JP2012129547A - 基板載置台、基板処理装置、および温度制御方法 - Google Patents

基板載置台、基板処理装置、および温度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
被処理基板の温度制御性がよく、基板全体において局所的に抜熱量が急変するような特異点の無い基板載置台を提供する。
【解決手段】
基板載置台表面に、熱伝達用ガスの流入口と流出口を設け、基板載置台表面と基板との間の閉空間を流路とする定常的なガス流を形成させ、この流路に各種の障害物を置くことによってガスの流れやすさ(コンダクタンス)を調整し、ガスの流入口と流出口との間に10Torrから40Torrの差圧を発生させる。ガスの熱伝達率が圧力に比例することから、この差圧により被処理基板の温度分布を調節することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハ等の基板を載置する基板載置台、基板載置台に載置された基板に対してドライエッチング等の処理を施す基板処理装置、および基板載置台に載置された基板の温度を制御する基板の温度制御方法に関する。
プラズマエッチング処理においては、チャンバー内に被処理基板である半導体ウェハ(以下、単にウェハ又は基板ともいう。)を載置する載置台を設け、この載置台の上部を構成する静電チャックによりウェハを静電吸着して保持する。そして、処理ガスのプラズマを形成してウェハに対してプラズマエッチング処理を施している。
かかるプラズマ処理装置においては、ウェハが上方から熱を受けるため、基板載置台の内部に冷媒流路を設けて載置台を冷却するとともに、載置台とウェハ裏面の間隙にHeガス等の熱伝達用ガスを導入して、ウェハの冷却を促進させている。
このように熱伝達用のガスを用いてウェハを冷却する際に、載置台の上部を構成する静電チャックの吸着面に複数の凸状ドットを設け、この凸状ドットの高さと熱伝達用のガスの圧力を制御することでウェハからの抜熱量を変えて、ウェハの温度を制御する技術が知られている(特許文献1)。
また、このような突起の高さを1μmから10μmとし、突起のウェハへの接触面積を1%にすることで、ウェハの高温域での温度制御性を良好にする技術が提案されている(特許文献2)。
しかし、上述のような載置面に突起を設ける方法のみでは、突起の高さが低い場合には、熱伝達用のガスがウェハ全面に行き渡り難くなる。この結果、ウェハを均一の温度に制御することが難しいという問題がある。
一方、突起の高さを高くすると、ウェハから載置台への伝熱量が低下し、ウェハを所望の温度に制御することが難しくなるという問題がある。
さらに、ウェハが大型になると、その周辺と中央では、入熱と出熱のバランスに差が生じ、ウェハ全面を均一な温度に保つのが難しいという問題もある。一般的には、基板の中央の方が冷却されやすく、基板周辺の冷却が弱くなる。このため、ウェハ全面を均一な温度に制御するためには、基板の周辺と中央で冷却の程度を変える必要がある。
このように基板の部位によって、冷却の程度を変える手段の一つとして、載置台をゾーン別けして、ゾーン毎に冷却ガスを供給する方法が提案されている(特許文献3)。
すなわち、載置台表面に周縁環状凸部を設けて、基板と載置台表面との間の閉空間を内側部分と外側部分に分離し、両部分のそれぞれに熱伝達用ガス導入部を設けた基板載置台である。この構成によれば、周縁環状凸部で分割された各ゾーンの圧力を異なるようにすることができる。
特開2000−317761号公報 特開2001−274228号公報 特開2006−156938号公報
上述したような、載置台に周縁環状凸部を設けて基板の冷却範囲をゾーン分けする方法では、ゾーンを分けている内側環状凸部の部分において基板と載置台とが接触している。そのため、かかる接触部分における抜熱量が他の部分より大きくなり、その結果、接触部周辺の温度が他の部分の温度より低くなり、基板の特性に特異点が生じるという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、被処理基板の温度制御性がよく、基板全体において局所的に抜熱量が急変するような特異点の無い基板載置台、そのような基板載置台を用いた基板処理装置、および基板の温度制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の基板載置台は、基板処理装置において基板を載置する基板載置台であって、載置台本体と、前記載置台本体の基板載置側の表面に基板が載置された際に基板の周縁部に接触し、基板の下側部分に熱伝達用ガスが流通する閉空間を形成する周縁環状凸部と、前記基板載置側の表面の周縁部付近又は中央部付近のいずれか一方に形成された前記熱伝達用ガス流入口と、他方に形成された前記熱伝達用ガス流出口と、前記基板載置側の表面に形成され、前記熱伝達用ガスが前記熱伝達用ガスの流入口から流出口に流動するときにコンダクタンスCを形成する流路とを備えたことを特徴とするものである。
