JP2012126093A - インクジェット記録装置および吸引回復制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の要因により記録ヘッド内に気泡が滞留する場合であっても、累積された気泡量により吐出不良を起こすことなく、廃インク量を軽減する。
【解決手段】インクが収容されたインクタンクと、インク滴を吐出するノズル列とを備えた記録ヘッドの吸引回復を制御する吸引回復制御方法であって、前記記録ヘッドが吐出不良を起す原因となる複数の要因ごとに、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するためのインク流路内に滞留する気泡量を求める気泡量算出工程と、前記気泡量算出工程で算出された複数の気泡量の累積気泡量を算出する累積気泡量算出工程と、を有し、前記累積気泡量算出工程で算出された累積気泡量に応じて前記記録ヘッドの吸引回復を行う。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェット記録装置および吸引回復制御方法に関し、特にインクの吐出状態を回復するインクジェット記録装置および吸引回復制御方法に関する。
インクジェット記録装置では、インクの蒸発や気泡の滞留などによる吐出口の吐出不良を改善するために、記録ヘッドの回復処理が行われる。この吐出不良の回復処理は、種々要因に応じて適切なタイミングで行われている。
例えば、特許文献1では、記録ヘッドに搭載された交換可能なインクタンクを交換する際に発生する、インク流路内の気泡による吐出不良に対する回復処理の技術を開示している。インクタンクが記録ヘッドから取り外されて未装着状態となった場合、記録ヘッドのインク供給口からインクが蒸発して、インク流路内の気泡となることがある。このような気泡を、インクタンクの未装着時間によって吸引回復動作の種類を決定して、決定された吸引回復動作により取り除いている。
また、特許文献2では、時間経過によって流路内に発生した気泡による吐出不良に対する回復処理の技術を開示している。ここでは、前回の吸引回復動作からの経過時間によって吸引回復動作の種類を決定している。さらに、回復処理の回数によって経過時間の閾値の間隔を変え、適切なタイミングで吸引回復動作を行っている。
さらに、特許文献3では、単位時間内に多くのインクを吐出することで発生する気泡による吐出不良に対する回復処理の技術を開示している。ここでは、吐出回数と、単位時間当たりの記録ドット数と気泡の発生量の関係について検討を行い、吐出不良を起こす吐出回数と単位時間当たりの記録ドット数の関係を実験的に把握し、この関係を基にして吸引回復動作のタイミングを決定している。
特開2000−127448号公報 特開2008−062450号公報 特開2000−238297号公報
しかしながら、上述の記録ヘッド内の気泡除去を目的とした吸引回復は、それぞれインクタンクの未装着時間、前回の吸引回復動作からの経過時間、吐出回数および記録時間デューティのように要因ごとに独立に行われている。したがって、複数の要因により累積された気泡量が吐出不良を起こす量となった場合でも吸引回復動作が行われないことがある。
一方、要因ごとに独立に吸引回復を行う場合であっても、それぞれ他の要因による気泡発生を考慮して、マージンをとって累積気泡量が吐出不良を起す量となる前に吸引回復動作を行うことも考えられる。しかしながらこの場合、不確定な他の要因を考慮するためマージンが過剰になりがちである。このため、実際には吐出不良に影響を及ぼさない累積気泡量であっても、吸引回復動作を行うことがあり、その結果、廃インク量が増えることになる。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、複数の要因により記録ヘッド内に気泡が滞留する場合であっても、累積された気泡量により吐出不良を起こすことなく、廃インク量を軽減する吸引回復制御方法およびインクジェット記録装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、インクが収容されたインクタンクと、インク滴を吐出するノズル列とを備えた記録ヘッドの吸引回復を制御する吸引回復制御方法であって、前記記録ヘッドが吐出不良を起す原因となる複数の要因ごとに、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するためのインク流路内に滞留する気泡量を求める気泡量算出工程と、前記気泡量算出工程で算出された複数の気泡量の累積気泡量を算出する累積気泡量算出工程と、を有し、前記累積気泡量算出工程で算出された累積気泡量に応じて前記記録ヘッドの吸引回復を行うことを特徴とする。
