JP2012125944A - アートワーク用素材、該素材の製造方法並びに該素材を用いたアートワーク - Google Patents

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Abstract

【課題】和紙に模した紙状物質を誰しもが安価で容易に作ることができる新たなアートワーク用素材を提供する。
【解決手段】アートワーク用素材3は、水溶紙1を水2に分散させて得られたゲル状の水溶紙溶液からなる。あるいは、当該水溶紙溶液3を受け皿10に注いで平板状に延展し、乾燥させて得られる紙状素材13からなる。溶液状のアートワーク用素材3は、その濃度、厚さ、乾燥速度などの要因で、仕上げ状態が異なった変化に富むアートワークを得ることができる。水溶紙溶液の濃度を濃くすることにより立体造形に使用することができる。水溶紙溶液3には、絵具、金属粉、プラスチック片、細かいガラス玉などを添加してアート効果を高めることができる。水溶紙溶液3と紙粘土を練り合わせることにより両者の中間的性質を持つ造形性に優れた新たなアートワーク用素材が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アートワーク用素材、及び該素材の製造方法、並びに該アートワーク用素材を利用したアートワークに関する。当該アートワーク用素材は、より詳しくは水溶紙を利用して作られる素材に関する。
「水溶紙」は、水に漬けることによって水中に瞬時に分散する紙として当業者には知られている。一般に紙は、植物性繊維を糊などの結合媒体を使用して相互に結合させて製造される。したがって、特殊な例を除けば、紙を水に漬けておけば、長時間にわたって結合媒体が溶融し、繊維に分解され、水中に分散するものとなるはずである。結合強度の程度により、例えば牛乳パックのように分散が非常に難いものから、トイレットペーパーのように水に分散し易くしたものまでが見られる。「水溶紙」は、この結合媒体の結合力を極端に弱めたもので、例えばトイレットペーパーの場合には水に分散するとしてもある程度の塊までしか分離しないのに対し、「水溶紙」は水に漬けるとほぼ瞬時に繊維のレベルまでばらばらに分散するという特殊な性質を有している。水に漬ける前の段階は、外見的には例えば通常の印刷用紙と何ら変わるところがない。
水溶紙の利用に関しては、従来技術において幾つもの例が知られている。いずれも水に対する瞬時の分散性を利用するもので、例えば水溶紙の両面に接着剤層を設けて接合すべき2つの部材間に配置してこれを接合し、2つの部材を分離する際には水溶紙部分に水を掛けることにより水溶紙を分散させて部材を分離する技術が開示されている(例えば、「特許文献1」参照。)。あるいは、同じく水への分散性を利用し、洋式便器の便座カバーシートとしての活用が知られており、使用後は便器内へそのまま廃却可能とする技術が開示されている(例えば、「特許文献2」参照。)。
特開平10−36776号公報 特開平07−255644号公報 特開平09−157922号公報
しかしながら、従来技術で知られた「水溶紙」の利用は、その水に対する優れた分散性を積極的に利用することに特化しており、水に分散された後の廃材に関しては何も関心が寄せられていなかった。これらは利用後の廃材として、単に廃棄されるだけのものとなり、従来技術においてはいずれの文献についても分散した後の廃材の処理もしくは利用について言及するものは見つからない。上述したように、水溶紙が水に分散した後は多量の植物性繊維と、これを結合していた結合媒体が溶融した状態で含まれているため、これらが無為に廃棄されては資源の無駄使いであり、またエコロジーの観点からも好ましくはなかった。加えて、水溶紙は文字通り紙の素材であり、例えば便座カバーシートなどのように所定の形状に切断された後の余剰の部分についても有効利用されずに廃棄されるばかりであり、やはりエコロジー、資源の有効活用の観点からは問題があった。