この載置台におけるコンダクタンスCは下記式で定義され、コンダクタンスCの値が所望の範囲内にあることが好ましい。
C(m/sec)=Q/ΔP
ここで、Q:熱伝達用ガスの質量流量(Pa・m/sec)
ΔP:熱伝達用ガスの流入口と流出口間の差圧(Pa)
ここで、前記流路を円柱形状の突起部を連結材により連結し、基板載置側の表面に同心円状(環状)に形成することは好適である。また、矩形又は円柱形状の突起部の上端を前記基板と接触させず、かつ近接して設けることは好ましい。かかる上端と基板との隙間を熱伝達用ガスが流れ、その隙間によりコンダクタンス値が決定される。
また、前記流路を形成する矩形又は円柱形状の突起部の上端に前記基板と接触する小突起を設け、矩形又は円柱形状の突起部を連結材により連結し、同様に環状に複数列形成することは好ましい。これにより基板と接触する部分は小突起となるため、基板温度の特異点が少なくなる。また、この小突起は突起部本体上端と基板との間隔を安定に保つ機能を有する。さらに、小突起の幅、及び高さを調整することにより熱伝達用ガスの流れを容易に制御できるため、コンダクタンス値の調整がより容易となる。
本発明の載置台は、基板処理装置において基板を載置する基板載置台であって、載置台本体と、前記載置台本体の基板載置側の表面に基板が載置された際に基板の周縁部に接触し、基板の下側部分に熱伝達用ガスが流通する閉空間を形成する周縁環状凸部と、前記基板載置側の表面の中心点から距離r離れた位置に形成された前記熱伝達用ガスの流入口又は流出口と、前記基板載置側の表面の周縁部付近に形成され、前記熱伝達用ガスの流入口又は流出口に対応する流出口又は流入口と、前記基板載置側の表面に形成され、前記熱伝達用ガスが前記熱伝達用ガスの流入口から流出口に流動するときにコンダクタンスCを形成する流路と、前記中心点から前記距離rの範囲に形成された複数の点状突起とが設けられたことを特徴とする。
この載置台におけるコンダクタンスCの値は下記式で定義され、その値が所望の範囲内にあることは好ましい。
C(m/sec)=Q/ΔP
ここで、Q:熱伝達用ガスの質量流量(Pa・m/sec)
ΔP:熱伝達用ガスの流入口と流出口間の差圧(Pa)
また、前記流路は、上端が前記基板と接触せずに近接して設けられた矩形又は円柱形状の突起部を連結材により連結した流路形成部材を環状に複数列形成してなることが好ましい。
また、前記流路は、上端に前記基板と接触する小突起を備えた矩形又は円柱形状の突起部を連結材により連結した流路形成部材を環状に複数列形成してなることが好ましい。
このように構成することにより、例えば、周縁部付近に設けた熱伝達用ガス流入口から、中心点から距離r離れた位置に設けられた熱伝達用ガス流出口間のエリアにおける熱伝達用ガスの圧力が熱伝達用ガス流入口から流出口に向かい、ガスの圧力は低くなることになる。
一方において、熱伝達用ガス流出口から中心点までのエリアでは、熱伝達用ガスの流動は、ガスが充填される初期の状態を除いておこらないため、当該エリアにおけるガス圧力は同圧となる。この結果、従来は仕切り壁を設けなければ圧力の異なるエリアを設ける(ゾーン分けする)ことができなかったが、本発明によれば、仕切り壁を設けることなく圧力差の異なるエリアをつくることができる。
本発明は、基板処理装置において基板を載置する基板載置台であって、載置台本体と、前記載置台本体の基板載置側の表面に基板が載置された際に基板の周縁部に接触し、前記基板の下側部分に熱伝達用ガスが流通する閉空間を形成する周縁環状凸部と、前記閉空間に環状に設けられ、前記熱伝達用ガスの流路を形成する複数の略円形の仕切り壁と、前記基板載置側の表面の中央部付近に形成された前記熱伝達用ガスの流入口又は流出口と、前記基板載置側の表面の周縁部付近に設けられ、前記中央部付近に形成された流入口又は流出口に対応する少なくとも1以上の流出口又は流入口とを備え、前記各略円形の仕切り壁には前記熱伝達用ガスが流通するための切り欠き部が設けられていることをことを特徴とする。
前記切り欠き部が、前記熱伝達用ガスの流入口又は流出口から最も離れた位置に設けられていることは好適である。また、略円形の仕切り壁に複数の切り欠き部を設ける場合は、隣接する略円形の仕切り壁に設けた切り欠き部と同数の切り欠き部をその仕切り壁に設け、かつ、隣接する仕切り壁に設けられているいずれかの切り欠き部から最も離れた位置に切り欠き部を設けることは好適である。これにより、所望のコンダクタンスCの熱伝達用ガス流路を形成することができる。
