JP2012127323A - 車両の熱制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱材の発熱による触媒の加温と蓄熱材の吸熱による触媒の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行できるようにする。
【解決手段】自動車には、内燃機関1の排気を浄化するための触媒3を加温したり冷却したりする熱制御装置4が設けられる。この熱制御装置は、低温での加水時に水分と反応して発熱する一方で高温時には脱水して吸熱を行う蓄熱材6を備える。そして、触媒3の加温のための蓄熱材6の発熱の要求、及び触媒3の冷却のための蓄熱材6の吸熱の要求がないときには、熱制御準備処理が実行される。同熱制御準備処理の実行を通じて、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態とされる。このように蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、蓄熱材6の発熱による触媒3の加温と蓄熱材6の吸熱による触媒の冷却とのいずれについても、要求があったときに的確且つ速やかに実行される。
【選択図】図1
【解決手段】自動車には、内燃機関1の排気を浄化するための触媒3を加温したり冷却したりする熱制御装置4が設けられる。この熱制御装置は、低温での加水時に水分と反応して発熱する一方で高温時には脱水して吸熱を行う蓄熱材6を備える。そして、触媒3の加温のための蓄熱材6の発熱の要求、及び触媒3の冷却のための蓄熱材6の吸熱の要求がないときには、熱制御準備処理が実行される。同熱制御準備処理の実行を通じて、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態とされる。このように蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、蓄熱材6の発熱による触媒3の加温と蓄熱材6の吸熱による触媒の冷却とのいずれについても、要求があったときに的確且つ速やかに実行される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の熱制御装置に関する。
内燃機関を搭載した自動車などの車両においては、同機関の排気系に設けられた触媒を速やかに活性温度以上とすべく、その触媒の加温を行う熱制御装置を採用することが考えられる。こうした熱制御装置としては、低温時の加水により水分と反応して発熱する一方で高温時には脱水して吸熱を行う蓄熱材を備え、その蓄熱材の発熱を通じて触媒の加温を行うものが開示されている。また、同装置では、内燃機関の排気の温度が高くなると、上記のように加水された状態の蓄熱材が排気の熱を受けて脱水し、それによって再び水分との反応による発熱が可能になる。なお、上記蓄熱材の脱水時には同蓄熱材への吸熱が行われるため、その吸熱を通じて触媒の冷却が行われるようになる。
ところで、蓄熱材の発熱による触媒の加温に関しては、同触媒の温度が低いときなど所望のタイミングで行えるようにすることが望まれている。このため、特許文献1に示されるように、蓄熱材に対する水分の出入りを禁止したり許可したりすべく開閉する開閉弁を設けることが考えられる。特許文献1では、蓄熱材が脱水状態にあるときに開閉弁を閉じて同蓄熱材に対する水分の出入りを禁止することで同蓄熱材を発熱可能な状態に保持し、その状態のもとで触媒の低温時など同触媒の加温を行いたい状況が生じたとき、開閉弁を開いて蓄熱材に対する水分の出入りを許可するようにしている。そして、このように開閉弁が開くことで蓄熱材が水分と反応して発熱し、その発熱を通じて触媒が加温されるようになる。
特許文献1に示されるように、蓄熱材が脱水状態にあるときに開閉弁を閉じて同蓄熱材に対する水分の出入りを禁止し、触媒の加温を行いたい状況が生じたときに上記開閉弁を開いて蓄熱材に対する水分の出入りを許可することで、触媒の加温を行いたい状況のときに的確に蓄熱材の発熱を通じて触媒を加温することができるようにはなる。
ただし、触媒には過度の温度上昇を抑制すべく冷却したい要求もあり、そうした触媒の冷却を行いたい状況が生じたとき、特許文献1の技術を用いて的確に触媒の冷却を行うことができるか否かは不明である。むしろ、特許文献1には蓄熱材の吸熱を利用した触媒の冷却について何ら開示されていないことから、触媒の冷却については特許文献1の技術を用いただけでは所望のタイミングにて的確に実行することはできない可能性が高い。
例えば、内燃機関を高負荷運転させた直後に停止させ、更に同停止直後に再始動させるような場合、同機関の始動開始直後における排気の温度が過度に高くなることから、触媒における過度の温度上昇を抑制すべく同触媒を冷却することが好ましい。しかし、特許文献1の技術を用いただけでは、上記のような触媒を冷却したいタイミングにて同冷却を的確に実行できない可能性が高い。更に、触媒を冷却したいタイミングにて同冷却を的確且つ速やかに実行できないと、それに起因して触媒の熱劣化を招くおそれもある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄熱材の発熱による触媒の加温と蓄熱材の吸熱による触媒の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行することのできる車両の熱制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、供給手段による反応器への水の供給を通じて反応器に収容された蓄熱材の発熱が制御される。また、回収手段による反応器からの水の回収を通じて反応器に収容された蓄熱材の吸熱が制御される。そして、蓄熱材の発熱及び吸熱の要求がないときには、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく供給手段及び回収手段が制御手段により制御される。このように蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることで、蓄熱材の発熱による触媒の加温と蓄熱材の吸熱による触媒の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行することができるようになる。すなわち、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒の加温のために蓄熱材の発熱が要求された場合、供給手段による反応器への水の供給を通じて蓄熱材が水分と反応して発熱し、その発熱を通じて触媒が的確に上記加温の要求されたタイミングにて速やかに加温される。一方、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒の冷却のために蓄熱材の吸熱が要求された場合、回収手段による反応器からの水の回収を通じて蓄熱材が脱水して吸熱し、その吸熱を通じて触媒が的確に上記冷却の要求されたタイミングにて速やかに加温される。
