本実施形態においては、投影光学系PLを構成する光学素子LS1を保持する鏡筒PKに、液体LQを供給するための第1ノズル部材が含まれている。そして、その供給口12を有する鏡筒PKを囲むように第2ノズル部材72が設けられている。第2ノズル部材72はその下面72Aに回収口22を有しており、支持機構81を介してメインコラム1の下側段部8に支持されている。第2ノズル部材72は、投影光学系PLを囲むように形成された環状部材であって、投影光学系PLの鏡筒PKの外側面PKCと第2ノズル部材72の内側面72Sとの間には所定のギャップG4が設けられている。このギャップG4によって、回収口22を介して液体LQを回収したことに伴って第2ノズル部材72に振動が発生しても、その振動が投影光学系PLに直接的に伝達されることが防止されている。一方、上述したように、供給口12を介して基板P上に液体LQを供給するときの振動は小さいため、供給口12が鏡筒PKに形成されていても、露光精度に影響を及ぼすほどの振動が液体LQの供給に起因して鏡筒PKに発生することは殆ど無い。また、供給口12を鏡筒PKに設けたことにより、液浸領域AR2の大きさを小さくすることができる。そして、液浸領域AR2の小型化に伴って、基板ステージPSTの移動ストロークを短くすることができ、ひいては露光装置EX全体の小型化を図ることができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について図8を参照しながら説明する。第4の実施形態の第1の実施形態との違い、すなわち、第4の実施形態の特徴的な部分は、露光装置EXは、ノズル部材70(第2ノズル部材72)と基板ステージPSTとの相対的な位置関係を検出する検出器110を備えた点にある。そして、制御装置CONTは、検出器110の検出結果に基づいて、第2ノズル部材72の位置及び姿勢のうち少なくともいずれか一方を調整する。
検出器110は、基板ステージPSTと第2ノズル部材72とのX軸方向に関する位置関係を計測するX干渉計111と、基板ステージPSTと第2ノズル部材72とのY軸方向に関する位置関係を計測するY干渉計112(但し、図8には図示されていない)と、基板ステージPSTと第2ノズル部材72とのZ軸方向に関する位置関係を計測するZ干渉計113とを備えている。これら各干渉計111〜113は基板ステージPSTのうち露光処理を妨げない所定位置に設けられている。図8においては、各干渉計111〜113は基板ステージPSTの側面に設けられている。
検出器110は複数(2つ)のX干渉計111(111A、111B)を備えている。
具体的には、検出器110は、基板ステージPSTの側面においてY軸方向に並んで設けられた2つのX干渉計111A、111Bを備えている。また、第2ノズル部材72の側面には、X干渉計111A、111Bのそれぞれに対応する反射面114(114A、114B)が設けられている。X干渉計111の計測ビームは反射ミラーを介して反射面114に照射されるようになっている。制御装置CONTは、X干渉計111A、111Bのうち少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて、基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72のX軸方向に関する位置を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のX干渉計111A、111Bのそれぞれの計測結果に基づいて、基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72のθZ方向に関する位置を求めることができる。
また、検出器110はY干渉計を1つ備えている(図8には図示されていない)。具体的には、検出器110は、基板ステージPSTの側面に設けられたY干渉計を備えている。また、第2ノズル部材72の側面には、Y干渉計に対応する反射面が設けられている。
制御装置CONTは、Y干渉計の計測結果に基づいて、基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72のY軸方向に関する位置を求めることができる。
また、検出器100は複数(3つ)のZ干渉計113を備えている。具体的には、検出器110は、基板ステージPSTの側面においてX軸方向に並んで設けられたZ干渉計113A、113Bと、そのZ干渉計113Bに対してY軸方向に関して並ぶ位置に設けられたZ干渉計113C(但し、図8には図示されていない)とを備えている。また、第2ノズル部材72の側面には、Z干渉計113A、113B、113Cのそれぞれに対応する反射面116(116A、116B、116C)が設けられている。Z干渉計113の計測ビームは反射ミラーを介して反射面116に照射される。制御装置CONTは、Z干渉計113A、113B、113Cのうち少なくともいずれか一つの計測結果に基づいて、基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72のZ軸方向に関する位置を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のZ干渉計113A、113B、113Cのうち少なくともいずれか2つの計測結果に基づいて、基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72のθX方向及びθY方向に関する位置、すなわち基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72の傾きを求めることができる。
このように、制御装置CONTは、複数の干渉計111〜113の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72の位置を求めることができる。