この載置台における流路のコンダクタンスCは下記式で定義され、コンダクタンスCの値が所望の範囲内にあることは好ましい。
C(m/sec)=Q/ΔP
ここで、Q:熱伝達用ガスの質量流量(Pa・m/sec)
ΔP:熱伝達用ガスの流入口と流出口間の差圧(Pa)
また、前記略円形の仕切り壁の上端が前記基板に接触せずに近接していることは好ましい。また、前記略円形の仕切り壁の上端が前記基板に接触していてもよい。
ここで、前記コンダクタンスCの値が3×10−8から3×10−4/secの範囲内にあることは好ましく、この値が3×10−7から3×10−5/secの範囲内にあることはさらに好ましい。さらに、前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が、10Torrから40Torrであることは好ましい。
さらに好ましくは、前記熱伝達用ガスの流量が1sccmから100sccm(標準状態でのcc/min)であるときに、前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が10Torrから40Torrとなるように、前記流路を形成する。これにより少ない熱伝達用ガスにより、適切に熱伝達用ガスの圧力差を設けることができる。
本発明は、基板を収容し、内部が減圧保持される処理室と、前記処理室内に設けられ、前記基板が載置された上記いずれかの構成を有する基板載置台と、前記処理室内で前記基板に所定の処理を施す処理機構と、前記基板載置台と前記基板との間に形成された前記閉空間に熱伝達用ガスを供給する熱伝達用ガス供給機構とを具備することを特徴とする基板処理装置を提供する。
ここで、前記基板処理装置が、前記熱伝達用ガス供給機構から供給される熱伝達用ガスの圧力を制御する制御機構を有することは好ましい。
本発明は、上述したいずれかの構成を有する基板載置台を用いて基板の温度を制御する基板の温度制御方法であって、前記コンダクタンスCが、3×10−7/secから3×10−5/secの範囲内にある場合において、前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が、10Torrから40Torrとなるように熱伝達用ガスの供給流量を制御することを特徴とする基板の温度制御方法を提供する。
前記コンダクタンスCは、流路を形成する突起部の上端と前記基板との隙間の高さ、及び/又は環状に設ける流路の列数により調整することが好ましい。
本発明により、基板の周縁部と中央部の抜熱量の比を所望の値に制御することができ、基板全体において局所的に抜熱量が急変する冷却の特異点の無い基板載置台、それを用いた基板処理装置、並びに基板の温度制御方法を提供することが可能になった。
また、本発明の載置台を用いれば、必要最小限の熱伝達用ガス(He等)により所望のガス圧力差を載置台に発生させることができ、これにより基板全体を均一かつ所望の温度に制御することができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である基板載置台を示した図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A矢視断面図である。
載置台1の上部には被処理基板(ウェハ)である基板2が載置されている。載置台1の基板載置側の表面(載置面)は凹部となっており、これと基板2との間にはギャップ3が形成されている。
凹部の外周には、周縁環状凸部4が設けられている。これは基板2の周縁を支持するとともに、ギャップ3からの熱伝達用ガスの漏出を防ぎ、ギャップ3を閉空間とするためのものである。
また、凹部には突起部(本図には示していない。)が所定の間隔で多数設けられている。この突起は、基板2を支持することにより、基板2が自重で撓むことを防止するともに、熱伝達用ガスの流路を形成し、熱伝達用ガスの流れに抵抗を生じさせる働きをする。載置台1の内部には冷媒流路5が設けられ、載置台1を所望の温度に制御している。
本発明の一実施形態における載置台1においては、凹部の周縁部付近に熱伝達用ガス流入口6、中央部付近に熱伝達用ガス流出口7が設けられている。
図1(a)に示すように熱伝達用ガス流入口6は、同心円上、軸対称に6個設けられている。熱伝達用ガス流出口7は、やや中心から離れた位置に設けられ、熱伝達用ガス流入口6から流入するガスの流出口となっている。熱伝達用ガス流出口7も、同心円上に点対称に6個設けられている。なお、熱伝達用ガス流出口7、熱伝達用ガス流入口6の数、及びその位置はこれに限定されるものではなく、熱伝達用ガス流出口7、熱伝達用ガス流入口6の数が同一である必要もない。