請求項2記載の発明によれば、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、言い換えれば蓄熱材の発熱及び吸熱の要求が生じない状況のとき、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく供給手段及び回収手段が制御される。このように蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることで、内燃機関の次回の始動開始後における蓄熱材の発熱と吸熱とのいずれについても、要求があったときに速やかに実行することができる。
内燃機関の停止要求がなされたとき、同機関の排気の温度が予め定められた判定値以上といった高い値である場合には、次回の機関始動開始時に触媒の温度が同触媒の熱劣化を招くほど高くなるおそれがある。請求項3記載の発明によれば、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、内燃機関の排気の温度が上記判定値以上であることを条件に、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく供給手段及び回収手段が制御される。この場合、内燃機関の停止直後に再始動される場合など同機関の始動開始直後に触媒の温度が高くなって同触媒の熱劣化を招くおそれがあるような状況のもとでも、蓄熱材の吸熱による同触媒の冷却を速やかに行うことができる。従って、上述した状況のもとでの触媒の温度の過上昇が原因となって、触媒の熱劣化が生じることを抑制できる。
内燃機関の停止要求がなされたとき、同機関の排気の温度が上記判定値未満であるなど同排気の温度が低い場合には、次回の機関始動開始直後に触媒の温度が同触媒の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低くなるおそれがある。請求項4記載の発明によれば、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、内燃機関の排気の温度が上記判定値未満であることを条件に、蓄熱材が脱水完了状態となるようにすべく回収手段が制御される。この場合、内燃機関の始動開始直後に触媒の温度が同触媒の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低くなる状況のもとでも、触媒に対し蓄熱材の発熱による最大限の加温を行うことができる。従って、上述した状況のもとで触媒の温度が低くなることが原因となって、触媒の排気浄化能力が適正レベル未満に低下することを抑制できる。
内燃機関の運転中に触媒が適温であれば、同触媒の温度を調節するための蓄熱材の発熱及び吸熱を行わなくてもよいため、蓄熱材の発熱及び吸熱の要求は生じない状況となる。請求項5記載の発明によれば、こうした蓄熱材の発熱及び吸熱の生じない状況のとき、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく供給手段及び回収手段が制御される。このように蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、内燃機関の運転中における蓄熱材の発熱と吸熱とのいずれについても、要求があったときに速やかに実行することができる。
なお、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにする際、蓄熱材が脱水完了状態であって脱水に伴う吸熱を行うことが不可能な状態であるときには、請求項6記載の発明のように、反応器への水の供給が行われるよう制御手段を通じて供給手段が制御されることで、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることが実現される。
一方、蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにする際、蓄熱材が加水完了状態であって水分との反応による発熱を行うことが不可能な状態であるときには、請求項7記載の発明のように、反応器からの水の回収が行われるよう制御手段を通じて回収手段が制御されることで、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることが実現される。
[第1実施形態]
以下、本発明を自動車の熱制御装置に具体化した第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
以下、本発明を自動車の熱制御装置に具体化した第1実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、自動車に搭載される内燃機関1の排気系には、同機関1に接続される排気管2と、その排気管2を通過する排気を浄化するための触媒3とが設けられている。そして、内燃機関1の排気は、排気管2を通じて触媒3に流れ込み、同触媒3にて浄化された後に外部に放出される。ちなみに、上記触媒3は、その温度を活性温度以上としたときに必要な排気浄化能力を発揮するようになる。なお、上記活性温度とは、触媒3の排気浄化能力を必要最小レベルとし得る同触媒3の温度のことである。