上記の構成によれば、吸引回復のタイミングを、放置時間、吐出回数などの気泡を発生する要因ごとのパラメータではなく、これらパラメータを気泡量に換算し、パラメータごとの換算気泡量の総和を、インク流路内に貯留した累積気泡量とすることができる。これにより、累積された気泡量により吐出不良を起こすことなく、廃インク量を軽減することができる。
記録装置の外装材を取りはずした状態を示す斜視図である。 記録ヘッドを示す図である。 吐出回復部を示す斜視図である。 気泡量Veと時間T1の関係の例を示すグラフである。 気泡量Vtと時間T2の関係の例を示すグラフである。 気泡量Vpと吐出量Xの関係の例を示すグラフである。 インクタンクを交換するときの処理を示すフローチャートである。 吸引回復の処理を示すフローチャートである。 図5ステップ202のVtを算出する処理を示すフローチャートである。 吸引回復動作の決定工程を示すフローチャートである。 吸引回復実施工程の処理を示すフローチャートである。 気泡量Vpを算出するための処理を示すフローチャートである。
以下に図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の外装材を取りはずした記録装置ユニットを示す斜視図である。記録装置ユニット2000の記録部は、キャリッジ軸2103によって移動可能に支持されたキャリッジ2100と、キャリッジ2100に着脱可能に搭載される記録ヘッド4000を備えている。
図2は、本実施形態の記録ヘッドを示す図である。本実施形態の記録ヘッド4000は、インクタンク4100と、記録ヘッド本体4001から成る。本実施形態のインクタンク4100は、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタおよびイエローのインクがそれぞれ独立に収容されている。そして、それぞれのインクタンクが記録ヘッド本体4001に対して着脱可能に備えられている。
図3(a)および(b)は、本実施形態の吐出回復部を示す斜視図である。詳しくは、図3(a)は吐出回復部の一の側面を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)の側面に対向する側面を示す斜視図である。吐出回復部は、記録ヘッド4000を載置したキャリッジ2100が記録動作のために往復移動する範囲の外、つまり記録領域の外に配設されている。回復処理は、記録ヘッド4000のインク滴の吐出状態を良好に維持するために行われる。吐出回復部の配設位置は、例えば、キャリッジ2100および記録ヘッド4000のホームポジションと対応する位置等、記録領域外の所望位置に設定される。また、本実施形態の吐出回復装置2200は、記録装置本体に対して、独立して着脱可能に配置されている。この吐出回復装置2200は、記録ヘッド4000の記録素子基板4010に付着した異物を除去するためのワイピング手段を備えている。また、インクタンク4100から記録ヘッド4000の記録素子基板4010に至るインク流路におけるインク供給の正常化を図るための吸引回復手段を備えている。
吸引回復手段は、記録ヘッド4000の記録素子基板4010を覆うことが可能なように、ゴム等で形成されたキャップ2206を備えている。そして、このキャップ2206の内部に設けられる吸収体2207と、キャップ2206を記録ヘッド4000に対して当接離反するためのアーム2208を備えている。
