JP2012131788A - 薄膜トランジスタにおけるテトラヒドロテトラアザアセン - Google Patents

薄膜トランジスタにおけるテトラヒドロテトラアザアセン Download PDF

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Abstract

【課題】電子機器(例えば、薄膜トランジスタ)の半導体として有用なアセン類化合物の提供。
【解決手段】式(I)の化合物が開示されており、

式(I)式中、R〜R14、x、yおよびzは、R〜R14が、H、アルキル、アリール等であり、x、y、zは1〜4の整数等である。この化合物は、薄膜トランジスタのような電子機器のための半導体材料として有用である。
【選択図】なし

Description

本出願は、同時に出願された米国特許出願番号(代理人書類番号20100108−US−NP、XERZ 202513US01)に関する。この出願の開示内容は、本明細書に参考として完全に組み込まれる。
本開示は、テトラヒドロテトラアザアセンとして知られる化合物およびその誘導体に関する。これらのアセン類は、電子機器(例えば、薄膜トランジスタ)の半導体として特に有用である。これらのアセン類は、優れた性能特性を有している。
薄膜トランジスタ(TFT)は、現代の電子機器(例えば、センサ、画像スキャナ、記憶デバイス、無線自動識別タグ、電子表示デバイスを含む)において基本的な構成要素である。通常は、製造コストがかなり安いというだけではなく、物理的に小型であり、軽量であり、柔軟性であるといった魅力的な機械特性や、優れた性能特性を有するようなTFTを作ることが望ましい。有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、上述の望ましい利点を有すると期待される。
OTFTは、一般的に、支持基板と、3種類の導電性電極(ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極)と、チャネル半導体層と、ゲート電極を半導体層と分離する電気絶縁性のゲート誘電層とで構成されている。
既知のOTFTの性能を改良することが望ましい。性能の指標としては、半導体層の電荷キャリア移動度がある。電荷キャリア移動度は、単位cm/V・secで測定され、移動度が大きいことが望ましい。
高い電界効果移動度を有する最も小さな有機半導体は、ペンタセンに基づくものである。しかし、ペンタセンは溶解度が低く、高価な高真空蒸着プロセスの使用が必要である。可溶性のペンタセン誘導体は、空気にさらされると溶液中で酸化してしまう傾向があり、周囲条件で溶液から機器を製造することができない。広い用途で、移動度を顕著に改良するための新しい技術を開発する必要がある。
本開示は、半導体または半導体材料として有用なテトラヒドロテトラアザアセンに関する。これらのアセン類は、固体状態でも溶液状態でも、特にペンタセンと比較した場合、空気中で高い安定性を示す。また、このアセン類は、得られる電気特性、溶解特性、酸化安定特性を変えるために、簡単に官能基化することもできる。
式(I)の化合物が開示されており、
式(I)
式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択され;xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;zは、1〜3の整数である。
ある実施形態では、x、yおよびzは1であり、R〜R14は水素である。
他の実施形態では、RとRは、互いに同じであり、RとR10は、互いに同じであり、Rは、Rとは異なっている。
ある場合には、R、R、RおよびR10は、水素ではない。
他の態様では、R、R、RおよびR10は、同じである。
化合物は、式(II)を有していてもよく、
式(II)
式中、R、R、RおよびR10は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールから選択され;R、R、R、R、R、R10、R12またはR14のうち、少なくとも1つは水素ではない。
より特定的には、化合物は、式(III)を有していてもよく、
式(III)
式中、R、R、RおよびR10は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、RまたはR10のうち、少なくとも1つは水素ではない。式(III)のある態様では、RとRは互いに同じであり、RとR10は互いに同じであり、Rは、Rとは異なっている。
他の場合、化合物は、式(IV)を有しており、
式(IV)
式中、R、R、R12およびR14は、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールから選択される。
式(IV)の特定の態様では、R、R、R12およびR14は、同じである。他の特定の態様では、RとR14は、互いに同じであり;RとR12は、互いに同じであり;Rは、Rとは異なっている。
また、基板と;基板の上に半導体層とを備える薄膜トランジスタが開示されており、この半導体層は、式(I)のテトラヒドロテトラアザアセンを含み、
式(I)
式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択され;xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;zは、1〜3の整数である。