熱伝達用ガス、例えばHeガスは、供給源8からが供給され、流量制御装置9(ガス流量制御手段を備える)を介して、枝管により6個の熱伝達用ガス流入口6に分配される。一方、熱伝達用ガス流出口7から流出する熱伝達用ガスは、集合されて排出される。 なお、周縁部付近にガス流入口を限定する必要は無く、逆に中央部付近にガス流入口を設け、周縁部付近にガス流出口を設けてもよい。
この実施の形態における載置台1においては、ギャップ3に配置される点状突起として、図2(a)、(b)に示す2種類の突起部(以下、「連結型」と「非連結型」と呼んで区別する)を用いている。なお、図2(c)に示すような小突起をもたない突起部を用いてもよい。
図2(a)は連結型点状突起部を、図2(b)は非連結型点状突起部を示す。これらの図はともに上段が斜視図、下段が断面図である。
まず、連結型点状突起10aは、円筒状の突起本体11とその中央上部に形成された円筒状の小突起12とからなっている。また、隣接する突起本体11との間は連結部材13で連結されている。
一方、非連結型点状突起10bは、円筒状の突起本体11とその中央上部に形成された円筒状の小突起12とからなっている。連結型点状突起10aと非連結型点状突起10bとは、突起本体11が連結部材13により相互に連結されているか、独立しているかの違いがある。
連結型点状突起10aと非連結型点状突起10bとでは、熱伝達用ガスの流動抵抗に関して違いがある。連結型点状突起10aにおいては、連結方向に平行な方向(図のY方向)にガスの流路が開けているため流動抵抗は非常に小さい。一方、連結方向に直角な方向(図のX方向)では、突起本体11と連結部材13、小突起12がガス流動の抵抗となり、基板2と突起本体11又は連結部材13との隙間のみがガス流路となり、X方向の流動抵抗が大きい。
これに対して、非連結型点状突起10bにおいては、X方向、Y方向ともに流動抵抗が小さく、熱伝達用ガスが自由に流れ得る。
なお、図2(c)に示す非連結型の突起10cを用いた場合、図2(b)の非連結型点状突起10bと同様にX方向、Y方向ともに熱伝達用ガスが自由に流れ得るが、図2(b)に示す非連結型点状突起10bと比較して、X方向の流れが隣接する突起本体11の隙間のみに制限されることと、及び基板2と突起本体11との接触面積が大きなるという相違点がある。
この実施形態における載置台1においては、この連結型と非連結型の点状突起10a、10bとを使い分けて、基板2にかかる圧力がゾーン分けされるように構成している。
まず、図1(a)において、熱伝達用ガス流出口7で囲われた中央の白抜きの部分は、圧力がほぼ一定の同圧ゾーン14である。この同圧ゾーン14には、非連結型点状突起10bが同心円状に配置されている。突起本体11の径が2mm程度で、その間隔が円周方向、半径方向ともに1から2mm程度である。非連結型点状突起10bが配置されている同圧ゾーン14においては、ガスがX方向及びY方向ともに自由に流れ得るので、この同圧ゾーン14内の熱伝達用ガスの圧力は、ほぼ一様(同圧)となっている。
傾斜圧ゾーン15では、連結型点状突起10aが同心円上に配置され、全円周に亘って一体に連結されている。このような連結体は、半径方向に1mmから2mmの間隔で数十層形成されている。連結型点状突起10aは、図2で示したように、X方向(載置台上では半径方向)に熱伝達用ガスが流れにくく、Y方向(載置台上では円周方向)には自由に流れ得る。したがって、傾斜圧ゾーン15では円周方向の圧力はすぐ一様になるが、半径方向では、熱伝達用ガス流入口6から吹き込まれた熱伝達用ガスの流動抵抗により、半径方向に熱伝達用ガスに差圧が生じることになる。
すなわち、周縁環状凸部4と熱伝達用ガス流出口7とで囲まれた斜線部分は、熱伝達用ガスの圧力が中央に近づくほど低くなっている。このため、熱伝達用ガス流入口6から熱伝達用ガス流出口7の部分(斜線部分)は熱伝達用ガスの圧力が傾斜した傾斜圧ゾーン15となっている。
このような連結型又は非連結型の点状突起10a、10bを載置台上面に多数形成しても、ギャップ3は、基板2のほぼ全面に連続した空間を構成している。すなわち、ギャップ3内に点状突起や後述する環状凸部等の障害物があっても、熱伝達用ガスが流れる流路が基板2のほぼ全面(最外周を除く)に設けられていることで、熱伝達用ガスの流路を構成することができる。
ここで、本発明の特徴は、周縁環状凸部4の付近にある熱伝達用ガス流入口6と中央部付近の熱伝達用ガス流出口7との間に、意図的に圧力差を発生させることにある。熱伝達用ガス流入口6と熱伝達用ガス流出口7との間には定常的なガスの流れが発生するが、発生するガスの差圧を所望の値に制御するには、流量制御装置9を備えることが好ましい。