なお、X干渉計、Y干渉計、及びZ干渉計の数及び配置は任意に設定可能である。例えばX干渉計を1つとし、Y干渉計を2つ設けてもよい。要は、複数の干渉計を用いて第2ノズル部材72の6自由度(少なくともZ位置、θX、θY)の方向に関する位置を計測可能なように構成されていればよい。また、検出器110としては、干渉計に限られず、例えば静電容量センサ、エンコーダ等、他の構成を有する位置計測器を用いることも可能である。
各干渉計111〜113と制御装置CONTとは接続されており、各干渉計111〜113の計測結果は、制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、複数の干渉計111〜113の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する基板ステージPSTに対する第2ノズル部材72の位置を求めることができる。制御装置CONTは、求めた位置情報に基づいて、基板Pの走査露光中に、駆動機構83を駆動して、基板ステージPSTと第2ノズル部材72との位置関係を調整する。ここで、制御装置CONTに接続されている記憶装置MRYには、基板ステージPSTと第2ノズル部材72との最適な位置関係に関する情報が予め記憶されている。
制御装置CONTは、検出器100の検出結果に基づいて、基板ステージPSTと第2ノズル部材72との最適な位置関係を維持するように、記憶装置MRYに記憶されている記憶情報に基づいて、基板Pの走査露光中に、第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整する。
なお、第4の実施形態においては、制御装置CONTの記憶装置MRYには、基板P表面と第2ノズル部材72の下面72Aとの距離をL1(ほぼ1mm)、且つ基板P表面と下面72Aとをほぼ平行にするための情報が記憶されている。
このように、制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果によらずに、検出器110で検出した基板ステージPSTの位置情報に基づいて、第2ノズル部材72(ノズル部材70)の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整して、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との位置関係を所望状態に維持することができる。
なお、フォーカス・レベリング検出系30の検出結果と検出器110の検出結果とに基づいて、第2ノズル部材72(ノズル部材70)の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整して、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との位置関係を所望状態に維持するようにしてもよい。
また、上述の第2実施形態の露光装置EXに本実施形態の検出器110を設けて、ノズル部材70の位置及び傾きの少なくとも一方を調整するようにしてもよいし、上述の第3実施形態の露光装置EXに本実施形態の検出器110を設けて第2ノズル部材72の位置及び傾きの少なくとも一方を調整するようにしてもよい。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について図9を参照しながら説明する。第5の実施形態の特徴的な部分は、ノズル部材70の下面70Aと基板P表面との相対距離及び相対傾斜の少なくとも一方を所定状態に維持するためのノズル調整機構80’が、液浸領域AR2よりも外側の基板P表面に気体を吹き付ける吹出口151を有する気体吹出機構150を含んでいる点にある。
図9において、液体LQを供給する供給口12を有する第1ノズル部材71は投影光学系PLの鏡筒PKに隙間無く接続され、液体LQを回収する回収口22を有する第2ノズル部材72は支持機構81’を介してメインコラム1の下側段部8に支持されている。支持機構81’は、連結部材82と、連結部材82の上端部と下側段部8との間に設けられたパッシブ防振機構84とを備えている。パッシブ防振機構84は、例えば空気バネやコイルバネを含んで構成されている。すなわち、本実施形態における支持機構81’は、アクチュエータを含む駆動機構83を有していない。そして、連結部材82の下端部と第2ノズル部材72の上面とが接続されている。
第2ノズル部材72の外側面72Cには、接続部材153を介して、基板P表面と対向する下面152Aを有する吹出部材152が接続されている。吹出部材152の下面152Aはノズル部材70の下面70A(71A、72A)とほぼ面一である。吹出部材152の下面152Aには、基板P表面に気体を吹き付ける吹出口151が設けられている。
気体吹出機構150は気体供給部155を有しており、気体供給部155から供給された気体は、供給管154を介して、吹出口151より吹き出る。上述した実施形態同様、液浸機構100は、液体LQの液浸領域AR2を基板P上に局所的に形成するが、気体吹出機構150の吹出口151は、液浸機構100によって形成される液浸領域AR2よりも外側の基板P表面に気体を吹き付ける。気体吹出機構150の吹出口151は、液浸領域AR2のエッジ部近傍に気体を吹き出すように設けられている。
図10は、第2ノズル部材72の外側に接続された吹出部材152と基板Pとの関係を模式的に示した平面図である。図10に示すように、接続部材153は3つ設けられ、接続部材153のそれぞれは、第2ノズル部材72の周方向(θZ方向)に沿ってほぼ等間隔(120°間隔)で配置されている。その接続部材153に接続された吹出部材152もほぼ等間隔(120°間隔)で3つ設けられており、第2ノズル部材72を囲むように配置されている。したがって、吹出部材152の下面152Aに設けられた吹出口151は、第2ノズル部材72を囲むように複数設けられている。複数の吹出口151のそれぞれから吹き出される単位時間あたりの気体供給量(気体吹き出し量)はほぼ同じ値に設定されている。