ある場合には、x、yおよびzは1であり、R〜R14は水素である。
ある実施形態では、xとzは、互いに同じである。
他の実施形態では、yは、2〜4である。
さらなる実施形態では、R、R、R12およびR14は、同じである。
特定の実施形態では、RとRは、互いに同じであり、RとR10は、互いに同じであり、Rは、Rとは異なっている。
図1は、本開示のOTFTの例示的な実施形態である。 図2は、本開示のOTFTの第2の例示的な実施形態である。 図3は、本開示のOTFTの第3の例示的な実施形態である。 図4は、本開示のOTFTの第4の例示的な実施形態である。
明確にするために以下の記載で特定の用語を用いているが、これらの用語は、図面を説明するために選ばれた実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義したり、限定したりすることを意図したものではない。図面および以下の記載において、同様の数字による表示は、同様の機能を有する構成要素を指すと理解されるべきである。
ある量と組み合わせて使用される修飾語「約」は、記載されている値を含み、文脈によって示されている意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する、ある程度の誤差を少なくとも含む)。本文中のある範囲で用いられる場合、修飾語「約」は、2個の端点の絶対値によって定義される範囲も開示していると考えるべきである。例えば、「約2〜約10」の範囲は、「2〜10」の範囲も開示している。
本開示は、式(I)を有する化合物に関し、
式(I)
式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールから選択され;xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;zは、1〜3の整数である。式(I)の化合物は、テトラヒドロテトラアザアセンとして知られていることもある。
用語「アルキル」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されており、完全に飽和であり、式−C2n+1を有する置換基を指す。アルキル置換基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。
用語「アルケニル」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されており、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む置換基を指す。
用語「アルキニル」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されており、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む置換基を指す。
三重結合は、二重結合とは考えず、二重結合は、三重結合とは考えない。二重結合と三重結合を含む置換基は、アルキニル置換基と考えるべきであり、アルケニル置換基と考えるべきではない。
用語「アリール」は、完全に炭素原子と水素原子とで構成されている芳香族置換基を指す。アリールは、ある数値範囲の炭素原子と組み合わせて記載される場合、置換された芳香族置換基を含むと解釈するべきではない。例えば、句「炭素原子を6〜10個含むアリール」は、フェニル基(炭素原子6個)またはナフチル基(炭素原子10個)のみを指すと解釈すべきであり、メチルフェニル基(炭素原子7個)を含むと解釈すべきではない。
用語「置換された」は、記載されている置換基の上にある少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン、−CN、−NO、−COOH、−SOHおよび−SiR(Rはアルキル)のような他の官能基で置換されていることを指す。例示的な置換アルキル基は、アルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、ヨウ素および臭素)と置き換わったペルハロアルキル基である。例示的な置換アルキニル基は、2−トリメチルシリル−エチニルである。
一般的に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、それぞれ独立して、炭素原子を1〜30個含む。同様に、アリール基は、独立して、炭素原子を6〜30個含む。
式(I)の特定の一実施形態では、x、yおよびzは1であり;R〜R14は水素である。この化合物は、5,7,12,14−テトラヒドロ−5,7,12,14−テトラヒドロアザペンタセンであり、TH−TAPと省略されてもよく、式(1)の構造を有している。
式(1)
式(I)の他の特定の実施形態では、RとRは、互いに同じであり、RとR10は、互いに同じであり、Rは、Rとは異なっている。例えば、RおよびRは、置換されていてもよく(すなわち、水素ではなく)、一方、RおよびR10は水素である。別の例として、RおよびR10は、置換されていてもよく、一方、RおよびRは水素である。
式(I)の他の実施形態では、R、R、RおよびR10は、水素ではない。ある実施形態では、R、R、RおよびR10は、同じであり、水素ではない。