このように所望の差圧を発生させる目的は、基板の周縁部と中央部で抜熱量を変えることにある。これは、一般的に載置台−基板間のガスの流れは分子流領域になっていることが多く、かかる分子流領域ではガスの熱伝達率が圧力に比例するためである。
本実施形態において、ギャップ3内の圧力が基板2の周縁部と中央部で差が付くように熱伝達用ガスを流し、基板2の温度がどのようになるかを調査した(温度測定実験)。温度測定実験に先立って、ギャップ3内の圧力の制御が可能か否かをテストした(圧力制御実験)。
図3は、圧力制御実験における実験方法の説明図である。熱伝達用ガスの流入口、流出口として、基板載置側の表面に径 0.8mmの孔を基板中央側と基板周縁側に各6個設けた。また、チャンバーの圧力は、約50mTorrで実験した。
図3に示すように基板中央側(以下、Center側、「C側」という)の入出口16aは、基板2の中心C点から半径約40mmの位置に、基板周縁側(以下Edge側、「E側」という)の入出口16bは、基板2の中心Cから半径約100mmの位置に設けた。なお、基板2の半径は150mmである。
C側の入出孔16a及びE側の入出孔16bは、ともにガス流量計17a及び17bに接続されている。また、入出孔16a及び16bの出口付近には枝管が設けられ、それぞれ圧力計18a、18bに接続されている。
目標圧力として下記の4パターンを設定し、この圧力を確保するために、C側及びE側の入出孔16a、16bにどれだけの流量の熱伝達用ガスを吹き込む必要があるかを調査した。
(A1)C側低圧(5Torr)/E側低圧(5Torr)
(A2)C側低圧(5Torr)/E側中圧(15Torr)
(A3)C側中圧(15Torr)/E側低圧(5Torr)
(A4)C側中圧(15Torr)/E側中圧(15Torr)
上記の圧力を確保するに必要なガス流量を測定した結果を表1に示す。
表1に見られるように、熱伝達用ガスの吹き込み量を変えることにより、C側とE側の圧力のバランスを任意に変えられること、及び圧力を5Torr程度にするには、ガス流量を2sccmから5sccm(標準状態でのcc/min)程度にすればよく、圧力を15Torr程度にするには、ガス流量を30sccmから35sccm程度にすればよいことが明らかになった。
以上の結果から、ギャップ3内の圧力分布を所望の値に制御できることが確かめられたので、下記の3つの圧力パターンの場合について、基板の温度分布を測定した。
(B1)C側低圧(10Torr)/E側高圧(40Torr)
(B2)C側高圧(40Torr)/E側低圧(10Torr)
(B3)C側中圧(25Torr)/E側中圧(25Torr)
(温度測定実験)
基板温度の測定は、実際にプラズマ処理が行われている条件の下、同一半径上で、中心からの距離の異なる7箇所で基板の表面温度を測定した。温度測定には、OnWafer社のPlasmaTemp SensorWaferを用いた。測定結果を図4に示す。
図4に示すように、C側とE側で圧力の等しいB3(図の△印)の条件では、半径方向の基板の温度分布はほぼ一定で50℃程度あるが、Edge側に近づくにしたがって、やや上昇し、CenterとEdgeでは、2℃程度E側が高くなっている。これは、「Edge側の冷却がやや弱い」という一般的な傾向が表れためである。
これに対して、C側が低圧、E側が高圧のB1(図の●印)の場合には、Centerの温度が54℃程度であるのに、E側は49℃程度になっており、E側の冷却が強いことが窺える。
また、C側が高圧、E側が低圧のB2(図の○印)の場合には、Centerの温度が46℃程度であるのに、E側に行くにしたがって温度が上昇しており、C側の冷却が強い。この結果から、ギャップ3内の圧力が高い部位ほど、熱伝達用ガスの冷却効果が高くなり、基板温度が低下することが確認された。
半径方向の基板温度分布については、半径rが0から40mmの範囲はほぼ一定であり、半径rが40mmから150mmの範囲では、温度勾配がついている。これは圧力分布を反映しているものと思われる。すなわち、r=0から40mmの範囲は、圧力がほほ一定な等圧ゾーンであり、r=40mmから150mmの範囲は、圧力が次第に変化する傾斜圧ゾーンであると考えられる。
本発明においては、熱伝達用ガスの流入口と流出口間の差圧を10Torrから40Torrに設定することが好ましい。その理由について以下に説明する。
基板全面から載置台にHeガス層を介して伝導伝熱されることを前提とすると、伝熱量Q(J)は次式で計算される。
Q=A・λ・(ΔT/d)・t
ここで、A:伝熱面積(m
