JP2012134482A - 低分子半導体 - Google Patents
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- C07D—HETEROCYCLIC COMPOUNDS
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Abstract
【課題】高い移動度および良好な膜形成性を示す半導体化合物を提供する。
【解決手段】下式の低分子半導体。
〔R1、R2は、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ等〕
【選択図】なし
【解決手段】下式の低分子半導体。
〔R1、R2は、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルキルチオ等〕
【選択図】なし
Description
本開示は、薄膜トランジスタ(TFT)および/または半導体層を備える他の電子機器に関する。半導体層は、本明細書に記載の半導体組成物から作られる。この組成物が、デバイスの半導体層で用いられる場合、高い移動度および優れた安定性が達成される場合がある。
有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、無線自動識別(RFID)タグおよびディスプレイ(例えば、標識、リーダ、液晶ディスプレイ)のバックプレーンスイッチング回路のような、高いスイッチング速度および/または高密度が必須ではない用途で用いることができる。また、OTFTは、物理的に小型であり、軽量であり、可とう性であるといった、魅力的な機械特性を有している。
有機薄膜トランジスタは、スピンコーティング、溶液キャスト法、浸漬コーティング、ステンシル/スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、マイクロコンタクトプリントなどのような、低コストの溶液系パターニングおよび堆積技術を用いて製造することができる。このことから、薄膜トランジスタ回路の製造において、これらの溶液系プロセスの使用を可能にするために、溶液で処理可能な材料が必要とされている。しかし、溶液処理によって作られる有機半導体またはポリマー半導体は、溶解度が制限され、空気に感受性であり、特に、電界効果移動度が低い傾向がある。このような性能不良がみられると、低分子の膜形成性も不良となるおそれがある。
高い電界効果移動度および良好な膜形成性を示す半導体化合物を開発することが望ましいだろう。
本出願は、種々の実施形態では、空気中で安定であり、一般的な有機溶媒に可溶性であり、高い電界効果移動度を有する低分子半導体を開示している。
いくつかの実施形態では、式(I)の低分子半導体が開示され、
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
いくつかの実施形態では、R1およびR2は、独立して、C4〜C36置換アルケニルであってもよい。他の実施形態では、R1とR2は、同じである。特定の実施形態では、低分子半導体は、本明細書でさらに記載されるように、式(I−a)〜(I−f)の構造の1つを有する。
低分子半導体は、バンドギャップが約1.8〜約3.5eVであってもよい。
他の実施形態では、ポリマーバインダーと;式(I)の低分子半導体とを含む半導体組成物が開示され、
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
ポリマーバインダーは、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン−コ−ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソペン−ブロック−スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、テルペン樹脂、ポリ(スチレン−コ−2,4−ジメチルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(スチレン−コ−a−メチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
特定の実施形態では、ポリマーバインダーは、スチレン系ポリマーである。スチレン系ポリマーは、重量平均分子量が約40,000〜約2,000,000であってもよい。
低分子半導体とポリマーバインダーとの重量比は、5:1〜約2:3であってもよい。
また、いくつかの実施形態では、半導体層を備え、この半導体層が、式(I)の低分子半導体を含む電子機器が開示され、
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。
半導体層は、さらに、ポリマーバインダーを含んでいてもよい。
電子機器は、誘電層をさらに備えていてもよく;誘電層は、改質された表面を含み;半導体層は、この改質された表面に直接接している。改質された表面は、有機シラン(例えば、ヘキサメチルジシラザンまたはオクチルトリクロロシラン)で改質されていてもよい。
本特許または本明細書は、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含んでいる。カラー図面を含む本特許または本明細書のコピーは、請求し、必要な料金を支払えば、官庁から提供されるだろう。
以下は、図面に関する簡単な説明であるが、本明細書に開示されている例示的な実施形態を示すために提示されており、本発明を限定する目的のために提示されているのではない。
明確にするために以下の記載で特定の用語を用いているが、これらの用語は、図面を説明するために選ばれた実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義したり、限定したりすることを意図したものではない。図面および以下の記載において、同様の数字による表示は、同様の機能を有する構成要素を指すと理解されるべきである。
