JP2012126936A - 蒸発源およびこれを用いた薄膜被覆物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は高品質な有機系薄膜を高い生産性で連続的に製造可能な蒸発源を実現するために、蒸発材料の蒸発と活性化および基材への供給を連続で安定に行うことが可能な蒸発源およびこれを用いた薄膜被覆物の製造方法を提供することを目的とする。また、それにより、ロール・ツー・ロール法などを用いて長尺基材に連続して均一なコーティングを可能とすることを目的とする。
【解決手段】
内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部と、前記蒸発材料収納部の開口部に連結された透気性多孔質材からなる蒸発蒸気加熱部とを備え、前記蒸発蒸気加熱部が前記蒸発材料収納部の内部よりも高温に加熱できることを特徴とする、蒸発源。
【選択図】 図1
本発明は高品質な有機系薄膜を高い生産性で連続的に製造可能な蒸発源を実現するために、蒸発材料の蒸発と活性化および基材への供給を連続で安定に行うことが可能な蒸発源およびこれを用いた薄膜被覆物の製造方法を提供することを目的とする。また、それにより、ロール・ツー・ロール法などを用いて長尺基材に連続して均一なコーティングを可能とすることを目的とする。
【解決手段】
内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部と、前記蒸発材料収納部の開口部に連結された透気性多孔質材からなる蒸発蒸気加熱部とを備え、前記蒸発蒸気加熱部が前記蒸発材料収納部の内部よりも高温に加熱できることを特徴とする、蒸発源。
【選択図】 図1
Description
本発明は、薄膜の連続成膜に適した蒸発源に関するものであり、特に有機系薄膜の製造において膜質の改善、原料の使用効率の向上ならびにパーティクル等による品質低下の抑制技術に関するものである。
有機系薄膜は金属や化合物の薄膜と比して柔軟性や機能性に富み、バリアフィルムや光学素子、各種センサーなどへの応用がなされている。薄膜の形成方法としては、原料を溶剤に溶解した原料を基材に塗布した後、溶剤を乾燥させるいわゆるウエットコーティング法と、原料を気化させて基材表面に堆積させるいわゆるドライコーティング法に大別できる。
有機系薄膜のドライコーティング法においては、原料のモノマーあるいはオリゴマーを気化させて堆積させる工程であり、原料を溶剤に溶解するように工夫がないため、化学的あるいは熱的に安定な原料そのものを薄膜化できる点において優れる。また、膜形成後に溶剤を乾燥させる必要もないため、省エネルギーかつ環境負荷が少ない点でも優れる。
常温で固体のモノマーあるいはオリゴマーを原料として用いる場合は、蒸発させた蒸発分子を基剤表面で凝集させるだけでも簡単に薄膜を得ることができる。常温で液体または気体のモノマーあるいはオリゴマーを原料として用いる場合は、基材表面で蒸気を重合させることにより薄膜を得ることができる。
常温で固体のモノマーあるいはオリゴマーを原料として用いる場合は、蒸発させた蒸発分子を基剤表面で凝集させるだけでも簡単に薄膜を得ることができる。常温で液体または気体のモノマーあるいはオリゴマーを原料として用いる場合は、基材表面で蒸気を重合させることにより薄膜を得ることができる。
いずれの場合も、有機系材料の場合には一般的な金属蒸着の場合と比較して原料の蒸発温度が低いため、蒸発蒸気の持つ運動エネルギーが金属蒸気の場合と比較して低い。薄膜の形成素過程においては、原料原子ある巣は分子が基材表面に到達後、安定な位置に捕捉されるまで表面を移動すること(マイグレーション効果)が良好な膜質を得るために重要である。しかし、有機系薄膜の場合、蒸気の運動エネルギーが小さいため、基材表面での移動量が小さくなるため、良好な膜質を得ることが困難であった。
蒸発蒸気の基材表面での運動エネルギーや反応エネルギーを支援する手段として、プラズマや紫外線などが用いられる場合がある。プラズマは活性化効率が高いものの原料が分解しすぎてしまい、原料分子の機能性を阻害してしまうことがある。紫外線はランプや窓の汚れにより照射効率が低下する問題があり、量産技術には適用し難い。
一方、例えば特許文献1〜4には、プラズマや紫外線を用いずに基材表面での重合反応により薄膜を形成する技術として、パリレンのコーティング方法および設備が記載されている。具体的には、パリレンダイマーを第1の真空容器で180℃程度に加熱して133Paのダイマー蒸気を生成し、次にこの蒸気をモノマーに分解するために第2の真空容器に移して650℃〜950℃程度に加熱して約65Paの蒸気とし、最後にモノマー蒸気を第3の真空容器に移して25℃程度に冷却しながら13Paの雰囲気で基材にコーティングするというのが基本条件とされている。これは、ダイマー原料を分解して得られるモノマーの両端が活性化しているため、基材表面でモノマー同士が基材表面で重合する原理によるものである。
