JP2012131078A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦性に優れる印刷物を与えるインクジェット記録方法、及びその方法に用いられる水系インクを提供する。
【解決手段】〔1〕顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程(I)、及び得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程(II)を有するインクジェット記録方法、及び〔2〕その方法に用いられる水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びその方法に用いられるインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
最近では、印刷物に耐候性や耐水性を付与するために、着色剤として顔料を用いるインクが広く用いられている。
特許文献1には、印字後のカール抑制等の改善を目的として、顔料、ポリエチレングリコールモノ及び/又はジアルキルエーテルを10〜30重量%含み、水分量が50〜65重量%である水系インクを用いて、普通紙に1パスで印字するインクジェット記録方法が開示されている。
特許文献2には、吐出安定性、印字品質等の向上を目的として、6wt%以上の着色剤と水溶性有機溶剤を必須成分とし、普通紙に対する特定の吸収係数と接触角を有し、更にアニオン系又はノニオン系界面活性剤を含む水系インクを用いて印字するインクジェット記録方法が開示されている。
特許文献3には、記録画像の熱定着におけるオフセットの抑制を目的として、顔料、フッ素原子を含有する共重合体、及び水溶性有機溶剤を含有する水系インク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程、乾燥工程、画像を定着する熱定着工程を備えるインクジェット画像記録方法が開示されている。
特開2009−287015号公報 特開2003−213179号公報 特開2010−221415号公報
顔料インクを用いたインクジェット記録方式においては、印刷後の印刷物の表面に顔料粒子が残留するため、得られた印刷物同士が擦れあうことにより、顔料が剥がれて印字が薄くなるなどの問題があった。前記特許文献3のように熱定着等により、耐擦性を向上させる試みもなされているが、不十分であった。
本発明は、耐擦性に優れる印刷物を与えるインクジェット記録方法、及びその方法に用いられる水系インクを提供することを課題とする。
本発明者は、水系顔料インクで、上記の問題を解決するための方針として、インクが記録媒体に定着する際のインク溶媒の挙動が重要であると考えて検討を行った。その結果、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、特定のポリエチレングリコールヘキシルエーテル及び水を含有する水系インクをインクジェット方式によって記録媒体に塗布し、その印刷面を特定温度に加熱することによって、耐擦性に優れる印刷物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕下記工程(I)及び(II)を有するインクジェット記録方法。
工程(I):顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程
工程(II):工程(I)で得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程
〔2〕上記〔1〕のインクジェット記録方法に用いられる水系インク。
本発明によれば、耐擦性に優れる印刷物を与えるインクジェット記録方法、及びその方法に用いられる水系インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、下記工程(I)及び(II)を有することを特徴とする。
工程(I):顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程
工程(II):工程(I)で得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程
本発明のインクジェット記録方法により、耐擦性に優れる印刷物が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
工程(I)において、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテルは、水と任意に混和し、水系インクの表面張力を適度に下げるため、記録媒体に顔料を浸透させ易くする。次に工程(II)で、この記録媒体の記録面(印刷面)を50〜80℃に加熱することによって、ポリエチレングリコールヘキシルエーテルのポリエチレングリコール鎖とインク中の水との水素結合が切断されて水和度が減少し、水と混和していたポリエチレングリコールヘキシルエーテルが疎水的になり、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子中のポリマーを膨潤して、ポリマー粒子に含有された顔料と記録媒体とを強固に接着するために、耐擦性が向上するものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分、各工程について説明する。
[顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子]
本発明に用いられる顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、印字濃度の観点から、40〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましく、60〜100nmが更に好ましい。該平均粒径は、動的光散乱法で測定することができる。
<顔料>
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子に含有される顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物等が挙げられ、特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、赤色、青色、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。これらの中でも発色性の観点から、キナクリドン系顔料が好ましい。