本願発明では、この水溶紙の持つ有利な特性を、従来技術とは視点を変え、水に分散された後の状態の中にも有効利用が可能であることを新たに発掘し、また使用後の廃材を無為に廃棄しなくても済むよう、その積極利用を図ろうとするものである。本願出願人は、水に分散された後の繊維質と結合媒体とを利用し、これらが再度相互作用し合うようにして特有な性質を有することを発見し、特にはアートワークに利用する場合にこれまで全く知られていない素晴らしい素材となることを見出して本願発明を成したものである。
本発明では、水溶紙を水に漬けて分散させて得られる溶液(以下、「水溶紙溶液」ともいう。)を、特にはアートワーク用素材として有効利用するものである。水溶紙溶液中には、水溶紙から分散された植物繊維と、これを結合していた結合媒体と、水とが含まれている。水溶紙と水との混合比率は、後述するような使用目的に応じて好みのものに設定することができる。さらに当該溶液に水彩絵具、アクリル絵具、その他塗料を含む着色材を混ぜることにより好みの色彩を表すことができ、さらには、使用用途に応じて香料その他の材料を混ぜる可能もあるなど、幅広い用途への活用が可能となる。具体的に、本願発明は以下の内容を含む。
すなわち、本願発明に係る1つの態様は、水溶紙と、水とから構成され、前記水溶紙を水に分散させてゲル状の水溶紙溶液としたことを特徴とするアートワーク用素材に関する。
本発明に係る他の態様は、水溶紙と、水とから構成され、前記水溶紙を水に分散させたゲル状の水溶紙溶液を、平板状に延展して乾燥させて得られたことを特徴とするアートワーク用素材に関する。
前記ゲル状の水溶紙溶液には、着色材、香料、ビーズ、ガラス玉、金属粉、プラスチック片、紙細工の内の少なくとも1つをさらに含めることができる。また、前記水溶紙溶液と紙粘土とを練り合わせることにより、水溶紙溶液よりは粘度が高く、紙粘土よりも粘度が低い加工性に優れたこれまでにないアートワーク用素材を得ることができる。
本発明に係る他の態様は、以上のようにして得られたアートワーク用素材を使用して製作されたことを特徴とするアートワークに関する。当該アートワークの例としては、紙粘土等を固めて造形された母材の表面に、上述したアートワーク用素材を塗布し、乾燥して得られたものが含まれる。
本発明に係るさらに他の態様は、水溶紙を水に分散させてゲル状の水溶紙溶液とするステップからなることを特徴とするアートワーク用素材の製造方法に関する。前記ゲル状の水溶紙溶液を平板状に延展し、水分を乾燥させるステップをさらに含めてもよい。
日本伝統の和紙は、素材の繊維質の性質を生かし、不均一な繊維質の分布、濃淡、凹凸感などを含む特有の雰囲気を醸し出す特徴を備えている。しかしながら和紙は、一般には量産性に乏しく、高価となって入手も困難である。これを製造するには、もとより特殊な設備と長年の経験に裏打ちされた伝統技能が必要とされる。また、和紙は、基本的には「平坦な」紙が素材であって、これを利用した立体的な造形には限界もあった。本願発明にかかる水溶紙を利用したアートワーク用素材によれば、水溶紙もしくはその廃材を利用するだけで素材が容易に入手可能であり、和紙に近似した繊維質の特有な効果を備えたアートワーク用素材を、誰でもが容易に作り出すことができる。さらには立体な造形への利用にも適するなど、これまで全く見られなかった全く新しいアートワーク用素材を提供できるものとなる。
本発明の実施の形態に係るアートワーク用素材(一次素材)を製造する手順を示す説明図である。 図1に示す一次素材を使用してアート紙(二次素材)を製造する手順を示す説明図である。 図1に示す一次素材を使用してアートワーク(オブジェ)を製造する手順を示す説明図である。
本発明に係る第1の実施の形態は、アートワーク用素材、及びその製造方法に関する。なお、本明細書において「アートワーク」の用語は広く解釈されるものとし、例えば絵画、イラスト、インテリア装飾品、置物、立体的オブジェなど、紙状の2次元的作品から3次元の造形物まで幅広く含まれるものとする。図1は、本実施の形態にかかるアートワーク用素材の製造方法を示している。図1(a)において、まず材料となる水溶紙1と容器5に入れられた水2を準備する。入手可能な水溶紙1としては、一例ではあるが東京都千代田区にある日本製紙パピリア株式会社から販売されているMDP、DP−2なる商品名のものが入手可能である。図では新規の材料の水溶紙1の利用を示しているが、工業的に必要となる使用部分を切り取った後の廃材が利用されてもよく、その場合にはさらに安価な材料が入手可能となる。