ある量と組み合わせて使用される修飾語「約」は、記載されている値を含み、文脈によって示されている意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する、ある程度の誤差を少なくとも含む)。本文中のある範囲で用いられる場合、修飾語「約」は、2個の端点の絶対値によって定義される範囲も開示していると考えるべきである。例えば、「約2〜約10」の範囲は、「2〜10」の範囲も開示している。
用語「〜を含む」は、本明細書では、示されている要素が存在することを必要とし、他の要素も存在している可能性がある場合に用いられる。用語「〜を含む」は、示されている要素を製造するときに生じてもよい任意の不純物とともに、示されている要素のみが存在してもよい用語「〜からなる」を包含すると解釈されるべきである。
本開示は、本明細書に開示されているような低分子半導体化合物に関する。ポリマーバインダーと低分子半導体とを含む組成物も開示されている。この組成物から作られる半導体層は、空気中で非常に安定であり、高い移動度を有する。これらの半導体組成物は、電子機器(例えば、薄膜トランジスタ(TFT))中に層を形成するのに有用である。
図1は、本開示にかかるボトム−ゲート型でボトム−コンタクト型のTFT構造を示す。TFT10は、ゲート電極18と接する基板16と、ゲート誘電層14とを備えている。ゲート電極18は、ここでは基板16の上側に示されているが、ゲート電極は、基板の中の凹部に配置されていてもよい。ゲート誘電層14が、ゲート電極18を、ソース電極20、ドレイン電極22、半導体層12と分離していることが重要である。半導体層12は、ソース電極20およびドレイン電極22を覆うように、これらの間にある。この半導体は、ソース電極20とドレイン電極22との間に所定のチャネル長を有する。
図2は、本開示にかかるボトム−ゲート型でトップ−コンタクト型の別のTFT構造を示す。TFT30は、ゲート電極38と接する基板36と、ゲート誘電層34とを備えている。半導体層32は、ゲート誘電層34の上部に配置されており、ゲート誘電層34をソース電極40およびドレイン電極42から分離している。
図3は、本開示にかかるボトム−ゲート型でボトム−コンタクト型のTFT構造を示す。TFT50は、基板56を備えており、基板56は、ゲート電極としても作用し、ゲート誘電層54と接している。ソース電極60、ドレイン電極62、半導体層52は、ゲート誘電層54の上部に配置されている。
図4は、本開示にかかるトップ−ゲート型でトップ−コンタクト型のTFT構造を示す。TFT70は、ソース電極80、ドレイン電極82、半導体層72と接する基板76を備えている。半導体層72は、ソース電極80およびドレイン電極82を覆うように、これらの間にある。ゲート誘電層74は、半導体層72の上部にある。ゲート電極78は、ゲート誘電層74の上部にあり、半導体層72とは接していない。
低分子半導体は、式(I)の構造を有しており、
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。式(I)の分子は、正式には、3,8−二置換−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンとしても知られる。[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン部分は、本明細書では、「BTBT」と省略される場合がある。例えば、式(I)の半導体は、3,8−二置換−BTBTと呼ばれてもよい。
式(I)
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。式(I)の分子は、正式には、3,8−二置換−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェンとしても知られる。[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン部分は、本明細書では、「BTBT」と省略される場合がある。例えば、式(I)の半導体は、3,8−二置換−BTBTと呼ばれてもよい。
用語「アルキル」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されており、完全に飽和であり、式−CnH2n+1を有する基を指す。アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、この二重結合がアリール構造またはヘテロアリール構造の一部分ではない基を指す。このアルケニル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。例示的なアルケニル基としては、2−フェニルエテニルまたは2−ナフチルエテニルのようなアリールアルケニル基;2−チエニルエテニルのようなヘテロアリールアルケニル基が挙げられる。
用語「アルキニル」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されており、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む基を指す。
用語「アリール」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されている芳香族基を指す。アリールは、ある数値範囲の炭素原子と組み合わせて記載される場合、置換された芳香族置換基を含むと解釈するべきではない。例えば、句「炭素原子を6〜10個含むアリール」は、フェニル基(炭素原子6個)またはナフチル基(炭素原子10個)のみを指すと解釈すべきであり、メチルフェニル基(炭素原子7個)を含むと解釈すべきではない。
用語「ヘテロアリール」は、炭素原子と、水素原子と、1個以上のヘテロ原子とから構成される芳香族基を指す。炭素原子およびヘテロ原子は、この基の環式環または骨格に存在する。ヘテロ原子は、O、SおよびNから選択される。例示的なヘテロアリール基としては、チエニルおよびピリジニルが挙げられる。
用語「アルコキシ」は、酸素原子に接続したアルキル基、すなわち−O−CnH2n+1を指す。
用語「アルキルチオ」は、硫黄原子に接続したアルキル基、すなわち−S−CnH2n+1を指す。