しかし前述のパリレンのコーティング技術では、モノマー蒸気を得るためにダイマー蒸気が加熱されるが、モノマー蒸気には必ずしも十分な運動エネルギーが与えられていないために、基材表面でのマイグレーション効果が十分ではなかった。
また、原料ダイマーを気化するための加熱工程と気化したダイマーをモノマーに分解する加熱工程およびモノマー蒸気を基材に供給する工程の温度と圧力が不連続なため、各々の工程を段階的に行う必要があり、ロール・ツー・ロールなどの連続した基材に連続してコーティングすることは事実上極めて困難であった。また、設備も各々の工程のための独立容器と各容器を区切るバルブが必要であった。
本発明は高品質な有機系薄膜を高い生産性で連続的に製造可能な蒸発源を実現するために、蒸発材料の蒸発と活性化および基材への供給を連続で安定に行うことが可能な蒸発源およびこれを用いた薄膜被覆物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下に記載する本発明によって解決される。
即ち、本発明に係る蒸発源は、内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部と、前記蒸発材料収納部の開口部に連結された透気性多孔質材からなる蒸発蒸気加熱部とを備え、前記蒸発蒸気加熱部が前記蒸発材料収納部の内部よりも高温に加熱できる。蒸発材料収納部の形状は直方体、立方体、円筒、球、その他特に限定されるものではないが、直方体や円筒を用いると、広幅の蒸発源を構成しやすいのでよい。発材料収納部の開口部は蒸着材料を仕込むために利用することもできるが、蒸着を行う時には蒸発蒸気加熱部への蒸気の供給口として使われる。蒸発蒸気加熱部に用いられる透気性多孔質材は500℃以上でも使用可能なものがよく、ステンレス合金等の金属、炭素、炭化珪素などが利用できる。その構造は粒子や繊維の集合体またはシートの積層体あるいは樹脂発泡体を焼成したものなどいずれでもよい。また、気孔率は30%〜70%程度の範囲のものが透気性と機械的強度ならびに熱伝導率のバランスを確保しやすいのでよい。また、平均気孔径は5μm〜1mm程度の範囲が蒸気の過熱を効率よく行えるのでよい。蒸発材料収納部と蒸発蒸気加熱部とはそれぞれ独立した加熱手段で加熱可能であり、それぞれ熱伝対などのセンサーからの温度情報を基に所望の温度に制御する機能を備えるのがよい。なお、蒸発材料収納部内部の温度は熱伝対等で直接測定してもよいし、予め相関関係が把握された蒸発材料収納部外部の温度から換算してもよい。蒸発蒸気加熱部の温度は蒸発材料収納部内部の温度よりも絶対温度で20%以上、好ましくは50%以上高くできると、蒸発蒸気の運動エネルギーを20%もしくは50%以上高められるのでよい。
また、本発明に係る蒸発源は、蒸発蒸気加熱部の透気性多孔質材に電気導電性材料からなるものを用いることができる。電気導電性材料としては、ステンレス合金等の金属、炭素、炭化珪素などが利用できる。2×10−5Ωm〜1×107Ωm程度の範囲のものを用いると、プラズマ雰囲気での帯電電荷による放電で細孔が損傷するのを防ぐことができるのでよい。
また、本発明に係る蒸発源は、蒸発蒸気加熱部が、透気性多孔質材に流す電流によるジュール熱で自己発熱させることができる。透気性多孔質材を外部から加熱することも可能であるが、多孔質材は緻密な材料よりも熱伝導率が低いため、自己発熱させることにより均一かつ効率よく加熱しやすい。自己発熱させる方法としては電流を流すことによるジュール熱を利用するのがよい。電流を流す方法としては電源と結線して直流または交流電圧を印加して直接電流を流してもよいし、外部磁場あるいは電場による誘導電流を用いても良い。
また、本発明に係る蒸発源は、蒸発蒸気加熱部が電気絶縁性耐熱部材を介して蒸発材料収納部と連結されることができる。電気絶縁性耐熱部材としてはアルミや珪素などを主成分とする酸化物あるいは窒化物などからなるガラスまたはセラミックス材料が利用できる。蒸発蒸気加熱部を電気絶縁性耐熱部材を介して蒸発材料収納部と連結させることで、蒸発材料収納部に金属などの電気導電性材料を用いても、蒸発蒸気加熱部に電流を流して加熱させやすいのでよい。
また、本発明に係る蒸発源は、蒸発蒸気加熱部の透気性多孔質材の細孔内壁の少なくとも一部に、触媒材料を用いることができる。蒸発蒸気が接触する細孔内壁に触媒を用いることで、蒸発蒸気をより低い温度で活性化することができるのでよい。触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ニッケルあるいはこれらを含む合金を用いることができる。