λ:Heガス層の熱伝導率(W/m・K)
ΔT:基板と載置台表面の温度差(K)
d:基板と載置台の間隔(m)
t:伝熱時間(s)
今(Aλ/d)の逆数を熱抵抗ρ(=d/Aλ)とすれば、
Q/t=ΔT/ρ
となり、ρの値が分かれば伝熱し易さの程度を容易に評価することできる。本実施形態においては、A=0.0593m、d=40×10−6mとし、Heのλと圧力PHeの関係を計算で求めてρを算出した。
図5は、熱抵抗ρHeとHe圧力の関係を示したものである。 図5に示すように、He圧力が10Torr以下では、He圧力の低下にともない、熱抵抗ρHeが急激に増大する。しかし、He圧力が10Torrを超えると熱抵抗の低下が緩やかになり、40Torrを超えると熱抵抗ρHeがほとんど低下しなくなる。したがって、できるだけ熱抵抗ρHeを下げるという観点からは、ガスの流入口と流出口間の差圧を10Torrから40Torrに設定することが好ましい。
図6は、本発明の第二の実施形態の基板載置台を示した図である。図6(a)は平面図(左側半分のみを示す)、図6(b)は図6(a)のB−B矢視断面図、図6(c)は図6(b)のC部拡大図である。
この実施形態2においても、載置台1の周縁環状凸部4の上に基板2が載置され、載置台1の表面と基板2の間に、熱伝達用ガスが流通するギャップ3が形成されている。また、載置台1の周縁部付近に熱伝達用ガス流入口6と中央部付近に熱伝達用ガス流出口7が設けられていることは、図1に示す実施形態1と同じである。
実施形態1との相違点は、図2に示す連結型又は非連結型の点状突起10a、10bに代えて、複数列の環状凸部19を、載置台1の中心をセンターとして、同心円状に形成したところにある。
環状凸部19の上面は平坦であり、基板2との間は高さがdである間隙20が形成されている。複数列の環状凸部19間は熱伝達用ガスの流路となっており、熱伝達用ガスは円周方向に容易に流れる。そのため、熱伝達用ガス流入口6から吹き込まれた熱伝達用ガスは円周方向全体に流れた後、間隙20を乗り越えて、次の流路に流入する。これを繰り返して、熱伝達用ガスは中央部付近に設けた熱伝達用ガス流出口7から流出する。
熱伝達用ガス流入口6と熱伝達用ガス流入口7との間に、所定流量の熱伝達用ガスを定常的に流せば、熱伝達用ガス流入口6と熱伝達用ガス流入口7との間には、差圧ΔPが発生する。熱伝達用ガスの圧力が高い部分は強く冷却され、低い部分の冷却は弱くなる。
この実施形態2の載置台1は、熱伝達用ガスの流量をより低く抑えて、より大きな差圧を発生させるのに有利である。すなわち、この流路での差圧は主に間隙20の部分で発生する。差圧ΔPに影響する主な要因として、環状凸部19の列数n、環状凸部19の幅W、間隙20の高さdなどがあげられる。とくにdを小さくすれば、低流量でΔPを大きくすることができる。
分子流領域における差圧ΔPと流量Qとの関係は、コンダクタンスをCとして、下式で求められる。
ΔP=Q/C ……………(2)
ここで、ΔP:熱伝達用ガスの流入口と排出口間の差圧(Pa)
Q:熱伝達用ガスの質量流量(Pa・m/sec)
C:コンダクタンス(m/sec)
熱伝達用ガスとして用いられるHeは高価であるから、できるだけ流量Qを少なくすることが望まれる。望ましいQの値は、100sccm(標準状態でのcc/min)以下である。ただし、Qが極端に小さくなると、流量制御が難しくなるので、実用上好ましい流量範囲は1sccmから100sccmである。すでに述べたように望ましいΔPの上限値は、40Torrである。これより(2)式の関係を用いて、望ましいコンダクタンスCの値を計算してみる。1sccmの流量をQの単位に換算すると
Q:1sccm=1.689×10−3Pa・m/sec
ΔP:40Torr=(40/760)×1.013×10=5333(Pa)
として、
C=Q/ΔP=(1から10sccm)×(1.689×10−3)/(5333)≒(1から100)×0.317×10−6m/sec
となる。
すなわち、He流量1sccmで差圧40Torrにするには、Cの値は、約3×10―7/secに、100sccmで40Torrにするには、約3×10―5/secにすればよい。
本発明の第二実施形態の載置台においては、間隙20の高さdを小さくすれば、コンダクタンスCの値を小さくすることができる。また、前述のn、W、dを変えることにより、コンダクタンスCが大幅に変化するから、これらを適正に調節して、Cの値を上述のような所望の値にすることができる。
図7は、本発明の第三の実施形態である基板載置台を示した図である。図7(a)は平面図(基板を載置していない状態)、図7(b)は図7(a)のC−C矢視断面図である。
