JP2012130974A - 板状ワークの取扱方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切断後の板状ワークをより円滑に持ち上げることのできる、板状ワークの取扱方法を提供すること。
【解決手段】 板状ワークの取扱方法は、面状に配列された複数の吸着パッドで吸引して板状ワークを取り扱う。板状ワークの取扱方法では、複数の前記吸着パッドを前記板状ワークに向けて降下させると共に、複数の前記吸着パッドのうちの第1領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、複数の前記吸着パッドが前記板状ワーク面に達した時又は達した後に、複数の前記吸着パッドのうちの前記第1領域よりも広い第2領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、複数の前記吸着パッドを上昇させて前記板状ワークを持ち上げる。
【選択図】図5

Description

本発明は、金属板などの板状のワークを持ち上げ又は降ろす、板状ワークの取扱方法に関する。
下記特許文献1などには、グリッド状に並べられた複数の吸着パッドを用いて、積載された複数枚の板材から一番上の板材のみを持ち上げる装置及び方法が開示されている。このような従来の装置(方法)では、複数の吸着パッドを下降させて板材の上面に押しつけた後に、吸着パッド内の空気を吸引して板材を吸着させてから、吸着パッドを上昇させることで板材を持ち上げていた。
1枚の金属板からレーザー加工によっていくつかの板状部品(板状ワーク)切断する場合も、このような吸着パッドによって切断後の板状部品を上方に持ち上げてスケルトン(板状部品が切り抜かれた残りの金属板)から分離させ、所定の場所まで搬送した後に板状部品を降ろす。
金属板から板状ワークをレーザー加工で切り出す際には、切断スリットの幅が1mm以下の隙間となるためグリッパをスリットに挿入することができず、切断後の板状ワークの切断縁をつまんで持ち上げることはできない。このため、上述したような吸着パッドを使用する必要がある。
特開平8−192930号公報([図5],[0003])
また、板状ワークをレーザー加工で切り出す際には、金属製の先の尖った突起が多数並べられているスキッドによって下方から支持される。レーザー加工中には、レーザーによってスキッドの突起も不可避的に一部切断されてしまうことがある(突起が消耗する)。また、レザー加工時に生じるドロスもスキッドの突起に付着することがある。この結果、切断後の板状ワークに傾きが生じることがある。
板状ワークの傾きによって、板状ワークの切断縁とスケルトンの切断縁とが干渉した状態で吸着パッドが押しつけられると、切断縁同士が引っかかったり、板状ワークの板厚が薄い場合などは板状ワークの切断縁がスケルトンの下に潜り込んだりすることがあった。このようになると、吸着パッドの吸引を開始して板状ワークを持ち上げようとしても、円滑に板状ワークを持ち上げることができなかったり、板厚によっては切断した板状ワークが変形してしまうことがあった。従って、切断後の板状ワークをより円滑に持ち上げることのできる、板状ワークの取扱方法が望まれている。
一方、持ち上げた板状ワークを所定位置まで運んだ後に降ろされる場所には、切断後のワークが品種毎に積み上げられている場合が多い。運ばれた板状ワークは、積み上げられた同一種の板状ワークの一番上に降ろされる。このとき、板状ワークを保持していない吸着パッドでの吸引が周囲に積み上げられている板状ワーク(特に、小さな軽量のものなど)を乱してしまうおそれがあり、板状ワークを円滑に降ろすことが出来ないおそれがあった。従って、板状ワークをより円滑に降ろすことのできる、板状ワークの取扱方法が望まれている。
従って、本発明の目的は、切断後の板状ワークをより円滑に持ち上げることのできる、板状ワークの取扱方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、持ち上げられた板状ワークをより円滑に降ろすことのできる、板状ワークの取扱方法を提供することにある。