ノズル調整機構80’は、気体吹出機構150の吹出部材152に設けられた吹出口151より基板P表面に向かって吹き付ける気体の力によって、吹出部材152に接続部材153を介して接続されている第2ノズル部材72を、基板Pに対して浮上するように支持する。基板Pに対して浮上支持される第2ノズル部材72は、基板P表面との間の相対距離及び相対傾斜を維持される。したがって、基板Pの走査露光中において、基板Pの面位置が変化した場合、気体吹出機構150を含むノズル調整機構80’は、基板Pに対して浮上支持されている第2ノズル部材72の位置及び姿勢の少なくとも一方を、基板Pの面位置の変化に追従させることができる。第2ノズル部材72に連結された連結部材82とメインコラム1の下側段部8との間には、空気バネやコイルバネを含むパッシブ防振機構84が設けられている。したがって、第2ノズル部材72は、パッシブ防振機構84によって、メインコラム1の下側段部8に対して揺動可能となっている。そのため、第2ノズル部材72が基板Pの面位置に追従するように移動することは妨げられない。なお、基板Pの面位置は前述の実施形態のようにフォーカス・レベリング検出系またはその他の検出系で検出することができる。
本実施形態においては、気体吹出機構150は、液浸領域AR2のエッジ部近傍に気体を吹き出している。液浸領域AR2のエッジ近傍に気体が吹き出されるので、その気体の流れによって、液浸領域AR2の拡大や、液浸領域AR2の液体LQの流出を抑えることができる。なお、液浸領域AR2の近傍に気体が流れるので、液浸領域AR2にはその液浸領域AR2のエッジ部を介して気体(気泡)が混入する可能性がある。ところが、液浸領域AR2のエッジ部近傍には回収口22が設けられているので、液浸領域AR2のエッジ部を介して気泡が混入したとしても、その気泡は直ちに回収口22より回収される。また、図5を参照して説明したように、供給口15より供給される液体LQの流れによって、液浸領域AR2のエッジ部を介して混入した気泡が露光光ELの光路上に浸入する不都合も防止されている。なお、気体を吹き出す吹出口151を液浸領域AR2から離れた位置に設けることももちろん可能である。こうすることにより、液浸領域AR2に気体(気泡)が混入する可能性を低減することができる。
なお本実施形態においては、吹出部材152は3つ設けられているが、第2ノズル部材72を基板Pに対して浮上支持することができれば、その数及び配置は任意に設定可能である。あるいは、吹出部材152は第2ノズル部材72を囲む環状部材であってもよい。
そして、環状に設けられた吹出部材152の下面152Aの複数の所定位置のそれぞれに、吹出口151が設けられていてもよい。また、本実施形態においては、吹出口151を有する吹出部材152は第2ノズル部材72に接続されているが、例えば図6を参照して説明したような、供給口12及び回収口22の双方を有するノズル部材70に、吹出口151を有する吹出部材152が接続されてもよい。また、ノズル部材70の下面70Aと吹出部材152の下面152Aとは、液浸領域AR2が良好に形成される条件においては、必ずしも面一としなくてもよい。
<第6の実施形態>
次に、図11を参照しながら本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態の特徴的な部分は、ノズル部材70の下面70Aに、気体を吹き出す吹出口151が設けられている点にある。より具体的には、吹出口151は、第2ノズル部材72の下面72Aに設けられており、投影光学系PLの光軸AXに対して、回収口22よりも外側に設けられている。また、吹出口151よりも更に外側には、気体を吸引する吸引口156が設けられている。ノズル調整機構80’は、吹出口151から吹き出される気体と、吸引口156を介して吸引される気体とのバランスによって、第2ノズル部材72の下面72Aと基板P表面との間の相対距離及び相対傾斜を所定状態に維持する。このように、ノズル部材70の下面70Aに吹出口151及び吸引口156を設けることも可能である。そして本実施形態においては、気体を吸引する吸引口156が設けられているので、基板Pに対する第2ノズル部材72の浮上支持を良好に行うことができる。また、吸引口156は吹出151に対して液浸領域AR2よりも外側(液浸領域AR2とは離れた位置)に設けられているので、吸引口156に液体LQが浸入することが抑制されている。もちろん、吸引口156を吹出口151と回収口22との間に設けるようにしてもよい。また、吸引口156を、図9等を参照して説明した吹出部材152の下面152Aに設けることができる。更には、図6を参照して説明したような、供給口12及び回収口22の双方を有するノズル部材70の下面70Aに、吹出口151及び吸引口156を設けてもよい。また、図11の第2ノズル部材72の下面72Aにおいて、吹出口151が形成されている面と回収口22が形成されている面とは、液浸領域AR2が良好に形成される条件においては、必ずしも面一としなくてもよい。
なお、第6実施形態においても、基板Pの面位置は前述の実施形態のようにフォーカス・レベリング検出系またはその他の検出系で検出することができる。
また、第1〜第4実施形態で採用されている支持機構81と、第5及び第6実施形態で採用されている吹出口151及び/又は吸引口156とを組み合わせて使用してもよい。
なお、上述の第1〜第6の実施形態においては、基板P上に液浸領域AR2を形成する場合に、基板Pの表面とノズル部材(70や72)の下面との位置関係を所望の状態に維持する場合について説明しているが、基板ステージPST上、あるいは基板Pと基板ステージPSTとに跨って液浸領域AR2を形成する場合など、ノズル部材(70、72)に対向して配置されている物体表面の面位置の変化に合わせてノズル部材(70、72)の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整することができる。したがって、基板Pの走査露光中に限らず、投影光学系PLの像面側に液体LQの液浸領域AR2を形成している各種の動作中に、必要に応じて、ノズル部材(70や72)の位置及び姿勢(傾き)の少なくとも一方の調整を実行することができる。