また、本発明に係る蒸発源は、蒸発材料収納部に気体導入孔を設けることができる。気体導入孔は蒸発材料収納部の気密性を維持できる方が蒸発蒸気の漏洩を防ぐことができるのでよい。また、気体導入孔は密閉可能なバルブを介して気体供給源と連結されていると、必要なときだけ気体を供給できるのでよい。また、前記バルブと気体供給源との間に流量制御器を設けると、導入気体の流量を安定に制御できるのでよい。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部に蒸発材料を仕込み、前記蒸発材料収納部の内部を真空に排気した後、前記蒸発材料収納部を加熱して蒸発材料の蒸気を生成し、前記蒸気を前記蒸発材料収納部よりも高温に過熱された透気性多孔質材に通して加熱し、前記加熱された蒸気を基材表面に供給して薄膜を形成する、一連の工程を連続して行うことができる。蒸発材料収納部の内部は10−2Pa以下の圧力まで真空排気してから加熱することで、蒸発材料に含まれる水分や揮発性不純物が蒸発材料と反応したり、蒸着膜に不純物として取り込まれたりするのを抑制できるのでよく、好ましくは10−3Pa以下の圧力まで真空排気するのがよい。蒸発した蒸気は透気性多孔質材の細孔内壁との衝突を繰り返しながらさらに加熱され、蒸発源の外に排出された後基材表面に供給される。蒸発蒸気の生成、加熱および基材への供給の工程を連続して行うことにより薄膜を安定に被覆できるのでよい。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、移動する基材表面に加熱された蒸気を連続して供給することができる。移動する基材としては、例えばロール・ツー・ロール方式等で搬送されるフレキシブルな基材を用いることができる。また、複数の蒸発材料の蒸気を基材の移動方向沿って順に供給することにより多層薄膜を形成することも可能である。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、500℃以下の温度で1Pa以上の蒸気圧が得られる蒸発材料を用いることができる。500℃以下の温度で1Pa以上の蒸気圧が得られる蒸発材料を用いると、蒸発蒸気を1000℃以下で十分加熱できるのでよい。500℃以下の温度で1Pa以上の蒸気圧が得られる蒸発材料としては、マグネシウム、亜鉛、セレン、硫黄などの無機物の他に、パラキシリレン、メラミン、テレフタル酸などの有機物も利用することができる。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、昇華性の蒸発材料を用いることができる。
昇華性の材料は常温で固体となるため、基材表面での重合などの反応によらなくても、分子間の凝集力により被膜を形成できるのでよい。昇華性の蒸発材料としては、無機物では硫化亜鉛などが挙げられるが、昇華温度が500℃以上のため、蒸発蒸気をさらに加熱することが困難である。一方、有機物の場合は500℃以下の比較的低温でも昇華するものがあるので利用し易い。具体的には、パラキシリレン、メラミン、テレフタル酸などが利用できる。
昇華性の材料は常温で固体となるため、基材表面での重合などの反応によらなくても、分子間の凝集力により被膜を形成できるのでよい。昇華性の蒸発材料としては、無機物では硫化亜鉛などが挙げられるが、昇華温度が500℃以上のため、蒸発蒸気をさらに加熱することが困難である。一方、有機物の場合は500℃以下の比較的低温でも昇華するものがあるので利用し易い。具体的には、パラキシリレン、メラミン、テレフタル酸などが利用できる。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、蒸発蒸気を蒸発材料の沸点または昇華点以上に加熱された触媒に接触させることにより活性化させた後基材表面に供給することができる。蒸発蒸気が接触する細孔内壁に触媒を用いることで、蒸発蒸気をより低い温度で活性化することができるのでよい。触媒としては、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ニッケルあるいはこれらを含む合金を用いることができる。
また、本発明に係る薄膜被覆物の製造方法は、蒸発材料収納部に蒸発蒸気に別の気体を混合しながら行うことができる。蒸発材料収納部に気体を導入すると圧力が上昇し、気体の対流あるいは伝熱により蒸発材料を効率よく加熱し易くなるのでよい。また、蒸発材料を基材表面へと運ぶキャリアガスとして利用することも可能であるさらに、希ガスなどの不活性ガスの他に水素、メタン、エタン、ブタン、トルエン、水、酸素、窒素など、蒸発材料と反応させる気体を適宜選んで混合してもよい。