第1発明の板状ワークの取扱方法は、面状に配列された複数の吸着パッドで吸引して板状ワークを取り扱う方法であり、複数の前記吸着パッドを前記板状ワークに向けて降下させると共に、複数の前記吸着パッドのうちの第1領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、複数の前記吸着パッドが前記板状ワーク面に達した時又は達した後に、複数の前記吸着パッドのうちの前記第1領域よりも広い第2領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、複数の前記吸着パッドを上昇させて前記板状ワークを持ち上げる、ことを特徴としている。
第2発明の板状ワークの取扱方法は、面状に配列された複数の吸着パッドで吸引して板状ワークを取り扱うものであり、複数の前記吸着パッドのうちの第2領域内の吸着パッドでの吸引によって持ち上げられた前記板状ワークを下降予定位置まで移動させた後に、複数の前記吸着パッドを下降させると共に、前記第2領域内でかつ前記第2領域より狭い第1領域外の吸着パッドでの吸引を停止し、前記複数の前記吸着パッドをさらに下降させた後に、前記第1領域内の吸着パッドでの吸引も停止して前記板状ワークを開放する、ことを特徴としている。
第1発明の板状ワークの取扱方法によれば、吸着パッドが板状ワークに達する以前に狭い領域(第1領域)で吸引が開始されるので、吸着パッドの面方向のズレが許容され、板状ワークとスケルトンとの干渉(引っ掛かり)が解消されやすくなる。吸着パッドが板状ワークに達してからの吸引では面方向ズレは許容され得ないし、板状ワークのスケルトン下側への潜り込みも発生しやすくなるが、上述したように吸着パッドが板状ワークに達する以前に狭い領域(第1領域)で吸引を始めることによって、このような現象を回避できる。また、吸着パッドが板状ワークに達した時点又は達した後にはより広い領域(第2領域)での吸引が開始されるので、板状ワークはより確実に持ち上げられる。持ち上げられた後に他所に移動されるような場合は、広い領域(第2領域)での確実な吸引によって、その吸着状態が確実に保持され、板状ワークの脱落などを確実に防止できる。従って、切断後の板状ワークをより円滑に持ち上げる(取り扱う)ことができる。
第2発明の板状ワークの取扱方法によれば、吸着パッドから板状ワークを開放するにあたって、予めその吸引範囲を狭め(第2領域→第1領域)、最終的には狭められた小さな領域での吸引を停止することで板状ワークを開放する(降ろす)。吸引範囲が予め狭められることで、不要な吸引によって開放位置周辺を状況(既に開放されて載置されている他の板状ワーク)を乱すことがない。また、狭められた領域での吸引によって板状ワークは必要最小限の吸引力で保持されているが、この必要最小限の吸引を停止することで板状ワークは円滑かつ確実に開放され(降ろされ)、その際の開放位置(載置位置)のズレなども起こりにくくなる。さらに、開放前に吸着された板状ワークが他所から移動されような場合は、広い領域(第2領域)での確実な吸引によって、その吸着状態が確実に保持され、板状ワークの脱落などを確実に防止できる。従って、切断後の板状ワークをより円滑に降ろす(取り扱う)ことができる。
板状ワークの取扱方法の一実施形態で用いられる取扱装置のブロック図である。 上記装置の要部側面図である。 上記装置の要部底面図である。 上部装置における吸着パットのグルーピング例を示す説明図である。 上記実施形態のフローチャートである。 (a)〜(d)は、上記実施形態での吸着パッドの動きを説明する模式図である。 (a)〜(d)は、他の形態の装置を用いた実施形態での吸着パッドの動きを説明する模式図である。
板状ワークの取扱方法の実施形態を以下に説明する。まず、本実施形態で用いられる取扱装置(搬送装置)について説明する。本実施形態の搬送装置1は、レーザー加工機2(図1参照)によってスキッドS(図2参照)上の金属板から複数の板状金属部品(板状ワーク)Wを切断した後に、切断後の板状ワークWを搬送する(持ち上げる/移動する/降ろす)ものである。