図1(a)において、水溶紙1はシュレッダなどにより小さな短冊状の水溶紙1aとする。このようにすることで水への分散がより促進され、また後の水中に漬ける際の取り扱いが容易となって好ましい。ただし、短冊状にすることは必ずしも必要ではなく、水溶紙1のままで水に漬けることでもよい。
次に、図1(b)において、短冊状の水溶紙1aを水2に漬けて水溶紙1aを水中に分散させる。一般の紙と比べて分散は瞬時に始まるので極めて効率よく行うことができる。例えば水溶性のトイレットペーパーを水につけると、ある程度の塊となって分解はするが、繊維レベルまでは少なくとも短時間で分散することはない。これに対して水溶紙1aの場合では、瞬時に繊維レベルまでバラバラとなり、また糊などの結合媒体も溶融して全体がゲル状となった水溶紙溶液3となる。水溶紙1aと水2との混合割合は任意である。後述するように和紙状の紙を作る場合には比較的薄い濃度のもの、また、立体造形に用いる場合には比較的濃い濃度のものが適する。本実施の形態では、この水溶紙溶液3がそのままアートワーク用素材となり、本明細書ではこれを「一次素材3」とも呼ぶものとする。なお、溶媒として「水」を利用しているが、湯、塩水、海水など、水溶紙が分散可能な液体であればよい。本明細書ではこれらの液体を総称して「水」と呼ぶものとする。なお、水溶紙1はアルコールには分散しない。
一次素材3には、オプションとして他の添加物を加えることができる。典型的な例としては、水彩絵具、アクリル絵具、その他塗料等の着色材を加えて一次素材3を好みの色にすることができる。こうすることで、各種色に着色された一次素材3を得ることができ、ユーザは好みに応じて各色の一次素材3を選択して用いることができる。あるいは、一次素材3に香料を加えることで、後に製作されるアートワークから香りを発散させることができる。他の例としては、金粉、銀粉などの装飾用微粒子、ビーズ、細かなガラス玉等の光透過性の材料などを加えることで、アートワークに変化を持たせることができる。あるいは、好みの形状に仕上げたプラスチック片、紙片などを散りばめてもよい。これらの応用については下記の実施の形態で再度説明する。
本発明に係る第2の実施の形態は、先の実施の形態で得られた一次素材3を利用したアートワーク、もしくはアートワーク用素材、及びその製造方法に関する。図2は本実施の形態を示しており、まず図2(a)において、平板状の受け皿10を用意し、その中に先の一次素材3を流し入れて受け皿10上に延展し、ほぼ均等な水溶紙溶液の層を形成する。受け皿10のサイズや形状は、目的とするアートワークに合わせて任意に選択できる。この場合の注入する一次素材3の溶液濃度は、容器5から一次素材3が連続的に流れるほどの比較的薄い濃度であることが好ましい。
受け皿10に流し込まれた一次素材3はそのまま放置され、水分を十分に蒸発させる。一次素材3の水分中には、水溶紙1で使用された植物繊維のほかに糊などの結合媒体が残されているので、水分蒸発の後にはその結合媒体の濃度が高まって再び結合媒体として機能するものとなり、一次素材3中のバラバラに分散された繊維質を再び結合する。そして、図2(b)において、水分が十分になくなった段階で一次素材3が乾燥状態となり、生成された結合体を受け皿10からはがすと、アートワーク作品とも呼び得るアートワーク紙13を得ることができる。このアートワーク紙13は、繊維質が不均一なむらとなって結合し合い、例えば光にかざして見た場合に、あたかも和紙と同じように透過した光が濃淡を映し出す独特の性質をもった紙状物質となる。