また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料も好適に用いることができる。キナクリドン固溶体顔料は、β型、γ型等の無置換キナクリドンと、2,9−ジメチルキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド122)、又はβ型、γ型等の無置換キナクリドンと2,9−ジクロロキナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、4,11−ジクロロキナクリドン等のジクロロキナクリドンからなる。キナクリドン固溶体顔料としては、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19)と2,9−ジクロロキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド202)との組合せからなる固溶体顔料が好ましい。
本発明においては、自己分散型顔料を用いることもできる。自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基、又は第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、「他の原子団」としては、炭素数1〜12のアルカンジイル基、フェニレン基又はナフチレン基等が挙げられる。アニオン性ポリマー粒子に用いる場合には、親水性官能基が、カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基であることが好ましい。顔料を自己分散型顔料とするには、例えば、親水性官能基の必要量を、常法により顔料表面に化学結合させればよい。
親水性官能基の量は特に限定されないが、自己分散型顔料1g当たり100〜3,000μmolが好ましく、親水性官能基がカルボキシ基の場合は、自己分散型顔料1g当たり200〜700μmolが好ましい。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
<水不溶性ポリマー>
前記水不溶性ポリマー粒子には、水系インクの印字濃度向上の観点から、水不溶性ポリマーが用いられる。ここで、「水不溶性ポリマー」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量は好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。アニオン性ポリマーの場合、溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
用いられるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、水系インクの保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
水不溶性ビニル系ポリマーとしては、イオン性モノマー(a)(以下「(a)成分」ともいう)と、疎水性モノマー(b)(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位を有する。(b)成分由来の構成単位のなかでも、マクロマー由来の構成単位を含有するものが好ましい。
(イオン性モノマー(a))
イオン性モノマー(a)は、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子をインク中で安定に分散させる観点から、水不溶性ポリマーのモノマー成分として用いられる。イオン性モノマーとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられ、アニオン性モノマーが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、アニオン性ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましより好ましく、メタクリル酸が更に好ましい。
(疎水性モノマー(b))
疎水性モノマー(b)は、水分散体の分散安定性の観点から、水不溶性ポリマーのモノマー成分として用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー、マクロマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、これらを併用することも好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、水不溶性ポリマー粒子のインク中での保存安定性の観点から、水不溶性ポリマーのモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
マクロマーの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマーとしては、水不溶性ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、芳香族基含有モノマー系マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(ノニオン性モノマー(c))
モノマー混合物には、更に、ノニオン性モノマー(c)(以下「(c)成分」ともいう)が含有されていることが好ましい。
(c)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられ、なかでもポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレートが好ましく、これらを併用することがより好ましい。
商業的に入手しうる(c)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−20G、同40G、同90G等、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400等、PP−500、同800等、AP−150、同400、同550等、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
上記(a)〜(c)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
水不溶性ポリマー製造時における、上記(a)成分及び(b)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は水不溶性ポリマー中における(a)成分及び(b)成分に由来の構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、ポリマー粒子をインク中で安定に分散させる観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜80重量、更に好ましくは40〜70重量%である。