図1に示されるように、搬送装置1は、複数の吸着パッド30(30a及び30b)を有する吸着フレーム3(図2及び図3参照)と、この吸着フレーム3を移動・昇降させる移動・昇降ユニット4と、板状ワークWを吸着パッド30で吸着する際に吸着パッド30内の空気(気体)を吸引するためのエアポンプ5と、吸着パッド30での吸着をオン・オフするソレノイドバルブ6と、移動・昇降ユニット4、エアポンプ5及びソレノイドバルブ6を制御するコントローラ7とを備えている。
移動・昇降ユニット4は、本実施形態ではロボットアームであるが、吸着フレーム3を移動・昇降させることができるのであればその他の構造を持つユニットでもよい。例えば、吸着フレーム3の水平姿勢を維持したまま、吸着フレームを垂直・水平方向に平行移動させるレール及び駆動モータからなるユニットなどでもよい。移動・昇降ユニット4はコントローラ7と接続されており、その動作はコントローラ7によって制御される。
ここで、移動・昇降ユニット4の昇降ストロークは、コントローラ7によって検出可能である。あるいは、移動・昇降ユニット4の昇降ストロークは、コントローラ7によって制御されるので、コントローラ7によって把握されているとも言える。
エアポンプ5は、ソレノイドバルブ6、パイプ35及びチューブ36を介して、各吸着パッド30と接続されており、吸着パッド30内の空気を吸引する。エアポンプ5の駆動及び停止は、コントローラ7によって制御される。エアポンプ5が駆動され、ソレノイドバルブ6がコントローラ7によって励磁されると、吸着パッド30内の空気が吸引される。吸着パッド30への吸引(図1中の点線矢印)は、ソレノイドバルブ6によって切り換えられる。
コントローラ7には、板状ワークWを切断する際のレーザー加工機2や、加工元の金属板の位置や吸着した板状ワークWの移動位置を検出するための位置センサ8も接続されている。なお、搬送装置1のコントローラ7は加工機2と接続されているが、コントローラ7が加工機2の加工も制御してもよいし、加工機2を制御する加工機2内の別のコントローラとコントローラ7とが接続されて両者が協調制御を行うようであってもよい。あるいは、コントローラ7と加工機2のコントローラを統合制御するさらに別のメインコントローラなどが設けられてもよい。
図2及び図3を参照して、吸着フレーム3について説明する。吸着フレーム3は、2本の平行な長梁31とこれらの長梁31の間に架け渡された2本の短梁32とを有している。これらの梁31及び32の上面には、グリッド状上部サブフレーム34aが固定されていると共に、下面には一対のグリッド状下部サブフレーム34bが固定されている。上部サブフレーム34aには、図3に示されるように、5×5の大きな吸着パッド30aが、パイプ35を介して固定されている。一対の下部サブフレーム34bには、2×2の小さな吸着パッド30bが、パイプ35を介して固定されている。なお、以下において、単に「吸着パッド30」と言う場合は、吸着パッド30a及び30bの両方を指す。
各パイプ35の下端に吸着パッド30が取り付けられており、上端にはチューブ36が取り付けられている。各吸着パッド30は、ゴム製の吸盤であり、その内部はパイプ35の内部を介して、チューブ36の内部と連通している。各チューブ36は、ベースプレート33上に設けられたソレノイドバルブ6に接続されている。ベースプレート33の先端縁近傍には、壁プレート37が立設されており、複数のチューブ36は、が錯綜しないように壁プレート37に整列・保持されている(図2では、チューブ36の中間部分は図示が省略されている)。
また、上部サブフレーム34aには、図2に示されるように、ブラケット38が取り付けられている。そして、ブラケットに一対の近接センサ39が取り付けられている。近接センサは、吸着パッド30と板状ワークWとの間の距離を検出する。近接センサ39は、複数の吸着パッド30(特に、小さな吸着パッド30b)の中央に位置されている。近接センサ39も、コントローラ7と接続されており、その検出結果はコントローラ7に出力される。なお、近接センサ39の検出結果は、移動・昇降ユニット4にも出力されてもよい。