式(I)のある実施形態では、xとzは、互いに等しい。その他の場合、yは、2〜4である。さらに他の態様では、R、R、R12およびR14は、同じであり、水素ではない。式(I)の他の特定の実施形態では、x、yおよびzは1である。
特定の実施形態では、化合物は、式(II)を有しており、
式(II)
式中、R、R、RおよびR10は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択され;R、R、R、R、R、R10、R12またはR14のうち、少なくとも1つは水素ではない。
式(II)のある特定の実施形態では、RとRは、互いに同じであり;RとR10は、互いに同じであり;Rは、Rとは異なっている。さらに特定の実施形態では、RおよびRは、水素ではない。
式(II)の他の特定の実施形態では、R、R、R、R、R、R10、R12またはR14は、いずれも水素ではなく;RとRは、互いに同じであり;RとR10は、互いに同じであり;Rは、Rとは異なっている。
式(II)の他の態様では、R、R、R12およびR14は、同じであり、水素ではない。
他の実施形態では、R、R、RおよびR10は、水素ではなく、または言い換えると、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールから選択される。式(II)の代替的な態様としては、R、R、R、R10は、同じであり、水素ではない。
他の特定の実施形態では、化合物は、式(III)を有しており、
式(III)
式中、R、R、RおよびR10は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールから選択され;R、R、RまたはR10のうち、少なくとも1つは水素ではない。
式(III)のある特定の実施形態では、RとRは、互いに同じであり;RとR10は、互いに同じであり;Rは、Rとは異なっている。さらに特定の態様では、RおよびRは、水素ではない。
他の実施形態では、R、R、RおよびR10は、水素ではなく、または言い換えると、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールから選択される。式(III)の代替的な態様では、R、R、RおよびR10は、同じであり、水素ではない。
他の特定の実施形態では、化合物は、式(IV)を有しており、
式(IV)
式中、R、R、R12およびR14は、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールから選択される。
式(IV)の特定の態様では、R、R、R12およびR14は、同じである。他の特定の態様では、RとR14は、互いに同じであり;RとR12は、互いに同じであり;Rは、Rとは異なっている。
一般的に言えば、置換基Rは、化合物の溶解度を上げ、発色団の性質を変え、半導体の性質を調節し、固体状態での充填状態に影響を与え、および/または化合物の酸化安定性を改良するように選択される。
式(I)の低分子半導体化合物は、適切な反応剤の縮合反応によって製造することができる。例えば、1,2−フェニレンジアミンを、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼンと反応させ、以下に示すような式(I)の化合物を作成することができる。
一般的に、これらの化合物は、式(A)を有する少なくとも1つの1,2−ジアミノベンゼン化合物2モル単位と、式(B)を有する1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン化合物1モル単位とを反応させることを含むプロセスによって作られてもよく、
式中、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ケトニル、アリールアルキルおよびハロゲンからなる群から選択され;R’およびR”は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリールからなる群から選択され;R、R、R、Rは、独立して、水素、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択される。
用語「ケトニル」は、酸素原子に二重結合によって結合し、アルキル基または置換アルキル基に単結合によって結合した炭素原子を含む置換基、すなわち、−(C=O)−Rを指す。例示的なケトニル置換基は、メチルカルボニル(−COCH)である。
用語「アリールアルキル」は、アルキレン置換基に接続した芳香族置換基を指す。アルキレン置換基は、完全に飽和な炭素原子で構成され、2個の異なる原子との単結合を形成する能力を有する。アリールアルキル基も置換されていてもよい。例示的なアリールアルキル置換基としては、ベンジル(−CH−C)が挙げられる。
ある実施形態では、式(A)および式(B)の2種類の出発物質の固体混合物を不活性雰囲気(窒素(N)またはアルゴン)下で加熱することによって反応が起こる。
他の実施形態では、式(A)のジアミノベンゼンと、式(B)のテトラヒドロキシベンゼンとを溶媒に溶解し、加熱する。