また、自動車には、触媒3を加温したり冷却したりするための熱制御装置4が設けられている。この熱制御装置4は、排気管2における触媒3の上流部分の周囲に設けられた反応器5を備えている。反応器5の内部には、水酸化カルシウム等の蓄熱材6が収容されている。この蓄熱材6は、低温での加水時に水分と反応して発熱する一方、高温時には脱水して吸熱を行う。反応器5には、水タンク7内の水を同反応器5の内部に送るための供給管8、及び、反応器5の内部に存在する水や水蒸気を水タンク7に戻すための排出管9が接続されている。
熱制御装置4の供給管8には開閉弁10が設けられている。この開閉弁10を開くと、水タンク7から反応器5への供給管8を介しての水の流れが許容され、開閉弁10を閉じると水タンク7から反応器5への供給管8を介しての水の流れが遮断される。そして、反応器5内の蓄熱材6が脱水状態にあるとき、開閉弁10が開いて水タンク7の水が供給管8を介して反応器5に送られると、上記蓄熱材6が水分と反応して発熱する。この蓄熱材6の発熱を利用して、内燃機関1の排気管2における反応器5に対応する部分が加温される。このように排気管2の反応器5に対応する部分が加温されると、同部分を通過する排気の温度が上昇し、その温度上昇した排気が触媒3に流れて同触媒3が加温される。
また、上記熱制御装置4の排出管9には開閉弁11が設けられている。この開閉弁11を開くと反応器5から水タンク7への排出管9を介しての水や水蒸気の流れが許容され、開閉弁11を閉じると反応器5から水タンク7への排出管9を介しての水や水蒸気の流れが遮断される。そして、蓄熱材6の加水状態にあって、排気管2を通過する排気の温度が高くなって同排気の熱が反応器5内の蓄熱材6に付与されている状況のもと、閉じられた状態にある開閉弁10,11のうち開閉弁11が開かれると、蓄熱材6からの脱水が行われるとともに及び同脱水に伴う蓄熱材6への吸熱が行われる。この蓄熱材6への吸熱に基づいて排気管2における反応器5に対応する部分が冷却される。このように排気管2における反応器5に対応する部分が冷却されると、同部分を通過する排気の温度が低下し、その温度低下した排気が触媒3に流れて同触媒3が冷却される。なお、上記脱水により蓄熱材6から分離した水は、排出管9を通じて水タンク7へと回収される。
次に、上記熱制御装置4の電気的構成について説明する。
この熱制御装置4は、内燃機関1に関する各種運転制御等を実施する電子制御装置21を備えている。同電子制御装置21には、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。
この熱制御装置4は、内燃機関1に関する各種運転制御等を実施する電子制御装置21を備えている。同電子制御装置21には、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。
電子制御装置21の入力ポートには、以下に示す各種センサ等が接続されている。
・内燃機関1の吸入空気量を検出するエアフローメータ22。
・内燃機関1の回転速度を検出するためのクランクポジションセンサ23。
・内燃機関1の吸入空気量を検出するエアフローメータ22。
・内燃機関1の回転速度を検出するためのクランクポジションセンサ23。
・内燃機関1の排気系における触媒3入口の排気温を検出する排気温センサ24。
・供給管8における水の流量を検出する流量センサ25。
・供給管8における水の温度を検出する温度センサ26。
・供給管8における水の流量を検出する流量センサ25。
・供給管8における水の温度を検出する温度センサ26。
・排出管9における水の流量を検出する流量センサ27。
・排出管9における水の温度を検出する温度センサ28。
・水タンク7の水量を検出する水量センサ29。
・排出管9における水の温度を検出する温度センサ28。
・水タンク7の水量を検出する水量センサ29。
また、電子制御装置21の出力ポートには、内燃機関1を運転制御するための各種機器の駆動回路が接続される他、開閉弁10の駆動回路、及び開閉弁11の駆動回路といった各種の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置21は、上記各種センサから入力した検出信号に基づき、機関回転速度及び機関負荷(内燃機関1の1サイクル当たりに燃焼室に吸入される空気の量)といった機関運転状態を把握するとともに、熱制御装置4における水タンク7に対する水の出入りや温度の状態を把握する。電子制御装置21は、機関負荷や機関回転速度といった機関運転状態、熱制御装置4における水タンク7の水量、及び同水タンク7に対する水の出入りや温度等に応じて、上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして内燃機関1における燃料噴射量制御や点火時期制御等の各種運転制御や、開閉弁10及び開閉弁11の駆動制御が電子制御装置21を通じて実施される。
次に、水タンク7から反応器5への水の供給量の算出、及び、反応器5から水タンク7への水の回収量の算出について、供給量・回収量算出ルーチンを示す図2のフローチャートを参照して説明する。この供給量・回収量算出ルーチンは、電子制御装置21を通じて、所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、流量センサ25によって検出される供給管8での水の流量に基づいて、水タンク7から反応器5に供給された水の供給量Awが算出される(S101)。詳しくは、流量センサ25によって検出される供給管8での水の流量に基づき、同ルーチンの前回の実行から今回の実行までに供給管8を流れた水の量を算出し、その水の量を算出毎に累積した値が上記供給量Awとされる。なお、上述したように算出された供給量Awは、その算出毎に電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶される。そして、次回の上記累積の際には同RAMに記憶された供給量Awが用いられる。
続いて、流量センサ27によって検出される排出管9での水の流量に基づいて、反応器5から水タンク7へと回収される水の回収量Rwが算出される(S102)。詳しくは、流量センサ27によって検出される排出管9での水の流量に基づき、同ルーチンの前回の実行から今回の実行までに排出管9を流れた水の量を算出し、その水の量を算出毎に累積した値が上記回収量Rwとされる。なお、上述したように算出された回収量Rwは、その算出毎に電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶される。そして、次回の上記累積の際には同RAMに記憶された回収量Rwが用いられる。