また、モノマー混合物中における〔(a)成分/(b)成分〕の重量比、すなわち、疎水性モノマー(b)由来の構成単位(疎水性モノマー(b)由来の構成単位が2種以上のときはその合計量)に対する塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位(塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位が2種以上のときはその合計量)の重量比〔(a)/(b)〕は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性、及びインクの印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
<水不溶性ポリマーの製造>
前記水不溶性ポリマーは、モノマー混合物を公知の重合法により共重合させることによって製造される。重合法としては溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性有機溶媒が好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられ、メチルエチルケトンが好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができるが、重合開始剤としては、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましく、重合連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノールが好ましい。
好ましい重合条件は、重合開始剤の種類等によって異なるが、重合温度は50〜80℃が好ましく、重合時間は1〜20時間であることが好ましい。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することができる。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子のインク中での分散安定性と、インクの印字濃度の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万がより好ましく、2万〜20万が更に好ましい。なお、重量平均分子量の測定は実施例に記載の方法により行うことができる。
<顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の製造>
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子は、水分散体として下記の工程(1)及び(2)を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、顔料、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
また、任意の工程であるが、更に工程(3)を行ってもよい。
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と架橋剤を混合し、架橋処理して水分散体を得る工程
(工程(1))
工程(1)は、水不溶性ポリマー、有機溶媒、顔料、及び水を含有する混合物を分散処理して、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体を得る工程である。
工程(1)では、まず、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。水不溶性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、顔料の順に加えることが好ましい。
水不溶性ポリマーを溶解させる有機溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、メチルエチルケトンが好ましい。水不溶性ポリマーを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
中和剤を用いる場合、分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
水不溶性ポリマーのアニオン性基の中和度は、分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
ここで中和度とは、中和剤のモル当量を水不溶性ポリマーのアニオン性基のモル量で除したものである。
混合物中、顔料は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの量に対する顔料の量の重量比〔顔料/水不溶性ポリマー〕は、分散安定性の観点から、50/50〜90/10であることが好ましく、60/40〜80/20であることがより好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散における温度は、0〜40℃が好ましく、5〜30℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、なかでも高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(工程(2))
工程(2)は、工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程である。
公知の方法で有機溶媒を除去することで、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られた顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、顔料を含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに顔料が内包された粒子形態、該ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
(工程(3))
工程(3)は、任意の工程であるが、工程(2)で得られた水分散体と架橋剤を混合し、架橋処理して水分散体を得る工程である。工程(3)を行うことが、水分散体及びインクの保存安定性の観点から好ましい。
ここで、架橋剤としては、水不溶性ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