いくつかの実施形態では、ジアミノベンゼン化合物と、テトラヒドロキシベンゼン化合物とを、溶媒が存在しない状態で混合する場合には、300℃より高い温度(約300℃〜約500℃、約300℃〜約450℃を含む)で約30秒間〜約10分間加熱する。このような加熱は、トーチを用いて行ってもよい。または、ジアミノベンゼン化合物と、テトラヒドロキシベンゼン化合物とを、溶媒が存在しない状態で混合する場合には、約110℃〜約250℃の温度(約150℃〜約200℃を含む)で約30分間〜約12時間加熱する。溶媒に溶解する場合、ジアミノベンゼン化合物と、テトラヒドロキシベンゼン化合物とを、約80℃〜約110℃の温度で加熱する。ジアミノベンゼン化合物と、テトラヒドロキシベンゼン化合物とを約30分間〜約12時間加熱する。この加熱は、例えば、乾燥機で行ってもよい。
上述のように、加熱する前に、ジアミノベンゼン化合物と、テトラヒドロキシベンゼン化合物とを溶媒に溶解してもよい。例示的な溶媒としては、カルボン酸(例えば、酢酸、メタン酸、エタン酸、オクタデカン酸、プロピオン酸、(Z)−9−オクタデカン酸、ベンゼンカルボン酸、プロパン二酸、ブタン二酸など)、およびこれらの組み合わせ;極性の非プロトン性溶媒(例えば、NMP、DMF、DMA、DMSOなど)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
反応後、テトラアザペンタセン化合物をアセトンまたは種々の他の溶媒(例えば、メタノール、トルエン、THFおよびジエチルエーテル)で洗浄し;例えば、減圧乾燥機で乾燥させてもよい。乾燥は、典型的には、約60℃の温度で約8時間〜約12時間行う。昇華または酸を通すことによって、生成物をさらに精製してもよい。
TH−TAPの誘導体も望ましい場合がある。例えば、A環およびE環(すなわち、末端のフェニル環)の置換基は、溶解度の助けとなる場合があり、発色団を伸ばして半導体の性質を調節し、および/または固体状態の充填状態に影響を与える場合がある。式(A)の化合物中のR、R、RおよびRのうち、少なくとも1つが水素ではないときに、これらの置換が起こる。特定の実施形態では、R、R、RおよびRのうち、少なくとも1つは、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニルから選択される。
他の実施形態では、窒素原子が置換されている。このような置換は、溶解度の助けとなる場合があり、発色団を伸ばして半導体の性質を調節し、固体状態の充填状態に影響を与え、および/または化合物の酸化安定性を高める場合がある。R’およびR”のうち、少なくとも1つが水素ではないときに、これらの置換が起こる。特定の実施形態では、R’およびR”のうち、少なくとも1つが置換アルキルおよび置換アリールから選択される。
C環(すなわち、内部のフェニル環)の置換が望ましい場合もある。式(B)の化合物中のRおよびRのうち、少なくとも1つが水素ではないときに、これらの置換が起こる。特定の実施形態では、RおよびRのうち、少なくとも1つが、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニルから選択される。
対称形のテトラヒドロテトラアザペンタセン誘導体は、以下の反応(1)に示されるように、式(A)を有するジアミノベンゼン化合物2当量を用い、式(B)を有するテトラヒドロキシベンゼン化合物と反応させることによって調製してもよい。
反応(1)
A環とE環の置換基が異なることが望ましい場合には、反応(2)および(3)を利用してもよい。第1に、反応(2)に示されるように、第1のジアミノベンゼン1当量と、テトラヒドロキシベンゼンとを反応させる。言い換えると、第1のジアミノベンゼン化合物とテトラヒドロキシベンゼン化合物とのモル比は約1:1である。
反応(2)
次に、反応(3)において、反応(2)で製造された中間体生成物を、第2のジアミノベンゼン化合物と反応させる。第2のジアミノベンゼン化合物は、第1のジアミノベンゼン化合物とは異なっている。
反応(3)
反応(4)において、C環が置換され、すなわち、RおよびRの片方または両方が水素ではない。この結果は、テトラヒドロキシベンゼン化合物上の適切な置換基によって達成されてもよい。
反応(4)
反応(5)において、B環および/またはD環の1個以上の窒素原子が置換される。この結果は、ジアミノベンゼンの1個のアミン基または両方のアミン基を置換することによって達成されてもよい。
反応(5)
窒素原子の置換基が同じである場合、対称形のB環とD環の誘導体が調製される。窒素原子の置換基が異なる場合、非対称な位置異性体の混合物が調製される。
上の反応(1)〜(5)の考え方を組み合わせ、テトラアザペンタセン骨格のすべての位置に置換基を有する化合物を製造してもよい。製造される化合物によっては、モル過剰量のジアミノベンゼン化合物を加え、反応を完結させる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのジアミノベンゼン化合物とテトラヒドロキシベンゼン化合物とのモル比は、2:1〜約2.5:1である。
B環および/またはD環の窒素原子上に置換基を有する化合物も、TH−TAPを官能基化することによって調製することができる。一般的に言えば、、式(A)のN置換された化合物は、TH−TAPと、側鎖を生成する反応剤とを反応させ、N置換されたTH−TAP化合物を得ることによって作られる。側鎖を生成する反応剤は、A環、C環またはE環のいずれかの炭素原子ではなく、窒素原子と選択的に反応する。例えば、反応(6)、(7)、(8)および(9)に示されるように、N置換された化合物は、アルキル化反応またはクロスカップリング反応によって得ることができ、