用語「アルキルシリル」は、3個のアルキル基が接続した四価のケイ素原子で構成される基、すなわち−Si(R)3を指す。3個のアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい。
用語「置換された」は、記載されている置換基の上にある少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン、−CN、−NO2、−COOHおよび−SO3Hのような他の官能基で置換されていることを指す。例示的な置換アルキル基は、アルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素)と置き換わったペルハロアルキル基である。上述の官能基以外に、アリール基は、アルキル、アルコキシまたはアルキルチオで置換されていてもよい。例示的な置換アリール基としては、プロピルフェニル、プロポキシフェニルが挙げられる。
一般的に、アルキル基およびアルコキシ基は、それぞれ独立して、炭素原子を1〜30個含む。同様に、アリール基およびヘテロアリール基は、独立して、炭素原子を4〜30個含む。
上述のように、R1およびR2は、同じであってもよく、異なっていてもよい。特定の実施形態では、R1およびR2は、独立して、アルケニルまたは置換アルケニルである。さらに特定的な実施形態では、R1およびR2は、C4〜C36置換アルケニルである。特定の例示的な3,8−二置換−BTBTとしては、式(I−a)〜(I−f)で示されるものが挙げられ、
式(I−a)
式(I−b)
式(I−c)
式(I−d)
式(I−e)
式(I−f)
式中、各R3は、独立して、水素、C3〜C16アルキル、アルコキシ、またはアルキルチオである。この観点で、式(I−b)は、R3として2−フェニルエテニル基を含む。式(I−c)は、R3として2−ナフチルエテニル基を含む。式(I−d)は、R3として2−チエニルエテニル基を含む。式(I−e)は、R3として2−(2,2’−ビチエニル)−エテニル基を含む。式(I−f)は、R3として2−(チエノ[3,2−b]チエニル)−エテニル基を含む。特定の実施形態では、両方のR3基は同じである。
式(I−a)
式(I−b)
式(I−c)
式(I−d)
式(I−e)
式(I−f)
式中、各R3は、独立して、水素、C3〜C16アルキル、アルコキシ、またはアルキルチオである。この観点で、式(I−b)は、R3として2−フェニルエテニル基を含む。式(I−c)は、R3として2−ナフチルエテニル基を含む。式(I−d)は、R3として2−チエニルエテニル基を含む。式(I−e)は、R3として2−(2,2’−ビチエニル)−エテニル基を含む。式(I−f)は、R3として2−(チエノ[3,2−b]チエニル)−エテニル基を含む。特定の実施形態では、両方のR3基は同じである。
望ましくは、式(I)の半導体は、電磁気スペクトルの可視光領域(すなわち、390nm〜750nm)では無色である。いくつかの実施形態では、低分子半導体は、バンドギャップが約1.8〜約3.5eVである。この大きなバンドギャップは、典型的には、ペンタセン系半導体と比較した場合、この低分子半導体が空気中で良好な安定性を有することを示す。低分子半導体は、結晶構造または液晶構造を有している。
式(I)の低分子半導体を製造する方法は、一般的に、3,8−ジハロ−BTBT化合物の合成から始まる。次いで、このハロゲン化置換基を置き換え、望ましい3,8−二置換−BTBT化合物を製造することができると考えられる。
3,8−ジハロ−BTBT化合物を、少なくとも2つの合成経路から作成してもよい。第1の経路では、市販の2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド1を、位置選択的にハロゲン化し、5−ハロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドを作成する。例えば、FeBr3/Br2を用い、5−ブロモ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド2を作成してもよい。この反応を以下に示す。
次いで、価数の小さなチタンが介在するカップリングを用い、5−ブロモ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド2を二量化し、以下に示すようにスチルベン誘導体3を得てもよい。
スチルベン誘導体3を脱保護し、環化し、3,8−ジブロモ−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン4を製造してもよい。この反応を以下に示す。
3,8−ジハロ−BTBTを作成するための第2の経路は、以下に示すように、(ジクロロメチル)ベンゼン5から[1]ベンゾ[3,2−b]ベンゾチオフェン6の合成を含む。
次いで、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン6コアを、適切な試薬(例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド)を用いて3位および8位で位置選択的にハロゲン化し、3,8−ジジハロ−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン4を製造してもよい。ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミドは、高選択的なハロゲン化試薬であり、電子供与性の置換基(例えば、化合物6の硫黄原子)のパラ位に反応する。
次いで、3,8−ジブロモ−BTBT4を適切な化合物と反応させ、3,8−二置換BTBTを得ることができると考えられる。例えば、3,8−ジブロモ−BTBT4をアルキンと反応させ、3,8−ジアルキン−1−イル−BTBT7を作成してもよい。この最初の反応を以下に示す。