キャップ2206は、アーム2208とは別体的に構成されたホルダに支持され、ホルダがアーム2208に支持されるようになっている。キャップ2206は、チューブ2209によりポンプ2210と接続され、ポンプ2210を動作させることによりキャップ2206に覆われた記録ヘッド4000からインクを吸引する構成となっている。キャップ2206とポンプ2210との途中には、大気連通弁2212を備えた別のチューブ2211が設けられている。
大気連通弁2212は、ゴム材等で構成されており、この弁と当接および離脱可能な大気連通弁アーム2213が軸2214を中心に図中D方向に回転可能に設けられている。この大気連通弁アーム2213を、大気連通弁2212に対して当接させてポンプ2210を動作すると、記録ヘッド4000よりインクが吸引される。この大気連通弁アーム2213を離脱してポンプ2210を動作すると、キャップ2206と記録ヘッド4000とが当接状態であっても、記録ヘッド4000からインクは吸引されず、キャップ2206内に存在するインクのみが吸引される。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置に搭載されている吐出回復装置2200の吸引動作の制御について説明する。
本実施形態の記録装置は、記録ヘッド4000を交換可能に備えているものである。一般的に、記録ヘッド4000を交換するとき、装着されている記録ヘッドをキャリッジ2100から取り外し、新たな記録ヘッド4000を装着する。記録ヘッド4000が交換されたことを認識するには、キャリッジ2100と記録ヘッド4000との間の電気的接続における導通切断の有無を検出する必要がある。この検出がなされたときに、記録ヘッド4000の交換がなされたことを認識する。
このような構成によるインクジェット記録装置では、後述する第1の気泡の滞留から第3の気泡の滞留まで、3種類の気泡の滞留過程が考えられる。そして、この気泡が原因で、インク滴の吐出が不可能になったり、吐出不良になったりすることがあり、正常な記録が行われないことがある。したがって、この気泡を吐出回復により除去する必要がある。
以下に、それぞれの気泡の発生要因と発生量の関係について把握し、気泡量の推定を可能とするための気泡量算出方法を説明する。
第1の気泡の滞留要因は、インクタンク交換時にその未装着時間に応じてインク供給口からインクが蒸発し、蒸発したインクの体積分がインク流路内の気泡となることによる。このインクの蒸発速度はインク供給口および流路径の大きさ、インクの組成、雰囲気の温度および湿度によって変化する。これらの要因を踏まえ、実験的に蒸発速度を把握する方法について説明する。
まず、記録ヘッドにインクを充填させた後、雰囲気の温度u、および湿度vが既知の環境で記録ヘッドを記録装置本体から取り外し、ノズル面やインクタンクの空気穴等を塞ぎ、記録ヘッドからのインクの蒸発を防ぐ。次に、対象となるインクタンクを外し、外してからの時間と重さの変化を計測する。量った重さを体積に変換することで、インクタンクを外してからの時間T1と流路内に滞留する気泡の体積Veの関係を得る。本実施形態では、T1とVeとの関係は、温度および湿度が一定の場合おおよそ線形であり蒸発速度aは定数である。したがって、インクタンク交換時に滞留する第1の気泡量Veは式(1)のように、蒸発速度aとインクタンク未装着時間T1の積であらわされる。
Ve=a(u,v)・T1 (1)
ただし、蒸発速度a(u,v)は雰囲気の温度u,および湿度vの関数である。
図4は、気泡量Veと時間T1の関係の例を示すグラフである。本グラフは蒸発速度aを0.325とし、横軸が時間T1を、縦軸が気泡量Veを示している。図示するとおり、時間T1が増えるとともに、一定の割合(本図では傾き0.325の割合)で気泡量Veが増加するのがわかる。
第2の気泡の滞留要因は、記録ヘッドを構成する材料を気体が透過し、透過した気体が流路内の微小な気泡を核として成長することによる。すなわち、記録ヘッドを吸引回復してから時間経過にしたがって気泡がインク流路内で発生する。気体の成長速度は、雰囲気の温度u、および湿度vが既知の環境で放置し、逐次X線CT装置でインク流路を観察し、気泡の体積をCT画像から算出することで経過時間と気泡量の関係Vt(T2)[mm3]が得られる。本実施形態では、気泡の成長速度はほぼ線形であり、成長する第2の気泡量Vtは式(2)のように気泡成長速度b[mm3/s]と前回の吐出からの放置時間T2の積によってあらわされる。