載置台1の周縁部には、基板を載置する周縁環状凸部4が設けられ、周縁部付近の熱伝達用ガス流入口6と中央部付近の熱伝達用ガス流出口7が設けられていることは、他の実施例と同様である。
この実施形態では、載置台1の上面に略円形の仕切り壁21aから21cが3列同心円上に設けられている。略円形の仕切り壁の上面は基板と接触しており、基板と略円形の仕切り壁21aから21cとの間に隙間はなく、熱伝達用ガスはそこを流れることはない。熱伝達用ガスは、仕切り壁21aから21cに各1箇所設けられた切り欠き部を通って流れる。
すなわち、外側の仕切り壁21aには、熱伝達用ガス流入口6の反対側(以下、右側という)に切り欠き部22aが設けられ、外側から2番目の仕切り壁21bには、熱伝達用ガス流入口6と同じ側(左側)に切り欠き部22bが設けられ、内側の仕切り壁には、熱伝達用ガス流入口6の反対側(右側)に切り欠き部22cが設けられている。これによりガスは、それぞれの仕切り壁の外周を180°ずつ回って内側に入ることになり、ガスの流路が最も長い状態にすることができる。
図8は、本発明の第四の実施形態である基板載置台を示した図で、基板を載置していない状態の平面図である。
載置台1の周縁部には、基板を載置する周縁環状凸部4が設けられ、周縁部付近の熱伝達用ガス流入口6と中央部付近の熱伝達用ガス流出口7が設けられていること、及び載置台1の上面に略円形の仕切り壁21aから21cが3列同心円上に設けられていることなどは図7の例と同様である。しかし、この例では熱伝達用ガス流入口6が2個設けられており、これに対応して切り欠き22aから22cの数及び位置が図7の例と相違している。
すなわち、外側の仕切り壁21aには、熱伝達用ガス流入口6と90°ずれた方向の側(以下、上下側という)2個所に切り欠き部22aが設けられ、外側から2番目の仕切り壁21bには、熱伝達用ガス流入口6と同じ側(左右側)2個所に切り欠き部22bが設けられ、内側の仕切り壁21cには、熱伝達用ガス流入口6と90°ずれた方向の側(上下側)2個所に切り欠き部22cが設けられている。
熱伝達用ガス流入口6から入ったガスは、仕切り壁21aを90°回って、切り欠き部22bから内側に入り、さらに仕切り壁21bを90°回って、切り欠き部22cから内側に入って、中央部付近の熱伝達用ガス流出口7から排出される。この場合も、ガスの流路が最も長い状態になっている。
図9は、図8の実施形態の変形例である。図8に示す第四の実施形態では仕切り壁21aに切り欠き部22aを2個所、180°ずれた位置に設けている。これに対して、図9の実施形態では第1の切り欠き部22aから時計回りに90°の位置に第2の切り欠き部22aを設けたものである。また、内側の仕切り壁21bの切り欠き部22bは、切り欠き部22aから最も離れた位置にそれぞれ設けている。切り欠き部22cについても同様の位置に設けてある。
本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。仕切り壁に2個所以上の切り欠き部を設けてもよく、一つの切り欠き部から時計回りに任意の角度で他の切り欠き部を設けてもよい。
図7、図8、図9のいずれにおいても、載置台1上で、周縁部付近の熱伝達用ガス流入口6から中央部付近の熱伝達用ガス流入口7に到達するまでのガス流路を長くできることに特徴がある。仕切り壁の数を増やせばガス流路はさらに長くなる。
ガス流路に差圧を発生させる抵抗、例えば図2(a)に示した連結型点状突起10a等を多数配置すれば、少ないガス流量で大きな差圧を発生させる上で有利である。
本発明の第一の実施例である被処理基板の載置台を示す図である。 第一実施形態において載置台表面に形成された点状突起の形状を示す図である。 第一実施形態における圧力制御実験の実験方法の説明図である。 第一実施形態における温度測定実験の実験結果の例を示す図である。 ギャップ内におけるHe圧力と熱抵抗との関係を示す図である。 本発明の第二実施形態である被処理基板の載置台を示す図である。 本発明の第三実施形態である被処理基板の載置台を示す図である。 本発明の第四実施形態である被処理基板の載置台を示す図である。 本発明の第四実施形態の変形例である被処理基板の載置台を示す図である。
1 載置台
2 基板
3 ギャップ
4 周縁環状凸部
5 冷媒流路
6 周縁部付近の開口部(熱伝達用ガス流入口)
7 中央部付近の開口部(熱伝達用ガス流出口)
8 熱伝達用ガス供給源
9 流量制御装置
10a 連結型点状突起
10b 非連結型点状突起
10c 非連結型突起
11 突起本体
12 小突起
13 連結部材
14 同圧ゾーン
15 傾斜圧ゾーン
16a 中央側入出孔
16b 周縁側入出孔
17a,17b 流量計
18a,18b 圧力計