反応(6)
反応(7)
反応(8)
反応(9)
反応(6)〜(8)において、各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり、反応(9)において、Rは、トリアルキルシリルであってもよい。反応(8)の窒素原子上の置換基全体が、アルケニル置換基または置換アルケニル置換基と考えてもよいことを注記しておく。反応(9)の窒素原子上の置換基全体が、アルキニル置換基または置換アルキニル置換基と考えられるだろう。
一般的に、側鎖を生成する反応剤は、式(C)を有しており、
X−L−R15
式(C)
式中、Xは、ハロゲンまたは水素であり;R15は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ケトニルおよびアリールアルキルから選択され;Lは、二価の結合部分である。用語「二価の結合部分」は、2個の異なる原子と単結合を形成し、これらの2個の異なる原子を互いに接続することができる任意の部分を指す。式(C)で有用であり得る例示的な二価の結合部分としては、カルボニル(−C(=O)−)、単結合(すなわち、式は、X−R15になる)、エテニル(−CH=CH−)、アセチレニル(−C≡C−)が挙げられる。
ある実施形態では、側鎖を生成する反応剤は、N置換されたTH−TAP化合物を得るために、還元される。例えば、反応(10)において、TH−TAPを酸塩化物と反応させ、ケトニル置換基を有するN置換された化合物を得ることができる。所望な場合、得られた中間体を還元し、アルキル置換基または置換アルキル置換基を得てもよい。任意の適切な還元剤を用いてもよく、LiAlHは、単なる例である。
反応(10)
異なる置換基を有するN置換された化合物は、所望な場合、側鎖を生成する試薬に比べて過剰のTH−TAP化合物を用い、反応(6)〜(10)を順に行うことによって製造することができる。
式(I)の化合物を、電子機器(例えば、薄膜トランジスタ)の半導体層における半導体として用いてもよい。半導体層は、式(I)の化合物と、ポリマーバインダーとを含む半導体組成物から作られてもよい。ポリマーバインダーは、式(I)の化合物が分散したマトリックスを作ると考えてもよい。
例示的なポリマーバインダーとしては、ポリチオフェン、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(経皮酸ビニル)、トリアリールアミンポリマー、ポリシロキサン、およびこれらの混合物が挙げられる。
式(I)の化合物とポリマーバインダーとの重量比は、2:1〜3:4であってもよい。
半導体組成物は、式(I)の低分子半導体およびポリマーバインダーが可溶性であるような溶媒をさらに含んでいてもよい。溶液中で用いられる例示的な溶媒としては、DMSO、DMA、NMPなどが挙げられてもよい。
任意要素の架橋剤、任意要素の触媒も、半導体組成物に存在していてもよい。一般的に言えば、架橋剤は、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシなどのような架橋基を少なくとも2個含んでおり、アモルファス分子材料の官能基と反応し、架橋剤または架橋剤の一部を含む架橋した網目構造またはマトリックスを形成することができる。例示的な架橋剤としては、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、1,3,4,6−テトラキス(メトキシルメチル)グリコールウリルが挙げられる。任意要素の触媒は、トルエンスルホン酸(TSA)のような酸触媒であってもよい。光酸発生剤(すなわち、光を照射すると酸を発生する化合物)を酸触媒として用いる場合、半導体層は、望ましい構造になるようにパターン化されてもよい。このような光酸発生剤は、当該技術分野で知られており、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネートなどが挙げられる。また、任意要素の触媒は、塩基であってもよい。例示的な塩基触媒としては、トリエチルアミンのような有機アミン、ホスファン、カルボニル、ニトロシル、N−ヘテロ環カルビン配位子、イミダゾリジノン、ピロリジン誘導体などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、低分子半導体とポリマーバインダーとを含む半導体組成物は、粘度が約1センチポイズ(cps)〜30cps、または望ましくは、1cps〜20cpsである。
半導体層は、当該技術分野で知られている従来のプロセスを用い、電子機器中で作られてもよい。いくつかの実施形態では、半導体層は、溶液析出法を用いて作られる。例示的な溶液析出技術としては、スピンコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、浸漬コーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スタンピング、ステンシル印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。例示的な電子機器としては、薄膜トランジスタ、光電池、センサ、メモリ、発光ダイオードが挙げられる。また、半導体層は、真空蒸着されてもよい。