Vt=b(u,v)・T2 (2)
ただし、気泡成長速度b(u,v)は、雰囲気の温度u、および湿度vの関数である。
図5は、気泡量Vtと時間T2の関係の例を示すグラフである。本グラフはb(u,v)を0.03とし、横軸が時間T2を、縦軸が気泡量Vtを示している。図示するとおり、時間T2が増えるとともに、一定の割合(本図では傾き0.03)で気泡量Vtが増加するのがわかる。
第3の気泡の滞留要因は、インクに溶け込んでいる気体が溶出することによる。熱エネルギーを利用してインクを瞬時に加熱・発泡させて吐出液滴を形成する方式の記録ヘッドにおいては、ノズル面近傍のインクの温度が上昇し、気体の溶解度が下がることで気泡が発生する。この気泡の発生はインクの温度上昇によるため、インクの熱容量、インクの気体の溶解度、単位時間当たりにインクに与える熱エネルギー、記録ヘッドの放熱性などの要因が挙げられる。しかしながら、記録中に一回の吐出で発生する気泡量は単位時間当たりの吐出回数である記録時間デューティDと吐出回数Xを変数とした実験によっておおよそ把握することができる。すなわち、第3の気泡の滞留は、インクの吐出中にインク流路に滞留するのもであると考えられる。
本実施形態では、記録一枚当たりにかかる記録時間T3と吐出回数Xより、記録時間デューティをD=X/T3とする。雰囲気の温度uが既知の環境で記録時間デューティDを数水準設け、それぞれの水準で適当な発数の吐出を行いX線CT装置でインク流路内を観察し、CT画像から気泡の量Vp[mm3]を算出する。この気泡の量Vpを吐出回数Xで除すことにより、吐出を行った記録時間デューティにおける1回の吐出で発生する気泡の量をおおよそ把握することができる。数水準の記録時間デューティでこの一回当たりの気泡発生量を算出し、カーブフィッティングを行うことで記録時間デューティDの関数f(u,v)とする。これにより、記録中に発生する第3の気泡量Vpは式(3)のように記録時間デューティによって決まる一回当たりの吐出量f(D,u)と吐出回数の積であらわされる。
p=f(D,u)・X (3)
図6は、気泡量Vpと吐出量Xの関係の例を示すグラフである。本グラフは横軸が吐出量Xを、縦軸が気泡量Vpを示している。また、グラフ(a)のデューティはD=4.0×10-8であり、グラフ(b)のデューティはD=1.4×10-8である。図示するとおり、吐出量Xが増えるとともに、一定の割合(本図では(a)は傾き4.0×10-8、(b)では傾き1.4×10-8)で気泡量Vpが増加するのがわかる。
このように、インクタンク交換時にインク流路内に発生する気泡、記録ヘッドを吸引回復してから時間経過にしたがって発生する気泡、および記録時のインク吐出に伴う気泡をそれぞれ気泡量として数値化することができる。
なお、インク供給口からの蒸発速度、インク流路内での気泡の成長速度はいずれも雰囲気の温度および湿度が少なからず寄与している。温度および湿度を考慮してこの制御を実装する場合は記録装置本体を温度および湿度が検知可能で、さらに温度および湿度の履歴を残しておくことができる構成にする必要がある。しかしながら、履歴を残すためには記録装置の電源を維持し続けなければならず、現実的には困難である。したがって、実仕様上は、蒸発や気泡の成長の早い高温低湿環境で得られた関数を用いるだけでもよい。また、上述した各種気泡量を推定するための関数は、インク供給口径、流路形状、ノズル数、インク組成などによって異なるため、インク色ごとに求めておくことが望ましい。
次に、吐出不良が起きる可能性があるインク流路内の気泡量、すなわち吸引回復動作を実施する累積気泡量の閾値を求める方法を説明する。吐出不良の発生は、インク流路内に貯留した気泡が記録中のインクに流され、ノズル面に達したときに起こる。そのため、累積気泡量の閾値として定める値は、対象のインクジェット記録装置が実仕様上行い得る記録によりインク流路内の流速が最大となる場合に吐出不良が発生しない最大の気泡量である。この累積気泡量の閾値は、インクの粘度、インク流路形状、実仕様上あり得るノズル列あたりの最大デューティによって異なるため、インクの色毎に求めることが望ましい。例えば、インク流路が途中で分岐しノズルが2列になるものと、分岐がない1列のものとでは、画像として同じインク濃度の記録を行っても、ノズル直上の液室あたりの流速は2列の色が1列の色に比べておよそ半分となる。そのため、二股に分かれた流路の方が累積気泡量の閾値は大きくなる。
