JP2012131879A - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
このように、ZnDTPは、その優れた多機能性と効果の両面から、上記エンジン油をはじめ広く産業用機械の潤滑油分野で汎用されているが、エンジン油においては、これに含まれるリン成分が自動車の排気浄化触媒や酸素センサーを被毒するため、排気ガス制御システムの能力が著しく低下するのを免れないという問題がある。
自動車の省燃費化に関しては、自動車の軽量化、エンジンの改良等、自動車自体の改良と共にエンジンでの摩擦ロスを防ぐためのエンジン油の低粘度化、良好な摩擦調整剤の添加等、エンジン油の改善も重要となっている。
さらに省燃費化の一層の向上の為、低粘度化と共に摩擦調整剤の添加が行われると、酸化安定性の低下や下記に示すような各種金属の腐食が一層大きな問題となって来ている。
上述のように、低リン化に伴うZnDTPの添加量の削減、低粘度化による基油の熱安定性などの低下から、その酸化防止作用には限度が見られる。
また、パワーステアリングオイルの銅の腐食に関して、アルキル基の炭素数が1〜20のジアルキルジチオリン酸亜鉛、アルキル基の炭素数が1〜20のジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛を0.05〜5.0wt%及び金属清浄剤0.05〜5.0wt%を含有する油圧作動油組成物も知られているが、エンジン油に比べて作動温度領域が低く銅腐食の対策としては未だ不充分である。特に、銅腐食に対してジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛のハイドロカルビル基はアルキル基であり、実施例には炭素数が3のジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛が示されているにすぎない。(特許文献4)
基油として用いられるグループ2の鉱油は、100℃の動粘度が1.4〜50mm2/sで、好ましくは1.5〜35mm2/s、より好ましくは3.0〜25mm2/s、粘度指数が100〜120、流動点が−10℃以下で、飽和分が90%以上、芳香族分が3%以下のものである。
これらの基油は100℃の動粘度が1.4〜50mm2/s、好ましくは1.5〜35mm2/s、より好ましくは3.0〜25mm2/s、粘度指数は120以上がよい。また全硫黄分は100ppm未満、好ましくは10ppm未満が良い。全窒素分も10ppm未満、好ましくは1ppm未満が良い。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは110〜135℃のものを使用するのが好ましい。
オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリα-オレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ポリα-オレフィンは、1種のα-オレフィンを単独重合させたり、2種以上のα-オレフィンを共重合させることで製造することができる。
ジカルボン酸ジエステルとしては、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、ジエチルマロン酸、グルタル酸、ジメチルグルタル酸、ジエチルグルタル酸、ジn−プロピルグルタル酸、ジイソプロピルグルタル酸、ジブチルグルタル酸、アジピン酸、ジメチルアジピン酸、ジエチルアジピン酸、ジプロピルアジピン酸、ジブチルアジピン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、エチルコハク酸、ジエチルコハク酸、ジプロピルコハク酸、ジブチルコハク酸、ピメリン酸、テトラメチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸などの脂肪族ジカルボン酸と、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノールなどの1価のアルコールとのジエステルが挙げられる。なお、ジカルボン酸分子中の2つのカルボン酸とエステルを形成する1価のアルコールは1種類であっても2種類であってもよい。
そして、このジヒドロカルビルジチオカルバミン酸亜鉛は微量で効果が見られ、組成物全量に対して亜鉛量で50〜1000ppm程度用いるようにすればよい。50ppm未満では本来の酸化防止性や腐食防止性の効果は認められず、逆に1000ppmを超えて添加しても機能は飽和しているため不経済である。
また、エンジンオイルには、上記のジヒドロカルバミン酸亜鉛に加えて、金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤や消泡剤などを必要に応じて添加することが出来る。
上記ジヒドロカルバミン酸亜鉛においてアリール基を有するものと、アルキル基を有するものとの性状の相違を知るために熱天秤分析の試験を行って検討した。
アリール基を有するものとしてジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(サンセラーZ-BE)を使用し、アルキル基を有するものとしてジアミルジチオカルバミン酸亜鉛(Vanlube−AZ)を使用した。
上記サンセラーZ-BEは、白色粉末であり、亜鉛量は10質量%である。
上記Vanlube−AZは、油状液体であり、亜鉛量は6質量%である。
一方、バンルーブ−AZ(Vanlube-AZ)では、5%の重量減少率を示す温度は148.7℃と上記に比べて164℃も低温であり、80%重量減少率の温度もの339.8℃と31℃以上も低くなっている。また、365.3℃に上昇時の重量減少率は97.2重量%で、僅かに2.8重量%しか残存していない。
こうした温度差と重量減少率が見られることから、高温下においてアリール基を有するサンセラーZ-BEが熱安定性に優れていることが判る。
実施例及び比較例の調製にあたり、下記の組成材料を用意した。
1.基油: グループ3の鉱油(特性値:40℃動粘度;35.0mm2/s、100℃動粘度;6.50mm2/s、粘度指数;141)
2.添加剤