同ルーチンにおいて、S103及びS103の処理は、上述したように不揮発性のMRAMに記憶された供給量Aw及び回収量Rwを初期値「0」にリセットするためのものである。この一連の処理では、水量センサ29によって検出される水タンク7の水量が予め定められた最大値であるか否かが判断され(S103)、ここで肯定判定であるときに上記不揮発性のRAMに記憶された供給量Aw及び回収量Rwがそれぞれ初期値「0」とされる(S104)。
次に、熱制御装置4での蓄熱材6の発熱及び吸熱の制御について、熱制御ルーチンを示す図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。この熱制御ルーチンは、電子制御装置21を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
同ルーチンにおいては、まず蓄熱材6の発熱要求があるか否かが判断される(図3のS201)。こうした蓄熱材6の発熱要求は、内燃機関1の冷間始動の開始直後など触媒3の温度が上記活性温度未満であるときになされる。なお、触媒3の温度については、排気温センサ24によって検出される触媒3入口の排気の温度、機関運転状態から求められる内燃機関1の燃料噴射量の指令値、及び、エアフローメータ22によって検出される内燃機関1の吸入空気量等から推定することが可能である。
そして、触媒3の温度が活性温度未満であることに基づき蓄熱材6の発熱要求がなされると、上記S201の処理で肯定判定がなされて触媒3を加温するための処理(S202〜S205)が実行される。この一連の処理では、蓄熱材6が発熱可能であるか否かが判断される(S202)。ここでは、蓄熱材6が加水完了状態でないことを条件に、蓄熱材6が発熱可能である旨判断されて肯定判定がなされる。なお、蓄熱材6が加水完了状態であるか否かの判断については、電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶された供給量Aw及び回収量Rw、並びに水量センサ29により検出される水タンク7の水量に基づいて行うことが可能である。
S202で肯定判定がなされると、温度センサ26によって検出される供給管8内の水温が予め定められた規定値以上であるか否かが判断される(S203)。このときの規定値としては、例えば供給管8内の水が凍結することのない値が用いられる。従って、S203で肯定判定であるときには、供給管8内での水の凍結により同供給管8を通じての反応器5への水の供給を行えないという状況ではないことを意味する。そして、S203で肯定判定がなされると、開閉弁11を閉じた状態としつつ開閉弁10を開いて水タンク7から反応器5に水が供給される(S204)。その結果、反応器5内の蓄熱材6が水分と反応して発熱し、その発熱を利用して触媒3の加温が行われる。
なお、S202とS203とのいずれかで否定判定がなされた場合、言い換えれば蓄熱材6が加水完了状態であって水分との反応による発熱が不可能なときや、供給管8の凍結によって蓄熱材6の水分との反応による発熱が不可能なときには、熱制御装置4による触媒3の加温とは別の触媒温度上昇制御が実行される(S205)。こうした触媒温度上昇制御としては、例えば内燃機関1の点火時期遅角が考えられる。このように点火時期を遅角させることにより、内燃機関の排気温度が上昇して触媒3の温度上昇が図られるようになる。
一方、S201の処理で蓄熱材6の発熱要求がない旨判断されると、同蓄熱材6の吸熱要求があるか否かが判断される(S206)。こうした蓄熱材6の吸熱要求は、内燃機関1の高負荷運転時など、同機関1の排気の温度が高くなって触媒3の温度が許容上限値以上になるおそれのあるときになされる。そして、触媒3の温度が許容上限値以上になるおそれのある状況であることに基づき蓄熱材6の吸熱要求がなされると、上記S206の処理で肯定判定がなされて触媒3を冷却するための処理(S207〜S209)が実行される。この一連の処理では、蓄熱材6が吸熱可能であるか否かが判断される(S207)。ここでは、蓄熱材6が脱水完了状態でないことを条件に、蓄熱材6が吸熱可能である旨判断されて肯定判定がなされる。なお、蓄熱材6が脱水完了状態であるか否かの判断については、電子制御装置21の不揮発性のRAMに記憶された供給量Aw及び回収量Rw、並びに水量センサ29により検出される水タンク7の水量に基づいて行うことが可能である。
S207で肯定判定がなされると、温度センサ28によって検出される排出管9内の水温が予め定められた規定値以上であるか否かが判断される(S208)。このときの規定値としては、例えば排出管9内の水が凍結することのない値が用いられる。従って、S208で肯定判定であるときには、排出管9内での水の凍結により同排出管9を通じての反応器5から水タンク7への水の回収を行えないという状況ではないことを意味する。そして、S208で肯定判定がなされると、開閉弁10を閉じた状態としつつ開閉弁11を開いて反応器5から水タンク7に水が回収される(S209)。詳しくは、排気管2を通過する高温の排気からの熱が加水状態にある蓄熱材6に付与されている状況のもと、上記のように開閉弁11が開かれると、蓄熱材6からの脱水が行われるとともに及び同脱水に伴う蓄熱材6への吸熱が行われる。この蓄熱材6への吸熱を利用して触媒3の冷却が行われるとともに、同蓄熱材6から離脱した水が排出管9を介して水タンク7に回収される。
また、上記S206の処理で蓄熱材6の吸熱要求がない旨判断されると、言い換えれば蓄熱材6の吸熱要求がなく且つ発熱要求もない状況のもとでは、同蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく、図4のS210以降の処理が行われる。