架橋剤の好適例としては、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物、分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物、分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられ、これらの中では、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。
架橋剤の使用量は、水分散体及びインクの保存安定性の観点から、〔架橋剤/水不溶性ポリマー〕の重量比で0.3/100〜50/100が好ましく、1/100〜40/100がより好ましく、5/100〜25/100が更に好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該水不溶性ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、該ポリマーのアニオン性基0.1〜20mmolと反応する量であることが好ましく、0.5〜15mmolと反応する量であることがより好ましく、1〜10mmolと反応する量であることが更に好ましい。
架橋処理して得られた架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基を0.5mmol以上含有することが好ましい。
架橋ポリマーの架橋率は、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%、更に好ましくは30〜60モル%である。架橋率は、架橋剤の反応性基のモル数を、ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数で除したものである。
[ポリエチレングリコールヘキシルエーテル]
本発明に用いられるポリエチレングリコールヘキシルエーテルは、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30のものであり、下記式(1)で表される。
CH3(CH25−O−(CH2CH2O)n−H (1)
式(1)中、平均付加モル数nは4〜30であり、好ましくは4〜25、より好ましくは5〜20、より好ましくは5〜12、更に好ましくは5〜7である。
このポリエチレングリコールヘキシルエーテルは、水と任意に混和し、水系インクの表面張力を適度に下げるため、工程(I)において、記録媒体に顔料を浸透させ易くする機能を発揮する。
また、nが4以上であると、水との混和性が向上し、水系インクに本発明の効果である耐擦性を十分に付与することができ、nが30以下であると、加熱時の疎水性が高まり、本発明の記録方法によって得られた印刷物の耐擦性が向上する。
このポリエチレングリコールヘキシルエーテルはアルキル部分の炭素数が6であるため、温度による疎水性と親水性の変化が比較的大きい。このため、ポリエチレングリコールヘキシルエーテルは、工程(II)の加熱工程において、ポリマー粒子を適度に膨潤させ、ポリマー粒子に含有された顔料と記録媒体とを強固に接着させることができる結果、耐擦性が向上するものと考えられる。
[水系インク]
本発明のインクジェット記録方法に用いられる水系インクは、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル及び水を含有する水系インクである。
エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテルの含有量は、水系インクの吐出性を良好にし、耐擦性を向上させる観点から、前記水系インク中で、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.5〜5重量%、更に好ましくは2〜4重量である。
水の含有量は、水系インクの吐出性を良好にし、耐擦性を向上させる観点から、前記水系インク中で、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%、更に好ましくは45〜50重量である。
前記水系インクの20℃における静的表面張力は、水系インクの吐出性を良好にし、耐擦性を向上させる観点から、好ましくは25〜50mN/m、より好ましくは28〜45mN/m、更に好ましくは30〜40mN/mである。
水系インクの32℃における粘度は、水系インクの吐出性を良好にし、耐擦性を向上させる観点から、好ましくは4〜10mPa・sであり、より好ましくは5〜7mPa・s、更に好ましくは5.5〜6.7mPa・sである。
また、顔料の含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、前記水系インク中で、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜10重量%、更に好ましくは3〜75重量である。
前記水系インクは、水系インクに通常用いられる溶媒、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル以外の溶媒としては、グリセリン等の3価以上のポリオール、ジエチレングリコール等のジオールが好ましく、グリセリンとジエチレングリコールがより好ましい。
3価以上のポリオールとジオールは併用することがより好ましい。
界面活性剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、下記工程(I)及び(II)を有する。
工程(I):顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程
工程(II):工程(I)で得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程
<工程(I)>
工程(I)は、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程である。
工程(I)は、前記の水系インクを用いれば、特に制限はないが、更に以下の方法によることで、本発明の効果をより高めることができ、好ましい。
インクジェット記録方法は、前記の水系インクをピエゾ方式のインクジェット記録装置で記録媒体に記録することが好ましい。ピエゾ方式は、印刷時にインクの加熱や揮発が少なく、前記の水系インクを損なうことなく、印刷することが可能である。
本発明のインクジェット記録方法において、用いられる記録媒体は、特に制限されないが、前記の水系インクを適度に浸透させることができるものであることが好ましく、紙媒体であることがより好ましい。紙媒体としては、普通紙、フォーム用紙、塗工紙等が挙げられる。
<工程(II)>
工程(II)は、工程(I)で得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程である。