図1は、第1の有機薄膜トランジスタ(OTFT)の実施形態または構造を示す。OTFT10は、ゲート電極30と接する基板20と、誘電層40とを備えている。ゲート電極30は、ここでは基板20の内部に示されているが、必須ではない。しかし、誘電層40が、ゲート電極30を、ソース電極50、ドレイン電極60、半導体層70と分離していることが重要である。ソース電極50は、半導体層70と接している。また、ドレイン電極60は、半導体層70とも接している。半導体層70は、ソース電極50およびドレイン電極60を覆うように、これらの間にある。任意要素の界面層80が、誘電層40と半導体層70との間に配置されている。
図2は、第2のOTFTの実施形態または構造を示す。OTFT10は、ゲート電極30と接する基板20と、誘電層40とを備えている。半導体層70は、誘電層40を覆うか、または誘電層40の上部に配置されており、誘電層40を、ソース電極50、ドレイン電極60と分離している。任意要素の界面層80が、誘電層40と半導体層70との間に配置されている。
図3は、第3のOTFTの実施形態または構造を示す。OTFT10は、ゲート電極としても作用する基板20を備えており、基板20は、誘電層40と接している。半導体層70は、誘電層40を覆うか、または誘電層40の上部に配置されており、誘電層40を、ソース電極50、ドレイン電極60と分離している。任意要素の界面層80が、誘電層40と半導体層70との間に配置されている。
図4は、第4のOTFTの実施形態または構造を示す。OTFT10は、ソース電極50、ドレイン電極60、半導体層70と接する基板20を備えている。半導体層70は、ソース電極50およびドレイン電極60を覆うように、これらの間にある。誘電層40は、半導体層70の上部にある。ゲート電極30は、誘電層40の上部にあり、半導体層70とは接していない。任意要素の界面層80が、誘電層40と半導体層70との間に配置されている。
半導体組成物を用いて作られた半導体層は、深さが約5ナノメートルから約1000ナノメートルであってもよい(約20〜約100ナノメートルを含む)。特定の構造(例えば、図1および図4に示される構造)において、半導体層は、ソース電極とドレイン電極を完全に覆っている。
薄膜トランジスタは、一般的に、半導体層に加え、基板と、任意要素のゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、誘電層とを備えている。
基板は、限定されないが、ケイ素、ガラス板、プラスチック膜またはシートを含む材料で構成されていてもよい。構造的に可とう性の機器では、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドのシートなどのようなプラスチック基板が好ましい場合がある。基板の厚みは、約10マイクロメートルから10ミリメートルを超えていてもよく、例示的な厚みは、特に、可とう性プラスチック基板の場合には、約50〜約100マイクロメートル、ガラスまたはケイ素のような剛性基板の場合には、約0.5〜約10ミリメートルであってもよい。
誘電層は、一般的に、無機材料の膜、有機材料の膜、または有機−無機コンポジットの膜であってもよい。誘電層として適する無機材料の例としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムジルコニウムなどが挙げられる。適切な有機ポリマーの例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、エポキシ樹脂などが挙げられる。誘電層の厚みは、使用される材料の誘電率によって変わり、例えば、約10ナノメートル〜約500ナノメートルであってもよい。誘電層は、導電率が、例えば、約10−12ジーメンス/センチメートル(S/cm)未満であってもよい。誘電層は、ゲート電極を作成するときに記載したプロセスを含む、当該技術分野で知られる従来のプロセスによって作られる。
本開示において、誘電層は、表面改質剤で表面が改質されていてもよい。表面改質剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)およびオクチルトリクロロシラン(OTS−8)が挙げられる。半導体層は、この改質された誘電層表面に直接接していてもよい。完全に接触していてもよいし、部分的に接触していてもよい。この表面改質は、誘電層と半導体層との間に界面層を作成すると考えることもできる。