式中、R3はアルキルであり、Pd(PPh3)2Cl2は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドであり、CuIはヨウ化銅であり、iPr2NHはジイソプロピルアミンである。ここに示すように、2個のR3基は同じである。しかし、例えば、Br原子のうちひとつの上にあるブロッキング基/保護基を用い、第1のアルキンと第1の反応を行って、保護していないBrを変換し、このブロッキング基/保護基をはずし、次いで、第2の異なるアルキンで第2の反応を行うことによって、2個のR3基は、異なっていてもよい。この反応は、薗頭反応としても知られており、化合物4、アルキン、Pd源、Cu(I)を必要とする。他の例示的なPd触媒としては、Pd(PPh3)4およびPd(OAc)2:(PPh3)4が挙げられる。他の方法も知られている。
次いで、3,8−ジブロモ−BTBT4を適切な化合物と反応させ、3,8−二置換BTBTを得ることができると考えられる。例えば、3,8−ジブロモ−BTBT4をアルキンと反応させ、3,8−ジアルキン−1−イル−BTBT7を作成してもよい。この最初の反応を以下に示す。
式中、R3はアルキルであり、Pd(PPh3)2Cl2は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドであり、CuIはヨウ化銅であり、iPr2NHはジイソプロピルアミンである。ここに示すように、2個のR3基は同じである。しかし、例えば、Br原子のうちひとつの上にあるブロッキング基/保護基を用い、第1のアルキンと第1の反応を行って、保護していないBrを変換し、このブロッキング基/保護基をはずし、次いで、第2の異なるアルキンで第2の反応を行うことによって、2個のR3基は、異なっていてもよい。この反応は、薗頭反応としても知られており、化合物4、アルキン、Pd源、Cu(I)を必要とする。他の例示的なPd触媒としては、Pd(PPh3)4およびPd(OAc)2:(PPh3)4が挙げられる。他の方法も知られている。
次いで、以下に示すように、3,8−ジアルキン−1−イル−BTBT7を3,8−ジアルケニル−[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン7aへと還元してもよい。
式中、Lindlar’s cat.は、CaCO3に担持し、キノリンまたは鉛で被毒したパラジウム触媒であり、THFは、テトラヒドロフランである。他の可能なR3置換基に同様の反応を行ってもよい。
式中、Lindlar’s cat.は、CaCO3に担持し、キノリンまたは鉛で被毒したパラジウム触媒であり、THFは、テトラヒドロフランである。他の可能なR3置換基に同様の反応を行ってもよい。
Horner−Wadsworth−Emmonsオレフィン化反応を用い、3,8−二置換BTBTを得てもよい。3,8−ジブロモ−BTBT4に対し、メタル化試薬を用いてリチウム交換反応またはマグネシウム交換反応を行ない、ジアニオンを作成し、これをDMFでクエンチし、3,8−ジアルデヒド−BTBT8を作成してもよい。例示的なメタル化試薬としては、n−BuLi、sec−BuLi、t−BuLi、iPrMgX(式中、Xはハロゲンである)、iPrMgX・LiCl(式中、Xはハロゲンである)が挙げられる。次いで、NaBH4、LiAlH4などのような試薬を用い、3,8−ジアルデヒド−BTBT8を還元し、化合物9を作成してもよい。次いで、化合物9をブロモ化して化合物10を作成し、次いで、ホスホネート11に変換する。次いで、このホスホネートをリチウムアミドまたはヒドリド塩基と反応させ、ホスホニウムイリドを作成し、これをアルデヒドと反応させ、3,8−ジアルケニル−BTBT7aを作成する。例示的なリチウムアミドおよびヒドリド塩基としては、LDAおよびLiHMDSが挙げられる。NaH、CaH2のような他の非求核性塩基を用いてもよい。この一連の反応を以下に示す。
別の方法は、置換ホウ素試薬12を、化合物4と直接Suzukiクロスカップリングさせ、3,8−ジアルケニル−BTBT7aを作成する反応である。この反応は、塩基を加えたPd触媒存在下で起こる。例示的な塩基としては、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3、CsF、K3PO4が挙げられる。この反応を以下に示す。
式中、YはOHであるか、または合わせて環状ボロン酸エステルまたは置換された環状ボロン酸エステルを形成する。
式中、YはOHであるか、または合わせて環状ボロン酸エステルまたは置換された環状ボロン酸エステルを形成する。
低分子半導体自体は、膜形成性が悪くてもよい。したがって、半導体組成物は、式(I)の低分子半導体と、ポリマーバインダーと含むように作られてもよい。これによって、均一な膜を得ることができ、機器の性能が顕著に向上する。ポリマーバインダーは、低分子半導体が分散するマトリックスを作ると考えてもよい。
任意の適切なポリマーを、半導体組成物のポリマーバインダーとして用いてもよい。ある実施形態では、ポリマーは、アモルファスポリマーである。アモルファスポリマーは、ガラス転移点が、低分子半導体の融点より低くてもよい。他の実施形態では、アモルファスポリマーは、ガラス転移点が、低分子半導体の融点よりも高い。いくつかの実施形態では、ポリマーは、室温、60Hzで測定した場合、誘電率が4.5未満、好ましくは、3.5未満である(3.0未満を含む)。いくつかの実施形態では、ポリマーは、C、H、F、ClまたはN原子のみを含むポリマーから選択される。ある実施形態では、ポリマーは、極性の低いポリマー(例えば、極性基を含まない炭化水素ポリマーまたはフルオロカーボンポリマー)である。例えば、ポリスチレンは、アモルファスポリマーであり、誘電率が約2.6である。他の極性の低いポリマーのリストとしては、限定されないが、以下のものが挙げられる。