工程(II)において、記録媒体の記録面(インク塗布面、印刷面)が前記温度範囲になればよいが、以下の方法によることで、本発明の効果をより高めることができ、好ましい。
記録媒体の記録面の加熱は、記録面に対して高温の気流を与えて加熱する方法、ヒーターを記録面に近づけて加熱する方法、記録面の反対側の面にヒーターを接触させて加熱する方法等が挙げられるが、高温の気流を与えて加熱する方法が加熱と同時にインク揮発分を除去することができ、好ましい。
工程(II)において、記録媒体の記録面の温度は、耐擦性を向上させる観点から、50〜80℃であり、50〜77℃が好ましく、58〜77℃がより好ましく、65〜75℃が更に好ましい。
記録媒体の記録面を加熱する時間は、耐擦性を向上させる観点から、0.5〜240秒間が好ましく、1〜60秒間がより好ましく、2〜40秒間が更に好ましい。前記の時間加熱することによって、耐擦性が向上する。この理由は定かではないが、水系インクが乾燥する前に、水系インク中のエチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテルの構造変化とポリマーの紙への定着が十分に行われると考えられる。
以下の製造例、調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
なお、ポリマーの重量平均分子量、インクの表面張力の測定、及び印刷物の耐擦性の評価は、以下の方法により行った。
(1)水不溶性ポリマーの重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)インクの表面張力の測定
白金プレートを20℃に調整したインク5gの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に浸漬させ、表面張力計(協和界面化学株式会社製、商品名:CBVP-Z)を用いて、ウィルヘルミ法で測定した。
(3)印刷物の耐擦性の評価
重さ460gの錘の底面(1インチ×1インチ)に、微塗工紙(Ziegler Evolution、坪量90g/m2、Ziegler社製)を両面テープで貼り付けた。
次いで、実施例及び比較例で得られた印刷物の印刷面上に、上記錘底面の微塗工紙と印字物の印字面が接触する様に置いて、ベタ印字部分に対し、4インチの幅で10回往復擦過した。
その後、前記錘に貼り付けた微塗工紙を剥がし、微塗工紙の擦過面の光学濃度(黒の光学濃度として出力される値)をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)で計5点測定し、その平均値を求めた。光学濃度の値が小さいほど、耐擦性は良好である。
製造例1(水不溶性ポリマー溶液の製造)
2つの滴下ロート1及び2を備えた反応容器内に、表1の「初期仕込みモノマー溶液」欄に示すモノマー、溶媒、重合開始剤、重合連鎖移動剤を入れて混合し、窒素ガス置換を行い、初期仕込みモノマー溶液を得た。
一方、表1の「滴下モノマー溶液1」欄及び「滴下モノマー溶液2」欄に示すモノマー、溶媒、重合開始剤、重合連鎖移動剤を混合して、滴下モノマー溶液1と滴下モノマー溶液2を得、それぞれ滴下ロート1及び滴下ロート2中に入れて、窒素ガス置換を行った。
窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー溶液を攪拌しながら75℃に維持し、滴下ロート1中の滴下モノマー溶液1を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下し、次いで滴下ロート2中の滴下モノマー溶液2を2時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、反応容器内の混合溶液を75℃で2時間攪拌した。次いで前記の重合開始剤(V−65)2.7部をメチルエチルケトン121.5部に溶解した重合開始剤溶液を調製し、該混合溶液に加え、75℃で1時間攪拌することで熟成を行った。前記重合開始剤溶液の調製、添加及び熟成を更に2回行った。次いで反応容器内の反応溶液を85℃に2時間維持し、水不溶性ポリマー溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマー溶液の一部を、減圧して溶媒を除去し、水不溶性ポリマーを得た。得られたポリマーの重量平均分子量は160000であった。なお、表1中の数値は、有効分の重量部を示す。
Figure 2012131078
調製例1(顔料分散体(A)の調製)
(1)工程(1)
製造例1で得られた水不溶性ポリマー1000部を、メチルエチルケトン(MEK)1692部に溶かし、水不溶性ポリマーのMEK溶液を得た。容積が30Lのディスパーに該ポリマーのMEK溶液を投入し、1400rpmの条件で撹拌しながら、イオン交換水8288部、5N水酸化ナトリウム水溶液179部、及び25%アンモニア水溶液30.8部を添加し、0℃の水浴で冷却しながら、1400rpmで15分間撹拌した。次いでカーボンブラック モナーク880(キャボット社製)1500部を加え、2600rpmで3時間撹拌した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名、型式M−140K)を用いて150MPaの圧力で20パス分散処理し、固形分濃度は19.6%の顔料分散体(1)を得た。
(2)工程(2)
工程(1)で得られた顔料分散体(1)6300部に、イオン交換水11340部を加え、得られた顔料水分散体(2)800部を1000mlアングルローターに投入し、高速冷却遠心機(日立工機株式会社製、himac CR7、設定温度20℃)を用いて6000rpmで30分間、遠心分離処理を行い、720部を抜き出し顔料水分散体(3)15870部を得た。
顔料水分散体(3)を2Lのナスフラスコに投入し、減圧蒸留装置〔ロータリーエバポレーター、東京理化器械株式会社製、商品名:N−1000S〕を用いて、回転数50rpmで、32℃に調整した温浴中、0.09MPaの圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去し、その後、温浴を62℃に調整し、更に圧力を0.07MPaに下げて4時間濃縮を行い、固形分濃度23%の顔料水分散体(4)を得た。得られた顔料分散体(4)を遠心分離した後、液層部分を5μmと1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で順に濾過して、顔料水分散体(5)を得た。
(3)工程(3)