ゲート電極は、導電性材料で構成されている。ゲート電極は、金属の薄膜、導電性ポリマー膜、導電性インクまたはペーストから作られる導電性膜、または基板自体(例えば、高濃度にドープされたケイ素)であってもよい。ゲート電極の材料の例としては、限定されないが、アルミニウム、金、銀、クロム、インジウムスズ酸化物、導電性ポリマー、例えば、ポリスチレンスルホネートがドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PSS−PEDOT)、カーボンブラック/グラファイトで構成される導電性インク/ペーストが挙げられる。ゲート電極は、減圧エバポレーション、金属または導電性金属酸化物のスパッタリング、従来のリソグラフィーおよびエッチング、化学真空蒸着、スピンコーティング、鋳造または印刷、または他の堆積プロセスによって調製されてもよい。ゲート電極の厚みは、例えば、金属膜の場合には、約10〜約200ナノメートル、導電性ポリマーの場合には、約1〜約10マイクロメートルの範囲である。ソース電極およびドレイン電極として用いるのに適した、典型的な材料としては、アルミニウム、金、銀、クロム、亜鉛、インジウム、導電性金属酸化物、例えば、亜鉛−ガリウム酸化物、インジウムスズ酸化物、インジウム−アンチモン酸化物、導電性ポリマーおよび導電性インクのようなゲート電極の材料が挙げられる。ソース電極およびドレイン電極の典型的な厚みは、例えば、約40ナノメートル〜約1μmであり、より特定的な厚みは、約100〜約400ナノメートルである。
ソース電極およびドレイン電極として用いるのに適した、典型的な材料としては、金、銀、ニッケル、アルミニウム、白金、導電性ポリマーおよび導電性インクのようなゲート電極の材料が挙げられる。特定の実施形態では、電極材料は、半導体に対する接触抵抗が低い。典型的な厚みは、例えば、約40ナノメートル〜約1μmであり、より特定的な厚みは、約100〜約400ナノメートルである。本開示のOTFTデバイスは、半導体チャネルを含む。半導体チャネルの幅は、例えば、約5マイクロメートル〜約5ミリメートルであってもよく、特定的なチャネルの幅は、約100マイクロメートル〜約1ミリメートルである。半導体チャネルの長さは、例えば、約1μm〜約1ミリメートルであってもよく、より特定的なチャネルの長さは、約5マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
ソース電極は、接地されており、ゲート電極に、例えば、約+10ボルト〜約−80ボルトの電圧がかけられる場合、半導体チャネルを通って移動する電荷キャリアを集めるために、例えば、約0ボルト〜約80ボルトのバイアス電圧がドレイン電極にかけられる。電極は、当該技術分野で既知の従来のプロセスを用いて作成されるか、または堆積されてもよい。
所望な場合、電気的性質を破壊し得る環境条件(例えば、光、酸素、水分など)から守るために、防御層をTFTの上部に堆積させてもよい。このような防御層は、当該技術分野で知られており、単にポリマーからなるものであってもよい。
OTFTの種々の要素を、任意の順序で基板の上に堆積させてもよい。しかし、一般的に、ゲート電極および半導体層は、両方ともゲート誘電層に接していなければならない。それに加え、ソース電極およびドレイン電極は、両方とも半導体層に接していなければならない。句「任意の順序で」は、順次作成すること、同時に作成することを含む。例えば、ソース電極およびドレイン電極を同時に作成してもよく、順次作成してもよい。用語基板「の上(on)」または基板「の上(upon)」は、基板の上部にある層および要素について、底部または支持板であるような基板に対する、種々の層および要素を指す。言い換えると、すべての要素は、すべてが基板と直接接していない場合であっても、基板の上にある。例えば、誘電層および半導体層は、一方の層が他の層よりも基板に近い場合であっても、両方とも基板の上にある。得られたTFTは、良好な移動度を有し、良好な電流オン/オフ比を有する。
以下の実施例は、本開示の方法にしたがって製造された化合物および電子機器を示す。この実施例は、単なる説明であり、ここに記載した材料、条件またはプロセスパラメータに関し、本開示を限定することを意図したものではない。すべての部は、他の意味であると示されていない限り、重量%である。
(実施例1)
式(1)に対応する5,7,12,14−テトラヒドロテトラアザペンタセンを調製した。
1,2−フェニレンジアミン(8.37グラム、77mmol、2.2当量)および1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(5.0グラム、35.2mmol、1当量)を、すり鉢とすりこぎを用いて粉砕し、コハク色の瓶に移し、十分にアルゴンを流した。この瓶を密閉し、180℃の乾燥機に4時間入れておいた。未精製の生成物を真空トレインサブリメーション(サンプルの炉温360℃)によって精製し、緑色の金属光沢がある暗紫色(黒色)固体として生成物を得た。
この生成物は、昇華温度が約350℃であった。この生成物は、DMSO、DMF、NMPおよびTHFに難溶性であり、アルコールおよび炭水化物にほとんど溶解しなかったか、まったく溶解しなかった。ソルバトクロミック挙動も観察され、DMSO中で、鮮やかな蛍光の赤色/桃色が観察された。また、生成物を強酸(HCl、HSO)でプロトン化し、深赤色溶液を作成してもよい。または、この生成物を強塩基(NaOH)で脱プロトン化し、深青色溶液を作成してもよい。
DSCでは、350℃までの温度では、なんら熱的事象は観察されなかった。
TGAでは、300℃で1%未満の消失があり、450℃で4%未満の消失があり、主要な生成物の消失は、550℃付近で始まった。
分子量は286.1218Daであると算出された。MALDI−TOF質量分析を用い、分子量は285.8100Daであることが観察された。
(実施例2)