和紙を作る場合とは異なり、特別な設備や特殊技能を要することなく、和紙と同様な、あるいはこれに極めて近い雰囲気を持ったアートワーク紙13を、極端には廃材を利用しつつ誰でもが容易に作ることができる。これは一般家庭においても同様であり、例えばペットボトルに水と水溶紙を入れて撹拌することで水溶紙溶液を作ったり、牛乳パックに溶かした水溶紙溶液をお盆の上に流し込んだりすることでこのアートワーク用紙を製作することができる。本発明に係る一次素材3の何よりも顕著な技術的特性は、このように無為に廃棄されるだけしかなかった材料を用いて、これまで誰しも考えることすらできなかった和紙状の紙状物質の製作を、家庭においてさえ誰でもが容易にできるようにしたことにある。
この際完成するアートワーク紙13の特性は、各種の条件を組み合わせて変化させることが可能である。例えば、一次素材3の濃度を変化させること、受け皿10に注入する際の一次素材3の層の厚さを変化させること、受け皿10の表面粗さを変化させること、強制乾燥させるなどの乾燥スピードを変化させること、などの各種条件変化が与えられる。一例として、受け皿10の表面粗さに関して言えば、表面が円滑な場合には一次素材3が乾燥の課程で表面を滑って縮む傾向にあるため、アート紙13が波目状(しわ状)になり易い。逆に受け皿10の表面が粗い場合には、水溶紙溶液3が粗い表面に拘束されて容易には縮まず、これによって比較的円滑な平坦状のアート紙13を得るものとなる。いずれの場合にも、これら各々特有の効果をアートワークとして有効利用することができる。
他の応用方法として、受け皿10に流す一次素材3を複数種類とし、例えば複数の異なる色に着色されたもの、異なる濃度のものなどを受け皿10の部分、部分に流し込めば、これらが融和しつつ、かつ特定の部分を占めることで色合いや濃淡が絡み合ったモザイク状の特有の効果を有するアートワーク紙13を得ることができ、それ自身で立派なアートワーク作品となる。
このようにして得られたアートワーク紙13は、基本的には和紙と同様に見ることができ、すなわち、このアートワーク紙13を利用して次のアートワークの素材として利用できることを意味する。ここでは、このように素材として利用されるアートワーク紙13のことを「二次素材13」とも呼ぶものとする。利用例として、この二次素材13を電気スタンドのランプカバーとして使用した場合には、二次素材13を透過する濃淡を含んだ光が周囲に和風の雰囲気を与える。一次素材3に着色をしておくことで、部屋の雰囲気に合わせたカラー調和の演出が可能である。一次素材13にビーズや細かいガラス玉が添加されていれば、その部分では光が強く透過するため、星状の照明効果を作り出すことができる。その他、二次素材3aを切り取ってパッチワーク状にして壁掛けなどの装飾品とし、あるいはペーパフラーの素材としたり花瓶を覆うカバー紙などにも使用することができる。この際に一次素材3に金粉、銀粉、アルミ粉などが添加されていれば、これよりなる二次素材13に逆に照明を当てることで多数の細かい反射光の効果が得られる。また、紫外線などの光エネルギを吸収して暗闇で徐々に光を放出する性質を有する「畜光塗料」が一次素材3に添加されていれば、これより得られた二次素材13を加工したアートワークは、暗い中で光を放ってそのオブジェ自らを際立たせる効果を生む。なお、当該二次素材3aは、当初材料である「水溶紙」に比べると、水に分散はするもののそのスピードはかなり緩やかなものとなり、ただし繊維同士の結合力は「水溶紙」に比べて弱くなる。
二次素材13に変化を持たせるさらに他の応用例として、図2(a)に示す一次素材3を注入する際に、受け皿10の手前でこれを細かい網に受けると、水分は網を通過して繊維質主体の成分が網上に残り、これが網に拘束されながら低い水分で比較的早く乾燥するため、比較的きめの細かいアートワーク紙13(二次素材13)が得られる。また、メッシュ状のネットを受け皿10に広げてその上に一次素材3を注入し、乾燥させると、ネットを一体に貼り付けたアートワーク紙13(二次素材13)となり、碁盤状のネットを融和させた特有のデザイン効果が得られる。上述の例では、金粉等の添加物を一次素材3中に混ぜるものとしていたが、二次素材13の乾燥する前の任意のタイミングに加えることでもよい。一次素材3に混ぜた場合には基本的に溶液中に均等配分されるものとなるが、乾燥段階で混ぜる場合には添加物を用いて二次素材13上に作品を描くこともできる。その他、応用例は多岐に亘るであろう。