工程(2)で得られた顔料水分散体(5)4534部にイオン交換水500部、プロキセルLVS(アーチケミカルズジャパン株式会社製、防黴剤、有効分20%、水80%)7.61部を添加し、70℃で2時間攪拌した。その分散液に、エポキシ架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量129)を21部添加し、70℃で1時間撹拌し、更に、前記エポキシ架橋剤を21部添加し70℃で1時間攪拌した。25℃に冷却後、前記5μmと1.2μmのフィルターで順にろ過し、更に0.45μmのフィルターでろ過し、顔料水分散体(A)を得た。該顔料水分散体(A)の固形分濃度は22.1%、架橋率は50モル%であった。
調製例2(水系インク(1)の調製)
調製例1で得られた顔料水分散体(A)55.2部(顔料7.0部、樹脂5.6部)に対し、ポリエチレングリコールヘキシルエーテル(エチレンオキシド平均付加モル数n=5)3部、グリセリン13部、ジエチレングリコール13部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、界面活性剤、アセチレンジオールのエチレンオキシド(10モル)付加物)1部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA、シグマアルドリッチ製、凝集防止剤)0.05部、ベンゾトリアゾール(防錆剤)0.05部、プロキセルLVS(アーチケミカルズジャパン株式会社製、防黴剤)0.1部、及びイオン交換水14.6部を添加、混合し、得られた混合液を0.45μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系インク(1)を得た。20℃における水系インク(1)の表面張力は28.9mN/mであった。
調製例3〜8(水系インク(2)〜(7)の調製)
調製例2において、ポリエチレングリコールヘキシルエーテルを表3に示す有機溶媒に変更した以外は、調製例2と同様にして水系インク(2)〜(7)を得た。
実施例1(インクジェット記録)
温度25±1℃、相対湿度30±5%の環境で、インクジェットヘッド(京セラ株式会社製、商品名:KJ4B-HD06MHG-STDV)を装備した印字評価装置(株式会社トライテック製、商品名:OnePassJet)に調製例2で得られた水系インク(1)を充填した。
次いで、ヘッド電圧26V、周波数30kHz、吐出液適量7pl、ヘッド温度32℃、吐出前フラッシング回数200発、負圧−4.0kPaを設定した。次いで、A4サイズの微塗工紙(Ziegler社製、商品名:Ziegler Evolution、坪量90g/m2)を紙の長手方向と紙の搬送方向が同じになる向きに搬送台に減圧で固定した。次いで、印字命令を前記印字評価装置に転送し、200回フラッシング後、水系インク(1)をインクジェット記録方式で微塗工紙上に付与し、A4ベタ画像を有する印刷物を作成した(工程(I))。
次いで、印刷物作成終了直後に、印刷面の温度が70℃となるように、温風乾燥機(株式会社石崎電機製作所製、商品名:プラジェットPJ−208A)で温風を送り、非接触表面温度計で印刷物表面の温度を観測しながら、印刷面の温度が70℃となるように所定時間(1秒間、3秒間、5秒間、10秒間、30秒間)維持して、印刷物を得た(工程(II))。
得られたインクの表面張力(20℃)と、各加熱処理条件における耐擦性の評価結果を表2に示す。
Figure 2012131078
実施例2〜3及び比較例1〜4(インクジェット記録)
実施例1で用いた調製例2で得られた水系インク(1)を、調製例3〜8で得られた水系インク(2)〜(7)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷物を得た。評価結果を表3に示す。
なお、表3に示す有機溶媒の略号の詳細は、以下のとおりである。
PEGHE(5)(ポリエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレンオキシド平均付加モル数(n)=5)
PEGHE(10)(同上、n=10)
PEGHE(20)(同上、n=20)
PEGHE(2)(ジエチレングリコールヘキシルエーテル、n=2)
PEGOE(12)(ポリエチレングリコールオクチルエーテル、n=12)
PEGOE(20)(ポリエチレングリコールオクチルエーテル、n=20)
Figure 2012131078
実施例4〜6及び比較例5(インクジェット記録)
実施例1で用いた調製例2で得られた水系インク(1)を、調製例3で得られた水系インク(2)に変更し、印刷物を作成し(工程(I))、次いで、印刷物作成終了直後に、印刷面の温度が表4に示す所定の温度(40℃、50℃、60℃、70℃、80℃)となるように、温風乾燥機(プラジェットPJ−208A)で温風を送り、非接触表面温度計で印刷物表面の温度を観測しながら、印刷面の温度が表4に示す所定の温度となるように30秒間維持して、印刷物を得た(工程(II))。
得られたインクの表面張力(20℃)と、各加熱処理条件における耐擦性の評価結果を表4に示す。
Figure 2012131078
表2〜4の結果から、実施例1〜6のインクジェット記録方法で得られた印刷物は、比較例1〜5のインクジェット記録方法で得られた印刷物に比べて、耐擦性に優れることが分かる。

Claims (6)

  1. 下記工程(I)及び(II)を有するインクジェット記録方法。
    工程(I):顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子、エチレンオキシドの平均付加モル数が4〜30であるポリエチレングリコールヘキシルエーテル、及び水を含有する水系インクを、インクジェット記録方式によって記録媒体に付与する工程
    工程(II):工程(I)で得られた記録媒体の記録面を50〜80℃に加熱する工程
  2. 水系インクが、ポリエチレングリコールヘキシルエーテルを0.5〜10重量%含有する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子中の水不溶性ポリマーに対するポリエチレングリコールヘキシルエーテルの重量比(ポリエチレングリコールヘキシルエーテル/水不溶性ポリマー)が0.5〜5.0である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 工程(II)における加熱時間が0.5〜240秒間である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  5. 水系インクの25℃における表面張力が30〜40mN/mである、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法に用いられる水系インク。
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