フルオロポリアリールエーテル、ポリ(p−キシレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(a−ビニルナフタレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(2−メチル−1,3−ブタジエン)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(ビニル、シクロヘキサン)、ポリフェニレン、ポリ−p−フェニルビニリデン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイソブチレン、ポリ(2、6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ[1,1−(2−メチルプロパン)ビス−(4−フェニル)カーボネート]、ポリ(a−a−a’−a’テトラフルオロ−p−キシリレン)、フッ素化ポリイミド、ポリ(エチレン/テトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレン/クロロトリフルオロエチレン)、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ(スチレン−コ−a−メチルスチレン)、ポリ(スチレン/ブタジエン)、ポリ(スチレン/2,4−ジメチルスチレン)、CYTOP、ポリ(プロピレン−コ−1−ブテン)、ポリ(スチレン−コ−ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソペン−ブロック−スチレン)、テルペン樹脂、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミンなど。
すべてのポリマーが、低分子半導体に高い移動度を付与するわけではないと考えられる。半導体組成物に適した例示的なポリマーバインダーとしては、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン−コ−ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、テルペン樹脂、ポリ(スチレン−コ−2,4−ジメチルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(スチレン−コ−a−メチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミン、またはポリ(N−ビニルカルバゾール)が挙げられる。
特に、スチレン系ポリマーは、適切なポリマーバインダーであると考えられる。スチレン系ポリマーは、式(II)のスチレンモノマーから誘導される繰り返し単位を含んでおり、
式(II)
式中、Rg、Rh、Rj、Rkは、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C20アルキルであり;nは、0〜5の整数である。スチレンモノマーは、スチレン(Rg、Rh、Rjは、すべて水素であり、n=0)、α−メチルスチレン(Rgはメチルであり、RhおよびRjは水素であり、n=0)、または4−メチルスチレン(Rg、RhおよびRjは、すべて水素であり、n=1、Rkは、4位でメチルである)である。
式(II)
式中、Rg、Rh、Rj、Rkは、独立して、水素、ハロゲン、C1〜C20アルキルであり;nは、0〜5の整数である。スチレンモノマーは、スチレン(Rg、Rh、Rjは、すべて水素であり、n=0)、α−メチルスチレン(Rgはメチルであり、RhおよびRjは水素であり、n=0)、または4−メチルスチレン(Rg、RhおよびRjは、すべて水素であり、n=1、Rkは、4位でメチルである)である。
特定の実施形態では、スチレン系ポリマーは、重量平均分子量が、約40,000〜約2,000,000であってもよい。
低分子半導体とポリマーバインダーとの重量比は、5:1〜2:3であってもよい。
半導体組成物は、低分子半導体およびポリマーバインダーが可溶性であるような溶媒をさらに含んでいてもよい。溶液で用いられる例示的な溶媒としては、塩素化溶媒、例えば、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタンなど;アルコールおよびジオール、例えば、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘキサンジオールなど;炭化水素または芳香族炭化水素、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど;ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど;アセテート、例えば、酢酸エチル;ピリジン、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。
いくつかの実施形態では、低分子半導体とポリマーバインダーとを含む半導体組成物は、粘度が約1センチポイズ(cps)〜30cps、またはより望ましくは、1cps〜20cpsであってもよい。
半導体層は、当該技術分野で知られている従来のプロセスを用い、電子機器中で作られてもよい。いくつかの実施形態では、半導体層は、溶液析出法または蒸着によって作られる。例示的な溶液析出技術としては、スピンコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スタンピング、ステンシル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
半導体組成物を用いて作られた半導体層は、深さが約5ナノメートルから約1000ナノメートルであってもよい(深さ約20〜約100ナノメートルを含む)。特定の構造(例えば、図1および図4に示される構造)において、半導体層は、ソース電極とドレイン電極を完全に覆っている。
TFTの性能は、移動度によって測定することができる。移動度は、単位cm2/V・secで測定され、移動度が大きいことが望ましい。本開示の半導体組成物を用いて得られたTFTは、電界効果移動度が少なくとも0.1cm2/V・secである。本開示のTFTは、電流オン/オフ比が少なくとも104であってもよい。また、本開示のTFTは、オフ電流が5×10−9アンペア未満であってもよい。
薄膜トランジスタは、一般的に、半導体層に加え、基板と、任意要素のゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、誘電層とを備えている。