19 環状凸部
20 間隙
21a,21b,21c 仕切り壁
22a,22b,22c 切り欠き部

Claims (13)

  1. 基板処理装置において基板を載置する基板載置台であって、
    載置台本体と、
    前記載置台本体の基板載置側の表面に基板が載置された際に基板の周縁部に接触し、前記基板の下側部分に熱伝達用ガスが流通する閉空間を形成する周縁環状凸部と、
    前記閉空間に環状に設けられ、前記熱伝達用ガスが流動するときにコンダクタンスCの流路を形成する複数の略円形の仕切り壁と、
    前記基板載置側の表面の中央部付近に形成された前記熱伝達用ガスの流入口又は流出口と、
    前記基板載置側の表面の周縁部付近に設けられ、前記中央部付近に形成された流入口又は流出口に対応する少なくとも1以上の流出口又は流入口とを備え、
    前記各略円形の仕切り壁には前記熱伝達用ガスが流通するための切り欠き部が設けられていることを特徴とする基板載置台。
  2. 前記コンダクタンスCは、下記(1)式で定義され、前記コンダクタンスCの値が所望の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の基板載置台。
    C(m /sec)=Q/ΔP …………(1)
    ここで、Q:熱伝達用ガスの質量流量(Pa・m /sec)
    ΔP:熱伝達用ガスの流入口と流出口間の差圧(Pa)
  3. 前記コンダクタンスCが、3×10 −8 /secから3×10 −4 /secの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板載置台。
  4. 前記コンダクタンスCが、3×10 −7 /secから3×10 −5 /secの範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板載置台。
  5. 前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が、10Torrから40Torrであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基板載置台。
  6. 前記熱伝達用ガスの流量が1sccmから100sccmであるときに、前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が10Torrから40Torrとなるように、前記流路が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の基板載置台。
  7. 前記略円形の仕切り壁の上端が前記基板に接触せずに近接していることを特徴とする請求項1に記載の基板載置台。
  8. 前記略円形の仕切り壁の上端が前記基板に接触していることを特徴とする請求項1に記載の基板載置台。
  9. 基板を収容し、内部が減圧保持される処理室と、
    前記処理室内に設けられ、前記基板が載置された、請求項1から8のいずれかに記載された構成を有する基板載置台と、
    前記処理室内で前記基板に所定の処理を施す処理機構と、
    前記基板載置台と前記基板との間に形成された前記閉空間内を流通する熱伝達用ガスを供給する熱伝達用ガス供給機構と
    を具備することを特徴とする基板処理装置。
  10. 前記熱伝達用ガス供給機構から供給される熱伝達用ガスの圧力を制御する制御機構を有することを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
  11. 請求項1から8のいずれかに記載の基板載置台を用いて基板の温度を制御する基板の温度制御方法であって、
    前記コンダクタンスCが、3×10 −7 /secから3×10 −5 /secの範囲内にある場合において、
    前記熱伝達用ガスの流入口と流出口における熱伝達用ガスの圧力差が、10Torrから40Torrとなるように熱伝達用ガスの供給流量を制御することを特徴とする基板の温度制御方法。
  12. 請求項1に記載の基板載置台を用いて基板の温度を制御する温度制御方法であって、前記環状に設ける略円形の仕切り壁の列数により、前記コンダクタンスCを調整することを特徴とする基板の温度制御方法。
  13. 請求項1に記載の基板載置台を用いて基板の温度を制御する温度制御方法であって、環状に設ける略円形の仕切り壁の上端と前記基板との隙間の高さにより、前記コンダクタンスCを調整することを特徴とする基板の温度制御方法。
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