この一連の処理では、まず内燃機関1の停止過程であるか否かの判断に用いられるフラグFが0(機関停止過程でない)であるか否かが判断される(S210)。ここで肯定判定であれば、例えば運転者によるイグニッションスイッチのオフ操作の有無等に基づき内燃機関1の停止要求があるか否かが判断される(211)。そして、内燃機関1の停止要求がない旨判断されると、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにするための熱制御準備処理が実行される(S212)。こうした熱制御準備処理により、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、蓄熱材6の発熱による触媒3の加温と蓄熱材6の吸熱による触媒3の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行することができるようになる。
一方、S211の処理で内燃機関1の停止要求がある旨判断されると、フラグFが「1(機関停止過程)」に設定される(S213)。なお、内燃機関1の停止要求がなされたとき、それまでに蓄熱材6の発熱要求や吸熱要求がなされている場合、それら発熱要求や吸熱要求に基づく無駄な蓄熱材6の発熱や吸熱の実行を回避することを意図して、上記発熱要求や上記吸熱要求が取り消されることとなる。そして、S213の処理の実行後には、排気温センサ24によって検出される排気の温度が所定値以上であるか否かが判断される(S214)。このときの所定値としては、例えば、次回の機関始動開始時に触媒3の温度が同触媒3の熱劣化を招くおそれがあるほど高い値(以下、熱劣化判定値という)が用いられる。S214で肯定判定であれば、上記と同様、熱制御準備処理が実行される(S212)。
そして、熱制御準備処理による熱制御の準備が完了すると(S215:YES)、すなわち蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることが完了すると、フラグFが「0」に設定され(S220)、その後に内燃機関1が停止される(S221)。上述したように内燃機関1の停止要求がなされてから、上記熱制御準備処理を実行して蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、内燃機関1の停止直後の再始動により触媒3の熱劣化を招くほど同触媒3の温度が高くなる状況のとき、蓄熱材6の吸熱による同触媒3の冷却を速やかに行うことができる。
また、S214において、排気温センサ24により検出される排気の温度が所定値(熱劣化判定値)未満である旨判断されると、蓄熱材6が脱水完了状態であるか否かが判断される(S216)。ここで否定判定であれば、上記S208(図3)と同様、排出管9内の水温が予め定められた規定値以上であるか否かが判断される(S218)。そして、S218の処理で肯定判定であって、排出管9内での水の凍結により同排出管9を通じての反応器5から水タンク7への水の回収を行えないという状況ではない場合、開閉弁10を閉じた状態としつつ開閉弁11を開いて反応器5から水タンク7に水が回収される(S219)。詳しくは、排気管2を通過する排気からの熱が上記蓄熱材6に付与されることにより、蓄熱材6からの脱水が行われるとともに、同蓄熱材6から離脱した水が水タンク7に回収される。
このように蓄熱材6からの脱水が行われることで同蓄熱材6が脱水完了状態になると、S216の処理で肯定判定がなされるようになる。ここで肯定判定がなされると、開閉弁10と開閉弁11とが共に閉じられた状態とされることで、水タンク7から反応器5への水の供給、及び同反応器5から水タンク7への水の回収が共に停止される(S217)。これにより、蓄熱材6が脱水完了状態に保持され、その状態のまま内燃機関1が停止されることとなる。なお、内燃機関1の停止要求がなされたとき、排気の温度が熱劣化判定値未満になるほど低い場合には、次回の内燃機関1の始動開始直後に触媒3の温度が同触媒3の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低く値(活性温度未満の値)になるおそれがある。しかし、上述したように蓄熱材6が脱水完了状態に保持されているため、内燃機関1の始動開始直後に触媒3の温度が同触媒3の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低い値になる状況において、触媒3に対し蓄熱材6の発熱による最大限の加温を行うことができるようになる。
次に、上記熱制御準備処理(S212)の詳細について、熱制御準備ルーチンを示す図5のフローチャートを参照して説明する。この熱制御準備ルーチンは、熱制御ルーチンのS212に進む毎に、電子制御装置21を通じて実行される。
熱制御準備ルーチンにおいては、図3のS202と同様の蓄熱材6が発熱可能であるか否かの判断(S301)や、図3のS207と同様の蓄熱材6が吸熱可能であるか否かの判断(S302)が行われる。そして、図5のS301及びS302で共に肯定判定がなされると、開閉弁10と開閉弁11とが共に閉じられた状態とされることで、水タンク7から反応器5への水の供給、及び同反応器5から水タンク7への水の回収が共に停止される(S307)。これにより蓄熱材6は発熱と吸熱との両方を実行可能な状態に保持されることとなる。
上記S301で否定判定がなされた場合、すなわち蓄熱材6が加水完了状態であって発熱不可能な場合、図3のS208及びS209と同様の処理(S303、S304)が実行される。すなわち、温度センサ28によって検出される排出管9内の水温が予め定められた規定値以上であることを条件に(S303:YES)、開閉弁10を閉じた状態としつつ開閉弁11を開いて反応器5から水タンク7に水が回収される(S304)。詳しくは、排気管2を通過する排気からの熱が上記蓄熱材6に付与されることにより、蓄熱材6からの脱水が行われるとともに、同蓄熱材6から離脱した水が水タンク7に回収される。このように蓄熱材6からの脱水が行われることで、次回以降のS301の処理で肯定判定がなされるようになる。
上記S302で否定判定がなされた場合、すなわち蓄熱材6が脱水完了状態であって吸熱不可能な場合、図3のS203及びS204と同様の処理(S305、S306)が実行される。すなわち、温度センサ26によって検出される供給管8内の水温が予め定められた規定値以上であることを条件に(S305:YES)、開閉弁11を閉じた状態としつつ開閉弁10を開いて水タンク7から反応器5に水が供給される(S204)。これにより、反応器5内の蓄熱材6に対する加水が行われるため、次回以降のS302の処理で肯定判定がなされるようになる。