以下に本発明の実施形態について説明する。図1に本発明による蒸発源の構造の一例を示す。内部をヒーター3で加熱可能な蒸発材料収納部2の開口部に、電気導電性の透気性多孔質材からなる蒸発蒸気加熱部4が電気絶縁性耐熱部材5で連結されている。蒸発蒸気加熱部4には加熱用電源8が接続されており、電流を流して自己発熱される用になっている。また、ヒーター3にも加熱用電源6が接続されており、蒸発蒸気加熱部4とは独立に蒸発材料1を加熱できるようになっている。また、蒸発蒸気加熱部4とヒーター3にはそれぞれ熱電対9と7が取り付けられており、温度測定が可能となっている。なお、図示していないが、これら熱電対からの温度信号を基に各加熱用電源8と6の出力を制御し、所望の温度を設定できるようになっている。また、蒸発材料収納部2には蒸発蒸気10とは別の気体を導入できるように気体導入孔11が設けられており、密閉可能なバルブ12と流量制御装置13を介して気体供給源に連結されている。この様にして、蒸発蒸気10は蒸発蒸気過熱部4でさらに加熱され、基材14の表面に供給されて被膜を形成する。
以下に、本発明を用いた蒸発源の一例を説明する。蒸発材料収納部2はステンレスSUS316製の厚み2mmの板材を板金と溶接加工により加工したものを用いた。形状は直方体で、底部のサイズは30mm×100mmとした。また高さは50mmとした。ヒーター3は30mm×100mm×20mmの無酸素銅製のブロックに容量500Wの埋め込み式ヒーターと熱電対をブロックに加工した孔に取り付けた。また、真空中での熱伝導を改善するために蒸発材料収納部2とヒーター3との間にパナソニック(株)製のグラファイトシートPGS(登録商標)EYGS182310(厚み10mm)を30mm×100mmに切って挿入した。
蒸発蒸気加熱部4の透気性多孔質材としては、GKN社の焼結金属フィルターSIKA−R15AXを用い、材質はチタニウム、サイズは30mm×100mm×10mmとした。この焼結金属フィルターの長手側両側面に8mm×100mm×1mmの無酸素銅製の電極プレートを4カ所M4−10mmのビスで締結し、この電極プレートに電源端子を各々接続した。また、電極端子中心部と焼結金属フィルターとの間に熱電対を挟んで固定した。
電気絶縁性耐熱部材5としては、(株)フェローテック セラミックス製の快削製セラミックス「ホトベール」(登録商標)の板34mm×104mm×14mmの中央部に26mm×96mmの貫通孔を開け、上下の面に30mm×100mm×2mmのザグリ加工を施したものを用いた。
以下に、本発明を用いた薄膜被覆物の製造方法の一例を示す。実施例1に説明した蒸発源の蒸発材料収納部2にメラミンまたはテレフタル酸を仕込み、ロール・ツー・ロール蒸着機に取り付けて蒸着を行った。手順としては次の通りである。まず蒸発源に和光純薬工業(株)製のメラミンモノマー(和光特級 CAS No.108-78-1)を30g仕込み、蒸発蒸気加熱部4と電気絶縁性耐熱部材5とで蓋をした。次にこれをロール・ツー・ロール蒸着機に取付けた。取付け方向は、蒸発蒸気加熱部4を上にして、長手方向を基材の幅方向と並行とした。このとき、蒸発蒸気加熱部4と基材との距離は50mmとした。なお、蒸発源に対して基材が露出している範囲は、幅方向48mm長さ方向100mmとした。基材としては東洋紡績(株)製のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm<型番A4300)を幅50mm長さ50mにスリットしたものを用いた。
セッティングが完了した後、ロール・ツー・ロール蒸着機内をロータリーポンプとターボ分子ポンプを用いて1×10−4Paまで排気した。次に、蒸発材料収納部2に交流電圧を流して800℃まで加熱した。また、蒸発材料収納部2が500℃に達したところで、ヒーター3にも交流電圧を印加して400℃まで加熱した。
次に基材を0.1m/minで1.0m搬送させて蒸着を行った。また、その後基材搬送を停止して10分間蒸着を行い、最後に基材を0.5m搬送させたところで停止ししてから蒸発材料収納部2とヒーター3の加熱をやめて冷却した。なお、蒸発材料収納部2およびヒーター3の温度は±1℃以内に制御できており、蒸着中に蒸着機内の圧力の変動は観測されなかった。
取り出したフィルムは、0.1m/minで搬送させた部分および10分間搬送を停止した部分のいずれにも蒸着無色透明の薄膜が形成されていた。フィルムを0.1m/minで搬送させた部分には干渉色のムラもなく均一な膜が被覆できていることが確認された。また、蒸着された膜をアセトンを染み込ませた旭化成(株)製ベンコット(登録商標)で拭き取ろうとしたが溶解も剥離もせず堅牢な膜であった。