上述したように、移動・昇降ユニット4の昇降ストロークは、コントローラ7によって検出され、かつ、吸着パッド30と板状ワークWとの間の距離は、近接センサ39によって検出される。本実施形態では、これらの構成が、吸着パッド30の昇降位置を検出する位置センサとして機能している。
なお、吸着パッド30が板状ワークWを吸着して吸着パッド30の下降が停止される位置は近接センサ39の検出結果に基づいてコントローラ7が判断するが、吸着パッド30の停止位置がオーバーした際に吸着パッド30の更なるストロークを吸収するバッファ機構がパイプ35などに内蔵されても良い。このようなバッファ機構としては、吸着パッド30が板状ワークWに底付いたときに吸着フレーム3のみをストロークさせて吸着パッド30の位置をそれ以上ストロークさせなようなスプリングを内蔵するなどすればよい。底付き時の吸着パッド30の板状ワークWへの押し付け力は、スプリングのバネ定数で調整できる。
図4に示されるように、吸着パッド30は、3つの領域I〜IIIに分けられており、複数の吸着パッド30の吸引は、領域I〜III毎に行われるよう、コントローラ7がソレノイドバルブ6を制御する。一番小さい領域Iは、4つの小さな吸着パッド30bからなる。領域IIは、領域Iの外側の8つの大きい吸着パッド30aからなる。領域IIIは、領域IIのさらに外側の16個の大きい吸着パッド30aからなる。なお、図4には、板状ワークWの形状例も図示されている。
次に、図5のフローチャート及び図6(a)〜(d)の模式図を参照して、本実施形態の板状ワークの取扱方法を説明する。スキッドSの支持面P2(図2参照)上に載置された金属板から板状ワークWが切断され、移動・昇降ユニット4によって吸着フレーム3が板状ワークWの上方に移動されたところから、本実施形態の取扱方法が開始される。まず、吸着フレーム3が所定位置に移動されたら、板状ワークWを持ち上げるべく、吸着フレーム3の下降が開始される(ステップS1)。吸着フレーム3の下降は、コントローラ7が移動・昇降ユニット4を制御することで行われる。
吸着フレーム3の下降ストローク量は、上述したように、移動・昇降ユニット4の制御ストローク量としてコントローラ7が検出しており、吸着フレーム3が予め定められたストローク所定位置(1)となったかどうかがコントローラ7によって判定されている(ステップS3)。ストローク所定位置(1)は、吸着パッド30の吸着基準面P1(図2参照)と板状ワークWの上面との間にまだ十分な隙間がある位置である。
吸着フレーム3がストローク所定位置(1)に達したと判断された場合(ステップS3でYES)、I群領域(=第1領域)内の吸着パッド30bの吸引のみが開始される(ステップS5)[図6(a)]。この時点では、大きな吸着パッド30aの吸引は停止されている。また、I群領域(ステップS5の制御後の領域)は、吸着パッド30の配列面上における板状ワークWに対応する領域の外縁より内側に設定されている(図4参照)。このため、板状ワークWの外側に吸引力は発生せず、更なる吸着フレーム3の降下によって板状ワークWのみに吸引力を有効に作用させることができる。
ステップS3及びS5の処理中も吸着フレーム3の下降は継続されており[図6(b)]、ステップS5の後、近接センサ39がオン信号となったかどうかがコントローラ7によって判定されている(ステップS7)。即ち、ステップS7では、吸着フレーム3の吸着基準面P1が、板状ワークWの持ち上げに適した位置に達したか否かが判定されている。
ここで、ステップS7がYESとなるまでは、I群領域内の吸着パッド30bによる吸引が継続されながら、吸着パッド30が板状ワークWに接近する。板状ワークWは、吸着パッド30によって押し付けられてその位置が拘束される前に吸引され始めているため、移動自由度(特に横方向[面方向]への移動自由度)がある。この結果、I群領域内の吸着パッド30bが板状ワークWに接触する直前に板状ワークWには吸引力が作用し、板状ワークWの切断外縁とスケルトンの切断内縁との引っ掛かりがあれば、この吸引力に伴う横移動で引っ掛かりが外れる。