まず、インク流路を充填させた記録ヘッドからインクタンクを外し、高温低湿環境で放置して気泡を滞留させる。複数の記録ヘッドを、時間を変えて放置することでインク流路内に滞留させる気泡の量を数水準設ける。次に、数水準の量の気泡が滞留した記録ヘッドを用いて実仕様上あり得る最大デューティの記録を行い、吐出不良の有無を確認する。ここで吐出不良が起きない気泡量の最大値を、吸引回復動作を実施する累積気泡量の閾値Vth1とする。気泡の体積はX線CT装置により得られるCT画像から算出する。
累積気泡量がVth1を超える場合、さらにその量によって適切な吸引回復動作を行うことが望ましい。本実施形態では、累積気泡量がVth1を超える場合の吸引回復動作を吸引回復1とする。また、吸引回復1で十分に回復できる累積気泡量の最大値を第二の閾値Vth2(>Vth1)とし、累積気泡量がVth2を超える場合の吸引強度の強い吸引回復動作を吸引回復2とする。
本実施形態の制御構成では、インクタンク交換時にインク供給口からの蒸発による気泡量Ve、記録データ受信時に記録装置の放置により発生する気泡量Vt、および記録が終わり用紙を排紙したあとに記録時のインクに溶存している気体の発生による気泡量Vpをそれぞれ推定する。また、吸引回復動作実施のタイミングは、記録データを受信した後、記録を開始する直前である。
次に、インクタンクを交換するときの動作について、図7(a)および(b)を参照して説明をする。
最初に、図7(a)に示すように、インクタンクを記録ヘッドから取り外す(ステップS101)。そして、この動作を検知することにより、インクタンク未装着時間T1の計測を開始する(ステップS102)。その後、インクタンクの装着を検知すると(ステップS103)、インクタンク未装着時間T1の計測を終了して未装着時間を取得する(ステップS104)。そして、インクタンク未装着時間T1の計測結果に基づいて、図4に示した関係に従って気泡量Veを算出する処理を行う(ステップS105)。
図7(b)は、この処理を示すフローチャートである。まず、予め求めたおいた蒸発速度a[mm3/s]と、図7(a)に示した処理によって求めたインクタンク未装着時間T1との積によってΔVeを算出する(ステップS401)。次に、それまでのインク供給口からの蒸発による気泡量Veに、ΔVeを加算し(ステップS402)、気泡量Veを更新する(ステップS403)。この処理は記録ヘッドのインク供給口毎に行う。
図8は、本実施形態の吸引回復制御の処理を示すフローチャートである。記録データを受信すると(ステップS201)、放置時間に応じた気泡量Vtを算出する(ステップS202)。
図9は、このステップ202の気泡量Vtを算出する処理の詳細を示すフローチャートである。まず、前回の吸引回復動作からの経過時間T2を算出する(ステップS501)。前回の吸引回復を行った時刻はEEPROM(不揮発性ROM)に記録してあり、その時刻を読み出して前回の吸引回復作動時刻と現在の時刻との比較により、前回の吸引回復動作からの経過時間T2を求める。次に、図5に示した、経過時間T2と気泡量Vtの関係(式(2))に従い、放置による気泡量Vtを計算する(ステップS502)。そして、Vtの値を更新し(ステップS503)、気泡量Vtの算出処理を終了する。
再び図8を参照すると、次のステップS203では、吸引回復動作を決定する。すなわち、先ず、それまでの累積気泡量Vaを計算する。そして、求めた累積気泡量Vaに基づいて、吸引回復動作実施の有無、および吸引動作の種類を決定する。