基板は、限定されないが、ケイ素、ガラス板、プラスチック膜またはシートを含む材料で構成されていてもよい。構造的に可とう性の機器では、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドのシートなどのようなプラスチック基板が好ましい場合がある。基板の厚みは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えていてもよく、例示的な厚みは、特に、可とう性プラスチック基板の場合には、約50〜約100マイクロメートル、ガラスまたはケイ素のような剛性基板の場合には、約0.5〜約10ミリメートルであってもよい。
誘電層は、一般的に、無機材料の膜、有機ポリマーの膜、または有機−無機コンポジットの膜であってもよい。誘電層として適する無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムジルコニウムなどが挙げられる。適切な有機ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂などが挙げられる。誘電層の厚みは、使用される材料の誘電率によって変わり、例えば、約10ナノメートル〜約500ナノメートルであってもよい。誘電層は、導電率が、例えば、約10−12ジーメンス/センチメートル(S/cm)未満であってもよい。誘電層は、ゲート電極を作成するときに記載したプロセスを含む、当該技術分野で知られる従来のプロセスによって作られる。
本開示において、誘電層は、表面改質剤で表面が改質されていてもよい。表面改質剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、フェニルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン(OTS−8)、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS−18)のような有機シランが挙げられる。半導体層は、この改質された誘電層表面に直接接していてもよい。完全に接触していてもよいし、部分的に接触していてもよい。この表面改質は、誘電層と半導体層との間に界面層を作成すると考えることもできる。
ゲート電極は、導電性材料で構成されている。ゲート電極は、金属の薄膜、導電性ポリマー膜、導電性インクまたはペーストから作られる導電性膜、または基板自体(例えば、高濃度にドープされたケイ素)であってもよい。ゲート電極の材料の例としては、限定されないが、アルミニウム、金、銀、クロム、インジウムスズ酸化物、導電性ポリマー、例えば、ポリスチレンスルホネートがドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)、カーボンブラック/グラファイトで構成される導電性インク/ペーストが挙げられる。ゲート電極は、減圧エバポレーション、金属または導電性金属酸化物のスパッタリング、従来のリソグラフィーおよびエッチング、化学真空蒸着、スピンコーティング、鋳造または印刷、または他の堆積プロセスによって調製されてもよい。ゲート電極の厚みは、例えば、金属膜の場合には、約10〜約200ナノメートル、導電性ポリマーの場合には、約1〜約10マイクロメートルの範囲である。ソース電極およびドレイン電極として用いるのに適した、典型的な材料としては、アルミニウム、金、銀、クロム、亜鉛、インジウム、導電性金属酸化物、例えば、亜鉛−ガリウム酸化物、インジウムスズ酸化物、インジウム−アンチモン酸化物、導電性ポリマーおよび導電性インクのようなゲート電極の材料が挙げられる。ソース電極およびドレイン電極の典型的な厚みは、例えば、約40ナノメートル〜約1マイクロメートルであり、より特定的な厚みは、約100〜約400ナノメートルである。
ソース電極およびドレイン電極として用いるのに適した、典型的な材料としては、金、銀、ニッケル、アルミニウム、白金、導電性ポリマー、導電性インクのようなゲート電極の材料が挙げられる。特定の実施形態では、電極材料は、半導体に対する接触抵抗が低い。典型的な厚みは、例えば、約40ナノメートル〜約1マイクロメートルであり、より特定的な厚みは、約100〜約400ナノメートルである。本開示のOTFTデバイスは、半導体チャネルを含む。半導体チャネルの幅は、例えば、約5マイクロメートル〜約5ミリメートルであってもよく、特定的なチャネルの幅は、約100マイクロメートル〜約1ミリメートルである。半導体チャネルの長さは、例えば、約1マイクロメートル〜約1ミリメートルであってもよく、より特定的なチャネルの長さは、約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
ソース電極は、接地されており、ゲート電極に、例えば、約+10ボルト〜約−80ボルトの電圧がかけられる場合、半導体チャネルを通って移動する電荷キャリアを集めるために、例えば、約0ボルト〜約80ボルトのバイアス電圧がドレイン電極にかけられる。電極は、当該技術分野で既知の従来のプロセスを用いて作成されるか、または堆積されてもよい。
所望な場合、電気的性質を破壊し得る環境条件(例えば、光、酸素、水分など)から守るために、防御層をTFTの上部に堆積させてもよい。このような防御層は、当該技術分野で知られており、単にポリマーからなるものであってもよい。
OTFTの種々の要素を、任意の順序で基板の上に堆積させてもよい。しかし、一般的に、ゲート電極および半導体層は、両方ともゲート誘電層に接していなければならない。それに加え、ソース電極およびドレイン電極は、両方とも半導体層に接していなければならない。句「任意の順序で」は、順次作成すること、同時に作成することを含む。例えば、ソース電極およびドレイン電極を同時に作成してもよく、順次作成してもよい。用語基板「の上(on)」または基板「の上(upon)」は、基板の上部にある層および要素について、底部または支持板であるような基板に対する、種々の層および要素を指す。言い換えると、すべての要素は、すべてが基板と直接接していない場合であっても、基板の上にある。例えば、誘電層および半導体層は、一方の層が他の層よりも基板に近い場合であっても、両方とも基板の上にある。得られたTFTは、良好な移動度を有し、良好な電流オン/オフ比を有する。