その後、近接センサ39がオン信号となり、吸着パッド30が板状ワークWに接触したと判断されたら(ステップS7でYES)[図6(c)]、吸着フレーム3が上述したストローク所定位置(1)まで、上昇される(ステップS8)。吸着フレーム3が上述したストローク所定位置(1)まで上昇された時点で、I〜III群領域(=第2領域)、即ち、I群+II群+III群領域内の吸着パッド30(30a+30b)による吸引が開始される(ステップS9)[図6(d)]。その後、板状ワークWは、移動に適した所定位置(例えば、ステップS1での初期位置)まで、さらに上昇される(ステップS11)。
ここでは、下降時におけるI群領域内の吸着パッド30による吸引開始時の吸着フレーム3のストローク量と、上昇時におけるI〜III群領域内の吸着パッド30による吸引開始時の吸着フレーム3のストローク量とが、共にストローク所定位置(1)とされた。しかし、これらのストローク量は同じである必要はない。ただし、こららのストローク量を同じにすれば、検出位置が一致するので制御ロジックを簡略化できる。
また、ここでは、スケルトンの吸着を確実に防止するために、I群領域内の吸着パッド30による吸引のみで吸着フレーム3をストローク所定位置(1)まで上昇させた時にI〜III群領域内の吸着パッド30による吸引が開始された。しかし、例えば、I〜III群領域内の全ての吸着パッド30が板状ワークWの外縁より内側にあるような場合は、スケルトンを吸着してしまうことがないので、吸着パッド30が板状ワークWに接触した時点(ステップS7でYESとなった時点:ステップS8は行われない)でI〜III群領域内の吸着パッド30による吸引が開始されるようにしてもよい。
また、ここでは、I+II群領域内の吸着パッド30による制御は行われないが、取り扱う板状ワークWの形状(特に面積)などに応じて、I+II群領域による制御が行われる場合もある。また、吸着パッド30の領域分けについては、図4以外の領域分けを種々設定可能である。なお、吸着パッド30の吸引を一つずつ制御することも可能ではあるが、各パッド毎にバルブを設ける必要が生じたり、制御が複雑になり、装置大型化を招いたり、消費電力も増える傾向となるため、実用的でない。本実施形態のように、いくつかのパッドを含む領域毎に制御する方が実用的である。
ステップS11で所定位置まで上昇された板状ワークWは、移動・昇降ユニット4によってストック位置(下降予定位置)まで移動される(ステップS13)。ここで、板状ワークWが移動・昇降ユニット4によって所定のストック位置まで移動されたかどうかが、移動・昇降ユニット4を制御しているコントローラによって判定される(ステップS15)。この移動は、板状ワークWを上昇・下降させるだけでなく横方向にも移動させることになる。その際、板状ワークWには横方向の慣性力なども作用するが、板状ワークWは広い領域III内の吸着パッド30によってしっかりと吸着されているため、移動途中の脱落などが防止される。
板状ワークWが所定のストック位置まで移動されたと判断された場合(ステップS15でYES)、板状ワークWを降ろして開放すべく、吸着フレーム3の下降が開始される(ステップS17)。吸着フレーム3の下降ストローク量は、上述したように、移動・昇降ユニット4の制御ストローク量としてコントローラ7が検出しており、吸着フレーム3が予め定められたストローク所定位置(2)となったかどうかがコントローラ7によって判定されている(ステップS19)。ストローク所定位置(2)は、吸着パッド30から板状ワークWを開放する位置(後述するストローク所定位置(3))より上方に位置している。なお、ストローク所定位置(2)は、上述したストローク所定位置(1)と一致しても良い。この場合は、検出位置が一致するので制御ロジックを簡略化できる。