また、上述の第1〜第6の実施形態においては、物体(基板P)の表面とノズル部材(70、72)の下面とが所定間隔で、ほぼ平行となるようにノズル部材の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整しているが、物体(基板P)とノズル部材(70、72)との相対距離及び相対傾斜は、液体LQの粘性、物体(基板P)表面と液体LQとの親和性(物体表面での液体LQの接触角)、物体(基板P)の移動速度などを考慮して、液浸領域AR2を良好に維持できるように調整することができる。
また、上述の実施形態においては、各種のノズル部材が使用されているが、ノズル部材70などの液浸機構100の構造は、上述のものに限られず、本発明の範囲内で改変し得る。例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報、国際公開第2005/029559号公報に記載されている構造を採用することができる。
また、上述した第1〜第4の実施形態においては、フォーカス・レベリング検出系30や検出器100を使って、基板P若しくは基板ステージPSTの位置を光学的に検出し、その検出結果に基づいて、ノズル部材70の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整している。一方、フォーカス・レベリング検出系30等の検出結果に基づくフィードバック制御を行わずに、ノズル部材(70、72)の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整することができる。すなわち、制御装置CONTは、基板Pの走査露光前に、物体表面(基板P表面)の面位置情報を予め検出し、その検出結果をマップデータとして記憶装置MRYに記憶しておく。そして、制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系30(あるいは検出器100)を使わずに、記憶装置MRYに記憶してある記憶情報(マップデータ)に基づいて、駆動機構83を使って、ノズル部材(70、72)の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整することができる。この場合、投影光学系PLの像面側の近傍で、物体(基板P)表面の面位置情報を検出するフォーカス・レベリング検出系30を省略してもよい。たとえば、特開2002−158168号公報に開示されているように、基板Pの露光を行う露光ステーションから離れた計測ステーションで基板Pの表面位置情報(マップデータ)を露光前に取得する場合には、そのマップデータに基づいてノズル部材(70、72)の位置及び姿勢(傾斜)の少なくとも一方を調整する(フィードフォワード制御する)ことができる。
また、基板Pを支持した基板ステージPSTが、基板ステージ駆動機構PSTDの駆動に基づいて、Z軸方向、θX方向、θY方向に移動する場合に、制御装置CONTは、基板ステージ駆動機構PSTDの駆動量に応じて、駆動機構83を使って、ノズル部材70、72の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整するようにしてもよい。この場合も、フォーカス・レベリング検出系30等の検出結果に基づくフィードバック制御を行わずに、物体(基板P)の表面とノズル部材(70、72)の下面との位置関係を所望状態に維持することができる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水である。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポールダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
また、直線偏光照明と小σ照明法(照明系の開口数NAiと投影光学系の開口数NApとの比を示すσ値が0.4以下となる照明法)との組み合わせも有効である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
更に、上述の各種照明法に加えて、例えば特開平4−277612号公報や特開2001−345245号公報に開示されている累進焦点露光法や、多波長(例えば二波長)の露光光を用いて累進焦点露光法と同様の効果を得る多波長露光法を適用することも有効である。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子LS1が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
また、上述の実施形態の投影光学系は、先端の光学素子の像面側の光路空間を液体で満たしているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、先端の光学素子のマスク側の光路空間も液体で満たす投影光学系を採用することもできる。
上記実施形態では、投影光学系を備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、本発明は投影光学系を持たないタイプの露光装置にも適用することができる。この場合、光源からの露光光が光学素子を通過して液浸領域に照射されることになる。例えば、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
更に、特開平11−135400号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも本発明を適用することができる。この場合、計測ステージ上に液浸領域が形成されている場合には、計測ステージの上面の位置に応じてノズル部材(70,72)の位置及び/又は傾きを調整するのが望ましい。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図12に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。