なお、上記S304もしくは上記S305で否定判定がなされた場合、排出管9や供給管8での水の凍結により、水タンク7から反応器5への水の供給や同反応器5から水タンク7への水の回収が行えないおそれがある。このため、こうした場合にも、S307の処理を通じて水タンク7から反応器5への水の供給、及び同反応器5から水タンク7への水の回収が共に停止される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)蓄熱材6の発熱及び吸熱の要求がないとき、言い換えれば触媒3の温度が適温であるときには、熱制御準備処理(図4のS212)が実行される。この熱制御準備処理を通じて、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態とすることができる。このように蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、蓄熱材6の発熱による触媒3の加温と蓄熱材6の吸熱による触媒3の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行することができるようになる。すなわち、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒3の加温のために蓄熱材6の発熱が要求された場合、反応器5への水の供給を通じて蓄熱材6が水分と反応して発熱し、その発熱を通じて触媒3が的確に上記加温の要求されたタイミングにて速やかに加温される。一方、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒3の冷却のために蓄熱材6の吸熱が要求された場合、反応器5からの水の回収を通じて蓄熱材6が脱水して吸熱し、その吸熱を通じて触媒3が的確に上記冷却の要求されたタイミングにて速やかに加温されるようになる。
(1)蓄熱材6の発熱及び吸熱の要求がないとき、言い換えれば触媒3の温度が適温であるときには、熱制御準備処理(図4のS212)が実行される。この熱制御準備処理を通じて、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態とすることができる。このように蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、蓄熱材6の発熱による触媒3の加温と蓄熱材6の吸熱による触媒3の冷却とのいずれについても、的確に所望のタイミングにて速やかに実行することができるようになる。すなわち、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒3の加温のために蓄熱材6の発熱が要求された場合、反応器5への水の供給を通じて蓄熱材6が水分と反応して発熱し、その発熱を通じて触媒3が的確に上記加温の要求されたタイミングにて速やかに加温される。一方、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態のもと、触媒3の冷却のために蓄熱材6の吸熱が要求された場合、反応器5からの水の回収を通じて蓄熱材6が脱水して吸熱し、その吸熱を通じて触媒3が的確に上記冷却の要求されたタイミングにて速やかに加温されるようになる。
(2)上記熱制御準備処理は、運転中の内燃機関1に対し停止要求がなされたときに実行される。同熱制御準備処理を通じて蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることで、内燃機関1の次回の始動開始後における蓄熱材6の発熱と吸熱とのいずれについても、要求があったときに速やかに実行することができる。
(3)上記熱制御準備処理は、内燃機関1に対し停止要求がなされたとき、同機関1の排気の温度が所定値(劣化判定値)以上であることを条件に実行される。内燃機関1の停止要求がなされたとき、同機関1の排気の温度が熱劣化判定値以上といった高い値である場合には、次回の内燃機関1の始動開始時に触媒3の温度が同触媒3の熱劣化を招くほど高くなるおそれがある。しかし、上記条件のもとで熱制御準備処理を実行することにより、内燃機関1の停止直後に再始動される場合など同機関1の始動開始直後に触媒3の温度が高くなって同触媒3の熱劣化を招くおそれがあるような状況のもとでも、蓄熱材6の吸熱による同触媒3の冷却を速やかに行うことができる。従って、上述した状況のもとでの触媒3の温度の過上昇が原因となって、触媒3の熱劣化が生じることを抑制できる。
(4)内燃機関1の停止要求がなされたとき、同機関1の排気の温度が所定値(熱劣化判定値)未満である場合には、次回の機関始動開始直後に触媒3の温度が同触媒3の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低い値(活性温度未満の値)になるおそれがある。このため、運転中の内燃機関1に対し停止要求がなされたとき、同機関の排気の温度が上記熱劣化判定値未満である場合には、蓄熱材6が脱水完了状態となるようにされる。そして、蓄熱材6を脱水完了状態に保持してから内燃機関1が停止される。この場合、内燃機関1の始動開始直後に触媒3の温度が同触媒3の排気浄化能力を適正に発揮できないほど低い値になる状況のもとでも、触媒3に対し蓄熱材6の発熱による最大限の加温を行うことができる。従って、上述した状況のもとで触媒3の温度が低くなることが原因となって、触媒3の排気浄化能力が適正レベル未満に低下することを抑制できる。
(5)上記熱制御準備処理は、内燃機関1の運転中において、触媒3が適温であれば、言い換えれば同触媒3の温度を調節するための蓄熱材6の発熱及び吸熱の要求がないときであれば実行される。この熱制御準備処理を通じて、内燃機関の運転中、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすることができる。このように蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにしておくことで、内燃機関1の運転中における蓄熱材6の発熱と吸熱とのいずれについても、要求があったときに速やかに実行することができる。