図10は、この吸引回復動作を決定する処理の詳細を示すフローチャートである。先ず、図8のステップS202で算出した、放置時間による気泡量Vtと、その時点でのインクタンク未装着時間による気泡量Veと、同じくその時点での記録動作による気泡量Vpとの総和である累積気泡量算出、すなわち累積気泡量Vaを計算する(ステップS301)。そして、累積気泡量Vaと予め求めておいた第一の閾値Vth1を比較する(ステップS302)。VaがVth1より小さい場合、吸引回復動作決定行程の処理を終了する。一方、VaがVth1より大きい場合、累積気泡量Vaと予め求めておいた第二の閾値Vth2を比較する(ステップS303)。VaがVth2より小さい場合、吸引回復1のフラグを立てる(ステップS304)。一方、VaがVth2より大きい場合、吸引回復2のフラグを立てる(ステップS305)。吸引回復1または吸引回復2のフラグをたてたら、吸引回復動作決定工程の処理を終了する。
再び図8を参照すると、次のステップS204では、吸引回復動作決定工程を終了すると、吸引回復動作決定工程で決定された吸引回復を実施する。
図11は、吸引回復実施工程の処理を示すフローチャートである。まず、吸引回復フラグの有無を確認し、吸引回復動作を実施するか判断する(ステップS701)。吸引回復フラグが立っていない場合は、吸引を行わずに吸引回復実施行程を終了する。吸引回復フラグが立っている場合、フラグの種類に応じて吸引回復動作を実施する(ステップS702)。吸引回復動作が終了すると、インク流路内の各種気泡量VeVtVpの値を初期化する(ステップS703)。
吸引回復の行程は、吸引回復動作を行う一つのキャップが覆うノズル列の色毎に行い、その中の一色でも累積気泡量Vaが所定の閾値Vth1またはVth2を越えた場合には吸引回復動作を行う。また、異なる色で複数の種類の吸引回復フラグが別々に立つ場合、強い方の吸引を優先して行う。吸引回復動作を行った場合、同時に吸引を行われた他のインク流路内の各種気泡量VeVtVpの値も初期化する。吸引回復動作による気泡の除去が不十分である可能性がある場合はそれぞれの気泡量の初期値は0でなくてもよい。
再び図8を参照すると、次のステップS205では、吸引回復が終わると、ドットカウント値Xのカウントを開始し、記録時間T3の計測を開始する(ステップS206)。そして、記録を開始し(ステップS307)一枚目の記録を行う。記録が終了すると(ステップS208)、記録ドットカウントを終了し、記録ドットカウント値Xを取得する(ステップS209)。また、記録時間T3の計測を終了し、記録時間T3を取得する(ステップS210)。次に、この時点での気泡量Vpを算出するための処理を行う。
図12は、記録動作による気泡量Vpを算出するための処理を示すフローチャートである。気泡量Vpを算出するための処理が開始されると、図8のステップS209およびステップS210で取得した記録ドットカウント値Xと記録時間T3の値から、記録一枚の記録時間デューティDを計算する(ステップS601)。そして、式(3)を用いて直前の記録一枚当たりで発生した気泡量ΔVpを計算する(ステップS602)。その後、記録ドットカウント値X、記録時間T3の値を初期化して(ステップS603)、これまでの記録中に発生した気泡量Vpの値にΔVpを加算する(ステップS604)。最後にVpを更新して記録中に発生した気泡量Vpの算出処理を終了する(ステップS605)。
再び図8を参照して、更新された気泡量Vpとこの時点での気泡量Ve、Vtを基に、図10および図11を用いて説明した吸引回復動作決定工程および吸引回復実施工程の処理を行う。吸引回復動作決定工程および吸引回復実施工程の処理が終了すると、続けて記録を行うか否かの判断をする(ステップS214)。続けて記録を行う場合には、ステップS206に進み、記録が一枚終了した時点で再び気泡量Vpを更新し、吸引回復の実施を判断する。記録を行わない場合は、記録データ受信時の処理を終了する。
以上のような吸引回復の制御を行うことにより、インクタンクの未装着時間、前回の吸引回復からの放置時間、吐出回数と記録時間デューティなどの間接的なパラメータではなく、インク流路内に貯留した累積気泡量に基づいて吸引回復制御を行うができる。これにより流路内の気泡による吐出不良を起こす可能性を低減し、さらに適切なタイミングで吸引回復動作を行うことが可能になるため廃インク量を減らすことができる。