吸着フレーム3がストローク所定位置(2)に達したと判断された場合(ステップS19でYES)、II群及びIII群領域内の吸着パッド30aの吸引が停止されて、I群領域(第3領域=第1領域)内の吸着パッド30bの吸引のみに切り換えられる(ステップS21)。なお、ここでは、I群領域内の吸着パッド30bに再度切り換えられたが、ステップS21の制御後の領域は、ステップS5の領域と一致しなくても良い(例えば、ステップS21の制御後の領域がII群領域とされるなど)。ただし、両者を一致させれば、吸引範囲が一致するので制御ロジックを簡略化できる。また、I群領域(ステップS21の制御後の領域)は、吸着パッド30の配列面上における板状ワークWに対応する領域の外縁より内側に設定されている(図4参照)。このため、板状ワークWの外側に吸引力は発生せず、更なる吸着フレーム3の降下時には板状ワークWのみに吸引力を有効に作用させることができる。
ステップS19及びS21の処理中も吸着フレーム3の下降は継続されており、ステップS21の後、吸着フレーム3が予め定められたストローク所定位置(3)となったかどうかがコントローラ7によって判定されている(ステップS23)。ストローク所定位置(3)は、上述したように、吸着パッド30から板状ワークWを開放する位置である。吸着フレーム3がストローク所定位置(3)に達したと判断された場合(ステップS23でYES)、I群領域内の吸着パッド30bによる吸引も停止され、板状ワークWが開放される(ステップS25)。開放された板状ワークWは自由落下し、所定のストック位置に積載されることとなる。
ここで、板状ワークWの開放に際しては、板状ワークWを保持する必要十分な吸引力及び吸引範囲であるI群領域内の吸引パッド30bのみの吸引に切り換えられる。そして、開放時には、I群領域内の吸引パッド30bの吸引を停止することで、速やかに板状ワークWを開放させることができる。このとき、不要な吸引力を発生させる期間が短くなるため、省エネであるし、騒音も低減できる。また、板状ワークWの外側に吸引力が発生しないので、ストック場所で既に積載されている他の板状ワークの状態を乱すこともない。
図7(a)〜(d)に、別の実施形態を示す。図7(a)〜(d)は、上述した実施形態を示す図6(a)〜(d)相当図である。上述した実施形態の吸着パッド30が平パッドであったのに対して、本実施形態の吸着パッド300はベロウパッドである。この点以外のその他の構成及びその制御方法は、全て上述した実施形態と同一である。ベロウパッドは、板状ワークWとの接触時の押し付け力が小さいので、板状ワークWの移動自由度(特に横方向[面方向]への移動自由度)が高く、更なる効果がある。また、ベロウパッドは、平パッドに比べて、吸引に伴う内部容積変化が大きく、単位吸着面積当たりの吸着能力が高い。このため、板厚の厚い重い板状ワークWを持ち上げる際には有効である。
なお、移動・昇降ユニット4がロボットアームなどである場合、上述したステップS13においては、移動中における干渉を避けるために、持ち上げた板状ワークWを垂直にして移動させることも可能である。このとき、本実施形態のようなベロウパッドの吸着パッド300を用いていると、平パッドに比べてパッドの撓みによる製品位置のずれが生じる場合もあるので、この撓みも考慮してベロウパッドの選定や、移動時及び水平への復帰時などの制御が行われる。
なお、本発明は、上記実施形態の説明に限られるものではなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、移動・昇降ユニット4の昇降ストロークは、コントローラ7によって検出され、かつ、吸着パッド30と板状ワークWとの間の距離は、近接センサ39によって検出され、本実施形態では、これらの構成が、吸着パッド30の昇降位置を検出する位置センサとして機能していた。しかし、近接センサのみで吸着パッド30の昇降位置を検出しても良いし、吸着パッド30の昇降位置を検出するストロークセンサを別途配設しても良い。
また、非接触検出を行う近接センサ(位置センサ)に代えて、接触検出を行うセンサが用いられても良い。ただし、板状ワークWに接触跡を残す危険性がないので、非接触検出が好ましい。なお、板状ワークWは、金属製の先の尖った突起が多数並べられているスキッドS上に載置されているため、接触検出を行うと板状ワークWの下面にも接触跡を残すおそれがあるので、非接触検出が好ましい。