以下の実施例は、本開示をさらに説明するためのものである。この実施例は、単なる説明であり、ここに記載した材料、条件またはプロセスパラメータに関する開示にしたがって製造した機器を限定することを意図したものではない。すべての部は、他の意味であると示されていない限り、容量%である。
(5−ブロモ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(2)の合成)
100mLの2ッ首丸底フラスコ内で、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(5グラム、32.8mmol)、臭化鉄(III)(0.485グラム、1.642mmol)をPhCl(10ml)に溶解し、褐色溶液を得た。この反応混合物を70℃まで加熱し、臭素(1.78mL、34.5mmol)のPhCl(8mL)溶液を滴下漏斗で滴下して処理した。この混合物を70℃で加熱した。5時間後、熱源をはずし、反応物を室温まで冷却した。反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液/Na2SO3溶液の1:1混合物でクエンチした(合計で30mL)。水層を分離し、CH2Cl2(50mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。残った溶液を冷凍庫で一晩冷却した。未精製の生成物が沈殿し、これを過剰量のPhClによってデカンテーションして単離し、この生成物を高減圧下で一晩乾燥させた。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量4.5グラム(60%)。
100mLの2ッ首丸底フラスコ内で、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(5グラム、32.8mmol)、臭化鉄(III)(0.485グラム、1.642mmol)をPhCl(10ml)に溶解し、褐色溶液を得た。この反応混合物を70℃まで加熱し、臭素(1.78mL、34.5mmol)のPhCl(8mL)溶液を滴下漏斗で滴下して処理した。この混合物を70℃で加熱した。5時間後、熱源をはずし、反応物を室温まで冷却した。反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液/Na2SO3溶液の1:1混合物でクエンチした(合計で30mL)。水層を分離し、CH2Cl2(50mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。残った溶液を冷凍庫で一晩冷却した。未精製の生成物が沈殿し、これを過剰量のPhClによってデカンテーションして単離し、この生成物を高減圧下で一晩乾燥させた。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量4.5グラム(60%)。
((E)−1,2−ビス(5−ブロモ−2−(メチルチオ)フェニル)エタン(3)の合成)
250mLの3ッ首丸底フラスコ(t=g)に、無水THF(75mL)を入れ、0℃まで冷却した。この反応物を四塩化チタン(3.05mL、27.7mmol)で処理し、撹拌した。5分後、黄色反応混合物を、カニューレによって5−ブロモ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(4グラム、17.31mmol)の無水THF(30mL)溶液で処理した。オレンジ反応混合物を亜鉛(3.39グラム、51.9mmol)を一度に加えて処理し、冷却浴をはずし、黒色反応混合物をアルゴン雰囲気下、80℃まで加熱した。18時間後、熱源をはずした。反応物を室温まで冷却し、氷に注いだ。飽和NaHCO3溶液(100mL)を加え、得られた濃い粘性スラリーを1時間撹拌し、次いで、CELITEで濾過した。層を分離させ、水層をCH2Cl2で抽出した(100mL×3回)。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。未精製の生成物をMeOHに懸濁させ、減圧濾過によって単黄色固体を集め、高減圧下で乾燥させた。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量0.7グラム(20%)。
250mLの3ッ首丸底フラスコ(t=g)に、無水THF(75mL)を入れ、0℃まで冷却した。この反応物を四塩化チタン(3.05mL、27.7mmol)で処理し、撹拌した。5分後、黄色反応混合物を、カニューレによって5−ブロモ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド(4グラム、17.31mmol)の無水THF(30mL)溶液で処理した。オレンジ反応混合物を亜鉛(3.39グラム、51.9mmol)を一度に加えて処理し、冷却浴をはずし、黒色反応混合物をアルゴン雰囲気下、80℃まで加熱した。18時間後、熱源をはずした。反応物を室温まで冷却し、氷に注いだ。飽和NaHCO3溶液(100mL)を加え、得られた濃い粘性スラリーを1時間撹拌し、次いで、CELITEで濾過した。層を分離させ、水層をCH2Cl2で抽出した(100mL×3回)。有機層を合わせ、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。未精製の生成物をMeOHに懸濁させ、減圧濾過によって単黄色固体を集め、高減圧下で乾燥させた。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量0.7グラム(20%)。
(3,8−ジブロモ[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(4)の合成)