なお、本実施形態では、第1の気泡量、第2の気泡量および第3の気泡量を加算した累計気泡量に基づき、吸引回復を行うか否かの制御を行った。しかしながら本発明はこのようなものに限定されるものではなく、これらの気泡量から2以上の気泡量を加算したものであってもよい。
なお、本実施形態はそれぞれの気泡滞留要因について計算で気泡量を求めたが、本発明は、気泡量を求めるテーブルを予め持っている形態でもよい。すなわち、図4から図6に示した気泡量と時間や吐出回数の関係に従ったテーブルを予め用意して、そのテーブルを読むことにより気泡量を求める形態であってもよい。
2000 記録装置ユニット
2100 キャリッジ
2200 吐出回復装置
4000 記録ヘッド
4100 インクタンク

Claims (5)

  1. インクが収容されたインクタンクと、インク滴を吐出するノズル列とを備えた記録ヘッドの吸引回復を制御する吸引回復制御方法であって、
    前記記録ヘッドが吐出不良を起す原因となる複数の要因ごとに、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するためのインク流路内に滞留する気泡量を求める気泡量算出工程と、
    前記気泡量算出工程で算出された複数の気泡量の累積気泡量を算出する累積気泡量算出工程と、を有し、
    前記累積気泡量算出工程で算出された累積気泡量に応じて前記記録ヘッドの吸引回復を行うことを特徴とする吸引回復制御方法。
  2. 前記記録ヘッドが吐出不良を起す原因となる複数の要因ごとに前記インク流路内に滞留する気泡量は、前記インクタンクが装着されていないとき、前記インク流路に貯留する第1の気泡量と、前記記録ヘッドを吸引回復してから時間経過にしたがって前記インク流路内で発生するする第2の気泡量と、前記インクの吐出中に前記インク流路に滞留する第3の気泡量であることを特徴とする請求項1に記載の吸引回復制御方法。
  3. 前記吸引回復制御方法は、前記記録ヘッドが吸引回復を行うとき、さらに前記累積気泡量に基づいて吸引強度を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸引回復制御方法。
  4. 前記第1の気泡量は、Ve=a(u,v)・T1(時間T1:クタンク未装着時間、a(u,v):蒸発速度、u,v:雰囲気の温度および湿度)で求められ、前記第2の気泡量は、Vt=b(u,v)・T2(b(u,v):気泡成長速度、u,v:雰囲気の温度および湿度、T2:前回の吐出からの放置時間)で求められ、前記第3の気泡量は、Vp=f(D,u)・X(D=X/T3、T3:記録一枚当たりにかかる記録時間、f(D,u):一回当たりの吐出量、X:吐出回数、u:雰囲気の温度)で求められることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の吸引回復制御方法。
  5. インクが収容されたインクタンクと、インク滴を吐出するノズル列とを備えた記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であって、
    前記記録ヘッドが吐出不良を起す原因となる複数の要因ごとに、前記インクタンクから前記記録ヘッドにインクを供給するためのインク流路内に滞留する気泡量を求める気泡量算出手段と、
    前記気泡量算出手段で算出された前記複数の要因のそれぞれの気泡量の総和を求める累積気泡量算出手段と、を有し、
    前記気泡量の総和が吐出不良が起きる気泡量であるときに前記記録ヘッドの吸引回復を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015037869A (ja) * 2013-07-18 2015-02-26 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
JP2015080878A (ja) * 2013-10-22 2015-04-27 株式会社リコー 画像形成装置

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