なお、上記実施形態では、第1領域(I群領域)よりも広い第2領域は、図4に示されるI+II+III群領域として設定された。板状ワークWを確実に保持するためには、できるだけ多くの吸着パッド30で板状ワークWを吸引することが好ましいが、吸引に貢献しない吸着パッド30(即ち、板状ワークWの外縁よりも外側に位置する吸着パッド30)はできるだけ少ない方が好ましい。吸着パッド30の制御単位領域の設定によっては、第2領域が図4に例示されるI+II+III+IV群領域として設定される可能性もある(IV群領域は、図中右側の5つの吸着パッドを含む領域)。しかし、上述したように、板状ワークWの外縁よりも外側に位置する吸着パッド30の数はできるだけ少ない方が好ましいので、第2領域は、I+II+III+IV群領域とされるよりも、I+II+III群領域とされる方が好ましい。
1 搬送装置
3 吸着フレーム
4 移動・昇降ユニット
7 コントローラ
30 吸着パッド(平パッド)
30a 吸着パッド(大)
30b 吸着パッド(小)
300 吸着パッド(ベロウパッド)
31 長梁
32 短梁
33 ベースプレート
34a 上部サブフレーム
34b 下部サブフレーム
35 パイプ
36 チューブ
37 壁プレート
38 ブラケット
39 近接センサ
W 板状ワーク
S スキッド

Claims (7)

  1. 面状に配列された複数の吸着パッドで吸引して板状ワークを取り扱う、板状ワークの取扱方法において、
    複数の前記吸着パッドを前記板状ワークに向けて降下させると共に、複数の前記吸着パッドのうちの第1領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、
    複数の前記吸着パッドが前記板状ワーク面に達した時又は達した後に、複数の前記吸着パッドのうちの前記第1領域よりも広い第2領域内の吸着パッドでの吸引を開始し、
    複数の前記吸着パッドを上昇させて前記板状ワークを持ち上げる、ことを特徴とする板状ワークの取扱方法。
  2. 複数の前記吸着パッドが前記板状ワーク面に達した後に、複数の前記吸着パッドのうちの前記第1領域内の吸着パッドで吸引した状態で複数の前記吸着パッドを上昇させて前記板状ワークを所定位置まで持ち上げた時点で前記第2領域内の吸着パッドでの吸引を開始して前記板状ワークをさらに上昇させる、ことを特徴とする請求項1に記載の板状ワークの取扱方法。
  3. 前記第1領域が、前記複数の前記吸着パッドの配列面上における前記板状ワークに対応する領域の外縁より内側に設定される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の板状ワークの取扱方法。
  4. 持ち上げられた前記板状ワークを下降予定位置まで移動させた後に、複数の前記吸着パッドを下降させると共に、前記第2領域内でかつ前記第2領域より狭い第3領域外の吸着パッドでの吸引を停止し、
    前記複数の前記吸着パッドをさらに下降させた後に、前記第3領域内の吸着パッドでの吸引も停止して前記板状ワークを開放する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板状ワークの取扱方法。
  5. 前記第3領域が前記第1領域に等しい、ことを特徴とする請求項4に記載の板状ワークの取扱方法。
  6. 面状に配列された複数の吸着パッドで吸引して板状ワークを取り扱う、板状ワークの取扱方法において、
    複数の前記吸着パッドのうちの第2領域内の吸着パッドでの吸引によって持ち上げられた前記板状ワークを下降予定位置まで移動させた後に、複数の前記吸着パッドを下降させると共に、前記第2領域内でかつ前記第2領域より狭い第1領域外の吸着パッドでの吸引を停止し、
    前記複数の前記吸着パッドをさらに下降させた後に、前記第1領域内の吸着パッドでの吸引も停止して前記板状ワークを開放する、ことを特徴とする板状ワークの取扱方法。
  7. 前記第1領域が、前記複数の前記吸着パッドの配列面上における前記板状ワークに対応する領域の外縁より内側に設定される、ことを特徴とする請求項6に記載の板状ワークの取扱方法。
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