(6)蓄熱材6が加水完了状態であって水分との反応による発熱が不可能なときや、供給管8の凍結によって蓄熱材6の水分との反応による発熱が不可能なときには、熱制御装置4による触媒3の加温とは別の触媒温度上昇制御が実行される。こうした触媒温度上昇制御を実行することにより、熱制御装置4における蓄熱材6の発熱による触媒3の加温を行えない状況のもとでも、同触媒3の温度を上昇させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図6に基づき説明する。
この実施形態は、上記熱制御準備処理において、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能となるよう同蓄熱材6に対し加水や脱水を行うに当たり、それら加水や脱水による蓄熱材6の発熱や吸熱に伴い触媒3が不必要に加温されたり冷却されたりしないようにするものである。これを実現するため、本実施形態の熱制御装置4は、蓄熱材6への加水により生じる温熱や同蓄熱材6からの脱水に伴う吸熱により生じる冷熱が、排気管2における触媒3の上流と外部放熱器とのうちのいずれかに付与されるよう、それら熱の伝達経路を切り換え可能な構造を有している。
次に、本発明の第2実施形態を図6に基づき説明する。
この実施形態は、上記熱制御準備処理において、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能となるよう同蓄熱材6に対し加水や脱水を行うに当たり、それら加水や脱水による蓄熱材6の発熱や吸熱に伴い触媒3が不必要に加温されたり冷却されたりしないようにするものである。これを実現するため、本実施形態の熱制御装置4は、蓄熱材6への加水により生じる温熱や同蓄熱材6からの脱水に伴う吸熱により生じる冷熱が、排気管2における触媒3の上流と外部放熱器とのうちのいずれかに付与されるよう、それら熱の伝達経路を切り換え可能な構造を有している。
上記熱制御装置4は、図6に示されるように、排気管2における触媒3の上流部分の周囲に設けられた熱交換器32と、その熱交換器32とは別の場所に設けられた反応器5とを備えている。更に、熱制御装置4には、水などの熱媒体を循環させて上記熱交換器32及び上記反応器5を通過させることで、反応器5の蓄熱材6と熱交換器32との間での上記熱媒体を用いた温熱及び冷熱のやり取りを行う循環回路33が設けられている。
循環回路33における反応器5の上流には、同回路33にて熱媒体を常に循環させるべく駆動されるポンプ34が設けられている。循環回路33におけるポンプ34の下流側は、反応器5の内部を通過した後、切換弁35にて上記熱交換器32を通過する経路33aと外部放熱器36を通過する経路33bとの二つに分岐している。また、経路33aと経路33bとは熱交換器32及び外部放熱器36の下流で一つに合流した後、上記ポンプ34に繋がっている。循環回路33における上記切換弁35は、電子制御装置21による駆動制御を通じて切り換え動作されることで、循環回路33内で循環する熱媒体の循環経路を、経路33aと経路33bとのうちのいずれか一方に切り換える。なお、循環回路33内で循環する熱媒体の循環経路としては、通常は経路33aが選択されている。
反応器5において蓄熱材6からの発熱が行われると、循環回路33における反応器5の内部を通過する熱媒体と上記蓄熱材6との間での熱交換を通じて、その熱媒体が加温されて同熱媒体の温度が上昇する。こうして温度上昇した熱媒体が経路33aの熱交換器32を通過するとき、同熱媒体と排気管2における触媒3の上流部分との間での熱交換が行われることにより、排気管2における触媒3の上流部分が加温され、ひいては触媒3が加温される。
また、反応器5において蓄熱材6への吸熱が行われると、循環回路33における反応器5の内部を通過する熱媒体と上記蓄熱材6との間での熱交換を通じて、その熱媒体が冷却されて同熱媒体の温度が低下する。こうして温度低下した熱媒体が経路33aの熱交換器32を通過するとき、同熱媒体と排気管2における触媒3の上流部分との間での熱交換が行われることにより、排気管2における触媒3の上流部分が冷却され、ひいては触媒3が冷却される。
この熱制御装置4では、蓄熱材6の発熱に基づく触媒3の加温、及び、蓄熱材6への吸熱に基づく触媒3の冷却が、循環回路33を循環する熱媒体を通じて行われるようになる。また、蓄熱材6の発熱時に、循環回路33内で循環する熱媒体の循環経路として経路33bが選択されるよう切換弁35を切り換え動作させれば、蓄熱材6との熱交換によって温度上昇した熱媒体が外部放熱器36を通過するようになるため、その外部放熱器36にて熱媒体の温熱や冷熱を外部に放出することが可能になる。このとき、循環回路33内の循環する熱媒体が経路33a(熱交換器32)を通過することはないため、同熱媒体の温熱や冷熱が排気管2における触媒3の上流部分、ひいては触媒3に付与されて同触媒3の加温や冷却が行われることもない。
以上から分かるように、この熱制御装置4では、切換弁35の切り換え動作を通じて、蓄熱材6にて発生した温熱や冷熱を排気管2における触媒3の上流部分と外部放熱器36とのいずれかに付与されるよう、それら熱の伝達経路を切り換えることが可能となっている。従って、上記熱制御準備処理において、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能となるよう同蓄熱材6に対し加水や脱水を行うに当たり、それら加水や脱水による蓄熱材6の発熱や吸熱に伴って温熱や冷熱が生じる際、それら温熱や冷熱が外部放熱器36に付与されるよう、それら熱の伝達経路を上記切換弁35によって切り換えることが可能になる。