次に、本発明に係る第3の実施の形態は、第1の実施の形態で示したアートワーク用の一次素材3の他の応用例に関する。一次素材3の溶液濃度を高めることにより、三次元のアートワーク用素材として使用可能となる。図3はその例を示したもので、ここでは、置物やジオラマ用の岩の造形を例として取り上げている。まず、図3(a)に示すように、紙粘土などを利用して所望形状に作った母材21を準備する。紙粘土も基本的には植物繊維を練り上げたものであるが、紙粘土で造形した場合、その表面はのっぺりとした平坦状のものとなる。特には岩や大木表面などのゴツゴツ感のある造形には不向きであると言える。本実施の形態では、溶液濃度を濃くした一次素材3をこの母材21の上に筆などを用いて点々と乗せるようにして被せてゆく。溶液濃度が特に濃い場合には、図示のようにヘラや絵画用ナイフにより一次素材3をすくって母材21上に盛り上げるように塗布し、これをヘラ等で広げて形を整えるように造形することもできる。この際、一次素材3にはあらかじめ岩石色となる茶褐色系の色を加えておくことが望ましい。このようにして塗布された一次素材3が、その後の水分蒸発により乾燥すると、図3(b)に示すように繊維質の密度のむら、色のむらが紙粘土の表面に見事に現れ、極めてリアルな岩肌を表現したアートワーク(オブジェ)21aが得られる。ただし、着色は一次素材3が乾燥した後に絵具などの着色材を用いて行うことでもよい。
上記の例では、母材21として紙粘土を利用しており、この場合には水溶紙溶液3の密着性が優れるため好ましいが、溶液中にはいずれにせよ結合媒体が予め含まれているため、母材21が紙粘土以外のその他各種材料からなる場合にも利用可能である。例えば母材21が、一般の粘土、木、プラスチック、ガラス、石膏などであっても良い。変わったところでは、針金を撚り合わせて幹や枝を表現する模造盆栽を作る技術が開示されているが(例えば、特許文献3参照。)、この場合には撚り合わさった針金に直接一次素材3を塗布することで、従来の針金にテープを巻いてその上に着色する技法に比べて、より簡単でよりリアルに作品を表現できるものとなる。なお、紙粘土や粘土を母材21として使用した場合には、これらが乾燥して母材21にクラックが生ずることがあった。本発明に係る一次素材3を用いてこの母材21を覆うことで、母材21自身にクラックが入っても乾燥した一次素材3に含まれている結合媒体の緩やかな結合により一次素材3自身が伸縮性に富むため、母材21のクラックを巧みに包み隠す効果を生むものとなる。
他の応用例として、プリザーブドフラワーに使用されるオアシスに一次素材3を塗布してこれを強化することができる。「プリザーブドフラワー」は、生花を有機溶剤(例:エタノール)で脱水し、不揮発性溶液(例:ポリエチレングレコール)で水分と置換し、着色、乾燥させたもので、花の美しさ、新鮮さを長時間保つことで知られている。「オアシス」は、そのプリザーブドフラワーの土台を形成するために使用され、例えばウレタン樹脂フォームのブロックなどで作られる。このオアシスに、本発明に係る一次素材3を塗布することで、これを好みの色に着色可能であると同時に、一次素材3がオアシスを覆って保護膜を形成し、オアシスの角が欠けたり割れたりすることを防ぐ効果を果たす。
なお、上述した例では紙粘土の上に水溶紙溶液である一次素材3を塗布するものとしているが、紙粘土と水溶紙溶液は同じ植物性繊維でできていることもあって、この両者の相性はすこぶる良い。このことから、例えば両者を練って混ぜ合わせることにより、この両者の中間的な素材、すなわち紙粘土よりも粘性が低くて加工が容易となり、水溶紙溶液に比べて粘性が高まって形状維持が可能となった特有な新規のアートワーク用素材を得ることができる。このような素材はこれまでに見られなかったものであり、アートワーク作品の幅を大きく広げる高いポテンシャルを備えた素材を提供するものとなる。