次に、メラミンモノマーの替わりに和光純薬工業(株)製のテレフタル酸モノマー(和光一級 CAS No.100-21-0)を30gを用いた以外は実施例1と同様に蒸着を行った。この場合も、蒸発材料収納部2およびヒーター3の温度は±1℃以内に制御できており、蒸着中に蒸着機内の圧力の変動は観測されなかった。
取り出したフィルムは、0.1m/minで搬送させた部分および10分間搬送を停止した部分のいずれにも蒸着無色透明の薄膜が形成されていた。フィルムを0.1m/minで搬送させた部分には干渉色のムラもなく均一な膜が被覆できていることが確認された。蒸着された膜をアセトンを染み込ませた旭化成(株)製ベンコット(登録商標)で拭き取ろうとしたが溶解も剥離もせず堅牢な膜であった。
本発明の蒸発源およびこれを用いた薄膜被覆物の製造方法は、有機物などの沸点あるいは昇華点が金属などと比較して低い材料でも、蒸発蒸気を過剰に分解することなく運動エネルギーを与えられるため、高品質な薄膜を実現できる。また、蒸気を生成した後加熱した上で基材表面への供給する一連の工程を連続して行えるため、ロール・ツー・ロール法などを用いて長尺基材に均一なコーティングを行うことができる。
1 : 蒸発材料
2 : 蒸発材料収納部
3 : ヒーター
4 : 蒸発蒸気加熱部
5 : 電気絶縁性耐熱部材
6 : 加熱用電源
7 : 熱電対
8 : 加熱用電源
9 : 熱電対
10 : 蒸発蒸気
11 : 気体導入孔
12 : バルブ
13 : 流量制御装置
14 : 基材
2 : 蒸発材料収納部
3 : ヒーター
4 : 蒸発蒸気加熱部
5 : 電気絶縁性耐熱部材
6 : 加熱用電源
7 : 熱電対
8 : 加熱用電源
9 : 熱電対
10 : 蒸発蒸気
11 : 気体導入孔
12 : バルブ
13 : 流量制御装置
14 : 基材
Claims (12)
- 内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部と、前記蒸発材料収納部の開口部に連結された透気性多孔質材からなる蒸発蒸気加熱部とを備え、前記蒸発蒸気加熱部が前記蒸発材料収納部の内部よりも高温に加熱できることを特徴とする、蒸発源。
- 蒸発蒸気加熱部の透気性多孔質材が電気導電性材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の蒸発源。
- 蒸発蒸気加熱部が、透気性多孔質材に流す電流によるジュール熱で自己発熱させることを特徴とする、請求項2に記載の蒸発源。
- 蒸発蒸気加熱部が、電気絶縁性耐熱部材を介して蒸発材料収納部と連結されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の蒸発源。
- 蒸発蒸気加熱部の透気性多孔質材の細孔内壁の少なくとも一部が、触媒材料からなることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の蒸発源。
- 蒸発材料収納部に気体導入孔が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の蒸発源。
- 内部を加熱可能で開口部を有する蒸発材料収納部に蒸発材料を仕込み、前記蒸発材料収納部の内部を真空に排気した後、前記蒸発材料収納部を加熱して蒸発材料の蒸気を生成し、前記蒸気を前記蒸発材料収納部よりも高温に過熱された透気性多孔質材に通して加熱し、前記加熱された蒸気を基材表面に供給して薄膜を形成する、一連の工程を連続して行うことを特徴とする、薄膜被覆物の製造方法。
- 移動する基材表面に加熱された蒸気を連続して供給することを特徴とする、請求項8に記載の薄膜被覆物の製造方法。
- 500℃以下の温度で1Pa以上の蒸気圧が得られる蒸発材料を用いることを特徴とする、請求項7または8に記載の薄膜被覆物の製造方法。
- 昇華性の蒸発材料を用いることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の薄膜被覆物の製造方法。
- 蒸発蒸気を蒸発材料の沸点または昇華点以上に加熱された触媒に接触させることにより活性化させた後基材表面に供給することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の薄膜被覆物の製造方法。
- 蒸発材料収納部に蒸発蒸気に別の気体を混合しながら行うことを特徴とする、請求項7〜11のいずれかに記載の薄膜被覆物の製造方法。
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