(2−1)ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(サンセラーZ-BE;三新化学工業株式会社製)
(2−2)テトラベンジルチウラムジスルフィド(チウラムTBZTD;三新化学工業株式会社製)
(2−3)フェノール系酸化防止剤:ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−,C7−C9側鎖アルキルエステル(L135;豊通ケミプラス株式会社製)
(2−4)アミン系酸化防止剤:N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物(L57;豊通ケミプラス株式会社製)
(2−5)ジアルキルジチオカーバメート:メチレンビス−ジブチルジチオカーバメート(Van7723;バンダービルド社製)
(2−6)ジチオカルバミン酸亜鉛:ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛(Vanlube−AZ;バンダービルド社製)
上記した組成材料を用いて、表2に示す組成により実施例1〜5を、表3に示す組成により比較例1〜6の潤滑油組成物を調製した。
上記実施例1〜5及び比較例1〜6の各潤滑油組成物について、40℃動粘度(mm2/s)、100℃動粘度(mm2/s)を求めた。
上記実施例1〜5及び比較例1〜6の各潤滑油組成物について、その性能を見るために以下の試験を行った。
試験機器および試験方法はJIS K 2514に準拠し、試料中に触媒を浸し、165℃で96時間、かき混ぜ棒で試料をかき混ぜて酸化させた後、未酸化油の性状と比較し、100℃粘度増加率(%)を以下の式により求める。
100℃粘度増加率%=
100×(100℃の試験後の劣化油動粘度−試験前の動粘度)/(100℃の試験前の動粘度)
なお、実施例及び比較例は、加えた添加剤量が極微のため、新油時の動粘度に小数点2以下では変化が無かったため、@100℃の動粘度が6.501mm2/s、@40℃の動粘度が35.0mm2/sを各々の新油の動粘度として使用している。
JIS K2501の中和価試験方法のうちの、電位差滴定法により、ISOT後の酸価から新油時の酸価を引いて、新油時に対する変化量を求めた。
酸価増加量(mgKOH/g)=(ISOT後の酸価)−(新油時の酸価)
JIS K2513に基づき、試料油を入れた試験管に、所定の手順で研磨した銅板試験片を浸漬した状態で、温度165℃の恒温槽内に、72時間放置した後、試験片を取り出し、試験片の変色状態を目視で評価した。
銅版の腐食程度の判定はASTM D180に基づき行った。
変色番号1(a,b):わずかに変色
変色番号2(a,b,c,d,e):中程度に変色
変色番号3(a,b):濃く変色
変色番号4(a,b,c):腐食
〔注:aからeに向かって変色の状態が激しくなる。〕
上記物性測定及び各試験の結果を表2、表3に示す。
表2に示すように実施例1及び実施例2の、グループ3基油にジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(サンセラーZ-BE)を0.11質量%、0.55質量%添加したものは、100℃の粘度増加率においてほとんど増加を示していない。また、既存のアミン系酸化防止剤を併用した実施例4及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を併用添加した実施例5においても粘度増加が見られない。実施例3のフェノール系酸化防止剤とテトラベンジルチウラムジスルフィドをさらに併用添加したものでも粘度増加が見られない。このようにジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛に既存の酸化防止剤を併用しても酸化防止性能には影響しないことが判った。
また、実施例1〜5のものは、全酸価増加量が0.06〜0.09mgKOH/gが低く、銅への腐食防止性も新油で165℃×72時間という厳しい条件下でも1bと良好な結果が得られている。そして、酸化防止性能などは、実施例1のジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛を0.11質量%添加したものと、実施例2の0.55質量%添加したものと同等であり、0.11質量%の添加量ですでに飽和に達していること、及び5倍量添加しても悪影響がないことが判った。
一方、表3に示すように、比較例1は基油そのものをISOTで酸化したものであるが、100℃の粘度増加率は49%と大幅な増粘を示している。また、銅版腐食は実施例とほぼ同様であるが、全酸価の増加量は約11mgKOH/gと増加している。
また、比較例3では既存のヒンダードフェノール系酸化防止剤を、比較例4では既存のアミン系酸化防止剤を、比較例5ではジアルキルジチオカルバメートを、比較例5ではアミン系酸化防止剤を、比較例6はジアミルジチオカルバミン酸亜鉛(Vanlube−AZ)を使用したものであり、比較例2はフェノール系酸化防止剤とテトラベンジルチウラムジスルフィドを併用したものであるが、いずれも粘度増加率は13.5〜36%と増粘しており、全酸価の増加量も7.45〜9.63と大きく増えている。そして、銅版腐食においても比較例1、3は実施例と同様に1bであるが、比較例2、4、5では2a、比較例6では2cと腐食の程度が進んでいる。
このように、実施例のものでは、良好な結果が得られていることが判った。
Claims (3)
- 上記ジヒドロカルビルジチオカルバミン酸亜鉛が、熱天秤(空気気流中、5℃/分)により重量減少率が80wt%で、温度が350℃以下のものである請求項1に記載の潤滑油組成物。
- 金属清浄分散剤、無金属清浄分散剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、防錆剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤の少なくとも1つを更に含有する請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
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