例えば、竹で編まれたかごの上にラップを掛け、その上にこの練り合わせたアートワーク用素材を押し付けると、竹の表面やかごの編み目模様がそのままアートワーク用素材の方に写し取られ、これを乾燥させることで特有の模様を持つ造形物を得ることができる。紙粘土のままで同じことをした場合には、粘性が高すぎるために押し付けには大きな力を必要とし、また編み目模様などの原材料の写し取りを完全にすることは容易ではなかった。本実施の形態に係る紙粘土と水溶紙溶液とを練り合わせたアートワーク用素材を用いれば、この作業性がはるかに向上し、かつ見事なまでの模様の写し取りが可能となる。また、予め絵具などの着色材を混ぜた水溶紙溶液を紙粘土と練り合わせると、着色された色が紙粘土に溶け込んで深みのある落ち着いた色あいに変化し、造形物の審美性を高める。さらに、紙粘土に見られる乾燥後のクラックが、結合度が低く柔軟性に富む水溶紙溶液が加わることによってこれが生じ難くなるという特有な効果をも奏するものとなる。
図3に示す例では筆やヘラ等を用いた小物の造形を示しているが、例えば舞台装置などで背景を準備しようとした場合には、概略を構成した母材の上に一次素材3をスプレーガンで吹き付けるなどにより、本物に近いリアルな背景を容易に造形することが可能となる。従来では同様目的で発泡スチロールの上に着色したものなどが使用されていたが、これは衝撃に弱くて剥がれやすく、くり返しの使用には適していなかった。一定以下の大きさであれば、紙粘土の利用も可能であり、その上に本発明の一次素材3を被せることによって強固な結合が得られ、衝撃にも強く、かつ軽量の造形をすることが可能である。発泡スチロールの上に本発明の一次素材3を塗布することによっても、当該一次素材3の結合力によって発泡スチロールの上に単に顔料を塗っただけの従来技術によるものに比べてより衝撃に強い背景を得ることができる。
本発明に係るアートワーク用素材、及びその製造方法は、アートワーク材料の製造、販売、利用の産業分野において広く利用することができる。
1.水溶紙、
1a.水溶紙短冊
2.水、
3.一次素材(水溶紙溶液)、
5.容器
10.受け皿、
13.二次素材(アート紙)
21.母材、
21a.オブジェ、

Claims (9)

  1. 水溶紙と、水とから構成され、
    前記水溶紙を前記水に分散させてゲル状溶液としたことを特徴とするアートワーク用素材。
  2. 水溶紙と、水とから構成され、
    前記水溶紙が前記水に分散したゲル状溶液を、平板状に延展して乾燥して得られたことを特徴とするアートワーク用素材。
  3. 前記ゲル状溶液が、着色材、香料、ビーズ、ガラス玉、金属粉、プラスチック片、紙片の内の少なくとも1つをさらに含む、請求項1または請求項2に記載のアートワーク用素材。
  4. 前記着色材が、水彩絵具、アクリル絵具、畜光塗料のいずれかである、請求項3に記載のアートワーク用素材。
  5. 請求項1に記載のアートワーク用素材に、さらに紙粘土を練り合わせて得られることを特徴とするアートワーク用素材。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一に記載のアートワーク用素材を使用して作られたことを特徴とするアートワーク。
  7. 前記アートワークが、造形された母材の表面に前記アートワーク用素材を塗布し、乾燥して得られたものである、請求項6に記載のアートワーク。
  8. アートワーク用素材の製造方法であって、
    水溶紙を水に分散させてゲル状溶液とするステップからなることを特徴とするアートワーク用素材の製造方法。
  9. 前記ゲル状溶液を平板状に延展し、水分を乾燥させるステップをさらに含む、請求項8に記載のアートワーク用素材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020054767A (ja) * 2018-10-01 2020-04-09 小百合 岡田 造形品及び造形品の製造方法

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