(E)−1,2−ビス(5−ブロモ−2−(メチルチオ)フェニル)エタン(3)(1mmol)のクロロホルム溶液に、固体ヨウ素(3mmol)を少量ずつ加えて処理した。室温で1時間撹拌した後、反応物を加熱して還流させた。18時間後、熱源をはずし、反応物を室温まで冷却し、飽和Na2SO3溶液でクエンチした。未精製の生成物を減圧濾過によって集め、トルエンから再結晶化させた。
(E)−1,2−ビス(5−ブロモ−2−(メチルチオ)フェニル)エタン(3)(1mmol)のクロロホルム溶液に、固体ヨウ素(3mmol)を少量ずつ加えて処理した。室温で1時間撹拌した後、反応物を加熱して還流させた。18時間後、熱源をはずし、反応物を室温まで冷却し、飽和Na2SO3溶液でクエンチした。未精製の生成物を減圧濾過によって集め、トルエンから再結晶化させた。
(3,8−ビス(アルケニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(7a)の合成)
薗頭カップリングを用い、ジブロモ化合物(4)を3,8−ビス(アルキニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(7)に変換した。精製した後、Lindlar触媒/H2を用い、化合物7をTHF溶液中で3,8−ビス(アルケニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(7a)に還元した。化合物7aを、カラムクロマトグラフィー、再結晶化、サブリメーション、ソックスレー抽出などのような当該技術分野で既知の標準的な方法によってさらに精製した。
薗頭カップリングを用い、ジブロモ化合物(4)を3,8−ビス(アルキニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(7)に変換した。精製した後、Lindlar触媒/H2を用い、化合物7をTHF溶液中で3,8−ビス(アルケニル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(7a)に還元した。化合物7aを、カラムクロマトグラフィー、再結晶化、サブリメーション、ソックスレー抽出などのような当該技術分野で既知の標準的な方法によってさらに精製した。
([1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(6)の合成)
250mLの丸底フラスコ内で、硫黄(7.97グラム、248mmol)、(ジクロロメチル)ベンゼン(20グラム、124mmol)を合わせた。この反応物にコンデンサを取り付け、反応中に発生した気体を捕捉するために2M NaOH浴へと排気した。次いで、この混合物を220℃まで加熱した。この温度で、すべての硫黄が溶解し、反応物は激しく泡立った。6時間後、NaOHトラップをはずし、反応物から放出される揮発性物質を、液体N2で冷却した冷却管(cold finger)で捕捉した。次いで、この反応物を220℃で18時間還流させた。次いで、この反応物を1時間かけて250℃まで加熱した。熱源をはずし、反応物を室温まで冷却した。未精製の生成物をCH2Cl2に溶解させ、SiO2に吸着させた。溶媒をエバポレーションした後、未精製の生成物を短いSiO2カラムでヘキサンを用いて溶出させて精製した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて除去し、生成物をトルエンから再結晶化させてさらに精製した。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量3.5グラム(25%)。
250mLの丸底フラスコ内で、硫黄(7.97グラム、248mmol)、(ジクロロメチル)ベンゼン(20グラム、124mmol)を合わせた。この反応物にコンデンサを取り付け、反応中に発生した気体を捕捉するために2M NaOH浴へと排気した。次いで、この混合物を220℃まで加熱した。この温度で、すべての硫黄が溶解し、反応物は激しく泡立った。6時間後、NaOHトラップをはずし、反応物から放出される揮発性物質を、液体N2で冷却した冷却管(cold finger)で捕捉した。次いで、この反応物を220℃で18時間還流させた。次いで、この反応物を1時間かけて250℃まで加熱した。熱源をはずし、反応物を室温まで冷却した。未精製の生成物をCH2Cl2に溶解させ、SiO2に吸着させた。溶媒をエバポレーションした後、未精製の生成物を短いSiO2カラムでヘキサンを用いて溶出させて精製した。溶媒を、ロータリーエバポレーターを用いて除去し、生成物をトルエンから再結晶化させてさらに精製した。1H NMR分光法および13C NMR分光法によって構造を確認した。収量3.5グラム(25%)。
図5は、3,8−ビス(ドデシル)[1]ベンゾチエノ[3,2−b]ベンゾチオフェン(すなわち、R1およびR2が−C12H25である式(I)の化合物)の平衡配置および結晶構造を示すカラーモデルである。このモデルは、平衡配置および多形要素を決定し、結晶構造を予想するために、Materials Studio 5.0でDMol3パッケージを用いて作成した。図5に示される結晶多形は、分子がπ−π重なりによって積み重なった状態で整列していることを示し、これにより、正孔の移動が容易になる。アルキル鎖は、芳香族の積み重なりに対して平行に整列しており、固体状態では、大きな範囲にわたって規則性が付与されるはずである。
Claims (3)
- 式(I)の低分子半導体。
〔式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される。〕 - ポリマーバインダーと;
式(I)の低分子半導体とを含み、
式中、R1およびR2は、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される、半導体組成物。 - 半導体層を備え、この半導体層が、式(I)の低分子半導体を含み、
式中、R1およびR2が、独立して、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリルおよびハロゲンから選択される、電子機器。
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