(7)上記熱制御準備処理において、蓄熱材6を発熱と吸熱との両方が可能となるよう同蓄熱材6に対し加水や脱水を行うに当たり、それに伴って蓄熱材6にて温熱や冷熱が生じたとしても、それら温熱や冷熱が外部放熱器36に付与されるよう切換弁35を切り換え動作させることが可能になる。このように切換弁35を切り換え動作させることで、上記温熱や上記冷熱が触媒3に付与されることを抑制でき、それら温熱や冷熱の付与に伴い触媒3が不必要に加温されたり冷却されたりすることを抑制できる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・熱制御準備処理については、内燃機関1の停止要求がなされていない運転中と同機関1の停止指令がなされたときとのいずれか一方のみ実行してもよい。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・熱制御準備処理については、内燃機関1の停止要求がなされていない運転中と同機関1の停止指令がなされたときとのいずれか一方のみ実行してもよい。
・内燃機関1の停止指令がなされたとき、同機関1の排気の温度に関係なく熱制御準備処理を実行してもよい。
・内燃機関1の停止要求がなされたときの同機関1の排気の温度が所定値(熱劣化判定値)未満である場合に、必ずしも蓄熱材6を脱水完了状態とする必要はない。
・内燃機関1の停止要求がなされたときの同機関1の排気の温度が所定値(熱劣化判定値)未満である場合に、必ずしも蓄熱材6を脱水完了状態とする必要はない。
・反応器5を触媒3の周囲に設け、蓄熱材6の発熱及び吸熱を直接的に触媒3の加温及び冷却に用いてもよい。
・蓄熱材6として、水酸化マグネシウムなどの水酸化カルシウム以外の物質を用いてもよい。
・蓄熱材6として、水酸化マグネシウムなどの水酸化カルシウム以外の物質を用いてもよい。
1…内燃機関、2…排気管、3…触媒、4…熱制御装置、5…反応器、6…蓄熱材、7…水タンク(供給手段、回収手段)、8…供給管(供給手段)、9…排出管(回収手段)、10…開閉弁(供給手段)、11…開閉弁(回収手段)、21…電子制御装置(制御手段)、22…エアフローメータ、23…クランクポジションセンサ、24…排気温センサ、25…流量センサ、26…温度センサ、27…流量センサ、28…温度センサ、29…水量センサ、32…熱交換器、33…循環回路、33a…経路、33b…経路、34…ポンプ、35…切換弁、36…外部放熱器。
Claims (7)
- 低温時の加水により水分と反応して発熱する一方で高温時には脱水して吸熱を行う蓄熱材が収容された反応器を備え、前記蓄熱材の発熱を通じて内燃機関の排気系に設けられた触媒の加温を行い、前記蓄熱材の吸熱を通じて前記触媒の冷却を行う車両の熱制御装置において、
前記蓄熱材の発熱を制御すべく前記反応器への水の供給を制御する供給手段と、
前記蓄熱材の吸熱を制御すべく前記反応器からの水の回収を制御する回収手段と、
前記蓄熱材の発熱及び吸熱の要求がないとき、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく前記供給手段及び前記回収手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、前記蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく前記供給手段及び前記回収手段を制御する
請求項1記載の車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、内燃機関の排気の温度が予め定められた判定値以上であることを条件に、前記蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく前記供給手段及び前記回収手段を制御する
請求項2記載の車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、運転中の内燃機関に対し停止要求がなされたとき、内燃機関の排気の温度が前記判定値未満であることを条件に、前記蓄熱材が脱水完了状態となるようにすべく前記回収手段を制御する
請求項3記載の車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、内燃機関の運転中であって前記触媒が適温であるとき、前記蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにすべく前記供給手段及び前記回収手段を制御する
請求項1記載の車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、前記蓄熱材が脱水完了状態であって脱水に伴う吸熱を行うことが不可能な状態であるとき、前記反応器への水の供給が行われるよう前記供給手段を制御することで、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにする
請求項1記載の車両の熱制御装置。 - 前記制御手段は、前記蓄熱材が加水完了状態であって水分との反応による発熱を行うことが不可能な状態であるとき、前記反応器からの水の回収が行われるよう前記回収手段を制御することで、同蓄熱材を発熱と吸熱との両方が可能な状態となるようにする
請求項1記載の車両の熱制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010281855A JP2012127323A (ja) | 2010-12-17 | 2010-12-17 | 車両の熱制御装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016061194A (ja) * | 2014-09-17 | 2016-04-25 | いすゞ自動車株式会社 | 排気ガス浄化装置 |
JP2017190773A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-19 | マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー | 排気ガス後処理システム、内燃機関およびその運転方法 |
JP2018100600A (ja) * | 2016-12-19 | 2018-06-28 | いすゞ自動車株式会社 | 排気ガス浄化システム、及び排気ガス浄化システムの被毒抑制方法 |
-
2010
- 2010-12-17 JP JP2010281855A patent/JP2012127323A/ja active Pending
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