また、TH−TAPも以下に示すように調製することができる。1,2−フェニレンジアミン(799ミリグラム、7.39mmol、2.1当量)、ピロカテコール(500mg、3.52mmol、1当量)を、すり鉢とすりこぎを用いて粉砕し、コハク色の瓶に移し、十分にアルゴンを流した。このコハク色の瓶の蓋をしめ、180℃の乾燥機で4時間加熱した。このバイアルの側面に、緑色残渣が存在し、暗色(黒色)の残渣が底部に存在した。このサンプルを真空トレインサブリメーションで精製し、360℃で第1のゾーン(サンプル)、340℃で第2のゾーンがあり、緑色の金属光沢のある固体を得た。
(実施例3)
2,3,9,10−テトラメチル−5,7,12,14−テトラヒドロテトラアザペンタセンを調製した。この化合物は、以下の式(2)として示される。
式(2)
1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(2.0グラム、14.1mmol)、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(3.83グラム、28.2mmol)を、すり鉢とすりこぎを用いて粉砕し、アルゴン雰囲気下、しっかりと密閉したバイアルに入れた。このバイアルを180℃の乾燥機で4時間加熱し、次いで、空気中で開放し、冷却した。得られた物質をアセトンで数回洗浄し、濾過し、乾燥させた。
単離したサンプルの一部(2グラム)を、30分間かけてトリフルオロ酢酸(175mL)にゆっくりと加え、45分かけて溶解させた。得られた溶液を濾過し、不溶性の不純物を除去した。濾液(暗青色の混合物)を、氷冷した脱イオン水(700mL)にゆっくりと加えた。得られた沈殿を濾過によって集め、脱イオン水で再び懸濁させ、濾過し、50℃の減圧乾燥機で乾燥させ、生成物を青紫色の固体として得た(1.52グラム)。
(実施例4)
9,10−ジメチル−5,7,12,14−テトラヒドロアザペンタセンを調製した。この化合物は、以下の式(3)として示される。
1,2−フェニレンジアミン(761mg、7.04mmol、1当量)、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(1.00グラム、7.04mmol、1当量)をすり鉢とすりこぎを用いて粉砕し、コハク色の瓶に移し、十分にアルゴンを流した。この瓶を密閉し、180℃の乾燥機に3時間入れておいた。この瓶を室温まで冷却し、この物質を、すり鉢とすりこぎを用いて4,5−ジメチルフェニレンジアミン(958mg、7.04mmol、1当量)とブレンドした。この瓶にアルゴンを流し、密閉し、180℃の乾燥機に3時間入れておいた。このサンプルを乾燥機から取り出し、室温まで冷却した。このサンプルは、黒い(ちらちら光る緑色の)固体の塊であった。サンプルの重さは2.03グラムであり、収率が92%であることを示す。
(実施例5)
式(4)の化合物を調製した。
1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(158mg、1.11mmol、1.0当量)を、すり鉢とすりこぎを用いて微細粉末になるまで粉砕し、次いで、N,N’−ジメチル−o−フェニレンジアミン(303mg、2.22mmol、2.0当量)の入ったガラスバイアルに加えた。このバイアルに十分にアルゴンを流し、密閉し、次いで、フレームガンでわずかに加熱し、均質な固体を作成した。反応物を4時間で180℃まで加熱し、褐色固体を得た。
(実施例6)
式(5)の化合物を調製した。
式(5)
アルゴンで脱気した酢酸(2.5mL)の入ったバイアルに、N,N’−ジフェニル−o−フェニレンジアミン(131mg、0.50mmol、2.0当量)を加え、次いで、1,2,4,5−テトラヒドロキシベンゼン(35.6mg、0.25mmol、1.0当量)を加えた。その結果、桃色懸濁物になった。アルゴン雰囲気下、この反応物を加熱して5日間環流させた。すべての固体は、加熱すると初期に溶解し、透明溶液になった。この溶液は、5日間かけて徐々に色が濃くなり、暗色の沈殿が生成した。反応物は、5日後には完全に黒色になっていた。

Claims (2)

  1. 式(I)の化合物。
    式(I)
    〔式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択され;xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;zは、1〜3の整数である。〕
  2. 基板と;
    前記基板の上に半導体層とを備え、この半導体層が、式(I)のテトラヒドロテトラアザアセンを含み、
    式(I)
    式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR13は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、アリール、置換アリールおよびハロゲンから選択され;R、R、R12およびR14は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリールおよび置換アリールから選択され;xは、1〜3の整数であり;yは、1〜4の整数であり;zは、1〜3の整数である、薄膜トランジスタ。
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